説明

長尺材切断装置

【課題】複数の長尺材を設定の長さに切断できると共に、切断作業の効率向上できる長尺材切断装置とする。
【解決手段】搬送手段20で搬送した長尺材をストッパー30に当接して位置決めし、切断機40の切断手段を幅方向に移動して長尺材を設定の長さに切断する長尺材切断装置において、前記ストッパー30に搬送される全ての長尺材が当接して位置決め完了したら搬送手段20を停止して長尺材をストッパー30に向けて搬送し続ける時間を必要最小限とし、前記切断手段を移動して長尺材を切断完了したら停止して切断手段の移動距離を必要最小限として切断作業の効率向上をする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウムの押出し形材等の長尺材を設定の長さに切断する長尺材切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アルミニウムの押出し設備においては、押出し機で押出し成形されたアルミ押出し形材を、冷却、曲がり等の歪み矯正し、その後に設定の長さに切断している(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−18114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願人はアルミ押出し形材を次のようにして設定の長さに切断している。
前述のように冷却、歪み矯正したアルミ押出し形材を切断用のコンベアに送り、このコンベアで複数本のアルミ押出し形材をストッパに向けて搬送することでアルミ押出し形材の長手方向一端部をストッパに当接して位置決めし、前記コンベアを停止した後に切断手段をアルミ押出し形材の長手方向と直角方向(つまり、幅方向)に移動し、複数本のアルミ押出し形材を同時に設定の長さに切断している。
【0005】
本発明者等は、アルミ押出し形材の切断作業の効率向上のために、前述のようにしてアルミ押出し形材を設定の長さに切断することについて検討した結果、次のことを見出した。
第1は、コンベアの駆動時間が必要以上に長く、切断作業の効率向上の妨げとなっていることである。
すなわち、コンベア上を搬送されてきた複数本のアルミ押出し形材の長手方向一端部が全てストッパーに当接しない状態で切断を行うと、設定の長さに切断できないアルミ押出し形材が生じ不良品となるので、複数のアルミ押出し形材の全てがストッパーに当接すると推定される一定の時間だけコンベアを駆動し続け、アルミ押出し形材を一定の時間だけストッパーに向けて搬送し続けることで、全てのアルミ押出し形材の一端部がストッパーに当接するようにしている。
前述のコンベアを駆動し続ける一定の時間は、全てのアルミ押出し形材がストッパーに当接するまでの推定時間に安全値を加えて決定している。
しかしながら、現実には複数のアルミ押出し形材を同時にコンベアで搬送開始した際に、いずれかのアルミ押出し形材が大きく遅れてストッパーに当接する頻度は少なく、前述のようにコンベアを一定の時間だけ駆動し続けることは切断作業全体の時間が長くなり、切断作業の効率向上の妨げとなっていた。
しかも、コンベアを一定の時間だけ駆動し続けることで、ストッパーに当接した後もアルミ押出し形材を搬送し続けることになり、そのストッパーに当接したアルミ押出し形材とコンベアとの擦れが発生し、アルミ押出し形材に擦れ傷がついたりして不良品増加の原因となっていた。
【0006】
第2は、切断手段の移動距離が必要以上に長く、その切断手段の移動に要する時間が長く、切断作業の効率向上の妨げとなっていた。
つまり、コンベアで搬送されるアルミ押出し形材の本数は一定ではないし、そのアルミ押出し形材の幅寸法も一定ではないから、切断手段をコンベアの幅方向に、あらかじめ決められた一定距離だけ移動し、アルミ押出し形材の本数が異なっても、幅寸法が変化しても全てのアルミ押出し形材を切断手段で切断できるようにしているので、搬送するアルミ押出し形材の本数が少ない場合、幅寸法が小さいアルミ押出し形材の場合には、切断手段の移動距離が必要以上に長く、その切断手段の移動に要する時間が長く、切断作業の効率向上の妨げとなっていた。
【0007】
本発明は、前述したことに鑑みなされたものであり、その目的は、長尺材をストッパーに向けて搬送し続ける時間を必要最小限とすると共に、切断手段の移動距離を必要最小限として切断作業の効率向上ができ、しかも、複数の長尺材を設定の長さに切断でき、さらには、長尺材に発生する擦れ傷による不良品を低減できるようにした長尺材切断装置とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、長尺材を搬送する搬送手段20と、この搬送手段20で搬送される長尺材を位置決めして切断長さを決めるストッパー30と、このストッパー30よりも搬送方向上流側に設けられ、切断手段を長尺材の幅方向に移動して長尺材を切断する切断機40を備えた長尺材切断装置であって、
前記搬送手段20で搬送される複数の長尺材の全てが前記ストッパー30に当接して位置決め完了したことを第1カメラ50の画像に基づき認識したら搬送手段20を停止し、
前記切断機40による長尺材切断部分を撮像する第2カメラ52の画像に基づき、前記切断機40の切断手段を切断完了位置で停止するようにしたことを特徴とする長尺材切断装置である。
【0009】
本発明においては、前記ストッパー30の長尺材当接部分30aを撮影する第1カメラ50の画像を画像処理して搬送する全ての長尺材がストッパー30に当接したことを認識して信号を出力する画像処理装置63を設け、
この信号を受けて搬送手段20の搬送駆動源を停止するコントローラ60を設けることができる。
【0010】
このようにすれば、カメラと画像処置装置とコントローラを設けることで、搬送する全ての長尺材がストッパー30に当接して位置決めされると搬送手段20を停止することができる。
【0011】
本発明においては、前記ストッパー30を長尺材の搬送方向に移動自在として長尺材の切断長さを変更できるようにし、
前記第1カメラ50をストッパー30と同期して移動するようにできる。
【0012】
このようにすれば、長尺材の切断長さを変更できると共に、その切断長さを変更しても第1のカメラ50でストッパー30の長尺材当接部分30aを撮影することができる。
【0013】
本発明においては、前記第1カメラ50をストッパー30に取り付け、ストッパー30とともに第1カメラ50が移動するようにできる。
【0014】
このようにすれば、ストッパー30のみを移動すれば良いので、その移動する構成が簡単となるし、第1カメラ50でストッパー30の長尺材当接部分30aを確実に撮影できる。
【0015】
本発明においては、前記第2カメラ53の画像に基づき切断手段が切断完了位置まで移動したことを認識したら切断手段を停止するようにできる。
【0016】
本発明においては、前記切断手段による長尺材の切断領域を撮影する第2カメラ52の画像を画像処理して切断手段が、当該切断手段から最も遠い長尺材の幅方向側面位置Bと合致したことを認識して信号を出力する画像処理装置63を設け、
この信号を受けて切断手段の移動駆動源を停止するコントローラ60を設けることができる。
【0017】
このようにすれば、カメラと画像処置装置とコントローラとで、切断手段を長尺材を切断完了した位置で停止することができる。
【0018】
本発明においては、前記第2カメラ52の画像に基づき切断手段の実切断移動距離を求め、切断手段が実切断移動距離だけ移動したら停止するようにできる。
【0019】
本発明においては、前記切断機40の切断手段を待機位置から長尺材の幅方向に移動するようにし、
前記切断手段による切断領域を撮影する第2カメラ52の画像を画像処理して待機位置の切断手段と、当該切断手段から最も遠い長尺材の幅方向側面位置との幅方向距離から切断手段の実切断移動距離を求める画像処理装置63を設け、
切断手段が実切断移動距離だけ移動したときに切断手段の移動駆動源を停止するコントローラ60を設けることができる。
【0020】
このようにすれば、カメラと画像処理装置とコントローラとで、切断手段を実切断移動距離だけ移動したら停止することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、搬送する全ての長尺材がストッパー30に当接して位置決め完了すると搬送手段20が停止し、切断手段は長尺材の切断完了位置で停止するから、長尺材をストッパー30に向けて搬送し続ける時間を必要最小限とすると共に、切断手段の移動距離を必要最小限として切断作業の効率向上できる。
【0022】
しかも、複数の長尺材を設定の長さに切断できる。
さらには、長尺材に発生する擦れ傷が少なく、その摺れ傷による不良品が低減する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の長尺材切断装置を用いた押出し設備の平面図である。
【図2】長尺材切断装置の平面図である。
【図3】長尺材切断装置の正面図である。
【図4】第1カメラ取付部の側面図である。
【図5】制御回路図である。
【図6】第1カメラの画像説明図である。
【図7】第2カメラの画像説明図である。
【図8】第2の実施の形態における第2カメラの画像説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の長尺材切断装置を備えた押出し設備の一例を図1に基づいて説明する。
押出し設備は、押出し機1と後面処理設備2を有する。
この後面処理設備2は、押出し機1の押出し側に順次連続して設けたプラテン前切断機3、イニシャルテーブル4、ランアウトテーブル5と、このランアウトテーブル5に沿って往復移動するプラー6と、前記ランアウトテーブル5と隣接して押出し方向(矢印a方向)と直角方向(矢印b方向)に順次連続して設けたクーリングテーブル7、ストレッチャーテーブル8、搬送テーブル9、本発明の長尺材切断装置10と、ストレッチャーテーブル8の両側に設けたストレッチャー11等を備えている。
前記押出機1で押し出されてくる押出し材はランアウトテーブル5上に押し出され、プラテン前切断機3によって切断される。
ランアウトテーブル5上の切断された押出し材は、クーリングテーブル7を通過する際に冷却され、ストレッチャー11で曲がり、反りを矯正する。
この後に、押出し材は長尺材切断装置10に送られ、複数の押出し材を同時に設定の長さに切断する。
【0025】
前記長尺材切断装置10は、前述した冷却、矯正された押出し材、つまり長尺材を長手方向(矢印c方向)に搬送する搬送手段20と、長尺材を位置決めするストッパー30と、このストッパー30よりも搬送方向上流側に設けた切断機40を備え、長尺材の長手方向一端部をストッパー30に当接して位置決めし、切断機40で切断する。
本発明の長尺材切断装置は、押出し設備に限ることはなく、長尺材を設定の長さに切断するものとして使用できることは勿論である。
【0026】
前記搬送手段20は、図2、図3に示すように切断機40を設けた部分を境として離隔した一側ベルトコンベア21と他側ベルトコンベア22を有し、切断機40がベルトコンベアと干渉せずに幅方向に移動できるようにしてある。
前記一側、他側ベルトコンベア21,22はフレーム23に設けた駆動プーリ24と従動プーリ25に無端状ベルト26を巻き掛け、その駆動プーリ24をモータ27で回転駆動するもので、そのモータ27が搬送駆動源である。前記フレーム23が支持脚28に設けてある。
前記搬送手段20はベルトコンベアに限ることはなく、長尺材を長手方向に搬送するものであれば良い。例えば、複数の駆動ローラで構成しても良い。
【0027】
前記ストッパー30は、図2と図3に示すように、搬送手段20の搬送面と対向し、かつ搬送手段20の搬送方向と直角方向、つまり幅方向のほぼ全長に亘って設けてある。例えば、無端状ベルト26の上面と対向し、かつ無端状ベルト26の幅方向のほぼ全長に亘って設けてある。
これにより、ストッパー30に長尺材の長手方向一端部が当接し、その長尺材が長手方向に位置決めされ、長尺材の切断長さを決定する。
【0028】
前記ストッパー30は移動手段31で搬送手段20の搬送方向に移動されるので、長尺材の位置決め位置を変更して長尺材の切断長さを変えることができる。
つまり、長尺材の長手方向一端部をストッパー30に当接して切断機40で切断するのであるから、そのストッパー30と切断機40との間の距離が長尺材の切断長さとなるので、ストッパー30の位置を変更することで長尺材の切断長さを変えることができる。実際の切断作業時には、長尺材の切断長さに合わせてストッパー30を移動して位置決めする。
【0029】
前記移動手段31は、レール32に沿って移動自在な可動体33と、この可動体33に設けたモータ34で回転されるピニオン35と、前記レール32に沿って設けられピニオン35が噛合するラック36を備え、その可動体33に前記ストッパー30が取り付けてある。
そして、モータ34でピニオン35を回転することで可動体33がレール32に沿って移動するので、ストッパー30が搬送手段20の搬送方向に移動する。
この移動手段31は、送りねじとナット部材を用いて可動体33を移動するものでも良いし、シリンダーを用いて可動体33を移動するものでも良い。
【0030】
前記切断機40は、切断手段、例えば回転駆動する鋸刃41を搬送手段20の幅方向に移動するもので、その鋸刃41は搬送手段20の搬送面よりも上方に突出し、その搬送面上の長尺材を切断するようにしてある。
例えば、搬送手段20の幅方向に向かうレール42に沿って移動体43を移動自在に設け、この移動体43に回転用モータ44を設け、その回転用モータ44で鋸刃41を回転駆動するようにする。
前記移動体43に回転自在に設けたナット部材45に送りねじ46を螺合し、その送りねじ46を送り用モータ47で回転することで移動体43がレール42に沿って移動するもので、送り用モータ47が移動駆動源である。
この移動体43を移動する構成は前述のものに限ることはない。例えば、モータで回転するピニオンとラックに噛合したもの、シリンダーを用いたもの等でも良く、モータ、シリンダーが移動駆動源である。
【0031】
前記鋸刃41は長尺材の搬送動作時(搬送手段20が駆動しているとき)には、搬送される長尺材と干渉しない待機位置、例えば、搬送手段20の幅方向一側方の待機位置に位置決めして待機する。
そして、長尺材の搬送動作終了後(搬送手段20が停止後)に、鋸刃41は回転しながら搬送手段20の幅方向に沿って長尺材に向けて移動して切断開始し、長尺材の切断が完了した後述する切断完了位置まで移動したら鋸刃41は移動が停止する。
この後に、鋸刃41は回転停止又は回転しながら所定の待機位置まで移動して次の切断動作に備える。
【0032】
前記ストッパー30の長尺材の長手方向一端部が当接する部分を撮影する、第1カメラ50を備え、この第1カメラ50で長尺材の長手方向一端部がストッパー30の長尺材当接部分30aに当接する状態を撮影できるようにしてある。
例えば、前記ストッパー30にブラケット51を介して第1カメラ50を、ストッパー30の長尺材当接部分30aに向けて取り付ける。
この第1カメラ50の撮影範囲は図4に示すように、一側ベルトコンベア21のほぼ幅方向全域である。
なお、図示は省略するが撮影範囲を照明する照明具を設けてもよい。
このようにすれば、ストッパー30を移動して長尺材の位置決め位置を変更した場合でも第1カメラ50でストッパー30の長尺材当接部分30aを撮影することができる。
なお、第1カメラ50をストッパー30とは別のカメラ取付体に取り付け、そのカメラ取付体をストッパー30と同期して移動し、ストッパー30の長尺材の位置決め位置を変更した場合でも第1カメラ50でストッパー30の長尺材当接部分30aを撮影することができるようにしても良い。
【0033】
前記切断機40の鋸刃41により長尺材を切断する領域を撮影する第2カメラ52を備え、その第2カメラ52で、長尺材の鋸刃41により切断する部分の幅方向全体を撮影できるようにしてある。
例えば、切断機40と隣接してブラケット53を設け、このブラケット53に第2カメラ52を搬送手段20の搬送面に向けて取り付ける。
この第2カメラ52の撮像範囲は他側ベルトコンベア22のほぼ幅方向全域である。
なお、図示は省略するが撮像範囲を照明する照明具を設けてもよい。
【0034】
前記搬送手段20、ストッパー30、切断機40は図5に示すようにコントローラ60によって動作制御され、そのコントローラ60には操作部61から動作指令、例えば、起動釦61aから起動指令、停止釦61bから停止指令、テンキー61cから長尺材の切断長さ指令が送られる。
前記コントローラ60は起動指令が送られると搬送手段20を駆動する。例えばモータ27を駆動する。
前記コントローラ60は停止指令が送られると搬送手段20を停止する。例えば、モータ27を停止する。
前記コントローラ60は切断長さ指令が送られると、前記モータ34を駆動制御してストッパー30を移動し、長尺材の切断長さに合った位置とする。
前記コントローラ60は切断指令が入力されることで、回転用モータ44、送り用モータ47を駆動制御する。
前述したコントローラ60の操作部61からの動作指令による動作制御は、一例を示すもので、この動作制御に限ることはなく、任意の動作制御ができる。
【0035】
前記第1カメラ50が撮影した画像は画像処理装置63で画像処理され、その画像処理装置63が、同時に搬送される複数本の長尺材の全てがストッパー30に当接したことを認識したら搬送手段20の停止指令をコントローラ60に送る。
コントローラ60は停止指令が送られると搬送手段20を停止する。例えば、前述のモータ27を停止する。
【0036】
例えば、3本の長尺材を切断する場合には、第1カメラ50の画像は、図6(a)に示すようにストッパー30の長尺材当接部30aに3本の長尺材Aが接近した画像、図6(b)に示すように1本の長尺材Aがストッパー30に当接した画像、図6(c)に示すように2本の長尺材Aがストッパー30に当接した画像、図6(d)に示すように3本の長尺材Aがストッパー30に当接した画像と順次変化する。
そして、図6(d)に示すように3本の長尺材Aが当接した画像のときに画像処理装置63は全ての長尺材Aがストッパー30に当接したと認識し、搬送手段20の停止信号をコントローラ60に送る。
前述のように長尺材Aがストッパー30に当接し、さらに搬送手段20が停止すると、図3の一側ベルトコンベア21の上部から別のストッパー(図示せず)で図6(d)の長尺材Aの上面を押さえて切断機40の切断手段(鋸刃41)による切断時に長尺材Aが動かないように固定する。
【0037】
つまり、第1カメラ50と画像処理装置63で搬送される複数の長尺材の全てがストッパー30に当接して位置決め完了したことを認識する画像装置を構成し、コントローラ60が、画像装置が前述のことを認識したことを受けて搬送手段20を直ちに停止する手段を構成している。
【0038】
このようであるから、同時に搬送される複数の長尺材の全てがストッパー30に当接して位置決め完了すると、搬送手段20が直ちに停止するので、複数の長尺材の全てを確実に位置決めできると共に、搬送手段20を必要以上に駆動し続けることがない。したがって、複数の長尺材を設定の長さに切断できるし、長尺材をストッパー30に向けて搬送し続ける時間を必要最小限として切断作業の効率向上できると共に、長尺材に発生する擦れ傷による不良品を低減できる。
【0039】
前述のようにして長尺材をストッパー30に当接して位置決めした後に、切断機40によって長尺材を切断するが、その切断動作は次のように行う。
前述した搬送手段20の停止指令がコントローラ60に送られると、コントローラ60は前述のようにモータ27を停止して搬送手段20を停止すると共に、切断機40の回転用モータ44を駆動して鋸刃41を回転すると共に、送り用モータ47を駆動して鋸刃41を待機位置から移動開始する。つまり、切断動作を開始する。
【0040】
前述のように切断動作が開始することで、鋸刃41による長尺材の切断領域が第2カメラ52で撮影され、その第2カメラ52が撮影した画像は画像処理装置63で画像処理され、その画像処理装置63で鋸刃41の位置を認識し、鋸刃41が切断完了位置まで移動したことを認識したら、コントローラ60に切断完了信号を送る。
コントローラ60は回転用モータ44、送り用モータ47を停止して鋸刃41の回転、移動を停止して切断動作を完了する。
そして、送り用モータ47を前述とは反対方向に回転して鋸刃41を待機位置まで移動する。なお、回転用モータ44は回転し続けても良い。
【0041】
つまり、第2カメラ52の画像は図7(a)に示すように、搬送手段20上の複数の長尺材A及び鋸刃41の平面を示すもので、画像処理装置63で画像処理することで待機位置の鋸刃41から最も遠い長尺材の幅方向側面位置B(切断完了位置)及び鋸刃41の幅方向位置を認識する。
そして、図7(b)に示すように、前述の鋸刃41の幅方向位置が長尺材の幅方向側面位置Bと合致したことを認識したら切断完了信号をコントローラ60に送り、コントローラ60が送り用モータ47を停止して鋸刃41を切断完了位置で停止する。
【0042】
つまり、第2カメラ52と画像処理装置63で鋸刃41が長尺材の切断完了位置まで移動したことを認識する画像装置を構成し、コントローラ60が、画像装置が前述のことを認識したら鋸刃41の移動を停止する手段を構成している。
【0043】
このようであるから、切断機40の鋸刃41は、当該鋸刃41から最も遠い長尺材の幅方向側面位置(切断位置)まで移動すると停止し、その鋸刃41の切断に要する移動距離は複数の長尺材を切断できるだけの距離(実切断移動距離)で、無駄に移動することがないので、鋸刃41の移動距離を必要最小限として切断作業の効率向上できる。
【0044】
なお、鋸刃41が待機位置から切断完了位置まで移動する実切断移動距離を前述の画像装置とコントローラ60を用いて求め、その実切断移動距離だけ鋸刃41を移動するようにしても良い。
【0045】
例えば、第2カメラ52の撮影した画像を、図8に示すように搬送手段20上の複数の長尺材Aと待機位置の鋸刃41の平面を示すものとし、その画像を画像処理装置63で画像処理することで、待機位置の鋸刃41と、当該鋸刃41から最も遠い長尺材の幅方向側面位置Bを認識し、その認識に基づいて待機位置の鋸刃41と前述の長尺材の幅方向側面位置Bとの幅方向距離Lから鋸刃41の実切断移動距離を求め、その実切断移動距離をコントローラ60に送る。
【0046】
コントローラ60は前述した搬送手段20の停止指令によって回転用モータ44を駆動して鋸刃41を回転すると共に、送り用モータ47を駆動して鋸刃41を移動する。つまり、切断動作を開始する。
そして、鋸刃41が前述の実切断移動距離だけ移動したら、送り用モータ47を停止して鋸刃41を切断完了位置で停止し、直ちに待機位置まで移動して次の切断動作に備える。
【0047】
前記鋸刃41を実切断移動距離だけ移動するには、送り用モータ47の単位時間当り駆動による鋸刃41の移動距離を予め設定しておき、その送り用モータの駆動時間を制御する。
または、鋸刃41の移動ストロークをセンサ等で検出し、その検出した移動ストロークが実切断移動距離と合致したときに送り用モータ47を停止する。
【0048】
前記切断機40としては、レーザを照射するレーザノズルを移動して切断するレーザカッタ、水や他の液体を噴射するウォーターノズルを移動して切断するウォーターカッタ等でも良く、その場合にはレーザノズル、ウォーターノズルが切断手段である。
前記第1カメラ50、第2カメラ52としては、CC−Dカメラ、ラインスキャンカメラ、CMOSカメラ等を使用することだ出来る。
また、第1カメラ50と第2カメラ52は1台に限ることはなく、複数台設置して長尺材を認識等するようにしても良い。
【符号の説明】
【0049】
10…長尺材切断装置、20…搬送手段、27…モータ(搬送駆動源)、30…ストッパー、30a…長尺材当接部分、31…移動機構、40…切断機、41…鋸刃(切断手段)、47…送り用モータ(移動駆動源)、50…第1カメラ、52…第2カメラ、60…コントローラ、63…画像処理装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺材を搬送する搬送手段20と、この搬送手段20で搬送される長尺材を位置決めして切断長さを決めるストッパー30と、このストッパー30よりも搬送方向上流側に設けられ、切断手段を長尺材の幅方向に移動して長尺材を切断する切断機40を備えた長尺材切断装置であって、
前記搬送手段20で搬送される複数の長尺材の全てが前記ストッパー30に当接して位置決め完了したことを第1カメラ50の画像に基づき認識したら搬送手段20を停止し、
前記切断機40による長尺材切断部分を撮像する第2カメラ52の画像に基づき、前記切断機40の切断手段を切断完了位置で停止するようにしたことを特徴とする長尺材切断装置。
【請求項2】
前記ストッパー30の長尺材当接部分30aを撮影する第1カメラ50の画像を画像処理して搬送する全ての長尺材がストッパー30に当接したことを認識して信号を出力する画像処理装置63を設け、
この信号を受けて搬送手段20の搬送駆動源を停止するコントローラ60を設けた請求項1記載の長尺材切断装置。
【請求項3】
前記ストッパー30を長尺材の搬送方向に移動自在として長尺材の切断長さを変更できるようにし、
前記第1カメラ50をストッパー30と同期して移動するようにした請求項2記載の長尺材切断装置。
【請求項4】
前記第1カメラ50をストッパー30に取り付け、ストッパー30とともに第1カメラ50が移動するようにした請求項3記載の長尺材切断装置。
【請求項5】
前記第2カメラ53の画像に基づき切断手段が切断完了位置まで移動したことを認識したら切断手段を停止するようにした請求項1記載の長尺材切断装置。
【請求項6】
前記切断手段による長尺材の切断領域を撮影する第2カメラ52の画像を画像処理して切断手段が、当該切断手段から最も遠い長尺材の幅方向側面位置Bと合致したことを認識して信号を出力する画像処理装置63を設け、
この信号を受けて切断手段の移動駆動源を停止するコントローラ60を設けた請求項5記載の長尺材切断装置。
【請求項7】
前記第2カメラ52の画像に基づき切断手段の実切断移動距離を求め、切断手段が実切断移動距離だけ移動したら停止するようにした請求項1記載の長尺材切断装置。
【請求項8】
前記切断機40の切断手段を待機位置から長尺材の幅方向に移動するようにし、
前記切断手段による切断領域を撮影する第2カメラ52の画像を画像処理して待機位置の切断手段と、当該切断手段から最も遠い長尺材の幅方向側面位置との幅方向距離から切断手段の実切断移動距離を求める画像処理装置63を設け、
切断手段が実切断移動距離だけ移動したときに切断手段の移動駆動源を停止するコントローラ60を設けた請求項7記載の長尺材切断機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−35111(P2013−35111A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175611(P2011−175611)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000006828)YKK株式会社 (263)