説明

長時間遅延拡散環境のためのOFDMAシステム

【課題】OFDMAベースシステムのための設計方法を提供する。
【解決手段】チャンネル帯域幅、FFTサイズ、サイクルプレフィックス長さ、副搬送波間隔などを含むシステムパラメータは長時間遅延チャンネル拡散効果に基づき決定される。副搬送波のパイロット記号およびデータ記号割り当てを含む記号構造は、アップリンク、ダウンリンクシステム両方の基本的タイル構造およびクラスタ構造を調節することにより定義される。インターリーブパラメータは、長時間チャンネル遅延高周波数選択的フェーディング効果によるバースト性エラー軽減を助けるために定義される。この設計方法はパケットオーバーヘッドを効果的に減少させ、システムデータ速度を改善する。拡散チャンネルが10マイクロ秒を超える長時間遅延の場合でも、ビット誤り率性能は維持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に直交周波数分割多元接続(OFDMA)システムに関し、特にOFDMAデータおよびパイロット記号構造、システムパラメータ選択、インターリーブ技術に関する。本発明は、公共ブロードバンドネットワークシステムあるいはその他のOFDMAベースのワイヤレス通信システムに使用することができる。実用化までに要する時間は半年未満と推定される。
【背景技術】
【0002】
OFDMAシステムは、推定チャンネルパラメータに基づきデータを回復するためのワイヤレスチャンネルの情報を必要とする。各OFDMA記号の副搬送波はデータおよびパイロット信号に割り当てられる。受信されるパイロット信号は、システムの送信器のもとのパイロットメッセージと比較することにより、チャンネル遅延プロフィールを推定するために使用される。求めたチャンネルプロフィールは、チャンネル等化、およびマルチパス周波数選択的フェーディングに対処するために使用される。通信範囲が広い場合、最大チャンネル遅延拡散速度は10msである。IEEE802.16eOFDMAシステムなどの典型的なOFDMAシステムは、1.25から5MHzの帯域幅で操作されるとき、サイクリックプレフィックス長さが短いために長時間遅延プロフィールに対処することができない(図1参照)。OFDMAシステムが提供するデータ速度もまた、ビデオストリームなどの高速データ伝送をサポートするには十分でない。
【0003】
図2は、ワイヤレス基準IEEE802.16eに定義されるダウンリンクおよびアップリンク

号3個)と定義されるタイル構造になる。ダウンリンクシステムのパイロットパターンはクラスタ構造になる。パイロット記号4個が各クラスタに含まれ、クラスタは(副搬送波14

ダウンリンクでそれぞれ2:1、6:1である。オーバーヘッドは高く、システムは、7Mbps以上のアップリンク伝送速度を必要とする高品位テレビなどの高速データ伝送をサポートすることはできない。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、高周波数選択的フェーディング効果を解決するためのOFDMAシステム設計方法を提供する。本発明はまた、オーバーヘッドを軽減するための最適OFDMA記号構造を提供する。本発明は、公共ブロードバンドネットワークシステムおよびその他のOFDMAベースのワイヤレス通信システムの170MHzから205MHzの周波数帯域で使用することができる。記号構造は、各OFDMA記号にデータおよびパイロット副搬送波を配置することにより定義される。このOFDMA記号構造により、システムデータ速度を同一レベルのSNRについて30%近く増すことができ、パケットオーバーヘッドは1/7になる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】図1(先行技術)は、WiMaxPUSCで使用されるOFDMAパラメータを説明する。
【図2】図2(先行技術)は、ワイヤレス基準IEEE802.16eで定義されるダウンリンクおよびアップリンクOFDMA記号構造を説明する。
【図3】図3は、提案するOFDMAシステムパラメータを定義する。
【図4】図4は、アップリンク通信についての提案パイロットパターンの実施例を示す。
【図5】図5は、アップリンク通信についての提案インターリーブの実施例を示す。
【図6】図6は、先行技術のビット誤り率性能を示す。
【図7】図7は、提案システムのビット誤り率性能を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明は、パイロットパターンの定義、OFDMAシステムパラメータ設計、対応するインターリーバから成る。システムは、IEEE802.16e基準に定義される副搬送波割り当て、インターリーブ、FECコーディング、サブチャンネル置換を採用する必要がある。提案システムパラメータを採用することにより、提案パイロットパターンおよびインタールーバを使用する。システムは、アップリンク伝送について高速データ伝送サポートを提供することができる。
【0007】
アップリンク伝送のための高データ速度サポートは、OFDMA記号構造のパイロット記号パターンを変更することにより実施される。提案される記号構造は各OFDM記号のパイロット記号の割合を減らし、これによりオーバーヘッドを減少させ、データ速度を増加させる。
【0008】
本発明は、OFDMA記号構造を定義し、5MHzチャンネル帯域幅のOFDMAシステムをサポートする。提案されるOFDMAパラメータを図3に定義する。1024FFTサイズを使用し、保護副搬送波数は184である。サイクリックプレフィックス長さは22.8マイクロ秒であり、10マイクロ秒を超える長時間のチャンネル遅延プロフィールに対処することができる。
【0009】
図4は、アップリンク伝送のための提案パイロットパターンの実施例である。タイルは、

記号7個)により形成される。データとパイロット副搬送波の比率はアップリンクで6:1であり、大きく改善され、提案される記号構造を使用することによりデータ速度を上げることができる。
【0010】
図5は、アップリンク伝送のための提案インターリーブの実施例である。N_cbpsはエンコードされるブロックの長さ、dはコードワード長さ、kは置換前のデータのインデックス、M_kは置換後のデータのインデックスである。置換は[数1]により定義される。
【数1】

このとき、k=0,1,・・・,N_cbps−1,d=18.
【0011】
図6、7は、先行技術、本発明それぞれの場合のビット誤り率性能を示す。実施例から、本発明が同等のBER性能を提供し、ヘッダを減少させ、データ速度を上げることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直交周波数分割多元接続システムで実施する方法において、
(a)チャンネル帯域幅、副搬送波間隔、FFTサイズ、サイクリックプレフィックス長さを選択することと;
(b)パイロット記号パターンを定義することと;
(c)タイル構造を定義することと;
(d)クラスタ構造を定義することと;
(e)データおよびパイロット記号のための副搬送波のスキームを割り当てることと;
(f)インターリーブ技術を定義することと;
(g)副搬送波置換スキームを定義することと;
(h)変調およびコーティングスキームを使用することとから成ることを特徴とする方法。
【請求項2】
アップリンク伝送システムにおいて、
(a)記号構造を調節することと;
(b)各タイル構造のパイロット記号数を減少させることと;
(c)インターリーバ深さを調節することとから成ることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ダウンリンク伝送システムにおいて、
(a)記号構造を調節することと;
(b)各タイル構造のOFDMA記号数を変更することと;
(c)パイロット記号パターンを変更することと;
(d)図5に定義するインターリーバ深さを調節することとから成ることを特徴とする請求項1に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−217114(P2012−217114A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−92457(P2011−92457)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(301022471)独立行政法人情報通信研究機構 (1,071)