説明

長尺体本数計測装置

【課題】長尺体の本数を正確に計測できるようにする。
【解決手段】長尺体の本数を正確に計測できるようにする長尺体本数計測装置を提供するために、幅の略揃った複数本の長尺体1をその幅方向に並べて静置可能な載置部2を設け、長尺体1に向けて光を照射する発光部と、長尺体1で反射した光を受光する受光部とを備える光センサーSを設け、光センサーSを載置部2上の長尺体1に対してその併設方向に移動させるセンサー移動装置3を設け、センサー移動装置3による光センサーSの移動中に、受光部で受光している間だけ光センサーSの移動距離を計測する移動距離計測器4を設け、長尺体1の幅を入力自在な入力部5を設け、移動距離計測器4からの計測値を入力部5からの入力値で除して長尺体1の本数を割り出す演算装置6を設けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
長尺体本数計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、長尺体として例えば鉄筋やパイプなどを、加工装置などに受け渡す途中でその本数を計測するのに、人が目視で計測することが行われているが、特に本数が多くなるに伴い、計測本数に間違いが発生しやすくなる。
そこで、図6に示すように、鉄筋などの転がり移動経路中に、長尺体1に向けて光を照射する発光部と、長尺体1で反射した前記光を受光する受光部とを備える光センサーSを固定し、鉄筋移動中に受光部で受光した回数を本数として計測する長尺体本数計測装置を設けるものがあった(周知慣用技術で適切な文献を示すことができない)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した従来の長尺体本数計測装置では、複数本の長尺体同士が隙間なくくっついて移動すれば、受光部で受光する光が途切れないために複数本を1本とカウントしてしまう誤計測の虞があった。
【0004】
従って、本発明の目的は、上記問題点を解消し、長尺体の本数を正確に計測できるようにする長尺体本数計測装置を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の特徴構成は、幅の略揃った複数本の長尺体をその幅方向に並べて静置可能な載置部を設け、長尺体に対する近接センサーを設け、前記近接センサーを前記載置部上の長尺体に対してその併設方向に移動させるセンサー移動装置を設け、前記センサー移動装置による前記近接センサーの移動中に、前記近接センサーで前記長尺体を検知している間だけ前記近接センサーの移動距離を計測する移動距離計測器を設け、長尺体の幅を入力自在な入力部を設け、前記移動距離計測器からの計測値を入力部からの入力値で除して長尺体の本数を割り出す演算装置を設けてあるところにある。
【0006】
本発明の第1の特徴構成によれば、載置部上の長尺体が、例え隙間なく接触した状態で並べて置いてあっても、近接センサーの移動した距離を入力部で入力した長尺体の幅で除するから、正確な長尺体の本数が演算装置から算出される。
その上、近接センサーの移動経路中に、隣接する長尺体同士の間に隙間があったとしても、その隙間を近接センサーが通過する間は、近接センサーで長尺体の検知はないために移動距離計測器による計測はなく、そのために、長尺体の正確な総本数が算出できる。
【0007】
本発明の第2の特徴構成は、前記演算装置は、前記移動距離計測器からの積算計測値を、前記入力部からの入力値で除して長尺体の総本数を割り出すものであるところにある。
【0008】
本発明の第2の特徴構成によれば、演算装置による演算処理が簡単な長尺体本数計測装置を提供できる。
【0009】
本発明の第3の特徴構成は、前記演算装置は、前記近接センサーの移動中に、前記近接センサーで連続して前記長尺体を検知している間毎に、前記移動距離計測器からの計測値を前記入力部からの入力値で除して演算値を出し、各検知時間毎の演算値を合計して長尺体の総本数とするものである。
【0010】
本発明の第3の特徴構成によれば、より正確な本数計測が可能になる。
つまり、入力部に入力する長尺体の幅が、長尺体によって誤差がある場合や、長尺体の長手方向で幅に少し変動がある場合等、移動距離計測器による積算計測値を入力部による入力値で除した場合、誤差の数値も積算されて演算されるために、本数が多くなればなるほど総本数に誤差が生じやすくなる危険性がある。これに対し、近接センサーで連続して長尺体を検知する間毎に、移動距離計測器からの計測値を前記入力部からの入力値で除して演算値を出すことにより、近接センサーの移動経路中で、隣接する長尺体間に隙間のない複数本毎に本数が算出されて、総本数として高精度な計測結果が出せる。
【0011】
本発明の第4の特徴構成は、幅の略揃った複数本の長尺体をその幅方向に並べて静置可能な載置部を設け、長尺体に対する離間距離を計測する近接センサーを設け、前記近接センサーを前記載置部上の前記長尺体に対してその併設方向に移動させるセンサー移動装置を設け、前記センサー移動装置による前記近接センサーの移動中に、前記近接センサーにより計測する離間距離の変化が最大値から最小値を経て最大値を検知する一山毎に一本と判断して総本数を求める演算装置を設けてあることにある。
【0012】
本発明の第4の特徴構成によれば、長尺体として、特に鉄筋やパイプなどの断面が略円形のものの場合に、より正確な本数計測が可能となる。
つまり、断面が略円形の長尺体は、近接センサーで計測する離間距離の変化が、近接センサーの移動に伴って、最大値から最小値を経て再び最大値になるために、複数本並べられた長尺体間に隙間があろうが無かろうが関係なく、また、その各幅に誤差があったとしても、正確に本数を計測できる。
【0013】
本発明の第5の特徴構成は、前記近接センサーは、電磁誘導型、静電容量型、超音波型、電磁波型、光電型の中から選ばれた非接触式センサーであることにある。
【0014】
本発明の第5の特徴構成によれば、近接センサーとして、各種の非接触式センサーが使用でき、特に光電型は仕組みが簡単で、制御もシンプルにできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態の全体正面図
【図2】実施形態の側面図
【図3】実施形態の要部作用説明図
【図4】別実施形態の要部作用説明図
【図5】別実施形態の要部作用説明図
【図6】従来例の要部作用説明図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
本発明の長尺体本数計測装置は、例えば、鉄筋などの長尺体を、切断装置や曲げ装置等の加工装置に受け渡す途中に設けて、自動受け渡し装置に適用するもので、図1、図2に示すように、幅の略揃った複数本の長尺体1をその幅方向に並べて静置可能な載置部2を設け、長尺体1に向けて光を照射する発光部と、長尺体1で反射した前記光を受光する受光部とを備える光センサーSを、近接センサーの一種として設け、光センサーSを載置部2上の長尺体1に対してその併設方向に移動させるセンサー移動装置3を設け、センサー移動装置3による光センサーSの移動中に、受光部で受光している間だけ光センサーSの移動距離を計測する移動距離計測器4を設け、長尺体1の幅を入力自在な入力部5を設け、移動距離計測器4からの計測値を入力部5からの入力値で除して長尺体1の本数を割り出す演算装置6を設けてある。
【0018】
前記長尺体1としての鉄筋は、一般的に段階的に径の異なる複数種のものがあり、その長手方向に所定間隔置きに節部が有る。
その節部は他の箇所よりも大径で、例えば、規格品の鉄筋D13の節部外径は、約13.3mmである。
そして、前記載置部2に鉄筋を幅方向(つまり径方向)に並べた場合には、隣接する鉄筋間には、通常は隙間ができやすいが、たまたま光センサーSの移動経路に節部が位置した場合には、隣接する鉄筋間に、隙間が形成されない場合も生じる。
【0019】
前記センサー移動装置3を次のように構成してある。
前記載置部2に並べた鉄筋の幅方向に沿うように、軸心を向けたスプライン軸7が、その両端部を軸支持部8を介して固定する計測器枠体9を設けてある。
前記スプライン軸7に外嵌して摺動するボス部10を一対設け、それら両ボス部10に亘ってラック11が一体連結してあり、一方のボス部10を、下端部に光センサーSを取り付けた移動フレーム12の上端部に取り付けることにより、光センサーSがスプライン軸7の軸心方向に沿って移動自在に構成してある。
また、前記計測装置支持枠には、複動型のエアーシリンダー13が取り付けられ、そのエアーシリンダー13の出退ロッドに、移動フレーム12を連結することにより、光センサーSが移動操作されるように構成してある。
【0020】
前記光センサーSには、発光部と受光部とが同一の箇所に形成され、半導体レーザー発信器14から発するレーザー光が光ファイバー15を介して送られて発光部から照射されるように形成してある。また、発光部から照射したレーザー光が鉄筋から反射して帰ってきた光を、受光部で受けて、光ファイバー15を介して受光素子部16に入るようにしてある。
【0021】
前記移動距離計測器4は、移動フレーム12と共にスプライン軸7の軸心方向と平行に移動するラック11に対し、噛み合うピニオンギア17を連結したロータリーエンコーダー18を、計測器枠体9に取り付け、そのロータリーエンコーダー18で検出したピニオンギア17の回転数と、受光素子部16からの受光情報を基に、光センサーSの移動中に、受光部で受光している間だけ光センサーSの移動距離を計測するように構成してある。
【0022】
前記演算装置6は、図3に示すように、移動距離計測器4からの積算計測値(=A+B+C・・・・)を、入力部5からの入力値α(鉄筋の規格径)で除して長尺体1の総本数(=(A+B+C+・・・)÷α)を割り出すように構成してある。
【0023】
〔別実施形態1〕
前記演算装置6は、図4に示すように、光センサーSの移動中に、受光部で連続して受光する間毎に、移動距離計測器4からの計測値(A,B,C、・・・・)を入力部5からの入力値αで除して演算値を出し、各受光時間毎の演算値を合計して長尺体1の総本数(=A÷α+B÷α+C÷α+・・・・)とするように構成してあってもよい。
この場合は、入力部5に入力する長尺体1の幅(径)が、長尺体1によって誤差がある場合や、長尺体1の長手方向で幅に少し変動がある場合等、移動距離計測器4による積算計測値を入力部5による入力値で除した場合、誤差の数値も積算されて演算されるために、本数が多くなればなるほど総本数に誤差が生じやすくなる危険性がある。これに対し、受光部で連続して受光する間毎に、移動距離計測器4からの計測値を前記入力部5からの入力値で除して演算値を出すことにより、光センサーSの移動経路中で、隣接する長尺体1間に隙間のない複数本毎に本数が算出されて、総本数として高精度な計測結果が出せる。
【0024】
〔別実施形態2〕
図1と同様に、幅の略揃った複数本の長尺体をその幅方向に並べて静置可能な載置部を設け、長尺体に向けて光を照射する発光部と、長尺体で反射した光を受光してその反射距離を計測する受光部とを備える光センサーを設け、光センサーを載置部上の長尺体に対してその併設方向に移動させるセンサー移動装置を設け(全体図省略)、更に、図5に示すように、センサー移動装置による光センサーSの移動中に、受光部により計測する反射距離の変化が最大値から最小値を経て最大値を検知する一山毎に一本と判断して総本数を求める演算装置6を設けてあっても良い。
つまり、断面が略円形の長尺体1は、光センサーSの受光部で計測する反射距離の変化が、光センサーSの移動に伴って、最大値から最小値を経て再び最大値になるために、複数本並べられた長尺体1間に隙間があろうが無かろうが関係なく、また、その各幅に誤差があったとしても、正確に本数を計測できる。
【0025】
尚、 前記鉄筋に代えて、他の棒状体やパイプであっても良く、また、扁平な一定の幅のあるフラットバーでも良く、それらを長尺体と総称する。
また、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0026】
前記近接センサーとしては、本実施形態で示した光電型以外に、電磁誘導型、静電容量型、超音波型、電磁波型等の非接触式センサーが使用できる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、鉄筋などの長尺体の搬送装置や、長尺体加工装置、また、長尺体加工装置に対する受け渡し装置に適用できる。
【符号の説明】
【0028】
1 長尺体
2 載置部
3 センサー移動装置
4 移動距離計測器
5 入力部
6 演算装置
S 光センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅の略揃った複数本の長尺体をその幅方向に並べて静置可能な載置部を設け、長尺体に対する近接センサーを設け、前記近接センサーを前記載置部上の長尺体に対してその併設方向に移動させるセンサー移動装置を設け、前記センサー移動装置による前記近接センサーの移動中に、前記近接センサーで前記長尺体を検知している間だけ前記近接センサーの移動距離を計測する移動距離計測器を設け、長尺体の幅を入力自在な入力部を設け、前記移動距離計測器からの計測値を入力部からの入力値で除して長尺体の本数を割り出す演算装置を設けてある長尺体本数計測装置。
【請求項2】
前記演算装置は、前記移動距離計測器からの積算計測値を、前記入力部からの入力値で除して長尺体の総本数を割り出すものである請求項1に記載の長尺体本数計測装置。
【請求項3】
前記演算装置は、前記近接センサーの移動中に、前記近接センサーで連続して前記長尺体を検知している間毎に、前記移動距離計測器からの計測値を前記入力部からの入力値で除して演算値を出し、各検知時間毎の演算値を合計して長尺体の総本数とするものである請求項1に記載の長尺体本数計測装置。
【請求項4】
幅の略揃った複数本の長尺体をその幅方向に並べて静置可能な載置部を設け、長尺体に対する離間距離を計測する近接センサーを設け、前記近接センサーを前記載置部上の前記長尺体に対してその併設方向に移動させるセンサー移動装置を設け、前記センサー移動装置による前記近接センサーの移動中に、前記近接センサーにより計測する離間距離の変化が最大値から最小値を経て最大値を検知する一山毎に一本と判断して総本数を求める演算装置を設けてある長尺体本数計測装置。
【請求項5】
前記近接センサーは、電磁誘導型、静電容量型、超音波型、電磁波型、光電型の中から選ばれた非接触式センサーである請求項1〜4の内のいずれか1項に記載の長尺体本数計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−182172(P2010−182172A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−26164(P2009−26164)
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【出願人】(000223056)東陽建設工機株式会社 (17)