説明

長時間にわたって弱塩基を放出するための組成物

各々の組成物は医薬上許容される弱塩基、特に化合物Aまたはその医薬上許容される塩または溶媒和物、(「薬物」)およびそのための医薬上許容されるキャリアを含み、その第一および第二組成物が、投与の際に異なった放出速度で薬物を放出するように配置され、その結果剤形からの薬物の放出速度は実質的にpHと独立であるような、第一組成物および第二組成物を含む経口用剤形であり、そのような剤形を調製するための方法およびそのような剤形の医学上の使用法。


【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(技術分野)
本発明は、医薬上許容される弱塩基、特に5−[4−[2−(N−メチル−N−(2ピリジル)アミノ)エトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオン(以下、「化合物A」と言う)またはその医薬上許容される塩または溶媒和物を含む経口用剤形に関し、そのような剤形を調製するための方法、およびそのような剤形の医薬における使用に関する。
【0002】
(従来技術)
活性試薬の放出速度を調節するための被覆剤の使用は、かなりの注目を集め、多くの異なるがその目的のために開発されてきた。例えば、国際特許出願の公開番号WO01/05430号は、pH依存性の溶解性を示す薬物物質、特に低いpHレベル(pH2未満)で中性に近いレベル(pH約5よりも大きい)よりも溶解しやすい化合物の輸送を可能にする、薬物輸送を記載している。そのような輸送は、使用環境の液体に不浸透性かつ不溶性である、被覆剤の存在によって特徴づけられる。
【0003】
国際特許出願の公開番号WO95/30422号は、一連のアジスロマイシンの放出調節剤形を記載している。特に、pH依存性被覆剤の使用によって、上部消化管(例えば、胃)の高濃度のアジスロマイシンに対する曝露を減少させる、一連の剤形を記載している。そのような剤形は、そこを介して薬物物質の放出が起こりうる、。
【0004】
米国特許第6099859号は、浸透性の活性薬物を含む核および半透膜を含む抗高血糖薬の輸送のための放出調節錠剤を記載しており、その半透膜は水および生体液はでき、薬物物質はできない。半透膜は、抗高血糖薬の放出のための、少なくとも一つの通路を含む。
【0005】
米国特許第5543155号は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む一層または二層の錠剤の核を含む拡散−浸透圧調節の薬物放出性医薬組成物を記載しており、その核はメタクリル酸アンモニウム共重合体を含むフィルム被覆剤を有している。
【0006】
活性薬物の放出速度を調節するために被覆剤を利用するさらなる装置が米国特許第5004614号において考察されている。この特許は、実質的に環境の液体に不浸透性である外層の被覆剤を備えた、錠剤の核を記載している。その外層の被覆剤は、環境の液体に不溶性であるか、または可溶性である原料から調製してよい。可溶性の原料が用いられる場合、被覆剤は、活性薬物の放出調節の望ましい持続時間が過ぎる前に、核が環境の液体に曝露されないのに十分な厚さである。この不浸透性の外層の被覆剤によって、環境の液体に核への進入経路を与えるために、一つまたはそれ以上の開口部が形成されている。それゆえに、被覆した錠剤の摂取において、胃腸液は開口部に入ることができ、核に接触または浸透して、活性試薬を放出することができる。その結果、活性試薬は調節方法で放出される。好ましい形状は、被覆した錠剤の頂部および底部表面の円形の穴が存在することである。薬物放出速度は、種々の薬物放出プロフィールについて、それを零次または一次放出とする可能性のある、の径、およびマトリックス核および活性試薬の可溶性に直接的に関連することが判明している。
【0007】
米国特許5004614号の実質的に不浸透性の被覆剤は、全ての活性試薬の放出調節には適当とはいえず、特に医薬上活性のある弱塩基またはその医薬上許容される塩または溶媒和物については適当でない。そのような活性試薬は、著しいpH依存性の可溶性を示し、すなわち、小腸の一般的な中性条件下、pH7付近でのそれらの可溶性と比較して、胃においてみられる領域と関連した、pH2付近でより溶解しやすい。
【0008】
国際特許出願の公開番号WO03/068195号は、化合物Aのような、医薬上の活性のある弱塩基またはその医薬上許容される塩または溶媒和物を含む浸食可能な核を含み、その核は一つまたはそれ以上の核に導く開口部を有する被覆剤を有し、その被覆剤は所定のpH条件下で浸食され得るような、経口用剤形を開示している。このことは、pH依存性の方法で被覆剤が浸食され得るまたは可溶性であることが有益であるという知見に基づいて、活性のある化合物の放出がpH環境よりも起こることが望ましい場合に、化合物Aのような、医薬上の活性のある弱塩基またはその医薬上許容される塩または溶媒和物の投薬について有益な方法を提供する。
【0009】
欧州特許出願の公開番号0306228A1号は、抗高血糖および低脂血症活性を有するものとして開示されている、あるチアゾリジンジオン誘導体に関する。EP0306228A1に開示されている、ある特定のチアゾリジンジオンが、化合物Aである。国際特許出願の公開番号WO94/05659号は、その実施例1のマレイン酸塩を含めた、化合物Aのある塩を開示している。化合物Aまたはその医薬上許容される塩またはその医薬上許容される溶媒和物は、例えばEP0306228およびWO94/05659号に開示されているもののような、既知の方法を用いて調製してよい。EP0306228およびWO94/05659号の内容を出典明示により本明細書の一部とする。
【0010】
化合物Aおよびその医薬上許容される塩または溶媒和物は、有用な医薬上の特性を有している。特に、化合物Aまたはその塩または溶媒和物は、糖尿病、糖尿病関連疾患およびそのある種の合併症;アルツハイマー病、乾癬、喘息、アテローム性動脈硬化症、メタボリックシンドローム、耐糖能異常およびの治療および/または予防のために有用であることが示されている。
【0011】
国際特許出願の公開番号WO00/28990号は、化合物Aおよびその医薬上許容される塩または溶媒和物を含めた、インスリンセンシタイザーを含む、種々の修飾放出性医薬組成物を記載している。
【0012】
国際特許出願の公開番号WO00/28990号は、放出性組成物を含めた、ある医薬組成物を用いた、2型糖尿病および糖尿病関連疾患の治療法を記載しており、化合物Aまたはその医薬上許容される塩または溶媒和物の限界血漿濃度を与えている。
【0013】
化合物Aは、医薬上許容される弱塩基である。
化合物Aおよびその医薬上許容される塩または溶媒和物、特にマレイン酸塩は、著しいpH依存性の溶解を示す、すなわち下部の腸の中性に近い条件(pH7付近)においてよりも、胃の酸性条件(pH2付近)においてより溶解しやすいことが判明している。
【0014】
(発明の開示)
本発明の目的は、長期間の血糖コントロールに対する最大限の有益な効果を与える、医薬上許容される弱塩基、特に化合物Aまたはその医薬上許容される塩または溶媒和物を含む経口用剤形を提供することである。そのような剤形は、毎日一度の投薬に適していると考えられる。そのような剤形ではまた、空腹状態および満腹両方の投薬について、ことが示されている。
【0015】
従って、本発明は、各々の組成物は医薬上許容される弱塩基、特に化合物Aまたはその医薬上許容される塩または溶媒和物、(「薬物」)およびそのための医薬上許容されるキャリアを含み、その第一および第二組成物が、投与の際に異なった放出速度で薬物を放出するようにされ、その結果剤形からの薬物の放出速度が実質的にpHと独立であるような、第一組成物および第二組成物を含む経口用剤形を提供する。
【0016】
、第一組成物からの薬物の放出速度は、第二組成物からの薬物の放出速度よりも十分大きい。第一組成物は即時型放出組成物であると考えられている。第二組成物はまた、修飾された放出組成物であると考えられている。
【0017】
、剤形からの第一および/または第二組成物の放出速度は、修飾された放出である。好ましくは、その修飾された放出は、第三組成物によって果たされ、その第三組成物は典型的には実質的に薬物物質を含んでいない。その第三組成物は、腸溶性の組成物であり、好ましくは腸溶性の被覆層であり、より好ましくは非浸透性の腸溶性の被覆層であり、剤形の外層表面の実質的に全てを覆っている。好ましい形態において、その第三組成物は、第一および/または第二組成物の少なくとも一つの表面が使用環境に曝露することによって、一つまたはそれ以上の開口部を含む。
【0018】
一つの態様として、第一組成物は、胃において、化合物Aまたはその医薬上許容される塩または溶媒和物のような、医薬上許容される弱塩基の実質全てを使用時に放出するように配置される。
【0019】
さらなる態様として、第二組成物は、小腸において、化合物Aまたはその医薬上許容される塩または溶媒和物のような、医薬上許容される弱塩基の実質全てを使用時に放出するように配置される。
、剤形は錠剤の形態である。
【0020】
本発明の剤形の実施形態のヒトでの試験の間に、薬物の平均最大血漿レベル濃度(「Cmax」)値が、使用中食物とは実質的に無関係に維持される、すなわち観測されたCmax値は、使用中、空腹状態および両方において実質的に同様であるように薬物が放出されることを見出した。従って、一の態様において、経口用剤形は、薬物の平均最大血漿レベル濃度(「Cmax」)値が、使用中食物とは実質的に無関係に維持される、すなわち観測されたCmax値は、使用中、空腹状態および両方において実質的に同様であるように配置され、医薬上許容される弱塩基、例えば化合物Aまたはその医薬上許容される塩または溶媒和物を放出する。
【0021】
加えて、経口用剤形は、投薬に際して観測される、定常状態でのの、時間に対する血漿中濃度曲線下平均面積(「AUC」)が、使用中食物とは実質的に無関係に維持される、すなわち観測されたAUCが、使用中空腹状態および両方において実質的に同様であるような薬物を放出することが判明している。従って、一つの態様として、経口用剤形は、医薬上許容される弱塩基、例えば化合物Aまたはその医薬上許容される塩または溶媒和物を放出し、その結果定常状態でのの、時間に対する血漿中濃度曲線下平均面積(「AUC」)が、使用中食物とは実質的に無関係に維持される、すなわち観測されたAUCが、使用中空腹状態および両方において実質的に同様であるように、配置される。
【0022】
従って、好ましい態様として、経口用剤形は、医薬上許容される弱塩基、例えば化合物Aまたはその医薬上許容される塩または溶媒和物を放出し、その結果投薬時に観測されるCmax値およびAUCが使用中食物とは実質的に無関係に維持される、すなわち観測されたCmax値およびAUCは、使用中空腹状態および両方において実質的に同様である。
【0023】
本明細書で示されているように、化合物Aは、医薬上許容される弱塩基である。本発明の剤形は、他の弱塩基のような、化合物Aに類似した物理化学特性を有する、他の医薬上許容される弱塩基を投与するために用いられてもよい。
【0024】
本明細書に用いられている、「弱塩基」という用語は、The Pharmaceutical Handbook、第19版、1980年、232ページに従って、その共役酸が11.5未満のpKaを有するあらゆる塩基を意味するであろう。「医薬上許容される弱塩基」という用語は、それに従って解釈されるであろう。本発明において利用するための、適当な医薬上許容される弱塩基またはその医薬上許容される塩または溶媒和物には、著しいpH依存性溶解性を示す化合物を含む。本発明において利用するために、好ましい医薬上許容される弱塩基またはその医薬上許容される塩または溶媒和物は、4.5ないし8の範囲のpHにおいてよりも、1ないし3の範囲のpHにおいてより溶解しやすい、すなわち哺乳類の腸の中性に近い条件下においてよりも、哺乳類の胃においてみられる酸性条件下でより溶解しやすい。
【0025】
好ましい実施形態として、本発明は、
(i)医薬上許容される弱塩基、およびそのための医薬上許容されるキャリアを含む、浸食可能な核;および
(ii)被覆剤を通じては実質的に完全に、核を貫通せず使用環境とその核とを連絡する、一つまたはそれ以上の開口部を含む、該核の回りの浸食可能な被覆剤とを含み、
医薬上許容される弱塩基、特に化合物Aまたは医薬上許容される塩または溶媒和物の浸食可能な核からの放出が、実質的に、開口部を介して、および所定のpH条件下での浸食可能な被覆剤の浸食を介して起こり;
核が第一組成物および第二組成物を含み、各々の組成物は医薬上許容される弱塩基(「薬物」)およびそのための医薬上許容されるキャリアを含み、薬物の剤形からの放出速度が実質的にpHと無関係であるように、その第一および第二組成物が投与の際に異なる放出速度で薬物を放出するように配置されているところの、経口用剤形を提供する。
【0026】
、第一組成物は、医薬上許容される弱塩基、例えば特に化合物Aまたは医薬上許容される塩または溶媒和物を、水性の媒体に接触すると速やかに放出するように処方されている。、第二組成物は、医薬上許容される弱塩基、例えば特に化合物Aまたは医薬上許容される塩または溶媒和物を、水性の媒体に接触すると緩やかに放出するように処方されている。
【0027】
組成物は、本発明の必要とする、あらゆる形状または相互の立体構造に形成し得るが、一般に各々の組成物が単層の薬物を含む。
【0028】
浸食され得る核についてのは、と接触した際に、液体が活性試薬に接触できるようにするために、核が部分的または全体的に分解する、または溶解する、または有孔性になるような状況を含む。、核は部分的に分解する。、核は全体的に分解する。、核は溶解する。、核は有孔性になる。
【0029】
本発明の好ましい実施形態としては、被覆剤の浸食がpH依存性であるのに対して、核は、pH非依存性の方法で浸食することによって、医薬上許容される弱塩基、例えば化合物Aまたは医薬上許容される塩または溶媒和物を放出してよい。
【0030】
最適には、化合物Aまたは医薬上許容される塩または溶媒和物のような、医薬上許容される弱塩基は、腸よりも胃においてより溶解しやすいけれども、核は胃および腸において実質的に同程度に薬物を放出するために処方される、すなわち核は、医薬上許容される弱塩基、例えば化合物AのpH依存性を相殺するように処方される。
【0031】
浸食され得る被覆剤についてのは、と接触した際に、液体が核に接触できるようにするために、被覆剤が部分的または全体的に分解する、または溶解する、または有孔性になるような状況を含む。、被覆剤は部分的に分解する。、被覆剤は全体的に分解する。、被覆剤は溶解する。、被覆剤は有孔性になる。好ましくは、浸食可能な被覆剤は、腸溶性の被覆剤である、すなわちそれが溶解する明確な所定のpH閾値が存在する。好ましくは、被覆剤は4.5よりも大きいpHで浸食される。より好ましくは、被覆剤は4.5ないし8の範囲のpHで浸食される。最も好ましくは、被覆剤は5ないし7の範囲のpHで浸食される。好ましくは、腸溶性の被覆剤は非浸透性である。
【0032】
本発明においてpH依存性浸食性被覆剤原料として用いるために適している、原料およびその混合物は、様々なポリメタクリル酸ポリマー、共同処理のポリ酢酸ビニルフタル酸、酢酸トリメリト酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、セラック、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースポリマーおよびそれらの共重合体を含む。、被覆剤原料は、酢酸トリメリト酸セルロース(CAT)、ポリ酢酸ビニルフタル酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート50、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート55、アクリル(商標登録)、(商標登録)、セルロース酢酸フタラート、オイドラギット(商標登録)L30D、オイドラギット(商標登録)L、オイドラギット(商標登録)Sおよびセラックから選択される。最も好ましくは、被覆剤原料はオイドラギット(商標登録)L30Dである。
【0033】
必要であれば、浸食可能な被覆剤は、可塑剤またはの付加によって修飾されてよい。この目的のために適している原料は、グリセリドのような蝋状原料、例えばグリセリルモノステレートを含む。
【0034】
被覆剤中に形成される開口部の典型的な大きさは、円形であれば、直径1、2、3または4mmのような、直径0.5mm−8mmの範囲であり、錠剤全体の大きさおよび望ましい放出速度に左右される。開口部は、あらゆる都合のよい幾何学的な形を有していてよいが、例えば実質的に円形または楕円形のような、丸みを帯びた形が一般的に好ましい。テキスト文字またはグラフィックのような、より複雑な形もまた形成してよく、放出速度を個別の剤形において一定にし得る。非円形の開口部の典型的な大きさは、円形の開口部について上で言及した大きさに相当する面積であり、従って約0.19から約50.3mmまでの範囲である。
【0035】
本発明の目的のために、「開口部」という用語は、穴、、通路、流出口その他と類義語である。開口部は、米国特許5004614号に開示されている方法によって形成してよい。典型的には、開口部は、例えば機械のドリルの穂先またはレーザービームを用いたドリリングによって、または切除領域を除去する穴あけ機によって形成してよい。開口部を形成することで、デフォルトで暴露される核の小さな部分が除去されてもよい。放出速度調節として、孔の下に故意にを形成することもまた可能であり、で滑な表面よりも核の。開口部は、が望ましい使用環境に位置するとき、核の環境流体への速やかな曝露があるように、浸食可能な被覆剤全体に伸びているのが適当である。
【0036】
また剤形を投与するときに、、すなわち被覆剤内に孔を形成するように胃において溶解する原料を含む、被覆剤を形成することによって、開口部を正常な位置に形成することが可能である。典型的には、は、1から3までの範囲のpHで浸食可能である。
【0037】
米国特許5004614号において、開口部は、好ましくは、錠剤の総表面積、すなわち両凸の錠剤の上方および下方の表面の約10−60%を含む。本発明において、開口部は、総表面積の10−70%のように、0.25ないし70%を含んでいてよい。
【0038】
あるいは、被覆した錠剤の総表面積と比較した開口部の面積を参照することによって、開口部の速度調節効果を特徴づけることは有用である可能性がある。加えて、特に開口部の辺縁を切り取ることによって核が浸食される場合において、速度調節効果は、開口部の全周囲の長さに関連づけてよい。
【0039】
特に予期しなかった発見としては、二つの開口部、例えば両凸の錠剤の各々の一次表面における開口部は、の単一の開口部からよりもわずかに大きな速度で、活性試薬を核から放出する。二つの開口部からの放出速度の変動は、対応する単一の開口部からの放出速度の変動よりも小さいこともまた示されている。従って、本発明の一つの実施形態として、核の被覆剤は、二つまたはそれ以上の開口部を備えている。より好ましくは、核の周囲の浸食可能な被覆剤は、その被覆剤を通じては実質的に完全にが、核を貫通せず、使用環境からその核へと連絡する、二つまたはそれ以上の開口部を備えている。
【0040】
一つ以上の開口部を備えている場合、その開口部は経口用剤形の同一の表面に位置してよく、または異なる表面に位置してもよい。、経口用剤形は、二つの開口部、例えば反対の表面の各々に一つを有している。、経口用剤形は、二つの反対の一次表面を有する錠剤であり、各々の表面は被覆剤を通した一つの開口部を有しており、好ましくは被覆剤を通した実質的に完全な開口部を有している。、核は、一方の開口部が第一組成物に対する進入路を与え、他方の開口部が第二組成物に対する進入路を与えるようにされる。
【0041】
核原料に対する保護として、投薬前に開口部を介した混合を予防するために、開口部の形成後、核または剤形のいずれかに従来のを施すことが望ましい可能性がある。は、浸食可能な被覆剤に対するであってよい。
【0042】
本発明のさらなる態様にさらに従うと、剤形が、第一組成物および第二組成物を含み、各々の組成物は、化合物Aまたはその医薬上許容される塩または溶媒和物(「薬物」)のような医薬上許容される弱塩基、およびそのための医薬上許容されるキャリアを含み、その第一および第二組成物が、投与の際に異なった放出速度で薬物を放出するようにされ、その結果剤形からの薬物の放出速度は実質的にpHと独立である;経口用剤形を調製するための方法を与え、その方法は、少なくとも
(i)第一組成物中に薬物を処方する
および(ii)第二組成物中に薬物を処方する
の工程を、連続的にまたは同時に含み、それによって第一組成物および第二組成物を投与の際に異なる放出速度で薬物を放出するように処方され、その結果剤形からの薬物の放出速度が実質的にpHと独立となる。
【0043】
好ましい態様として、(i)核が、化合物Aまたはその医薬上許容される塩または溶媒和物のような医薬上許容される弱塩基、およびそのための医薬上許容されるキャリアを含む、浸食可能な核;および(ii)被覆剤が、その被覆剤を通じては実質的に完全にが、核を貫通せず、使用環境からその核へと連絡する、一つまたはそれ以上の開口部を含む、その核周囲の浸食可能な被覆剤を含む経口用剤形の調製のための方法を与え、化合物Aまたはその医薬上許容される塩または溶媒和物のような医薬上許容される弱塩基の浸食可能な核からの放出は、実質的にその開口部を通して、および所定のpH条件下でその浸食可能な被覆剤の浸食によって起こり;核は第一組成物および第二組成物を含み、各々の組成物が化合物Aまたはその医薬上許容される塩または溶媒和物(「薬物」)のような医薬上許容される弱塩基、およびそのための医薬上許容されるキャリアを含み、その第一および第二組成物が、投薬の際に異なる放出速度で薬物を放出し、その結果剤形からの薬物の放出速度が実質的にpHと独立となるようにされることで特徴づけられ;その方法は、
(a)化合物Aまたはその医薬上許容される塩または溶媒和物のような、医薬上許容される弱塩基、およびそのための医薬上許容されるキャリアを含む、浸食可能な核を処方し;
(b)浸食可能な被覆剤を用いてその核を被覆し;
(c)その開口部が、その被覆剤を通じては実質的に完全にが、核を貫通せず、使用環境からその核へと連絡する、一つまたはそれ以上の開口部を被覆剤中に作る;
ことを含む。
【0044】
第一および第二組成物は、適当な成分を従来の方法で圧縮することによって調製し、剤形の核(本明細書において「錠剤の核」としても呼ばれている)を含む、多層の緻密な塊を形成してよい。錠剤の核は、従来の錠剤賦形剤および処方圧縮方法を用いて調製してよい。従って、核は、典型的には、活性試薬を、希釈剤、結合剤および潤滑剤のような、満足の行く加工性および圧縮特性を付与する含む。の核の一部を形成し得る追加の賦形剤は、錠剤分解物質、香味剤、着色剤、界面活性剤、pH調整剤および複合体形成媒体のような放出修飾試薬および/または溶解剤を含む。典型的には、活性試薬および賦形剤は、固形の核に圧縮する前に入念に混合される。装置の核は、湿式造粒法によって、乾式造粒法によってまたは直接圧縮によって形成してよい。核は、両凸面、半球状、半球状、円形、楕円形、略、略円筒形または多面体のような予め選ばれたあらゆる望ましい形、例えば三角柱型に従って生成してよい。「半球状」という用語は、米国特許5004614号に記載されているように解釈されることを意図している。、核は、両凸型、例えば二つの半球形の表面を反対側に有する形に処方される。
【0045】
核は、あらゆる医薬上許容されている被覆法によって、適当なpH依存性の浸食可能な原料を用いて被覆してよい。一例として、米国特許5004614号に開示されている被覆方法、およびフィルム被覆、糖被覆、スプレー被覆、浸液被覆、圧縮被覆、静電気被覆が挙げられる。典型的な方法には、望ましい被覆の厚さが達成されるまで、、錠剤の核に被覆剤をスプレーすることを含む。、被覆剤を準備し、錠剤の表面の周囲に、乾燥したポリマーを、4ないし8mg/cmまたは5−7mg/cm。典型的には、これは、(核と比較して)重量の3−10%または5−10%の、重量増加となる。、被覆剤は、0.05ないし0.5mmの範囲の厚さを有する。
【0046】
上で示したように、本発明の経口投与形態は、毎日一度の投薬に適していると考えられており、使用中、単位用量あたり24時間まで、例えば12、14、16、18、20および24時間までのような、長期間にわたる治療効果を与えることが示されている。
【0047】
本明細書において用いられている、「修飾した放出」という用語は、処方の選択によって、望ましい薬物動態プロフィールを得ることのできるように構築された組成物を意味する。修飾した放出はまた、非修飾放出組成物と組み合わせた、修飾した放出組成物を含む。例えば、「修飾した放出」という用語は、単独でまたはあらゆる組み合わせで、遅延させた、律動的かつ徐放性の放出を含むであろう。
【0048】
一つの態様として、修飾した放出組成物は、化合物Aまたはその医薬上許容される塩または溶媒和物のような医薬上許容される弱塩基の、遅延した放出を起こす。遅延した放出は、腸溶性処方のような、胃耐久性処方の使用によって、都合よく得られる。、胃耐久性ポリマーには、メタクリル酸に由来するポリマー、セルロース酢酸フタラート、ポリビニル酢酸フタラートおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラートを含む。そのようなポリマーの例としては、オイドラギットL100−55(商標登録)(ポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)1:1)、例えばオイドラギットL30D−55(商標登録)またはオイドラギットFS30D(商標登録)、(商標登録)(セルロース酢酸フタラート)、(商標登録)(ポリビニル酢酸フタラート)、HPMCP−HP−55S(商標登録)(ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート)を含む。
【0049】
多数の粒子には、ラクトースのような、被覆した薬物を被覆した物質、またはラクトース粒状物を含む薬物のような、物質を含む薬物を含む。そのような多数の粒子は、適切な腸溶性処方、例えばポリメタクリル酸ポリマーを用いて被覆される。適当なポリメタクリル酸ポリマーの例は、オイドラギットL100−55(商標登録)(ポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)1:1)、例えばオイドラギットL30D−55(商標登録)またはオイドラギットFS30D(商標登録)である。
【0050】
さらなる態様として、修飾した放出組成物は、化合物Aまたはその医薬上許容される塩または溶媒和物のような医薬上許容される弱塩基の、徐放性の放出を起こし、例えば活性試薬は26時間までの期間にわたって;、4ないし24時間の範囲で;好ましくは12ないし24時間の範囲で放出を起こす。
【0051】
徐放性の放出は、典型的には、通常錠剤分解、非錠剤分解または浸食基質のような錠剤の形態において、徐放性放出基質を用いることによって与えられる。
【0052】
徐放性の放出は、、非錠剤分解基質の錠剤処方を用いることによって得られる。適当な非錠剤分解基質の錠剤処方は、メタクリル酸、酢酸セルロース、カルボマーおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラートを錠剤に組み込むことによって与えられる。適当な原料の例としては、オイドラギットRS(商標登録)(ポリ(アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、トチエチルアンモニオエチルメタクリル酸塩化物)1:2:0.2)、カルボポール971P(商標登録)(カルボマー)、HPMCP−HP−55S(商標登録)(ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート)を含む。
【0053】
徐放性の放出は、さらに、錠剤分解基質の錠剤処方を用いることによって、例えばメタクリル酸、メチルセルロース、またはヒドロキシプロピルメチルセルロースを錠剤に組み込むことによって得られる。適当な原料の例としては、オイドラギットL(商標登録)(ポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)1:1)およびメトセルK4M(商標登録)(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)を含む。
【0054】
徐放性の放出はまた、半透膜を用いて被覆した多数の粒子を用いることによって達成され得る。多数の粒子は、ラクトースのような、被覆した薬物−被覆した物質、またはラクトース/アビセル(商標登録)(微晶質のセルロース)を含む薬物のような、物質を含む薬物を含む。そのような多数の粒子は、エチルセルロースポリマーのような、適切な半透膜を用いて被覆される。
【0055】
その上さらなる態様として、修飾した放出組成物は、化合物Aまたはその医薬上許容される塩または溶媒和物のような医薬上許容される弱塩基の、律動的な放出を起こし、例えば24時間あたり4回まで、例えば2回の活性試薬の律動的放出を起こす。
【0056】
第一の原料のような、即時型放出組成物について適当な原料は、サッカロース、例えばラクトースおよびマルトースを含む。最適には、即時型放出組成物は、大部分がラクトースである。より、即時型放出組成物は、基本的にラクトースおよびステアリン酸マグネシウムからなる。
【0057】
本発明に従って用いられる、医薬上の活性のある弱塩基またはその医薬上許容される塩または溶媒和物の量は、典型的な医薬上考慮すべき事項、例えば医薬上の活性のある弱塩基またはその医薬上許容される塩または溶媒和物についての既知の用量に基づいて決定するべき問題であり、本発明の方法によって制限されない。
【0058】
特に、化合物Aまたは医薬上の塩または溶媒和物が本発明に従って用いられる場合、適当な用量の範囲は、12mgまで、例えば1ないし12mgである。従って、適当な剤形は、化合物Aまたはその医薬上許容される塩または溶媒和物を、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12mg含む
【0059】
特定の剤形は、化合物Aまたはその医薬上許容される塩または溶媒和物を、2ないし4mg含む。
【0060】
特定の剤形は、化合物Aまたはその医薬上許容される塩または溶媒和物を、4ないし8mg含む。
【0061】
特定の剤形は、化合物Aまたはその医薬上許容される塩または溶媒和物を、8ないし12mg含む。
【0062】
ある剤形としては、化合物Aまたはその医薬上許容される塩または溶媒和物を1mg含む。
【0063】
ある剤形としては、化合物Aまたはその医薬上許容される塩または溶媒和物を2mg含む。
【0064】
好ましい剤形は、化合物Aまたはその医薬上許容される塩または溶媒和物を4mg含む。
【0065】
好ましい剤形は、化合物Aまたはその医薬上許容される塩または溶媒和物を8mg含む。
【0066】
第一組成物および第二組成物において存在する、化合物Aまたはその医薬上許容される塩または溶媒和物の量は、望ましい分解プロフィールに従って変化させてよい。
【0067】
例えば、経口用剤形が化合物Aまたはその医薬上許容される塩または溶媒和物を8mg含む場合、錠剤の核は、、化合物Aまたは医薬上のその塩または溶媒和物1mgを含む層、および化合物Aまたは医薬上のその塩または溶媒和物7mgを含む層を含む。あるいは、錠剤の核は、化合物Aまたは医薬上のその塩または溶媒和物4mgを含む層、および化合物Aまたは医薬上のその塩または溶媒和物4mgを含む層を含んでいてよい。より、化合物Aまたは医薬上のその塩または溶媒和物2mgを含む層、および化合物Aまたは医薬上のその塩または溶媒和物6mgを含む層を含む。好ましくは、化合物Aまたは医薬上のその塩または溶媒和物3mgを含む層、および化合物Aまたは医薬上のその塩または溶媒和物5mgを含む層を含む。
【0068】
経口用剤形が化合物Aまたはその医薬上許容される塩または溶媒和物2mgを含む場合、錠剤の核は、、化合物Aまたは医薬上のその塩または溶媒和物0.75mgを含む層、および化合物Aまたは医薬上のその塩または溶媒和物1.25mgを含む層を含む。
【0069】
経口用剤形が化合物Aまたはその医薬上許容される塩または溶媒和物4mgを含む場合、錠剤の核は、、化合物Aまたは医薬上のその塩または溶媒和物1.5mgを含む層、および化合物Aまたは医薬上のその塩または溶媒和物2.5mgを含む層を含む。
【0070】
第一および第二組成物の放出速度を調節し、上で言及した他のおよび露出した核の表面積を調節することによって、異なる体内環境下で比較可能な放出速度を得て、患者に対してを達成するために、異なる環境条件における放出速度を調和させ得る。
【0071】
好ましくは、本発明の経口用剤形の分解速度は、例えば浸食可能な被覆剤および開口部の面積を慣用に調節することによって整えられ、その結果放出速度は、、異なるpH環境における放出速度と実質的に同様となる。分解速度は、適切なpHの溶液中での、試験管中の検査によって評価してよい。例えば、胃および腸における分解を比較する場合、最初はpH1.5で検査を実行し、空腹状態およびそれぞれの患者の腸に移される前に、胃の中に存在していると想定される時間である、2時間または4時間後にpH6.8に移してもよい。
【0072】
上記したように、化合物Aまたはその医薬上許容される塩または溶媒和物は、本発明の経口用剤形で投薬される場合、糖尿病、糖尿病関連疾患およびそのある種の合併症;アルツハイマー病、乾癬、喘息、アテローム性動脈硬化症、メタボリックシンドローム、耐糖能異常および(本明細書の以降において、「本発明の疾患」と呼ばれている)の治療および/または予防において有用であることが示されている。、化合物Aまたはその医薬上許容される塩または溶媒和物は、本発明の経口用剤形で投薬される場合、糖尿病、糖尿病関連疾患およびそのある種の合併症の治療および/または予防において有用であることが示されている。、化合物Aまたはその医薬上許容される塩または溶媒和物は、本発明の経口用剤形で投薬される場合、アルツハイマー病の治療および/または予防において有用であることが示されている。、化合物Aまたはその医薬上許容される塩または溶媒和物は、本発明の経口用剤形で投薬される場合、乾癬の治療および/または予防において有用であることが示されている。、化合物Aまたはその医薬上許容される塩または溶媒和物は、喘息の治療および/または予防において有用であることが示されている。、化合物Aまたはその医薬上許容される塩または溶媒和物は、本発明の経口用剤形で投薬される場合、アテローム性動脈硬化症の治療および/または予防において有用であることが示されている。、化合物Aまたはその医薬上許容される塩または溶媒和物は、本発明の経口用剤形で投薬される場合、メタボリックシンドロームの治療および/または予防において有用であることが示されている。、化合物Aまたはその医薬上許容される塩または溶媒和物は、耐糖能異常の治療および/または予防において有用であることが示されている。、化合物Aまたはその医薬上許容される塩または溶媒和物は、本発明の経口用剤形で投薬される場合、の治療および/または予防において有用であることが示されている。
【0073】
好ましい実施形態として、本発明は、本発明の疾患の治療および/または予防のための方法を与え、その方法は、化合物Aまたはその医薬上許容される塩または溶媒和物を含む、本発明の経口用剤形を、それを必要とするヒトまたは非ヒトの哺乳類に投与することを含む。
【0074】
さらに好ましい実施形態として、本発明は、本発明の疾患の治療および/または予防において利用するための、化合物Aまたはその医薬上許容される塩または溶媒和物を含む、本発明の経口用剤形を与える。
【0075】
本明細書において用いられている、「医薬上許容される」という用語は、ヒトおよび獣医学的用途両方のための化合物、組成物および成分を包含する。例えば、「医薬上許容される塩」という用語は、獣医学上許容される塩を包含する。特に、化合物Aの適当な医薬上許容される塩の形態には、欧州特許第0306228号および国際特許出願の公開番号WO94/05659号に記載されているものを含む。化合物Aの特に好ましい形態は、マレイン酸塩である。
適当な医薬上許容される溶媒和物は、水和物を含む。
【0076】
本明細書において用いられている、「Cmax」という用語は、平均最大血漿レベル濃度を意味する。
【0077】
本明細書において用いられている、「AUC」という用語は、定常状態でのの、時間に対する血漿中濃度曲線下平均面積を意味する。
【0078】
有害な毒物効果は、上で言及した治療において何も示されていない。
【0079】
本明細書において引用されている、特許および特許出願書を含むがそれだけに限定されない、全ての出版物は、各々の個別の出版物が特異的であるかのように、出典明示により本明細書の一部とし、完全に示されているのと同様に、出典明示により本明細書の一部となるように個別に示している。
【0080】
次の実施例において、錠剤の核は、活性成分を賦形剤と混合し、圧縮して多層の錠剤の核を形成することによる、従来の方法によって形成された。これらの実施例は、本発明の範疇を制限することを目的としているのではなく、本発明を説明することを目的としており、化合物Aは単に本発明を用いて利用するために適している弱塩基の一例として用いている。
【0081】
図1は、本願の実施例1、2および3による、経口用剤形の処方の、時間に対する分解を示すグラフである。
【0082】
実施例1
核は、次の組成物:
第一組成物 %重量/重量
即時型放出層
化合物A(マレイン酸塩として) 5.3
ラクトース 94.17
三酸化二鉄 0.03
ステアリン酸マグネシウム 0.5
第二組成物
修飾された放出層
化合物A(マレイン酸塩として) 5.3
HPMC 30.0
ラクトース 62.7
コロイド状二酸化珪素 0.5
ステアリン酸マグネシウム 1.5
から圧縮によって形成され、7mmの正常の凹状の二層の錠剤200mgを形成した(50mgの即時型放出層および150mgの修飾された放出層)。
【0083】
錠剤の核を、HPMCを主とする副被覆およびpH5.5で溶解するポリメタクリル酸樹脂を用いて被覆し、総重量を217.3mgとした。
【0084】
直径3.0mmの開口部を、被覆した核の二つの最初の表面各々における被覆に穴を開け、核の表面を露出した。
【0085】
実施例2
核は、次の組成物:
第一組成物 %重量/重量
即時型放出層
化合物A(マレイン酸塩として) 5.3
ラクトース 94.17
三酸化二鉄 0.03
ステアリン酸マグネシウム 0.5
第二組成物
修飾された放出層
化合物A(マレイン酸塩として) 5.3
HPMC 30.0
ラクトース 62.7
コロイド状二酸化珪素 0.5
ステアリン酸マグネシウム 1.5
から圧縮によって形成され、7mmの正常の凹状の二層の錠剤200mgを形成した(50mgの即時型放出層および150mgの修飾された放出層)。
【0086】
錠剤の核を、HPMCを主とする副被覆およびpH5.5で溶解するポリメタクリル酸樹脂を用いて被覆し、総重量を217.3mgとした。
【0087】
直径4.0mmの開口部を、被覆した核の二つの最初の表面各々における被覆に穴を開け、核の表面を露出した。
【0088】
実施例3
核は、次の組成物:
第一組成物 %重量/重量
即時型放出層
化合物A(マレイン酸塩として) 7.95
ラクトース 91.52
三酸化二鉄 0.03
ステアリン酸マグネシウム 0.5
第二組成物
修飾された放出層
化合物A(マレイン酸塩として) 4.4
HPMC 30.0
ラクトース 63.6
コロイド状二酸化珪素 0.5
ステアリン酸マグネシウム 1.5
から圧縮によって形成され、7mmの正常の凹状の二層の錠剤200mgを形成した(50mgの即時型放出層および150mgの修飾された放出層)。
【0089】
錠剤の核を、HPMCを主とする副被覆およびpH5.5で溶解するポリメタクリル酸樹脂を用いて被覆し、総重量を217.3mgとした。
【0090】
直径3.0mmの開口部を、被覆した核の二つの最初の表面各々における被覆に穴を開け、核の表面を露出した。
【0091】
実施例1、2および3の剤形についての分解プロフィールは、添付している図面の図1に示されている。
【0092】
反復投薬後の、健常ボランティアにおける六つの化合物A(8mg)の修飾された放出処方の薬物動態を評価するための研究
第一の目的
六つの化合物Aの修飾された放出処方の反復投薬の薬物動態を、空腹状態における化合物Aの即時型放出処方の反復投薬の薬物動態と比較するため
【0093】
二次的な目的
六つの化合物Aの修飾された放出処方の反復投薬の薬物動態に対する、食事の影響を調査するため。
六つの化合物Aの修飾された放出処方の単回投薬の薬物動態を、空腹状態における化合物Aの即時型放出処方の単回投薬の薬物動態と比較するため。
単回投薬と比較した、反復投薬下での化合物Aの六つの修飾された放出処方および一つの即時型放出処方の薬物動態を調査するため。
六つの化合物Aの修飾された放出処方各々の反復経口投薬の許容量を評価するため。
【0094】
研究計画
これは、健常ボランティアにおいて行われた、三つの並行群を用いた、無作為化した、非盲検の、三期の、交差研究であった。三つの研究に参加する各々の患者を、少なくとも48時間の洗い出しによって分離した。各々の研究において、患者を、毎日二回の化合物A(4mg)の即時型放出処方、または化合物A(8mg)の修飾された放出処方のいずれかを受けるように無作為化した。化合物A(4mg)の即時型放出処方を、空腹条件下で、六日間一日二回および七日目の朝に与えた。各々の化合物A(8mg)の修飾された放出処方を、空腹条件下で七日間一日一回、その後食後条件下で八日目に与えた。
【0095】
患者の数および性質
十分な数の患者が登録され、その結果42の評価可能な患者が研究を完了した(すなわち、少なくとも並行群あたり13の患者)。患者は、18歳および65歳の間()の健常な成人男性および女性のボランティアであった。
【0096】
治療投薬
各々の研究の間、各々の三つの並行群における患者は、七日間毎日二回の化合物A(4mg)の即時型放出処方の反復経口投薬、または化合物A(8mg)の修飾された放出処方の八日間毎日一回の投与のいずれかを受けた。
【0097】
評価基準
即時型放出および修飾された放出処方についての薬物動態(AUCおよびCmax)は、第一の薬物動態パラメーターであった。二次的な薬物動態パラメーターは、即時型放出および修飾された放出処方のtmaxおよびt1/2であった。各々の研究における毎日の研究薬物投与に先立って、化合物A薬物動態分析に対する血漿;化合物Aの即時型放出処方を投与する場合には、12時間以上の間隔で第一日および第七日に(レジメンA);および化合物Aの修飾された放出処方を投与する場合には、24時間の間隔で第一日、第七日および第八日に(レジメンB−G);を得た。化合物A薬物動態分析に対する血漿濃度を、認可されたアッセイ方法論によって決定した。
【0098】
安全性の結果
研究中、死または重大な有害な事象は報告されていない。
【0099】
薬物動態結果
検査した化合物A修飾された放出(MR)処方(IRおよびMR成分)六つのうち、一つの処方(レジメンF)を、検証的臨床研究にために選別した。空腹状態および満腹状態における、この修飾された放出処方についてのPK結果は、以下の表1に与えられている。
表1:化合物Aの修飾された放出処方のAUC(ng.h/ml)、Cmax(ng.h/ml)、tmax(h)およびt1/2(h)についての点推定および信頼区間
空腹状態における第一日および第七日の化合物Aの即時型放出処方、および満腹状態における第八日の化合物Aの修飾された放出処方の比較




【0100】
毎日二回の化合物A(4mg)と比較した、単回投薬(第一日)および反復投薬(第七日)後の化合物Aの修飾された放出処方のAUCについての、および反復投薬(第七日)後のCmaxについての、相乗平均比の90%信頼区間は、80−125%以内であった。その上、MR処方を高脂肪食と共に投与する場合(第八日)の、90%信頼区間は、空腹状態(第七日)と比較して、AUCおよびCmaxについては80−125%であった。他の修飾された放出処方は、食事の効果と関係なく、AUCおよびCmax両方について即時型放出処方と生物学的に等価であった。
【0101】
薬物動態/薬力学(PK/PD)モデルは、糖尿病患者における空腹時血漿中グルコースおよびヘモグロビンA1c濃度に対する、化合物Aの遅発性および間接的効果を記載するために、以前開発された(2000年5月25日、AvandiaIND 43,468、通し番号266に従ったFDA簡略化文書)。そのモデルは、52ng/mlまでとなるべき、グルコース利用の(SC50)と関連した、化合物Aの濃度を評価した。SC50は、化合物Aの毎日二回の即時型放出処方4mgおよび修飾された放出処方8mgについて決定し、以下の表2に示している。
表2:第一日および第七日の化合物A4mgIRおよび化合物A8mgMR、および第八日(満腹状態)の化合物A8mgMRについての、SC50(〜52ng/ml)上の時間(hrs)の平均(SD)

【0102】
単回および反復投薬において、SC50は、4mgのIR化合物A処方の毎日二回投与および8mgのMR化合物A処方毎日一回投与の間で一致していた。その上、食物の存在は、SC50にほとんど影響を与えないと思われる。
【0103】
結論
一日一回の化合物A(8mg)の修飾された放出の錠剤処方(IRおよびMR成分を含む)は、反復投薬中、毎日二回の化合物A(4mg)の即時型放出処方と生物学的に等価であることが確認された。高脂肪の朝食と共に投与した後、定常状態での化合物Aの修飾された放出処方のAUCおよびCmaxは、空腹条件下で観察されるものと等価であった。
【0104】
その上、SC50は、4mgの即時型放出処方の毎日二回投与および8mgの修飾された放出処方の毎日一回投与の間で一致していた。食物の存在は、SC50にほとんど影響を与えないと思われる。
【0105】
空腹条件下の、化合物A4mgの即時型放出処方の複数回投与、または化合物A(8mg)の修飾された放出処方の投与は、一般に安全で、健常な患者にとって十分許容される。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】実施例1、2および3の経口用剤形の処方の経時的分解を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
その各々が医薬上許容される弱塩基(「薬物」)およびそのための医薬上許容されるキャリアを含む第一および第二組成物を含む経口用剤形であって、薬物の剤形からの放出速度が実質的にpHと無関係であるように、その第一および第二組成物が投与の際に異なる放出速度で薬物を放出するように配置されている、経口用剤形。
【請求項2】
薬物の第一組成物からの放出速度が、実質的に、第二組成物からよりも大きいところの、請求項1記載の経口用剤形。
【請求項3】
第一組成物が即時型放出組成物であるところの、請求項1または請求項2記載の経口用剤形。
【請求項4】
第二組成物が修飾放出性組成物であるところの、上記したいずれかに記載の経口用剤形。
【請求項5】
第一および/または第二組成物の剤形からの放出速度が修飾放出性であるところの、請求項1記載の経口用剤形。
【請求項6】
実質的に薬物不含の第三組成物を含む、請求項5記載の経口用剤形。
【請求項7】
その第三組成物が腸溶性組成物であるところの、請求項6記載の経口用剤形。
【請求項8】
その第三組成物が第三組成物を通して実質的に全体的に伸長している一つまたはそれ以上の開口部を含み、それによって第一および/第二組成物の少なくとも一つの表面が使用環境に曝露されるところの、請求項7記載の経口用剤形。
【請求項9】
第一組成物が使用時に胃において実質的に全ての医薬上許容される弱塩基を放出するように配置されるところの、請求項1記載の経口用剤形。
【請求項10】
第二組成物が使用時に小腸において実質的に全ての医薬上許容される弱塩基を放出するように配置されるところの、請求項1記載の経口用剤形。
【請求項11】
薬物の平均最大血漿レベル濃度(「Cmax」)値が、使用中、食物とは実質的に無関係に維持されるように、剤形が医薬上許容される弱塩基を放出するように配置される、請求項1記載の経口用剤形。
【請求項12】
剤形が、定常状態での投薬間隔を通じての、時間に対する血漿中濃度曲線下平均面積(「AUC」)が、使用中、食物とは実質的に無関係に維持されるように、医薬上許容される弱塩基を放出するように配置される、請求項1記載の経口用剤形。
【請求項13】
投薬時に観察されるCmax値およびAUCが共に使用中食物とは実質的に無関係に維持されるように、剤形が医薬上許容される弱塩基を放出するように配置される、請求項1記載経口用剤形。
【請求項14】
(i)医薬上許容される弱塩基、およびそのための医薬上許容されるキャリアを含む、浸食可能な核;および
(ii)被覆剤を通じては実質的に完全に伸長するも、核を貫通せず使用環境とその核とを連絡する、一つまたはそれ以上の開口部を含む、該核の回りの浸食可能な被覆剤とを含み、
医薬上許容される弱塩基の浸食可能な核からの放出が、実質的に、開口部を介して、および所定のpH条件下での浸食可能な被覆剤の浸食を介して起こり;
核が第一組成物および第二組成物を含み、各々の組成物は医薬上許容される弱塩基(「薬物」)およびそのための医薬上許容されるキャリアを含み、薬物の剤形からの放出速度が実質的にpHと無関係であるように、その第一および第二組成物が投与の際に異なる放出速度で薬物を放出するように配置されているところの、請求項1記載の経口用剤形。
【請求項15】
水性媒体と接触すると、第一組成物が医薬上許容される弱塩基の即時放出を提供するように処方されているところの、請求項14記載の経口用剤形。
【請求項16】
水性媒体に接触すると、第二組成物が医薬上許容される弱塩基の修飾放出を提供するように処方されているところの、請求項14または請求項15記載の経口用剤形。
【請求項17】
剤形が錠剤の形態であるところの、請求項1記載の経口用剤形。
【請求項18】
医薬上許容される弱塩基が5−[4−[2−(N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ)エトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンまたはその医薬上許容される塩または溶媒和物であるとところの、上記した請求項のいずれかに記載の経口用剤形。
【請求項19】
第一組成物および第二組成物を含み、各組成物が医薬上許容される弱塩基(「薬物」)およびそのための医薬上許容されるキャリアを含む、請求項1に記載の経口用剤形の調製方法であって、少なくとも
(i)第一組成物中に薬物を処方する工程;および
(ii)第二組成物中に薬物を処方する工程を、連続的にまたは同時に含み、それによって薬物の剤形からの放出速度が実質的にpHと無関係であるように、その第一および第二組成物が投与の際に異なる放出速度で薬物を放出するように処方される、経口用剤形を調製する方法。
【請求項20】
医薬上許容される弱塩基およびそのための医薬上許容されるキャリアを含む浸食可能な核と、被覆剤を通じては実質的に完全に伸長するも、核を貫通せず、使用環境とその核とを連絡する、一つまたはそれ以上の開口部を含む、その核周囲の浸食可能な被覆剤とを含む経口用剤形であり、その医薬上許容される弱塩基の浸食可能な核からの放出が、請求項14に記載されるように、実質的にその開口部を通して、および所定のpH条件下でその浸食可能な被覆剤の浸食によって起こるところの、経口用剤形の調製方法であって、
(a)医薬上許容される弱塩基、およびそのための医薬上許容されるキャリアを含む、浸食可能な核を処方し;
(b)浸食可能な被覆剤を用いてその核を被覆し;
(c)その被覆剤を通じては実質的に完全に伸長するも、核を貫通せず、使用環境とその核とを連絡する、一つまたはそれ以上の開口部を被覆剤中に作る;
ことを含む方法。
【請求項21】
ヒトまたはヒト以外の本発明の疾患の治療および/または予防方法であって、化合物Aまたはその医薬上許容される塩または溶媒和物を含む、請求項1に記載の経口用剤形を、それを必要とするヒトまたはヒト以外の哺乳類に投与することを含む、方法。

【図1】
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【公表番号】特表2007−501773(P2007−501773A)
【公表日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522328(P2006−522328)
【出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【国際出願番号】PCT/EP2004/008843
【国際公開番号】WO2005/013935
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(502078239)エスビー・ファルムコ・プエルト・リコ・インコーポレイテッド (22)
【氏名又は名称原語表記】SB Pharmco Puerto Rico Inc
【Fターム(参考)】