説明

長期残光性エレクトロルミネセント・ランプ

【課題】ランプへの電力が切断された後も照明を継続するエレクトロルミネセント・ランプを提供すること。
【解決手段】本発明は、薄くフレキシブルなELランプの長所と、長期残光性蛍光体の長所を組み合わせるものである。すなわち、第1電極、第2電極、誘電性材料並びにエレクトロルミネセント蛍光体および長期残光性蛍光体を有する蛍光体層を含む、エレクトロルミネセント・ランプを提供する。好ましい長期残光性蛍光体はアルミン酸ストロンチウム蛍光体である。長期残光性蛍光体は好ましくは、SrAl24:Eu,DyまたはSr4Al1425:Eu,Dyである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロルミネセント・ランプおよびそれに関連する蛍光体に関する。より詳細には、本発明は、エレクトロルミネセント・ランプから電力を切断した後も、照明を提供し続けるための手段に関する。
【背景技術】
【0002】
エレクトロルミネセント(EL)・ランプは、一般に2種のタイプ:(1)通常、CVDやスパッターリングのような蒸着法により堅いガラス基板上に蛍光体と誘電性材料の交互のフィルムを沈着させることにより作製される薄膜ELランプ;および(2)樹脂に分散され、プラスチックシート上に交互の層でコーティングされる粒子状材料で作製される厚膜ELランプに分類しうる。後者の場合、厚膜ELランプは、薄いフレキシブルな照明装置として構築され、それによって、さらに広い範囲の用途に適したものとなる。
【0003】
従来の厚膜ELランプの断面図を図1に示す。ランプ2は、二つの誘電性層20および22を有する。プラスチックフィルム12b上にコーティングされたグラファイト等の第1の導電性材料4は、ランプ2の第1電極(この電極はまた、金属箔を含み得る)を形成し;一方、第2のプラスチックフィルム12a上にコーティングされた酸化インジウムスズ等の透明な導電性材料6の薄膜は、第2電極を形成する。2つの導電性電極4および6の間にサンドイッチされているのが、例えば、シアノエチルセルロース、シアノエチル澱粉、ポリ(メタクリル酸メチル/アクリル酸エチル)および/またはフルオロカーボンポリマーでありうる誘電性材料14の二つの層20および22である。第1電極4に隣接しているのが誘電性材料14の層であり、その中に強誘電性材料10、好ましくはチタン酸バリウムの粒子が埋め込まれている。第2電極6に隣接しているのが誘電性材料14の層であり、その中にエレクトロルミネセント蛍光体8の粒子が埋め込まれている。厚膜ELランプに使用できる蛍光体は、主として、種々の活性化剤、例えば、Cu、Au、Ag、Mn、Br、I、およびClがドープされている硫化亜鉛よりなる。これらの蛍光体の例は、米国特許第5,009,808号明細書、第5,702,643号明細書、第6,090,311号明細書、および第5,643,496号明細書中に記載されている。好ましいEL蛍光体として、Clおよび/またはMnが共ドープされていてもよいZnS:Cuが挙げられる。典型的には、EL蛍光体のそれぞれの粒子は、湿気による分解に対するそれらの耐性を向上させるために、無機コーティングで被包される。そのようなコーティングの例は、米国特許第5,220,243号明細書、第5,244,750号明細書、第6,309,700号明細書、および第6,064,150号明細書中に記載されている。
【0004】
交番電圧を電極に印加すると、蛍光体から可視光を発する。EL蛍光体は、ミリ秒〜秒のオーダーの上昇時間および下降時間を有する。ランプのスイッチを切ると、ランプの光強度は、急速にゼロに下降する。これは、ELランプがバックライト安全サイン、出口サイン、または時計ダイヤルに使用される場合に、短所となりうる。非常事態においてまたは電池電力を節約したときにELランプへの電力が止まると、光を発しなくなる。
【0005】
長期残光性蛍光体(長期持続性または長期減衰性蛍光体とも呼ばれる)は、蛍光体の励起状態が数十分またはさらに時間のオーダーの長い減衰時間(または蛍光)を示す、蛍光体の特別な種類に属する。長期残光性蛍光体は、近紫外波長および可視波長の光で励起しうる。使用される長期残光性蛍光体によっては、人間の眼に見える発光は、励起源が取り去られた後に、長期の分または時間の間、継続し得る。長期残光性蛍光体の例として、式MO・x(Al23):RE[式中、Mはアルカリ土類金属、例えば、Ca、Sr、またはBaであり、REは、典型的には希土類活性化剤、例えば、ランタニド元素(原子番号57〜71)の一つである]で表されるアルミン酸蛍光体が挙げられる。特に興味深いものは、アルミン酸ストロンチウム、SrAl24:Eu,DyおよびSr4Al1425:Eu,Dyである。他の長期残光性蛍光体として、例えば、それぞれ米国特許第6,284,156号明細書、第6,099,654号明細書、および第6,379,584号明細書中に開示されている、種々のケイ酸塩、リン酸塩およびオキシ硫化物蛍光体が挙げられる。
【0006】
長期残光性蛍光体は、シート、形状体、コーティングに添加されており、現在、安全サイン、出口サイン、出口照明ストリップ、時計ダイヤル、および他の多くの光強度の低い用途で使用されている。長期残光性蛍光体を添加した物品は、後で放出されるエネルギーを蓄積するために、十分な長さの時間、外部光源に暴露される必要がある。外部光源なしでは、長期残光性蛍光体に蓄積されたエネルギーは、完全に消耗され、それ以上は発光しなくなる。
【0007】
暗所に適応した人間の眼が光を認識する下限が0.0032mcd/m2であることは、十分に証明されている。安全標識産業で認められている標準は、この値よりも数百倍高い。ASTM E2072−04によれば、脱出経路、非常用装置、および脱出経路沿いの障害物の光輝性標識の明所輝度は、活性化が終わった後に10分で20.0mcd/m2以上であり、且つ活性化が終わった後に60分で2.8mcd/m2以上である必要がある。
【0008】
長期残光性蛍光体は、また、米国特許第5,859,496号明細書、第6,479,936号明細書、および第6,617,781号明細書中に開示されているような、白熱灯または蛍光灯の設計に組み込むことができる。これらのランプ構造は、厚くて堅いものであり、ランプに不可逆的な損傷を与えずには、ほんの少しでもしならせたり、曲げたりすることはできない。
【特許文献1】米国特許第5,009,808号明細書
【特許文献2】米国特許第5,702,643号明細書
【特許文献3】米国特許第6,090,311号明細書
【特許文献4】米国特許第5,643,496号明細書
【特許文献5】米国特許第5,220,243号明細書
【特許文献6】米国特許第5,244,750号明細書
【特許文献7】米国特許第6,309,700号明細書
【特許文献8】米国特許第6,064,150号明細書
【特許文献9】米国特許第6,284,156号明細書
【特許文献10】米国特許第6,099,654号明細書
【特許文献11】米国特許第6,379,584号明細書
【特許文献12】米国特許第5,859,496号明細書
【特許文献13】米国特許第6,479,936号明細書
【特許文献14】米国特許第6,617,781号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来、ELランプは電力の供給を切断した後に十分な残光を有しない。残光は、安全照明および表示用途に特に有用である。後者に関して、エレクトロルミネセント・ランプは、携帯電話のような電池依存型装置のキーパッドを照らすために使用されている。これらの装置において節電するために、ELランプは一般には、限られた時間の間のみ点灯され、その時間の後に、自動的にスイッチが切断される。これは、例えば、キーを押してその後ダイヤルすることによって、暗所で再びランプを作動しなければならない使用者にとって、困ることになる可能性がある。本発明は、節電のためにELランプのスイッチが切断された後、より長い時間、使用者が十分に見えるようにキーパッドを維持することを可能にし、依然として使用者が暗所でキーが見えるようにしながら、電池を節電することが可能とすることが本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、薄くフレキシブルなELランプの長所と、長期残光性蛍光体の長所を組み合わせるものである。すなわち、第1電極、第2電極、誘電性材料並びにエレクトロルミネセント蛍光体および長期残光性蛍光体を有する蛍光体層を含む、エレクトロルミネセント・ランプを提供する。
好ましい長期残光性蛍光体はアルミン酸ストロンチウム蛍光体である。
長期残光性蛍光体は好ましくは、SrAl24:Eu,DyまたはSr4Al1425:Eu,Dyである。
【0011】
本発明はまた、エレクトロルミネセント蛍光体および長期残光性蛍光体を含む、エレクトロルミネセント・ランプ用の蛍光体ブレンドを提供する。
この場合、エレクトロルミネセント蛍光体は好ましくはZnS:Cuを含み、且つ長期残光性蛍光体がアルミン酸蛍光体である。
ここにアルミン酸蛍光体は好ましくは式MO・x(Al23):RE(式中、Mはアルカリ土類金属であり、REは、少なくとも一つのランタニド元素である)で表されるものである。
アルミン酸蛍光体は特にSrAl24:Eu,DyまたはSr4Al1425:Eu,Dyである。
【0012】
他の実施形態において、本発明は第1電極、第2電極、誘電性層、および蛍光体層を含む、長期残光性エレクトロルミネセント・ランプであって、少なくともその第1電極が、その蛍光体層から発する光に透明であり、蛍光体層および誘電性層が、電極の間に配置されており、蛍光体層が、第1電極に隣接しており、且つ第1誘電性材料中に分散されている長期残光性蛍光体とエレクトロルミネセント蛍光体とのブレンドを含み、誘電性層が、第2電極に隣接して位置しており、且つ第2誘電性材料中に分散された強誘電性材料を含む。
場合により第1誘電性材料と第2誘電性材料が同一である。
ここにエレクトロルミネセント蛍光体は好ましくはZnS:Cuを含み、且つ長期残光性蛍光体がアルミン酸蛍光体である。
アルミン酸蛍光体は好ましくはSrAl24:Eu,DyまたはSr4Al1425:Eu,Dyである。
【0013】
別の実施形態では、本発明は、オーバーレイ、前面透明電極、後面電極、誘電性材料、およびエレクトロルミネセント蛍光体を有する蛍光体層を含むエレクトロルミネセント・ランプであって、オーバーレイが、長期残光性蛍光体を有し且つ前面透明電極に隣接して位置している、エレクトロルミネセント・ランプである。
ここにオーバーレイは、好ましくは前面透明電極に付着されている。
長期残光性蛍光体は好ましくは式MO・x(Al23):RE(式中、Mはアルカリ土類金属であり、REは、少なくとも一つのランタニド元素である)で表されるアルミン酸蛍光体である。
アルミン酸蛍光体は、好ましくはSrAl24:Eu,DyまたはSr4Al1425:Eu,Dyである。
【0014】
別の実施形態では、エレクトロルミネセント蛍光体を含有する少なくとも一つの層および長期残光性蛍光体を含有する少なくとも一つの層を含むエレクトロルミネセント・ランプであって、エレクトロルミネセント蛍光体が、ランプに電力を加えると可視光を発し、長期残光性蛍光体が、ランプへの電力を切断した後しばらく可視光を発するものであるエレクトロルミネセント・ランプが提供される。
ここに長期残光性蛍光体を含有する層は、好ましくはランプの発光側の表面に付加されている。
エレクトロルミネセント蛍光体および長期残光性蛍光体が好ましくは同一の層に含有されている。
長期残光性蛍光体は好ましくはアルミン酸蛍光体で、式MO・x(Al23):RE(式中、Mはアルカリ土類金属であり、REは、少なくとも一つのランタニド元素である)で表されるものである。
アルミン酸蛍光体は好ましくはSrAl24:Eu,DyまたはSr4Al1425:Eu,Dyである。
【0015】
長期残光性蛍光体は好ましくは式MO・x(Al23):RE(式中、Mはアルカリ土類金属であり、REは、少なくとも一つのランタニド元素である)で表されるものである。
長期残光性蛍光体が、SrAl24:Eu,DyまたはSr4Al1425:Eu,Dyである、請求項1のランプ。
【発明の効果】
【0016】
本発明のELランプは、ランプへの電力の供給を切断した後も、使用しうる程度の照明を継続する。このことは、安全照明および表示用途に特に有用である。後者に関して、エレクトロルミネセント・ランプは、携帯電話のような電池依存型装置のキーパッドを照らすために使用されている。これらの装置において節電するために、ELランプは一般には、限られた時間の間のみ点灯され、その時間の後に、自動的にスイッチが切断される。これは、例えば、キーを押してその後ダイヤルすることによって、暗所で再びランプを作動しなければならない使用者にとって、困ることになる可能性がある。本発明は、節電のためにELランプのスイッチが切断された後、より長い時間、使用者が十分に見えるようにキーパッドを維持することを可能にする。そこで、依然として使用者が暗所でキーが見えるようにしながら、電池を節電することが可能となる。
【0017】
好ましくは、本発明で使用される長期残光性蛍光体は、1分より長い、その初期明度の10%に至るまでの減衰期間を有するものである。より好ましくは、長期残光性蛍光体は、60分より長い、その初期明度の5%に至るまでの減衰期間を有するものである。好ましくは、本発明の長期残光性エレクトロルミネセント・ランプは、ランプへの電力が切断された後に、少なくとも約10分間、少なくとも約3mcd/m2の可視照明を提供する。より好ましくは、長期残光性ELランプは、ランプへの電力が切断された後に、少なくとも約60分間、少なくとも約0.5mcd/m2の可視照明を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
一つの実施態様において、本発明のエレクトロルミネセント・ランプは、少なくとも一つのエレクトロルミネセント蛍光体を、少なくとも一つの長期残光性蛍光体と共に結合剤中で混合し、次いで、この蛍光体混合物を、スクリーン印刷、ドローブレードコーティング、またはロールツーロール印刷により慣用の方法で、基板上にコーティングすることにより製造しうる。ELランプの他の層を通常通りにコーティングして、ELランプを完成させる。
【0019】
他の実施態様において、ELランプは、慣用の方法で製造され、長期残光性蛍光体を含有する層は、ランプの発光側の外表面に付加される。これは、ELランプ上に直接コーティングするか、あるいは別個にコーティングされたオーバーレイを製造し、次いでそれをランプの発光側に隣接して付着させることのいずれかにより達成しうる。オーバーレイは、接着剤、プラスチック積層法、または他の同様の方法により、ELランプの発光側に付着される。オーバーレイは、また、ELランプの発光側に隣接している構造物に取り付けられる。オーバーレイは、また、長期残光性蛍光体を含浸させた透明フィルム、例えば、プラスチック中で充填剤として使用される長期残光性蛍光体と共に形成されたプラスチック材料のシートからなるものであってもよい。なお、本明細書中で使用される、用語「透明(な)」とは、その材料をある光が透過することのみを求めるものであり、したがって、本明細書中で使用される「透明(な)」は、半透明の材料をも包含するものである。用語「透明(な)」は、クリアである材料あるいはシースルーである材料のみに当てはめることを意図するものではない。
【0020】
本発明の他のおよびさらなる目的、効果および可能性と一緒に、本発明をより良く理解するために、上記の図面と共に、以下の開示および添付の特許請求の範囲を参照されたい。
【0021】
本発明の長期残光性エレクトロルミネセント・ランプは、厚膜ELランプ構造物をベースとしている。好ましい実施態様において、エレクトロルミネセント蛍光体層は、エレクトロルミネセント蛍光体粒子と長期残光性蛍光体の粒子のブレンドを含有する。この実施態様に係るランプは、図2の断面に示されている。長期残光性蛍光体25は、EL蛍光体8と混合され、次いで、ELランプ21中の層30へと形成される。EL蛍光体8は、外部電源装置(図示せず)からの電気エネルギーにより励起される。同時に、長期残光性蛍光体25は、EL蛍光体8により発光された光の一部により励起される。EL蛍光体と長期残光性蛍光体との双方からの光は、ランプの発光側を構成する透明電極6およびプラスチックフィルム12aを透過する。
【0022】
図3に示される他の実施態様においては、一層(または多重層)としての長期残光性蛍光体をエレクトロルミネセント・ランプの表面に塗布することができる。ここで、ELランプ40は、長期残光性蛍光体25がランプの発光側の上の層43中にコーティングされていることを除いて、従来の厚膜構造のものである。残光性蛍光体は、ELランプを製造するために使用されるものと同一の装置を使用して、無地のまたはパターン化された層中に付加することができる。
【0023】
図4に示される他の実施態様においては、長期残光性蛍光体25を、一層(または多重層)53として、別個の透明フィルム52に付加して、オーバーレイ60を形成する。長期残光性蛍光体は、ELランプを製造するために使用されるものと同一の装置を使用して、無地のまたはパターン化された層中に付加することができる。製造後、長期残光性オーバーレイ60を、長期残光性層53を保護するために、好ましくは透明フィルム52が外側を向くようにして、ELランプ50の発光側に付着させる。別個のオーバーレイの利点は、長期残光特性を、この特性を本来は有していないエレクトロルミネセント・ランプに付与することができるということである。
【0024】
その層をエレクトロルミネセント・ランプに塗布する好ましい方法および長期残光性蛍光体の層を透明フィルムに塗布する好ましい方法は、「シルクスクリーン」とも称される、スクリーン印刷である。しかしながら、ドローブレードコーティングやロールツーロールコーティング等の他のコーティング法を使用してもよい。
【0025】
本発明を、以下の実施例を参照して、さらに詳細に説明する。しかしながら、本発明は、そのような特定の実施例に限定されるものではない。
【0026】
以下の実施例において、エレクトロルミネセント・ランプは、以下の一般的な方法により構築される。エレクトロルミネセント蛍光体は、結合剤(デュポン超小型回路材料(DuPont Microcircuit Material) Luxprint(登録商標)8155エレクトロルミネセント媒体)と混合される。エレクトロルミネセント蛍光体は、青色、青緑色、緑色および白色発光性ZnS系EL蛍光体であった。特に、OSRAM SYLVANIA GlacierGLO(登録商標)型GG25(青緑色)、GG45(緑色)、GG64(青色)、およびGG73(白色)封入型蛍光体が使用された。液体結合剤中の蛍光体の百分率は、60重量%(wt%)である。蛍光体懸濁物は、酸化インジウムの透明な導電性層を有する0.0065〜0.0075インチ厚のPETフィルム(例えば、CP FilmsからのOC−200)上にスクリーン印刷される。ポリエステル製のスクリーンは、1インチあたり、137〜140本のスレッドを有している。乾燥後、チタン酸バリウムを充填した誘電性層(デュポン超小型回路材料(DuPont Microcircuit Material) Luxprint(登録商標)8153エレクトロルミネセント誘電性絶縁体)を、同様にして蛍光体層上に付加した。乾燥後、第2の誘電性層を、同様にして付加し、乾燥した。最後に、後面の炭素電極(デュポン超小型回路材料(DuPont Microcircuit Material) Luxprint(登録商標)7144炭素導電体)を誘電性層の上に付加し、乾燥した。実施例中で使用した長期残光性蛍光体は、Nemoto & Co. LumiNova(登録商標)型G−300(緑色発光性のSrAl24:Eu,Dy)蛍光体およびBG−300(青色発光性Sr4Al1425:Eu,Dy)蛍光体であった。
【実施例】
【0027】
実施例1
エレクトロルミネセント・ランプは、以下の点を除いて、前記と同様にして構築した。このランプで使用された蛍光体は、87wt%のGG25型エレクトロルミネセント蛍光体と13wt%のG−300M型長期残光性蛍光体の混合物であった。この混合物は、この2種の粉末をドライブレンドすることにより得られた。次いで、60wt%の割合の混合蛍光体を、結合剤と組み合わせて、蛍光体懸濁物を作製した。
【0028】
実施例2
このランプで使用された蛍光体混合物が77wt%のGG25型エレクトロルミネセント蛍光体と23wt%のG−300M型長期残光性蛍光体であったことを除いて、エレクトロルミネセント・ランプを実施例1に記載されたと同様にして構築した。
【0029】
実施例3
このランプで使用された蛍光体混合物が87wt%のGG45型エレクトロルミネセント蛍光体と13wt%のG−300M型長期残光性蛍光体であったことを除いて、エレクトロルミネセント・ランプを実施例1に記載されたと同様にして構築した。次いで、60wt%の割合の混合蛍光体を、結合剤と組み合わせて、蛍光体懸濁物を作製した。
【0030】
実施例4
このランプで使用された蛍光体混合物が77wt%のGG45型エレクトロルミネセント蛍光体と23wt%のG−300M型長期残光性蛍光体であったことを除いて、エレクトロルミネセント・ランプを実施例1に記載されたと同様にして構築した。
【0031】
実施例5
このランプで使用された蛍光体混合物が87wt%のGG64型エレクトロルミネセント蛍光体と13wt%のBG−300M型長期残光性蛍光体であったことを除いて、エレクトロルミネセント・ランプを実施例1に記載されたと同様にして構築した。
【0032】
実施例6
このランプで使用された蛍光体混合物が77wt%のGG64型エレクトロルミネセント蛍光体と23wt%のBG−300M型長期残光性蛍光体であったことを除いて、エレクトロルミネセント・ランプを実施例1に記載されたと同様にして構築した。
【0033】
実施例7
このランプで使用された蛍光体混合物が87wt%のGG73型エレクトロルミネセント蛍光体と13wt%のBG−300M型長期残光性蛍光体であったことを除いて、エレクトロルミネセント・ランプを実施例1に記載されたと同様にして構築した。
【0034】
実施例8
このランプで使用された蛍光体混合物が77wt%のGG73型エレクトロルミネセント蛍光体と23wt%のBG−300M型長期残光性蛍光体であったことを除いて、エレクトロルミネセント・ランプを実施例1に記載されたと同様にして構築した。
【0035】
実施例1〜8からのランプおよび長期残光性蛍光体無しの比較対照ランプをそれぞれ、125Vおよび800Hzで作動している電源に接続した。ランプは、72〜78°Fの間の温度で15分間、暗室で操作し、次いで、電力を切断した。電力を切断した後にランプが発する光を、光度計で読み取った。表1は、電力を切断した時から時間間隔を次第に長くして測定された、ミリカンデラ/平方メートル(mcd/m2)でのそれぞれのランプの明度(Bright.)を示す。
【0036】
【表1】

【0037】
実施例9
エレクトロルミネセント・ランプを、GG25型EL蛍光体と共に構築した(対照ランプA)。液体結合剤中のEL蛍光体の割合は、60wt%であった。別個に、G−300M型長期残光性蛍光体を結合剤(デュポンLuxprint(登録商標)8155)と組み合わせて、懸濁物を作製した。液体結合剤中の長期残光性蛍光体の割合は、60wt%であった。長期残光性蛍光体の懸濁物を、他のPETフィルム上にコーティングした。乾燥後、オーバーレイ上の蛍光体の被覆量は、0.0168g/cm2であった。長期残光性蛍光体を有するオーバーレイを、エレクトロルミネセント・ランプの発光側にテープで付着した。
【0038】
実施例10
この実施例のエレクトロルミネセント・ランプは、実施例9と同一のものであった(オーバーレイなし)。乾燥後に長期残光性蛍光体の第2層を第1層上にコーティングしたことを除いて、新規なオーバーレイを同じ方法で作製した。乾燥後、長期残光性蛍光体の第3層を、同じ方法で、先の二層の上にコーティングした。合計の蛍光体の被覆量は、0.0480g/cm2であった。次いで、残光性蛍光体を有するオーバーレイを、エレクトロルミネセント・ランプの発光側に付着した。
【0039】
実施例11
エレクトロルミネセント・ランプを、GG73型EL蛍光体と共に構築した(対照ランプD)。PETフィルム上のBG−300M型長期残光性蛍光体からなるオーバーレイ(0.0168g/cm2)を、エレクトロルミネセント・ランプの発光側にテープで付着した。
【0040】
実施例12
この実施例のエレクトロルミネセント・ランプは、実施例11と同一のものであった(オーバーレイなし)。長期残光性蛍光体の三層を付加して、新規なオーバーレイを作製したが、合計の蛍光体の被覆量は、0.0494g/cm2であった。次いで、残光性蛍光体を有するこのオーバーレイを、エレクトロルミネセント・ランプの発光側に付着した。
【0041】
実施例9、10、11および12からのランプをそれぞれ、125Vおよび800Hzで作動している電源に接続した。ランプは、72〜78°Fの間の温度で15分間、暗室で操作し、次いで、電力を切断した。実施例9〜12の明度を、光度計で読み取った。電力を切断した後の、分での時間に対応する、ミリカンデラ/平方メートル(mcd/m2)での明度を、表2に示す。
【0042】
【表2】

【0043】
実施例13
エレクトロルミネセント・ランプを、GG45型EL蛍光体と共に構築した(対照ランプB)。実施例9からのオーバーレイを、エレクトロルミネセント・ランプの発光側にテープで付着した。
【0044】
実施例14
この実施例のエレクトロルミネセント・ランプは、実施例13と同一のものであった(オーバーレイなし)。実施例10からのオーバーレイを、エレクトロルミネセント・ランプの発光側にテープで付着した。
【0045】
実施例15
エレクトロルミネセント・ランプを、GG64型EL蛍光体と共に構築した(対照ランプC)。実施例11からのオーバーレイを、エレクトロルミネセント・ランプの発光側にテープで付着した。
【0046】
実施例16
この実施例のエレクトロルミネセント・ランプは、実施例15と同一のものであった(オーバーレイなし)。実施例12からのBG−300M型長期残光性蛍光体を有するオーバーレイフィルムを、エレクトロルミネセント・ランプの発光側にテープで付着した。
【0047】
実施例13、14、15および16からのランプをそれぞれ、125Vおよび800Hzで作動している電源に接続した。ランプは、72〜78°Fの間の温度で15分間、暗室で操作し、次いで、電力を切断した。実施例13〜16の明度を、光度計で読み取った。電力を切断した後の、分での時間に対応する、ミリカンデラ/平方メートル(mcd/m2)での明度を、表3に示す。
【0048】
【表3】

【0049】
現在のところ本発明の好ましい実施態様と考えられるものが示され、記載されているが、添付の特許請求の範囲により定義されているような本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更および修正をなし得ることが当業者に明白であろう。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】従来型の厚膜エレクトロルミネセント・ランプの断面図である。
【図2】長期残光性蛍光体がエレクトロルミネセント蛍光体と共に混合されている、本発明の実施態様に係る長期残光性エレクトロルミネセント・ランプの断面図である。
【図3】長期残光性蛍光体がランプの表面にコーティングされている、本発明の他の実施態様に係る長期残光性エレクトロルミネセント・ランプの断面図である。
【図4】長期残光性蛍光体がランプへのオーバーレイとして付加されている、本発明のさらなる実施態様に係る長期残光性エレクトロルミネセント・ランプの断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極、第2電極、誘電性材料並びにエレクトロルミネセント蛍光体および長期残光性蛍光体を有する蛍光体層を含む、エレクトロルミネセント・ランプ。
【請求項2】
長期残光性蛍光体がアルミン酸ストロンチウム蛍光体である、請求項1のランプ。
【請求項3】
長期残光性蛍光体がSrAl24:Eu,DyまたはSr4Al1425:Eu,Dyである、請求項2のランプ。
【請求項4】
長期残光性蛍光体が、1分より長い、その初期明度の10%に至るまでの減衰期間を有するものである、請求項1のランプ。
【請求項5】
長期残光性蛍光体が、60分より長い、その初期明度の5%に至るまでの減衰期間を有するものである、請求項1のランプ。
【請求項6】
ランプが、ランプへの電力が切断された後に、少なくとも約10分間、少なくとも約3mcd/m2の可視照明を提供するものである、請求項1のランプ。
【請求項7】
ランプが、ランプへの電力が切断された後に、少なくとも約60分間、少なくとも約0.5mcd/m2の可視照明を提供するものである、請求項1のランプ。
【請求項8】
エレクトロルミネセント蛍光体および長期残光性蛍光体を含む、エレクトロルミネセント・ランプ用の蛍光体ブレンド。
【請求項9】
エレクトロルミネセント蛍光体がZnS:Cuを含み、且つ長期残光性蛍光体がアルミン酸蛍光体である、請求項8の蛍光体ブレンド。
【請求項10】
アルミン酸蛍光体が、式MO・x(Al23):RE(式中、Mはアルカリ土類金属であり、REは、少なくとも一つのランタニド元素である)で表されるものである、請求項9の蛍光体ブレンド。
【請求項11】
アルミン酸蛍光体が、SrAl24:Eu,DyまたはSr4Al1425:Eu,Dyである、請求項9の蛍光体ブレンド。
【請求項12】
第1電極、第2電極、誘電性層、および蛍光体層を含む、長期残光性エレクトロルミネセント・ランプであって、少なくともその第1電極が、その蛍光体層から発する光に透明であり、蛍光体層および誘電性層が、電極の間に配置されており、
蛍光体層が、第1電極に隣接しており、且つ第1誘電性材料中に分散されている長期残光性蛍光体とエレクトロルミネセント蛍光体とのブレンドを含み、
誘電性層が、第2電極に隣接して位置しており、且つ第2誘電性材料中に分散された強誘電性材料を含む、長期残光性エレクトロルミネセント・ランプ。
【請求項13】
第1誘電性材料と第2誘電性材料が同一である、請求項12のランプ。
【請求項14】
エレクトロルミネセント蛍光体がZnS:Cuを含み、且つ長期残光性蛍光体がアルミン酸蛍光体である、請求項12のランプ。
【請求項15】
アルミン酸蛍光体が、SrAl24:Eu,DyまたはSr4Al1425:Eu,Dyである、請求項14のランプ。
【請求項16】
オーバーレイ、前面透明電極、後面電極、誘電性材料、およびエレクトロルミネセント蛍光体を有する蛍光体層を含むエレクトロルミネセント・ランプであって、オーバーレイが、長期残光性蛍光体を有し且つ前面透明電極に隣接して位置している、エレクトロルミネセント・ランプ。
【請求項17】
オーバーレイが、前面透明電極に付着されている、請求項16のランプ。
【請求項18】
長期残光性蛍光体が、1分より長い、その初期明度の10%に至るまでの減衰期間を有するものである、請求項16のランプ。
【請求項19】
長期残光性蛍光体が、60分より長い、その初期明度の5%に至るまでの減衰期間を有するものである、請求項16のランプ。
【請求項20】
ランプが、ランプへの電力が切断された後に、少なくとも約10分間、少なくとも約3mcd/m2の可視照明を提供するものである、請求項16のランプ。
【請求項21】
ランプが、ランプへの電力が切断された後に、少なくとも約60分間、少なくとも約0.5mcd/m2の可視照明を提供するものである、請求項16のランプ。
【請求項22】
アルミン酸蛍光体が、式MO・x(Al23):RE(式中、Mはアルカリ土類金属であり、REは、少なくとも一つのランタニド元素である)で表されるものである、請求項16のランプ。
【請求項23】
アルミン酸蛍光体が、SrAl24:Eu,DyまたはSr4Al1425:Eu,Dyである、請求項16のランプ。
【請求項24】
エレクトロルミネセント蛍光体を含有する少なくとも一つの層および長期残光性蛍光体を含有する少なくとも一つの層を含むエレクトロルミネセント・ランプであって、エレクトロルミネセント蛍光体が、ランプに電力を加えると可視光を発し、長期残光性蛍光体が、ランプへの電力を切断した後しばらく可視光を発するものであるエレクトロルミネセント・ランプ。
【請求項25】
長期残光性蛍光体を含有する層が、ランプの発光側の表面に付加されている、請求項24の蛍光体ブレンド。
【請求項26】
エレクトロルミネセント蛍光体および長期残光性蛍光体が同一の層に含有されている、請求項24のランプ。
【請求項27】
ランプが、ランプへの電力が切断された後に、少なくとも約10分間、少なくとも約3mcd/m2の可視照明を提供するものである、請求項25のランプ。
【請求項28】
ランプが、ランプへの電力が切断された後に、少なくとも約60分間、少なくとも約0.5mcd/m2の可視照明を提供するものである、請求項25のランプ。
【請求項29】
アルミン酸蛍光体が、式MO・x(Al23):RE(式中、Mはアルカリ土類金属であり、REは、少なくとも一つのランタニド元素である)で表されるものである、請求項25のランプ。
【請求項30】
アルミン酸蛍光体が、SrAl24:Eu,DyまたはSr4Al1425:Eu,Dyである、請求項25のランプ。
【請求項31】
ランプが、キーパッドに対するバックライトを形成している、請求項1のランプ。
【請求項32】
ランプが、キーパッドに対するバックライトを形成している、請求項16のランプ。
【請求項33】
ランプが、キーパッドに対するバックライトを形成している、請求項25のランプ。
【請求項34】
長期残光性蛍光体が、式MO・x(Al23):RE(式中、Mはアルカリ土類金属であり、REは、少なくとも一つのランタニド元素である)で表されるものである、請求項1のランプ。
【請求項35】
長期残光性蛍光体が、SrAl24:Eu,DyまたはSr4Al1425:Eu,Dyである、請求項1のランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−126667(P2007−126667A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−299142(P2006−299142)
【出願日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(394001685)オスラム・シルバニア・インコーポレイテッド (68)
【Fターム(参考)】