説明

長鎖アクリラートを有するコポリマー

本発明は、以下のもののラジカル重合により得られるコポリマーに関する;
i)C8〜C30−アルキル(メタ)アクリラート、C8〜C30ビニルエステル、C8〜C30ビニルエーテル、C8〜C30オレフィン及び不飽和C8〜C30カルボン酸からのトリグリセリドからなる群から選択される少なくとも1のモノマー 成分i〜ivの総質量に対して10〜90質量%、ii)少なくとも1のエポキシド−、イソシアナート−、カルボジイミド−、シラン−、β−ジカルボニル−、オキサゾリン−、又は無水物基を有する二重結合含有モノマー 成分i〜ivの総質量に対して0.5〜70質量%、iii)ビニル芳香族化合物、C1〜C7−アルキル(メタ)アクリラート、エチレン性不飽和アセトフェノン−又はベンゾフェノン誘導体、C1〜C7ビニルエステル、C1〜C7ビニルエーテル、エチレン性不飽和ニトリル、エチレン性不飽和アミド、ビニルハロゲン化物、C1〜C7オレフィン、環式ラクタム及びこのモノマーの混合物からなる群から選択された1又は複数のモノマー 成分i〜ivの総質量に対して0〜75質量%、及びiv)カルボン酸、スルホン酸又はホスホン酸基又はその塩を有するラジカル重合可能なモノマー 成分i〜ivの総質量に対して0〜10質量%。さらに、本発明は、このコポリマーを含有するポリマー混合物、並びに、このコポリマーの連鎖延長剤、相容性媒介剤としての及び/又は加水分解安定剤としての、紙及び厚紙の製造のための、紙産業、テキスタイル産業及び皮革産業における表面仕上のための及び接着剤における使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
本発明は、次のもののラジカル重合により得られるコポリマーに関する:
i)C8〜C30−アルキル(メタ)アクリラート、C8〜C30ビニルエステル、C8〜C30ビニルエーテル、C8〜C30オレフィン及び不飽和C8〜C30−カルボン酸からのトリグリセリドからなる群から選択される少なくとも1のモノマー、成分i〜ivの総質量に対して10〜90質量%、
ii)少なくとも1のエポキシド−、イソシアナート−、カルボジイミド−、シラン−、β−ジカルボニル−、オキサゾリン−、又は無水物基を有する二重結合含有モノマー、成分i〜ivの総質量に対して0.5〜70質量%、
iii)ビニル芳香族化合物、C1〜C7−アルキル(メタ)アクリラート、エチレン性不飽和アセトフェノン−又はベンゾフェノン誘導体、C1〜C7ビニルエステル、C1〜C7ビニルエーテル、エチレン性不飽和ニトリル、エチレン性不飽和アミド、ビニルハロゲン化物、C2〜C7オレフィン、環式ラクタム及びこのモノマーの混合物からなる群から選択された1又は複数のモノマー、成分i〜ivの総質量に対して0〜75質量%、及び
iv)カルボン酸、スルホン酸又はホスホン酸基又はその塩を有するラジカル重合可能なモノマー、成分i〜ivの総質量に対して0〜10質量%。
【0002】
さらに、本発明は、このコポリマーを含有するポリマー混合物、並びに、このコポリマーの、連鎖延長剤、相容性媒介剤としての及び/又は加水分解安定剤としての、紙及び厚紙の製造のための、紙産業、テキスタイル産業及び皮革産業における表面仕上(Oberflaechenveredlung)のための及び接着剤における使用に関する。
【0003】
グリシジルメタクリラート及び短鎖アクリラート、例えばn−ブチルアクリラートを含有するコポリマーは、EP−A1316597から知られている。このコポリマーは、例えば接着剤として適している。
【0004】
さらに、Staerke 1998 Vol. 50, No. 11−12, 484〜486頁からは、長鎖脂肪酸がデンプンのヘリックス構造と相互作用し、ポリマーマトリックス中でこのデンプンのより良好な相容性を生じることが知られている。
【0005】
US6984694には、重縮合物、例えば、ポリエステルに連鎖延長剤としてアクリル性コポリマー(これは、反応性コモノマー、例えば、グリシジルメタクリラートに関するその高い含量によりこのポリエステルに結合する)を添加することが記載されている。しかし、このコモノマーは、長鎖アクリラートを含まない。ポリエステル及びデンプンから構成されるポリマー混合物に対するこのような化合物の添加は、例えば、EP1656423において示されるように、この系の引裂強度を高めるが、しかし、様々な押出適用のためのこの特性の改善にはまだなお十分でない。
【0006】
i)長鎖の二重結合含有モノマー及びii)反応性モノマーを含む本発明によるコモノマーがポリマー混合物の、特にデンプン混合物の特性を劇的に改善することが見出された。
【0007】
特に、コポリマーA)、B)及びC)の以下の実施態様が好ましいことが明らかになった。
【0008】
A)以下のもののラジカル重合により得られるコポリマー:
i)少なくとも1のC8〜C30アルキル(メタ)アクリラート、C8〜C30ビニルエステル又はC8〜C30ビニルエーテル、特に好ましくはC10〜C20アルキル(メタ)アクリラート 成分i〜iiiの総質量に対して10〜90質量%、
ii)グリシジルアクリラート、グリシジルメタクリラート、無水マレイン酸(MSA)、アリルグリシジルエーテル、グリシジルエタクリラート、ジメチル−メタ−イソプロペニル−ベンジル−イソシアナート及びイタコン酸無水物からなる群から選択された反応性モノマー、特に好ましくはグリシジルメタクリラート 成分i〜ivの総質量に対して0.5〜60質量%、
iii)ビニル芳香族化合物、C1〜C7−アルキル(メタ)アクリラート又はこのモノマーの混合物、特に好ましくはスチレン又はn−ブチルアクリラート 成分i〜ivの総質量に対して0〜75質量%、
iv)カルボン酸、スルホン酸又はホスホン酸基又はその塩を有するラジカル重合可能なモノマー 0〜10質量%。
【0009】
B)以下のもののラジカル重合により得られるコポリマー:
i)少なくとも1のC8〜C30アルキル(メタ)アクリラート、C8〜C30ビニルエステル又はC8〜C30ビニルエーテル、特に好ましくはC10〜C20アルキル(メタ)アクリラート 成分i〜iiiの総質量に対して30〜90質量%、
ii)グリシジルアクリラート、グリシジルメタクリラート及びMSAからなる群から選択された反応性モノマー、特に好ましくはグリシジルメタクリラート 成分i〜iiiの総質量に対して0.5〜30質量%、及び
iii)スチレン、又はC1〜C7アルキル(メタ)アクリラート、特に好ましくはスチレン又はn−ブチルアクリラート 成分i〜iiiの総質量に対して0〜25質量%。
【0010】
C)以下のもののラジカル重合により得られるコポリマー:
i)少なくとも1のC8〜C30アルキル(メタ)アクリラート、C8〜C30ビニルエステル又はC8〜C30ビニルエーテル、特に好ましくはC10〜C20アルキル(メタ)アクリラート 成分i〜iiiの総質量に対して10〜80質量%、
ii)グリシジルアクリラート、グリシジルメタクリラート及びMSAからなる群から選択された反応性モノマー、特に好ましくはグリシジルメタクリラート 成分i〜iiiの総質量に対して10〜60質量%、及び
iii)スチレン又はC1〜C7アルキル(メタ)アクリラート、特に好ましくはスチレン又はn−ブチルアクリラート 成分i〜iiiの総質量に対して0〜25質量%。
【0011】
本発明によるコポリマーは、EP1316597及びEP655465に記載の方法と同様に製造される。
【0012】
本発明によるモノマーi)は、C8〜C30−アルキル(メタ)アクリラート、C8〜C30ビニルエステル、C8〜C30ビニルエーテル、C8〜C30オレフィン又は不飽和C8〜C30カルボン酸からのグリセリド(すなわち、グリセリンエステル)であることができる。好ましくは、C10〜C20ビニルエステル、C10〜C20ビニルエーテル、特に好ましくはC10〜C20−アルキル(メタ)アクリラートである。
【0013】
8〜C30−アルキル(メタ)アクリラート、C8〜C30ビニルエステル、C8〜C30ビニルエーテル、C8〜C30オレフィン又はC8〜C30不飽和カルボン酸からのグリセリド(すなわち、グリセリンエステル)とは、特に次のものが理解される:長鎖の酸の(メタ)アクリルエステル、例えば、ラウリルアクリラート、ヘキサデシルアクリラート、ステアリルアクリラート、ベヘニルアクリラート;ビニルエステル及びビニルエーテル、例えば、ラウリン酸ビニルエステル、ヘキサデカン酸ビニルエステル、ステアリン酸ビニルエステル、ベヘン酸ビニルエステル;ラウリルビニルエーテル、ヘキサデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル、及びベヘニルビニルエーテル。グリセリドとは、不飽和カルボン酸のグリセリンエステルが理解され、これは例えば、リノール酸及びリノレン酸、オレイン酸、リシノール酸、イコセン(Icosen)酸、エイコサペンタエン酸、好ましくは多価不飽和脂肪酸である。特に好ましいモノマーは、(メタ)アクリラート、例えばラウリルアクリラート、ヘキサデシルアクリラート、ステアリルアクリラート及びベヘニルアクリラートである。
【0014】
成分i)(例えば、ラウリルアクリラート)は、通常は、成分i〜ivの総質量に対して10〜90質量%、好ましくは20〜80質量%、特に好ましくは30〜60質量%で使用される。
【0015】
反応性モノマーii)は、通常は、少なくとも1のエポキシド−、イソシアナート−、カルボジイミド−、シラン−、β−ジカルボニル−、オキサゾリン−又は無水物基を有する二重結合含有モノマーである。このうち、特に、グリシジルアクリラート、グリシジルメタクリラート、MSA、アリルグリシジルエーテル、グリシジルエタクリラート、アクリロイルイソシアナート、ジメチル−メタイソプロペニル−ベンジル−イソシアナート及びイタコン酸無水物、ジアセトンアクリルアミド、ビニルトリアルコキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニル−オキサゾリン、イソプロペニル−オキサゾリン及びを理解すべきである。好ましいモノマーは、グリシジルアクリラート、グリシジルメタクリラート、MSA、アリルグリシジルエーテル、グリシジルエタクリラート、ジメチル−メタ−イソプロペニル−ベンジル−イソシアナート及びイタコン酸無水物である。特に好ましくは、グリシジルアクリラート、グリシジルメタクリラート及びMSAである。
【0016】
モノマーii)は、通常は、成分i〜ivの総質量に対して、0.5〜70質量%、好ましくは10〜65質量%、特に好ましくは20〜60質量%で使用される。
【0017】
モノマーiii)は、ビニル芳香族化合物、C1〜C7−アルキル(メタ)アクリラート、エチレン性不飽和アセトフェノン−又はベンゾフェノン誘導体、C1〜C7ビニルエステル、C1〜C7ビニルエーテル、エチレン性不飽和ニトリル、エチレン性不飽和アミド、ビニルハロゲン化物、C2〜C7オレフィン、環式ラクタム又はこのモノマーの混合物であることができる。
【0018】
ビニル芳香族化合物として、ビニルトルエン、α−及びp−メチルスチレン、α−ブチルスチレン、4−n−ブチルスチレン、4−n−デシルスチレンが、好ましくはスチレンが考慮される。
【0019】
1〜C7−アルキル(メタ)アクリラートとしては、例えば、メチルメタクリラート、メチルアクリラート、n−ブチルアクリラート、エチルアクリラート及び2−エチルヘキシルアクリラートを挙げることができる。特に、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの混合物も適している。C1〜C7−アルキル(メタ)アクリラートとは、さらに、ヒドロキシル基含有モノマー、例えば、特に、C1〜C7−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリラート及びウレイド基含有モノマー、例えば、C1〜C7−ウレイド(メタ)アクリラートを理解することができる。
【0020】
エチレン性不飽和アセトフェノン−又はベンゾフェノン誘導体とは、EP−A−346734、EP−A−377199、DE−A−4037079及びDE−A−3844444に記載されている光開始剤が理解される。エチレン性不飽和基とは、好ましくは、アクリル−又はメタクリル基である。
【0021】
1〜7個のC原子を有するカルボン酸のビニルエステルは、例えば、ビニルアセタート、ビニルプロピオナート及びビニルブチラートである。
【0022】
ビニルエーテルとして、例えば、ビニルメチルエーテル又はビニルイソブチルエーテルが考慮される。
【0023】
エチレン性不飽和ニトリルのための例は、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルであり、エチレン性不飽和アミドの例は、アクリルアミド又は(メタ)アクリルアミドである。
【0024】
ビニルハロゲン化物は、塩素、フッ素又は臭素で置換されたエチレン性不飽和化合物、好ましくは塩化ビニル及び塩化ビニリデンである。
【0025】
2〜C7オレフィンとは、2〜7個のC原子及び1又は2個のオレフィン性二重結合を有する炭化水素、例えば、ブタジエン、イソプレン及びクロロプレン、エチレン又はプロピレンが理解できる。
【0026】
環式ラクタムとしては、例えば、N−ビニルピロリドン又はN−ビニルカプロラクタムが考慮される。
【0027】
モノマーiv)は、カルボン酸−、スルホン酸−又はホスホン酸基又はその塩を有する。例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸又はフマル酸、ビニルホスホン酸及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が挙げられる。好ましくはアクリル酸である。
【0028】
ラジカル溶液重合及び引き続く蒸留によるこのコポリマーの製造は、EP655465に記載されている。このモル質量(THF中で、ポリスチレンを標準としてGPCにより測定される)は、通常は、Mn1000〜100000又はMw2000〜200000、特に好ましくは分子量Mn1000〜10000及びMw2000〜20000を有する。
【0029】
好ましくは、このモル質量及びモノマーii)に関する含量は、平均して少なくとも1の、このポリマー混合物の混合パートナーと反応できる基が鎖あたりに存在するように、特に好ましくはこれが2以上存在するように選択される。
【0030】
このポリマー混合物中への混和の際には、このコポリマーが23℃で<100Pasのゼロ粘度(Nullviskositaet)を有する場合に好ましいことができる。
【0031】
このコポリマーは、溶液において、分散体又はエマルションとして、固形物質又は液体として、特に好ましくは低粘度溶融物として使用されることができる。
【0032】
本発明によるコポリマーは、紙、板紙及び厚紙の製造のために使用されることができる。これは特に紙サイジングの支持に適しており、これは例えばWO2004037867に記載されているとおりである。本発明によるポリマーとデンプンとの組み合わせは、改善されたサイジング(Leimung)に寄与する。これは、モノマーivの併用下で水中でも分散可能であることができるか、又は100%系としてこのデンプンに添加されることができる。
【0033】
これは、紙の湿潤強度の改善のためにも使用されることができる。
【0034】
シート貼り合わせ(技術的貼り合わせ、複合シート−及び光沢シート貼り合わせ)のための接着剤は、非極性表面に対して良好に付着しなくてはならない。WO2004058834に記載されているこの適用において、本発明によるポリマーは、プラスチックシートの表面に対するこの接着剤の流れを促進するのに適している。特には、ポリエチレン−又はポリプロピレンシートの使用の場合である。モノマーiv)の割合を有する本発明によるポリマーは、水中で分散され、そうして水性接着剤中でも使用される。
【0035】
このコポリマーは、テキスタイル繊維の疎水化のためにも適している。これは、100%、溶媒又は水中に適用(aufbringen)されることができる(EP−A1751345)。皮革加工では、これは疎水化剤として使用されることができる(WO199804748)。
【0036】
木材に対するプライマーとして、これは、この表面での木材の低分子量成分の移動を妨げ、反対に、この木材中へのコーティング物質の浸透(Wegschlagen)を妨げる。
【0037】
これは、繊維結合の際の結合剤及び多糖の相容性の改善のために使用されることができ、これはEP−A911361に記載されているとおりである。
【0038】
本発明によるコポリマーは、例えば押出機中で添加剤としてポリマー混合物中に混和される。本発明によるコポリマーは、特に、連鎖延長剤、相容性媒介剤及び/又は加水分解安定剤としてポリマー、特に生物学的に分解可能なポリマー及びポリマー混合物において適する。このコポリマーは、このポリマーの熱分解を妨げる。ポリマーとは、特に縮合ポリマー、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボナート、ポリウレタン及びポリスルホンが理解される。
【0039】
特に、本発明によるコポリマーは、冒頭部で述べたとおり、デンプン含有ポリマーにおける添加剤として適する。デンプン含有ポリマーは、ポリエステル、デンプン(熱可塑化していないか又は熱可塑化している)、コポリマー及び場合により可塑剤、例えば、グリセリン又はソルビトールの押出により製造されることができ、これは、デンプンの可塑化のために使用される。可塑化していない、特に可塑化しているデンプンは、生物学的に分解可能なポリマー、例えばポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカノアート、ポリカーボナート、ポリカプロラクトン及び生物学的に分解可能な脂肪族及び脂肪族/芳香族ポリエステルにおける興味深い充填剤である。デンプンは、通常はコメデンプン又はバレイショデンプンである。
【0040】
生物学的に分解可能なポリエステルとして、例えばポリ乳酸が適する。以下の特性プロファイルを有するポリ乳酸が好ましくは使用される:
・メルトボリューム速度(MVR 190℃及び2.16kgで、ISO 1133により0.5−好ましくは2−〜30、特に〜9ml/10分)
・240℃未満の融点
・55℃より高いガラス点(Tg)
・1000ppmより低い水含量
・0.3%より小さいモノマー残留含量(L−ラクチド)
・80000ダルトンより大きい分子量。
【0041】
好ましいポリ乳酸は、例えばNatureWorks(R)020又は4042D(NatureWorks社のポリ乳酸)である。
【0042】
ポリヒドロキシアルカノアートとは、まず第1に、ポリ−4−ヒドロキシブチラート及びポリ−3−ヒドロキシブチラートが理解され、さらに、前述のヒドロキシブチラートと3−ヒドロキシバレラートのコポリエステルが含まれる。ポリ−4−ヒドロキシブチラートは特にMetabolix社から知られている。これは、商品名Mirel(R)で販売されている。ポリ−3−ヒドロキシブチラートは、例えば、PHB Industrial社から商標名Biocycle(R)で、そしてTianan社から名称Enmat(R)で販売されている。
【0043】
このポリヒドロキシアルカノアートは、通常、分子量Mw100000〜1000000を、好ましくは300000〜600000を有する。
【0044】
脂肪族ジオール及び脂肪族/芳香族ジカルボン酸を基礎とする部分芳香族ポリエステルとは、ポリエステル誘導体も理解され、これは例えば、ポリエーテルエステル、ポリエステルアミド又はポリエーテルエステルアミドである。この適した部分芳香族ポリエステルには、直鎖状の鎖延長されていないポリエステル(WO92/09654)が含まれる。好ましくは、鎖延長された及び/又は分枝鎖状の部分芳香族ポリエステルである。これらの部分芳香族ポリエステルは、冒頭部で挙げられた刊行物WO96/15173〜15176、21689〜21692、25446、25448又はWO98/12242から知られており、これらは参照をもって明確に導入されたものとする。種々の部分芳香族ポリエステルの混合物も同様に考慮される。興味深いより早期の開発は、再生する原料を基礎とする(WO−A2006/097353、WO−A 2006/097354並びにEP 08165372.7を参照のこと)。特に、部分芳香族ポリエステルは、例えばEcoflex(R)(BASF SE)及びEastar(R)Bio及びOrigo−Bi(R)(Novamont)のような製品が理解されることができる。
【0045】
脂肪族ジオール及び脂肪族ジカルボン酸を基礎とするポリエステル、例えば、ポリブチレンスクシナート(PBS)、ポリブチレンスクシナート−アジパート(PBSA)、ポリブチレンスクシナートセバカート(PBBSe)は、例えばShowa Highpolymers社から名称Bionolle(R)で販売されている。新規の開発については、例えばEP08165370.1を参照のこと。
【0046】
ポリカプロラクトンは、Daicel社から製品名Placcel(R)で市販されている。
【0047】
脂肪族ポリカーボナートとは、特にポリエチレンカーボナート及びポリプロピレンカーボナートが理解される。
【0048】
測定法:
フィッケンチャーによるK値は、THF中で21℃の1%の溶液で測定した。
【0049】
この分子量をGPCを用いてポリスチレン標準に対してTHF中で0.1%のトリフルオロ酢酸を用いて測定した。
【0050】
実施例1
ガラス反応器、還流冷却器、撹拌機及び窒素取り込みからなる重合装置中でわずかな(leicht)窒素流中でo−キシレン791gを装入し、140℃に加熱した。2−エチルヘキシルアクリラート40%、ラウリルアクリラート40%及びグリシジルメタクリラート20%からなるモノマー混合物50gを添加した。140℃に再度達した後に、tert−ブチルペルオクトアート20g及びo−キシレン180gから構成される開始剤溶液20gを添加し、10分間重合開始させた。次いで、モノマー混合物950gを3時間の間に、そして開始剤溶液180gを3時間の間に導入した。引き続き、o−キシレン50g中のtert−ブチルペルオクトアート1gの溶液を5分間の間に添加し、45分間十分重合させた。次いで、この溶媒を真空下で除去し、さらに1時間140℃かつ<100mbarで脱気した。固形物含量:98.8% K値(THF中1%):11.4
分子量:Mn3000;Mw5400。
【0051】
実施例2
ガラス反応器、還流冷却器、撹拌機及び窒素取り込みからなる重合装置中でわずかな窒素流中でo−キシレン596gを装入し、140℃に加熱した。2−エチルヘキシルアクリラート10%、ラウリルアクリラート70%及びグリシジルメタクリラート20%からなるモノマー混合物37.7gを添加した。140℃に再度達した後に、tert−ブチルペルオクトアート15g及びo−キシレン135.7gから構成される開始剤溶液15gを添加し、10分間重合開始させた。次いで、モノマー混合物716gを3時間の間に、そして開始剤溶液135.7gを3時間の間に導入した。引き続き、o−キシレン37.7g中のtert−ブチルペルオクトアート0.75gの溶液を5分間の間に添加し、45分間十分重合させた。次いで、この溶媒を真空下で除去し、さらに1時間140℃かつ<100mbarで脱気した。固形物含量:98.2% K値(THF中1%):12
分子量:Mn3000;Mw5700。
【0052】
実施例3
ガラス反応器、還流冷却器、撹拌機及び窒素取り込みからなる重合装置中でわずかな窒素流中でo−キシレン716gを装入し、140℃に加熱した。ラウリルアクリラート730g、グリシジルメタクリラート200g及びo−キシレン75g中に溶解した無水マレイン酸70gからなるモノマー混合物53.7gを添加した。140℃に再度達した後に、tert−ブチルペルオクトアート20g及びo−キシレン200gから構成される開始剤溶液20gを添加し、10分間重合開始させた。次いで、モノマー混合物1021gを3時間の間に、そして開始剤溶液180gを3時間の間に導入した。引き続き、o−キシレン50g中のtert−ブチルペルオクトアート1gの溶液を5分間の間に添加し、45分間十分重合させた。次いで、この溶媒を真空下で除去し、さらに1時間140℃かつ<100mbarで脱気する。固形物含量:98.0% K値(THF中1%):12.9
分子量:Mn3000;Mw6800。
【0053】
実施例4
ガラス反応器、還流冷却器、撹拌機及び窒素取り込みからなる重合装置中でわずかな窒素流中でo−キシレン791を装入し、140℃に加熱した。ラウリルアクリラート50%及びグリシジルメタクリラート50%からなるモノマー混合物50gを添加した。140℃に再度達した後に、tert−ブチルペルオクトアート20g及びo−キシレン180gから構成される開始剤溶液20gを添加し、10分間重合開始させた。次いで、モノマー混合物950gを3時間の間に、そして開始剤溶液180gを3時間の間に導入した。引き続き、o−キシレン50g中のtert−ブチルペルオクトアート1gの溶液を5分間の間に添加し、45分間十分重合させた。次いで、この溶媒を真空下で除去し、さらに1時間140℃かつ<100mbarで脱気した。固形物含量:98.1% K値(THF中1%):13.9。
【0054】
実施例5
ガラス反応器、還流冷却器、撹拌機及び窒素取り込みからなる重合装置中でわずかな窒素流中でo−キシレン791gを装入し、140℃に加熱した。2−エチルヘキシルアクリラート40%、ラウリルアクリラート30%、グリシジルメタクリラート20%及びダイズオイル10%からなるモノマー混合物50gを添加した。140℃に再度達した後に、tert−ブチルペルオクトアート20g及びo−キシレン180gから構成される開始剤溶液20gを添加し、10分間重合開始させた。次いで、モノマー混合物950gを3時間の間に、そして開始剤溶液180gを3時間の間に導入した。引き続き、o−キシレン50g中のtert−ブチルペルオクトアート1gの溶液を5分間の間に添加し、45分間十分重合させた。次いで、この溶媒を真空下で除去し、さらに1時間140℃かつ<100mbarで脱気した。
【0055】
適用実施例
デンプン含有ポリマー混合物の製造
二軸スクリュー押出機(ZSK25)中に、第1表に挙げる量比でポリエステル(Ecoflex FBX 7011)、本発明によるコポリマー、デンプン(Perfectamyl D6)、グリセリン及び水を180℃で調合し、水浴中で造粒した。このスクリューの回転数は250rpmであり、この流量は5kg/hであった。この顆粒をプレス処理により160℃で、200μmのシート厚を有するシートに加工した。
【0056】
機械的試験
このシートから試験体(引張ロッド)を打ち抜き、機械的試験をISO 527−3に応じて実施した。
【0057】
第1表:本発明によるポリマー混合物B1〜B10及び比較混合物V1及びV2の機械的特性
【表1】

【0058】
第1表に示される結果は、印象深く、本発明によるポリマー混合物が、知られているJoncryl(R) ADR 4368のポリマー混合物に対して0.5質量%を有する比較混合物V1に比較して、そしてV2(コポリマーの添加なし)に比較して、著しくより高い引裂強度及び引裂伸びを有することを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のもののラジカル重合により得られるコポリマー;
i)C8〜C30−アルキル(メタ)アクリラート、C8〜C30ビニルエステル、C8〜C30ビニルエーテル、C8〜C30オレフィン及び不飽和C8〜C30カルボン酸からのトリグリセリドからなる群から選択された少なくとも1のモノマー 成分i〜ivの総質量に対して10〜90質量%、
ii)少なくとも1のエポキシド−、イソシアナート−、カルボジイミド−、シラン−、β−ジカルボニル−、オキサゾリン−、又は無水物基を有する二重結合含有モノマー 成分i〜ivの総質量に対して0.5〜70質量%、
iii)ビニル芳香族化合物、C1〜C7−アルキル(メタ)アクリラート、エチレン性不飽和アセトフェノン−又はベンゾフェノン誘導体、C1〜C7ビニルエステル、C1〜C7ビニルエーテル、エチレン性不飽和ニトリル、エチレン性不飽和アミド、ビニルハロゲン化物、C2〜C7オレフィン、環式ラクタム及びこのモノマーの混合物からなる群から選択された1又は複数のモノマー 成分i〜ivの総質量に対して0〜75質量%、及び
iv)カルボン酸、スルホン酸又はホスホン酸基又はその塩を有するラジカル重合可能なモノマー 成分i〜ivの総質量に対して0〜10質量%。
【請求項2】
請求項1記載の、以下のもののラジカル重合により得られるコポリマー;
i)少なくとも1のC8〜C30−アルキル(メタ)アクリラート、C8〜C30ビニルエステル又はC8〜C30ビニルエーテル 成分i〜iiiの総質量に対して10〜90質量%、
ii)グリシジルアクリラート、グリシジルメタクリラート、無水マレイン酸、アリルグリシジルエーテル、グリシジルエタクリラート、ジメチル−メタ−イソプロペニル−ベンジル−イソシアナート及びイタコン酸無水物からなる群から選択された反応性モノマー 成分i〜ivの総質量に対して0.5〜60質量%、
iii)ビニル芳香族化合物、C1〜C7−アルキル(メタ)アクリラート又はこのモノマーの混合物 成分i〜ivの総質量に対して0〜75質量%、
iv)カルボン酸、スルホン酸又はホスホン酸基又はその塩を有するラジカル重合可能なモノマー 0〜10質量%。
【請求項3】
以下のもののラジカル重合により得られるコポリマー;
i)少なくとも1のC8〜C30−アルキル(メタ)アクリラート、C8〜C30ビニルエステル又はC8〜C30ビニルエーテル 成分i〜iiiの総質量に対して30〜90質量%、
ii)グリシジルアクリラート、グリシジルメタクリラート及び無水マレイン酸からなる群から選択された反応性モノマー 成分i〜iiiの総質量に対して0.5〜30質量%、及び
iii)スチレン又はC1〜C6−アルキル(メタ)アクリラート 成分i〜iiiの総質量に対して0〜25質量%。
【請求項4】
以下のもののラジカル重合により得られるコポリマー;
i)少なくとも1のC8〜C30−アルキル(メタ)アクリラート、C8〜C30ビニルエステル又はC8〜C30ビニルエーテル 成分i〜iiiの総質量に対して10〜80質量%、
ii)グリシジルアクリラート、グリシジルメタクリラート及び無水マレイン酸からなる群から選択された反応性モノマー 成分i〜iiiの総質量に対して10〜60質量%、及び
iii)スチレン又はC1〜C7アルキル(メタ)アクリラート 成分i〜iiiの総質量に対して0〜25質量%。
【請求項5】
請求項1から4記載のコポリマー0.05〜20質量%、熱可塑化したか又は熱可塑化していないデンプン及び場合により更なるポリマーを含有するポリマー混合物。
【請求項6】
更なるポリマーが、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカノアート、ポリカプロラクトン、生物学的に分解可能な脂肪族及び脂肪族/芳香族ポリエステルからなる群から選択された1又は複数のポリマーを意味する、請求項5記載のポリマー混合物。
【請求項7】
請求項1から4記載のコポリマー0.1〜5質量%及び
ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボナート及びポリウレタンからなる群から選択された1又は複数の重縮合物99.9〜95質量%
を含有するポリマー混合物。
【請求項8】
ポリマー又はポリマー混合物の連鎖延長剤としての請求項1から4記載のコポリマーの使用。
【請求項9】
ポリマー混合物中での相容性媒介剤としての請求項1から4記載のコポリマーの使用。
【請求項10】
ポリマー混合物中での加水分解安定剤としての請求項1から4記載のコポリマーの使用。
【請求項11】
紙及び厚紙の製造のための請求項1から3記載のコポリマーの使用。
【請求項12】
紙産業、テキスタイル産業及び皮革産業における表面仕上のための請求項1から3記載のコポリマーの使用。
【請求項13】
接着剤及びシーラントにおける及び木材、金属及びプラスチックに対するコーティングのための請求項1から3記載のコポリマーの使用。

【公表番号】特表2012−505302(P2012−505302A)
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−531437(P2011−531437)
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【国際出願番号】PCT/EP2009/062810
【国際公開番号】WO2010/043505
【国際公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】