説明

長手方向山型清掃用保持具及び清掃用具

【課題】容易自在な方向転換と払拭体全面に捕集する清掃用保持具を提供する。
【解決手段】本発明の長手方向山型清掃用保持具1は、短幅方向を清掃方向、長手方向を非清掃方向とする払拭体把持部50の下面に払拭体70を把持させ、上面にジョイント部20を介してハンドル部10を接続した清掃用保持具において、払拭体把持部50の底面を長手方向に沿って長手方向山型に形成し、長手方向山型は、ジョイント部20の下方位置で長手方向山頂部58を有し、且つ前記長手方向の両端部に向かって低くなる長手方向山裾部59を有する。長手方向山型には、湾曲状、三角状、中央平坦左右湾曲状、中央平坦左右斜面状(台形状)、中央平坦左右階段状などがある。床面摩擦が小さいから方向転換容易である。清掃方向にも、三角状、中央平坦左右湾曲状、台形状、中央平坦左右階段状、湾曲状などの清掃方向山型を形成でき、方向転換容易性と粉塵全面捕集力を与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モップ等の払拭体を把持するための清掃用保持具及び前記払拭体を把持させた清掃用具に関し、更に詳細には、短幅方向を清掃方向とし長手方向を非清掃方向とする払拭体把持部にジョイント部を介してハンドル部を接続し、払拭体を前記払拭体把持部の底面に把持させるようにした清掃用保持具及びこの清掃用保持具に前記払拭体を把持させた清掃用具に関する。
【背景技術】
【0002】
モップ等の払拭体を把持する清掃用具保持具には、清掃用具の操作ハンドル(単に「ハンドル」又は「柄」とも称される)がジョイントを介して回動自在に取付けられている。特開平9−224896号公報(特許文献1)には、ジョイント部により操作ハンドルを基台部に取付けた拭き掃除具が記載され、特許第2981110号公報(特許文献2)には、柄(ハンドル)がジョイントを介してモップ本体に取付けられた清掃用具が記載されている。
【0003】
図15は、特許文献1に記載される従来の清掃用具である拭き掃除具100の斜視図である。拭き掃除具100は、長方体の基台部102を備え、その上面に、方向変換するためのジョイント部104を介して、操作ハンドル106が取付けられている。基台部102の底面には、弾性体108が取付けられ、前記底面は平板状に形成されている。弾性体108には、底面全体を覆うように、払拭体としてシート状清掃体が捲回され、拭き掃除具100が構成される。よって、この拭き掃除具100は、ジョイント部104により操作ハンドル106を回動させ、ハンドル床面角度θを自在に変化させることができる。例えば、清掃方向とは逆向きに操作ハンドル106を傾斜させることにより、操作ハンドルを介して清掃方向に力を加え、図のように、前方ゴミ110aを前縁部108aにより掃き取ることが可能である。しかしながら、拭き掃除具100を前進させると、前記前縁部108aによって前方ゴミ110aが集められるが、弾性体108の底面が全面接触しているため、この底面に拭き取られることはなかった。また、拭き掃除具100を後進させた際にも、同様に、後方ゴミ110bは、弾性体108の後縁部108bによって集められるが、弾性体108の底面に拭き取られることはなかった。即ち、前縁部108aと後縁部108bが汚れてもその底面は殆ど汚れず、しかも、前縁部108aと後縁部108bが汚れれば、シート状清掃体を交換する必要があり、底面が汚れないにも拘らずシート状清掃体を交換しなければならないため非効率で、シート状清掃体の寿命を短くしていた。
【0004】
図16は、特許文献2に記載される従来の清掃用具であるモップ130の作用を説明する説明図であり、図15に示す清掃用保持具の改良品を示している。(16A)に示すように、モップ130は、前述のように、柄113が球継手を有するジョイント116を介して、保持部117を有するモップ本体131に取付けられている。モップ本体131において、角部136を有するベース体132には、保持部117の保持部材(図示せず)によって、底面133に払拭体として不織布シート(図示せず)が取付けられる。更に、図15の底面全面接触型の拭き掃除具100の欠点を解決するために、図16のモップ130では、清掃方向に湾曲面が形成された底面133を有している。即ち、清掃方向の底面133は、中央部133aが床に接触し、両端部133b、133cが床に接触しないよう形成されている。(16A)に示した静止状態から、(16B)に示すように、モップ本体131を一方の清掃方向eへ移動させると、モップ本体131は、ベース体132の側面135A側を下向きにし、底面133の前半部の湾曲面に沿って傾斜する。このとき、この底面133の前半湾曲面が不織布シートを介して床に接する傾向にあるが、湾曲性によって前半湾曲面が床面から浮いた状態のときに前方ゴミ110aを前半湾曲面に取り込み、前半湾曲面に対応した不織布シートが汚れを捕集する。(16C)に示すように、モップ本体131を他方の清掃方向fへ移動させると、モップ本体131は、ベース体132の側面135B側を下向きにして、底面133の後半部の湾曲面に沿って傾斜する。このとき、この底面133の後半湾曲面が不織布シートを介して床に接する傾向にあるが、湾曲性によって後半湾曲面が床面から浮いた状態のときに、図15に示したような後方ゴミ110bを後半湾曲面に取り込み、後半湾曲面に対応した不織布シートが汚れを捕集する。即ち、清掃方向に湾曲面を形成した払拭体把持具では、払拭体が払拭シートであり、その湾曲性によって、払拭シートの全面が汚れるまで払拭シートを交換せずに使用できる利点がある。従って、図16のモップ130では、図15に示した清掃方向に底面が全面接触する拭き掃除具100の課題が一部解決されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−224896号公報
【特許文献2】特許第2981110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図15に示した拭き掃除具100では、前述のように、ジョイント部104により操作ハンドル106を傾斜させ、ハンドル床面角度θを自在に変化させることができる。例えば、図示の如く、清掃方向の後方側に操作ハンドル106を傾斜させて、清掃方向の前方側へと操作ハンドルを押し進めると、前方ゴミ110aを前縁部108aにより掃き取ることが可能である。しかしながら、この状態で、基台部102を床面に対し矢印s方向に水平回転させるため、矢印のハンドル捩り方向rに操作ハンドル106を捩ると、基台部102が矢印s方向に水平回転せずに、基台部102が反転軸mを支点として、矢印の基台部反転方向tに反転することが度々あった。特に、傾斜角θが小さくなると、前記反転現象が生起する傾向にあった。即ち、図15に示した従来の拭き掃除具100では、前述のように、弾性体108の底面が床面に全面接触しており、摩擦力が大きく、操作ハンドル106を捩っても、矢印s方向に水平回転させる大きさの捩り回転モーメントが発生せず、操作ハンドル106による操作性が悪かった。また、モーメント距離の観点から説明すると、基台部102の長手方向に直交する方向が清掃方向であり、前縁部108aや後縁部108bの中央部は、回転軸である操作ハンドルから距離が近いためモーメント距離が短く、矢印s方向への水平回転モーメントは、比較的小さい。他方、操作ハンドルから長手方向端縁までのモーメント距離は比較的長いから、矢印t方向への反転回転モーメントは比較的大きくなり、長手方向への摩擦力が作用することもあり、基台部102が反転し易い。従って、清掃用具の使用者が意図する方向に基台部102を水平回転させることが困難であった。
【0007】
図16に示したモップ130は、清掃方向に湾曲面が形成された底面133を有している。しかしながら、モップ本体131も、長手方向には、前記底面133が長手方向全長に亘って床面に接触しており、図15の拭き掃除具100と同様に、床面との摩擦力が大きく、操作性を低減させていた。よって、図16に示したモップ130では、同様に、水平回転せずに反転する傾向にあった。また、簡略に説明すると、柄113を捩り、モップ本体131を回転させる場合、回転軸である柄113からの距離が長い長手方向端縁に作用する反転回転モーメントは大きく、大きな摩擦力も作用する。従って、モップ本体131を反転させる場合が多々あり、清掃用具の使用者が意図する方向、即ちモップ本体131を床面に対し水平回転させることが困難であるから、モップ130の操作性を低減させていた。
【0008】
従って、本発明は、操作性が良く、使用者が自在に方向転換等を行うことが可能な清掃用保持具及びこれを用いた清掃用具を提供することを第1の目的とし、清掃用保持具に把持される払拭体の下面全面の粉塵捕集力を向上させ、払拭体の交換期間を長期にして長寿命化を達成できる清掃用保持具及びこれを用いた清掃用具を提供することを第2の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の第1形態は、短幅方向を清掃方向とし長手方向を非清掃方向とする払拭体把持部にジョイント部を介してハンドル部を接続し、払拭体を前記払拭体把持部の底面に把持させるようにした清掃用保持具において、前記払拭体把持部の前記底面を前記長手方向に沿って長手方向山型に形成し、前記長手方向山型は、前記ジョイント部の位置で長手方向山頂部を有し、且つ前記長手方向の両端部に向かって低くなる長手方向山裾部を有する長手方向山型清掃用保持具である。
【0010】
本発明の第2形態は、第1の形態において、前記長手方向山型は、前記長手方向全長に亘って湾曲線となる湾曲状に形成される長手方向山型清掃用保持具である。
【0011】
本発明の第3形態は、第1の形態において、前記長手方向山型は、前記長手方向山頂部が頂点をなし、前記長手方向山裾部が前記頂点から傾斜直線となる三角状に形成される長手方向山型清掃用保持具である。
【0012】
本発明の第4形態は、第1の形態において、前記長手方向山型は、前記長手方向山頂部が平坦線をなし、前記長手方向山裾部が前記平坦線の両端から湾曲線となる中央平坦左右湾曲状に形成される長手方向山型清掃用保持具である。
【0013】
本発明の第5形態は、第1の形態において、前記長手方向山型は、前記長手方向山頂部が平坦線をなし、前記長手方向山裾部が前記平坦線の両端から傾斜直線となる台形状に形成される長手方向山型清掃用保持具である。
【0014】
本発明の第6形態は、第1の形態において、前記長手方向山型は、前記長手方向山頂部が平坦線をなし、前記長手方向山裾部が前記平坦線の両端から階段線となる中央平坦左右階段状に形成される長手方向山型清掃用保持具である。
【0015】
本発明の第7形態は、第1〜第6のいずれかの形態において、前記払拭体把持部の前記底面を前記清掃方向に沿って清掃方向平坦型に形成した長手方向山型清掃用保持具である。
【0016】
本発明の第8形態は、第1〜第6のいずれかの形態において、前記払拭体把持部の前記底面を前記清掃方向に清掃方向山型に形成し、前記清掃方向山型は、前記ハンドル部の位置で清掃方向山頂部を有し、且つ前記清掃方向の両端部に向かって低くなる清掃方向山裾部を有する長手方向山型清掃用保持具である。
【0017】
本発明の第9形態は、第8の形態において、前記清掃方向に形成された前記清掃方向山型が三角状、中央平坦左右湾曲状、台形状、中央平坦左右階段状又は湾曲状のいずれかである長手方向山型清掃用保持具である。
【0018】
本発明の第10形態は、第1〜第9のいずれか一つの長手方向山型清掃用保持具の払拭体把持部に払拭体を把持させた清掃用具である。
【0019】
本発明の第11形態は、第10の形態において、前記払拭体がパイルモップ、スポンジ体、ブラシ体、払拭布、払拭紙のいずれかである清掃用具である。
【発明の効果】
【0020】
本発明の第1形態によれば、前記払拭体把持部の前記底面を前記長手方向に沿って長手方向山型に形成し、前記長手方向山型は、前記ジョイント部の位置で長手方向山頂部を有し、且つ前記長手方向の両端部に向かって低くなる長手方向山裾部を有するから、床面と水平状態に配置された場合には、床面とは長手方向山頂部だけで接触する構成になり、ハンドルを捩ったときに床面からの摩擦抵抗が長手方向山頂部だけに作用し、摩擦抵抗の低減によって長手方向山頂部を中心として前記払拭体把持部を容易に床面に対し水平回転(水平回動)させることができる。従って、ハンドルの捩り操作により進行方向の転回が容易になり、清掃方向をより簡単に変更することができ、操作性を更に向上させることができる。前記長手方向山型は、前記ジョイント部の位置で長手方向山頂部を有し、両端部の方向に沿って低くなれば良く、払拭体の種類に応じて前記払拭体把持部の前記底面を種々の長手方向山型に形成することができる。また、前記払拭体把持部にパイル状払拭体を装着した場合には、長手方向山頂部で払拭体が床面と摩擦的に接触するだけであり、摩擦抵抗が極めて小さいから水平回転による転回が容易である。長手方向山裾部では払拭体の無数のパイル先端が、長手方向全長に亘って床面と摩擦力が極めて弱い状態で接触しており、払拭体体把持部の安定性が増大するとともに床面の清掃が長手方向全長に亘って行える利点を有している。更に、モーメント距離の観点から説明すると、ハンドルから長手方向端縁までのモーメント距離は清掃方向に比べて長く、前記長手方向に沿って長手方向山型に形成すれば、より摩擦抵抗が小さくなり、ハンドルによる清掃用具の操作性をより向上させることができる。従って、操作性が良く、使用者が自在に方向転換等を行うことが可能な清掃用保持具を提供し、清掃用保持具に把持される払拭体をより効率的に使用でき、払拭体の交換期間を長期にして長寿命化を図ることができる。
【0021】
本発明の第2形態によれば、前記長手方向山型は、前記長手方向全長に亘って湾曲線となる湾曲状に形成されるから、より円滑に前記払拭体把持部を回動させることができる。前記湾曲線に対する接線が被清掃面に相当するから、前記払拭体把持部の前記底面が床等の被清掃面に接する長手方向山頂部の面積が小さくなり、作用する摩擦力が低減する。従って、前記払拭体把持部をより円滑に水平回転(水平回動)させることができる。更に、前記底面が湾曲状である場合、前記
長手方向に前記払拭体把持部が傾いても、比較的安定であり、被清掃面との接触位置が僅かに移動するだけであるから、ハンドル操作により所望の接触位置に復元させる又はそのままの状態で好適な操作性を保持することができる。
【0022】
本発明の第3形態によれば、前記長手方向山型は、前記長手方向山頂部が頂点をなし、前記長手方向山裾部が前記頂点から傾斜直線となる三角状に形成されるから、比較的単純な形状を有し、容易に加工することができる。よって、前記払拭体把持部の製造コストを低減化することができる。特に、長手方向山頂部が頂点であるから、床面との接触面積を急減でき払拭体把持部の転回時の摩擦抵抗を激減させることができる。更に、前記払拭体把持部の回動時に、前記傾斜直線である前記長手方向山裾部の払拭体を床面等に接触させ、清掃することができる。
【0023】
本発明の第4形態によれば、前記長手方向山型は、前記長手方向山頂部が平坦線をなし、前記長手方向山裾部が前記平坦線の両端から湾曲線となる中央平坦左右湾曲状に形成されるから、前記払拭体把持部の安定性を向上させることができる。更に、前記平坦線の両端が湾曲状に形成されており、被清掃面と比較的安定に接触することができ、僅かに前記払拭体把持部が傾いても好適な操作性を保持することができる。前記長手方向に前記払拭体把持部が傾いても、第2の形態と同様に比較的安定であり、湾曲状の前記長手方向山裾部が被清掃面との安定性を保持し、ハンドル操作により所望の接触位置に復元させる又はそのままの状態で好適な操作性を保持することができる。また、前記平坦線部で床面と接触するから、転回時の摩擦抵抗が小さくなることは前述した通りである。
【0024】
本発明の第5形態によれば、前記長手方向山型は、前記長手方向山頂部が平坦線をなし、前記長手方向山裾部が前記平坦線の両端から傾斜直線となる台形状に形成されるから、好適な安定性を有し、且つ、比較的簡単に前記払拭体把持部の底面を加工することができる。更に、前記長手方向山頂部の面積は、平面状の底面に比べ小さく、比較的円滑に前記払拭体把持部を水平回動させることができる。
【0025】
本発明の第6形態によれば、前記長手方向山型は、前記長手方向山頂部が平坦線をなし、前記長手方向山裾部が前記平坦線の両端から階段線となる中央平坦左右階段状に形成されるから、比較的簡単に前記長手方向山型を形成することができる。例えば、前記底面が鋳型等により一体形成される必要はなく、面積の異なる平板状部材を大きさの順に層状に重ねて形成することが可能である。また、階段線は2段以上あれば良く、前記長手方向山頂部が小さな面積を有していれば、摩擦を低減し、より円滑に前記払拭体把持部を回動させることができる。
【0026】
本発明の第7形態によれば、前記払拭体把持部の前記底面を前記清掃方向に沿って清掃方向平坦型に形成した長手方向山型清掃用保持具であるから、長手方向山頂部の小面積で床面と接する構造であり、床面からの摩擦抵抗が小さいから、ハンドルの捩り操作により払拭体把持部を床面に対し容易に水平回転させることができ、払拭体把持部の進行方向の転回を簡単に行うことができる。払拭体を前記払拭体把持部に装着した場合でも、長手方向山頂部でのみ払拭体は床面と強く接触するだけであり、払拭体が床面から受ける摩擦抵抗が少なくなり、払拭体を床面に対し容易に水平回転させて、払拭体の進行方向の転回を容易に行うことが可能になる。しかも、払拭体がパイル状払拭体の場合には、多数のパイルの先端が前記長手方向全長に亘って床面と接触するから、床面の清掃が長手方向全長に亘って行えると同時に、進行方向の転回が容易に行える利点を有する。
【0027】
本発明の第8形態によれば、前記払拭体把持部の前記底面を前記清掃方向に清掃方向山型に形成し、前記清掃方向山型は、前記ハンドル部の位置で清掃方向山頂部を有し、且つ前記清掃方向の両端部に向かって低くなる清掃方向山裾部を有するから、払拭体把持部の床面に対する水平回転、即ち清掃方向の転回が一層容易になる。詳細に述べると、払拭体把持部は長手方向山型であると同時に清掃方向山型であるから、長手方向山頂部と清掃方向山頂部により形成された小面積だけで払拭体把持部が床面と接し、払拭体把持部を転回するときに受ける床面からの摩擦抵抗を極減でき、払拭体把持部の床面上での転回、即ち清掃方向の転回が極めて容易になる。しかも、前記払拭体把持部を清掃方向に前進又は後退させるときに、払拭体把持部の前縁と後縁のいずれか又は両方が被清掃面から浮いた状態のとき、その浮いた隙間から床面上の塵埃等を払拭体の中央付近に取り込み、払拭体の全面が汚れるまで交換せずに使用できる。従って、払拭体の清掃効率を上昇させるだけでなく、払拭体の交換期間を長期化できるから、払拭体の長寿命化を図ることができる。総じて、払拭体をより効率的に使用することが可能になる。
【0028】
本発明の第9形態によれば、前記清掃方向に形成された前記清掃方向山型が三角状、中央平坦左右湾曲状、台形状(中央平坦左右斜面状)、中央平坦左右階段状又は湾曲状のいずれかであるから、払拭体の構造等に応じて、前記払拭体把持部の底面の形状を選択することができる。
【0029】
本発明の第10形態によれば、第1〜第9のいずれか一つの長手方向山型清掃用保持具の払拭体把持部に払拭体を把持させた清掃用具であるから、操作性が良く、使用者が自在に方向転換等を行うことが可能な清掃用具を提供することができる。
【0030】
本発明の第11形態によれば、前記払拭体がパイルモップ、スポンジ体、ブラシ体、払拭布、払拭紙のいずれかであるから、被清掃面の特性に応じて払拭体を選択することができる。例えば、前記払拭体がパイルモップ(パイル状払拭体)である場合、前記払拭体把持部の底面の形状に左右されず、パイルモップ、即ち多数のパイル先端が被清掃面に接触するから、平坦な床等の塵埃を捕集することができ、且つ、優れた操作性を有している。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、本発明に係る長手方向山型の払拭体把持部を有した長手方向山型清掃用保持具の第1実施例の斜視図である。
【図2】図2は、長手方向山型の輪郭線が湾曲状である第1実施例の長手方向山型清掃用保持具を示す図1のA−A線方向正面図である。
【図3】図3は、図1のB−B線、C−C線及びD−D線断面図である。
【図4】図4は、本発明に係る長手方向山型清掃用保持具にパイル状払拭体を装着した清掃用具の概略断面正面図である。
【図5】図5は、本発明に係る長手方向山型清掃用保持具の払拭体把持部を床面に対し水平回動(水平回転)させるときのハンドル部の操作説明用斜視図である。
【図6】図6は、図5の床面断面図であり、ハンドル部の操作説明用概略図である。
【図7】図7は、本発明に係る長手方向山型清掃用保持具の他の実施例で、各種の長手方向山型輪郭線を示した正面図である。
【図8】図8は、図7(7A)のJ−J線、K−K線及びL−L線断面図である。
【図9】図9は、図7(7B)のJ−J線、K−K線及びL−L線断面図である。
【図10】図10は、図7(7C)のJ−J線、K−K線及びL−L線断面図である。
【図11】図11は、図7(7D)のJ−J線、K−K線及びL−L線断面図である。
【図12】図12は、図7の更に他の実施例(清掃方向山型が湾曲線)で、J−J線、K−K線及びL−L線断面図である。
【図13】図13は、本発明に係る同幅湾曲状の払拭体把持部を有した清掃用保持具の斜視図及びM−M線断面図である。
【図14】図14は、本発明の他の実施例を示す場合における図13のM−M線断面図である。
【図15】図15は、特開平9−224896(特許文献1)に記載される従来の清掃用具である拭き掃除具の斜視図である。
【図16】図16は、特許第2981110号(特許文献2)に記載される従来の清掃用具を使用する方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に、本発明に係る長手方向山型清掃用保持具及び清掃用具の実施形態を図面に従って詳細に説明する。
【0033】
図1は、本発明に係る長手方向山型の払拭体把持部50を有した長手方向山型清掃用保持具の第1実施例の斜視図である。清掃用保持具1は、人手で押し引きされるハンドル部10と、ハンドル部10をx−x方向とy−y方向に回動させるジョイント部20と、図示しない払拭体を保持する払拭体把持部50から構成される。ジョイント部20は、ハンドル部10を清掃方向(短幅方向)であるx−x方向に回動する清掃方向回動用ジョイント部40と、ハンドル部10を非清掃方向(長手方向)であるy−y方向に回動する長手方向回動用ジョイント部30から構成されている。ここで、清掃方向とは前記ハンドル部10を押し引きする方向(X−X方向)であり、払拭体把持部50の短幅方向に一致し、非清掃方向とは前記清掃方向と直交するY−Y方向であり、前記払拭体把持部50の長手方向に一致し、以下では清掃方向(X−X方向)及び長手方向(Y−Y方向)という用語を主に使用する。
【0034】
清掃方向回動用ジョイント部40は、払拭体把持部50の把持部上部52の中央上面に固定された基板41と、基板41上に固定された一対の軸受部42、42と、これらの軸受部42、42に軸支された主軸体43と、主軸体43に一体に形成されて上方に突出している突部44から構成されている。長手方向回動用ジョイント部30は、一対の軸受片32、32をコ字状に連結したコ字型軸受部31からなり、前記一対の軸受片32、32により前記突部44を狭着するように前記コ字型軸受部31を前記突部44に架設し、副軸体33を軸受片32、突部44、軸受片32の孔に挿通して、清掃方向回動用ジョイント部40と長手方向回動用ジョイント部30が相互に回動自在に接続される。
【0035】
払拭体把持部50は、船型に形成された把持部下部54と把持部上部52から構成される。把持部下部54の外面は下部底面56からなり、把持部下部54を清掃方向、即ちX−X方向に投影した輪郭線(以下、清掃方向投影輪郭線と称する)は、長手方向山型に形成されている。前記輪郭線を清掃方向投影輪郭線又は長手方向山型と以下で称する。この長手方向山型は、ジョイント部20の下方位置において最も高い長手方向山頂部58を有し、且つ前記長手方向の両端部57、57に向かって低くなる長手方向山裾部59、59を有している。この第1実施例では、長手方向山型は前記長手方向山頂部で頂点をなす湾曲線である。
【0036】
図2は、長手方向山型の輪郭線が湾曲状である第1実施例の長手方向山型清掃用保持具を示す図1のA−A線方向正面図である。図示されるように、清掃方向投影輪郭線、即ち長手方向山型は長手方向山頂部58で頂点となり、その左右に次第に低くなる長手方向山裾部59、59は全体として湾曲線を形成している。従って、清掃時に床面と接触するのは長手方向山頂部である湾曲頂点である。床面との接触面積は極めて小さいから、払拭体把持部50を床面に平行に水平回転させることが容易になる。その詳細は図5及び図6で説明する。また、長手方向山裾部が湾曲状であるから、前記湾曲頂点が極小面積でも、払拭体把持部50の床面に対する安定性に優れている。
【0037】
図3は、図1のB−B線、C−C線及びD−D線断面図である。(3A)は図1のB−B線断面図であり、払拭体把持部50の下部底面56が清掃方向平坦面62に形成されていることを示す。(3B)は図1のC−C線断面図であり、前記下部底面56が清掃方向平坦面62に形成されていることを示す。また、(3C)は図1のD−D線断面図であり、前記下部底面56が清掃方向平坦面62に形成されていることを示す。従って、図1の把持部下部54では、その長手方向山型は湾曲線を描き、清掃方向には平坦面である。従って、長手方向山頂部58は清掃方向投影輪郭線の頂点は一点でありながら、清掃方向には幅長を有している。いずれにしても、床面との接触面積は極めて小さいから、ハンドルの捩り操作による床面に対する水平回転動作は極めて容易に行える利点を有している。
【0038】
図4は、本発明に係る長手方向山型清掃用保持具にパイル状払拭体を装着した清掃用具の概略断面正面図である。払拭体70は、基布71の下面に多数のパイル72を形成したパイル状払拭体である。左右の払拭体端部73、73の内部には、払拭体把持部50の長手方向端部57、57が挿入されており、払拭体70が払拭体把持部50から抜脱しないように構成されている。本発明では、払拭体把持部50に払拭体70を装着した全体を清掃用具と称する。清掃時に、前記清掃用具を床面に接触させると、払拭体把持部50の長手方向山頂部58は床面と払拭体70を介して接触するが、その左右にある長手方向山裾部59、59は床面から浮いた状態にある。しかし、パイルは長さを有しているから、長手方向山裾部59、59の下側にあるパイルの少なくともパイル先端は床面に接した状態にあり、且つ長手方向山頂部の下側にあるパイルも床面に当然接触している。従って、清掃方向に前記清掃用具をハンドルを介して押し引きした場合には、長手方向全長にあるパイルにより床面は清掃される。更に、この状態でハンドル部10を捩り操作したとき、長手方向山頂部58は床面を押圧しているが、長手方向山裾部59、59は床面から浮いているから、長手方向山裾部59、59の床面との摩擦は小さく、またパイル72が床面と接触していると言っても、その接触圧は小さい。つまり、床面から受ける摩擦力は長手方向山頂部58が主であり、ハンドル部10の捩り回転により清掃用具は簡単に床面に対し水平回転でき、清掃方向の方向転換を容易に行うことができる。
【0039】
図5は、本発明に係る長手方向山型清掃用保持具の払拭体把持部を床面に対し水平回動させるときのハンドル部の操作説明用斜視図である。図中、F−F線は床面を表し、G線は床面F−F線に平行な床平行線を表している。ハンドル部10が床平行線Gに対し傾斜角θだけ傾斜配置されているとする。このとき、ハンドル部10のグリップ部14を矢印a方向に捩ると、破線で示されたジョイント部20を介して、払拭体把持部50には矢印b方向の捩り回転モーメントが作用し、その結果、払拭体把持部50は矢印b方向に床面F−Fに対し水平回転する。本発明では、払拭体把持部50の長手方向山頂部58が床面と接触するだけであり、水平回転時に床面から受ける摩擦抵抗力は小さく、矢印b方向への水平回転は容易に行われる。また、本発明では、水平回転時に床面から受ける摩擦抵抗力が小さいから、傾斜角θが小さくなった場合でも、水平回転を容易に行える利点がある。
【0040】
図6は、図5の床面断面図であり、ハンドル部の操作説明用概略図である。払拭体把持部50の長手方向山頂部58は、床部75の床面Fと接触しているが、長手方向山裾部は床面Fとは接触していない。床平行線Gに対しハンドル部10を傾斜角θだけ傾斜させた状態で、グリップ部14を矢印a方向に捩ると、破線で示されたジョイント部20を介して、払拭体把持部50は矢印b方向に床面Fに対し水平回転する。勿論、グリップ部14を矢印a方向と逆方向に捩ると、払拭体把持部50は矢印b方向の逆方向に床面Fに対し水平回転することは当然である。前述したように、払拭体把持部50は長手方向山頂部58で床面に対し線接触しているだけであるから、水平回転時の摩擦抵抗力は小さく、水平回転を容易に生起させることができる。図23の従来例では、ハンドル部10に捩り力を加えたときに、従来例では床面からの摩擦抵抗力が大きく、捩り回転モーメントにより払拭体把持部50が転倒することがしばしば生起していた。しかし、本実施例では、長手方向山頂部58だけで床面と接触する構成を採用したから、水平回転時の床面による摩擦抵抗力が低減し、その結果、払拭体把持部50を床面に水平に回転させることが可能になり、図23の従来例ではしばしば発生した転倒現象を防止することに成功したものである。
【0041】
図7は、本発明に係る長手方向山型清掃用保持具の他の実施例で、各種の長手方向山型(清掃方向投影輪郭線)を示した正面図である。(7A)〜(7D)の夫々は、長手方向山型(清掃方向投影輪郭線)が湾曲線である図2に対応しており、それ以外の図面符号は図2と同一であり、共通符号についての詳細は省略する。
【0042】
(7A)は、払拭体把持部50の長手方向山型(清掃方向投影輪郭線)が三角状である清掃用保持具1の他の実施例である。長手方向山頂部58は三角形の頂点であり、左右の長手方向山裾部59、59は長手方向山頂部58から長手方向端部57、57に至る直線である。長手方向山頂部58は一点であるから、払拭体把持部50が床面に対し水平回転するときに、床面からの摩擦抵抗力が極減され、水平回転が容易になり、方向転換を容易に行える利点を有する。また、払拭体としてパイル状払拭体を装着すると、多数のパイルのパイル先端が床面と接触し、パイル先端が清掃用具を保持して清掃用具としての安定性を付与する。(7B)は、払拭体把持部50の長手方向山型(清掃方向投影輪郭線)が中央平坦左右湾曲状である清掃用保持具1の他の実施例である。長手方向山頂部58は所定長さの中央平坦部であり、左右の長手方向山裾部59、59は前記中央平坦部の左右端部から長手方向端部57、57に至る湾曲線である。長手方向山頂部58は所定長さを有した中央平坦部であるから、平坦長を短くすることによって、払拭体把持部50が床面に対し水平回転するときに、床面からの摩擦抵抗力を小さく設定でき、水平回転が容易になるとともに、方向転換を容易に行える利点を有する。また、中央平坦左右湾曲状であるから、払拭体把持部50の床面からの高さが急激に変化せず、払拭体把持部50として安定性を有する。払拭体としてパイル状払拭体を装着すると、多数のパイルのパイル先端が床面と接触し、パイル先端が清掃用具を保持して清掃用具としての安定性を付与する。
【0043】
(7C)は、払拭体把持部50の長手方向山型(清掃方向投影輪郭線)が中央平坦左右斜面状である清掃用保持具1の他の実施例である。長手方向山頂部58は所定長さの中央平坦部であり、左右の長手方向山裾部59、59は前記中央平坦部の左右端部から長手方向端部57、57に至る直線である。長手方向山頂部58は所定長さを有した中央平坦部であるから、平坦長を短くすることによって、払拭体把持部50が床面に対し水平回転するときに、床面からの摩擦抵抗力を小さく設定でき、水平回転が容易になるとともに、方向転換を容易に行える利点を有する。また、中央平坦左右斜面状であるから、中央平坦部により、払拭体把持部50として安定性を有する。払拭体としてパイル状払拭体を装着すると、多数のパイルのパイル先端が床面と接触し、パイル先端が清掃用具を保持して清掃用具としての安定性を付与する。(7D)は、払拭体把持部50の長手方向山型(清掃方向投影輪郭線)が中央平坦左右階段状である清掃用保持具1の他の実施例である。長手方向山頂部58は所定長さの中央平坦部であり、左右の長手方向山裾部59、59は前記中央平坦部の左右端部から長手方向端部57、57に至る多段の階段線である。階段の階数は長手方向全長の長さによって適宜に調整できる。長手方向山頂部58は所定長さを有した中央平坦部であるから、平坦長を短くすることによって、払拭体把持部50が床面に対し水平回転するときに、床面からの摩擦抵抗力を小さく設定でき、水平回転が容易になるとともに、方向転換を容易に行える利点を有する。また、中央平坦左右階段状であるから、中央平坦部により、払拭体把持部50として安定性を有する。払拭体としてパイル状払拭体を装着すると、多数のパイルのパイル先端が床面と接触し、パイル先端が清掃用具を保持して清掃用具としての安定性を付与する。
【0044】
本件発明では、前述したように、払拭体把持部50の下部底面56の形状を長手方向山型にすることにより床面との接触面積を小さくし、その結果、方向転換するときに払拭体把持部50の水平回転を容易にするという特徴を有している。この摩擦抵抗力を更に低減するために、払拭体把持部50の清掃方向全長に亘って清掃方向山型に形成することが提案される。清掃方向山型のもう一つの理由は、ハンドルの押し引き時に清掃方向山型により端縁が床面から浮いて床面との間に隙間が形成され、押し引き時にこの隙間に粉塵が捕集され、払拭体の下面全面に粉塵が蓄積し、長期且つ大量の粉塵を捕集できる効果があり、このことは払拭体の交換期間の長期化を図るという利点がある。更に、長手方向山型と清掃方向山型を組み合わせることにより、山頂部と床面との接触面積が一層に小さくなり、長手方向山頂部と清掃方向山頂部での水平回転が容易になり、払拭体把持部50の方向転換が一層に容易になる利点を有する。長手方向山型には、湾曲状、三角状、中央平坦左右湾曲状、中央平坦左右斜面状及び中央平坦左右階段状の5種類がある。また、同様に、清掃方向山型にも、三角状、中央平坦左右湾曲状、中央平坦左右斜面状、中央平坦左右階段状及び湾曲状の5種類がある。これらを組み合わせると、5×5=25種類の形態が存在でき、清掃用具の目的に応じて種々の形態をとることができる。更に、長手方向山型に対しては清掃方向平坦型を採用することもでき、この場合には、長手方向山型に、湾曲状、三角状、中央平坦左右湾曲状、中央平坦左右斜面状及び中央平坦左右階段状の5種類が存在するから、5×1=5種類の形態が存在できる。
上記25+5=30種類の形態のいずれを用いるかは、清掃目的に応じて可変することが可能である。また、払拭体把持部50の横幅を矩形状にする場合、又は長手方向端部に向かって幅狭にする場合等、種々の変形例があり、目的の応じて種々に変形することが可能である。以下では、各種形態の中で、特に5形態を図8〜図12に示す
【0045】
図8は、図7(7A)のJ−J線、K−K線及びL−L線断面図である。(8A)はJ−J線断面図であり、(8B)はK−K線断面図であり、(8C)はL−L線断面図である。この実施例では、長手方向山型が三角型であり、清掃方向山型60(清掃方向下部輪郭線)も三角型であり、清掃方向山頂部が三角形の頂点である場合が示されている。長手方向山型が三角状で清掃方向山型が三角状であるから、床面との接触点は理想的には一点であり、頂点に多少の平坦性があっても、床面との摩擦抵抗力が最小になる。払拭体としてパイル状払拭体を装着すると、多数のパイルのパイル先端が床面と接触し、パイル先端が清掃用具を保持して清掃用具としての安定性を付与する。
【0046】
図9は、図7(7B)のJ−J線、K−K線及びL−L線断面図である。(9A)はJ−J線断面図であり、(9B)はK−K線断面図であり、(9C)はL−L線断面図である。この実施例では、長手方向山型が中央平坦左右湾曲状であり、清掃方向山型60(清掃方向下部輪郭線)も中央平坦左右湾曲状であるから、山頂部が微細な矩形平坦部である場合が示されている。山頂部が矩形平坦部であるから、床面との摩擦抵抗力が小さくなる。払拭体としてパイル状払拭体を装着すると、多数のパイルのパイル先端が床面と接触し、パイル先端が清掃用具を保持して清掃用具としての安定性を付与する。
【0047】
図10は、図7(7C)のJ−J線、K−K線及びL−L線断面図である。(10A)はJ−J線断面図であり、(10B)はK−K線断面図であり、(10C)はL−L線断面図である。この実施例では、長手方向山型が中央平坦左右斜面状(台形)であり、清掃方向山型60(清掃方向下部輪郭線)も中央平坦左右斜面状(台形)であるから、山頂部が微細な矩形平坦部である場合が示されている。山頂部が矩形平坦部であるから、床面との摩擦抵抗力が小さくなる。払拭体としてパイル状払拭体を装着すると、多数のパイルのパイル先端が床面と接触し、パイル先端が清掃用具を保持して清掃用具としての安定性を付与する。
【0048】
図11は、図7(7D)のJ−J線、K−K線及びL−L線断面図である。(11A)はJ−J線断面図であり、(11B)はK−K線断面図であり、(11C)はL−L線断面図である。この実施例では、長手方向山型が中央平坦左右階段状(多段)であり、清掃方向山型60(清掃方向下部輪郭線)も中央平坦左右階段状(多段)であるから、山頂部が微細な矩形平坦部である場合が示されている。山頂部が矩形平坦部であるから、床面との摩擦抵抗力が小さくなる。払拭体としてパイル状払拭体を装着すると、多数のパイルのパイル先端が床面と接触し、パイル先端が清掃用具を保持して清掃用具としての安定性を付与する。
【0049】
図12は、図1に示される形態(長手方向湾曲状)のB−B線、C−C線及びD−D線断面図の更に他の実施例(清掃方向湾曲状)である。(12A)はB−B線断面図であり、(12B)はC−C線断面図であり、(12C)はD−D線断面図である。この実施例では、長手方向山型が湾曲状であり、清掃方向山型60(清掃方向下部輪郭線)も湾曲状であるから、山頂部が微細な一点である場合が示されている。但し、長手方向山型も清掃方向山型も湾曲状であるから、山頂部が湾曲頂上になる。従って、払拭体把持部としての安定性を有する。湾曲頂上が床面と接触するから、床面との摩擦抵抗力が小さくなる。払拭体としてパイル状払拭体を装着すると、多数のパイルのパイル先端が床面と接触し、パイル先端が清掃用具を保持して清掃用具としての安定性を付与する。
【0050】
図13は、本発明に係る同幅湾曲状(矩形湾曲状)の払拭体把持部を有した清掃用保持具の斜視図及びM−M線断面図である。(13A)は、払拭体把持部50の平面図が矩形状(清掃方向に同幅)であり、正面図(図2)の長手方向山型が湾曲状である矩形湾曲状を有した払拭体把持部50の他の別実施例の斜視図である。(13B)は、(13A)のM−M線断面図である。清掃方向下部輪郭線60が平坦面であることは、(13B)から明白である。この他の別実施例でも、長手方向山頂部58は頂線になり、床面との接触面積は極小である。従って、湾曲頂線が床面と接触するから、床面との摩擦抵抗力が極減される。長手方向山型であるから床面に接触させたときの安定性が優れる。また、払拭体としてパイル状払拭体を装着すると、多数のパイルのパイル先端が床面と接触し、パイル先端が清掃用具を保持して清掃用具としての安定性を付与する。
【0051】
図14は、本発明の他の別実施例を示す図13のM−M線断面図である。このM−M線断面図には、各種形態の清掃方向山型が図示されている。(14A)には清掃方向山型が三角状、(14B)には清掃方向山型が中央平坦左右湾曲状の払拭体把持部50が示され、(14C)には清掃方向山型が中央平坦左右斜面状(台形)の払拭体把持部50が示されている。また、(14D)には清掃方向山型が中央平坦左右階段状の払拭体把持部50が示され、(14E)には清掃方向山型が湾曲状の払拭体把持部50が示されている。どの清掃方向山型を採用するかは、清掃目的に応じて選択することが可能である。
【0052】
本発明の全体的効果を総括する。第1に、払拭体把持部50の下部底面56の形状を長手方向山型にすることにより床面との接触面積を小さくし、その結果、方向転換するときに床面からの摩擦抵抗力が低減され、払拭体把持部50の水平回転を容易にするという特徴を有している。
第2に、払拭体把持部50の下部底面56の形状を清掃方向山型にすると、長手方向山型と清掃方向山型を組み合わせることにより、山頂部と床面との接触面積が一層に小さくなり、長手方向山頂部と清掃方向山頂部での水平回転が容易になり、払拭体把持部50の方向転換が一層に容易になる利点を有する。
第3に、清掃方向山型のもう一つの利点は、ハンドルの押し引き時に清掃方向山型により端縁が床面から浮いて床面との間に隙間が形成され、押し引き時にこの隙間に粉塵が捕集され、払拭体の下面全面に粉塵が蓄積され、長期且つ大量の粉塵を捕集できる効果があり、このことは払拭体の交換期間の長期化を図るという利点がある。
【0053】
本発明は、上記実施形態や実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々変形例、設計変更などをその技術的範囲内に包含するものであることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明に係る長手方向山型清掃用保持具及び清掃用具は、特に、前述した第1〜第3の技術的効果を有するから、売り切り商品の製造販売業界に革新的な長手方向山型清掃用保持具及び清掃用具を提供できる。また、消費者が過酷な使用をするレンタル業界においては、本発明の長手方向山型清掃用保持具及び清掃用具は新規かつ独創的で斬新であり、消費者の需要を喚起して清掃用具業界を活性化することができる。
【符号の説明】
【0055】
x 清掃方向の回動方向(短幅方向回動)
y 非清掃方向の回動方向(長手方向回動)
X 清掃方向(短幅方向)
Y 非清掃方向(長手方向)
1 清掃用保持具
10 ハンドル部
14 グリップ部
20 ジョイント部
30 長手方向回動用ジョイント部
31 コ字型軸受部
32 軸受片
33 副軸体
40 清掃方向回動用ジョイント部
41 基板
42 軸受部
43 主軸体
50 払拭体把持部
52 把持部上部
54 把持部下部
56 下部底面
58 長手方向山頂部
59 長手方向山裾部
60 清掃方向山型
62 清掃方向平坦面
70 払拭体
71 基布
72 パイル
73 払拭体端部
75 床部
100 拭き掃除具
102 基台部
104 ジョイント部
106 操作ハンドル
108 弾性体
108a 前縁部
108b 後縁部
113 柄
116 ジョイント
117 保持部
130 モップ
132 ベース体
133 底面
133A 側面
133B 側面
133a 中央部
133b 端部
133c 端部
136 角部
a 矢印捩り方向
b 矢印転回方向
θ ハンドル床面角度(傾斜角)
r ハンドル捩り方向
s 基台部回転方向
t 基台部反転方向
m 反転軸
F 床面
G 床平行線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
短幅方向を清掃方向とし長手方向を非清掃方向とする払拭体把持部にジョイント部を介してハンドル部を接続し、払拭体を前記払拭体把持部の底面に把持させるようにした清掃用保持具において、
前記払拭体把持部の前記底面を前記長手方向に沿って長手方向山型に形成し、前記長手方向山型は、前記ジョイント部の位置で長手方向山頂部を有し、且つ前記長手方向の両端部に向かって低くなる長手方向山裾部を有することを特徴とする長手方向山型清掃用保持具。
【請求項2】
前記長手方向山型は、前記長手方向全長に亘って湾曲線となる湾曲状に形成される請求項1に記載の長手方向山型清掃用保持具。
【請求項3】
前記長手方向山型は、前記長手方向山頂部が頂点をなし、前記長手方向山裾部が前記頂点から傾斜直線となる三角状に形成される請求項1に記載の長手方向山型清掃用保持具。
【請求項4】
前記長手方向山型は、前記長手方向山頂部が平坦線をなし、前記長手方向山裾部が前記平坦線の両端から湾曲線となる中央平坦左右湾曲状に形成される請求項1に記載の長手方向山型清掃用保持具。
【請求項5】
前記長手方向山型は、前記長手方向山頂部が平坦線をなし、前記長手方向山裾部が前記平坦線の両端から傾斜直線となる台形状に形成される請求項1に記載の長手方向山型清掃用保持具。
【請求項6】
前記長手方向山型は、前記長手方向山頂部が平坦線をなし、前記長手方向山裾部が前記平坦線の両端から階段線となる中央平坦左右階段状に形成される請求項1に記載の長手方向山型清掃用保持具。
【請求項7】
前記払拭体把持部の前記底面を前記清掃方向に沿って清掃方向平坦型に形成した請求項1〜6のいずれかに記載の長手方向山型清掃用保持具。
【請求項8】
前記払拭体把持部の前記底面を前記清掃方向に清掃方向山型に形成し、前記清掃方向山型は、前記ハンドル部の位置で清掃方向山頂部を有し、且つ前記清掃方向の両端部に向かって低くなる清掃方向山裾部を有する請求項1〜6のいずれかに記載の長手方向山型清掃用保持具。
【請求項9】
前記清掃方向に形成された前記清掃方向山型が三角状、中央平坦左右湾曲状、台形状、中央平坦左右階段状又は湾曲状のいずれかである請求項8に記載の長手方向山型清掃用保持具。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一つの長手方向山型清掃用保持具の払拭体把持部に払拭体を把持させたことを特徴とする清掃用具。
【請求項11】
前記払拭体がパイルモップ、スポンジ体、ブラシ体、払拭布、払拭紙のいずれかである請求項10に記載の清掃用具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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