閃光放電ランプおよび光エネルギー照射装置
【課題】
紫外光放射、特に波長200〜400nmの紫外光放射を増大した閃光放電ランプおよびこれを用いた光エネルギー照射装置を提供する。
【解決手段】
閃光放電ランプHFLは、透光性で細長い気密容器SEと、気密容器SEの両端内部に封装されている一対の電極E、Eと、クリプトン(Kr)およびキセノン(Xe)を含み、クリプトンのクリプトンおよびキセノンに対する分圧比P(%)が下式を満足する希ガスからなり、気密容器SEの内部に封入されて閃光放電時に発光する放電媒体とを具備している。
70≦P≦98
紫外光放射、特に波長200〜400nmの紫外光放射を増大した閃光放電ランプおよびこれを用いた光エネルギー照射装置を提供する。
【解決手段】
閃光放電ランプHFLは、透光性で細長い気密容器SEと、気密容器SEの両端内部に封装されている一対の電極E、Eと、クリプトン(Kr)およびキセノン(Xe)を含み、クリプトンのクリプトンおよびキセノンに対する分圧比P(%)が下式を満足する希ガスからなり、気密容器SEの内部に封入されて閃光放電時に発光する放電媒体とを具備している。
70≦P≦98
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外光を含む瞬間的に大きな強度の光エネルギーを照射するのに適した閃光放電ランプおよびこれを用いた光エネルギー照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
透光性の細長い気密容器の内部にキセノンからなる放電媒体を封入した閃光放電ランプにパルス状のランプ電流を供給して放電させると、瞬間的に大きな強度の閃光すなわち紫外光、可視光および赤外光を含む放射を瞬間的に発生させることができる。この閃光放電ランプの閃光発光を照射することによって半導体材料のアニール、割断など半導体や液晶プロセス分野など各種の分野における表面改質、表面加熱および表面殺菌などの表面処理が可能になる。
【0003】
従来は、この種の光照射には主としてレーザやハロゲン電球を用いているが、レーザやハロゲン電球に代えて上記の閃光放電ランプの複数灯を並列配置することにより、極めて短時間で比較的面積の大きい被照射物全体を同時に光照射することが可能になる。また、閃光放電ランプは、比較的ランプの長寸化が容易なため、被照射体の大面積化を実現するのに都合がよい。
【0004】
上述の用途に用いる閃光放電ランプは、気密容器が細長くて石英ガラスからなり、気密容器の両端内部に一対の電極を封装し、気密容器の内部にキセノン(Xe)などの希ガスを封入していて、かつ、気密容器の外周に近接してトリガー電極を配設した構造である。
【0005】
放電媒体にキセノンを13.3kPaの圧力で封入した閃光放電ランプを40μFのコンデンサの充電電圧を6kVとし、インダクタンスを0μHにした放電回路を用いて閃光点灯した場合の分光分布は図11に示すとおりである。
【0006】
図11は、従来のキセノンを封入した閃光放電ランプにおける分光分布曲線を示すグラフである。この分光分布は、紫外線域、可視域および赤外線域を含む連続発光であり、太陽光の分光分布に近い白色発光になっている。したがって、この閃光放電ランプおよび上記点灯条件は、擬似太陽光源として用いられる。なお、図11のスペクトル分布の場合、波長200〜400nmの紫外光領域の相対放射エネルギーすなわち相対UV放射エネルギーは約7.1%である。
【0007】
上記の表面などに閃光放電ランプの閃光発光を利用する場合、波長200〜400nmの領域における紫外光の相対放射エネルギーが効果的に作用する。すなわち、紫外光量を増加すると、表面吸収量の増加、表面加熱効果の増加、波長200〜300nmの短波長紫外光の増加による殺菌効果の増大が実現する。
【0008】
従来、遠紫外領域の放射強度を多くして高い殺菌効果を得るために、希ガスに加えてアンチモンまたはアンチモン化合物を封入した殺菌用閃光放電ランプが知られている(特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2001−068057号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、特許文献1の場合、閃光放電時に封入されているアンチモンが蒸気の状態として存在することが必要であり、そのために200℃以上の温度に加熱することが好ましいこととされている。これを実現するためには、閃光放電ランプの周囲に加熱手段を配設して閃光放電ランプを加熱している。このため、光源装置が複雑で大型化するとともに、加熱エネルギーを使用するので、エネルギー効率が低下するという問題がある。
【0010】
これに対して、本発明者らは、閃光放電ランプの紫外光増加を検討する中で、まず閃光放電ランプにおける発光メカニズムを調査した。閃光放電ランプの発光は、次の3つに区別される。
(1)f−b遷移による連続スペクトル(短波長域−可視域)
Xe++e− → Xe+hν(光)
(2)f−f遷移による連続スペクトル(赤外域)
Xe++ef− → Xe++e−+hν(光)
(3)励起原子から放射されるスペクトル(その他の輝線スペクトル)
Xe* → Xe*´+hν(光)
なお、上記において用いられている記号は以下の意味している。
Xe+:Xeイオン、Xe*:励起Xe原子、h:プランクの定数、ν:振動数、e:電子
上記発光メカニズムのうち、(1)はXeイオンと電子が再結合する際に、紫外域から可視域にわたって発光する連続発光となる。これはf−b遷移発光である。(2)はプラズマ中の電場の影響で電子が減速される際に赤外域に発光する連続発光となる。制動放射と称されるf−f遷移発光である。(3)はXeの励起原子による輝線スペクトルの発光である。閃光放電ランプの発光は、以上のメカニズムにより構成されている。
【0011】
そこで、本発明者らは、紫外光の増大を図る手段として、f−b遷移による連続スペクトルの増加に注目した。そして、紫外光発光に寄与する希ガスイオンと電子の生成効率や生成数を増加させることで、f−b遷移による発光を増大させることを着想し、これについて調査した。その結果、Krに適当圧力範囲のXeを混合してなる混合希ガスを封入することによって、紫外光放射の増大を図ることができることを発見した。本発明は、この発見に基づいてなされたものである。
【0012】
本発明は、紫外光放射、特に波長200〜400nmの紫外光放射を増大した閃光放電ランプおよびこれを用いた光エネルギー照射装置を提供することを主な目的とする。
【0013】
また、本発明は、電流密度を増加して、さらなる紫外光放射の増大化を図った閃光放電ランプおよびこれを用いた光エネルギー照射装置を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の閃光放電ランプは、透光性で細長い気密容器と;気密容器の両端内部に封装されている一対の電極と;クリプトン(Kr)およびキセノン(Xe)を含み、クリプトンのクリプトンおよびキセノンに対する分圧比P(%)が下式を満足する希ガスからなり、気密容器の内部に封入されて閃光放電時に発光する放電媒体と;を具備していることを特徴としている。
【0015】
70≦P≦98
本発明は、電離電圧の低いキセノンにより電子を生成してクリプトンのイオン化を促進して紫外光の増大を実現するものである。すなわち、希ガスのイオン化電圧は、Xeが12.1eV、Krが14.0eVであるから、Xeを適当圧力混合することで、Krのイオン化が促進され、紫外光の増大が実現する。
【0016】
希ガスの種類と紫外光発生量との関係についていえば、Xe、KrおよびArのいずれも波長200〜300nmの領域に発光が得られる。例えば、前記の閃光放電ランプを同一のコンデンサ容量および放電回路において充電電圧8kVで点灯した場合、Krを封入した閃光放電ランプにおいては、350〜400nmの波長域に強い連続発光が生じる。これに対して、Xeを封入した閃光放電ランプにおいては、このような発光が見られないが、波長200〜300nmの帯域に強い輝線スペクトルが見られる。また、アルゴンを封入した閃光放電ランプにおいては、360nm付近に相対的に高い輝線スペクトルが現れる。そうして、上記各閃光放電ランプの中では、波長200〜400nmに含まれる紫外光を発生させる場合、Krを封入した閃光放電ランプが最も多くの紫外光が得られる。一例として説明すれば、内径10mm、長さ340mmの気密容器内にKr、XeおよびArをそれぞれ40kPaの圧力で封入した閃光放電ランプを製作し、コンデンサ容量40μF、充電電圧11kV、インダクタンス0μHの放電回路を用いてパルス幅20μs一定、ピーク電流4000Aで閃光放電させた結果、波長300〜500nmにおける相対放射強度は、Krを封入した閃光放電ランプを100%とすると、Arを封入した閃光放電ランプが89%、Xeを封入した閃光放電ランプが72%であった。
【0017】
本発明においては、KrとXeを上記の所定比率範囲内で混合するので、XeによってKrのイオン化促進が行われることによる紫外光発光の増大と、Krによって生じる350〜400nmの波長域の連続発光とがともに効果的に得られる。その結果、波長200〜400nmの紫外光の光量が、Xeを100%封入した従来の閃光放電ランプやKrを100%封入した閃光放電ランプにおけるそれ以上に増大する。Kr90%、Xe10%の分圧比の場合には、Kr100封入した閃光放電ランプに対して112%程度の紫外光が得られる。
【0018】
しかし、Krの分圧比Pが70%未満または98%超になると、波長200〜400nmの紫外光の発生量がKrを100%封入した閃光放電ランプと同等またはそれ以下になるので、改良効果が得られない。なお、Krの分圧比Pは、好適には75〜95%の範囲内である。この範囲内であれば、より多量の紫外光発生を得ることができる。
【0019】
本発明の閃光放電ランプによれば、上述のように波長200〜400nmの紫外高周波の放射が多くなる。したがって、これを例えば半導体や液晶などの表面処理に用いる場合、紫外光は、被照射体表面で吸収されやすいため、表面改質および表面加熱などの表面処理に対して効果的に作用するので、好都合である。また、紫外光が増大するので、表面殺菌処理にも効果的である。
【0020】
次に、本発明のより好ましい形態について説明する。この形態は、本発明の上述した閃光放電ランプの構成に加えて、気密容器中の管軸に直交する断面における電流密度が8000A/cm2以上で閃光点灯することによって特徴付けられている。
【0021】
本形態においては、上述した混合希ガスの封入によるf−b遷移で得られる発光効率の向上に加えて、ランプ電流値を増加させて高電流密度化することで、イオン数および電子数が増加するので、これによるf−b遷移による発光効率の向上が得られる。その結果、紫外光の発生量がさらに多くなる。これに対して、可視光領域の発光は、電流密度の増加に対して殆ど変化がない。また、赤外光は、電流密度の増加に対して減少していく。要するに、電流密度の増加に伴って紫外光が増加するのに応じて赤外光が減少する。
【0022】
紫外光は、電流密度に対して正の相関を呈するが、電流密度が8000A/cm2以上であれば、紫外光の増大が顕著になり、しかも紫外光量が所望の値になる。これに対して、電流密度が8000A/cm2未満であると、紫外光の増大の程度が少なく、所望量の紫外光量が得られない。なお、電流密度は、好適には10000A/cm2以上であり、この範囲であれば紫外光の増大が特に顕著になる。
【0023】
ところで、電流密度は、気密容器内に形成されている放電空間の管軸に対して直交する部分の断面に対して求めるものであり、ランプ電流を主な発光領域における上記断面積で除算することによって算出される。
【0024】
次に、本発明の光エネルギー照射装置について説明する。光エネルギー照射装置は、光エネルギー照射装置本体と;光エネルギー照射装置本体に配設された請求項1または2記載の閃光放電ランプと;閃光放電ランプ閃光点灯する閃光放電ランプ点灯装置と;を具備していることを特徴としている。
【0025】
本発明の光エネルギー照射装置においては、以上の構成を具備していることにより、閃光放電ランプが閃光放電を行うと、発生した閃光発光は、被照射物に照射部されるが、閃光放電ランプから放射される紫外光が多いので、例えば被照射物の表面処理、殺菌処理などを効果的に行うことができる。
【発明の効果】
【0026】
請求項1の発明によれば、クリプトンに対してキセノンを所定圧力比範囲で混合して封入していることにより、波長200〜400nmの紫外光が増大する閃光放電ランプを提供することができる。
【0027】
請求項2の発明によれば、加えて電流密度が所定範囲であることにより、波長200〜400nmの紫外光がさらに増大する閃光放電ランプを提供することができる。
【0028】
請求項3の発明によれば、請求項1および2の効果を有する光エネルギー照射装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
【0030】
図1および図2は、本発明の閃光放電ランプを実施するための第1の形態を示し、図1は閃光放電ランプの正面図、図2はトリガー電極を除いた状態の拡大断面図である。
【0031】
本形態において、閃光放電ランプHFLは、気密容器SE、一対の電極E、Eおよび放電媒体を具備している。また、所望によりトリガー電極TWを具備することができる。
【0032】
〔気密容器SE〕 気密容器SEは、透光性で、かつ、細長く、内部が中空になっている。ここでいう透光性は、外部に導出して利用しようとする所望波長帯域、したがって少なくとも所望波長の紫外光を実質的に透過すればよく、要すれば真空紫外光に対しても実質的に透過性にすることができる。また、少なくとも気密容器SEの主要部が透光性であればよい。
【0033】
また、気密容器SEは、管軸方向に延在して細長い形状をなしていて、内部の中空部分が放電空間1bとして利用される。気密容器SEの長さは、被照射体の大きさに応じて所望の値に設定することができる。例えば、0.4〜2m程度の長さを有する気密容器SEを備えた閃光放電ランプHFLを得ることもできる。また、気密容器SEは、好ましくはその外径D(mm)が6≦D≦30の範囲内にある。上記数式において、外径D(mm)は、管軸方向の後述する主要部における外周の平均値の大きさを外周が等しい円形に換算したときの値である。
【0034】
さらに、気密容器SEは、所望により中空部の管軸方向に内部断面積が例えばある値を有する第1の領域および内部断面積が上記の値と異なる値を有する第2の領域を管軸方向に備え、それら領域の断面積比が所定の関係を満足するように構成することができる。内部断面積の変化は、段階的および連続的のいずれであってもよい。内部断面積の変化は、以下に例示する目的に沿って適宜設定することができる。なお、目的の如何にかかわらず、ある領域の内部断面積が相対的に小さくなると、当該領域を流れる電流密度が大きくなり、これに伴って発光の強さが相対的に大きくなり、反対に内部断面積が相対的に大きくなると、当該領域を流れる電流密度が小さくなり、これに伴って発光の強さが相対的に小さくなる関係にある。
1.管軸方向に沿って均一な光照射効果が比較的長い距離にわたり得られるようにする。
2.管軸方向の中間部に比較的発光の強い領域が形成されるようにする。
3.管軸方向の両端部に比較的発光の強い領域が形成されるようにする。設定されている
さらにまた、気密容器SEは、その内部を外気に対して気密に封止するとともに、後述する電極E、Eを封装して支持するために、細長い管1とその両端の封止部2を備えて形成することができる。なお、図1において、符号1aは、管1の側面に配設された排気チップオフ部である。封止部2は、適宜の構成を採用することができるが、閃光放電時には数千Aの大電流が瞬間的に流れるので、これに耐える封止構造を採用する必要がある。好適にはグレーデッドシール構造を採用するのがよい。
【0035】
〔一対の電極E、E〕 一対の電極E、Eは、気密容器SEの両端内部に対向して封装されている。そして、従来から閃光放電ランプに一般に用いられている構成であるところの冷陰極形の電極を用いることができる。この場合、例えばニッケル(Ni)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)およびチタン(Ti)のグループから選択された一種または複数種の耐火性金属あるいはこれらの複数種からなる合金またはステンレス鋼などを用いて電極を形成することができる。
【0036】
また、電極Eは、例えば図示のように電極主部3aおよび電極軸3bを含み、電極主部3aを電極軸3bの先端に支持させて構成することができる。電極軸3bは、その基端が気密容器SEの封止部2に気密に封着される。なお、グレーデッドシール構造の場合、外部リードLWを電極軸3bと兼用することができ、したがって外部リードLWを気密容器SEの封止部2を貫通させて気密容器SEの内部へ突出させ、その先端に電極主部3aを支持させることができる。
【0037】
さらに、所望により電極軸3bをセラミックスで被覆することができる。これにより、閃光放電ランプHFLの点灯によって高温に加熱された電極軸3bから炭素(C)などの不純物が気密容器SEの内部に放出されて気密容器SEの内面を黒化して閃光放電ランプHFLが短寿命になるのを抑制することができる。また、上記セラミックスを適当な大きさに形成することにより、加えて電極Eを所定位置に保持するための電極保持部材としても作用させることができる。さらに、所望により上記セラミックスにゲッタを保持させることもできる。
【0038】
〔放電媒体〕 放電媒体は、その放電により所望波長域の光を放射する媒体であり、クリプトン(Kr)およびキセノン(Xe)の所定割合の混合希ガスを主体とする。所定割合は、クリプトンのクリプトンおよびキセノンに対する混合比率(Kr/(Kr+Xe))をP(%)としたとき、数式70≦P≦98を満足するものとする。なお、上記混合希ガスの封入圧は、従来から閃光放電ランプに一般に用いられているのと同様な圧力範囲、例えば50〜200kPa程度であることを許容する。
【0039】
〔トリガー電極TW〕 トリガー電極TWは、所望により具備していることが許容される。そして、気密容器SEの外面に近接して配設され、少なくとも一方の電極Eとの間に強い電位傾度を形成することにより、気密容器SE内の内部を絶縁破壊して、一対の電極E、E間に放電を生起させるための手段として機能させることができる。
【0040】
また、トリガー電極TWは、これを気密容器SEの外周に近接してピッチP(mm)が数式5≦P≦50の螺旋状をなして配設することができる。ピッチPが上記の範囲内であれば、気密容器SEの管長が2m程度以下の範囲において、閃光放電におけるアークの中心がほぼ管軸上に沿ってストレートになり、しかも安定して形成されるので、放電によって発生した光エネルギーの所望程度を外部へ導出するのに都合がよい。なお、トリガー電極TWのピッチは、気密容器SEの管長によりその最適な範囲が変化するので、上記の範囲内において、管長に応じて最適な条件を選択することができる。例えば、管長が300〜2000mm程度で、かつ、外径D(mm)が6≦D≦30の範囲内にある場合、トリガー電極TWのピッチは、20〜30mmが好適である。なお、上記数式において、外径D(mm)は、管軸方向の後述する主要部における外周の平均値の大きさを外周が等しい円形に換算したときの値である。しかしながら、ピッチPが5mm未満になると、アークの安定性は問題ないが、遮光率が大きくなりすぎるので、好ましくない。また、ピッチPが30mmを超えると、遮光率の問題はないが、アークの安定性が悪くなるので、これまた好ましくない。
【0041】
また、トリガー電極TWは、好ましくは上記に加えてその線径d(mm)が0.1≦d≦2.0の範囲内であれば、点灯時の熱膨張による影響がなくて、しかも、遮光率が大きくなりすぎない。これに対して、線径が0.1mm未満になると、点灯時の熱膨張が大きくなって気密容器との間に隙間が形成されやすくなるとともに、トリガー電極TWのピッチが乱れやすくなる。トリガー電極TWと気密容器SEとの間の隙間が大きくなる、始動性が損なわれる。また、ピッチが乱れると、アークの安定性が損なわれる。また、線径が2.0mmを超えると、遮光率が大きくなるとともに、外部へ導出される管軸方向の光エネルギー分布の均整度が悪くなる。なお、トリガー電極TWは、アークの管軸に沿った安定にこだわらないのであれば、上記のようにスパイラルに巻回しなくてもよく、例えば管軸に沿った直線状などの構成とすることもできる。
【0042】
さらに、トリガー電極TWによって一方の電極Eとの間に強い電位傾度を形成するためには、例えばトリガー電極TWと当該一方の電極Eとの間に後述する高電圧発生回路HVCを接続したり、トリガー電極TWを他方の電極Eに接続したりすればよい。また、トリガー電極TWの電極E、E間における長さを調節することによって、一対の電極E、E間における放電開始電圧を所望値になるように制御することもできる。
【0043】
さらにまた、トリガー電極TWを気密容器SEの外周面に接触状態で所定の位置に固定するために、図1に示すように、トリガー電極TWの両端を好ましくは金属製のリング状部材4によって緊縛することができる。この場合、金属製のリング状部材4からリード線5を導出するように構成することができる。このように構成すれば、リード線に不所望な張力が作用したとしても、トリガー電極TWのピッチが乱れたりするのを防止することができる。
【0044】
なお、所望によりゲッタGを電極Eの近傍に配設することが許容される。ゲッタ材料としては、バリウム(Ba)ゲッタ、ZrAl合金ゲッタなど既知のものを用いることができる。バリウム(Ba)ゲッタは、気密容器SE内面の電極Eの近傍位置に蒸着膜としてこれを形成することができる。ZrAl合金ゲッタは、電極軸3bの電極主部3aに近接した位置に溶接するなどにより配設することができる。
【実施例】
【0045】
気密容器 :外径12mm、内径10mm、発光長340mm
放電媒体 :Kr90%+Xe10%、封入圧40kPa
点灯条件 :コンデンサ容量40μF、放電回路0μH、充電電圧12kV、
電流密度12760(A/cm2)、半値幅20μs
[比較例1]
気密容器 :実施例と同じ。
【0046】
放電媒体 :Kr100%、封入圧40kPa
点灯条件 :コンデンサ容量40μF、放電回路0μH、充電電圧11kV、
電流密度11700(A/cm2)、半値幅20μs
点灯条件 :実施例と同じ。
[比較例2]
気密容器 :実施例と同じ。
【0047】
放電媒体 :Xe100%、封入圧40kPa
点灯条件 :比較例1と同じ。
【0048】
図3ないし図5は、本発明の実施例および比較例1、2の分光分布曲線を示し、図3は実施例、図4は比較例1、図5は比較例2である。各図において、横軸は波長(nm)を、縦軸は相対放射強度を、それぞれ示す。
【0049】
図3ないし図5の対比により明らかなように、実施例においては、波長200〜400nmの紫外線、特に波長300〜400nmの領域の放射量が比較例1、2のそれより顕著に増加していることが分かる。なお、実施例と比較例1、2とでは充電電圧値が一致していないが、大きな相違ではなく、分光分布における大局的な変化はない。
【0050】
図6は、混合希ガス中のKr分圧比の変化に対する紫外光放射強度の関係を示すグラフである。図において、横軸はKr分圧比(Kr/(Kr+Xe))を、縦軸は%UVを、それぞれ示す。なお、%UVは、波長200〜950nmにおける全放射に対する相対紫外光放射強度(%)を意味する。測定に供した閃光放電ランプは、Kr分圧比以外の仕様は、実施例と同じである。
【0051】
図から理解できるように、Kr分圧比が70〜98%であれば、Kr100%の場合より紫外光が明らかに増大する。また、75〜95%であれば、紫外光が顕著に増大する。さらに、Kr分圧比90%の場合に紫外光の増大が最大になる。
【0052】
図7は、閃光放電ランプのランプ電流密度の変化に対する紫外光放射量の関係を示すグラフである。図において、横軸はランプ電流密度A/cm2を、縦軸は%UVを、それぞれ示す。なお、%UVおよび閃光放電ランプは、図6におけるのと同じである。
【0053】
図7から理解できるように、ランプ電流密度が8000(A/cm2)以上、好適には10000(A/cm2)以上であれば、紫外光、特に波長300〜400nmの領域の紫外光量が増大するが、ランプ電流密度が8000(A/cm2)未満になると、紫外光量が顕著に低下する。
【0054】
図8は、閃光放電ランプのランプ電流密度の変化に対する紫外光、可視光および赤外光の各放射量の関係を示すグラフである。図において、横軸はランプ電流密度A/cm2を、縦軸は放射強度(%)を、それぞれ示す。
【0055】
図から理解できるように、ランプ電流密度を増加していくと、既に述べたように紫外光は増大するが、赤外光は低下していく。これらに対して、可視光は殆ど変化しない。なお、図7と図8とではランプ電流密度範囲がずれているが、図8に示された傾向はランプ電流密度がさらに増大しても同様であると推定できる。
【0056】
図9および図10は、本発明の光エネルギー照射装置を実施するための一形態を示し、図9は概念的断面図、図10は回路ブロック図である。本形態において、光エネルギー照射装置は、光エネルギー照射装置本体LEと、光エネルギー照射装置本体LEに配設された閃光放電ランプHFLと、閃光放電ランプHFLを閃光点灯する閃光放電ランプ点灯装置FODとを具備し、被照射体SMに対して閃光エネルギーを照射する。
【0057】
光エネルギー照射装置本体LEは、光エネルギー照射装置から閃光放電ランプHFLおよび閃光放電ランプ点灯装置FODを除いた残余の部分をいい、具体的な構造は問わない。光エネルギー照射装置本体LEは、一例として反射ミラーMおよびフィルタFを備えている。反射ミラーMは、閃光放電ランプHFLから放射された閃光エネルギーを被照射体SMに向けて反射する。フィルタFは、紫外線透過性の例えばシリカを80質量%以上含有する石英ガラスからなり、被照射体SMなどからの汚染物質が閃光放電ランプHFLに飛散するのを防止する。
【0058】
閃光放電ランプHFLは、図1および図2に示す第1の形態の構造を有し、かつ、実施例の仕様を備えている。
【0059】
閃光放電ランプ点灯装置FODは、図10に示す回路構成である。すなわち、閃光放電ランプ点灯装置FODは、閃光点灯回路OCおよび高電圧発生回路HVGを具備している。
【0060】
閃光点灯回路OCは、充放電コンデンサC1および充電回路CCを主体として構成されている。なお、充放電コンデンサC1は、図示のように複数のコンデンサを並列接続して構成することができる。また、実施例の点灯条件の場合、充放電コンデンサC1の静電容量は40μF、充電電圧は12kV、ランプ電流のピーク値は電流密度12760(A/cm2)、半値幅20μsである。
【0061】
高電圧発生回路HVGは、パルストランスを含み、図示を省略しているパルス電源から出力されたパルス電圧がパルストランスの1次巻線に入力すると、高電圧パルスが2次巻線から出力して、一方の電極Eとトリガー電極TWとの間に印加されるように構成されている。
【0062】
被照射体SMは、例えば表面処理を行う物体であるが、どのようなものであってもよい。また、光エネルギー照射の目的は問わない。
【0063】
そうして、光エネルギー照射装置を作動させて閃光放電ランプHFLを点灯すると、紫外線および可視光を主体とする光エネルギー照射による放射エネルギーが瞬間的に、かつ、集中して被照射体SMの被照射処理面に加えられる。これにより、被照射体Sは、所望の光照射処理、例えば表面処理が行われる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の閃光放電ランプを実施するための一形態を示す正面図
【図2】同じくトリガー電極を除いた状態の拡大断面図
【図3】本発明の閃光放電ランプにおける実施例の分光分布曲線を示すグラフ
【図4】比較例1の分光分布曲線を示すグラフ
【図5】比較例2の分光分布曲線を示すグラフ
【図6】混合希ガス中のKr分圧比の変化に対する紫外光放射強度の関係を示すグラフ
【図7】閃光放電ランプの点灯中のランプ電流密度と紫外光放射量の関係を示すグラフ
【図8】閃光放電ランプのランプ電流密度の変化に対する紫外光、可視光および赤外光の各放射量の関係を示すグラフ
【図9】本発明の光エネルギー照射装置を実施するための一形態を示す概念的断面図
【図10】同じく閃光放電ランプ点灯装置の回路ブロック図
【図11】従来のキセノンを封入した閃光放電ランプにおける分光分布曲線を示すグラフ
【符号の説明】
【0065】
E…電極、HFL…閃光放電ランプ、LW…外部リード、SE…気密容器、TW…トリガー電極
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外光を含む瞬間的に大きな強度の光エネルギーを照射するのに適した閃光放電ランプおよびこれを用いた光エネルギー照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
透光性の細長い気密容器の内部にキセノンからなる放電媒体を封入した閃光放電ランプにパルス状のランプ電流を供給して放電させると、瞬間的に大きな強度の閃光すなわち紫外光、可視光および赤外光を含む放射を瞬間的に発生させることができる。この閃光放電ランプの閃光発光を照射することによって半導体材料のアニール、割断など半導体や液晶プロセス分野など各種の分野における表面改質、表面加熱および表面殺菌などの表面処理が可能になる。
【0003】
従来は、この種の光照射には主としてレーザやハロゲン電球を用いているが、レーザやハロゲン電球に代えて上記の閃光放電ランプの複数灯を並列配置することにより、極めて短時間で比較的面積の大きい被照射物全体を同時に光照射することが可能になる。また、閃光放電ランプは、比較的ランプの長寸化が容易なため、被照射体の大面積化を実現するのに都合がよい。
【0004】
上述の用途に用いる閃光放電ランプは、気密容器が細長くて石英ガラスからなり、気密容器の両端内部に一対の電極を封装し、気密容器の内部にキセノン(Xe)などの希ガスを封入していて、かつ、気密容器の外周に近接してトリガー電極を配設した構造である。
【0005】
放電媒体にキセノンを13.3kPaの圧力で封入した閃光放電ランプを40μFのコンデンサの充電電圧を6kVとし、インダクタンスを0μHにした放電回路を用いて閃光点灯した場合の分光分布は図11に示すとおりである。
【0006】
図11は、従来のキセノンを封入した閃光放電ランプにおける分光分布曲線を示すグラフである。この分光分布は、紫外線域、可視域および赤外線域を含む連続発光であり、太陽光の分光分布に近い白色発光になっている。したがって、この閃光放電ランプおよび上記点灯条件は、擬似太陽光源として用いられる。なお、図11のスペクトル分布の場合、波長200〜400nmの紫外光領域の相対放射エネルギーすなわち相対UV放射エネルギーは約7.1%である。
【0007】
上記の表面などに閃光放電ランプの閃光発光を利用する場合、波長200〜400nmの領域における紫外光の相対放射エネルギーが効果的に作用する。すなわち、紫外光量を増加すると、表面吸収量の増加、表面加熱効果の増加、波長200〜300nmの短波長紫外光の増加による殺菌効果の増大が実現する。
【0008】
従来、遠紫外領域の放射強度を多くして高い殺菌効果を得るために、希ガスに加えてアンチモンまたはアンチモン化合物を封入した殺菌用閃光放電ランプが知られている(特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2001−068057号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、特許文献1の場合、閃光放電時に封入されているアンチモンが蒸気の状態として存在することが必要であり、そのために200℃以上の温度に加熱することが好ましいこととされている。これを実現するためには、閃光放電ランプの周囲に加熱手段を配設して閃光放電ランプを加熱している。このため、光源装置が複雑で大型化するとともに、加熱エネルギーを使用するので、エネルギー効率が低下するという問題がある。
【0010】
これに対して、本発明者らは、閃光放電ランプの紫外光増加を検討する中で、まず閃光放電ランプにおける発光メカニズムを調査した。閃光放電ランプの発光は、次の3つに区別される。
(1)f−b遷移による連続スペクトル(短波長域−可視域)
Xe++e− → Xe+hν(光)
(2)f−f遷移による連続スペクトル(赤外域)
Xe++ef− → Xe++e−+hν(光)
(3)励起原子から放射されるスペクトル(その他の輝線スペクトル)
Xe* → Xe*´+hν(光)
なお、上記において用いられている記号は以下の意味している。
Xe+:Xeイオン、Xe*:励起Xe原子、h:プランクの定数、ν:振動数、e:電子
上記発光メカニズムのうち、(1)はXeイオンと電子が再結合する際に、紫外域から可視域にわたって発光する連続発光となる。これはf−b遷移発光である。(2)はプラズマ中の電場の影響で電子が減速される際に赤外域に発光する連続発光となる。制動放射と称されるf−f遷移発光である。(3)はXeの励起原子による輝線スペクトルの発光である。閃光放電ランプの発光は、以上のメカニズムにより構成されている。
【0011】
そこで、本発明者らは、紫外光の増大を図る手段として、f−b遷移による連続スペクトルの増加に注目した。そして、紫外光発光に寄与する希ガスイオンと電子の生成効率や生成数を増加させることで、f−b遷移による発光を増大させることを着想し、これについて調査した。その結果、Krに適当圧力範囲のXeを混合してなる混合希ガスを封入することによって、紫外光放射の増大を図ることができることを発見した。本発明は、この発見に基づいてなされたものである。
【0012】
本発明は、紫外光放射、特に波長200〜400nmの紫外光放射を増大した閃光放電ランプおよびこれを用いた光エネルギー照射装置を提供することを主な目的とする。
【0013】
また、本発明は、電流密度を増加して、さらなる紫外光放射の増大化を図った閃光放電ランプおよびこれを用いた光エネルギー照射装置を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の閃光放電ランプは、透光性で細長い気密容器と;気密容器の両端内部に封装されている一対の電極と;クリプトン(Kr)およびキセノン(Xe)を含み、クリプトンのクリプトンおよびキセノンに対する分圧比P(%)が下式を満足する希ガスからなり、気密容器の内部に封入されて閃光放電時に発光する放電媒体と;を具備していることを特徴としている。
【0015】
70≦P≦98
本発明は、電離電圧の低いキセノンにより電子を生成してクリプトンのイオン化を促進して紫外光の増大を実現するものである。すなわち、希ガスのイオン化電圧は、Xeが12.1eV、Krが14.0eVであるから、Xeを適当圧力混合することで、Krのイオン化が促進され、紫外光の増大が実現する。
【0016】
希ガスの種類と紫外光発生量との関係についていえば、Xe、KrおよびArのいずれも波長200〜300nmの領域に発光が得られる。例えば、前記の閃光放電ランプを同一のコンデンサ容量および放電回路において充電電圧8kVで点灯した場合、Krを封入した閃光放電ランプにおいては、350〜400nmの波長域に強い連続発光が生じる。これに対して、Xeを封入した閃光放電ランプにおいては、このような発光が見られないが、波長200〜300nmの帯域に強い輝線スペクトルが見られる。また、アルゴンを封入した閃光放電ランプにおいては、360nm付近に相対的に高い輝線スペクトルが現れる。そうして、上記各閃光放電ランプの中では、波長200〜400nmに含まれる紫外光を発生させる場合、Krを封入した閃光放電ランプが最も多くの紫外光が得られる。一例として説明すれば、内径10mm、長さ340mmの気密容器内にKr、XeおよびArをそれぞれ40kPaの圧力で封入した閃光放電ランプを製作し、コンデンサ容量40μF、充電電圧11kV、インダクタンス0μHの放電回路を用いてパルス幅20μs一定、ピーク電流4000Aで閃光放電させた結果、波長300〜500nmにおける相対放射強度は、Krを封入した閃光放電ランプを100%とすると、Arを封入した閃光放電ランプが89%、Xeを封入した閃光放電ランプが72%であった。
【0017】
本発明においては、KrとXeを上記の所定比率範囲内で混合するので、XeによってKrのイオン化促進が行われることによる紫外光発光の増大と、Krによって生じる350〜400nmの波長域の連続発光とがともに効果的に得られる。その結果、波長200〜400nmの紫外光の光量が、Xeを100%封入した従来の閃光放電ランプやKrを100%封入した閃光放電ランプにおけるそれ以上に増大する。Kr90%、Xe10%の分圧比の場合には、Kr100封入した閃光放電ランプに対して112%程度の紫外光が得られる。
【0018】
しかし、Krの分圧比Pが70%未満または98%超になると、波長200〜400nmの紫外光の発生量がKrを100%封入した閃光放電ランプと同等またはそれ以下になるので、改良効果が得られない。なお、Krの分圧比Pは、好適には75〜95%の範囲内である。この範囲内であれば、より多量の紫外光発生を得ることができる。
【0019】
本発明の閃光放電ランプによれば、上述のように波長200〜400nmの紫外高周波の放射が多くなる。したがって、これを例えば半導体や液晶などの表面処理に用いる場合、紫外光は、被照射体表面で吸収されやすいため、表面改質および表面加熱などの表面処理に対して効果的に作用するので、好都合である。また、紫外光が増大するので、表面殺菌処理にも効果的である。
【0020】
次に、本発明のより好ましい形態について説明する。この形態は、本発明の上述した閃光放電ランプの構成に加えて、気密容器中の管軸に直交する断面における電流密度が8000A/cm2以上で閃光点灯することによって特徴付けられている。
【0021】
本形態においては、上述した混合希ガスの封入によるf−b遷移で得られる発光効率の向上に加えて、ランプ電流値を増加させて高電流密度化することで、イオン数および電子数が増加するので、これによるf−b遷移による発光効率の向上が得られる。その結果、紫外光の発生量がさらに多くなる。これに対して、可視光領域の発光は、電流密度の増加に対して殆ど変化がない。また、赤外光は、電流密度の増加に対して減少していく。要するに、電流密度の増加に伴って紫外光が増加するのに応じて赤外光が減少する。
【0022】
紫外光は、電流密度に対して正の相関を呈するが、電流密度が8000A/cm2以上であれば、紫外光の増大が顕著になり、しかも紫外光量が所望の値になる。これに対して、電流密度が8000A/cm2未満であると、紫外光の増大の程度が少なく、所望量の紫外光量が得られない。なお、電流密度は、好適には10000A/cm2以上であり、この範囲であれば紫外光の増大が特に顕著になる。
【0023】
ところで、電流密度は、気密容器内に形成されている放電空間の管軸に対して直交する部分の断面に対して求めるものであり、ランプ電流を主な発光領域における上記断面積で除算することによって算出される。
【0024】
次に、本発明の光エネルギー照射装置について説明する。光エネルギー照射装置は、光エネルギー照射装置本体と;光エネルギー照射装置本体に配設された請求項1または2記載の閃光放電ランプと;閃光放電ランプ閃光点灯する閃光放電ランプ点灯装置と;を具備していることを特徴としている。
【0025】
本発明の光エネルギー照射装置においては、以上の構成を具備していることにより、閃光放電ランプが閃光放電を行うと、発生した閃光発光は、被照射物に照射部されるが、閃光放電ランプから放射される紫外光が多いので、例えば被照射物の表面処理、殺菌処理などを効果的に行うことができる。
【発明の効果】
【0026】
請求項1の発明によれば、クリプトンに対してキセノンを所定圧力比範囲で混合して封入していることにより、波長200〜400nmの紫外光が増大する閃光放電ランプを提供することができる。
【0027】
請求項2の発明によれば、加えて電流密度が所定範囲であることにより、波長200〜400nmの紫外光がさらに増大する閃光放電ランプを提供することができる。
【0028】
請求項3の発明によれば、請求項1および2の効果を有する光エネルギー照射装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
【0030】
図1および図2は、本発明の閃光放電ランプを実施するための第1の形態を示し、図1は閃光放電ランプの正面図、図2はトリガー電極を除いた状態の拡大断面図である。
【0031】
本形態において、閃光放電ランプHFLは、気密容器SE、一対の電極E、Eおよび放電媒体を具備している。また、所望によりトリガー電極TWを具備することができる。
【0032】
〔気密容器SE〕 気密容器SEは、透光性で、かつ、細長く、内部が中空になっている。ここでいう透光性は、外部に導出して利用しようとする所望波長帯域、したがって少なくとも所望波長の紫外光を実質的に透過すればよく、要すれば真空紫外光に対しても実質的に透過性にすることができる。また、少なくとも気密容器SEの主要部が透光性であればよい。
【0033】
また、気密容器SEは、管軸方向に延在して細長い形状をなしていて、内部の中空部分が放電空間1bとして利用される。気密容器SEの長さは、被照射体の大きさに応じて所望の値に設定することができる。例えば、0.4〜2m程度の長さを有する気密容器SEを備えた閃光放電ランプHFLを得ることもできる。また、気密容器SEは、好ましくはその外径D(mm)が6≦D≦30の範囲内にある。上記数式において、外径D(mm)は、管軸方向の後述する主要部における外周の平均値の大きさを外周が等しい円形に換算したときの値である。
【0034】
さらに、気密容器SEは、所望により中空部の管軸方向に内部断面積が例えばある値を有する第1の領域および内部断面積が上記の値と異なる値を有する第2の領域を管軸方向に備え、それら領域の断面積比が所定の関係を満足するように構成することができる。内部断面積の変化は、段階的および連続的のいずれであってもよい。内部断面積の変化は、以下に例示する目的に沿って適宜設定することができる。なお、目的の如何にかかわらず、ある領域の内部断面積が相対的に小さくなると、当該領域を流れる電流密度が大きくなり、これに伴って発光の強さが相対的に大きくなり、反対に内部断面積が相対的に大きくなると、当該領域を流れる電流密度が小さくなり、これに伴って発光の強さが相対的に小さくなる関係にある。
1.管軸方向に沿って均一な光照射効果が比較的長い距離にわたり得られるようにする。
2.管軸方向の中間部に比較的発光の強い領域が形成されるようにする。
3.管軸方向の両端部に比較的発光の強い領域が形成されるようにする。設定されている
さらにまた、気密容器SEは、その内部を外気に対して気密に封止するとともに、後述する電極E、Eを封装して支持するために、細長い管1とその両端の封止部2を備えて形成することができる。なお、図1において、符号1aは、管1の側面に配設された排気チップオフ部である。封止部2は、適宜の構成を採用することができるが、閃光放電時には数千Aの大電流が瞬間的に流れるので、これに耐える封止構造を採用する必要がある。好適にはグレーデッドシール構造を採用するのがよい。
【0035】
〔一対の電極E、E〕 一対の電極E、Eは、気密容器SEの両端内部に対向して封装されている。そして、従来から閃光放電ランプに一般に用いられている構成であるところの冷陰極形の電極を用いることができる。この場合、例えばニッケル(Ni)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)およびチタン(Ti)のグループから選択された一種または複数種の耐火性金属あるいはこれらの複数種からなる合金またはステンレス鋼などを用いて電極を形成することができる。
【0036】
また、電極Eは、例えば図示のように電極主部3aおよび電極軸3bを含み、電極主部3aを電極軸3bの先端に支持させて構成することができる。電極軸3bは、その基端が気密容器SEの封止部2に気密に封着される。なお、グレーデッドシール構造の場合、外部リードLWを電極軸3bと兼用することができ、したがって外部リードLWを気密容器SEの封止部2を貫通させて気密容器SEの内部へ突出させ、その先端に電極主部3aを支持させることができる。
【0037】
さらに、所望により電極軸3bをセラミックスで被覆することができる。これにより、閃光放電ランプHFLの点灯によって高温に加熱された電極軸3bから炭素(C)などの不純物が気密容器SEの内部に放出されて気密容器SEの内面を黒化して閃光放電ランプHFLが短寿命になるのを抑制することができる。また、上記セラミックスを適当な大きさに形成することにより、加えて電極Eを所定位置に保持するための電極保持部材としても作用させることができる。さらに、所望により上記セラミックスにゲッタを保持させることもできる。
【0038】
〔放電媒体〕 放電媒体は、その放電により所望波長域の光を放射する媒体であり、クリプトン(Kr)およびキセノン(Xe)の所定割合の混合希ガスを主体とする。所定割合は、クリプトンのクリプトンおよびキセノンに対する混合比率(Kr/(Kr+Xe))をP(%)としたとき、数式70≦P≦98を満足するものとする。なお、上記混合希ガスの封入圧は、従来から閃光放電ランプに一般に用いられているのと同様な圧力範囲、例えば50〜200kPa程度であることを許容する。
【0039】
〔トリガー電極TW〕 トリガー電極TWは、所望により具備していることが許容される。そして、気密容器SEの外面に近接して配設され、少なくとも一方の電極Eとの間に強い電位傾度を形成することにより、気密容器SE内の内部を絶縁破壊して、一対の電極E、E間に放電を生起させるための手段として機能させることができる。
【0040】
また、トリガー電極TWは、これを気密容器SEの外周に近接してピッチP(mm)が数式5≦P≦50の螺旋状をなして配設することができる。ピッチPが上記の範囲内であれば、気密容器SEの管長が2m程度以下の範囲において、閃光放電におけるアークの中心がほぼ管軸上に沿ってストレートになり、しかも安定して形成されるので、放電によって発生した光エネルギーの所望程度を外部へ導出するのに都合がよい。なお、トリガー電極TWのピッチは、気密容器SEの管長によりその最適な範囲が変化するので、上記の範囲内において、管長に応じて最適な条件を選択することができる。例えば、管長が300〜2000mm程度で、かつ、外径D(mm)が6≦D≦30の範囲内にある場合、トリガー電極TWのピッチは、20〜30mmが好適である。なお、上記数式において、外径D(mm)は、管軸方向の後述する主要部における外周の平均値の大きさを外周が等しい円形に換算したときの値である。しかしながら、ピッチPが5mm未満になると、アークの安定性は問題ないが、遮光率が大きくなりすぎるので、好ましくない。また、ピッチPが30mmを超えると、遮光率の問題はないが、アークの安定性が悪くなるので、これまた好ましくない。
【0041】
また、トリガー電極TWは、好ましくは上記に加えてその線径d(mm)が0.1≦d≦2.0の範囲内であれば、点灯時の熱膨張による影響がなくて、しかも、遮光率が大きくなりすぎない。これに対して、線径が0.1mm未満になると、点灯時の熱膨張が大きくなって気密容器との間に隙間が形成されやすくなるとともに、トリガー電極TWのピッチが乱れやすくなる。トリガー電極TWと気密容器SEとの間の隙間が大きくなる、始動性が損なわれる。また、ピッチが乱れると、アークの安定性が損なわれる。また、線径が2.0mmを超えると、遮光率が大きくなるとともに、外部へ導出される管軸方向の光エネルギー分布の均整度が悪くなる。なお、トリガー電極TWは、アークの管軸に沿った安定にこだわらないのであれば、上記のようにスパイラルに巻回しなくてもよく、例えば管軸に沿った直線状などの構成とすることもできる。
【0042】
さらに、トリガー電極TWによって一方の電極Eとの間に強い電位傾度を形成するためには、例えばトリガー電極TWと当該一方の電極Eとの間に後述する高電圧発生回路HVCを接続したり、トリガー電極TWを他方の電極Eに接続したりすればよい。また、トリガー電極TWの電極E、E間における長さを調節することによって、一対の電極E、E間における放電開始電圧を所望値になるように制御することもできる。
【0043】
さらにまた、トリガー電極TWを気密容器SEの外周面に接触状態で所定の位置に固定するために、図1に示すように、トリガー電極TWの両端を好ましくは金属製のリング状部材4によって緊縛することができる。この場合、金属製のリング状部材4からリード線5を導出するように構成することができる。このように構成すれば、リード線に不所望な張力が作用したとしても、トリガー電極TWのピッチが乱れたりするのを防止することができる。
【0044】
なお、所望によりゲッタGを電極Eの近傍に配設することが許容される。ゲッタ材料としては、バリウム(Ba)ゲッタ、ZrAl合金ゲッタなど既知のものを用いることができる。バリウム(Ba)ゲッタは、気密容器SE内面の電極Eの近傍位置に蒸着膜としてこれを形成することができる。ZrAl合金ゲッタは、電極軸3bの電極主部3aに近接した位置に溶接するなどにより配設することができる。
【実施例】
【0045】
気密容器 :外径12mm、内径10mm、発光長340mm
放電媒体 :Kr90%+Xe10%、封入圧40kPa
点灯条件 :コンデンサ容量40μF、放電回路0μH、充電電圧12kV、
電流密度12760(A/cm2)、半値幅20μs
[比較例1]
気密容器 :実施例と同じ。
【0046】
放電媒体 :Kr100%、封入圧40kPa
点灯条件 :コンデンサ容量40μF、放電回路0μH、充電電圧11kV、
電流密度11700(A/cm2)、半値幅20μs
点灯条件 :実施例と同じ。
[比較例2]
気密容器 :実施例と同じ。
【0047】
放電媒体 :Xe100%、封入圧40kPa
点灯条件 :比較例1と同じ。
【0048】
図3ないし図5は、本発明の実施例および比較例1、2の分光分布曲線を示し、図3は実施例、図4は比較例1、図5は比較例2である。各図において、横軸は波長(nm)を、縦軸は相対放射強度を、それぞれ示す。
【0049】
図3ないし図5の対比により明らかなように、実施例においては、波長200〜400nmの紫外線、特に波長300〜400nmの領域の放射量が比較例1、2のそれより顕著に増加していることが分かる。なお、実施例と比較例1、2とでは充電電圧値が一致していないが、大きな相違ではなく、分光分布における大局的な変化はない。
【0050】
図6は、混合希ガス中のKr分圧比の変化に対する紫外光放射強度の関係を示すグラフである。図において、横軸はKr分圧比(Kr/(Kr+Xe))を、縦軸は%UVを、それぞれ示す。なお、%UVは、波長200〜950nmにおける全放射に対する相対紫外光放射強度(%)を意味する。測定に供した閃光放電ランプは、Kr分圧比以外の仕様は、実施例と同じである。
【0051】
図から理解できるように、Kr分圧比が70〜98%であれば、Kr100%の場合より紫外光が明らかに増大する。また、75〜95%であれば、紫外光が顕著に増大する。さらに、Kr分圧比90%の場合に紫外光の増大が最大になる。
【0052】
図7は、閃光放電ランプのランプ電流密度の変化に対する紫外光放射量の関係を示すグラフである。図において、横軸はランプ電流密度A/cm2を、縦軸は%UVを、それぞれ示す。なお、%UVおよび閃光放電ランプは、図6におけるのと同じである。
【0053】
図7から理解できるように、ランプ電流密度が8000(A/cm2)以上、好適には10000(A/cm2)以上であれば、紫外光、特に波長300〜400nmの領域の紫外光量が増大するが、ランプ電流密度が8000(A/cm2)未満になると、紫外光量が顕著に低下する。
【0054】
図8は、閃光放電ランプのランプ電流密度の変化に対する紫外光、可視光および赤外光の各放射量の関係を示すグラフである。図において、横軸はランプ電流密度A/cm2を、縦軸は放射強度(%)を、それぞれ示す。
【0055】
図から理解できるように、ランプ電流密度を増加していくと、既に述べたように紫外光は増大するが、赤外光は低下していく。これらに対して、可視光は殆ど変化しない。なお、図7と図8とではランプ電流密度範囲がずれているが、図8に示された傾向はランプ電流密度がさらに増大しても同様であると推定できる。
【0056】
図9および図10は、本発明の光エネルギー照射装置を実施するための一形態を示し、図9は概念的断面図、図10は回路ブロック図である。本形態において、光エネルギー照射装置は、光エネルギー照射装置本体LEと、光エネルギー照射装置本体LEに配設された閃光放電ランプHFLと、閃光放電ランプHFLを閃光点灯する閃光放電ランプ点灯装置FODとを具備し、被照射体SMに対して閃光エネルギーを照射する。
【0057】
光エネルギー照射装置本体LEは、光エネルギー照射装置から閃光放電ランプHFLおよび閃光放電ランプ点灯装置FODを除いた残余の部分をいい、具体的な構造は問わない。光エネルギー照射装置本体LEは、一例として反射ミラーMおよびフィルタFを備えている。反射ミラーMは、閃光放電ランプHFLから放射された閃光エネルギーを被照射体SMに向けて反射する。フィルタFは、紫外線透過性の例えばシリカを80質量%以上含有する石英ガラスからなり、被照射体SMなどからの汚染物質が閃光放電ランプHFLに飛散するのを防止する。
【0058】
閃光放電ランプHFLは、図1および図2に示す第1の形態の構造を有し、かつ、実施例の仕様を備えている。
【0059】
閃光放電ランプ点灯装置FODは、図10に示す回路構成である。すなわち、閃光放電ランプ点灯装置FODは、閃光点灯回路OCおよび高電圧発生回路HVGを具備している。
【0060】
閃光点灯回路OCは、充放電コンデンサC1および充電回路CCを主体として構成されている。なお、充放電コンデンサC1は、図示のように複数のコンデンサを並列接続して構成することができる。また、実施例の点灯条件の場合、充放電コンデンサC1の静電容量は40μF、充電電圧は12kV、ランプ電流のピーク値は電流密度12760(A/cm2)、半値幅20μsである。
【0061】
高電圧発生回路HVGは、パルストランスを含み、図示を省略しているパルス電源から出力されたパルス電圧がパルストランスの1次巻線に入力すると、高電圧パルスが2次巻線から出力して、一方の電極Eとトリガー電極TWとの間に印加されるように構成されている。
【0062】
被照射体SMは、例えば表面処理を行う物体であるが、どのようなものであってもよい。また、光エネルギー照射の目的は問わない。
【0063】
そうして、光エネルギー照射装置を作動させて閃光放電ランプHFLを点灯すると、紫外線および可視光を主体とする光エネルギー照射による放射エネルギーが瞬間的に、かつ、集中して被照射体SMの被照射処理面に加えられる。これにより、被照射体Sは、所望の光照射処理、例えば表面処理が行われる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の閃光放電ランプを実施するための一形態を示す正面図
【図2】同じくトリガー電極を除いた状態の拡大断面図
【図3】本発明の閃光放電ランプにおける実施例の分光分布曲線を示すグラフ
【図4】比較例1の分光分布曲線を示すグラフ
【図5】比較例2の分光分布曲線を示すグラフ
【図6】混合希ガス中のKr分圧比の変化に対する紫外光放射強度の関係を示すグラフ
【図7】閃光放電ランプの点灯中のランプ電流密度と紫外光放射量の関係を示すグラフ
【図8】閃光放電ランプのランプ電流密度の変化に対する紫外光、可視光および赤外光の各放射量の関係を示すグラフ
【図9】本発明の光エネルギー照射装置を実施するための一形態を示す概念的断面図
【図10】同じく閃光放電ランプ点灯装置の回路ブロック図
【図11】従来のキセノンを封入した閃光放電ランプにおける分光分布曲線を示すグラフ
【符号の説明】
【0065】
E…電極、HFL…閃光放電ランプ、LW…外部リード、SE…気密容器、TW…トリガー電極
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性で細長い気密容器と;
気密容器の両端内部に封装されている一対の電極と;
クリプトン(Kr)およびキセノン(Xe)を含み、クリプトンのクリプトンおよびキセノンに対する分圧比P(%)が下式を満足する希ガスからなり、気密容器の内部に封入されて閃光放電時に発光する放電媒体と;
を具備していることを特徴とする閃光放電ランプ。
70≦P≦98
【請求項2】
気密容器中の管軸に直交する断面における電流密度が8000A/cm2以上で閃光点灯することを特徴とする請求項1記載の閃光放電ランプ。
【請求項3】
光エネルギー照射装置本体と;
光エネルギー照射装置本体に配設された請求項1または2記載の閃光放電ランプと;
閃光放電ランプを閃光点灯する閃光放電ランプ点灯装置と;
を具備していることを特徴とする光エネルギー照射装置。
【請求項1】
透光性で細長い気密容器と;
気密容器の両端内部に封装されている一対の電極と;
クリプトン(Kr)およびキセノン(Xe)を含み、クリプトンのクリプトンおよびキセノンに対する分圧比P(%)が下式を満足する希ガスからなり、気密容器の内部に封入されて閃光放電時に発光する放電媒体と;
を具備していることを特徴とする閃光放電ランプ。
70≦P≦98
【請求項2】
気密容器中の管軸に直交する断面における電流密度が8000A/cm2以上で閃光点灯することを特徴とする請求項1記載の閃光放電ランプ。
【請求項3】
光エネルギー照射装置本体と;
光エネルギー照射装置本体に配設された請求項1または2記載の閃光放電ランプと;
閃光放電ランプを閃光点灯する閃光放電ランプ点灯装置と;
を具備していることを特徴とする光エネルギー照射装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−139992(P2006−139992A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−327677(P2004−327677)
【出願日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】
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