門扉
【課題】 引戸を閉める際に戸先が敷地側や道路側に大きく振れている場合でも、戸先を所定の位置に誘導し、門柱等が傷付いたり変形したりするのを防止できる門扉の提供。
【解決手段】 引戸1と門柱2を備え、引戸1は、戸先1aに戸当りガイド3と補助ガイドローラー4を有し、補助ガイドローラー4は、戸当りガイド3の両側に戸当りガイド3よりも戸先側に突出して設けてあり、垂直軸回りに回転自在に保持してあり、門柱2は、引戸1側の側面に長手方向に沿う突部5と戸当りガイド受け6を有し、引戸1を閉めたときに補助ガイドローラー4が門柱2の突部5の両側に位置する。
【解決手段】 引戸1と門柱2を備え、引戸1は、戸先1aに戸当りガイド3と補助ガイドローラー4を有し、補助ガイドローラー4は、戸当りガイド3の両側に戸当りガイド3よりも戸先側に突出して設けてあり、垂直軸回りに回転自在に保持してあり、門柱2は、引戸1側の側面に長手方向に沿う突部5と戸当りガイド受け6を有し、引戸1を閉めたときに補助ガイドローラー4が門柱2の突部5の両側に位置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引戸式の門扉に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の引戸門扉は、図12に示すように、引戸90の戸先90aに略円錐状の戸当りガイド91を突出して設け、門柱92の引戸側の側面に戸当りガイド受け93が設けてあり、引戸を閉めたときに戸当りガイド91が戸当りガイド受け93に挿入されることで、引戸90の戸先90aが敷地側や道路側に多少振れていたとしても、引戸90の戸先90aが門柱92の所定の位置に当たるように誘導し、正常に施錠が行えるようにしている。大型の引戸門扉やノンレールタイプの引戸門扉では、引戸を閉める際に戸先90aの振れが大きく、戸当りガイド91が戸当りガイド受け93に収まらずに門柱92に衝突し、門柱92が傷付いたり変形したりすることがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、引戸を閉める際に戸先が敷地側や道路側に大きく振れている場合でも、戸先を所定の位置に誘導し、門柱等が傷付いたり変形したりするのを防止できる門扉の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による門扉は、引戸と門柱を備え、引戸は、戸先に戸当りガイドと補助ガイドローラーを有し、補助ガイドローラーは、戸当りガイドの両側に戸当りガイドよりも戸先側に突出して設けてあり、垂直軸回りに回転自在に保持してあり、門柱は、引戸側の側面に長手方向に沿う突部と戸当りガイド受けを有し、引戸を閉めたときに補助ガイドローラーが門柱の突部の両側に位置することを特徴とする。
【0005】
請求項2記載の発明による門扉は、一方の引戸と他方の引戸を備え、一方の引戸は、戸先に戸当りガイドと補助ガイドローラーを有し、補助ガイドローラーは、戸当りガイドの両側に戸当りガイドよりも戸先側に突出して設けてあり、垂直軸回りに回転自在に保持してあり、他方の引戸は、戸先に戸当りガイド受けを有し、引戸を閉めたときに補助ガイドローラーが他方の引戸の戸先部の両側に位置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明による門扉は、引戸を閉める際に戸先が敷地側や道路側に大きく振れている場合でも、補助ガイドローラーが戸当りガイドよりも先に門柱の突部に当たり、垂直軸回りに回転しながら門柱の突部の両側に移動することで、戸当りガイドが戸当りガイド受けにきちんと収まるように戸先を所定の位置に誘導できる。補助ガイドローラーが門柱の突部に先に当たることで、戸当りガイドが門柱に衝突して門柱が傷付いたり変形したりするのを防止できる。
【0007】
請求項2記載の発明による門扉は、引戸を閉める際に戸先が敷地側や道路側に大きく振れている場合でも、補助ガイドローラーが戸当りガイドよりも先に他方の引戸の戸先に当たり、垂直軸回りに回転しながら他方の引戸の戸先部の両側に移動することで、戸当りガイドが戸当りガイド受けにきちんと収まるように戸先を所定の位置に誘導できる。補助ガイドローラーが他方の引戸の戸先部に先に当たることで、戸当りガイドが他方の引戸の戸先部に衝突して他方の引戸の戸先部が傷付いたり変形したりするのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1実施形態の門扉を閉じる際の引戸の動きを示す横断面図である。
【図2】本発明の門扉の第1実施形態を示す正面図である。
【図3】同門扉の平面図である。
【図4】同門扉の引戸の戸先側の側面図である。
【図5】戸当りガイド及び補助ガイドローラーの周辺部を拡大して示す側面図である。
【図6】図2のA−A断面図である。
【図7】補助ガイドローラーの取付け方を示す分解斜視図である。
【図8】本発明の門扉の第2実施形態を示す正面図である。
【図9】第2実施形態の門扉の引戸同士の突き合わせ部を拡大して示す正面図である。
【図10】図9のB−B断面図である。
【図11】第2実施形態の門扉を閉じる際の引戸の動きを示す横断面図である。
【図12】従来の門扉における門扉を閉じる際の引戸の動きを示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図2〜7は、本発明の門扉の第1実施形態を示している。この門扉は、公共施設や工場等の道路と敷地の境界に設置される大型の引戸門扉であって、図2,3に示すように、引戸1と門柱2とを備え、引戸1を地面Gに敷設した一対のレール7に沿って右方向に移動させることにより塀8の間口を開き、引戸1をレール7に沿って左方向に移動させて門柱2に突き当てることにより塀8の間口を引戸1で塞ぐものである。
【0010】
引戸1は、図2に示すように、戸先框9と戸尻框10間の上部と中間部と下部とに横桟11a,11b,11cを架設し、横桟11a,11b,11cの道路側の面に多数の格子12が間隔をあけて取付けてある。さらに引戸1は、図3,4に示すように、敷地側に横フレーム13が下部の横桟11cと連結して配置され、上部の横桟11aと横フレーム13間に控柱14を複数設置して、引戸1が道路側や敷地側に倒れないように安定性を高めている。横フレーム13は、横桟11cよりも戸先側が約1m程度短くなっており、その側方に控柱14のない空きスペース15が形成され、この空きスペース15に人が入ることで引戸1の開閉操作をしやすくしている。空きスペース15にはL型の支えフレーム16が設けてあり、その下面に設けたキャスター17を地面Gに接地することで、引戸1の戸先1aが道路側や敷地側に振れるのを防いでいる。
下部の横桟11cと横フレーム13の下面には複数の台車18が設けてあり、これらの台車18の車輪18aはつば付きの車輪となっており、図4に示すように、レール7と係合している。レール7は、図2に示すように、一番戸先側の台車18よりも戸先側の門柱2の近くには設置されておらず、歩行者等の通行を容易にしている。戸先框9の下端部には、ブレーキ付きのキャスター19が設けてあり、これにより強風や地面の僅かな傾斜により引戸1が勝手に動かないようにしている。引戸1を開閉する際には、引手20の近くに設けたレバー21を操作することで、ブレーキが解除される。
【0011】
戸先框9は、図2,5に示すように、上下方向の中間部に引手20と錠22が設けてあり、引手20よりやや上方の戸先面に、略円柱状の戸当りガイド3が突出して設けてある。戸当りガイド3は、図6に示すように、先端部にテーパー状に面取り3aがしてある。さらに戸先框9は、戸当りガイド3よりも戸先側に突出した位置の道路側と敷地側の両側に、ゴム製の補助ガイドローラー4が設けてある。補助ガイドローラー4は、ステンレスの棒を曲げて形成したローラー支持具23に挿通されて、垂直軸回りに回転自在に保持してある。ローラー支持具23は、図7に示すように、補助ガイドローラー4を支持する垂直軸23aの上下にL形のアーム部23bが延出してあり、アーム部23bをベース金具24の凹み24aに嵌合させ、その先端部を戸先框9に形成した孔25に挿入し、アーム部23bを押さえるようにベース金具24に蓋26を被せて3本のネジ27で固定することで、強固に取付けてある。
門柱2は、図6に示すように、引戸1側の側面に矩形中空断面の突部5が長手方向の全長に亘って設けてあり、突部5の引戸1側の側面に、戸当りガイド3が挿入される凹部28を有する戸当りガイド受け6が設けてある。引戸1を閉めたときには、補助ガイドローラー4,4が門柱2の突部5の両側に位置している。
【0012】
引戸1を閉める際には、敷地側若しくは道路側の引手20を持って門柱2側に押すようにして閉めるが、引戸1が大型で引手20に大きな力が加わり、且つ戸先側には控柱14を設けていないこともあって、引戸1の戸先1aが敷地側や道路側に振れることがある。本門扉は、引戸1を閉める際に戸先1aが敷地側や道路側に振れていると、図1(a)に示すように、片方の補助ガイドローラー4が門柱2の突部5に戸当りガイド3よりも先に当たり、その後、図1(b)に示すように、補助ガイドローラー4が回転しながら門柱5の突部5の両側に移動することで、戸当りガイド3が戸当りガイド受け6の凹部28にきちんと収まるように、引戸1の戸先1aを所定の位置にスムーズに誘導する。その上で、図1(c)に示すように、戸当りガイド3が戸当りガイド受け6に挿入され、戸先1aが門柱2の所定の位置に引寄せられ、錠22の施錠が正常に行える。
【0013】
以上に述べたように本門扉は、戸当りガイド3の両側に補助ガイドローラー4を、戸当りガイド3よりも戸先側に突出して垂直軸23a回りに回転自在に設けたことで、引戸1を閉める際に戸先1aが敷地側や道路側に大きく振れていたとしても、補助ガイドローラー4が戸先1aを所定の位置に誘導するため、引戸1の閉鎖が容易に且つ正確に行える。補助ガイドローラー4の直径を約20mmとすると、その半径に相当する約10mm程度戸先1aが敷地側や道路側に振れていても振れを吸収できる。補助ガイドローラー4が門柱2の突部5に先に衝突することで、戸当りガイド3が門柱2と衝突することを避けられるため、門柱2が傷付いたり変形したりするのを防止できる。補助ガイドローラー4はゴム製のため、衝突時の衝撃を吸収でき、且つ補助ガイドローラー4が回転することで補助ガイドローラー4に加わる力を逃がし、戸先1aをスムーズに誘導できる。戸当りガイド3と補助ガイドローラー4が引戸1側に設けてあって、門柱2側には上下方向の中間に飛び出た部分がないため、通行の邪魔にならない。引戸1の戸先1aより飛び出す部分を円柱状の補助ガイドローラー4とし、これをステンレスの丸棒を曲げて形成したローラー支持具23の上下のアーム部23b間の垂直軸23aに保持してあり、尚且つ補助ガイドローラー4を戸当りガイド3の両側に配置したので、これらの戸先1aから飛び出た部分に衣服や手等が引っ掛かりにくい。また、アーム部23bの根本側をベース金具24と戸先框9に埋め込んで強固に固定したことで、補助ローラー4が繰り返し衝突してもローラー支持具23の変形や破損を防止できる。
【0014】
図8〜10は、本発明の門扉の第2実施形態であって、両開きの引戸門扉の場合を示している。本門扉は、一方の引戸31と他方の引戸32とを備え、両引戸31,32をレール7に沿って左右に引き分けて門扉を開き、両引戸31,32の戸先31a,32a同士を突き合わせて門扉を閉じるものである。
右側に位置する一方の引戸31は、第1実施形態の引戸1と同様のものであって、図9,10に示すように、戸先31aに戸当りガイド3が突出して設けられ、その両側に補助ガイドローラー4が戸先側に突出して垂直軸回りに回転自在に設けてある。左側に位置する他方の引戸32は、戸先32aに戸当りガイド3が挿入される凹部28を有する戸当りガイド受け6が設けてある。補助ガイドローラー4は、門扉を閉鎖した状態で他方の引戸32の戸先框9の両側に位置している。
【0015】
図11は、他方の引戸32を先に閉めて一方の引戸31を閉める場合を示しており、その際に一方の引戸31の戸先31aが敷地側や道路側に振れていると、図11(a)に示すように、片方の補助ガイドローラー4が他方の引戸32の戸先32aに戸当りガイド3よりも先に当たり、その後、図11(b)に示すように、補助ガイドローラー4が回転しながら他方の引戸32の戸先框9の両側に移動することで、戸当りガイド3が戸当りガイド受け6にきちんと収まるように一方の引戸31の戸先31aを所定の位置にスムーズに誘導する。その上で、図11(c)に示すように、戸当りガイド3が戸当りガイド受け6に挿入され、両引戸31,32の戸先31a,32a同士が見込み方向にずれないように正確に突き合わされ、錠22の施錠が正常に行える。
一方の引戸31を閉めてから他方の引戸32を閉める場合、一方の引戸31と他方の引戸32を同時に閉める場合も、上記と同様に補助ガイドローラー4の作用により両引戸31,32の戸先31a,32aの見込み方向のずれが補正される。
このように本門扉は、補助ガイドローラー4の作用により閉鎖時の戸先31a,32aの振れを矯正して戸先31a,32a同士を正確に突き合わせられ、戸当りガイド3が他方の引戸32の戸先32aに衝突して戸先框9が傷付いたり変形したりするのを防止できる。
【0016】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。戸当りガイド3と戸当りガイド受け6の形状は、適宜変更することができる。補助ガイドローラー4は、戸当りガイド3の道路側と敷地側の両側に設けてあればよく、戸当りガイド3の上方や下方にずれた位置に設けてあってもよい。補助ガイドローラー4の形状や取付け方、材質は適宜変更することができ、ゴム製のものに限らず、樹脂製のものであってもよい。引戸1,31,32の構成や支持構造は任意であり、全長にわたって控柱14を有しない引戸や、ノンレールタイプの引戸にも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0017】
1 引戸
1a 引戸の戸先
2 門柱
3 戸当りガイド
4 補助ガイドローラー
5 門柱の突部
6 戸当りガイド受け
9 戸先框(戸先部)
31 一方の引戸
31a 一方の引戸の戸先
32 他方の引戸
32a 他方の引戸の戸先
【技術分野】
【0001】
本発明は、引戸式の門扉に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の引戸門扉は、図12に示すように、引戸90の戸先90aに略円錐状の戸当りガイド91を突出して設け、門柱92の引戸側の側面に戸当りガイド受け93が設けてあり、引戸を閉めたときに戸当りガイド91が戸当りガイド受け93に挿入されることで、引戸90の戸先90aが敷地側や道路側に多少振れていたとしても、引戸90の戸先90aが門柱92の所定の位置に当たるように誘導し、正常に施錠が行えるようにしている。大型の引戸門扉やノンレールタイプの引戸門扉では、引戸を閉める際に戸先90aの振れが大きく、戸当りガイド91が戸当りガイド受け93に収まらずに門柱92に衝突し、門柱92が傷付いたり変形したりすることがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、引戸を閉める際に戸先が敷地側や道路側に大きく振れている場合でも、戸先を所定の位置に誘導し、門柱等が傷付いたり変形したりするのを防止できる門扉の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による門扉は、引戸と門柱を備え、引戸は、戸先に戸当りガイドと補助ガイドローラーを有し、補助ガイドローラーは、戸当りガイドの両側に戸当りガイドよりも戸先側に突出して設けてあり、垂直軸回りに回転自在に保持してあり、門柱は、引戸側の側面に長手方向に沿う突部と戸当りガイド受けを有し、引戸を閉めたときに補助ガイドローラーが門柱の突部の両側に位置することを特徴とする。
【0005】
請求項2記載の発明による門扉は、一方の引戸と他方の引戸を備え、一方の引戸は、戸先に戸当りガイドと補助ガイドローラーを有し、補助ガイドローラーは、戸当りガイドの両側に戸当りガイドよりも戸先側に突出して設けてあり、垂直軸回りに回転自在に保持してあり、他方の引戸は、戸先に戸当りガイド受けを有し、引戸を閉めたときに補助ガイドローラーが他方の引戸の戸先部の両側に位置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明による門扉は、引戸を閉める際に戸先が敷地側や道路側に大きく振れている場合でも、補助ガイドローラーが戸当りガイドよりも先に門柱の突部に当たり、垂直軸回りに回転しながら門柱の突部の両側に移動することで、戸当りガイドが戸当りガイド受けにきちんと収まるように戸先を所定の位置に誘導できる。補助ガイドローラーが門柱の突部に先に当たることで、戸当りガイドが門柱に衝突して門柱が傷付いたり変形したりするのを防止できる。
【0007】
請求項2記載の発明による門扉は、引戸を閉める際に戸先が敷地側や道路側に大きく振れている場合でも、補助ガイドローラーが戸当りガイドよりも先に他方の引戸の戸先に当たり、垂直軸回りに回転しながら他方の引戸の戸先部の両側に移動することで、戸当りガイドが戸当りガイド受けにきちんと収まるように戸先を所定の位置に誘導できる。補助ガイドローラーが他方の引戸の戸先部に先に当たることで、戸当りガイドが他方の引戸の戸先部に衝突して他方の引戸の戸先部が傷付いたり変形したりするのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1実施形態の門扉を閉じる際の引戸の動きを示す横断面図である。
【図2】本発明の門扉の第1実施形態を示す正面図である。
【図3】同門扉の平面図である。
【図4】同門扉の引戸の戸先側の側面図である。
【図5】戸当りガイド及び補助ガイドローラーの周辺部を拡大して示す側面図である。
【図6】図2のA−A断面図である。
【図7】補助ガイドローラーの取付け方を示す分解斜視図である。
【図8】本発明の門扉の第2実施形態を示す正面図である。
【図9】第2実施形態の門扉の引戸同士の突き合わせ部を拡大して示す正面図である。
【図10】図9のB−B断面図である。
【図11】第2実施形態の門扉を閉じる際の引戸の動きを示す横断面図である。
【図12】従来の門扉における門扉を閉じる際の引戸の動きを示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図2〜7は、本発明の門扉の第1実施形態を示している。この門扉は、公共施設や工場等の道路と敷地の境界に設置される大型の引戸門扉であって、図2,3に示すように、引戸1と門柱2とを備え、引戸1を地面Gに敷設した一対のレール7に沿って右方向に移動させることにより塀8の間口を開き、引戸1をレール7に沿って左方向に移動させて門柱2に突き当てることにより塀8の間口を引戸1で塞ぐものである。
【0010】
引戸1は、図2に示すように、戸先框9と戸尻框10間の上部と中間部と下部とに横桟11a,11b,11cを架設し、横桟11a,11b,11cの道路側の面に多数の格子12が間隔をあけて取付けてある。さらに引戸1は、図3,4に示すように、敷地側に横フレーム13が下部の横桟11cと連結して配置され、上部の横桟11aと横フレーム13間に控柱14を複数設置して、引戸1が道路側や敷地側に倒れないように安定性を高めている。横フレーム13は、横桟11cよりも戸先側が約1m程度短くなっており、その側方に控柱14のない空きスペース15が形成され、この空きスペース15に人が入ることで引戸1の開閉操作をしやすくしている。空きスペース15にはL型の支えフレーム16が設けてあり、その下面に設けたキャスター17を地面Gに接地することで、引戸1の戸先1aが道路側や敷地側に振れるのを防いでいる。
下部の横桟11cと横フレーム13の下面には複数の台車18が設けてあり、これらの台車18の車輪18aはつば付きの車輪となっており、図4に示すように、レール7と係合している。レール7は、図2に示すように、一番戸先側の台車18よりも戸先側の門柱2の近くには設置されておらず、歩行者等の通行を容易にしている。戸先框9の下端部には、ブレーキ付きのキャスター19が設けてあり、これにより強風や地面の僅かな傾斜により引戸1が勝手に動かないようにしている。引戸1を開閉する際には、引手20の近くに設けたレバー21を操作することで、ブレーキが解除される。
【0011】
戸先框9は、図2,5に示すように、上下方向の中間部に引手20と錠22が設けてあり、引手20よりやや上方の戸先面に、略円柱状の戸当りガイド3が突出して設けてある。戸当りガイド3は、図6に示すように、先端部にテーパー状に面取り3aがしてある。さらに戸先框9は、戸当りガイド3よりも戸先側に突出した位置の道路側と敷地側の両側に、ゴム製の補助ガイドローラー4が設けてある。補助ガイドローラー4は、ステンレスの棒を曲げて形成したローラー支持具23に挿通されて、垂直軸回りに回転自在に保持してある。ローラー支持具23は、図7に示すように、補助ガイドローラー4を支持する垂直軸23aの上下にL形のアーム部23bが延出してあり、アーム部23bをベース金具24の凹み24aに嵌合させ、その先端部を戸先框9に形成した孔25に挿入し、アーム部23bを押さえるようにベース金具24に蓋26を被せて3本のネジ27で固定することで、強固に取付けてある。
門柱2は、図6に示すように、引戸1側の側面に矩形中空断面の突部5が長手方向の全長に亘って設けてあり、突部5の引戸1側の側面に、戸当りガイド3が挿入される凹部28を有する戸当りガイド受け6が設けてある。引戸1を閉めたときには、補助ガイドローラー4,4が門柱2の突部5の両側に位置している。
【0012】
引戸1を閉める際には、敷地側若しくは道路側の引手20を持って門柱2側に押すようにして閉めるが、引戸1が大型で引手20に大きな力が加わり、且つ戸先側には控柱14を設けていないこともあって、引戸1の戸先1aが敷地側や道路側に振れることがある。本門扉は、引戸1を閉める際に戸先1aが敷地側や道路側に振れていると、図1(a)に示すように、片方の補助ガイドローラー4が門柱2の突部5に戸当りガイド3よりも先に当たり、その後、図1(b)に示すように、補助ガイドローラー4が回転しながら門柱5の突部5の両側に移動することで、戸当りガイド3が戸当りガイド受け6の凹部28にきちんと収まるように、引戸1の戸先1aを所定の位置にスムーズに誘導する。その上で、図1(c)に示すように、戸当りガイド3が戸当りガイド受け6に挿入され、戸先1aが門柱2の所定の位置に引寄せられ、錠22の施錠が正常に行える。
【0013】
以上に述べたように本門扉は、戸当りガイド3の両側に補助ガイドローラー4を、戸当りガイド3よりも戸先側に突出して垂直軸23a回りに回転自在に設けたことで、引戸1を閉める際に戸先1aが敷地側や道路側に大きく振れていたとしても、補助ガイドローラー4が戸先1aを所定の位置に誘導するため、引戸1の閉鎖が容易に且つ正確に行える。補助ガイドローラー4の直径を約20mmとすると、その半径に相当する約10mm程度戸先1aが敷地側や道路側に振れていても振れを吸収できる。補助ガイドローラー4が門柱2の突部5に先に衝突することで、戸当りガイド3が門柱2と衝突することを避けられるため、門柱2が傷付いたり変形したりするのを防止できる。補助ガイドローラー4はゴム製のため、衝突時の衝撃を吸収でき、且つ補助ガイドローラー4が回転することで補助ガイドローラー4に加わる力を逃がし、戸先1aをスムーズに誘導できる。戸当りガイド3と補助ガイドローラー4が引戸1側に設けてあって、門柱2側には上下方向の中間に飛び出た部分がないため、通行の邪魔にならない。引戸1の戸先1aより飛び出す部分を円柱状の補助ガイドローラー4とし、これをステンレスの丸棒を曲げて形成したローラー支持具23の上下のアーム部23b間の垂直軸23aに保持してあり、尚且つ補助ガイドローラー4を戸当りガイド3の両側に配置したので、これらの戸先1aから飛び出た部分に衣服や手等が引っ掛かりにくい。また、アーム部23bの根本側をベース金具24と戸先框9に埋め込んで強固に固定したことで、補助ローラー4が繰り返し衝突してもローラー支持具23の変形や破損を防止できる。
【0014】
図8〜10は、本発明の門扉の第2実施形態であって、両開きの引戸門扉の場合を示している。本門扉は、一方の引戸31と他方の引戸32とを備え、両引戸31,32をレール7に沿って左右に引き分けて門扉を開き、両引戸31,32の戸先31a,32a同士を突き合わせて門扉を閉じるものである。
右側に位置する一方の引戸31は、第1実施形態の引戸1と同様のものであって、図9,10に示すように、戸先31aに戸当りガイド3が突出して設けられ、その両側に補助ガイドローラー4が戸先側に突出して垂直軸回りに回転自在に設けてある。左側に位置する他方の引戸32は、戸先32aに戸当りガイド3が挿入される凹部28を有する戸当りガイド受け6が設けてある。補助ガイドローラー4は、門扉を閉鎖した状態で他方の引戸32の戸先框9の両側に位置している。
【0015】
図11は、他方の引戸32を先に閉めて一方の引戸31を閉める場合を示しており、その際に一方の引戸31の戸先31aが敷地側や道路側に振れていると、図11(a)に示すように、片方の補助ガイドローラー4が他方の引戸32の戸先32aに戸当りガイド3よりも先に当たり、その後、図11(b)に示すように、補助ガイドローラー4が回転しながら他方の引戸32の戸先框9の両側に移動することで、戸当りガイド3が戸当りガイド受け6にきちんと収まるように一方の引戸31の戸先31aを所定の位置にスムーズに誘導する。その上で、図11(c)に示すように、戸当りガイド3が戸当りガイド受け6に挿入され、両引戸31,32の戸先31a,32a同士が見込み方向にずれないように正確に突き合わされ、錠22の施錠が正常に行える。
一方の引戸31を閉めてから他方の引戸32を閉める場合、一方の引戸31と他方の引戸32を同時に閉める場合も、上記と同様に補助ガイドローラー4の作用により両引戸31,32の戸先31a,32aの見込み方向のずれが補正される。
このように本門扉は、補助ガイドローラー4の作用により閉鎖時の戸先31a,32aの振れを矯正して戸先31a,32a同士を正確に突き合わせられ、戸当りガイド3が他方の引戸32の戸先32aに衝突して戸先框9が傷付いたり変形したりするのを防止できる。
【0016】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。戸当りガイド3と戸当りガイド受け6の形状は、適宜変更することができる。補助ガイドローラー4は、戸当りガイド3の道路側と敷地側の両側に設けてあればよく、戸当りガイド3の上方や下方にずれた位置に設けてあってもよい。補助ガイドローラー4の形状や取付け方、材質は適宜変更することができ、ゴム製のものに限らず、樹脂製のものであってもよい。引戸1,31,32の構成や支持構造は任意であり、全長にわたって控柱14を有しない引戸や、ノンレールタイプの引戸にも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0017】
1 引戸
1a 引戸の戸先
2 門柱
3 戸当りガイド
4 補助ガイドローラー
5 門柱の突部
6 戸当りガイド受け
9 戸先框(戸先部)
31 一方の引戸
31a 一方の引戸の戸先
32 他方の引戸
32a 他方の引戸の戸先
【特許請求の範囲】
【請求項1】
引戸と門柱を備え、引戸は、戸先に戸当りガイドと補助ガイドローラーを有し、補助ガイドローラーは、戸当りガイドの両側に戸当りガイドよりも戸先側に突出して設けてあり、垂直軸回りに回転自在に保持してあり、門柱は、引戸側の側面に長手方向に沿う突部と戸当りガイド受けを有し、引戸を閉めたときに補助ガイドローラーが門柱の突部の両側に位置することを特徴とする門扉。
【請求項2】
一方の引戸と他方の引戸を備え、一方の引戸は、戸先に戸当りガイドと補助ガイドローラーを有し、補助ガイドローラーは、戸当りガイドの両側に戸当りガイドよりも戸先側に突出して設けてあり、垂直軸回りに回転自在に保持してあり、他方の引戸は、戸先に戸当りガイド受けを有し、引戸を閉めたときに補助ガイドローラーが他方の引戸の戸先部の両側に位置することを特徴とする門扉。
【請求項1】
引戸と門柱を備え、引戸は、戸先に戸当りガイドと補助ガイドローラーを有し、補助ガイドローラーは、戸当りガイドの両側に戸当りガイドよりも戸先側に突出して設けてあり、垂直軸回りに回転自在に保持してあり、門柱は、引戸側の側面に長手方向に沿う突部と戸当りガイド受けを有し、引戸を閉めたときに補助ガイドローラーが門柱の突部の両側に位置することを特徴とする門扉。
【請求項2】
一方の引戸と他方の引戸を備え、一方の引戸は、戸先に戸当りガイドと補助ガイドローラーを有し、補助ガイドローラーは、戸当りガイドの両側に戸当りガイドよりも戸先側に突出して設けてあり、垂直軸回りに回転自在に保持してあり、他方の引戸は、戸先に戸当りガイド受けを有し、引戸を閉めたときに補助ガイドローラーが他方の引戸の戸先部の両側に位置することを特徴とする門扉。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−112951(P2013−112951A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258398(P2011−258398)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000175560)三協立山株式会社 (529)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000175560)三協立山株式会社 (529)
【Fターム(参考)】
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