説明

閉回路テレビカメラのレンズ絞り調整装置

【課題】レンズ絞りの自動調整と手動調整とが切り替え可能な,簡易な構成の閉回路テレビカメラのレンズ絞り調整装置を提供する。
【解決手段】 レンズ絞り機構14の絞り羽根22を駆動するギアードモータGMと,自動調整用の第1駆動信号CS1または手動調整用の第2駆動信号CS2に応じて,ギアードモータGMを駆動させる駆動回路130と,撮像環境に応じた明度情報信号S1と第1基準信号Vref1とを比較して,自動調整用の第1駆動信号CS1を出力する比較回路と,操作者から入力された手動調整信号S2とギアードモータGMの駆動量の限界値を規定する第2基準信号Vref2とが入力されて手動調整用の第2駆動信号CS2を出力する差動アンプ120と,第1駆動信号CS1または第2駆動信号CS2のいずれかを駆動回路130に接続する選択回路140とを備える閉回路テレビカメラのレンズ絞り調整装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,閉回路テレビカメラのレンズ絞り調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
閉回路テレビ(Closed Circuit Television;以下,「CCTV」という)は,テレビ放送のように不特定多数の者を対象とした映像信号を送信するものではなく,所定の閉じられた範囲(すなわち閉回路上)で,視聴許可された者が選択的に受信できるように映像信号を送信するものである。CCTVを用いたシステムとしては,コンビニエンスストアや街頭,駐車場などに設置されるカメラを用いた防犯システムや,工場のラインの監視システムなどが挙げられる。特に,CCTVシステムで用いられる防犯カメラや監視カメラは,CCTVカメラと呼ばれる。
【0003】
CCTVカメラは,施設内だけでなく,街頭,駐車場などの屋外にも設置され,昼夜を問わず対象を撮像するため,撮像環境の明度に応じて,レンズの絞りを調整する必要がある。CCTVカメラが撮像する映像を見る者(以下,「監視者」という。)が,環境の変化に応じてレンズの絞りを調整する手間を省くために,現在設置されているCCTVカメラの多くは,撮像環境の明度に基づいて,自動的にレンズ絞り調整を行う機能を有している。
【0004】
CCTVカメラのレンズ絞り調整が,自動的に行われる一方で,監視者が手動でレンズ絞り調整を行いたいという要求もある。そのため,レンズ調整の自動調整と手動調整とを切り替えることが可能なCCTVカメラのレンズ絞り調整装置が要求されている。レンズ調整の自動調整と手動調整とを切り替えることが可能なCCTVカメラのレンズ絞り調整装置としては,例えば下記に示す特許文献1や特許文献2のようなものが挙げられる。
【0005】
【特許文献1】特公平5−第86707号公報
【特許文献2】特公平6−第42720号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
CCTVカメラのレンズ絞りは,絞り羽根と呼ばれる金属などの板を複数枚組み合わせて略円形の孔を形成し,複数枚の絞り羽根を動かすことにより,孔の径を変えて実現される。一般的に,絞り羽根の枚数が多いほど孔が円形に近づき,レンズ絞りの精度,すなわち,撮像環境に応じてCCTVカメラに入力される光量の精度は上がる。
【0007】
しかしながら,レンズ絞りの自動調整と手動調整とを切り替え可能な従来のCCTVカメラに係るレンズ絞り調整装置(以下,「従来装置」という。)は,絞り羽根を動かすモータとして,ガルバノメータを用いているため,2〜3枚程度の絞り羽根しか同時に動かすことができない。そのため,従来装置では,現在の社会が要求するレベルのレンズ絞りの精度を得られない。
【0008】
また,従来装置では,絞り羽根を動かすにあたり,絞り位置検出素子を利用した絞り位置,および/または,タコジェネレータを利用した絞り速度に係るフィードバック制御が必要であり,位置帰還の回路と速度帰還の回路とが別途必要となる。
【0009】
さらに,従来装置は,レンズ絞りの自動調整と手動調整とを切り替え可能とするために,複数のスイッチを具備する必要があり,また,それらを制御しなければならない。
【0010】
そこで,本発明は,上記問題に鑑みてなされたものであり,本発明の目的とするところは,レンズ絞りの自動調整と手動調整とを切り替え可能であり,かつ開ループ制御でモータが制御される,簡易な構成のCCTVカメラのレンズ絞り調整装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために,本発明のある観点によれば,レンズ絞り機構の自動調整と手動調整の切り替えが可能な閉回路テレビカメラのレンズ絞り調整装置であって,レンズ絞り機構の絞り羽根を駆動するギアードモータと,自動調整用の第1駆動信号または手動調整用の第2駆動信号に応じて,上記ギアードモータを駆動させる駆動回路と,撮像環境の明度情報を取得する明度情報取得装置により取得された明度情報信号と目標明度に相当する第1基準信号とを比較して,上記明度情報信号と上記第1基準信号との差分が相殺されるように上記レンズ絞り羽根を駆動させる,上記ギアードモータの駆動量を決定する自動調整用の第1駆動信号を出力する比較回路と,操作者から入力された手動調整信号と,上記ギアードモータの駆動量の限界値を規定する上記手動調整信号に応じた第2基準信号とが入力され,上記限界値を超えない範囲の手動調整用の第2駆動信号を出力する差動アンプと,上記第1駆動信号または上記第2駆動信号のいずれかを上記駆動回路に接続して上記ギアードモータを駆動する選択回路とを備えた閉回路テレビカメラのレンズ絞り調整装置が提供される。
【0012】
かかる構成によれば,本発明に係るレンズ絞り調整装置は,レンズ絞り機構の絞り羽根をギアードモータで駆動させることにより,絞り羽根で作られる絞り径を変化させ,レンズ調整が実現される。撮像環境の明度情報を取得する明度情報取得装置により取得された明度情報信号と目標明度に相当する第1基準信号とが入力される比較回路は,明度情報信号と第1基準信号とを比較することにより,第1基準信号よりも明度情報信号が大きい場合は,その差分が相殺される分絞り径を小さくするようなギアードモータの駆動量を決定する自動調整用の第1駆動信号を出力し,また,第1基準信号よりも明度情報信号が小さい場合は,その差分が相殺される分絞り径を大きくするようなギアードモータの駆動量を決定する自動調整用の第1駆動信号を出力する。操作者から入力された手動調整信号と,ギアードモータの駆動量の限界値を規定する第2基準信号とが入力される差動アンプは,手動調整信号と手動調整信号に応じた第2基準信号とを差動増幅することにより,ギアードモータの駆動量の限界値を超えない範囲の,すなわち自動調整用の第1駆動信号と信号のレベルを合わせた手動調整用の第2駆動信号を出力する。選択回路が,自動調整用の第1駆動信号または手動調整用の第2駆動信号のいずれかを駆動回路に接続することにより,第1駆動信号で駆動回路が動作した場合は,レンズ絞り機構の自動調整が行われ,また,第2駆動信号で駆動回路が動作した場合は,レンズ絞り機構の手動調整が行われるなど,レンズ絞り機構の自動調整と手動調整の切り替えが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように,本発明によれば,従来装置に用いられているガルバノメータを用いたモータよりも出力が大きく,多数枚の絞り羽根を同時に動かすことが可能なギアードモータを開ループ制御で制御し,一つの選択回路と一つの差動アンプとを具備することによって,従来装置以上の絞りの精度を有する簡易な構成の自動調整と手動調整とを切り替え可能なCCTVカメラのレンズ絞り調整装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書および図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0015】
図2は,本発明の実施形態に係るCCTVカメラ10が備える機構を示す部分断面図である。
【0016】
CCTVカメラ10は,CCTVカメラ枠体11内に,マスタ系レンズアセンブリ12a,12bと,マスタ系レンズアセンブリ12bを支持する支持部13と,マスタ系レンズアセンブリ12bに併設され,マスタ系レンズアセンブリ12a,12bに入力される光量を制御するレンズ絞り機構14と,レンズ絞り機構14を支持する支持部15と,ズーム系レンズアセンブリ16a,16bと,フォーカス系レンズアセンブリ18と,ズーム系レンズアセンブリ16a,16bとフォーカス系レンズアセンブリ18とを支持する支持部17と,これらのレンズアセンブリをそれぞれ駆動させるCCTVカメラ駆動部20(図5参照)とを備える。また,レンズ絞り機構14は,絞り枠体28内に,絞り羽根22と,保持環24と,菊座26と,軸ピン30と,軸受け孔32と,ガイド孔36と,ダボピン34と,弾性部材38とを備える。レンズ絞り機構14の構成については,後述する。
【0017】
上記の通り,CCTVカメラ10は,ズーム機能やフォーカス機能,絞り機能など様々な機能を有するが,本発明の実施形態に係るレンズ絞り調整装置は,絞り機能と密接に関連するため,以下,絞り機能に係るレンズ絞り機構14と,レンズ絞り機構14の駆動に係るCCTVカメラ駆動部20について説明を行う。
【0018】
図3は,図2のCCTVテレビカメラ10が含むレンズ絞り機構14の要部断面図であり,図4は,本発明の実施形態に係るCCTVテレビカメラのレンズ絞り機構14を示す説明図である。
【0019】
図4に示すように,レンズ絞り機構14は,絞り枠体28内に6枚の絞り羽根22を具備する。また,図3に示すように,レンズ絞り機構14において,絞り羽根22それぞれは,保持環24と菊座26との間に設置され,保持環24を貫通する軸受け孔32に挿入される軸ピン30と,菊座26上のガイド孔36に挿入されるダボピン34とで嵌着される。ここで,レンズ絞り機構14は,ダボピンを押圧付勢するゴムなどの弾性部材38を備えてもよい。
【0020】
絞り羽根22それぞれは,絞り枠体28に併設されるギアードモータGMの駆動量に相当する動力を,レンズ絞り機構14が含む動力伝達手段42を介して伝達され,ガイド孔36に沿って動く。本発明の実施形態に係るCCTVテレビカメラのレンズ絞り機構14は,6枚の絞り羽根22が作り出す絞り径40の大きさを,6枚の絞り羽根22の動作に従って変化させることによって,絞り径40の大きさを大きくすれば,マスタ系レンズアセンブリ12a,12bに入力される光量が多くなり,また,絞り径40の大きさを小さくすれば,マスタ系レンズアセンブリ12a,12bに入力される光量が少なくなるというように,マスタ系レンズアセンブリ12a,12bに入力される光量を制御することが可能となる。
【0021】
なお,図4の動力伝達手段42としては,例えば歯車の利用が挙げられるが,ギアードモータGMの駆動に基づいて絞り羽根22を動かすことができれば歯車に限られず,絞り羽根22にどのようにして動力を伝達するかは,設計者が任意に設定することができる。ここでは,レンズ絞り機構14が備える絞り羽根22の枚数が6枚の場合を挙げているが,係る枚数に限られず,任意の枚数を設定することができる。
【0022】
以上のように,本発明の実施形態に係るCCTVカメラ10のレンズ絞り調整は,ギアードモータGMの駆動を制御し,複数枚の絞り羽根22が作り出す絞り径40を,大きく,または小さく変化させることにより行われる。
【0023】
図5は,本発明の実施形態に係る,レンズ絞りの自動調整と手動調整とを切り替え可能なCCTVカメラ10のレンズ絞り調整における信号の流れの全体像を示すブロック図である。
【0024】
撮像環境に応じた光量が,レンズ絞り機構14とレンズ系を介して,CCTVカメラ10内部へ導入されると,明度情報取得装置としての役割を果たす,CCD(Charge Coupled Devices)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)を用いたセンサなどの撮像素子44は,入力された光量を信号に変換する。撮像素子44により変換された信号は,CCTVカメラ駆動部20が含む信号処理回路21を経て,撮像環境に応じた明度情報信号S1となり,明度情報信号S1は,レンズ絞り調整部100に入力される。また,撮像素子44は,CCDやCMOSを用いたセンサに限られず,光電変換で発生した電荷を転送可能なものであれば,様々なものを撮像素子44として適用することができる。
【0025】
また,監視者が,CCTVカメラ10の外部に設置されるレンズ絞り手動調整装置50が備えるレンズ絞り調整ツマミ(図示せず)を操作すると,CCTVカメラのレンズ絞り動作を自動調整から手動調整へと切り替える切り替え信号SELECTと,調整ツマミの動作に応じた手動調整信号S2とが,レンズ絞り調整部100へ入力される。切り替え信号SELECTがレンズ絞り調整部100へ入力されることにより,レンズ絞り調整部100は,自動調整から手動調整へと切り替わる。この時,レンズ絞り調整部100に明度情報信号S1としてどのような信号が入力されても,明度情報信号S1に基づいたギアードモータGMの駆動制御は行われず,手動調整信号S2に基づいたギアードモータGMの駆動制御が行われる。
【0026】
このように,本発明の実施形態に係るレンズ絞り調整装置では,ギアードモータGMの駆動制御を,手動調整信号S2に基づいて行うことを可能とすることにより,レンズ絞りの手動調整を実現することができる。なお,レンズ絞り手動調整装置50は,CCTVカメラ10と別体の装置として形成されていてもよいし,CCTVカメラ10に含まれて形成されるとしてもよい。また,CCTVカメラ10のレンズ絞り動作を自動調整から手動調整へと切り替える,切り替え信号SELECTは,必ずしもレンズ絞り調整ツマミの動作と同期する必要はなく,例えば,レンズ絞り手動調整装置に手動調整切り替えスイッチを設け,手動調整切り替えスイッチを手動操作側に切り替えることによって,手動調整信号S2とは非同期に切り替え信号SELECTをレンズ絞り調整部100へ入力させてもよい。さらに,監視者が,レンズ絞りを調整するために操作する装置は,レンズ絞り調整ツマミに限られないことは,言うまでもない。
【0027】
前述の通り,レンズ絞り調整部100には,明度情報信号S1,および/または,手動調整信号S2,および,切り替え信号SELECTが入力される。そして,本発明の実施形態に係るレンズ絞り調整装置は,明度情報信号S1,または手動調整信号S2に基づいてギアードモータGMを駆動させ,レンズ絞りの自動調整,または,手動調整が実現される。
【0028】
次に,明度情報信号S1,または手動調整信号S2に基づいてギアードモータGMを駆動させる,レンズ絞り調整部100について説明する。
【0029】
図1は,本発明の実施形態に係るレンズ絞りの自動調整と手動調整とを切り替え可能なCCTVテレビカメラのレンズ絞り調整装置を示すブロック図である。
【0030】
図1を参照すると,本発明の実施形態に係るレンズ絞り調整装置は,レンズ絞り調整部100と,ギアードモータGMとから構成され,レンズ絞り調整部100は,比較回路110と,差動アンプ120と,選択回路140と,駆動回路130と,を備える。
【0031】
比較回路110には,明度情報信号S1と第1基準信号Vref1とが入力される。第1基準信号Vref1は,例えば,明度情報信号S1が第1基準信号Vref1よりも大きい場合は,レンズを絞り,また,明度情報信号S1が第1基準信号Vref1よりも小さい場合は,レンズを開くというような,レンズ調整動作を決定する基準となる信号である。ここで,レンズを絞るとは,複数枚の絞り羽根22が作り出す絞り径40を小さくする,すなわち,マスタ系レンズアセンブリ12a,12bに入力される光量を少なくすることと同義である。また,レンズを開くとは,絞り径40を大きくする,すなわち,マスタ系レンズアセンブリ12a,12bに入力される光量を多くすることと同義である。
【0032】
比較回路110では,明度情報信号S1と第1基準信号Vref1とが比較され,明度情報信号S1と第1基準信号Vref1との差分が相殺されるようにギアードモータGMを駆動させる,自動調整用の第1駆動信号CS1が出力される。
【0033】
また,差動アンプ120は,抵抗R1,R2,R3,R4とオペアンプOPからなる差動増幅回路である。差動アンプ120には,手動調整信号S2と第2基準信号Vref2とが入力され,一端がグランドGNDに接続される。ここで,第2基準信号Vref2は,差動アンプ120から出力される手動調整用の第2駆動信号CS2の出力の上限を規定する基準信号である。
【0034】
差動アンプ120の出力は,入力される手動調整信号S2と第2基準信号Vref2と,抵抗R1,R2,R3,R4の値とに基づいて決定される。駆動回路130は,自動調整用の第1駆動信号CS1に対応するように設計されるため,手動調整信号S2の大きさ,および/または,抵抗R1,R2,R3,R4それぞれの値の設定によっては,差動アンプ120から出力される第2駆動信号CS2が,駆動回路130を破壊するレベルの信号となることも考えられる。そのため,手動調整信号S2に応じた第2基準信号Vref2を差動アンプ120に入力することにより,オペアンプOPにより増幅されて出力される信号,すなわち,差動アンプ120から出力される手動調整用の第2駆動信号CS2の出力の上限を制御する。これにより,第2駆動信号CS2の上限を第1駆動信号CS1と合わせることができ,また,第2駆動信号CS2に起因する駆動回路130の破壊を防止することができる。
【0035】
また,選択回路140は,スイッチで構成される。選択回路140は,切り替え信号SELECTが印加されない場合,駆動回路130と比較回路110とを接続し,駆動回路130に入力される信号を,自動調整用の第1駆動信号CS1とする。
【0036】
また,選択回路140は,切り替え信号SELECTが印加される場合,駆動回路130と差動アンプ120とを接続し,駆動回路130に入力される信号を,手動調整用の第2駆動信号CS2とする。
【0037】
このように,選択回路140は,切り替え信号SELECTに応じて,第1駆動信号CS1,または第2駆動信号CS2のいずれかを駆動回路130に接続するが,選択回路140における切り替えは,切り替え信号SELECTの印加の有無に基づくことに限られず,例えば,切り替え信号SELECTがアナログ信号の場合,そのアナログ信号の大きさに応じて切り替えてもよい。
【0038】
また,駆動回路130には,選択回路140から出力される信号,すなわち,第1駆動信号CS1,または第2駆動信号CS2が入力され,駆動回路130は,選択回路140から出力される信号に基づいて,ギアードモータGMを駆動する。ここで,駆動回路130では,ギアードモータGMの位置,および/または,速度に関するフィードバック制御が行われず,駆動回路130は,開ループ制御でギアードモータGMを駆動する。
【0039】
以上のように,本発明の実施形態に係るレンズ絞り調整装置は,自動調整用の第1駆動信号CS1,または,手動調整用の第2駆動信号CS2のいずれかに基づいて,ギアードモータGMを開ループ制御で制御し,複数枚の絞り羽根22を同時に動かす。そして,絞り羽根22が作り出す絞り径40の大きさを変化させることにより,レンズ絞り調整を行う。
【0040】
また,レンズ絞り調整装置が含むレンズ絞り調整部100が,一つの選択回路140と一つの差動アンプ120とを具備し,自動調整用の第1駆動信号CS1と手動調整用の第2駆動信号CS2とのいずれかを可能化してギアードモータGMを駆動させることにより,レンズ絞りの自動調整と手動調整との切り換えが実現される。
【0041】
以上説明したように,本発明の実施形態によれば,多数枚の絞り羽根22を同時に動かすことが可能なギアードモータGMを開ループ制御で制御し,一つの選択回路140と一つの差動アンプ120とを具備することによって,従来装置と比較すると高い絞りの精度を有した,簡易な構成の自動調整と手動調整とを切り替え可能なCCTVカメラのレンズ絞り調整装置が提供される。
【0042】
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0043】
例えば,図5において,レンズ絞り手動調整装置が1つしか示されていないが,同一の場所に設置されるとは限られない複数のレンズ絞り手動調整装置から,それぞれ手動調整信号と切り替え信号とが入力され,レンズ絞りの自動調整と手動調整との切り換えが行われることなどは,当業者が容易に変更し得る程度のことであり,本発明の等価範囲に属するものと理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施形態に係るレンズ絞りの自動調整と手動調整とを切り替え可能な閉回路テレビカメラのレンズ絞り調整装置を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る閉回路テレビカメラが備える機構を示す部分断面図である。
【図3】図2に示す閉回路テレビカメラが含むレンズ絞り機構の要部断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る閉回路テレビカメラのレンズ絞り機構を示す説明図である。
【図5】本発明の実施形態に係るレンズ絞りの自動調整と手動調整とを切り替え可能な閉回路テレビカメラのレンズ絞り調整における信号の流れの全体像を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0045】
10 閉回路テレビカメラ
14 レンズ絞り機構
22 絞り羽根
120 差動アンプ
140 選択回路
CS1 第1駆動信号
CS2 第2駆動信号
GM ギアードモータ
S1 明度情報信号
S2 手動調整信号
Vref1 第1基準信号
Vref2 第2基準信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ絞り機構の自動調整と手動調整の切り替えが可能な閉回路テレビカメラのレンズ絞り調整装置であって:
レンズ絞り機構の絞り羽根を駆動するギアードモータと;
自動調整用の第1駆動信号または手動調整用の第2駆動信号に応じて,上記ギアードモータを駆動させる駆動回路と;
撮像環境の明度情報を取得する明度情報取得装置により取得された明度情報信号と目標明度に相当する第1基準信号とを比較して,上記明度情報信号と上記第1基準信号との差分が相殺されるように上記レンズ絞り羽根を駆動させる,上記ギアードモータの駆動量を決定する自動調整用の第1駆動信号を出力する比較回路と;
操作者から入力された手動調整信号と,上記ギアードモータの駆動量の限界値を規定する前記手動調整信号に応じた第2基準信号とが入力され,上記限界値を超えない範囲の手動調整用の第2駆動信号を出力する差動アンプと;
上記第1駆動信号または上記第2駆動信号のいずれかを前記駆動回路に接続して上記ギアードモータを駆動する選択回路と;
を備えたことを特徴とする,閉回路テレビカメラのレンズ絞り調整装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−271699(P2007−271699A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−94115(P2006−94115)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(000005430)フジノン株式会社 (2,231)
【Fターム(参考)】