説明

長形シリカを含む芳香族化触媒並びにその作製及び使用方法

約50重量%〜約95重量%のゼオライトを含む長形シリカ結合ゼオライト担体。少なくとも1種のVIII族金属及び少なくとも1種のハロゲン化物を担持する長形シリカ結合ゼオライトを含む触媒組成物。長形シリカ結合ゼオライト担体の作製方法であって、ゼオライト、長形シリカ及び水を混合して混合物を形成する工程、並びに当該混合物を長形シリカ結合ゼオライト担体に成形する工程を含む方法。長形シリカ結合ゼオライト触媒の作製方法であって、ゼオライト、長形シリカ及び水を混合して混合物を形成する工程、当該混合物を長形シリカ結合ゼオライト担体に成形する工程、並びに1又は複数の触媒化合物を長形シリカ結合ゼオライト担体に添加して長形シリカ結合ゼオライト触媒を形成する工程を含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、触媒組成物に関する。より詳細には、本開示は、改善された芳香族化触媒組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
孔の大きいゼオライト触媒は、脂肪族炭化水素を脱水素環化して芳香族炭化水素を製造するために有用である。例えば、孔の大きいゼオライト触媒は、軽質油ナフサ(例えば、C〜C)をベンゼン、トルエン、及びキシレンに改質するために有用である。そのような芳香族化触媒の例として、白金、並びに塩化物及びフッ化物などのハロゲン化物を含む、シリカが結合した孔の大きいゼオライト担体(support)が挙げられる。そのような触媒の工業的重要性により、改善された芳香族化触媒並びにその作製及び使用方法に対する必要性が現在存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書において、約50重量%〜約95重量%のゼオライトを含む長形シリカ(prolongated silica)結合ゼオライト担体が開示される。
【0004】
また、本明細書において、少なくとも1種のVIII族金属及び少なくとも1種のハロゲン化物を担持する長形シリカ結合ゼオライトを含む触媒組成物が開示される。
【0005】
さらに、本明細書において、長形シリカ結合ゼオライト担体の作製方法であって、ゼオライト、長形シリカ及び水を混合して混合物を形成する工程、並びに該混合物を該長形シリカ結合ゼオライト担体に成形する工程を含む上記方法が開示される。
【0006】
さらに、本明細書において、長形シリカ結合ゼオライト触媒の作製方法であって、ゼオライト、長形シリカ及び水を混合して混合物を形成する工程、該混合物を長形シリカ結合ゼオライト担体に成形する工程、並びに1又は複数の触媒化合物を該長形シリカ結合ゼオライト担体に添加して該長形シリカ結合ゼオライト触媒を形成する工程を含む上記方法が開示される。
【0007】
さらに、本明細書において、炭化水素を芳香族化合物に変換する方法であって:少なくとも1種のVIII族金属及び少なくとも1種のハロゲン化物を含む長形シリカ結合ゼオライト触媒を、反応ゾーンにおいて芳香族化条件下で炭化水素フィードと接触させる工程;該反応ゾーンから芳香族生成物を回収する工程;並びに該芳香族生成物を精製してベンゼン、トルエン、パラキシレン、オルトキシレン、メタキシレン、又はこれらの組合せを生成する工程を含む上記方法が開示される。
【0008】
上記に、以下の詳細な説明がより良く理解され得るように、本開示の特徴及び技術的利点をやや大まかに概説した。本開示の特許請求の範囲の対象を形成する実施形態のさらなる特徴及び利点を以下に記載する。開示されている概念及び具体的な実施形態は、本開示と同じ目的を実施するために変更し又は他の構造を設計するための基礎として容易に利用され得ることは、当業者によって認識されるべきである。また、そのような等価の構成が添付の特許請求の範囲に記載されている開示の実施形態の精神及び範囲を逸脱しないことは、当業者によって理解されるべきである。
【0009】
本開示の装置及び方法の実施形態の詳細な説明のために、ここで、添付の図面の参照を行う。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】長球(prolate spheroid)の図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書において、長形シリカ結合ゼオライト担体、長形シリカ結合ゼオライト触媒、並びにその作製及び使用方法が開示される。長形シリカ結合ゼオライト担体は、ゼオライト、長形シリカ及び水をブレンドして混合物を形成する工程、並びに混合物をシリカ結合ゼオライト担体に成形する工程によって調製することができ、これは、本明細書において、触媒基材又は触媒担体と称される。長形シリカ結合ゼオライト触媒は、長形シリカ結合ゼオライト担体を、1又は複数の触媒化合物、例えばVIII族金属(例えば、白金)及び1又は複数のハロゲン化物(例えば、塩化物及びフッ化物)と接触させることによって調製することができる。長形シリカ結合ゼオライト触媒は、例えば、炭化水素の芳香族化合物への変換などの改質プロセスにおいて触媒として用いられてよく、芳香族化触媒組成物と総称され得る。本明細書において開示されている長形シリカ結合ゼオライト触媒組成物は、長形シリカ不含の他の同様の組成物と比較したとき、高濃度の活性触媒材料、低い反応開始温度(TSOR)、又は両方を特徴とすることができる。
【0012】
長形シリカ結合ゼオライト担体は、バインダー材料によって一緒に結合する1又は複数のゼオライトを含む。用語「ゼオライト」は、水和した、結晶性金属アルミノケイ酸塩を一般にいう。これらのゼオライトは、アルミニウム及びシリコン原子が、酸素原子を共有することによって三次元骨格において架橋されているSiO及びAlO四面体の網目構造を示す。骨格において、全てのアルミニウム及びシリコン原子に対する酸素原子の比は、2に等しい。骨格は、結晶内にカチオン、例えば金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又は水素を含むことによって典型的には平衡化される負のイオン原子価を示す。このように、ゼオライトは、アルカリ及びアルカリ金属を含有する天然又は合成の水和アルミノケイ酸塩鉱物の群である。ゼオライトは、カリウムなどのイオン交換可能な大きい金属カチオン、及び可逆性脱水を可能にする水分子によって占有される相互接続空洞を包囲する骨格構造を特徴とする。ゼオライトの実際の式は、結晶構造を変化させることなく変動してよい。一実施形態において、ゼオライト中のシリコン対アルミニウム(Si/Al)のモル比は、約1.0〜約3.5で変動してよい。
【0013】
一実施形態において、触媒担体は、孔の大きいゼオライトを含む。用語「孔の大きいゼオライト」は、本明細書において用いられるとき、約6オングストローム(Å)〜約15Å、代替的には約7Å〜約9Åの有効細孔径を有するゼオライトをいう。本開示での使用に好適な孔の大きい結晶性ゼオライトとして、限定されないが、L−ゼオライト、X−ゼオライト、Y−ゼオライト、ωゼオライト、βゼオライト、ZSM−4、ZSM−5、ZSM−10、ZSM−12、ZSM−20、REY、USY、RE−USY、LZ−210、LZ−210−A、LZ−210−M、LZ−210−T、SSZ−24、ZZA−26、SSZ−31、SSZ−33、SSZ−35、SSZ−37、SSZ−41、SSZ−42、SSZ−44、MCM−58、モルデナイト、ホージャサイト、又はこれらの組合せが挙げられる。一実施形態において、孔の大きいゼオライトは、同形の骨格構造を有する。一実施形態において、触媒担体は、L−ゼオライトを含む。
【0014】
L型ゼオライトは、ゼオライトの下位群である。LTLゼオライト又はLindeL型ゼオライトの表記もまた、この同じ下位群のゼオライト触媒を指す。典型的なL型ゼオライトは、以下の式にしたがう酸化物のモル比を含有する:
【数1】


式中、Mは、少なくとも1種の交換可能なカチオン、例えば、バリウム、カルシウム、セリウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、ストロンチウム及び亜鉛、並びに、ヒドロニウム及びアンモニウムイオンのような非金属性カチオンを示し、これらは、L型ゼオライトの基本的な結晶構造の実質的変更を引き起こさずに他の交換可能なカチオンによって置き換えられ得る。式中の「n」は、「M」の原子価を表し、「x」は2以上であり;「y」は、チャネル又はゼオライトと相互接続されたボイドに含有される水分子の数である。L−ゼオライト、そのX線回折パターン、その特性、及びその調製方法は、その内容が参照により本明細書によって組み入れられる米国特許第3,216,789号に詳細に記載されている。一実施形態において、触媒担体は、L−ゼオライトを含み、ここで、Mはカリウムであり、KL−ゼオライトとも称される。
【0015】
触媒担体は、バインダーをさらに含む。一実施形態において、バインダーは、長形シリカ、代替的には、低酸度の長形シリカを含む。図1は、長形シリカ、100の実施形態を示す。長形シリカの実施形態は、タバコ形、スイカ形、米粒形、スピンドル形又はフットボール形とも呼ばれる長球形又は楕円形を一般に特徴とする。本明細書において定義されているように、長球は、その赤道直径よりも長い極直径を有する主軸の1つについて楕円を回転させることによって得られる三次元における二次曲面であり、ここでa及びbが赤道半径であり、cが極半径である。長球又は楕円において、aはbに等しいが、a及びbは、両方ともc未満である。横断面図として見るとき、aは、半短軸であり、cは、半長軸であり、ここで、cは、楕円においてaより大きい。本明細書においてmと定義されているアスペクト比は、c対aの比である。
【0016】
一実施形態において、長形シリカは、約5nm〜約20nm、代替的には約8nm〜約16nmの直径、及び約30nm〜約400nm、代替的には約35nm〜約350nmの長さを有する粒子を含む。一実施形態において、長形シリカ粒子は、シリカゾルの形態であってよい。シリカゾルは、シリカ粒子を水に分散させることによって得ることができる。シリカゾルは、約9.0〜約10.5のpHを有し、25℃において約20mPa・s以下、代替的には25℃において約1〜約20mPa・sの粘度を有する約20〜約30体積%水溶液において供給されてよい。本開示での使用に好適なシリカゾルの例として、限定されないが、日産化学工業から市販されている、長形シリカ粒子を含むコロイダルシリカゾルであるSNOWTEX(登録商標)UPが挙げられる。バインダーは、合成又は天然ゼオライト;アルミナ;モンモリロナイト及びカオリンなどのクレイ;元素周期表のIVA族及びIVB族の金属の耐火性酸化物;ケイ素、チタン、ジルコニウム若しくはこれらの組合せの酸化物;又はこれらの組合せをさらに含んでよい。
【0017】
一実施形態において、長形シリカ結合ゼオライト担体は、ゼオライト、長形シリカ、水及び場合により押出助剤を含む混合物を形成すること、次いで成形することによって調製されてよい。混合物は、例えば、押出によって、好適な形状に形成されてよい。混合物は、約85重量%〜約95重量%のゼオライト、代替的には、約75重量%〜約90重量%のゼオライト、代替的には約50重量%〜約95重量%のゼオライトを含有してよい。混合物は、約1:99〜約99:1、代替的には約90:10〜約85:15、代替的には約92:8〜約82:18の重量比で組み合わされるゼオライト及び長形シリカバインダーを含有してよい。一実施形態において、ゼオライト及びバインダー(例えば、長形シリカ)を組み合わせることによって形成される混合物の水性体積パーセントは、約20%〜約60%、代替的には約25%〜約55%、代替的には約30%〜約45%であってよい。一実施形態において、混合物は、水を十分に含有して所望の形状を保持することができる。水は、別途混合物に添加されても良いし、又は1若しくは複数の他の成分、例えばシリカゾルの溶液として添加されてよい。成形された混合物の所望の形状を保持するために必要とされる水の量は変動してよく、当業者によって選択されてよい。一実施形態において、混合物は、押し出されて、押出成形体約100gあたり最大で約50gの水を含有してよい。
【0018】
一実施形態において、混合物は、長形シリカと結合したL−ゼオライト、代替的には、長形コロイダルシリカと結合したL−ゼオライト、代替的には、長形シリカと結合したKL−ゼオライト、代替的には、長形コロイダルシリカと結合したKL−ゼオライトを含む。
【0019】
一実施形態において、シリカ結合ゼオライトを含む混合物は、成形粒子に形成される。一実施形態において、混合物は、任意の好適な形状に形成されてよい。粒子を成形する方法は、当該分野において周知であり、その例として、例えば、押出、スプレー乾燥、ペレット化、凝塊化(agglomerization)などが挙げられる。一実施形態において、混合物は、例えば、米国特許第5,558,851号及び第5,514,362号(それぞれ、その全体が、本明細書に組み入れられる)に記載されているように、押出成形体に形成される。一実施形態において、混合物は、押出助剤をさらに含む。押出助剤は、混合物のレオロジーを改善する働きをすることができる。混合物のレオロジーにおけるこの改善は、押出ダイを通る混合物のフローを改善する働きをすることができる。押出ダイを通るフローの改善により、より容易な装置の起動、よりスムーズな押出、より速い加工、より低い押出圧、及び改善された製品の外観を導く。一実施形態において、押出助剤は、セルロース誘導体、エチレングリコール、ステアリン酸、又はこれらの組合せを含んでよい。一実施形態において、押出助剤は、セルロースエーテル、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、又はこれらの組合せを含む。本開示での使用に好適な押出助剤の例として、限定されないが、METHOCEL(登録商標)(Dow Chemical Companyから市販されているセルロース系材料)が挙げられる。押出助剤、その有効量、及び混合物に組み込む方法は、変動してよく、当業者によって選択されてよい。以下、ダイを出る成形された混合物は、「圧粉(green)押出成形体」と称する。
【0020】
圧粉押出成形体からの過剰の水は、乾燥により除去し、さらなる処理の前に乾燥した圧粉押出成形体を形成することができる。湿潤固体を乾燥させる従来の方法を用いて、圧粉押出成形体を乾燥することができ、従来の方法として、例えば、空気又は窒素若しくはヘリウムなどの不活性気体中での乾燥を挙げることができる。空気又は不活性気体は、循環してよく、移動してよく、又は静止していてよい。乾燥温度は、約200°F〜約400°F、代替的には約200°F〜約300°F、代替的には約225°F〜約275°Fの範囲であってよい。乾燥時間は、約1時間以上、代替的には約1時間〜約10時間、代替的には約2時間〜約5時間の範囲であってよい。
【0021】
一実施形態において、乾燥した圧粉押出成形体は、か焼(calcine)されて、か焼された押出基材(CEB)を形成することができる。か焼温度は、約500°F〜約1500°F、代替的には約700°F〜約1100°F、代替的には約850°F〜約1100°Fの範囲であってよい。か焼時間は、約0.5〜約5時間、代替的には約0.5〜約1.5時間の範囲であってよい。そのような実施形態において、か焼は、約10〜約20立方フィート/時間(CFH)の空気流量を有する酸素含有雰囲気下で実施してよく、代替的には、か焼は、約10〜約20CFHの流量で空気中において実施してよく、代替的には、か焼は、約10〜約20CFHの空気流量を有する「乾燥」空気において実施してよい。本明細書において用いられるとき、「乾燥」空気は、約−40°F未満の露点を有する空気をいう。か焼された押出基材は、長形シリカ結合ゼオライト担体であり、触媒調製において直接用いられてよく(以下を参照のこと)、又は以下の記載に従ってさらに処理されてよい。
【0022】
一実施形態において、CEBは、洗浄されて、洗浄されたCEBを形成することができる。いずれか1つの理論に束縛されることを望まないが、CEBの洗浄は、「容易に除去可能な」アルカリの存在量を低減することができると考えられる。用語「洗浄」は、本明細書において用いられるとき、材料の孔体積に対して過剰の液体(例えば、水)をCEBと接触させる任意の処理を含むことを意味する。「容易に除去可能な」アルカリは、本明細書において、大気温度において、1、2、3、4又は5回の洗浄(1:1の液体体積対押出成形体重量)後にCEBから洗い流され得るアルカリとして定義されている。一実施形態において、洗浄水は、約5〜約9のpHを有する蒸留水又は脱イオン水である。洗浄温度は、約70°F〜約200°F、代替的には約80°F〜約130°F、代替的には約90°F〜約110°Fの範囲であってよい。洗浄時間は、洗浄1回あたり約5〜約60分、代替的には洗浄1回あたり約15〜約30分の範囲であってよい。
【0023】
洗浄して容易に除去可能な量のアルカリを減少させた後、洗浄されたCEBを乾燥させて、洗浄された、乾燥したCEBを形成することができる。乾燥温度は、約200°F〜約400°F、代替的には約200°F〜約300°F、代替的には約225°F〜約275°Fの範囲であってよい。乾燥時間は、少なくとも約1時間、代替的には約1〜約10時間、代替的には約2〜約5時間の範囲であってよい。
【0024】
洗浄された、乾燥したCEBは、再か焼されて、洗浄された、乾燥した、再か焼されたCEBを形成することができる。か焼温度は、約500°F〜約1200°F、代替的には約700°F〜約1100°F、代替的には約850°F〜約1000°Fの範囲であってよい。か焼時間は、約0.5〜約5時間、代替的には約0.5〜約1.5時間の範囲であってよい。そのような実施形態において、か焼は、約10〜約20CFHの空気流量を有する酸素含有雰囲気下で実施してよく、代替的には、か焼は、約10〜約20CFHの流量で空気中において実施してよく、代替的には、か焼は、約10〜約20CFHの空気流量を有する「乾燥」空気において実施してよい。洗浄された、乾燥した、再か焼されたCEBは、長形シリカ結合ゼオライト担体であり、本明細書に記載されているように、触媒調製において直接用いられてよい。
【0025】
本明細書に既に開示されているように処理された長形シリカ結合ゼオライト担体をさらに処理して、1又は複数の触媒化合物を担体に添加することができる。一実施形態において、金属及び1又は複数のハロゲン化物を担体に添加することにより、炭化水素の芳香族化合物への変換に触媒作用を及ぼすことができる芳香族化触媒を形成する。
【0026】
一実施形態において、長形シリカ結合ゼオライト担体は、1又は複数のVIII族金属によって含浸されて、金属化された長形シリカ結合ゼオライト担体を形成する。金属は、種々の公知の従来技術、例えば、イオン交換、初期湿潤、細孔充填、含浸などを採用することによって担体に添加されてよい。一実施形態において、金属は、金属含有溶液による含浸によって担体に添加される。金属含有溶液中の金属は、少なくとも1種のVIII族金属;代替的にはPt、Pd、Rh、Ir、Ru、Os又はこれらの組合せ;代替的には白金であってよい。一実施形態において、金属は、白金を含み、この白金は、少なくとも1種の白金含有化合物を含有する金属含有溶液との接触を介して担体に添加される。担体との接触に好適な白金含有化合物の例として、限定されないが、溶液中でプラスに帯電した白金錯体イオンを形成する白金化合物、例えば白金塩、例えば塩化物及び硝酸塩など;アンミンとの白金錯体;又はこれらの組合せが挙げられる。例えば、白金含有化合物は、限定されないが、テトラクロロ白金酸アンモニウム、クロロ白金酸、ジアンミンニトロ白金(II)、塩化ビス−(エチレンジアミン)白金(II)、白金(II)アセチルアセトネート、ジクロロジアンミン白金、塩化白金(II)、水酸化テトラアンミン白金(II)、塩化テトラアンミン白金、硝酸テトラアンミン白金(II)、又はこれらの組合せを含めた、任意の白金含有化合物であり得る。一実施形態において、白金源は、塩化テトラアンミン白金(TAPC)である。金属化された担体中の白金量は、約0.1〜約5重量%、代替的には、約0.1〜約3重量%、代替的には約0.3〜約1.8重量%の範囲であってよい。
【0027】
一実施形態において、1又は複数のハロゲン化物は、ハロゲン化物含有化合物との接触によって長形シリカ結合ゼオライト担体に添加されて、ハロゲン化された担体を形成する。ハロゲン化物は、担体に別に添加されてよく;代替的には、ハロゲン化物は、担体に同時に添加されてよい。そのようなハロゲン化物は、先に記載された金属化の間に組み込まれて、代替的には、当該ハロゲン化物は、金属の添加前又は後であってよい別の工程の間に組み込まれて、金属化及びハロゲン化された長形シリカ結合ゼオライト担体を形成することができる。好適なハロゲン化物の例として、限定されないが、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物又はこれらの組合せが挙げられる。そのようなハロゲン化物は、有機ハロゲン化アンモニウム化合物として導入されてよい。有機ハロゲン化アンモニウム化合物は、式N(R)Xによって表される1又は複数の化合物を含んでよく、式中、Xは、ハロゲン化物であり、Rは、水素、又は1〜20の炭素を有する置換若しくは非置換の炭素鎖分子であり、ここで、各Rは、同じ又は異なっていてよい。一実施形態において、Rは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、及びこれらの組合せからなる群から選択され、より特定的にはメチルである。式N(R)Xによって表される好適な有機アンモニウム化合物の例として、塩化アンモニウム、フッ化アンモニウム及びハロゲン化テトラアルキルアンモニウム、例えば塩化テトラメチルアンモニウム(TMAC)、フッ化テトラメチルアンモニウム(TMAF)、塩化テトラエチルアンモニウム、フッ化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラプロピルアンモニウム、フッ化テトラプロピルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、フッ化テトラブチルアンモニウム、塩化メチルトリエチルアンモニウム、フッ化メチルトリエチルアンモニウム、又はこれらの組合せが挙げられる。一実施形態において、ハロゲン化された長形シリカ結合ゼオライト担体は、約0.1〜約5重量%、代替的には約0.1〜約3重量%、代替的には約0.3〜約1.8重量%の量で存在する塩化物を含む。一実施形態において、ハロゲン化された長形シリカ結合ゼオライト担体は、約0.1〜約5重量%、代替的には約0.1〜約3重量%、代替的には約0.3〜約1.8重量%の量で存在するフッ化物を含む。一実施形態において、ハロゲン化された長形シリカ結合ゼオライト担体は、塩化物及びフッ化物の両方を含み、これらは、約1:10〜約10:1、代替的には約1:5〜約5:1、代替的には約1:2〜約2:1のC1:F比で存在し得る。担体は、一旦ハロゲン及び金属と接触したら、以降、ハロゲン化された、金属化された担体(HMS)と称される。一実施形態において、HMSは、さらなる処理の前に数時間放置させる。一実施形態において、HMSは、約1〜約24時間、代替的には約2〜約8時間、代替的には約3〜約6時間放置させる。
【0028】
金属及び1又は複数のハロゲン化物との接触によるHMSの調製に続いて、HMSは、本明細書において記載されているようにさらに処理されてよい。HMSは、処理されて、接触工程から残存する望ましくない化合物を除去することができ、例えば、乾燥によって化合物を除去する、及び/又は加熱して化合物を分解することができる。一実施形態において、担持した担体を、先に記載されているように乾燥させ、か焼する。
【0029】
HMSを乾燥させて、芳香族化触媒である、乾燥したHMSを形成することができる。乾燥温度は、約100°F〜約300°F、代替的には約150°F〜約250°F、代替的には約200°F〜約220°Fの範囲であってよい。乾燥時間は、約0.1〜約6時間、代替的には約0.2〜約4時間、代替的には約0.2〜約3時間の範囲であってよい。HMSを、開示された条件下での乾燥のための当業者に公知の任意の装置を用いて乾燥してよい。例えば、HMSを、水銀柱約20〜約30の圧力下、約100°F超で動作する標準的なロータリーエバポレータ操作を用いて乾燥してよい。
【0030】
乾燥したHMSをか焼して、芳香族化触媒である、乾燥した、か焼されたHMSを形成することができる。か焼温度は、約400°F〜約900°F、代替的には約500°F〜約700°F、代替的には約550°F〜約600°Fの範囲であってよい。か焼時間は、約0.5〜約5時間、代替的には約0.5〜約2.5時間の範囲であってよい。か焼は、約5〜約20CFHの気体流速下、酸素含有雰囲気下で実施してよい。代替的には、か焼は、約5〜約20CFHの流速を用いて空気中で、代替的には約5〜約20CFHの流速を用いて乾燥空気中で実施してよい。処理完了後、乾燥した、か焼されたHMSは、芳香族化触媒として好適な化学反応及びプロセスに使用することができる。
【0031】
一実施形態において、本明細書において開示のように調製されたHMSは、少なくとも1種の芳香族化反応器及びその対応する処理装置を含む芳香族化反応器系において触媒として用いられ、以下、芳香族化触媒又は触媒と称される。本明細書において用いられるとき、用語「芳香族化」、「芳香族化する」及び「改質する」は、芳香族化合物リッチな生成物を供給するための炭化水素フィードの処理を称し、一実施形態において、この生成物は、その芳香族化合物含量がフィードの含量よりも多い生成物である。典型的には、フィードの1又は複数の成分は、1又は複数の改質反応を経て、芳香族化合物を形成する。芳香族化操作の間に起こるいくつかの炭化水素反応として、シクロヘキサンの芳香族化合物への脱水素化、アルキルシクロペンタンの芳香族化合物への脱水素異性化、非環式炭化水素の芳香族化合物への脱水素環化、又はこれらの組合せが挙げられる。アルキルベンゼンの脱アルキル化、パラフィンの異性化、気体状の軽質炭化水素、例えばメタン、エタン、プロパン及びブタンを生成する水素化分解反応、又はこれらの組合せを含めた多くの他の反応も起こる。
【0032】
芳香族化反応は、脱水素環化反応を熱力学的に促進し、望ましくない水素化分解反応を制限するプロセス条件下で起こる。圧力は、約0ポンド/平方インチゲージ(psig)〜約500psig、代替的には約25psig〜約300psigであってよい。水素対炭化水素のモル比は、約0.1:1〜約20:1、代替的には約0.5:1〜約6:1であってよい。操作温度として、約700°F〜約1050°F、代替的には約900°F〜約1025°Fの反応器入口温度が挙げられる。最終的には、芳香族化触媒に対する炭化水素フィードの液空間速度は、約0.1〜約10、代替的には約0.5〜約2.5であってよい。
【0033】
フィードの組成は、触媒芳香族化系を設計するとき考慮される。一実施形態において、炭化水素フィードは、少なくとも6の炭素原子を含有する非芳香族炭化水素を含む。当該芳香族化系へのフィードは、最大で約10重量%、代替的には最大で約15重量%のC及びより軽質の炭化水素(C)を含み、最大で約10重量%のC及びより重質の炭化水素(C)を含む、C〜Cの炭化水素を含む炭化水素の混合物である。そのような低いレベルのC及びC炭化水素は、高価値の芳香族化合物の収率を最大にする。いくつかの実施形態において、最適な炭化水素フィードは、C炭化水素の百分率を最大にする。そのようなフィードは、炭化水素原料、例えばあらゆる種類のナフサを、軽質炭化水素フィードフラクション及び重質炭化水素フィードフラクションに分離すること、並びに軽質フラクションを用いることによって達成され得る。
【0034】
別の実施形態において、フィードは、ナフサフィードである。ナフサフィードは、約70°F〜約450°Fの沸点範囲を有する軽質炭化水素であってよい。ナフサフィードは、脂肪族、ナフテン系又はパラフィン系炭化水素を含有してよい。これらの脂肪族又はナフテン系炭化水素は、芳香族化反応系において芳香族化合物に少なくとも部分的に変換される。触媒による芳香族化は、典型的にはナフサの変換をいうが、他の原料も同様に処理されて、芳香族化合物リッチな生成物を生成することができる。したがって、ナフサの変換は一実施形態であるが、本開示は、種々の原料、例えばパラフィン系炭化水素、オレフィン系炭化水素、アセチレン系炭化水素、環状パラフィン系炭化水素、環状オレフィン系炭化水素及びこれらの混合物、特に飽和炭化水素の転換又は芳香族化のための活性化触媒に有用であり得る。
【0035】
好ましくは、原料は、硫黄、窒素、金属、及び芳香族化触媒のための他の公知の触媒毒を実質的に含まない。一実施形態において、原料は、約100ppb未満の硫黄を含有する。存在するならば、そのような触媒毒は、当業者に公知の方法を用いて除去することができる。いくつかの実施形態において、フィードは、初めに従来の水素化精製技術を用い、次いで吸着剤を用いて残存触媒毒を除去することにより精製することができる。そのような水素化精製技術及び吸着剤は、以下に記載の精製プロセスに含まれる。
【0036】
一実施形態において、芳香族化触媒を用いて芳香族生成物を生成することができ、次いで、これを反応ゾーンから回収し、続いて処理して、ベンゼン、トルエン、パラキシレン、オルトキシレン、メタキシレン、又はこれらの混合物を生成することができる。例えば、芳香族化触媒を、改質手段、例えば、連続触媒改質手段又は半再生改質手段において広い沸点範囲のナフサを芳香族化し、続いて改質手段の流出物を芳香族化合物フラクションに蒸留することを含むプロセスにおいて用いることができる。芳香族化合物フラクションは、ベンゼン、トルエン、パラキシレン、オルトキシレン、メタキシレン又はこれらの組合せを含んでよい。
【0037】
キシレン異性体であるオルトキシレン、メタキシレン、及びパラキシレンは、重要な化学中間体であり、オルトキシレンは、酸化されて、無水フタル酸を作製することができ、これを用いて、とりわけフタレート系可塑剤を作製する。メタキシレンは、酸化されて、イソフタル酸を作製することができ、これを不飽和ポリエステル樹脂に用いる。パラキシレンは、酸化されてテレフタル酸を作製することができ、次にこれを用いてポリマー、例えば、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、及びポリエチレンテレフタレート(PET)を作製する。PETは、世界中でも最大体積のポリマーの1種であり、これを用いてPETプラスチック(例えば、2リットルのPETボトル)を作製する。また、これを用いて、ポリエステルファイバを作製し、次にこれを用いて、衣服及び他の織物を作製する。
【0038】
一実施形態において、芳香族化触媒をベンゼンの生成に用いることができ、ベンゼンを水素化して水素化生成物、例えば、シクロヘキサンなどを形成することができる。例えば、ベンゼンを、高純度ベンゼンフィード及び精製水素を含むプロセスにおいて水素化することができる。ベンゼンのシクロヘキサンへの転換は化学量論的である。シクロヘキサン生産の大きな部分を用いて、ナイロン、例えばナイロン6及びナイロン66などの中間体を生成する。ナイロン6は、シクロヘキサンのニトロ化に由来するカプロラクタムを重合することによって作製される。ナイロン66は、等モル量のアジピン酸及びヘキサメチレンジアミン(HMDA)を重合することによって作製される。アジピン酸は、シクロヘキサンの2工程の空気及び硝酸酸化によって作製される。アジピン酸は、アジポニトリル(中間体)の還元によってHMDAに変換される。また、シクロヘキサンから生成されるアジピン酸を用いて、可塑剤及び合成潤滑剤のためのエステルも製造し、ポリウレタン(合成レザー)も生成する。
【0039】
一実施形態において、芳香族化触媒は、ベンゼンの生成に触媒作用を及ぼす働きをし、ベンゼンはさらにアルキル化されて、スチレンの生成のための原材料であるエチルベンゼンを生成することができる。例えば、ベンゼンを、オレフィン(例えば、エチレン、プロピレン)、ハロゲン化アルキル又はこれらの混合物などの2〜54の炭素原子を有する好適なアルキル化試薬と、典型的には過剰モルで組み合わせることができる。一実施形態において、ベンゼンの少なくとも一部がエチレンを用いてアルキル化されてエチルベンゼンを生成することができ;これに、エチルベンゼンのスチレンへの脱水素化を場合により続けることができる。別の実施形態において、ベンゼンの少なくとも一部をプロピレンを用いてアルキル化してクメンを生成することができる。
【0040】
一実施形態において、本明細書で開示のように調製される長形シリカ結合ゼオライト触媒は、バインダーとしての長形シリカを含まないことを除き同様の他のシリカ結合ゼオライト触媒と比較して、高いゼオライト:バインダー比、例えば、約80:20を超えるゼオライト:バインダー比を有してよい。ゼオライトをより多く、バインダーをより少なく有することにより、触媒担体は、含浸(例えば、Pt担持)及び/又は分散(例えば、Pt分散)のために増大した表面積を有して調製されてよく、これにより、バインダーとしての長形シリカを含まないことを除き同様の他の触媒より高いレベルの触媒活性材料を有する触媒を提供する。代替的には、本明細書で開示のように調製され、常套的なゼオライト:バインダー比、例えば約80:20以下のゼオライト:バインダーを有する触媒は、流動又は移動触媒床での使用に好適な十分な粒子強度を有する触媒を提供することができる。例えば、約80:20のゼオライト:長形シリカを含む触媒は、触媒へのダメージを回避するための固定化触媒床において常套的に使用されるバインダーとしての長形シリカを含まないことを除き同様の他の触媒とは対照的に、連続触媒再生プロセスに耐えるのに十分に強くあり得る。
【0041】
得られた長形シリカ結合ゼオライト触媒は、より高いレベルの触媒活性材料と一致する触媒性能の改善を示し得る。触媒性能の改善は、当業者に公知の任意の手段によって測定され得る。本開示の触媒は、芳香族化反応における触媒として使用されるとき、運転初期温度(TSOR)の低下、閉塞速度(fouling rate)の低下、より高い液体収率、触媒寿命の延長、又はこれらの組合せを示すことができる。長形シリカ結合ゼオライト触媒は、約900°F〜約937°F、代替的には約907°F〜約930°F、代替的には約910°F〜約924°FのTSORを有することができる。本開示の長形シリカ結合ゼオライト触媒は、長形シリカを含まないことを除き同様の他の触媒と同じ又はそれより約10%長い、代替的には約20%以上、代替的には約30%以上長い寿命をさらに特徴とすることができる。改善された触媒性能の追加的手段は、当業者には明らかであろう。
【実施例】
【0042】
本発明を大まかに記載したが、以下の実施例は、本発明の特定の実施形態として与えられ、その実施及び利点を実証するためのものである。以下の実施例は例示として与えられ、以下のいずれの方法においても、後記する特許請求の範囲の指定を限定することを意図していない。
【0043】
(例1)
長形シリカ結合KL−ゼオライトの調製
担体Aは、約88重量%のKL−ゼオライトを含有する長形シリカ結合KL−ゼオライトであった。混合物を約671.9グラム(g)のL−ゼオライト及び約30gのメチルセルロースから調製した。この混合物を、ミュラー(muller)で十分にブレンドした後、次の工程に進んだ。この混合物に、約400gの長形シリカ(SNOWTEX(登録商標)−UP、日産化学工業)約20重量%水溶液を添加し、十分にブレンドした。十分なブレンドを達成するために、シリカゾルを約11分間にわたってミュラーに添加した。シリカゾルを混合物に添加した後、押し出しのため、水を添加して水分を約35重量%〜約40重量%の燃焼ロス(LOI)のレベルにした。燃焼ロスは、サンプルが乾燥空気中で約1時間、約1000°Fで加熱されるときの重量損失の百分率である。次いで混合物を、1/16インチ(1.6mm)ダイを通して押し出した。次いで、押出成形体を約250°F(121℃)で約4時間乾燥させ、続いて約932°F(500℃)で約1時間か焼した。か焼された押出成形体の約100g部を、約250mLの約100°F(37.8℃)の脱イオン化水を用いて洗浄した。この洗浄時間は、固体及び液体の良好な接触を達成するのに十分であった。この洗浄を全体で3回繰り返した。次いで、洗浄された押出成形体を約250°F(121℃)で約4時間乾燥させ、次いで、乾燥空気を流して、空気中、約900°F(482℃)で1時間か焼した。
【0044】
担体Bは、約80重量%のKL−ゼオライトを含有する長形シリカ結合KL−ゼオライトであった。この担体を、長形シリカの約30重量%水溶液を用いたことを除いて、担体Aと同様の方法によって調製した。
【0045】
担体Cは、約80重量%のKL−ゼオライトを含有する球形シリカ結合KL−ゼオライトであった。この担体を、東ソーL−ゼオライト、CCIC(Japan)から得られるSI−350シリカゾル、及び押出助剤として、Dow Chemical Companyから得られるMethocel(登録商標)を用いて、米国特許第6,207,042号に従って調製した。
【0046】
(例2)
調製された担体の含浸
触媒Dは、約88重量%のKL−ゼオライトを含有する長形シリカ結合KL−ゼオライト上の約1重量%のPtを含んでいた。約1.0重量%の白金を含有する、白金含浸されたKL−ゼオライト触媒を以下の方法で調製した。約1.52gの塩化テトラアンミン白金(II)(TAPC)、約1.41gのフッ化アンモニウム(AF)、約0.64gの塩化アンモニウム(AC)及び約40.89gの水の含浸混合物を形成し、担体Aの約80.17gの長形シリカ結合KL−ゼオライト押出成形体を含有する容器に初期湿潤技術を用いて添加した。次いで含浸された押出成形体を室温で約4時間放置した。含浸されたKL−ゼオライトを真空中で約3時間、約212°Fで乾燥させ、次いで約585°Fで1時間、流動乾燥空気中でか焼した。得られた押出成形体は、標準的な分析技術によって決定したところ、約0.94重量%のPt、約0.95重量%のF、及び約0.67重量%のClを含有した。
【0047】
触媒Eは、約88重量%のKL−ゼオライトを含有する長形シリカ結合KL−ゼオライト上の約0.5重量%のPtを含んでいた。約0.5重量%の白金を含有する、白金含浸されたKL−ゼオライト触媒を、以下を例外として触媒Dに関して記載された方法に従って調製した。含浸混合物は、代わりに約0.75gの塩化テトラアンミン白金(II)(TAPC)、約1.45gのフッ化アンモニウム(AF)、約0.88gの塩化アンモニウム(AC)及び約40.89gの水を含有した。押出成形体を形成し、担体Aの約80.17gの長形シリカ結合KL−ゼオライト押出成形体を含有する容器に添加した。得られた押出成形体は、標準的な分析技術によって決定したところ、約0.49重量%のPt、0.65重量%のF及び約0.48重量%のClを含有した。
【0048】
触媒Fは、約80重量%のKL−ゼオライトを含有する長形シリカ結合KL−ゼオライト上の約1.0重量%のPtを含んでいた。約1.0重量%の白金を含有する、白金含浸されたKL−ゼオライト触媒を以下の方法で調製した。約1.52gの塩化テトラアンミン白金(II)一水和物(TAPC)、約1.41gのフッ化アンモニウム(AF)、約0.64gの塩化アンモニウム(AC)及び約41.84gの水の含浸混合物を形成し、担体Bの約80.46gの長形シリカ結合KL−ゼオライト押出成形体を含有する容器に初期湿潤技術を用いて添加した。次いで含浸された押出成形体を室温で約4時間放置した。含浸されたKL−ゼオライトを真空中で約3時間、約212°F(100℃)で乾燥させ、次いで約585°F(307℃)で1時間、流動乾燥空気中でか焼した。得られた押出成形体は、標準的な分析技術によれば、約0.97重量%のPt、約0.61重量%のF及び約0.63重量%のClを含有した。
【0049】
触媒Gは、約80重量%のKL−ゼオライトを含有する長形シリカ結合KL−ゼオライト上の約1重量%のPtを含んでいた。約1.0重量%の白金を含む、白金含浸されたKL−ゼオライト触媒は、米国特許第6,207,042号に記載の方法に従って調製した。得られた押出成形体は、標準的な分析技術によれば、約0.98重量%のPt、約0.68重量%のF、約0.82重量%のClを含有した。
【0050】
(例3)
触媒評価
次いで、例2からの押出成形体をそれぞれ粉砕し、約20〜40メッシュ(直径0.84mm〜0.42mm)に篩がけし、温度制御された炉中に約1/4インチの外径(6.4mm)のステンレス鋼反応容器を有する反応器中に置いた。触媒を乾燥し、室温〜約950°F(510℃)の温度で、再循環せずに、流動水素下で還元した。次いで、反応器を約930°F(499℃)に冷却し、約12/時間の液空間速度(LHSV)の脂肪族炭化水素及び水素(H:炭化水素のモル比が約1)のフィード流を、反応容器に約12mL/分のフィード速度及び約100psigの圧力で導入した。反応器の流出物の組成をガスクロマトグラフィによって規則的に分析し、C5+フラクション中の全芳香族化合物の重量百分率を示した。次いで反応器温度を調整してC5+生成物中の全芳香族化合物の所望の重量%、典型的には約70重量%を達成し、次いで特性データを収集した。
【0051】
例1及び2に従って調製した下記の触媒は、長形シリカの形態が触媒効率に及ぼす影響を例示する。結果を表1にまとめる。
【表1】

【0052】
表1の結果は、球形シリカを長形シリカに置き換えることによりゼオライト:バインダー比が増大し、これにより同等レベルの芳香族化合物を生成しつつ、TSORの低減を結果としてもたらすことを示している。
【0053】
本発明の種々の実施形態を示して説明したが、その改良が、本発明の精神及び教示から逸脱することなく当業者によってなされ得る。本明細書に記載した実施形態は、単に例示的であって、限定することを意図していない。本明細書に開示された本発明の多くの変更及び改良が可能であり、本発明の範囲内である。数値範囲又は制限が明確に述べられている場合、そのような明確な範囲又は制限は、明確に述べられた範囲又は制限内にある同様の大きさの反復範囲又は制限を含むと理解されるべきである(例えば、約1〜約10は、2、3、4などを含み;「0.10を超える」は、0.11、0.12、0.13などを含む)。特許請求の範囲の任意の要素に関する用語「場合により」の使用は、対象要素が必要であるか、あるいは、必要でないことを意味する。両方の選択肢が特許請求の範囲内であることが意図される。より広い範囲の用語、例えば、「含む(comprise)」、「含む(include)」、「有する」などの使用は、より狭い範囲の用語、例えば「からなる」、「から実質的になる」、「から実質的に構成される」などをサポートすると理解されるべきである。
【0054】
したがって、保護範囲は、上記の説明によって限定されず、後述の特許請求の範囲によってのみ限定され、保護範囲は、特許請求の範囲の対象の全ての均等物を含む。それぞれ全ての特許請求の範囲は、本発明の実施形態として本明細書に組み入れられる。したがって、特許請求の範囲は、さらなる説明であり、上記明細書において記載されている本実施形態に加えられる。本開示における参照文献についての議論は、それらが本発明に対しての従来技術であることを承認するのではなく、特に本出願の優先日後の公開日を有し得る任意の参照文献についてはそうである。本明細書において引用された全ての特許、特許出願、及び公報の開示は、本明細書において記載されるものに対して補足的である、例示的な、手続き上の、又は他の詳細を与える程度まで、参照により本明細書において組み入れられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約50重量%〜約95重量%のゼオライトを含む長形シリカ結合ゼオライト担体。
【請求項2】
L−ゼオライトをさらに含む、請求項1に記載の長形シリカ結合ゼオライト担体。
【請求項3】
少なくとも1種のVIII族金属及び少なくとも1種のハロゲン化物を担持する長形シリカ結合ゼオライトを含む触媒組成物。
【請求項4】
前記長形シリカが、約5〜約20nmの直径及び約30〜約400nmの長さを有する、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記ゼオライトが、孔の大きいゼオライトを含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
前記ゼオライトが、L−ゼオライトを含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項7】
前記VIII族金属が白金を含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1種のハロゲン化物が、フッ化物化合物、塩化物化合物又はこれらの組合せを含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項9】
長形シリカ結合ゼオライト担体の作製方法であって:
a)ゼオライト、長形シリカ及び水を混合して混合物を形成する工程;並びに
b)該混合物を長形シリカ結合ゼオライト担体に成形する工程
を含む上記方法。
【請求項10】
前記混合物が、押出助剤をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記工程b)が:
前記混合物を押し出して圧粉押出成形体を形成すること;
該圧粉押出成形体を乾燥させて、乾燥した圧粉押出成形体を形成すること;及び
該乾燥した圧粉押出成形体をか焼して長形シリカ結合ゼオライト担体を形成すること
をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記工程b)が:
前記混合物を押し出して圧粉押出成形体を形成すること;
該圧粉押出成形体を乾燥させて、乾燥した圧粉押出成形体を形成すること;
該乾燥した圧粉押出成形体をか焼してか焼された押出基材を形成すること;
該か焼された押出基材を洗浄して洗浄された押出基材を形成すること;
該洗浄された押出基材を乾燥させて乾燥した押出基材を形成すること;並びに
該乾燥した押出基材をか焼して長形シリカ結合ゼオライト担体を形成すること
をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記水の全部又は一部が長形シリカゾル中で供給される、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記長形シリカゾルは、約20〜約30体積%の水溶液で供給されるとき、25℃において約20mPa・s以下の粘度を有して、約9.0〜約10.5のpHを有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
長形シリカ結合ゼオライト触媒の作製方法であって:
a)ゼオライト、長形シリカ及び水を混合して混合物を形成する工程;
b)該混合物を長形シリカ結合ゼオライト担体に成形する工程;並びに
c)1又は複数の触媒化合物を該長形シリカ結合ゼオライト担体に添加して該長形シリカ結合ゼオライト触媒を形成する工程
を含む上記方法。
【請求項16】
前記工程b)が:
前記混合物を押し出して圧粉押出成形体を形成すること;
該圧粉押出成形体を乾燥させて、乾燥した圧粉押出成形体を形成すること;及び
該乾燥した圧粉押出成形体をか焼して長形シリカ結合ゼオライト担体を形成すること
をさらに含み、前記工程c)が:
該長形シリカ結合ゼオライト担体をVIII族金属化合物及び少なくとも1種のハロゲン化物含有化合物と接触させて、金属化及びハロゲン化された長形シリカ結合ゼオライト担体を形成すること;並びに
該金属化及びハロゲン化された長形シリカ結合ゼオライト担体を乾燥及びか焼して、前記長形シリカ結合ゼオライト触媒を形成すること
をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記工程b)が:
前記混合物を押し出して圧粉押出成形体を形成すること;
該圧粉押出成形体を乾燥させて、乾燥した圧粉押出成形体を形成すること;
該乾燥した圧粉押出成形体をか焼してか焼された押出基材を形成すること;
該か焼された押出基材を洗浄して洗浄された押出基材を形成すること;
該洗浄された押出基材を乾燥させて乾燥した押出基材を形成すること;並びに
該乾燥した押出基材をか焼して前記長形シリカ結合ゼオライト担体を形成すること
をさらに含み、前記工程c)が:
前記長形シリカ結合ゼオライト担体をVIII族金属化合物及び少なくとも1種のハロゲン化物含有化合物と接触させて、金属化及びハロゲン化された長形シリカ結合ゼオライト担体を形成すること;並びに
該金属化及びハロゲン化された長形シリカ結合ゼオライト担体を乾燥及びか焼して、前記長形シリカ結合ゼオライト触媒を形成すること
をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
炭化水素を芳香族化合物に変換する方法であって:少なくとも1種のVIII族金属及び少なくとも1種のハロゲン化物を含む長形シリカ結合ゼオライト触媒を、反応ゾーンにおいて芳香族化条件下で炭化水素フィードと接触させる工程;該反応ゾーンから芳香族生成物を回収する工程;並びに該芳香族生成物を精製してベンゼン、トルエン、パラキシレン、オルトキシレン、メタキシレン、又はこれらの組合せを生成する工程を含む上記方法。
【請求項19】
前記炭化水素フィードが、約100ppb未満の硫黄を含有する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ベンゼンの全部又は一部を水素化してシクロヘキサンを生成することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記ベンゼンの全部又は一部を、エチレンを用いてアルキル化してエチルベンゼンを生成すること、及び、場合により、該エチルベンゼンを脱水素化してスチレンを生成することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記ベンゼンの全部又は一部をプロピレンを用いてアルキル化してクメンを生成することをさらに含む、請求項18に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2011−500486(P2011−500486A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528939(P2010−528939)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【国際出願番号】PCT/US2008/077937
【国際公開番号】WO2009/048755
【国際公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(502303175)シェブロン フィリップス ケミカル カンパニー エルピー (42)
【Fターム(参考)】