説明

長距離秩序を有する有機膜を有した有機電子デバイスの構造テンプレーティング

所望の結晶秩序を有する有機膜を有した有機電子デバイス及びそのようなデバイスを作製する方法を示す。そのような有機膜を組み込んだ有機感光デバイスは、第1の電極層及び第1の電極層上に配置された少なくとも1つの構造テンプレーティング層を含む。光活性領域は、少なくとも1つの構造テンプレーティング層の上に配置されており、ドナー材料及びアクセプタ材料を含み、ドナー材料又はアクセプタ材料は、少なくとも1つの構造テンプレーティング層によりテンプレートされ、それにより、秩序分子配置を有しており、さらに、テンプレートされた材料の分子の少なくとも大多数は、第1の電極層に対して非優先配向状態にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府の権利
本発明は、米空軍科学研究局により授与された助成金番号FA−9550−041−0120のもとで米国政府の支援によりなされた。
【0002】
本開示は、有機電子デバイスに用いる有機膜に関する。
【背景技術】
【0003】
有機薄膜を用いて作製された有機電子デバイスにおいて、有機膜の形態(例えば、結晶構造)は、デバイスの電子的及び/又は光学的特性を決定する一因となりうる。多くの場合、膜における有機分子は、顕著な異方性を示し、膜内の有機分子の配向は、電荷キャリアの移動度に影響を及ぼしうる。例えば、有機発光デバイスの有機膜内に結晶秩序を構築することにより、直列抵抗を低くし、それにより発光効率を増大させることができる。有機光起電(OPV)デバイスなどの有機感光デバイスにおいて、感光デバイスの有機膜内に結晶秩序を構築することにより、短絡回路電流JSC及び開回路電圧VOCを増加させることができる。例えば、ドナー層の分子結晶配向を制御することにより、例えば、フロンティアエネルギーレベル、吸収効率、形態及び励起子拡散長の有益な変化をもたらすことができ、PVセルの電力変換効率ηの増加がもたらされる。さらに、結晶構造は非晶質構造より形態学的に安定であるため、得られるデバイスは、長期の稼働の信頼性がより大きくなると思われる。有機薄膜デバイスにおける有機分子の結晶構造はデバイスの重要な特徴でありうることは明らかであるが、所望の膜結晶構造を達成することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,468,819号
【特許文献2】米国特許公開第2005/0170621号
【特許文献3】米国出願公開第2008/0220265号
【特許文献4】米国特許第6,657,378号
【特許文献5】米国特許第6,303,238号
【特許文献6】米国特許出願公開第2003−0230980号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Xiaoliang Moら、「Polymer Solar Cell Prepared by a Novel Vaccum Spray Method」、Jpn. J. Appl. Phys. 44(2005)、656〜657頁
【非特許文献2】Durrら、「Interplay between morphology, structure, and electronic properties at diindenoperylene−gold interfaces」、Phys. Rev. B、68巻、115428頁(2003年)
【非特許文献3】Durrら、「Observation of competing modes in the growth of diindenoperylene on SiO2」、Thin Solid Films、503巻、127〜132頁(2006年)
【非特許文献4】Ruizら、「Pentacene ultrathin film formation on reduced and oxidized Si surfaces」、Phys. Rev.、B67、125406頁(2003年)
【非特許文献5】Casalisら、「Hyperthermal Molecular Beam Deposition of Highly Ordered Organic Thin Films」、Phys. Rev. Lett.、90巻、206101頁(2003年)
【非特許文献6】Luntら、Adv. Materials、19巻、4229〜4233頁(2007年)
【非特許文献7】Durrら、「Interplay between morphology, structure, and electronic properties at diindenoperylene−gold interfaces」、Phys. Rev.、B68、115428頁(2003年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、有機電子デバイスに用いる所望の結晶構造を有する有機膜を成長させる改善された方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、有機電子デバイス用の所望の膜形態(例えば、分子配向、表面粗度、結晶粒径、相純度、等)を有する有機膜を提供する。本開示の一実施形態において、そのような有機膜を組み込んだ有機感光デバイスを開示する。有機感光デバイスは、第1の電極層及び第1の電極層上に配置された少なくとも1つの構造テンプレーティング層を含む。光活性領域は、少なくとも1つの構造テンプレーティング層の上に配置されており、ドナー材料及びアクセプタ材料を含み、ドナー材料又はアクセプタ材料は、少なくとも1つの構造テンプレーティング層によりテンプレートされ、それにより、秩序分子配置を有しており、さらに、テンプレートされた材料の分子の少なくとも大多数は、第1の電極層に対して非優先配向状態にある。デバイスは、光活性領域上に配置された第2の電極層をさらに含む。有機感光デバイスを作製する方法も開示する。
【0008】
一実施形態において、第1の電極層、第2の電極層、第1の電極と第2の電極との間に配置された少なくとも1つの構造テンプレーティング層及び少なくとも1つの構造テンプレーティング層上に配置された機能層を含む、有機発光デバイスを開示する。機能層は、秩序分子配置の状態にあるその分子を有し、機能層の分子の少なくとも大多数は、少なくとも1つの構造テンプレーティング層の直下の層に対して非優先配向の状態である。そのような有機発光デバイスを作製する方法も開示する。
【0009】
他の実施形態において、第1の電極層及び第1電極層上に配置された少なくとも1つの構造テンプレーティング層を含む、有機発光デバイスを開示する。有機発光層は、少なくとも1つの構造テンプレーティング層上に配置されている。有機発光層は、ニート層(neat layer)でありえ、又はドーパント材料をドープしたホスト材料を含みうる。該デバイスは、有機発光層上に配置された第2の電極層をさらに含み、ドーパント材料は、有機発光層内で秩序分子配置を有し、さらに、ドーパント分子の少なくとも大多数は、第1の電極層に対して非優先配向状態である。該有機発光デバイスを作製する方法も開示する。
【0010】
他の実施形態において、本開示は、所望の膜形態を有する有機膜を有する有機電子デバイスを作製する方法を提供する。本方法は、有機分子をテンプレート基材上に堆積させることによりテンプレート基材上に有機膜を成長させる段階と、有機電子デバイス用のホスト基材に有機膜を移す段階を含む。場合によっては、有機膜は、ホスト基材に冷間溶接してもよい。
【0011】
他の実施形態において、本開示は、ホスト基材及びホスト基材上に直接堆積させた有機膜を含む有機電子デバイスを提供する。有機膜は、秩序配置状態の有機分子で構成されており、有機膜内の有機分子の少なくとも大多数は、ホスト基材に対して非優先配向の状態である。場合によっては、有機膜は、300Å以上の厚さを有し、有機膜の厚さ全体にわたる有機分子の少なくとも大多数は、非優先配向の状態である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】有機電子デバイスを作製するために本開示の方法をどのようにして実施するかの例を示す図である。
【図1B】有機電子デバイスを作製するために本開示の方法をどのようにして実施するかの例を示す図である。
【図1C】有機電子デバイスを作製するために本開示の方法をどのようにして実施するかの例を示す図である。
【図1D】有機電子デバイスを作製するために本開示の方法をどのようにして実施するかの例を示す図である。
【図1E】有機電子デバイスを作製するために本開示の方法をどのようにして実施するかの例を示す図である。
【図1F】有機電子デバイスを作製するために本開示の方法をどのようにして実施するかの例を示す図である。
【図2A】テンプレート基材上で成長した有機膜がホスト基材上で成長する有機膜とどのように異なるかの例を概略的に示す図である。
【図2B】テンプレート基材上で成長した有機膜がホスト基材上で成長する有機膜とどのように異なる可能性があるかの例を概略的に示す図である。
【図3A】テンプレート基材上で成長した有機膜がホスト基材上で成長した有機膜とどのように異なる可能性があるかの他の例を概略的に示す図である。
【図3B】テンプレート基材上で成長した有機膜がホスト基材上で成長した有機膜とどのように異なる可能性があるかの他の例を概略的に示す図である。
【図4A】KBr基板上に成長した種々のペンタセン膜について得られたX線回折スペクトルを示す図である。
【図4B】ペンタセン膜のRHEEDパターン及び交差偏光光学顕微鏡像を示す図である。
【図4C】ペンタセン膜のRHEEDパターン及び交差偏光光学顕微鏡像を示す図である。
【図5A】秩序ペンタセン膜上で直接成長させたC60膜のRHEEDパターンを示す図である。
【図5B】秩序ペンタセン膜上で直接成長させたC60膜のRHEEDパターンを示す図である。
【図5C】C60膜について得られたX線回折スペクトルを示す図である。
【図6A】ジインデノペリレン(DIP)の分子構造を示す図である。
【図6B】α相及びβ相におけるDIP分子の可能な単位胞配置を示す図である。
【図7】石英及びPTCDA上で成長させたDIP膜のX線回折スペクトルを示す図である。
【図8A】KBr基板上で成長させたDIP膜について異なる方位角で得られたRHEEDパターンを示す図である。
【図8B】KBr基板上で成長させたDIP膜について異なる方位角で得られたRHEEDパターンを示す図である。
【図8C】KBr基板上で成長させたDIP膜について異なる方位角で得られたRHEEDパターンを示す図である。
【図9A】KBr基板上で成長したDIP膜の原子間力顕微鏡像を示す図である。
【図9B】DIP膜の交差偏光光学顕微鏡像を示す図である。
【図10A】種々の基材上で成長したDIP膜の原子間力顕微鏡像を示す図である。
【図10B】種々の基材上で成長したDIP膜の原子間力顕微鏡像を示す図である。
【図10C】種々の基材上で成長したDIP膜の原子間力顕微鏡像を示す図である。
【図10D】種々の基材上で成長したDIP膜の原子間力顕微鏡像を示す図である。
【図11】Pt(pq)(acac):白金(2−[2’−ピリジル]キノキサリン)(アセチルアセトネート)製の膜のX線回折スペクトルを示す図である。
【図12】(a)は、PTCDA、CuPc、DIPの別個の層及びこれらの層の組合せのX線回折プロットを示す図である。(b)は、CuPc分子の(200)方向の概略図である。(c)は、CuPc分子の(312)方向の概略図である。
【図13】(a)は、PTCDA、CuPc及びPTCDAテンプレート層上のCuPcの紫外光電子分光測定を示す図である。(b)は、PTCDA、DIP及びCuPc膜のHOMOのeVの単位の測定値の概略のエネルギー図を示す図である。
【図14】ITO上で直接成長させたCuPc膜(a)、PTCDAテンプレート膜上で成長したCuPc膜(b)、DIPテンプレート膜上で成長させたCuPc膜(c)及び多層テンプレート膜DIP/PTCDA上で成長させたCuPc膜(d)の原子間力顕微鏡像である。
【図15】(a)は、サンプルOPVデバイスの吸収プロット(線)及びEQEプロット(記号)を示す図である。(b)は、デバイス(III)からデバイス(IV)へのIQE変化のプロットを示す図である。
【図16】一実施形態による有機感光デバイスの概略図である。
【図17】Si上に堆積させた次の膜のX線回折スペクトルを示す図である:PTCDA(5nm);コロネン(50nm)/PTCDA(5nm);CuPc(50nm)/コロネン(5nm)/PTCDA(5nm);コロネン(50nm); CuPc(50nm)/コロネン(50nm)。
【図18】他の実施形態による有機発光デバイスの概略図である。
【図19】ITO上及びITO上のPTCDAの構造テンプレーティング層上に堆積させたClAlPcの膜のX線回折強度プロットを示す図である。
【図20】(a)は、NPDのX線回折強度プロットを示す図である。(b)は、結晶NPD上及びITO上に蒸着させたC60の膜のX線回折強度プロットを示す図である。
【図21】(a)及び(b)は、それぞれNPD(101)及びC60(111)の結晶構造配向の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示は、有機電子デバイスに用いる所望の膜形態(例えば、分子配置(すなわち、結晶秩序)、表面粗度、結晶粒径、相純度、等)を有する有機膜を提供する。一実施形態において、本開示は、そのような有機膜を利用する有機電子デバイスを提供する。一実施形態において、本開示は、有機電子デバイスを作製する方法を提供する。
【0014】
本明細書で用いているように、「構造テンプレーティング」は、中間材料の薄層がホスト基材上に堆積しており、中間材料の分子が、特定の秩序分子配置を示しており、その後に堆積する第2の材料に、第2の材料をホスト基材上に堆積させた場合に選択的に形成する第2の材料の固有の分子配置をとるよりむしろ中間材料の下にある秩序分子配置に従わせる効果を意味する。ホスト基材上の中間材料の薄層は、本明細書では「構造テンプレーティング層」と呼ぶ。「ホスト基材」とは、我々は、他の有機膜(必ずしも本開示により作製されるものでない)などの有機膜、電極を支持するのに適する有機電子デバイスの構成要素、又はデバイスをのせるデバイス基材(例えば、ガラス又はプラスチック)を意味する。「テンプレート基材」とは、我々は、ホスト基材上に有機膜を直接堆積/成長させるのではなく、その上に堆積/成長させた有機膜を次に有機電子デバイス用のホスト基材に移す方法において有機膜を堆積/成長させることができる材料の実質的に平坦な物品又は膜/層を意味する。
【0015】
有機膜は、真空熱蒸着、有機気相堆積及び有機分子ビーム堆積などの適切な堆積技術を用いて成長させることができる。テンプレート基材は、そのような堆積法により有機膜を成長させるのに適するあらゆる材料(有機又は無機)製であってよい。構造テンプレーティング層又はテンプレート基材用の材料は、有機電子デバイスに用いる所望の秩序分子配置を有する有機膜を成長させるために選択することができる。本明細書で述べる発明は、小分子の有機膜のみに限定されず、ポリマー半導体材料にも適用できる。有機ポリマー膜については、適切な堆積技術は、溶媒が下にある構造テンプレーティング層を溶解しない、ポリマー堆積のための伝統的な溶液処理を含む。ポリマー膜は、真空噴霧技術を用いて堆積させることもできる。ポリマー半導体のそのような噴霧堆積の例は、Xiaoliang Moら、「Polymer Solar Cell Prepared by a Novel Vaccum Spray Method」、Jpn. J. Appl. Phys. 44(2005)、656〜657頁に開示されている。
【0016】
有機膜の分子配置は、構造テンプレーティング層又はテンプレート基材の選択及び有機膜の成長条件に関連する様々な因子に依存しうる。例えば、膜における有機分子の配向は、膜構造のエネルギー及び成長過程の動力学的バリアに依存しうる。膜構造のエネルギーは、分子基材相互作用の強さ対分子間相互作用の強さに依存しうる。成長過程に対する動力学的バリアは、テンプレート基材の温度及び有機膜が成長する速度(又は代わりになるべきものとして、到着有機分子の流束)に依存しうる。したがって、構造テンプレーティング層又はテンプレート基材の選択、有機膜を作製するために用いる有機分子の性質及び/又は膜の成長条件によって、様々な分子成長方位が出現しうる。したがって、これらの因子は、所望の秩序分子配置を有する有機膜の成長を促進するように選択することができる。
【0017】
有機分子について、構造秩序は、テンプレート基材上の膜のエピタキシャル又は準エピタキシャル成長によって達成することができる。「準エピタキシャル」という用語は、膜が基材格子と膜格子の間の明確な方位の整列を伴って成長するが、基材との短距離整合性に欠けることを意味する。基材格子と不整合膜格子の間の関係は、ファンデルワールス相互作用における最小エネルギーによって決定されると考えられる回転関係を含む。
【0018】
金属基材などのある種のテンプレート基材は、一般的に有機分子によって濡れる。そのような場合、有機分子の配置は、分子基材相互作用によって主として支配される。金属酸化物又はイオン性基材(例えば、アルカリハロゲン化物又は雲母)などの他の種類の基材は、一般的に有機分子によって濡れない。そのような場合、有機分子の配置は、分子間相互作用によって主として支配される。場合によって、テンプレート基材は、膜の所望の種類の秩序分子配置を促進するための秩序結晶構造を有する。例えば、テンプレート基材は、単結晶表面を有していてよい。場合によって、テンプレート基材は、構造的に規則的な有機膜である(必ずしも本開示の方法により作製されるものでない)。
【0019】
この技術により用いることができる有機分子の例としては、平面又は実質的に平面のπ共役多環式芳香族有機分子などが挙げられる。そのような有機分子は、直線的に配置された芳香族環の平面有機分子であるアセン(アントラセン、テトラセン又はペンタセンなど)、ペリレン(ペリレン、ジインデノペリレン(DIP)又は3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物(PTCDA)など)、コロネン(ヘキサベンゾコロネンなど)、メタロフタロシアニン(亜鉛フタロシアニン又はバナジルフタロシアニンなど)、ポリフェニレン(ヘキサフェニルなど)、オリゴチオフェン(α−クアテルチオフェン又はα−ヘキサチオフェン)などである。
【0020】
所望の秩序分子配置を有する有機膜が、光電子デバイスから離されたテンプレート基材上に形成される一実施形態において、有機膜が次に有機電子デバイス用のホスト基材に移される。有機膜は、冷間溶接法及び当技術分野で公知の様々な他の有機膜リフトオフ法を含む、有機膜を他の基材上に移し、有機膜をテンプレート基材から取り外すのに適する技術を用いて移すことができる。冷間溶接は、通常、金属間接着について公知であるが、有機膜についての使用について記載されている。例えば、両方が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,468,819号(Kimら)及び米国特許公開第2005/0170621号(Kimら)に記載されている冷間溶接法を用いることができる。
【0021】
場合によって、冷間溶接は、有機膜をホスト基材と接触させ、有機膜をホスト基材に押し付けることによって行う。界面分離距離を臨界値以下に減少させるのに十分な圧力を加えることにより、有機膜は、ホスト基材と融合する。有機膜をホスト基材に直接冷間溶接することができない場合には、有機膜にテンプレート基材と向かい合った有機膜の表面上に転移層(transfer layer)を設けることができる。転移層は、有機膜のホスト基材への転移を促進するものであり、好ましくは、転移層は、ホスト基材に冷間溶接することができる材料製である。この場合、転移層をホスト基材と接触させ、ホスト基材に押し付けて、転移層をホスト基材に冷間溶接する。場合によって、転移層とホスト基材は、両方が、同じ又は異なる金属であってよい金属製である(金又は銀など)。転移層の厚さは、個別の用途によって異なる。具体例としての転移層の厚さは、5〜30nmの範囲を含むが、これに限定されない。冷間溶接法は、可撓性デバイス基材上のロールツーロール加工などの有機電子デバイスを作製するための高処理能力製造工程に組み込むことができる。
【0022】
本開示の方法をどのように実施することができるかの一例を図1A〜1Fに示す。図1Aについて述べると、有機膜20を酸化ケイ素テンプレート基材10上で準エピタキシャル成長させる。有機膜20を形成する有機分子22は、テンプレート基材10との比較的に弱い相互作用を有する。したがって、堆積時に、堆積有機分子22は、垂直の方向に配向した状態になる。有機膜20は、ここでは概略的に表し、原寸に比例して描いていない。例えば、明確さを改善するために、有機分子22のサイズを誇張し、有機分子22の2つの単層のみを示す。
【0023】
図1Bについて述べると、準エピタキシャル有機膜20を成長させた後、金属転移層30をテンプレート基材10と反対側の有機膜20の表面上に堆積させる。図1Cについて述べると、ホスト基材34を準備し、有機膜20をその上に移す。転移層30をホスト基材34と向い合せさせ、転移層30をホスト基材34に押し付けて、転移層30をホスト基材34に冷間溶接する。図1Dに見られるように、これが、転移層30がホスト基材34に融合する結果となる。
【0024】
図1Eに見られるように、テンプレート基材10を有機膜20から分離し、持ち上げてはずす。結果として、準エピタキシャル成長有機膜20が今度はホスト基材34に移された。図1Fに見られるように、場合によって、他の種類の機能的有機膜26を有機膜20上に形成することができる。次に電極40を有機膜の積重ねの上に設ける。
【0025】
本開示の方法を用いることにより、異なる所望の結晶配向を有する有機膜を有するホスト基を提供することが可能であり、或いは有機電子デバイスにおける有機膜を作製するのに有用な比較的温和な成長条件(例えば、(−25)〜150℃の範囲の基材温度、0.01〜10Å/秒の範囲の堆積速度、10−10トル〜10トルの範囲の圧力下)のもとで有機膜をホスト基材上に直接成長させた場合にはさもなければ可能ではない。図2Aにテンプレート基材60上で成長する有機膜64中で有機分子66をどのようにして配向させることができるかの例を示す。図2Bに膜を比較的温和な成長条件下でホスト基材62上で直接成長させるべき場合に有機分子66がどのように配向するかの例を示す。
【0026】
図3Aにテンプレート基材70上で成長する有機膜74中で所望の結晶秩序を有するように有機分子76をどのようにして配向させことができるかの他の例を示す。図3Bに膜を比較的温和な成長条件下でホスト基材72上で直接成長させるべき場合に有機分子76がどのように配向するかの例を示す。本開示の方法は、さもなければ異なると思われる十分な秩序構造を有する有機膜を有するホスト基材を提供することも可能にしうる。或いは比較的温和な成長条件下で有機膜をホスト基材上に直接成長させた場合には可能でない(すなわち、ホスト基材上で直接成長したそのような有機膜は非晶質でありうる)。本開示により作製された有機膜は、300Å以上の膜厚にわたり長距離結晶秩序を有しうる。場合によって、本開示の方法により作製された有機膜は、300Å〜3000Åの範囲の厚さにわたり長距離結晶秩序を有する。他の膜厚を通して長距離結晶秩序が維持される可能性もある。本開示において、これを所望の結晶秩序又は所望の秩序分子配置と呼ぶこととする。
【0027】
他の実施形態において、本開示は、所望の分子配置である長距離結晶秩序を有する有機膜を含む有機電子デバイスを提供する。該有機膜は、上述の方法又は他の適切な方法により作製することができる。該有機電子デバイスは、有機膜が直接配置されている(例えば、他所から移すことにより又はホスト基材上への直接堆積により)ホスト基材を含む。さらに、ホスト基材は、他の有機膜(必ずしも本開示の方法により作製されたものでない)、電極又はデバイスが取り付けられているデバイス基材(例えば、ガラス又はプラスチック)などの有機膜を支持するのに適する有機電子デバイスの構成要素でありうる。ホスト基材自体が構造テンプレーティング基材である又はホスト基材が構造テンプレーティング材料の1つ若しくは複数の膜とともにその上にあらかじめ堆積されている一実施形態において、そのようなホスト基材は、光電子デバイスの一部でありうる。その場合、テンプレートされた有機膜は、異なるホスト基材に移す必要はない。
【0028】
特定の実施形態において、テンプレートされた結晶性有機膜中の有機分子の少なくとも大多数は、ホスト基材に対して非優先配向を有する。本明細書で用いているように、「非優先配向」は、有機電子デバイスにおける有機膜を作製するのに有用な比較的温和な成長条件(例えば、(−25)〜150℃の範囲の基材温度、0.01〜10Å/秒の範囲の堆積速度、10−10トル〜10トルの範囲の圧力下)のもとで分子をホスト基材上に直接堆積させるべきであった場合に、テンプレートされた有機膜中の分子が優先的成長モードの特徴を示さない配向を有することを意味する。したがって、非優先配向の状態であることにより、有機分子は、分子間力と分子基材間力とのバランスに基づいてエネルギー的に不利な配向で存在する可能性がある。場合によって、テンプレートされた有機膜中の有機分子の少なくとも75%がホスト基材に対して非優先配向を有する。
【0029】
1つ又は複数の構造テンプレーティング膜をホスト基材上にあらかじめ堆積させ、テンプレートすべき有機膜を1つ又は複数の構造テンプレーティング膜上に堆積させる実施形態において、テンプレートされた有機膜は、下にあるホスト基材に対して非優先配向を有する。有機膜の非優先配向(ホスト基材に対して)は、有機膜の所望の長距離結晶秩序であるので、1つ又は複数の構造テンプレーティング膜は、ホスト基材上に有機膜を形成することを可能にする。
【0030】
例えば、温和な堆積条件下で金基材上に成長させたジインデノペリレン(DIP)膜において、垂直配向を有するDIP分子は、非優先配向の状態にあるとみなされる。Durrら、「Interplay between morphology, structure, and electronic properties at diindenoperylene−gold interfaces」、Phys. Rev. B、68巻、115428頁(2003年)を参照のこと。他の例において、SiO基材上で成長させたDIP膜において、水平配向を有するDIP分子は、非優先配向の状態にあるとみなされる。Durrら、「Observation of competing modes in the growth of diindenoperylene on SiO」、Thin Solid Films、503巻、127〜132頁(2006年)を参照のこと。本明細書で用いているように、「垂直配向」は、分子の長軸が基材表面に対して45°より大きい角度で整列している配向を意味し、「水平配向」は、分子の長軸が基材表面に対して45°又はそれ以下の角度で整列している配向を意味する。有機電子デバイスにおいて、デバイスの種々の層におけるそのような配向は、2つの電極の間の方向の電荷輸送を増加させることによりデバイスの性能を改善する。
【0031】
一般的に、付着エネルギーは一般的に有機分子間の凝集エネルギーより一般的に著しく強いため、金属基材上に堆積させたπ共役多環式芳香族有機分子は、分子基材間相互作用によって支配される配向にそれら自体を配置することが認められた。したがって、金属基材上に堆積させたπ共役多環式芳香族有機分子は、一般的に金属基材に対して水平配向を有する。したがって、本開示は、膜中のπ共役多環式芳香族有機分子が金属ホスト基材に対して非優先垂直配向の状態にある、金属ホスト基材上の有機膜を提供しうる。
【0032】
(実施例)
本発明の特定の代表的実施形態を、そのような実施形態をどのようにして構築したかを含めて、これから記述することとする。特定の方法、材料、条件、工程パラメーター、装置などは本発明の範囲を必ずしも限定しないことが理解される。
【0033】
図4A〜4Cについて、1500Åの厚さのペンタセン膜を種々の基材温度(Tsub=80、50及び0℃)で[100]KBr基材上に成長させた。図4Aに3つのペンタセン膜について得られたX線回折スペクトルを示す。上のプロットは、Tsub=80℃で成長させたペンタセン膜に関するものであり、中間のプロットは、Tsub=50℃で成長させたペンタセン膜に関するものであり、下のプロットは、Tsub=0℃で成長させたペンタセン膜に関するものである。
【0034】
X線回折スペクトルは、膜が単一[100]方位について可変二相性内容物を有することを示している。2つの層を薄層相(より大きい格子間隔を有する)及びバルク相(より小さい格子定数を有する)と呼ぶ。このシリーズのスペクトルは、KBr上で成長させた場合、ピークがより低い基材温度でのバルク相の減少を伴っていたことも示している。Tsub=0℃では、膜はほぼ一相性になる。
【0035】
図4BにTsub=80℃で成長させたペンタセン膜について得られた反射高速電子回折(RHEED)パターン及び膜の二相(≒50%)性を示す膜表面の対応する交差偏光光学顕微鏡像を示す。図4CにTsub=0℃で成長させたペンタセン膜について得られたRHEEDパターン及び膜表面の対応する交差偏光光学顕微鏡像を示す。さらに、これらの画像は、膜が基材温度の低下に伴って漸進的により一相性になることを示している。
【0036】
ペンタセンは、酸化ケイ素などの不活性表面上で垂直配向で成長することも公知である(Ruizら、「Pentacene ultrathin film formation on reduced and oxidized Si surfaces」、Phys. Rev.、B67、125406頁(2003年)参照)が、金属表面(銀など)は、表面に平行な分子長軸を有する立体配置を促進する(Casalisら、「Hyperthermal Molecular Beam Deposition of Highly Ordered Organic Thin Films」、Phys. Rev. Lett.、90巻、206101頁(2003年)参照)。
【0037】
図5A〜5Cについて、300Åの厚さのC60膜を上述のようなペンタセン膜上で直接成長させた(Tsub=0℃で成長させた)。C60膜は、25sccmの源流速、0.2Å/秒の堆積速度及びTsub=60又は90℃の基材温度で堆積させた。図5AにTsub=60℃で成長させたC60膜について得られたRHEEDパターンを示す。RHEEDパターンは、KBr基材の(100)及び(010)面に平行な方向に向けられた20keV入射ビームにより得られた。図5BにTsub=90℃で成長させたC60膜について得られたRHEEDパターンを示す。さらに、RHEEDパターンは、KBr基材の(100)及び(010)面に平行な方向に向けられた20keV入射ビームにより得られた。図5Aと図5Bは、C60膜の結晶の質を示している。これらの結果は、他の有機膜(必ずしも本開示の方法の有機膜でない)が十分に配向した結晶構造を有する有機膜を成長させるためのテンプレート基材としての役割を果たしうることを示すものである。また、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物(PTCDA)の高度秩序膜が構造的に規則正しい銅フタロシアニン膜の後の成長のための適切なテンプレート基材でありうることが最近示された。Luntら、Adv. Materials、19巻、4229〜4233頁(2007年)を参照のこと。PTCDAは、SiOなどの非晶質基材又はインジウムスズ酸化物(ITO)などの粗面上に堆積したとき平坦に広がる傾向について注目に値する。
【0038】
図5Cに上の2つのC60膜(Tsub=60及び90℃)のX線回折スペクトルを示す。上のプロットは、Tsub=90℃で堆積させたC60膜に関するものであり、下のプロットは、Tsub=60℃で堆積させたC60膜に関するものである。図5Cにスペクトルにおけるピークに帰属させた種々の結晶方位も示す。[111]及び[220]ピークの相対強度に基づいて、膜中の[111]相と[220]相との容積比は、Tsub=90℃で堆積させたC60膜については3.8、Tsub=60℃で堆積させたC60膜については1.7と推定された。これらの結果は、より高い基材温度は、いくつかのC60膜において望ましいことがありうる[111]相の成長を促進しうることを示すものである。
【0039】
図6Aにジインデノペリレン(DIP)の分子構造を示す。DIP膜の2つの公知の成長モードは、α相(λ相としても公知)及びβ相(σとしても公知)である。α相において、DIP分子の長軸は、基材表面に平行に配向している。この相は、DIP分子が基材と比較的に強い相互作用を有する場合に発生すると考えられている。β相において、DIP分子の長軸は、基材表面に対して垂直又は直立配向状態にある。Durrら、「Observation of competing modes in the growth of diindenoperylene on SiO」、Thin Solid Films、503巻、127〜132頁(2006年)を参照のこと。この相は、DIP分子の配向が分子間相互作用によって主として支配されるようなDIP分子が基材と比較的に弱い相互作用を有する場合に発生すると考えられている。図6Bにα相及びβ相におけるDIP分子の可能な単位胞配置を示す。単位胞は、3つの格子パラメーター:a、b及びc並びに角度:α、β及びλ(度単位)によって特徴づけられる。
【0040】
図7に石英及びPTCDA(3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物)上で成長させたDIP膜のX線回折スペクトルを示す。上のプロットは、SiO上のDIP膜に関するものであり、下のプロットは、PTCDA上のDIP膜に関するものである。SiO上のDIP膜のX線回折スペクトルは、β相とα相の両方の共存を示しており、β相(垂直配向)に関連する複数のピークの存在により示されているようにβ相の優先成長が示唆される。PTCDA上のDIP膜については、回折ピークは、DIP分子のβ相配向の(020)、(021)及び(121)面に関連している。
【0041】
図8A〜8Cについて、DIP膜を0.2Å/秒、10mトルの圧力で、20℃の基材温度で(001)KBr上に成長させた。図8A〜8Cに異なる方位角で得られたRHEEDパターンを示す。これらのRHEEDパターンから計算したd間隔は、DIP分子の長軸が基材に平行になっていること(α相)を示している。これは、DIPがKBrとの強い基材相互作用を有することを示すものである。DIP膜が金基材上でα相に成長することも公知である。Durrら、「Interplay between morphology, structure, and electronic properties at diindenoperylene−gold interfaces」、Phys. Rev.、B68、115428頁(2003年)を参照されたい。
【0042】
KBr上で成長させたDIP膜の表面形態を検討するために、原子間力顕微鏡法及び交差偏光光学顕微鏡法により膜を撮像した。図9Aは、膜のAFM像であり、約500nmの幅と150nmの高さの細長い繊維状の構造(ナノワイヤー)を形成したDIP分子を示している。図9Bは、膜の交差偏光光学顕微鏡像であり、表面のナノワイヤー構造を確認するものである。
【0043】
図10A〜Dに種々の基材上で成長させたDIP膜の表面の原子間力顕微鏡像を示す。図10AにKBr膜上で成長させた1000Åの厚さのDIP膜の表面を示す。図10Bにケイ素上で成長させた1000Åの厚さのDIP膜の表面を示す。図10Cにサファイヤ上で成長させた1000Åの厚さのDIP膜の表面を示す。図10Dにサファイヤ上で成長させた500Åの厚さのDIP膜の表面を示す(垂直のDIP分子の存在を反映するテラス形態に注意すること)。
【0044】
図11にPt(pq)(acac):白金(2−[2’−ピリジル]キノキサリン)(アセチルアセトネート)の有機気相堆積により形成された膜のX線回折スペクトルを示す。上のプロットは、シリカ石英上で成長させたPt(pq)(acac)膜に関するものであり、下のプロットは、サファイヤ(Al)で成長させたPt(pq)(acac)膜に関するものである。基材法線に平行に配向した(001)面に関連する4つの主要なピークが示されている。より小さいピークは、おそらく二次結晶相に関連する。
【0045】
一実施形態において、テンプレート基材上で最初に成長させた上述の有機膜のいずれかは、有機電子デバイスを作製する際にホスト基材に移すことができる。本開示の有機電子デバイスは、有機発光デバイス(OLED)、有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機薄膜トランジスタ(OTFT)及び有機感光デバイス(光起電デバイス(OPV又は太陽電池)及び有機光検出器など)を含むが、これらに限定されない。
【0046】
他の実施形態において、所望の長距離結晶秩序がホスト基材に対して非優先配置である場合、所望の長距離結晶秩序(すなわち、垂直配向)を有する有機膜を有機電子デバイスのホスト基材構造(例えば、電極層)上で成長させることができる。これは、構造テンプレーティング材料の1つ又は複数の層をホスト基材上に最初に堆積させ、次に意図する有機膜を構造テンプレーティング層上で成長させることによって達成することができる。
【0047】
有機発光デバイスについては、所望の長距離結晶秩序を有する有機膜は、正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層又は電子注入層などの有機発光デバイスに用いられる様々な種類の機能有機膜のいずれかとしての役割を果たしうる(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Xiaらへの米国出願公開第2008/0220265号参照)。
【0048】
他の実施例において、所望の長距離結晶秩序を有する有機膜は、ドナー、アクセプタ、励起子阻止層、等などのOPVに用いられる様々な種類の機能有機膜のいずれかとしての役割を果たしうる。
【0049】
我々は、OPVの性能が、秩序結晶性「構造テンプレーティング」層上の活性層の成長により制御される1つ又は複数の光活性層の結晶配向の変化による影響を受けることを実証する。DIP有機膜は、一次構造テンプレート、すなわち3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物(PTCDA)の秩序層上で成長させ、続いて銅フタロシアニン(CuPc)ドナー層及びC60アクセプタ層を成長させる場合、二次構造テンプレート及び励起子阻止層として用いることができる。CuPcの結晶配向に対する制御は、そのフロンティアエネルギーレベル、吸収係数、形態及び励起子拡散長の変化をもたらし、1 sun、AM1.5G照射下の電力効率の非テンプレート構造における1.42±0.04%から多層構造テンプレートを組み込んだときの2.19±0.05%への増加をもたらす。我々の結果は、結晶配向が有機電子デバイスの特性及び性能に強い影響を及ぼすことを示唆するものである。
【0050】
有機起電(OPV)の1つの限界は、それらの開回路電圧(VOC)が低いことであり、これは、用いられる材料の光学エネルギーギャップより一般的に3〜4倍低い。比較的長い光吸収長と短い励起子拡散長との相殺により、低い短絡回路電流(JSC)も一般的に認められる。本開示によれば、あらかじめ堆積させた有機構造テンプレート層上にドナー層を成長させることにより、ドナー層(例えば、CuPc)の分子結晶配向を制御することによって、JSCとVOCの両方の増加を達成することができる。これは、PVセルの電力変換効率ηの増大につながる。さらに、結晶構造は非晶質構造より形態学的に安定であるため、得られるOPVデバイスは、長期の稼働の信頼性がより大きくなる可能性がある。
【0051】
薄い3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物(PTCDA)テンプレーティング層を用いたOPVが、ドナーCuPc膜中の非等方性電荷移動度に起因するJSCの増加を示すことが示されたが。しかし、それらのデバイスにおいて、電力効率の改善が<10%であるように、JSCの増加がVOC及び曲線因子(FF)の低下によって相殺された。
【0052】
しかし、本明細書で開示した方法によれば、PTCDA膜とDIP膜層との組合せは、多結晶性銅フタロシアニン(CuPc)ドナー層などの有機太陽電池活性層のその後の成長の構造テンプレーティングに用いられる。CuPcは垂直(100)−α相分子立体配置でガラス上に成長させることができるが、PTCDAの存在は、分子間のπ軌道重複の改善と、したがって、ドナー層の励起子拡散及び電荷輸送特性の向上につながるほぼ平位の立体配置にCuPc分子を配向させる。CuPc分子のほぼ平位の配向は、膜をあらかじめ堆積させた構造テンプレーティング層上で成長させるとき、有利な分子エネルギーレベルアライメント、光吸収係数及び励起子拡散長の増加をもたらし、それにより、非テンプレート膜を用いたものと比較してOPV効率の>50%の増加をもたらす。
【0053】
(実施例)
OPVデバイスに関する性能上の利点を立証するために、実験的OPVセルを実験室で作製した。ガラス基材上にプレコートしたインジウムスズ酸化物(ITO)の150nmの厚さの層上に気相熱蒸着法を用いて有機層を成長させた。薄膜堆積の前に、基材を既往の方法に従ってテルジトール及び溶媒で清浄にし、次いで、高真空チャンバー(基準圧力<10−6トル)に装入する前にUV−オゾンに10分間曝露した。精製(真空中熱勾配昇華による)PTCDA、DIP、CuPc、C60及びバトクプロイン(BCP)をそれぞれ0.2、0.05、0.1、0.15及び0.1nm/秒で加熱蒸発し、続いて、直径1mmの開口部のアレイを有するシャドウマスクを介して厚さ100nmのAl陰極を堆積させた。各実験について、対照目的のために構造テンプレーティング層を用いて、また用いずにCuPc、C60、BCP及び/又はAlを同時に成長させた。
【0054】
電流密度対電圧(J−V)特性を暗所で模擬AM1.5G日光照射下及び様々な照射強度下で測定し、量子効率測定をNREL校正済みSi検出器を用いて参照した。値の標準偏差に対応する誤差は、同じ基材上の複数のデバイスを測定することによって求めた。成長チャンバーから窒素中で超高真空システム(基準圧力<5x10−9トル)に移した有機膜(システムにおいてHeI源を用いて照射)について紫外光電子分光(UPS)測定を実施した。X線回折(XRD)は、Bragg−Brentano構成の回転陽極式Rigaku Cu−Kα回折計を用いて実施し、原子間力顕微鏡(AFM)像は、Digital Instruments Nanoscope IIIを用いてタッピングモードで得た。光起電活性領域吸収は、活性層吸収が(1−R)に等しいようにITO/Al参照試料を用いた入射角6°(正常に近い)におけるデバイス反射率(R)の測定から推定した。内部量子効率(IQE)は、外部量子効率(EQE)と活性領域に吸収された光子の割合との比として計算した。
【0055】
図12に酸化Si基材上で成長させた膜のXRDプロットを示す。2θ=27.5°における弱い回折ピークがPTCDAの1.5nmの厚さの層について認められ、平位α相(102)配向の存在が示唆される。CuPcの25nmの厚さの層について、α相(200)配向の「起立(standing−up)」(分子長軸が基材に対して垂直)が2θ=6.8°におけるピークから推測される。CuPcの25nmの厚さの層を1.5nm厚さのDIP層上で成長させた場合、CuPcの平位α相(102)配向は不変であるが、25nmの厚さのCuPcをPTCDAの厚さ1.5nmの層上で成長させた(すなわち、テンプレートされた)場合、CuPcの標準起立(200)配向は消失するが、CuPc(312)及び(13)配向に対応する2θ=26.7°及び27.7°におけるピークが出現する。25nmの厚さのCuPc層を1.5nm PTCDA上の1.5nm厚DIPの二層上で成長させた場合、PTCDA上で直接成長させたものと同様のCuPc配向の変化が認められる。これらのデータは、PTCDAをテンプレーティング層として用いることにより、我々はDIPの配向をガラス上の(001)β相からPTCDA上の(020)α相に変化させることができ、これがひいてはDIP膜上に堆積するCuPcの結晶配向も制御するという予期しない所見を示している。DIP単独上にCuPcを堆積させることでCuPc層の結晶配向は変化しなかったことから、この結果は予期されなかった。
【0056】
図13(a)にITO上のPTCDA(厚さ1.5nm)、CuPc(厚さ5.0nm)及びPTCDA(厚さ1.5nm)/CuPc(厚さ5.0nm)の紫外光電子分光(UPS)データを示す。点線は、高エネルギーカットオフを示す。PTCDAの厚さ1.5nmの層をCuPcをテンプレーティングするのに用いたとき、UPSにより測定されるように(高エネルギーカットオフの25.0eVから25.2eVへの変化として観測される)、CuPc(ITO上厚さ5.0nm)の最高占有分子軌道(HOMO)エネルギーは、0.2〜0.3eV増加する。図13(b)にUPS測定から推測されたPTCDA、DIP及びCuPcのHOMOレベルの相対的位置を示す。
【0057】
図13(b)に上述のように形成したPTCDA80、DIP82及びCuPc90膜のエネルギー線図を示す。エネルギー線図によってわかるように、CuPc90及びPTCDA80膜は、PVデバイスの動作に反して光電流を発生するようなII型ヘテロ接合を形成する。しかし、薄いDIP層を励起子阻止層として組み込むことにより、PTCDA/CuPc界面における損失を最小限にすることができる。さらに、CuPcの吸収係数は、(312)配向にテンプレーティングすることにより約30%増加する(データは示さず)。DIPは光活性があるが、DIP層は非常に薄い形状因子(1.5nm)でのみ提供されるため、DIP層により発生する励起子は無視できる。
【0058】
他の所見は、CuPc膜の形態が、ITO上で直接成長させたときの1.8nmの二乗平均平方根(RMS)粗度を有する平滑な膜からPTCDA又はDIP単独テンプレート上で成長させたときの3.9nmの粗度に変化し(図14(b)及び14(c)参照)、ITOの下にある結晶粒構造が明らかになることであった。PTCDA膜の上にDIP膜を結合させる多層テンプレーティングを用いて、図14(d)に示すように、6.8nmの粗度を有するCuPc形態及び約100nmの島サイズが得られた。
【0059】
ワンサン(one sun)照射下のOPVデバイスの性能を次のデバイス構造について表1にまとめる:ガラス/ITO/テンプレーティング層(25nm)CuPc/(40nm)C60/(10nm)BCP/Al。デバイス(I)は、対照であり、テンプレーティング層を有さなかった。デバイス(II)は、テンプレーティング層として1.5nmのDIP層を有していた。デバイス(III)は、テンプレーティング層として1.5nmのPTCDA層を有していた。デバイス(IV)は、テンプレーティング層として1.5nmのPTCDA上の1.5nmのDIPを有していた。対照デバイス(I)の効率は、1.42±0.04%であった。デバイス(III)は、非テンプレート付き対照デバイス(I)と同様に機能したが、デバイス(III)については、構造テンプレーティングは、VOCの0.06Vの増加とJSCのわずかな増加をもたらし、結果的にη=1.76±0.04%をもたらす。VOCのこの増加は、図13(b)に示すようにCuPcのHOMOエネルギーの増加に帰せられる。これは、VOCが境界面エネルギーギャップ(ドナーHOMOとアクセプタ最低非占有分子軌道、又はLUMOとの差と定義)に比例することを示唆する当技術分野における理解と一致している。デバイス(IV)におけるPTCDAとDIPの両方によるテンプレーティングは、デバイス(III)と同じVOCを示すが、JSCは、実質的に増加し、η=2.19±0.05%につながる。すべてのデバイスのFFは≧0.60であり、すべてが照射下で同様のダイオード特性及び分路抵抗を有することが明らかである。
【0060】
効率の増大のメカニズムは、内部及び外部量子効率によりさらに理解される。図15(a)に表1におけるデバイスのEQE(記号でプロット)及び吸収(線)を示す。PTCDAテンプレートを用いるデバイス(II)及び(IV)については、吸収は、CuPc吸収の増加のためλ=550nm及び750nmの波長の間で増加し、これが同じ領域におけるEQEの増加につながり、より短い波長におけるEQEの減少を伴う。デバイス(III)をデバイス(IV)と比較すると、図15(b)に見られるように、IQEは、全スペクトルにわたり15%〜40%増加する。これは、すべてが光電流の発生の増加につながる、CuPc層とC60層との間の界面積の増加(図3参照)、PTCDA/CuPc界面における励起子クエンチングの減少、及び配向の変化に起因するCuPcにおける励起子拡散長の増加の組合せに起因する。
【0061】
【表1】

【0062】
上に示したデータは、有機ドナー層の多層構造テンプレーティングによって達成されたドナー層の結晶配向の変化の結果としてのOPV性能の改善を示している。PTCDA及びDIPの組合せをテンプレーティング層として用いることにより、CuPc積層が起立(200)β相から平位(312)α相配向に修正された。これは、隣接分子間の軌道重複の改善と、したがって、エネルギーレベル、吸収係数、形態及び励起子拡散長の有益な変化をもたらす。DIPは、構造テンプレーティング及びPTCDAとCuPcとの間の励起子阻止層としての役割を果たす。CuPc/C60OPVセルにおけるCuPcの積層配置の改善により、OPV効率が1.42±0.04%から2.19±0.05%に増大した。我々の結果は、OPV効率を増大させるために用いることができる、有機光電子特性に対する結晶の形態及び配向の影響を示すものである。
【0063】
したがって、図16に示すように、本明細書で述べる構造テンプレーティング法を組み込んだOPVデバイス200の例は、次のものを含みうる:第1の電極層(ITOなど)210; 第1の電極(陽極又は陰極)層210上に堆積させた少なくとも1つの構造テンプレーティング層220;少なくとも1つの構造テンプレーティング層220上に堆積させた光活性領域P;及び光活性領域P上に堆積させた第2の電極(陽極又は陰極)層250。光活性領域Pは、膜として堆積し、ドナー−アクセプタヘテロ接合を形成する有機ドナー材料230及び有機アクセプタ材料240を含む。電極層210、250が陰極であるか又は陽極であるかは、ドナー−アクセプタヘテロ接合の配向によって決定される電荷キャリアの流れの方向に依存する。
【0064】
一実施形態において、ドナー材料230を最初に構造テンプレーティング層220上に直接堆積させ、アクセプタ材料240をドナー材料上に堆積させ、それにより、ドナー材料230が所望の秩序分子配置を有するようにテンプレートされることを可能にする。他の実施形態において、アクセプタ材料240を最初に構造テンプレーティング層220上に堆積させ(図16と逆の順序)、それにより、アクセプタ材料240が所望の秩序分子配置を有するようにテンプレートされることを可能にする。
【0065】
ドナー材料230がテンプレートされる実施形態において、構造テンプレーティング層220上に直接有機ドナー材料230の膜を形成させることは、有機ドナー材料230が、ドナー分子の少なくとも大多数が第1の電極又は陽極層210に対して非優先配向の状態にある、所望の秩序分子配置を有することを可能にする。非優先配向は、ドナー材料230が陽極層210上に直接形成されている場合には異なる又は可能でないドナー材料230の長距離秩序を意味する。一実施形態によれば、ドナー分子の少なくとも75%が第1の電極層に対して非優先配向の状態にある。アクセプタ材料240がテンプレートされる実施形態において、これがアクセプタ材料の分子に適用される。
【0066】
いくつかの適切な有機半導体ドナー材料は、メタロフタロシアニン(例えば、CuPc、ClAlPc等)、金属不含有フタロシアニン、NPD(4,4’−ビス(N−(1−ナフチル)フェニルアミノ)ビフェニル)、ペンタセン、テトラセンなどを含むが、これらに限定されない。アクセプタ材料240用のいくつかの適切な有機半導体は、C60、[84]PCBM([6,6]−フェニルC84酪酸メチルエステル)、F16−CuPc、PTCBI(3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸ビスベンゾイミダゾール)、PTCDA(3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物)又はポリ(ベンゾイミダゾベンゾフェナントロリン)、TCNQ(7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン)、F4−TCNQ(テトラフルオロテトラシアノキノジメタン)などを含むが、これらに限定されない。
【0067】
他の実施形態によれば、OPVデバイス200は、少なくとも1つの構造テンプレーティング層220を含む。少なくとも1つの構造テンプレーティング層220は、一次構造テンプレーティング層としてのPTCDA膜であってよく、二次構造テンプレーティング層225は、PTCDA層220上に直接堆積しており、二次構造テンプレーティング層225も励起子阻止機能を備えている。二次構造テンプレーティング層225は、PTCDA以外のペリレンコアを有する他の有機材料を含む。ペリレンコアを有する材料の非限定的な例は、ジインデノペリレン(DIP)及びコロネンである。二次構造テンプレーティング層225は、高配向性熱分解黒鉛(HOPG)であってもよい。
【0068】
PTCDA一次構造テンプレーティング層上に堆積させた二次構造テンプレーティング層としてのDIPの使用について上に示したデータに加えて、発明者らは、ペリレンコアを有する他の有機材料であるコロネンを二次構造テンプレーティング層225として用いることができることを示した。図17にSi基材上に堆積させた次の膜のX線回折スペクトルを示す:PTCDA(厚さ5nm);コロネン(厚さ50nm)/PTCDA(厚さ5nm);CuPc(厚さ50nm)/コロネン(厚さ5nm)/PTCDA(厚さ5nm);コロネン(厚さ50nm); CuPc(厚さ50nm)/コロネン(厚さ50nm)。Si上のコロネン膜は、(01)配向ピークを示し、Si上のCuPc/コロネンは、(200)及び(01)配向ピークを示し、すべてが有機分子の垂直配向を示している。比較すると、CuPc/コロネン/PTCDA膜は、コロネン/PTCDA構造テンプレーティング層のテンプレーティング効果を示す(312)及び(13)ピークを示す。(312)及び(13)ピークは、Si基材に対して非優先配向である平ら又は横向き配向を示す。
【0069】
アクセプタ材料240がテンプレートされる実施形態において、少なくとも1つの構造テンプレーティング層220は、線状アセン(例えば、ペンタセン)、PTCDA又は結晶性NPDの1つ又は複数の層を含みうる。
【0070】
他の実施形態において、構造テンプレーティング層(PTCDA単独又はPTCDA/DIP組合せ)は、OPVデバイスの他の機能層における所望の分子配置を構造的にテンプレートし、得るために用いることができる。例えば、構造テンプレーティング層を用いて、OPVデバイス構造に存在する場合、励起子阻止層(DIP層自体以外)をテンプレートすることができる。
【0071】
場合による陽極平滑化層215は、第1の電極(陽極)層210とドナー層230との間に設けることができる。陽極平滑化層は、その内容がこの特徴に関するその開示について参照により本明細書に組み込まれる、Forrestらへの米国特許第6,657,378号に記載されている。
【0072】
OPVデバイス200を作製する方法は、第1の電極層210を用意する段階、少なくとも1つの構造テンプレーティング層220を第1の電極層210上に形成する段階、少なくとも1つの構造テンプレーティング層220上に配置される光活性領域Pを形成する段階及び光活性領域P上に配置される第2の電極層を備え付ける段階を含み、光活性領域Pのドナー材料又はアクセプタ材料は、少なくとも1つの構造テンプレーティング層によりテンプレートされ、したがって、秩序分子配置を有する。
【0073】
ドナー材料がテンプレートされる実施形態において、光活性領域Pを形成する段階は、ドナー材料の膜230を最初に構造テンプレーティング層220上に直接形成する段階と次にアクセプタ材料の膜240をドナー材料の膜230上に形成する段階を含む。アクセプタ材料がテンプレートされる実施形態において、光活性領域Pを形成する段階は、アクセプタ材料の膜240を最初に構造テンプレーティング層220上に直接形成する段階と次にドナー材料の膜230をアクセプタ材料の膜240上に形成する段階を含む(図16と逆の順序)。
【0074】
他の実施形態において、OPVデバイス200を作製する方法は、光活性領域Pの有機ドナー材料の膜230を形成する前に二次構造テンプレーティング層225を一次構造テンプレーティング層220上に直接形成する段階をさらに含む。
【0075】
図18は、本開示の他の実施形態によるOLED300の概略図である。OLED300は、陽極層310及び陰極層350を含む。2つの電極の間に少なくとも1つの構造テンプレーティング層325及び少なくとも1つの構造テンプレーティング層325上に配置されている有機機能層が配置されている。有機機能層は、場合による正孔輸送層320、有機発光層330又は場合による電子輸送層340でありうる。有機発光層330は、ニート層であってよく、又はドーパント材料333をドープされたホスト材料を含みうる。ドーパントは、りん光ドーパント又は蛍光ドーパントでありうる。OLED300の発光効率を改善するために、有機機能層に結晶秩序を構築することが望ましい。
【0076】
構造テンプレーティング層325上に配置されている機能層が有機発光層330である場合、発光層330の分子は、構造テンプレーティング層325の直下の層に対して非優先配向の状態にある所望の分子配置を得る。場合による正孔輸送層320が備えられていない場合、陽極層310は、構造テンプレーティング層325の直下にあり、発光層330の分子の大多数は、陽極層に対して非優先配向の状態にある。発光層330の有機発光材料がドープされた材料である場合、構造テンプレーティング層325上にドープされた有機発光層330を堆積させることにより、ホスト分子及びドーパント分子333の両方の大多数が所望の秩序分子配置を有するように配置される。
【0077】
秩序分子配置の非優先配向は、有機機能層分子が構造テンプレーティング層325が存在しない下にある基材上に直接形成された場合には異なる又は可能でないような構造的にテンプレートされた有機機能層の分子の長距離結晶秩序を意味する。好ましい実施形態によれば、テンプレートされた有機機能層分子の少なくとも大多数は、構造テンプレーティング層の直下の層に対して非優先配向の状態にある。いくつかの実施形態において、分子の少なくとも75%が非優先配向の状態にある。本明細書で述べた方法の実施形態を用いて発光層330をテンプレートすることにより、放射双極子が正しい方向に置かれ、これにより、OLED300における導波性が減少し、アウトカップリングが増大する。
【0078】
発光層におけるドーパント材料333の結晶配向を制御するための少なくとも1つの構造テンプレーティング層325の例は、SiOなどの非晶質基材又はITOなどの粗面上に堆積させた場合に分子が横たわるPTCDAである。一実施形態において、ドープされた有機発光層330をPTCDA層325上に直接堆積させる。
【0079】
他の実施形態において、少なくとも1つの構造テンプレーティング層325は、一次構造テンプレーティング層としてのPTCDA膜、及びドープされた発光層330を堆積させる前に構造テンプレーティング層325上に直接堆積させた追加の二次構造テンプレーティング層327を含む。二次構造テンプレーティング層327は、OLEDの稼働中に励起子を発光層330にとどめる助けとなる励起子阻止層でもある。一実施形態によれば、二次構造テンプレーティング層327は、PTCDA以外のペリレンコアを有する他の有機材料を含む。ペリレンコアを有する材料の非限定的な例は、DIP及びコロネンである。二次構造テンプレーティング層327は、高配向性熱分解黒鉛(HOPG)であってもよい。
【0080】
この実施例におけるドーパント材料333は、フタロシアニン、ポルフィリン及びペリレンをコアとする分子(perylene−cored mlecules)により定義される化合物のクラスのりん光化合物でありうる。Pt(II)オクタエチルポルフィン(PtOEP)は、りん光ドーパント材料の一例である。
【0081】
発光層330は、電流が陽極310と陰極350の間を通るときに発光することができる有機材料を含みうる。発光層330は、りん光発光材料又は蛍光発光材料を含みうる。発光層330はまた、励起子が発光メカニズムにより発光材料から解けるように、電子、正孔及び/又は励起子を捕捉しうる発光材料をドープされた、電子及び/又は正孔を輸送することができるホスト材料を含みうる。発光層330は、輸送及び発光特性を兼ね備えた単一材料を含みうる。発光材料がドーパントであるか、又は主成分であるかにかかわりなく、発光層330は、発光材料の発光を調節するドーパントなどの他の材料を含みうる。発光層330は、所望のスペクトルの光を一緒に発することができる複数の発光材料を含みうる。りん光発光材料の例としては、フタロシアニン、ポルフィリン及びペリレンをコアとする分子などがある。Pt(II)オクタエチルポルフィン(PtOEP)及びIr(ppy)は、りん光発光材料の一部の例である。蛍光発光材料の例としては、DCM及びDMQAなどがある。ホスト材料の例としては、Alq、CBP及びmCPなどがある。発光及びホスト材料の例は、参照によりその全体として組み込まれる、Thompsonらへの米国特許第6,303,238号に開示されている。
【0082】
正孔輸送層320は、正孔を輸送することができる材料を含みうる。正孔輸送層320は、真性(非ドープ)であってよく又はドープされていてよい。ドーピングは、伝導度を高めるために用いることができる。α−NPD及びTPDは、真性正孔輸送層の例である。p型ドープ正孔輸送層の例は、参照によりその全体として本明細書に組み込まれる、Forrestらへの米国特許出願公開第2003−0230980号に開示されているような50:1のモル比でF−TCNQをドープしたm−MTDATAである。他の正孔輸送層を用いることができる。
【0083】
電子輸送層340は、電子を輸送することができる材料を含みうる。電子輸送層340は、真性(非ドープ)であってよく又はドープされていてよい。ドーピングは、伝導度を高めるために用いることができる。Alqは、真性電子輸送層の例である。n型ドープ電子輸送層の例は、Forrestらへの米国特許出願公開第2003−0230980号に開示されているような1:1のモル比でLiをドープしたBphenである。他の電子輸送層を用いることができる。
【0084】
OLED300を作製する方法は、第1の電極層310を用意する段階、第2の電極層350を用意する段階、第1及び第2の電極間に配置される少なくとも1つの構造テンプレーティング層(315、325、335)、及び少なくとも1つの構造テンプレーティング層上に配置される有機機能層(例えば、330、320又は340)を形成する段階を含み、機能層の分子の少なくとも大多数が少なくとも1つの構造テンプレーティング層の直下の層に対して非優先配向の状態にある。有機機能層は、有機発光層330、場合による有機正孔輸送層320又は電子輸送層340でありうる。いくつかの実施形態において、OLED300は、発光層330との組合せで複数の場合による層を含みうる。備え付ける場合、少なくとも1つの構造テンプレーティング層325を堆積させる前に、有機正孔輸送層320を第1の電極層310上に直接堆積させる。備え付ける場合、第2の電極層350を堆積させる前に、有機電子輸送層340を有機発光層330上に堆積させる。他の実施形態において、OLED300を作製する方法は、発光層330を堆積させる前に、一次構造テンプレーティング層325上に直接堆積させた励起子阻止層としても機能する二次構造テンプレーティング層327を形成する段階をさらに含む。
【0085】
本開示の他の態様によれば、正孔輸送層320及び電子輸送層340を所望の分子配置を有するように構造的にテンプレートすることができる。これらの電荷キャリア輸送層を構造的にテンプレートするために、少なくとも1つの構造テンプレーティング層をOLED構造における適切な位置に備え付けることができる。例えば、正孔輸送層320をテンプレートするために、少なくとも1つの構造テンプレーティング層315を陽極層310上に堆積させることができる。他の実施形態において、電子輸送層340をテンプレートするために、少なくとも1つの構造テンプレーティング層335を発光層330上に堆積させる。
【0086】
したがって、我々は、OLED300の有機半導体層の積層における構造テンプレーティング層の3つの可能な位置を述べた。個々の必要によって、正孔輸送層320、発光層330及び電子輸送層340の3つすべてにおける所望の分子配置を得るために、構造テンプレーティング層を315、325、335の3つの位置のすべてに備え付けることができる。他の実施形態において、述べた3つの機能層の1つ又は2つのみにおける所望の分子配置を得るために、適切な構造テンプレーティング層のみを備え付けることができる。したがって、本開示は、構造テンプレーティング層の3つの位置315、325、335の使用のすべての可能な並べ替えを含む。
【0087】
(実施例)
発明者らは、所望の分子配置を得るために、正孔輸送層及び電子輸送層を構造的にテンプレートすることができることを示した。図19に正孔輸送層候補であるクロロアルミニウムフタロシアニン(ClAlPc)のXRDデータを示す。ITO基材上の厚さ100nmのClAlPcの気相成長については、ClAlPcの非晶質膜が形成され、XRDプロットはITOの結晶ピークのみを示している。図19における記号は、ITO上に堆積させたClAlPcに関連するXRDプロット線を特定している。対照的に、ITOに堆積させたPTCDAの結晶構造テンプレーティング層上に成長させたClAlPc膜は、基材に垂直な密充填配向を有するClAlPcの結晶膜をもたらす。ClAlPcの結晶秩序に関連する結晶ピークを楕円により識別する。特定の配向に伴うこの結晶秩序の変化は、正孔の移動度を増加させ、これがひいてはOLEDの発光効率を増大させると予想される。
【0088】
図20において、我々は、電子輸送層候補であるC60の結晶成長をテンプレートする能力を示す。図20(b)におけるC60/ITOのXRDプロットにおけるC60結晶ピークの欠如によって示されるように、C60を直接ITO上で成長させた場合、非晶質膜が形成される。蒸着によりN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(1−ナフチル)−1,1−ビフェニル−4,4’’ジアミン(NPD)の結晶テンプレーティング層上で成長させた場合、X線回折によって認められるように、C60層は、基材に垂直な密充填(111)配向で配向した結晶膜を形成する。NPD(101)及びC60(111)の結晶構造配向をそれぞれ図21(a)及び(b)に示す。
【0089】
一実施形態による実施例OLED構造において、PTCDAテンプレートClAlPcは、正孔輸送層であってよく、続いて発光層(りん光又は蛍光ドーパントをドープすることができる)をテンプレートするために必要な場合には他のPTCDAテンプレーティング層があり、続いてC60電子輸送層をテンプレートするために必要な場合には他のPTCDA又はNPD層がある。
【0090】
前記の記述及び実施例は、本発明を単に例示するために示したものであって、限定するものではない。本開示の開示した態様及び実施形態のそれぞれは、個別に、又は本発明の他の態様、実施形態及び変形形態と組み合わせて考慮することができる。さらに、特に断らない限り、本開示の方法の段階のいずれも実施の特定の順序に限定されない。本発明の精神及び材料を組み込んだ開示実施形態の修正が当業者に思い浮かぶ可能性があるが、そのような修正は、本発明の範囲内にある。
【符号の説明】
【0091】
10 テンプレート基材
20 有機膜
22 有機分子
26 機能的有機膜
30 転移層
34 ホスト基材
40 電極
60 テンプレート基材
62 ホスト基材
64 有機膜
66 有機分子
70 テンプレート基材
72 ホスト基材
74 有機膜
76 有機分子
200 OPVデバイス
210 電極層
215 陽極平滑化層
220 一次構造テンプレーティング層
225 二次構造テンプレーティング層
230 有機ドナー材料
240 有機アクセプタ材料
250 層
300 OLED
310 陽極層
315 構造テンプレーティング層
320 正孔輸送層
325 一次構造テンプレーティング層
327 二次構造テンプレーティング層
330 有機発光層
333 ドーパント材料
340 電子輸送層
350 陰極層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極層;
第1の電極層上に配置された少なくとも1つの構造テンプレーティング層;
少なくとも1つの構造テンプレーティング層の上に配置され、ドナー−アクセプタヘテロ接合を形成する有機ドナー材料の膜及び有機アクセプタ材料の膜を含み、
ドナー材料又はアクセプタ材料が、少なくとも1つの構造テンプレーティング層によりテンプレートされ、それにより、秩序分子配置を有し、
テンプレートされたドナー又はアクセプタ材料の分子の少なくとも大多数が第1の電極層に対して非優先配向の状態にある、光活性領域;並びに
光活性領域上に配置された第2の電極層
を含む、有機感光デバイス。
【請求項2】
前記少なくとも1つの構造テンプレーティング層が励起子阻止層である第2の構造テンプレーティング層を含む、請求項1に記載の有機感光デバイス。
【請求項3】
前記少なくとも1つの構造テンプレーティング層が一次構造テンプレーティング層として第1の電極層上に直接堆積させた3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物(PTCDA)の層及び励起子阻止層であるPTCDA層上に直接堆積させた二次構造テンプレーティング層を含む、請求項1に記載の有機感光デバイス。
【請求項4】
前記ドナー材料が少なくとも1つの構造テンプレーティング層によりテンプレートされ、二次構造テンプレーティング層がPTCDA以外のペリレンコアを有する他の有機材料を含む、請求項3に記載の有機感光デバイス。
【請求項5】
前記ペリレンコアを有する他の有機材料がジインデノペリレンである、請求項4に記載の有機感光デバイス。
【請求項6】
前記二次構造テンプレーティング層が高配向性熱分解黒鉛を含む、請求項3に記載の有機感光デバイス。
【請求項7】
第1の電極層表面が秩序結晶構造を有さない、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
テンプレートされた有機ドナー又はアクセプタ材料の膜は、第1の電極層表面とのエピタキシャルでも準エピタキシャルでもない、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
テンプレートされた有機ドナー又はアクセプタ材料の膜は、300Å以上の膜厚を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
テンプレートされた有機ドナー又はアクセプタ材料の膜は、300Å〜3000Åの範囲の膜厚を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
テンプレートされた有機ドナー又は有機アクセプタ分子の少なくとも75%が非優先配向の状態である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項12】
第1の電極層と少なくとも1つの構造テンプレーティング層との間に設けられた陽極平滑化層をさらに含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項13】
前記アクセプタ材料が少なくとも1つの構造テンプレーティング層によりテンプレートされ、少なくとも1つの構造テンプレーティング層が線状アセン、PTCDA又は結晶性NPDの1つ又は複数の層を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
第1の電極層を提供する段階;
少なくとも1つの構造テンプレーティング層を前記第1の電極層上に形成する段階;
前記少なくとも1つの構造テンプレーティング層上に配置され、ドナー−アクセプタヘテロ接合を形成する有機ドナー材料及び有機アクセプタ材料を含み、
前記ドナー材料又はアクセプタ材料が少なくとも1つの構造テンプレーティング層によりテンプレートされ、したがって、秩序分子配置を有し、
前記テンプレートされたドナー又はアクセプタ材料の分子の少なくとも大多数が第1の電極層に対して非優先配向の状態にある、光活性領域を形成する段階;並びに
前記光活性領域上に配置された第2の電極層を提供する段階
を含む、有機感光デバイスを作製する方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの構造テンプレーティング層が励起子阻止層である第2の構造テンプレーティング層を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの構造テンプレーティング層が一次構造テンプレーティング層として第1の電極層上に直接堆積させた3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物(PTCDA)の層及び励起子阻止層である、PTCDA層上に直接堆積させた二次構造テンプレーティング層を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記ドナー材料が少なくとも1つの構造テンプレーティング層によりテンプレートされ、前記二次構造テンプレーティング層がPTCDA以外のペリレンコアを有する他の有機材料を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ペリレンコアを有する他の有機材料がジインデノペリレンである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記二次構造テンプレーティング層が高配向性熱分解黒鉛を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の電極層表面が秩序結晶構造を有さない、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の電極層と前記少なくとも1つの構造テンプレーティング層との間に陽極平滑化層を設ける段階をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記アクセプタ材料が前記少なくとも1つの構造テンプレーティング層によりテンプレートされ、少なくとも1つの構造テンプレーティング層が線状アセン、PTCDA又は結晶性NPDの1つ又は複数の層を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項23】
第1の電極層;
第2の電極層;
前記第1の電極と第2の電極との間に配置された少なくとも1つの構造テンプレーティング層;及び
前記少なくとも1つの構造テンプレーティング層上に配置され、
秩序分子配置の状態にあるその分子を有し、該分子の少なくとも大多数が少なくとも1つの構造テンプレーティング層の直下の層に対して非優先配向の状態である有機機能層
を含む、有機発光デバイス。
【請求項24】
前記機能層の分子の少なくとも75%が非優先配向の状態である、請求項23に記載のデバイス。
【請求項25】
前記機能層が有機発光層である、請求項23に記載のデバイス。
【請求項26】
前記有機発光層がホスト材料及びドーパント材料をさらに含み、非優先配向状態である前記機能層の分子の大多数がホスト材料及びドーパント材料を含む、請求項25に記載のデバイス。
【請求項27】
前記機能層が有機正孔輸送層である、請求項23に記載のデバイス。
【請求項28】
前記機能層が有機電子輸送層である、請求項23に記載のデバイス。
【請求項29】
前記少なくとも1つの構造テンプレーティング層が3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物(PTCDA)の層を含む、請求項23に記載のデバイス。
【請求項30】
前記少なくとも1つの構造テンプレーティング層が一次構造テンプレーティング層としての3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物(PTCDA)の層及び該PTCDA層上に直接堆積させた二次構造テンプレーティング層を含む、請求項23に記載のデバイス。
【請求項31】
前記二次構造テンプレーティング層がPTCDA以外のペリレンコアを有する他の有機材料を含む、請求項30に記載のデバイス。
【請求項32】
ペリレンコアを有する前記他の有機材料がジインデノペリレンである、請求項31に記載のデバイス。
【請求項33】
二次構造テンプレーティング層が高配向性熱分解黒鉛を含む、請求項31に記載のデバイス。
【請求項34】
前記少なくとも1つの構造テンプレーティング層が一次構造テンプレーティング層として第1の電極層上に直接堆積させた3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物(PTCDA)の層及び励起子を有機発光層に拘束する励起子阻止層である、PTCDA層上に直接堆積させた二次構造テンプレーティング層を含む、請求項25に記載のデバイス。
【請求項35】
第1の電極層を提供する段階;
第2の電極層を提供する段階;
前記第1の電極と第2の電極との間に配置される少なくとも1つの構造テンプレーティング層を形成する段階;及び
前記少なくとも1つの構造テンプレーティング層にわたって配置され、
秩序分子配置の状態にあるその分子を有し、該分子の少なくとも大多数が少なくとも1つの構造テンプレーティング層の直下の層に対して非優先配向の状態である有機機能層を形成する段階
を含む、有機発光デバイスを作製する方法。
【請求項36】
前記機能層が有機発光層である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記有機発光層がホスト材料及びドーパント材料をさらに含み、非優先配向状態である機能層の分子の大多数がホスト材料及びドーパント材料を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記機能層が有機正孔輸送層である、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記機能層が有機電子輸送層である、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
前記少なくとも1つの構造テンプレーティング層が3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物(PTCDA)の層を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項41】
前記少なくとも1つの構造テンプレーティング層が一次構造テンプレーティング層としての3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物(PTCDA)の層及び該PTCDA層上に直接堆積させた二次構造テンプレーティング層を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項42】
前記二次構造テンプレーティング層がPTCDA以外のペリレンコアを有する他の有機材料を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
ペリレンコアを有する前記他の有機材料がジインデノペリレンである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記二次構造テンプレーティング層が高配向性熱分解黒鉛を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
前記少なくとも1つの構造テンプレーティング層が一次構造テンプレーティング層として前記第1の電極層上に直接堆積させた3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物(PTCDA)の層及び励起子を前記有機発光層に拘束する励起子阻止層である、前記PTCDA層上に直接堆積させた二次構造テンプレーティング層を含む、請求項35に記載の方法。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図1C】
image rotate

【図1D】
image rotate

【図1E】
image rotate

【図1F】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図8C】
image rotate

【図9A】
image rotate

【図9B】
image rotate

【図10A】
image rotate

【図10B】
image rotate

【図10C】
image rotate

【図10D】
image rotate

【図14】
image rotate

image rotate

【図21(a)】
image rotate

【図21(b)】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図5C】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図7】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate


【公表番号】特表2012−529188(P2012−529188A)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−514156(P2012−514156)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際出願番号】PCT/US2010/037334
【国際公開番号】WO2011/025567
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(509119061)ザ・リージェンツ・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・ミシガン (14)
【Fターム(参考)】