説明

長時間張力式ケーブル引き抜き工法および治具

【課題】
長時間荷重をかけて電線ケーブルを引っ張ることが出来、マンホール等の蓋を閉めての作業もでき、地上での場所をとらず、簡単な治具を用いて作業できる。
【解決手段】
標準工法では引き抜きが困難なケーブルの引き抜き工法において、マンホール2内に突出した電線ケーブル1を引きシャフト6に接続し、マンホール2の側壁に固定した支持パイプ4の他端に外部ハウジング9を設け、この外部ハウジング9内に有底の内部ハウジング10を設け、この外部ハウジング9及び内部ハウジング10内に引きシャフト6を導入し、内部ハウジング10内に設けた複数のバネ11の他端に、引きシャフト6を中央孔に通したバネ圧縮板12を当て、バネ圧縮板12から突出した引きシャフト6の外周ネジ部に引きナット13を螺着し、引きナット13を締め付けてバネ圧縮板12でバネ11を圧縮させ、バネ11の復元力を当該電線ケーブル1の引き方向に作用させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地中に埋設されたトラフや管路内に残置されている不要な電線ケーブルを引き抜く際、電線ケーブルがトラフや管路の内周面にこびりつき、通常のラガー車を用いては引き抜くことが困難な電線ケーブルの、いわゆる縁切りに使用するケーブル引き抜き工法及びこの工法に使用する治具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、地中に埋設されたトラフや管路内に残置されている不要な電線ケーブルを引き抜く場合、この電線ケーブルの、適宜の長さの両端のマンホール又は作業用立坑で当該ケーブルを切断し、この一方のマンホール又は作業用立坑からラガー車等を用いて当該区間の電線ケーブルを引き抜いている。しかしながら、長年経っている電線ケーブルは充填砂やトラフや管路の内周面にこびりつき、通常のラガー車を用いての引き抜きでは、引き抜くことが困難な場合がある。
【0003】
そこで、このような場合には、油圧を利用したケーブル引き抜き補助機を用いている。このケーブル引き抜き補助機50は図13に示すように、上記マンホール又は作業用立坑51内に設置し、パイプ架台52に載せた引き抜き機本体53内に、マンホール又は作業用立坑51に露出した電線ケーブル54の一端を導入し、引き抜き機本体53内の作用体55にこれを固定し、当該作用体55に、油圧ポンプ56からの油圧で電線ケーブル54の引き抜き方向に圧力を掛け、当該電線ケーブル54とトラフや管路の内周面との縁切りを行っていた。
【特許文献1】特公平3−73205号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながらこの従来の油圧によるケーブルの縁切り工法では、油圧ポンプを用いるため、長時間にわたって油圧をかけることは出来ない。マンホールや作業用立坑が狭い場合が多く、油圧ポンプは地上に設け、そこからマンホール等の蓋を開けて油圧ホースをマンホール又は作業用立坑内に引き入れ、ケーブル引き抜き補助機に接続するため、マンホール等の蓋を開けたままの作業となり、地上でも油圧ポンプの設置により場所をとる。従って、長時間作業は出来ない。その上、長い油圧ホースを配線するため、作業が煩雑となり、手間のかかるものと成っていた。
【0005】
この発明はこれらの点に鑑みて為されたもので、長時間荷重をかけて電線ケーブルを引っ張ることが出来、マンホール等の蓋を閉めての作業もでき、地上での場所をとらず、簡単な構造の治具を用いて作業できる、バネを用いた残置電線ケーブルの引き抜き工法及びこれに使用する治具を提供し、上記課題を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、請求項1の発明は、地中に埋設したトラフ又は管路に残置した、不要となった電線ケーブルをその一定の長さの両端のマンホール又は作業用立坑の一方から引き抜く際、標準工法では引き抜きが困難なケーブルの引き抜き工法において、マンホール又は作業用立坑に突出した電線ケーブルの一端を引きシャフトの一端に接続し、一端をマンホール又は作業用立坑の側壁に当てて固定したバネの他端を、上記引きシャフトに固定して当該バネの復元力を当該電線ケーブルの引き抜き方向に作用させる、長時間張力式ケーブル引き抜き工法とした。
【0007】
また、請求項2の発明は、上記標準工法では引き抜きが困難なケーブルの引き抜き工法において、マンホール又は作業用立坑に突出した電線ケーブルの一端を引きシャフトの一端に接続し、上記電線ケーブルが突出したマンホール又は作業用立坑の側壁に一端を固定した支持体を、上記電線ケーブルに沿って設け、この支持体の他端に横向き筒状の外部ハウジングを設け、この外部ハウジング内に有底横向き筒状の内部ハウジングを、外部ハウジングの一端開口部に内部ハウジングの開口部を嵌合させて設け、この外部ハウジングの内部及び内部ハウジングの底板の略中央部に設けた孔に上記引きシャフトを貫通させて引きシャフトを内部ハウジング内に導入し、当該内部ハウジングの底板に一端を当接し、上記引きシャフトと平行に複数のバネを設け、これらのバネの他端に、上記引きシャフトを中央孔に通したバネ圧縮板を当接し、当該バネ圧縮板から突出した引きシャフトの外周に設けたネジ部に引きナットを螺着し、当該引きナットを締め付けることによりバネ圧縮板を動かして上記複数のバネを圧縮させ、これらの複数のバネの復元力を当該電線ケーブルの引き方向に作用させる、長時間張力式ケーブル引き抜き工法とした。
【0008】
また、請求項3の発明は、上記標準工法では引き抜きが困難なケーブルの引き抜き工法に使用する治具において、マンホール又は作業用立坑に突出した電線ケーブルの一端を引きシャフトの一端に接続し、上記電線ケーブルが突出したマンホール又は作業用立坑の側壁に一端を固定した複数の支持体を、上記ケーブルの周りに間隔をあけて設け、これらの各支持体の他端に横向き筒状の外部ハウジングを設け、この外部ハウジング内に有底横向き筒状の内部ハウジングを、外部ハウジングの一端開口部に内部ハウジングの開口部を嵌合させて設け、この外部ハウジングの内部及び内部ハウジングの底板の略中央部に設けた孔に上記引きシャフトを貫通させて引きシャフトを内部ハウジング内に導入し、当該内部ハウジングの底板に一端を当接し、上記引きシャフトと平行に複数のバネを内部ハウジング内に設け、これらのバネの他端に、上記引きシャフトを中央孔に通したバネ圧縮板を当接し、当該バネ圧縮板から突出した引きシャフトの外周に設けたネジ部に引きナットを螺着し、当該引きナットを締め付けることにより圧縮板を動かして上記複数のバネを圧縮させることができる、長時間張力式ケーブル引き抜き治具とした。
【0009】
また、請求項4の発明は、上記請求項3の発明において、外部ハウジングの内部に設けた内部ハウジングの開口部を、外部ハウジングの一端開口部から外方に突出自在に調整できる構成の長時間張力式ケーブル引き抜き治具とした。
また、請求項5の発明は、上記請求項3又は4の発明において、上記内部ハウジングが外部ハウジングから抜けないように抜け止めストッパーを設け、かつ上記圧縮板が抜けないように上記内部ハウジングの開口部周縁からストッパーを内側に突出させた構成の長時間張力式ケーブル引き抜き治具とした。
また、請求項6の発明は、上記請求項3、4及び5の発明において、上記バネ圧縮板の中央孔から上記引きシャフトの外周に沿って設けた筒部の外周一側に荷重目盛りを設け、内部ハウジングの開口部から上記荷重目盛りに向けて荷重表示針を突出させた、長時間張力式ケーブル引き抜き治具とした。
【発明の効果】
【0010】
請求項1、2及び3の各発明によれば、バネの復元力により、ケーブルの引き抜き方向に長時間課張力をかけることが出来、これにより、引き抜きが困難であったケーブルの引き抜きが容易かつ確実になる。しかも大掛かりな設備や装置を要せずに、極めて簡単な構造の治具を用いればよいため、地上での場所をとらず、マンホールの蓋をしたまま長時間上記課張力をかけることができ、地上の交通の妨げとならない。
【0011】
また、請求項4の発明によれば、バネの課張力で、ケーブルが一定長引き抜かれた際、内部ハウジングを外部ハウジングから外方に突出させ、その位置で再びバネによりケーブルに課長力をかけることができ、治具を設置し直すことなく、これらを複数回繰り返し、ケーブルの引き抜き長さを容易に長くすることができる。また、請求項5の発明によれば、内部ハウジングは外部ハウジングに対して外部ハウジングの開口部から突出調整可能となっているが、抜け止めストッパーを有しているため、内部ハウジングが外部ハウジングから抜けることはなく、また、内部ハウジングの開口部からバネ圧縮板を押さえるストッパーを設けているため、バネが内部ハウジングから抜け出ることが無く、取り扱いが便利である。また、請求項6の発明によれば、引きナットを締め付けてバネを圧縮する際、荷重目盛りを設けているため、作業に際して、現在の荷重度合いが一目でわかり、誰にでも所定の荷重をケーブルに掛けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
地中に埋設したトラフ又は管路に残置した、不要となった電線ケーブルを、その一定の長さの両端のマンホール又は作業用立坑の一方から引き抜く際、標準工法では引き抜きが困難なケーブルの引き抜き工法において、マンホール又は作業用立坑に突出した電線ケーブルの一端を引きシャフトの一端に接続し、上記電線ケーブルが突出したマンホール又は作業用立坑の側壁に一端を固定した複数の支持体を、上記ケーブルの周りに間隔をあけて設け、これらの各支持体の他端に横向き筒状の外部ハウジングを設け、この外部ハウジング内に有底横向き筒状の内部ハウジングを、外部ハウジングの一端開口部に内部ハウジングの開口部を嵌合させて設け、この外部ハウジングの内部及び内部ハウジングの底板の略中央部に設けた孔に上記引きシャフトを貫通させて引きシャフトを内部ハウジング内に導入し、当該内部ハウジングの底板に一端を当接し、上記引きシャフトと平行に複数のバネを設け、これらのバネの他端に、上記引きシャフトを中央孔に通したバネ圧縮板を当接し、当該バネ圧縮板から突出した引きシャフトの外周に設けたネジ部に引きナットを螺着し、当該引きナットを締めつけることにより圧縮板を動かして上記複数のバネを圧縮させ、これらの複数のバネの復元力を当該電線ケーブルの引き方向に作用させる、引き抜き工法とし、これにより、長時間にわたって、電線ケーブルに課張力をかけることができ、引き抜きの困難な電線ケーブルを容易かつ確実に引き抜くことができる。
【実施例1】
【0013】
以下この発明を図面に基いて詳細に説明する。
図1乃至図6は、この発明の方法及びこれに使用する治具の構成を示し、図1はマンホール内での概略構成図、図2はこの方法に使用する治具の一部断面正面図、図3は同治具の側面図、図4は図1の断面一部平面図、図5は、図2のA−A断面図、図6は図2の要部構成図、図7は荷重目盛り板と荷重表示針の平面図及び側面図である。
地中に埋設されたトラフや管路内に残置されている不要となった、引き抜き困難な電線ケーブルの引き抜きにおいて、電線ケーブル1の一端はマンホール2内に突出しており、この電線ケーブル1は、マンホール側壁に設けた防水管3を通ってマンホール2内に導入されている。この防水管3の端部にはフランジ3aを有しており、このフランジ3aに四本の支持パイプ4の一端を、電線ケーブル1の外周に沿うように固定、支持している。また、上記電線ケーブル1の一端は、プーリングアイ5を介して引きシャフト6の一端に接続されている。このプーリングアイ5と引きシャフト6とは、ピン7により、これらの長手方向に対して直角に回転自在に接続されている。
【0014】
上記四本の支持パイプ4の他端には、円形基盤8が固定され、この円形基盤8の中央孔8aを上記引きシャフト6が遊貫している。さらにこの円形基盤8に横向きの筒状の外部ハウジング9の一端が固定され、上記引きシャフト6が内部を貫通している。この外部ハウジング9の内部には、横向き有底筒状の内部ハウジング10が設けられ、内部ハウジング10の開口部が外部ハウジング9の他端の開口部に嵌合している。また、この内部ハウジングの底板10aには中央孔10bが穿ってあり、この中央孔10bに上記引きシャフト6が遊貫している。さらにこの中央孔10bの周縁から、内部に引きシャフト6を通したガイド筒10cを設けている。この内部ハウジング10はバネケースであり、この内部ハウジング10の内周に沿って多数のスプリング11を設けており、これらのスプリング11は一端を上記底板10aに当接し、上記引きシャフト6にほぼ平行に位置している。
【0015】
また、これらのスプリング11の他端には、内部ハウジング10の開口部を塞ぐバネ圧縮板12が設けられ、このバネ圧縮板12の中央孔12aを上記引きシャフト6が貫通している。このバネ圧縮板12の中央孔12aの周縁から上記引きシャフトの外周に沿って筒部12bが設けられている。上記引きシャフト6の他端外周にはネジ部6aが設けられ、このネジ部6aに変形袋ナット状の引きナット13が螺着されている。そして、この引きナット13を、パワーレンチ14で締め付けると、引きナット13がバネ圧縮板12の筒部12bを押し、上記バネ圧縮板12が引きシャフト6に沿って動き、スプリング11を圧縮する。この状態において圧縮されたスプリング11は内部ハウジング10を反力受けとして、バネ圧縮板12を内部ハウジング10の開口部方向に動かそうとする力が働く。そして、上記引きナット13を外方に引っ張り、引きシャフト6及びこの引きシャフト6に繋がった電線ケーブル1を引っ張る力が働く。このようにして、電線ケーブル1に課張力をかけてしばらく置いておくと、スプリング11の復元力で電線ケーブル1は、トラフや管路の内周面とのこびりつきが解かれて、縁切りが行われる。
【0016】
また、上記外部ハウジング9内には抜け止めストッパー15が設けられ、この抜け止めストッパー15はその一端を上記内部ハウジング10の底板10aに固定し、他端を上記外部ハウジング9内に設けた突片26小孔及び上記円形基盤8aの小孔8bに通し、ナット15aを螺着ている。これにより内部ハウジング10は、外部ハウジング9に対して摺動自在になっているが、外部ハウジング9から抜けないようになっている。なお、後述の図8、9、10、及び12では、この抜け止めストッパー15は、突片26にのみ支持され、円形基盤8の小孔8bへの貫通状態を示していないが、これは説明上図示を省略したものである。
また、上記内部ハウジング10の開口部周縁には複数のストッパー16が設けられ、これらのストッパー16によりバネ圧縮板12が内部ハウジング10の開口部から外れないようになっている。
【0017】
また、上記内部ハウジング10の開口部外周に外周ネジ部10dが設けられ、この外周ネジ部10dに大径ナット17が螺着され、この大径ナット17の外周4箇所にナットレバー18が設けられている。この大径ナット17をナットレバー18により回すことにより、内部ハウジング10の外部ハウジング9に対するその突出幅を調整できるようになっている。さらに、上記バネ圧縮板12の筒部12bの外周一側には、図7に示すように、荷重目盛り板19を設けており、上記内部ハウジング10の開口端縁からこの荷重目盛り板19に向けて荷重表示針20を突出させている。
【0018】
また、上記外部ハウジング9の外周にはその長手方向に取っ手21が複数個設けられ、また、内部ハウジング10の開口端縁に沿って複数の取っ手22が設けられている。また、上記内部ハウジング10の底板10aから上記スプリング11の位置を保持させるスプリングガイド23が設けられ、各スプリング11の位置が圧縮によってもずれないように規制している。さらに、図2及び図3に示すように、上記外部ハウジング10の下方の二つの取っ手21から、当該取っ手21を鞘管としてアーム24が伸縮自在に突出し、これらのアーム24の先端でスライド式反力受け25を支持している。このスライド式反力受け25は、上記引きナット13に装着するパワーレンチ14の反力受けアーム14aを保持し、パワーレンチ14が回転するのを阻止するものである。なお、図2において、上記取っ手21のうち、下方の取っ手21は説明上外部ハウジング9の下方に位置させ、上記アーム24の先端部が上方にずれて記載しているが、実際は図3に示すように、上記アーム24は外部ハウジング9の下辺付近に位置しており、これらの取っ手21から上記アーム24がまっすぐ伸びて、これらの二つのアームの先端でスライド式反力受け25を支持している。
【0019】
上記治具は、上記四本の支持パイプ4の部分、外部ハウジング9の部分、内部ハウジング10の三つの部材に分割でき、これらを分割してマンホール2に搬入し、マンホール2内で組み立てることができる。
【0020】
以下、この治具を用いて電線ケーブル1の引き抜き作業の工程作業手順を図8乃至図12に基づいて説明する。
まず、上述の様に、治具をマンホール2内の電線ケーブル1が挿通した防水管3に装着する。図8はその装着状態を示し、スプリング11は圧縮されていない。また、内部ハウジング10は外部ハウジング9に深く挿入されている。この状態の上記引きナット13にパワーレンチ14を装着して、当該パワーレンチ14により引きナット13を締め付ける。これによりバネ圧縮板12の筒部12bの端部が押され、図9に示すようにバネ圧縮板12がスプリング11を圧縮する(図8と比べ図9のスプリング11は短い)。その際、荷重表示針20が指している、荷重目盛り板19の目盛りにより、荷重値が一目で分かる。そして、所定の荷重がかかった時点で上記パワーレンチ14を外し、この状態で2、3日放置しておく。その際上記マンホール2の蓋を閉めておくことができる。
【0021】
その後、図10に示すようにバネ圧縮板12が内部ハウジング10の開口端まで戻って、荷重もゼロになっていると、電線ケーブル1が一定長引き抜かれたことを意味する。そこで、図11に示すように、引きナット13を緩める。そして上記ナットレバー18によって内部ハウジング10の外周の大径ナット17を廻し、内部ハウジング10を外部ハウジング9の開口部から一定長突出させる。この状態を図12に示す。そして、この状態から、さらに上述と同様に、パワーレンチ14により、上記スプリング11を圧縮し、電線ケーブル1の引き抜き方向に課張力をかける。
【0022】
このようにして、一定長電線ケーブル1を引き抜く毎に、内部ハウジング10を外部ハウジング9から引き出し、突出長さを長くすれば、電線ケーブル1を長く引き出すことができる。内部ハウジング10の引き出しでは足らなくなった時は、上記支持パイプ4の長さを長い物に代え、さらに電線ケーブル1を引き出すことができる。
【0023】
なお、上記実施例においては、具体的な構成の治具を用いているがこれに代えて、マンホール又は作業用立坑に突出した電線ケーブルの一端を引きシャフトの一端に接続し、一端をマンホール又は作業用立坑の側壁に当てて固定したバネの他端を、上記引きシャフトに固定して当該バネの復元力を当該電線ケーブルの引き抜き方向に作用させる構成のケーブル引き抜き工法としてもよい。また、上記実施例では、スプリング11としたが、これは適宜のバネでよい。また、上記実施例では支持パイプ4を設けたが、これは適宜の支持体でも使用できる。さらに、支持体の一端はマンホール又は作業用立坑の、電線ケーブルが突出している側壁に直に取り付ける場合もある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の方法及び治具のマンホール内での概略構成図である。
【図2】この発明の方法に使用する治具の一部断面正面図である。
【図3】この発明の方法に使用する治具の側面図である。
【図4】この発明の方法に使用する治具の断面一部平面図である。
【図5】この発明の方法に使用する治具の、図2におけるA−A断面図である。
【図6】この発明の方法に使用する治具の要部構成図である。
【図7】この発明の方法に使用する治具の荷重目盛り板と荷重表示針の平面図及び正面図である。
【図8】この発明の治具を用いた電線ケーブルの引き抜き作業の手順を示す第1工程構成図である。
【図9】この発明の治具を用いた電線ケーブルの引き抜き作業の手順を示す第2工程構成図である。
【図10】この発明の治具を用いた電線ケーブルの引き抜き作業の手順を示す第3工程構成図である。
【図11】この発明の治具を用いた電線ケーブルの引き抜き作業の手順を示す第4工程構成図である。
【図12】この発明の治具を用いた電線ケーブルの引き抜き作業の手順を示す第5工程構成図である。
【図13】従来例を示す構成図である。
【符号の説明】
【0025】
1 電線ケーブル
2 マンホール
3 防水管
4 支持パイプ
5 プーリングアイ
6 引きシャフト
6a ネジ部
7 ピン
8 円形基盤
8a 中央孔
8b 小孔
9 外部ハウジング
10 内部ハウジング
10a 底板
10b 中央孔
10c ガイド筒
10d 外周ネジ部
11 スプリング
12 バネ圧縮板
12a 中央孔
12b 筒部
13 引きナット
14 パワーレンチ
14a 反力受けアーム
15 抜け止めストッパー
15a ナット
16 ストッパー
17 大径ナット
18 ナットレバー
19 荷重目盛り板
20 荷重表示針
21 取っ手
22 取っ手
23 スプリングガイド
24 アーム
25 スライド式反力受け
26 突片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に埋設したトラフ又は管路に残置した、不要となった電線ケーブルをその一定の長さの両端のマンホール又は作業用立坑の一方から引き抜く際、標準工法では引き抜きが困難なケーブルの引き抜き工法において、マンホール又は作業用立坑に突出した電線ケーブルの一端を引きシャフトの一端に接続し、一端をマンホール又は作業用立坑の側壁に当てて固定したバネの他端を、上記引きシャフトに固定して当該バネの復元力を当該電線ケーブルの引き抜き方向に作用させることを特徴とする、長時間張力式ケーブル引き抜き工法。
【請求項2】
地中に埋設したトラフ又は管路に残置した、不要となった電線ケーブルをその一定の長さの両端のマンホール又は作業用立坑の一方から引き抜く際、標準工法では引き抜きが困難なケーブルの引き抜き工法において、マンホール又は作業用立坑に突出した電線ケーブルの一端を引きシャフトの一端に接続し、上記電線ケーブルが突出したマンホール又は作業用立坑の側壁に一端を固定した支持体を上記電線ケーブルに沿って設け、この支持体の他端に横向き筒状の外部ハウジングを設け、この外部ハウジング内に有底横向き筒状の内部ハウジングを、外部ハウジングの一端開口部に内部ハウジングの開口部を嵌合させて設け、この外部ハウジングの内部及び内部ハウジングの底板の略中央部に設けた孔に上記引きシャフトを貫通させて引きシャフトを内部ハウジング内に導入し、当該内部ハウジングの底板に一端を当接し、上記引きシャフトと平行に複数のバネを設け、これらのバネの他端に、上記引きシャフトを中央孔に通したバネ圧縮板を当接し、当該バネ圧縮板から突出した引きシャフトの外周に設けたネジ部に引きナットを螺着し、当該引きナットを締め付けることによりバネ圧縮板を動かして上記複数のバネを圧縮させ、これらの複数のバネの復元力を当該電線ケーブルの引き方向に作用させることを特徴とする、長時間張力式ケーブル引き抜き工法。
【請求項3】
地中に埋設したトラフ又は管路に残置した、不要となった電線ケーブルをその一定の長さの両端のマンホール又は作業用立坑の一方から引き抜く際、上記標準工法では引き抜きが困難なケーブルの引き抜き工法に使用する治具において、マンホール又は作業用立坑に突出した電線ケーブルの一端を引きシャフトの一端に接続し、上記電線ケーブルが突出したマンホール又は作業用立坑の側壁に一端を固定した複数の支持体を、上記ケーブルの周りに間隔をあけて設け、これらの各支持体の他端に横向き筒状の外部ハウジングを設け、この外部ハウジング内に有底横向き筒状の内部ハウジングを、外部ハウジングの一端開口部に内部ハウジングの開口部を嵌合させて設け、この外部ハウジングの内部及び内部ハウジングの底板の略中央部に設けた孔に上記引きシャフトを貫通させて引きシャフトを内部ハウジング内に導入し、当該内部ハウジングの底板に一端を当接し、上記引きシャフトと平行に複数のバネを内部ハウジング内に設け、これらのバネの他端に、上記引きシャフトを中央孔に通したバネ圧縮板を当接し、当該バネ圧縮板から突出した引きシャフトの外周に設けたネジ部に引きナットを螺着し、当該引きナットを締め付けることにより圧縮板を動かして上記複数のバネを圧縮させることができる構成としたことを特徴とする、長時間張力式ケーブル引き抜き治具。
【請求項4】
上記外部ハウジングの内部に設けた内部ハウジングの開口部を、外部ハウジングの一端開口部から外方に突出自在に調整できる構成としたことを特徴とする、上記請求項3に記載の長時間張力式ケーブル引き抜き治具。
【請求項5】
上記内部ハウジングが外部ハウジングから抜けないように抜け止めストッパーを設け、かつ上記圧縮板が抜けないように上記内部ハウジングの開口部周縁からストッパーを内側に突出させたことを特徴とする、上記請求項3又は4に記載の長時間張力式ケーブル引き抜き治具。
【請求項6】
上記バネ圧縮板の中央孔から上記引きシャフトの外周に沿って設けた筒部の外周一側に荷重目盛りを設け、内部ハウジングの開口部から上記荷重目盛りに向けて荷重表示針を突出させたことを特徴とする、上記請求項3、4、又は5のいずれかに記載の長時間張力式ケーブル引き抜き治具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−109588(P2006−109588A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−291453(P2004−291453)
【出願日】平成16年10月4日(2004.10.4)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【出願人】(000141060)株式会社関電工 (115)
【出願人】(000151184)株式会社土井製作所 (21)