説明

閉塞検出能力を有し体液をガスで富化させるシステム

本発明は、ベースモジュール(1000)、中央部制御モジュール(2000)、及びディスプレイモジュール(3000)を有する、体外回路を介してガス富化体液を準備して投与するためのモジュラーシステムを開示する。ガス富化は、使い捨てカートリッジの形をとることができるガス富化装置(2100)によって行われる。動作中、ガス富化装置は、制御モジュール内のエンクロージャ(2050)内に配置されて体液を体外循環させるための流体路を形成する。電子コントローラ(2080)が、ガス富化流体の生成、流速、気泡検出、及び自動動作及びシャットダウンなどのシステムの様々な態様を管理する。コントローラは、体外回路内の閉塞を検出し、異なる閉塞状態に対応して回路が強制的にシャットダウン/再プライミングされるのを防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略的にはガス富化流体に関し、より詳細には体液をガスで富化させるシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
本項では、以下で説明及び/又は特許請求する本発明の様々な態様に関連し得る技術の様々な態様を読者に紹介する。本項は、読者に背景事情を示して本発明の様々な態様をより良く理解できるようにする上で役立つと考えられる。従って、これらの供述は、従来技術を認めるものとしてではなく、上記観点から読むべきものである。
【0003】
ガス富化流体は、様々な医療、商業、及び工業用途で使用される。用途に応じ、特定の種類の流体を特定の種類のガスで富化して、所定の用途に関してガス単体又は流体単体のいずれの特性よりも優れた特性のガス富化流体を生成する。ガス富化流体を送達するための技術も、やはりガス富化流体を使用する特定の種類の用途に応じて劇的に異なる。
【0004】
多くの商業及び工業用途が存在する。1つの例として、飲み物に酸素を加えることによって浄化することができ、二酸素化炭素を加えることによって炭酸飲料とすることができる。別の例として、酸素を加えることにより廃水の浄化力が高まって好気性生物分解を促進する。さらに別の例として、消火器では、窒素、二酸化炭素、又はアルゴンなどの不活性ガスを水又は別の好適な流体中に溶解させてガス富化流体を生成することができ、これが衝撃で膨張して消火を行う。
【0005】
ガス富化流体の商業及び工業用途は比較的良く知られているが、ガス富化流体はヘルスケア業界に浸透し続けている。例えば、多くの地域において酸素療法の人気がますます高まっている。事実上全ての医学専門職に混じって、酸素、オゾン、H2O2、及びその他の活性酸素の補給を伴う幅広い組み合わせの治療に専門家が存在する。酸素療法は、癌、AIDS及びアルツハイマー病などの様々な疾患の治療で利用されてきた。例えば、ヨーロッパでは、湿疹、壊疽、癌、脳卒中、肝炎、ヘルペス及びAIDSなどの様々な病状の数百万人もの人々を治療するためにオゾン療法が使用されている。このようなオゾン療法は、酸素代謝を加速させて血流中の酸素の放出を刺激する傾向にあるので、ヨーロッパではこれらの人気が高まってきている。
【0006】
酸素は、ヒトの細胞にとって極めて重要な栄養素である。酸素は、健康な細胞活性のためのエネルギを生成し、体内の異質な毒素に直接作用する。実際のところ、たとえ短い期間でも酸素が欠乏すると細胞が損傷する恐れがあり、このような細胞損傷は、臓器機能不全又は臓器不全につながる可能性がある。例えば、心臓発作及び脳卒中の患者は、血液中の酸素が主要組織の細胞に送達されなくなる血流障害又は血流分岐を経験する。酸素がなければ、これらの組織は次第に悪化し、重症の場合には完全な臓器不全により死に至る場合がある。しかしながら、たとえそれほど重症でなくても、費用のかかる入院、専門治療、及び長期にわたるリハビリを伴う可能性がある。
【0007】
血中酸素濃度は、所定の酸素分圧(pO2)の飽和溶液中で達成できる酸素濃度という観点で説明することができる。通常は、動脈血では、正常な酸素濃度、すなわち正常酸素状態又は正常酸素血状態は、90〜110mmHg(11.97kPa〜14.63)の範囲である。低酸素血、すなわち低酸素血症とは、pO2が90mmHg(11.97kPa)未満の動脈血のことである。高酸素血、すなわち高酸素血症又は酸素過剰症とは、pO2が400mmHg(53.2kPa)よりも高く760mmHg(101.08kPa)未満の動脈血のことである。高圧血液とは、pO2が760mmHg(101.08kPa)よりも高い動脈血のことである。一方で、静脈血のpO2レベルは、通常90mmHg(11.97kPa)未満である。平均的な成人では、例えば正常静脈血酸素濃度は、一般に40mmHg〜70mmHg(5.32kPa〜9.31kPa)の範囲である。
【0008】
血中酸素濃度は、ヘモグロビン飽和度という観点で説明することもできる。正常な動脈血では、ヘモグロビン飽和は約97%であり、pO2レベルが増加したときにのみ変化する。正常な静脈血では、ヘモグロビン飽和は約75%である。実際のところ、通常、ヘモグロビンは血液中の主な酸素運搬成分である。しかしながら、酸素移動は、ヘモグロビンから血漿を通じて体組織内へ行われる。従って、血漿はかなりの量の酸素を運ぶ能力があるが、通常は運ばない。従って、血液中の酸素濃度を増加させるための技術は、ヘモグロビンではなく主に血漿の酸素濃度を高めるものである。
【0009】
血液中の酸素濃度を増加させるための技術は、知られていないことはない。例えば、ほとんどの人にとって高圧療法は比較的珍しいが、海軍の及び趣味のダイバーは、潜水病に対処するために高圧チャンバ治療が使用されることを良く知っている。ヘモグロビンは比較的酸素で飽和されているので、高圧チャンバ治療では血漿を酸素化しようと試みる。このような強制酸素投与は、感染症と闘う細胞である体の白血球細胞を活性化すると考えられている。放射線傷害を患う患者にも、高圧酸素治療を行うことができる。通常、放射線傷害は、癌治療において腫瘍を殺すために放射線を使用することに関連して生じる。残念ながら、現在のところ、放射線治療では周囲の健全な組織も傷ついてしまう。体は、細胞間で一定の酸素の流れを維持することにより体自体の健康を保つが、放射線治療では、この酸素の流れが遮断される恐れがある。従って、強制酸素投与は新しい細胞の成長を刺激して、体が自然回復できるようにすることができる。
【0010】
細胞から酸素を奪う恐れのある医学療法の種類は放射線治療だけではない。例えば、急性心筋梗塞を患う患者では、心筋から十分なレベルの酸素を含む血液が長時間奪われると、心臓に不可逆的損傷が生じる恐れがある。心臓発作の際に梗塞が現れた場合、冠動脈が心筋に十分な血流を提供することができない。多くの場合、急性心筋梗塞又は心筋虚血の治療は、血管形成術又はステント埋め込み術を行って、血管壁内の閉塞を収縮させ、切除し、又は別様に治療するものである。気管形成術の処置では、例えば、血管内にバルーンを配置して短時間にわたって膨張させ、血管の内部サイズを増加させる。バルーンの収縮時には、この血管の内部サイズの増加がほとんど又は全て維持されて血流を増加させることが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、たとえ閉塞血管の治療が成功しても、組織傷害のリスクは依然として存在し得る。経皮経管冠動脈形成術(PTCA)中は、バルーン膨張中に血管を流れる血流が一時的に遮断されることに起因する虚血に対する患者の耐性により、バルーンの膨張時間が制限される。虚血とは、酸素の需要が酸素の供給を上回る状態のことであり、この状態は細胞損傷又は壊死を招く恐れがある。例えば、血管形成術後の冠動脈の流れが遅いこと又は流れないことに起因して再潅流傷害が生じる恐れもある。さらに、患者によっては、血管形成術の処置が、血管閉塞を治療するための魅力的な選択肢でないこともある。通常、このような患者は、左心室の機能が弱いこと、病巣の種類及び場所、又は多くの心筋が危険にさらされていることなどの理由により虚血のリスクが高い。通常、このような患者を治療する選択肢としては、冠動脈バイパス手術などのより侵襲性の高い処置が挙げられる。
【0012】
急性心筋梗塞及び心筋虚血の治療に伴って生じ得る組織傷害のリスクを低減させるには、通常、酸素を含む血液又は酸素富化流体を危険な組織に送達することが望ましい。溶解酸素を血液から組織に拡散させることにより、組織傷害が最小化又は阻止される。従って、場合によっては、急性心筋梗塞及び心筋虚血の治療には、酸素化した血液又は酸素富化流体の潅流が含まれる。「潅流(perfusion)」という用語は、「注ぎ込む又は流れ込む」ことを意味するフランス語の「潅流する(perfuse)」という動詞に由来する。しかしながら、本文脈では、潅流とは、患者の血液の少なくとも一部を、体外循環回路、すなわち患者の体外の血液循環を実現する回路内に迂回させる様々な技術を意味する。通常、この体外回路は、血液を患者に戻す前に内部臓器の機能に取って代わる人工臓器を含む。現在では、体外回路内に配置して患者の臓器の代わりに機能することができる人工臓器が多く存在する。人工臓器のリストには、人工心臓(血液ポンプ)、人工肺(酸素供給器)、人工腎臓(血液透析)、及び人工肝臓が含まれる。
【0013】
PTCA中、例えば、酸素を含む血液を患者の冠動脈に同時に導入することにより、許容バルーン膨張時間を増加させることができる。血中酸素濃度を増加させることにより、正常に潅流する左心室の心臓組織の収縮性が高まって、さらに治療済みの冠動脈血管を通じて血流を増加させることもできる。PTCA又は手術などのその他の処置の完了後に、酸素を含む血液又は酸素富化流体の注入を継続して虚血の逆転を加速させ、心筋機能の回復を促進することもできる。
【0014】
酸素化血液又は酸素富化流体を組織に送達するための従来の方法は、血液酸素供給器を使用するものである。一般に、このような処置では、患者から血液を吸引し、血液を酸素供給器に循環させて血液酸素濃度を増加させ、その後患者に血液を戻す。しかしながら、従来の酸素供給器を体外回路内で使用することには欠点がある。通常、このようなシステムは費用がかかり、複雑で、操作が困難である。多くの場合、資格を持った潅流技師がシステムを準備してモニタする必要がある。潅流技師は、体外循環回路の選択、設定、及び操作に責任を持つ外科チームのメンバーとして活動するように特別に訓練及び教育を受けた優れた医療従事者である。潅流技師は、手術中に機械を操作すること、変更した循環プロセスを注意深くモニタすること、異常な状況が発生したときに適切な修正措置をとること、及び外科医及び麻酔専門医の両方が十分に情報を有する状態に保つことに対して責任がある。手術中の体外回路の操作に加え、潅流技師は、多くの場合、他の医学専門職のための支持的役割を果たして、手術中の血液及び血液製剤の管理を支援し、また手術室環境外の患者の循環を長期にわたってサポートする。現在のところ、体外回路を自動的に操作及びモニタするための利用可能な技術が存在しないので、通常は資格を持った潅流技師の存在、及びこれに関連する費用が必要である。
【0015】
従来の体外回路は他の欠点も示す。例えば、通常、体外回路はプライミング量が比較的大きい。一般に、プライミング量とは、体外回路に含まれる血液量、すなわちその時々に患者の体外に存在する血液の総量のことである。例えば、体外回路が、代表的な成人患者で1〜2リットルの血液を保持することは珍しいことではない。このような大きなプライミング量は、多くの理由で望ましくない。例えば、場合によっては、体外回路の大きなプライミング量に起因して血液が体外回路へ一時的に失われるのを補償するために輸血が必要となることがある。同様に、血液が体外回路を通じて移動するときに血液の温度を許容レベルに維持するために加熱器を使用しなければならないことが多い。さらに、従来の体外回路は、スイッチをオン及びオフするのが比較的困難である。例えば、体外回路をオフにした場合、回路内の大きな淀んだ血液の貯留が凝固することがある。
【0016】
上述の欠点に加え、従来の血液酸素供給器を含む体外回路では、酸素供給器の血流速が比較的遅いこと、及び血液の接触面積が大きいことに起因して、炎症細胞反応及び血液凝固のリスクが比較的高い。例えば、従来の酸素供給器システムでは、約1〜2平方メートルの血液接触面積及び約3センチメートル/秒の速度流が珍しくない。従って、通常、酸素供給器を使用する補助として、ヘパリン化などの比較的積極的な抗凝固療法が必要となる。
【0017】
最後に、恐らく従来の血液酸素化システムを使用することの最も大きな不都合の1つは、血液に与えることができる最大酸素分圧(pO2)に関するものである。従来の血液酸素化システムでは、酸素分圧が約500mmHg(66.5kPa)の酸素富化血液を準備することができる。従って、従来の酸素供給器では、pO2レベルが760mmHg(101.08kPa)近く又はこれを超える血液、すなわち高圧血液を実現することができない。
【0018】
ガス富化流体を患者に注入する際には、気泡核形成及び気泡形成を阻止又は最小化するようにして患者に送達することが望ましい。通常、液体中で実現可能な可溶化ガスの最高濃度はヘンリーの法則に基づく。周囲温度では、水などの液体中における酸素又は窒素などの多くのガスの溶解度が比較的低いと、液体中のガスの濃度が低くなる。しかしながら、通常このような低濃度は、上述したような患者を治療するのに適していない。むしろ、液体中のガス濃度が周囲温度における溶解度をはるかに上回るものを使用するほうが有利である。ガスと液体の混合物を高圧で圧縮したものを使用して、ヘンリーの法則に基づいて高い溶解ガス濃度を達成することはできるが、通常、ガス飽和液又はガス過飽和液を高圧リザーバから周囲圧力の環境に注入しようとする試みによる外乱により、出口ポート又はその近くにキャビテーション初生が生じる。出口ポートにおいて発生した気泡は急速に発展してガスの多くを液体から放出し、高圧容器外の周囲圧力ではもはや液体中に高度のガス過飽和が存在しないようになる。しかも、廃液中の気泡の存在により乱流が発生し、廃液が出口ポートを越えて流れるのを妨げる。さらに、血管内で気泡が合体して血管を閉塞し、局所循環の低下、動脈低酸素症及び全身低酸素症を引き起こすガス塞栓症を生じる傾向となる可能性がある。
【0019】
高酸素又は高圧血液を使用する酸素療法などのガス富化流体療法では、送達技術を活用してキャビテーション核の形成を阻止又は最小化することにより、患者の血管内で臨床的に有意な気泡が生じないようにする。しかしながら、発生した気泡は全てサイズが非常に小さな傾向にあるため、通常、訓練を受けた操作者でも、気泡検出装置を活用せずに気泡形成を検出することは困難であると考えられる。残念ながら、公知の気泡検出器は、高酸素又は高圧血液を準備して送達するための体外回路内の気泡を検出することに効果を奏さない。この問題は、一部の気泡のサイズ及び速度が公知の気泡検出器の解像度を上回るという事実に起因する。従って、ミクロ気泡(直径が約50マイクロメートル〜約1000マイクロメートルの気泡)及び場合によってはマクロ気泡(直径が1000マイクロメートルよりも大きな気泡)が検出を免れる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
1つの態様では、本発明は、患者の体液をガス富化流体で富化させるための体外回路を有するガス富化システムを提供する。システムは、一般に、ガス富化装置を受け入れるように構成されたエンクロージャと、体外回路を通る流体流を制御するための流体ポンプアセンブリと、ガス富化及び体外回路の動作を自動制御するためのコントローラとを含む。ガス富化装置は、生理流体をガスで富化させるためのガス富化チャンバと、ガス富化生理流体を患者の体液と混合するための混合チャンバとを有する。ガス富化装置及びシステムは、システム内に装着されると、体液を患者から混合チャンバへ及び再び患者へ循環させるための流体路を提供する。コントローラは、ポンプアセンブリ及びガス富化装置を、ガス富化装置を装着したときにガス富化チャンバに生理流体をプライミングし、ユーザからプライミングコマンドを受け取ったときに流体路に体液をプライミングするための自動的な動作シーケンスを行うように制御することができる。コントローラは、体外回路内の閉塞を検出し、異なる閉塞状態に対応して回路が強制的にシャットダウン/再プライミングされるのを防ぐこともできる。
【0021】
以下の説明及び添付の特許請求の範囲から、本発明のその他の態様及び利点が明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態による例示的なガス富化システムのブロック図である。
【図2A】本発明の実施形態による例示的なモジュラーガス富化システムの斜視図である。
【図2B】中央部及びディスプレイモジュールから分離したベースモジュールを示す図である。
【図3】図2のモジュラーガス富化システムの背面図である。
【図4】本発明の実施形態による例示的なユーザインターフェイスディスプレイのスクリーンショットである。
【図5】本発明の実施形態による組み合わせ気泡検出器/流量計内の送受信機の位相角を示す図である。
【図6】本発明の実施形態による例示的なシステムコントローラのブロック図である。
【図7】本発明の実施形態による例示的なシステムソフトウェアの状態図である。
【図8】図2のシステム内の中央部モジュールの一部の前面図をカートリッジハウジングの詳細図とともに示す図である。
【図9】図2のシステム内の完全な中央部モジュールの前面図である。
【図10】図2のシステムの中央部の斜視図を流体ポンプシステムの詳細図とともに示す図である。
【図11】図2のシステムのポンプロック機構の概略図である。
【図12A】図2のシステムのディスプレイモジュールの斜視図である。
【図12B】電源レバーを起動するのに必要な動作シーケンスのキーフレーム表現である。
【図13】図2のシステムのガス富化装置(すなわち、カートリッジ)の斜視図である。
【図14】図2のシステムのガス富化装置の詳細な概略図である。
【図15】図14のガス富化装置の逆止弁の詳細な概略図である。
【図16】図14のガス富化装置のピストンポンプの詳細な概略図である。
【図17】図14のガス富化装置の霧化器アセンブリの詳細な概略図である。
【図18】図14のガス富化装置の混合チャンバの詳細な概略図である。
【図19】図14のガス富化装置の通気バルブの詳細な概略図である。
【図20】図2のシステムのカートリッジハウジングエンクロージャを下から見た詳細な概略図である。
【図21】図2のシステムのカートリッジハウジングエンクロージャを上から見た詳細な概略図である。
【図22】本発明の実施形態による注入カテーテルの斜視図である。
【図23】本発明の実施形態による例示的な体外回路設定の平面図である。
【図24】本発明の実施形態による例示的なカートリッジハウジングエンクロージャの分解図である。
【図25】本発明の実施形態による流速測定アルゴリズムを示すブロック図である。
【図26】本発明の実施形態による気泡検出アルゴリズムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の1又はそれ以上の具体的な実施形態について説明する。これらの実施形態を簡潔に説明するために、明細書では実際の実施構成の特徴を必ずしも全て説明しているわけではない。あらゆる工学又は設計プロジェクトなどにおけるあらゆるこのような実際の実施構成の開発においては、実施構成によって異なり得るシステム関連及びビジネス関連の制約の順守などの開発者の個別の目的を達成するために、数多くの実施構成固有の決定を行わなければならないことを理解されたい。さらに、このような開発努力は複雑かつ時間のかかるものとなり得るが、この開示の恩恵を受ける当業者にとっては日常的な設計、製作、及び製造の取り組みであると理解されたい。
【0024】
システム概観
本発明のシステムは、いずれの特定の種類のガス又は体液の準備にも限定されないが、例示を目的として、以下の説明では、一例として酸素過飽和流体の準備及び過飽和酸素(SSO2)療法の投与を使用する。
【0025】
本説明の目的では、SSO2療法とは、酸素過飽和生理流体のカテーテル促進注入を通じて血液の酸素含有量を富化させるための低侵襲処置のことを意味する。これらの処置は、一般に、ステント埋め込み術による経皮的インターベンション(PCI)が成功した後に、急性心筋梗塞(AMI)の責任血管を治療することを目的とする。
【0026】
好ましい実施形態では、SSO2療法を行うためのシステムが、一般に、メイン制御システム、酸素富化装置(すなわち、酸素供給器)、及び(注入カテーテルなどの)注入装置という3つの構成装置を含む。これらの装置がともに機能して、過飽和酸素(「SSO2」)溶液と呼ばれる高度酸素富化食塩水を生成する。少量の自家血液をSSO2溶液と混合して酸素過飽和血液を生成し、その後注入カテーテルを介して標的の主心外膜動脈に送達する。SSO2療法の一般的な継続時間は約90分である。
【0027】
メイン制御システムから開始すると、図1は、本発明の実施形態によるシステムのアーキテクチャを示すブロック図である。図1を参照すると、本発明の実施形態によるシステムが、一般に数多くの重要なサブシステムで構成されており、これらは、一般にシステムにユーザインターフェイスを提供するためのLCDディスプレイ3011などのディスプレイを含むディスプレイサブシステム3010と、システムに電力を供給するための電力供給サブシステム1010と、流体を富化させる際に使用するガスをシステムに供給するためのガス供給サブシステム1020と、ガス富化及びその他のシステム動作を自動制御するためのカートリッジ制御サブシステム2001とを含む。ガス富化装置の詳細な説明は後程行うが、この好ましい実施形態では、ガス富化装置がカートリッジの形(従ってカートリッジ制御サブシステムと呼ぶ)をとるものの、ガス富化装置のための唯一可能な形がカートリッジというわけではないことを認識することが重要である。従って、このサブシステムのためのより記述的な用語は、ガス富化制御サブシステムである。しかしながら、本説明の目的においては、カートリッジ制御サブシステムという用語とガス富化制御サブシステムという用語を同義的に仕様する。
【0028】
機能的には、カートリッジ制御サブシステムがシステム全体の中心的要素となる。図1に示すように、通常、カートリッジ制御サブシステムは、入力情報を処理してシステムの様々な構成要素にコマンドを出すためのコントローラ2080を含む。好ましい実施形態では、コントローラが、システムが安全パラメータ内で動作することをモニタしてこれを確実にするための安全保護ブロック2090も組み入れる。安全保護装置は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの論理ブロックを実装することができる。
【0029】
カートリッジ制御サブシステム2001は、一般にポンプ2011、ドローチューブ2020、圧力センサ2040、気泡検出器/流量計2060、リターンクランプ2070、リターンチューブ2030、及びカートリッジハウジング2050を備えた流体ポンプアセンブリ2010も含む。カートリッジハウジング2050は、適合するカートリッジ(すなわち、ガス富化装置)を受け入れるように構成される。カートリッジハウジング2050のエンクロージャ内には、カートリッジともに使用するための様々な感知、制御、及びインターフェイス機構が設けられる。
【0030】
システムに生理流体源を提供するために、生理流体供給装置3020が含まれる。
【0031】
当業者であれば、この組織アーキテクチャが概念的アーキテクチャであることを理解するであろう。実際の物理的実施構成は設計選択事項であり、様々な物理的形態をとることができる。例えば、図2Aは、図1のシステムアーキテクチャによるシステムの好ましい実施構成を示している。図2Aに示すように、システムは、ベースモジュール1000、中央部制御モジュール2000、及びディスプレイモジュール3000という3つの取り外し可能モジュールを含むモジュール設計を有する。
【0032】
上記特定の実施形態では、ベースモジュール1000の本体が、円形台座1001上に位置する管状シャーシで構成される。円形台座の下部に装着された複数のホイール1002がシステムに移動性を提供する。ホイールは、ホイールを固定しておくためのロック機構を有する。基部シャーシは、バッテリ1003(図示せず)、電力供給装置1004(図示せず)、及びベースモジュール1000を中央部主モジュール2000に接続するためのコネクタなどのいくつかの電気的及び機械的構成要素を収容する。図2Bは、ベースモジュールを中央部及びディスプレイモジュールから分離したシステムの構成を示す。
【0033】
図3は、システムの背部を示している。ベースモジュール1000の背面には、標準的な「E−ボトル」USP酸素タンク1022を受け入れて収容するためのガスタンク容器1021が設けられる。酸素タンク1022は、ガスタンクアダプタ280を介してシステムに装着される。
【0034】
システムは、通常のカテーテル検査室環境で使用しやすい大きさにされることが好ましい。システムは、カテーテル検査室内の固定装置又は付属品として構成することもできるが、様々なカテーテルベースの装置は、多くの場合動かせることが望ましい。従って、この例では、この万一の条件を満たすためにホイールを設けている。
【0035】
ベースモジュール1000には、システムの電気的及び/又は機械的構成要素の一部を収容することができるが、設計選択の問題として、これらの構成要素をシステムの別の場所に配置することもできる。システムの位置決めを容易にするために、システムの動きを導くためのレールハンドル2120を中央部制御モジュール2000に結合することができる。
【0036】
3つのモジュールの各々は、収容する様々な構成要素を保護してこれらにアクセスするためのドア又はアクセスパネルを含むことができる。例えば、図2は、ガス富化装置(すなわち、「カートリッジ」)を封入するためのヒンジドア2051と、モジュールの内部空間へのアクセスウインドウを覆うためのアクセスパネル2052とを有する形で中央部制御モジュールを示している。
【0037】
再び図1を参照すると、患者から(血液などの)体液を吸引するには、イントロデューサシースなどの適当なドローチューブ2020を使用する。吸引動作は、流体ポンプアセンブリ2010によって行われる。具体的には、流体ポンプアセンブリが、蠕動ポンプなどのポンプ2011を含む。蠕動ポンプ2011が、可撓性ドローチューブに沿って機械的に駆動力を生成すると、チューブ2020内の流体がシステムへ向かう方向に送り込まれる。通常、患者のリターンチューブ2030には、組み合わせ気泡検出器/流量計2060が結合される。流量計からのフィードバックを使用して、流体ポンプアセンブリ2010に、所望の血流を維持するように蠕動ポンプのr.p.m(1分間当たりの回転数)を調整するとともに、安全条件を確実に満たすように動作パラメータを持続的にモニタすることができる自動体外回路として動作させることができる。
【0038】
ドローチューブ2020及び/又はリターンチューブ2030は、亜選択的カテーテルとすることができる。リターンチューブの長さの少なくとも一部にわたってガス富化体液がガス飽和又はガス過飽和する可能性があるという事実を考慮すると、リターンチューブ2030の構造は特に重要となり得る。従って、特にリターンチューブ2030は、通常、溶液からガスの一部を排出させ得るキャビテーション核の形成を制限又は排除するように設計される。例えば、リターンチューブの長さ対内径比は、酸素化装置から患者まで制御された圧力低下及び層流特性を生じるように選択することができる。
【0039】
図23に示すように、酸素富化血液を患者に戻すためのリターンチューブには、注入カテーテル(注入装置)が接続される。注入カテーテルは、特に限定されるものではない。当技術分野で公知のあらゆる好適な注入カテーテルを有利に使用することができる。通常、注入カテーテルは、6フレンチガイドカテーテル内に適合するようにサイズ決めされる。例えば、カテーテルの構造には、ポリエチレン又はPEBAX(ポリエーテルアミド)などの材料を使用することができる。また、カテーテルの管腔には、キャビテーション核の形成を引き起こす可能性がある遷移部を比較的少なくすべきである。例えば、通常は、結合ポリマーの遷移部がない滑らかな管腔がうまく機能する。
【0040】
人工心肺装置に使用するような従来の体外回路では、回路を形成するチューブ材及び酸素化装置に比較的大量の生体適合性流体をプライミングしなければならない。一般に長く曲がりくねった流体流路を有する場合もある回路内を流体が流れると、ガス排出、気泡形成又は気泡捕捉が常に生じる。従って、回路から気泡を排除するための追加措置をとらなければならない。例えば、通常、従来の体外配線及び体外装置では、真空ベースのガス排除器、又は膜ベースの気泡フィルタが必要となる。この点に関して、ドローチューブ及びリターンチューブにより形成される流体路に大量の流体が必要でないことが本発明の利点である。より重要なことは、提供される流体路が、滑らかかつ効率的な層流をもたらす幾何学形状を有することにより、乱流状態に起因する気泡形成のリスクを減少させるということである。従って、本発明の1つの有利な特徴は、追加の気泡除去装置を必要とせずに気泡形成を最小にするように流体路を構成できる点である。
【0041】
内部流体流路気泡核形成特性に影響を与える可能性がある例示的な幾何学的パラメータとしては、流体流の断面積、経路の湾曲の傾斜又は勾配、及び表面粗度が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのパラメータを、本発明の例示的なシステムのモジュール設計に容易に組み入れて、抗気泡形成流体流路幾何学形状を実現することができる。例えば、上述したように、チューブ材の接続部間の乱流が、気泡形成を減少させる上で実質的効果を奏することができる。一般に、直線的な幾何学形状、均一な流路直径、及び緩やかな変化の湾曲が非乱流をもたらす。
【0042】
ここでガス富化装置に注目すると、図1は、血液(体液)が、ドローチューブ2020を通じて酸素化カートリッジ(ガス富化装置)2100に送り込まれることを示している。患者の血液を戻す前にこれを酸素化することには様々な異なる種類の酸素化装置が適している可能性があるが、本発明の酸素化カートリッジは、酸素過飽和生理流体を準備し、これを血液と組み合わせて血液を酸素で富化させるという利点を有する。また、酸素化カートリッジ2100は、無菌性であり、取り外し可能であり、使い捨てであるため、患者の処置が終了した後に、カートリッジを取り外して次の患者のための別のカートリッジに取り換えることができるという利点も有する。
【0043】
カートリッジに情報記録素子をさらに組み入れて患者の健康情報及び処置データを記録することにより、酸素化カートリッジを、操作者の誤りから保護すべく個別にカスタマイズすることができる。例示的な情報記録素子として、バーコードラベル、RFIDチップ、PROM、又はこれらのいずれかの組み合わせを挙げることができる。酸素化カートリッジ2100のその他の要素的特徴及び利点については、以下でさらに詳細に説明する。
【0044】
図1〜図3を理解するためには、この時点では、食塩水などの生理流体がIVバッグ3020などの好適な供給装置から酸素化カートリッジ内の第1のチャンバへシステムコントローラ2080の制御により送達されるということを理解すれば十分である。酸素タンク1022などのガス供給装置からは、酸素などの好適なガスが酸素化カートリッジ内の第2のチャンバへ送達される。一般的には、第1のチャンバからの生理流体を第2のチャンバへ送り込み、これを霧化して酸素過飽和生理溶液を生成する。次に、この酸素過飽和生理溶液が、患者からの血液とともに酸素化カートリッジの第3のチャンバ内へ送達される。患者の血液が酸素過飽和生理溶液と混ざると、酸素富化血液が生成される。この酸素富化血液は、酸素化カートリッジの第3のチャンバからリターンチューブ2030(図示せず)内へ流れ込む。
【0045】
カートリッジをメイン制御システムに装着すると、ディスプレイを通じてカートリッジの動作状態をモニタすることができる。図1に示すように、ディスプレイサブシステム3010が、システムのホスト/ユーザインターフェイスへのアクセスポイントを提供する。ユーザインターフェイスは、図4に示すグラフィカルメニューシステムなどの一連の画面上のグラフィカルディスプレイとして実現されることが好ましい。図1に示すように、システムにより、例えば戻りラインに結合された圧力センサ2040を介してリターンチューブ内の圧力がモニタされる。
【0046】
酸素化装置に結合するドローチューブ及びリターンチューブの患者との接続部を図23に示す。この例示的な実施構成では、カートリッジ制御サブシステムに動作可能に結合された戻り圧力センサが、圧力測定値をコントローラ2080に提供する。圧力センサの場所は、測定される圧力が所望の測定場所に対応する限り、特に制限されるものではない。いくつかの実施形態では、カートリッジ制御サブシステムにロードセルを直接組み込んで、外部圧力変換器の必要性をなくすようにすることができると想定される。この構成により、圧力変換器を外部配線に組み込み又は結合するために必要なコストが削減されるという恩恵を得られるようになる。
【0047】
システムコントローラは、酸素化装置の混合チャンバ内の流体のレベルをモニタするレベルセンサから、酸素過飽和生理溶液が気泡をほとんど又は全く形成せずに患者の血液と混ざり合っていることを保証するための信号を受け取ることもできる。
【0048】
組み合わせ気泡検出器/流量計2060は、本システムの別の有利な特徴を表す。当技術分野では、導管、パイプ、又はチューブに流れ込む液体の流速を測定するためのいくつかの従来技術が公知である。これらは、熱流量計、コリオリ力流量計、差圧流量計、及び超音波流量計などである。一般に、流体流量計は、流体流の速度に対応するように較正できる1又はそれ以上の流量パラメータ(体積又は質量など)を検知する。流体中に気泡が存在する状況では、気泡の存在によりあらゆる種類の流量計が混乱する可能性がある。超音波流量計では、このことが、特に(<1ml/sなどの)比較的流速の遅い流体に関して特に問題となる。従って、従来の用途では、通常、流体流測定には、流速測定のための品質管理として機能する独立気泡検出センサを伴う。本発明は、気泡の検出及び流速の測定を両方同時に行うために単一の超音波プローブを使用する。
【0049】
通常、組み合わせ気泡検出器/流量計2060は、リターンチューブ2030に配置され、気泡が患者へ向かってリターンチューブを通過したときにこれらを検出する。ここでも、以下でさらに詳細に説明するように、システムは、超音波プローブから信号を受け取り、患者に戻る酸素富化血液に含まれて移動している可能性があるあらゆる気泡の性質に関する情報を処理する。この実施形態では、気泡検出器がこの情報をホスト/ユーザインターフェイスに提供して、廃液中の気泡に関する情報をディスプレイ3011を介してユーザに提供できるようにする。以下で詳細に説明するように、組み合わせ気泡検出器/流量計2060は、ある環境においてシステムを制御又はシャットダウンすることもできる。
【0050】
上述したように、コントローラは、様々な理由でシステムの構成要素の多くと連通する安全保護ブロック2090を組み入れる。安全保護ブロック2090は、様々な構成要素をモニタして、システムがある所定の範囲内で動作していることを保証する。例えば、安全保護ブロック2090は、圧力センサからの引き圧及び戻り圧に関する情報、レベルセンサからの混合チャンバ内の流体レベルに関する情報、及び気泡検出器からの気泡の数及び/又はサイズに関する情報、並びに様々な構成要素の動作状態に関するその他の情報を受け取ることができる。この情報に基づいて、安全保護ブロックは、システムが規定の範囲を超えて動作し始めた場合にシステムをシャットダウンすることができる。例えば、安全保護ブロック2090は、ドローチューブ2020上の流体ポンプ2011及びリターンチューブ2030上のリターンクランプ2070に関与して流体の流れを止めるとともに、血液ポンプアセンブリ2010及び酸素化カートリッジ2100を制御するシステムコントローラ2080を無効にすることができる。
【0051】
通常、安全保護ブロック2090はこの自動方法で動作するが、システムがシステムの規定の範囲内で動作している場合でも、ユーザが同じ方法でシステムのシャットダウンを開始できるように(図2に示す緊急停止スイッチ3050などの)安全スイッチを設けることもできる。
【0052】
あらゆる数のハードウェア実施構成を使用して安全保護装置を実現することができる。この好ましい実施形態では、安全保護装置2090が、フィールドプログラマブルゲートアレイチップ(FPGA)を使用して実現され、カートリッジ制御回路とともに組み込まれる。
【0053】
本発明のシステムの別の有利な特徴は、プライミング機構の自動化及び必要なプライミング流体が少量で済む点である。従来の体外回路と比較して、このシステムのプライミング量要件ははるかに少なく、通常25〜100ミリリットルの範囲内である。従って、通常このシステムでは加熱器を使用しない。しかしながら、ドローチューブに流入する血液又はリターンチューブ内の送出されるガス富化血液の温度を制御することが望ましい場合、これらのチューブの一方又は両方に熱交換器などの適当な装置を動作可能に結合することができる。実際、流体がシステム内を移動する際にこれを暖めるためだけでなく、流体を冷却するために熱交換器(図示せず)を使用することもできる。例えば、約30℃〜34℃あたりの中等度の低体温症が、心筋梗塞における虚血性傷害を遅らせることが示されているので、流体を冷却することが望ましいこともある。
【0054】
この好ましい実施形態では、プライミングスイッチ3040を押下することによりプライミングを開始することができる。プライミングスイッチ3040が解除されると、プライミング動作は直ちに停止する。様々な流体チューブをウェットツーウェット接続することにより、体外回路のプライミング要件がさらに低減され、プライミング中の気泡の形成が最小化される。
【0055】
ここで、装置及びこれらの様々なそれぞれのサブシステムの詳細について、残りの図に示すような好ましい実施形態を参照しながら説明する。
【0056】
ディスプレイサブシステム及びホスト/ユーザインターフェイス
ここで図4を参照すると、ホスト/ユーザインターフェイスの例示的な実施形態のスクリーンショットを示している。ホスト/ユーザインターフェイスは、ユーザインターフェイス及びホストインターフェイスを含む。ユーザインターフェイスは、ボタン、スイッチ、及びノブなどのユーザ入力機構を含むことができる。ユーザと通信するためには、LCDディスプレイ、CRTディスプレイ、又はタッチスクリーンディスプレイなどのディスプレイ装置を使用することができる。図4に示すように、ディスプレイ3011は、図示のようにボタンを押すことにより対応する動作を開始できることをユーザに示すための「ボタン」及び「ポインタ」のグラフィック表示を示すことができる。ディスプレイ3011はまた、アラーム/メッセージ、状態インジケータ、血流情報、及び気泡数などの情報を含むこともできる。また、ディスプレイ3011は、システムを使用する上でユーザをガイドするための操作情報をユーザに提供することもできる。
【0057】
ディスプレイサブシステムの実施構成は、ユーザ入力を処理するためのユーザ入力ドライバと、実際の情報の表示を処理するためのディスプレイドライバとを含むことができる。ユーザ入力ドライバは、ユーザ入力をRS−232インターフェイスなどのインターフェイスへ送信する。RS−232インターフェイスは、これらのユーザ入力を、システムコントローラ、安全保護システム、血液ポンプシステム、又は気泡検出器などのシステムの他の部分へ通信することができる。ディスプレイドライバは、やはりRS−232インターフェイスにバスを介して結合されるディスプレイコントローラと通信する。ディスプレイコントローラは、システムの様々な他の部分から更新済みの情報を受け取り、この情報を使用してディスプレイを更新する。
【0058】
ホストインターフェイスは、他の様々な能力を含むこともできる。例えば、ホストインターフェイスは、ユーザインターフェイス上でスピーカーを駆動させるためのサウンドカードを含むことができる。また、ネットワークアダプタにより、ホストインターフェイスが病院内のLAN又はリモートネットワークなどの外部ネットワークと通信して、システムにインターネットなどの更新を提供できるようにすることもできる。
【0059】
図2に示すような本発明の好ましい実施形態では、ディスプレイサブシステムがモジュラーケーシングの形で具体化される。図12Aは、ディスプレイモジュールをシステムの残り部分から取り外したときの斜視図である。ディスプレイサブシステムは、システムのメインユーザインターフェイス構成要素を提供し、これには、電源レバー、(緊急停止スイッチ及びプライミングスイッチを含む)制御ボタン、及びユーザと通信するためのLCDディスプレイが含まれることが好ましい。食塩水バッグをつり下げるための構造を提供するためにIVポールも取り付けられる。
【0060】
図9を参照すると、すでに中央部制御モジュールの頂部に装着した形のディスプレイモジュールを示している。この図では、上部及び中央部の境界線にシステムの電源レバー2140が位置する。電源レバーは、システム全体のON/OFF状態及び酸素タンクのOPEN/CLOSE状態の両方を制御する。
【0061】
動作中、システムを起動するために、ユーザがレバー2140をシステムの側方(ON位置)へ摺動自在に動かす。図12Bは、システムの電源をONにするため、及びガスタンクを開放するためにユーザが行う動作シーケンスを左から右に示している。この動作により、圧力変換器をコントローラに接続するための変換器コネクタジャックも明らかになる。内蔵の安全機能として、システムはユーザに、安全レバーをOFF位置に動かす前に、最初に変換器ケーブル2062をジャック2061から取り外した後でレバーをOFF位置に戻すように求める。
【0062】
上述したように、電源レバーは、電力供給スイッチと酸素タンクスイッチの二重の役割を果たす。この二重機能は、シャフトを酸素バルブに結合して、レバーをOFF位置からON位置へ摺動させることでシャフトが回転して酸素タンクがオンになるようにすることにより実現することができる。
【0063】
ユーザインターフェイスの実施構成は、パーソナルコンピュータ(PC)ベースのメイン回路基板(CPU)を含む電子アセンブリとカラー液晶ディスプレイ(LCD)とを含むことが好ましい。回路は、PCB(ディスプレイPCB)に埋め込まれる。ディスプレイPCBは、モジュラーディスプレイエンクロージャ内に装着される。エンクロージャはLCDも収容する。ユーザインターフェイスの要素的特徴としては、ディスプレイPCB、制御ボタン、及びLCDディスプレイが挙げられる。
【0064】
ディスプレイPCBは、LINUXベースのオペレーティングシステムを実行するユーザインターフェイスアプリケーションソフトウェアのためのプラットホームを提供する市販のマイクロプロセッサを使用することが好ましい。この基板は、カートリッジ制御サブシステムとシリアル通信する。
【0065】
LCD画面は、ディスプレイPCBのビデオ出力を表示する。ディスプレイの周囲に位置する制御ボタンの組が、ユーザがアプリケーションソフトウェアを選択するための入力を提供する。ディスプレイPCBは、追加機能、アナログ・デジタル変換及びデジタル入力/出力能力を提供する。ユーザインターフェイスアプリケーションソフトウェアはこれらの機能を使用する。
【0066】
電力供給サブシステム
電力供給サブシステム1010は、様々なサブシステムにDC電源を供給する電子アセンブリである。電力供給装置1011は、AC電源又は内部バッテリから電力を受け取る。電力供給サブシステム1010の要素的特徴として、着脱可能な電源コード、ヒューズ及び110V又は220V動作の選択性を備えた電気器具用コンセント、絶縁変圧器、ヒューズを備えたAC−DC電力供給装置、ヒューズを備えたバッテリ、バッテリ充電器、及びDC−DC電力供給装置を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0067】
絶縁変圧器は、患者/操作者を保護するために電気絶縁される。バックアップ電源及びシステムの移動性のためにバッテリ1012(図示せず)が組み入れられる。これらのバッテリは、完全に充電すると最低でも1時間動作する。システムは、AC電源に接続されるとバッテリを自動的に充電する。電力供給サブシステム1010は、他のサブシステムに固定電圧を提供する特定のDC電力供給装置も含む。
【0068】
電力供給サブシステムは、ソフトウェアを必要としないことが好ましい。
【0069】
ガス供給サブシステム
上述したように、本発明のシステムを使用して、数多くの異なるガス富化流体を準備することができる。この好ましい実施形態では、酸素供給サブシステム1020が、酸素を酸素化カートリッジ2100に供給する。
【0070】
図3は、システムの背部に位置する酸素タンク1022を示している。酸素供給装置は、酸素化カートリッジに調整酸素を供給する機械的アセンブリである。酸素供給装置は、医療グレードEボトルからの加圧酸素を使用し、これを750+50psig(周囲雰囲気に対して5171kPa+344kPa)に調整する。酸素供給装置の要素的特徴としては、Eボトル(ヨーク型)接続、900psi(6178kPa)の逃し弁を含む酸素調整器、ボトル圧力計、及び酸素フィルタが挙げられる。酸素タンクは、システムの酸素タンク容器2010が設けられたベースモジュール1000に装着される。酸素タンクは、中央部制御モジュール2000の底部に位置する酸素タンクアダプタ2110を介してシステムに接続される。
【0071】
酸素供給装置のシステムのための機械的ハードウェアは、(以下で説明する)カートリッジハウジングの頂部プレートに装着される。このプレートは、カートリッジハウジング内にカートリッジを設置すると、カートリッジの酸素入口に自動的に接続して密封する酸素ポートを含む。酸素化カートリッジ2100を挿入した後には、カートリッジハウジング2050の閉じられたドア2051がアクチュエータに接し、これがポートを押し込んでカートリッジ2100の頂部と接触させる。ドアを開くと、バネがポートを後退させる。このプレートは、エンクロージャの外側に装着されたフローバルブにより調整されたガス流をカートリッジに導くためのチューブ材も含む。
【0072】
動作中、酸素タンクの調整器は、酸素ガスの接触源を提供するために開いたままとなる。酸素ガスの流量は、通常はカートリッジコントローラによって作動する閉じたソレノイドである酸素フローバルブにより調整される。
【0073】
システムの前面パネルには、酸素タンクの圧力を示すためのボトル圧力計2130が設けられる(図2を参照)。システム内に過剰圧が蓄積した場合にシステムを保護するための逃し弁も設けられる。酸素供給装置内(酸素ポートから上流)に位置する圧力変換器が、カートリッジ内の酸素圧をモニタする。この変換器は、カートリッジコントローラにアナログ圧力信号を提供し、この信号を測定及びモニタして、圧力が動作限界内に収まることを保証する。
【0074】
酸素供給装置は、病院から提供される酸素ボトル(Eボトル)に接続する標準的なヨーク型CGA−840固定具を有することが好ましい。1本の満タンのEボトルには、50件以上のSSO2療法の処置をサポートするのに十分な酸素が含まれる。この好ましい実施形態では、(ミネソタ州エルクリバーの)テスコムコーポレーション社製の真鍮圧力調整器にヨークが接続される。
【0075】
調整器入口の側面にある圧力計が酸素ボトルの圧力を測定し、SSO2療法を開始するためには、ボトルの圧力が800psig(周囲雰囲気に対して5515kPa)以上でなければならない。調整器は、入口フィルタにより粒子片から保護される。この1段式圧力調整器は、750+50psig(周囲雰囲気に対して5171kPa+344kPa)に事前設定される(ユーザ調整は不要)。調整器は、ツールを使用しないと圧力設定を調整できないようにロックされる。調整器には、出口側を調整器の損傷から保護するために、900psig(周囲雰囲気に対して6178kPa)に設定された逃し弁が設けられる。酸素供給装置がシステムのメインエンクロージャに入る個所では、ホースが隔壁固定具に接続される。メインエンクロージャ内部のインラインフィルタが、フィールドサービス接続部(隔壁固定具)の下流にある構成要素を保護する。酸素供給装置は、カートリッジ制御サブシステム上の酸素バルブに1/16’’(15.875mm)のチューブで接続される。カートリッジの加圧には酸素ガスが約2.5L(標準温度及び圧力、STPで)必要であり、SSO2療法の投与中には3ml(STP)/分未満が必要となる。
【0076】
酸素供給サブシステムは、ソフトウェアを必要としないことが好ましい。
【0077】
カートリッジ制御サブシステム
カートリッジ制御サブシステム2001の構成要素は、主にシステムの中央部に位置する。図1に示すように、このサブシステムの構成要素は、コントローラ2080、カートリッジハウジング2050、カートリッジ2100(装着時)、血液ポンプアセンブリ2011、気泡検出器/流量プローブ2060、圧力変換器2040、及びリターンセーフティクランプ2070を含むことができる。
【0078】
コントローラは、SSO2療法中のカートリッジの動作をモニタして制御する電子アセンブリである。コントローラは、制御ソフトウェアを実行するマイクロプロセッサで構成される。図6は、システムコントローラのブロック図である。コントローラの電子機器は、プリント基板(PCB)内に実装されることが好ましい。(図6にメインコントローラ基板として示す)カートリッジ制御PCBは、システム内の電子構成要素からデジタル及びアナログ信号を受信する。カートリッジ制御PCBは、電源電圧もモニタする。
【0079】
カートリッジ制御PCBは、カートリッジ制御機構のピストンアクチュエータ及び全てのソレノイドを制御する。カートリッジ制御PCBは、メインエンクロージャを換気するファンを動作させる。PCBは、システムの動作状態を制御するソフトウェアとともに8051マイクロプロセッサを使用することが好ましい。
【0080】
図7は、制御ソフトウェアのソフトウェア状態図である。このソフトウェアは、カートリッジ制御サブシステムの開始時に自動的に実行される。制御ソフトウェアは、(1)電源オン状態、(2)待機状態、(3)準備状態、(4)プライミング状態、(5)再循環開始状態、(6)SSO2オフ状態、(7)SSO2オン状態、(8)シャットダウン状態、(9)管理状態、及び(10)診断モード状態を含む10個の異なる動作状態を提供する。様々な異なる状態を接続する線及び矢印は、接続される状態間の論理的関係及び遷移を示している。このソフトウェアシステムは、C++で実現されることが好ましい。
【0081】
図7を参照すると、システムに最初に電源が入ると、ソフトウェアが初めて電源オン状態(1)に入り、その間に、システムが、電力供給装置、内部ウォッチドッグタイマ、DSP、その他の試験などの一連の初期化テストを実行する。電源投入中に重大な故障状態が検出された場合、システムはシャットダウン状態(8)に入ってシステムをシャットダウンする。電源オン状態では、ユーザがシステムの特定の部分を安全保護を緩めた状態で制御できるようにする診断モード(10)に入るための選択肢が提示される。電源投入が正常に実行されると、システムは待機状態(2)に入ることができる。
【0082】
待機状態(2)は、カートリッジの装着/取り外しを行う状態である。システムは、カートリッジの装着又は取り外し中に重大なエラーに遭遇した場合、シャットダウン状態(8)に入る。この場合、装着/取り外しエラーをクリアしてシステムを待機状態(2)に戻すにはユーザ入力が必要となる。システムパラメータをチェックしてシステム管理業務を行うために、ユーザは、シャットダウン(8)状態又は待機(2)状態のいずれからもシステムを中断して管理状態(10)に入ることができる。
【0083】
カートリッジをカートリッジハウジングに装着し、ユーザが食塩水IVバッグにスパイクを刺入し、変換器をシステムに接続した後に、ユーザはカートリッジを準備することができる。準備状態(3)の目的は、充填バルブ、洗浄バルブ及びフローバルブをチェックすること、カートリッジの高圧側の流体路に食塩水をプライミングすること、最小液体レベルを設定すること、及び酸素で加圧することである。システムが準備中に重大なエラーに遭遇した場合、システムはシャットダウン状態(8)に入る。準備は、ユーザにより開始された後、完全に自動化される。
【0084】
ユーザ入力があると、システムは、体外回路をプライミングするためのプライミング状態(4)に入ることができる。この状態中、プライミングスイッチ3040を押しさえすればポンプが起動する。ポンプが回転すると、患者血液が混合チャンバ内に吸引される。ここでも、プライミング状態(4)は、重大な故障状態に遭遇した場合、又はシャットダウンするためのユーザ入力を受け取った場合、システムをシャットダウン状態(8)に入れる選択肢を提示する。プライミング状態後の全ての状態は、重大な故障状態又はユーザ入力に遭遇したときにシャットダウン状態(8)に入るという同じ選択肢を有する。
【0085】
ユーザが注入装置にリターンチューブをウェットツーウェット接続した後、システムは再循環状態(5)に入り、この間、ポンプが回転し続けながら血流と戻り圧力が安定する。この状態中に体外回路内の流体の完全な循環が確立されてプライミング処理が終了する。
【0086】
プライミングが完了すると、システムはSSO2オフ状態(6)に入り、この間、体外回路の循環は、SSO2溶液の注入を伴わずに継続する。従って、患者からの血液は、非酸素化食塩水でわずかに希釈されているに過ぎない。この状態中は、体外チューブのささいな閉塞などの重大でない故障状態を検出するという選択肢も可能である。このような重大でない故障状態に遭遇すると、システムは、再循環状態(5)に戻って正しい体外循環を再確立することができる。故障状態が発生しなければ、システムは、ユーザ入力を受け取ってSSO2オン状態(7)に入るまでSSO2オフ状態を保つ。
【0087】
SSO2オン状態(7)では、システムは酸素化食塩水を生成し、カートリッジの混合チャンバ内でこの酸素化食塩水に患者の血液を注入し、その後酸素化した血液を患者に戻す。システムは、治療の完了、ユーザによる中断、又は故障状態までこの状態を保つ。SSO2オフ状態(6)と同様に、SSO2オン状態(7)でも、システムを前の状態に戻すことによりささいな重大でない故障状態に対応するという選択肢が可能であり、このようにしてシステムの不必要なシャットダウンを回避する。
【0088】
このシステムソフトウェアをコントローラ回路の永続メモリ(図6)内で符号化して、システムソフトウェアに電源が入るとシステムを利用できるようにすることが好ましい。
【0089】
また、コントローラ回路2080には、システムが安全パラメータ内で動作することをモニタしてこれを確実にするための安全保護論理ブロックも含まれる。基本的に、安全保護装置2090は、コントローラPCB上に一体化されたフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)チップを実装する論理装置により実行される決定木論理である。FPGA回路は起動時に動いている。安全保護装置2090は、治療停止を必要とする又は治療を可能にするイベントの入力を絶えずモニタする。安全保護装置2090は、システム内の全ての通電中の電子機器を無効にする能力を有する。ある条件が発生すると、安全保護装置は、通電中の(24V)電子機器を無効にし、これによりリターンセーフティクランプ2070が自動的に閉じ、血液ポンプ2011が停止し、ピストン2161が停止し、流体流バルブが閉じ、酸素バルブが閉じて、カートリッジ2100が減圧されることにより治療を停止する。
【0090】
安全保護装置によってモニタされる例示的な機能無効パラメータとしては、必要な緊急停止、範囲外の酸素圧変換器信号、範囲外のピストン圧力信号、高温又は低温信号、低システム電圧信号、血液ポンプエンコーダ又はモータの故障、ピストンのストール又はエンコーダの故障、ピストン上部及び下部フラッグの故障、ソレノイドドライバの開放又は過熱状態、ディスプレイの故障又は気泡検出器の故障、及びその他の関連パラメータなどの信号を挙げることができる。
【0091】
安全保護装置はまた、モニタした入力に基づいてカートリッジ制御サブシステム2001内の機能を有効にする論理も有する。例えば、ポンプヘッドが開いている場合、ポンプヘッド2012は動作しない。
【0092】
安全保護装置によってモニタされる例示的な機能有効パラメータとしては、プライムスイッチの押下、ポンプヘッドの開放、カートリッジドアの開放、酸素バルブの開放、血液ポンプの動作、カートリッジの検出、カートリッジ変換器の検出、及びその他の関連パラメータを挙げることができる。
【0093】
安全保護装置への上述の入力に加え、プライミングスイッチからの入力及び緊急停止スイッチからの入力を含む数多くの動作入力をコントローラに供給してシステム挙動に影響を与えることができる。
【0094】
プライミングスイッチは、ディスプレイモジュールに装着される。ポンプモータを起動して血流を開始させるには、ユーザがこのスイッチを押して保持しなければならない。
【0095】
ディスプレイモジュールには、緊急停止(E停止)スイッチも装着される。システムユーザがE停止スイッチを手動で作動させると、カートリッジコントローラは、全ての通電中の電子機器(24VDC)を無効にする。E停止スイッチは、押下されると係止し、手動で外さなければならない。
【0096】
なお、本発明の1つの有利な特徴は、コントローラ/安全保護装置により可能になる自動安全対応である。従来の体外システムでは、チューブ又はカテーテルなどの流体導管内の閉塞がしばしば発生する。多くの場合、人間の操作者による注意深いモニタリングでは、システムを手動で停止し、閉塞を除去し、その後閉塞の度合いに関わらずシステムを再起動することにより、このような閉塞イベントを見つけて問題を解決することが必要となる。この無差別な閉塞解決手順は、時間がかかるとともに多大な労働力を要する。本発明のシステムは、比較的短い体外経路及び内蔵コントローラ/安全保護装置を有しているので、システムは、流速及び/又は流体圧力の変化をモニタすることにより閉塞イベントをモニタし、また閉塞のレベルに基づいて対応することが可能となる。例えば、閉塞イベントが軽微かつ一時的なものである場合、コントローラは、SSO2溶液の注入を停止することによって対応し、体外循環を正常レベルに回復させ、システムの完全なシャットダウンを必要とすることなくSSO2溶液の注入を再起動するように操作者に通知できるようにすることができる。閉塞が大きくて持続的なものである場合、コントローラは、SSO2溶液の注入を停止することによって対応し、体外循環をシャットダウンして、問題を解決した後で体外循環及びSSO2溶液の注入を再起動するように操作者に通知することができる。
【0097】
図8〜図10を参照すると、カートリッジ変換器を変換器ケーブル2062を介してカートリッジコントローラに接続するためのモジュラージャック2061がシステムエンクロージャの前面に設けられる。設定中、システムユーザは、システムメインエンクロージャの前面のモジュラージャックにカートリッジ圧力変換器ケーブル2062を挿入する。カートリッジからのアナログ圧力変換器入力が、カートリッジコントローラサブシステム2001によりモニタされる。血液混合チャンバ圧力の閾値は、2000mmHg(38psig(周囲雰囲気に対して262kPa))に設定される。
【0098】
カートリッジハウジングは、陽極酸化アルミニウムエンクロージャであることが好ましい。このハウジングは、酸素化カートリッジのためのレセプタクルを提供する。図8に示すように、ハウジングアセンブリは、中央部メイン制御モジュール2000に埋め込まれる。
【0099】
図24を参照すると、このハウジングは、酸素化カートリッジを受け入れるための受け入れブロック2049、頂部プレート2055、底部プレート2056、及びドア2051により形成される。
【0100】
再び図8を参照すると、ドアハンドル2054を下方に引き、ドアがロック解除されたらこれを前方に開く。ハウジング内では、LED表示灯2053がドアのロック状態を示す。ドアがロック解除されて開放可能状態になると、インジケータがオンになる。ドアが開いた後、ユーザは、カートリッジハウジング区画2050に酸素化カートリッジ2100を挿入することができる。カートリッジハウジングのスロットには、ドローチューブ、リターンチューブ及びIVチューブを通すことができる。ハウジングドア2051が閉じているときには、カートリッジ2100が、カートリッジハウジング2050内の全ての機械的及びセンサインターフェイスと自動的に位置合わせされる。カートリッジハウジング2050内には、使い捨てカートリッジ2100の加圧チャンバが封入される。動作中、カートリッジハウジング2050は、カートリッジ2100と連動する。カートリッジハウジング2050は、カートリッジピストンを動作させてIVバッグから食塩水を送達する電動ピストンアクチュエータを有する。カートリッジハウジングはまた、カートリッジを通る液体の流量を制御するニードルバルブアクチュエータの組と、カートリッジ酸素チャンバ及び血液混合チャンバを減圧する通気バルブアクチュエータとを有する。
【0101】
ピストンアクチュエータは、ピストンラム、ボールネジ、ステッパモータ、ステッパモータエンコーダ、リミットスイッチ、及びロードセルで構成することができる。ピストンラムはスロットに挿入されて、カートリッジがカートリッジハウジング内に導入されたときにカートリッジピストン上のキーと係合する。ボールネジは、ステッパモータをピストンラムに取り付け、ステッパモータの回転運動を、ピストンラムを動作させるために必要な線形運動に変換する。ステッパモータは、ギアボックスにより速度が減少してトルクが増加する回転出力を有する。ステッパモータは、ステッパモータコントローラにより駆動される。ステッパモータはまた、モータの速度及び方向を検出するための光学エンコーダを含むこともできる。
【0102】
ピストンラムの頂部及び底部位置を検出するには、2つのスロットIRセンサを使用する。ロードセルが、ピストンアクチュエータによりカートリッジピストンに印加される力を測定する。このロードセルは、歪みゲージ回路を使用してアナログ測定値を生成する圧縮型ドーナツロードセルである。
【0103】
ソレノイド式酸素バルブが、酸素供給装置からカートリッジへの酸素流量を制御する。通常、このバルブは閉じている。バルブは、酸素圧変換器によるフィードバック時にパルス開放されて、カートリッジ内の酸素圧を所望の設定点(約550psi(3792kPa))に保持する。
【0104】
上述したように、カートリッジハウジングは、カートリッジのニードルバルブ、通気バルブ、及びドアロックアクチュエータを制御するソレノイド式アクチュエータを有する。酸素化カートリッジ2100内の5つの弁は、3つのニードルバルブアクチュエータ及び2つの通気バルブアクチュエータにより制御される。個々のバルブアクチュエータ機構は、レバーの一端にピンを、及び他端にプル型ソレノイドを有する。酸素通気バルブは、ソレノイドに電圧が加わっていないときにピンを通気バルブから遠ざけてバルブを開いた状態に保持するバネを有する。他の4つのバルブでは、バネがレバーを予め組み込み、ソレノイドに電圧が加わっていないときにカートリッジニードルバルブ又は通気バルブにピンを押し付けてバルブを閉じた状態に保持する。電圧が加わると、ソレノイドがニードル又は通気バルブからピンを遠ざけて、バルブをカートリッジ内部の圧力から開放できるようにする。ドアロックには、ソレノイドに電圧が加わっていないときにロック機構と係合するバネが存在する。
【0105】
流体ポンプアセンブリ
再び図1を参照すると、カートリッジ制御サブシステム2001が流体ポンプアセンブリ2010を含み、これが、流体ポンプ2011、組み合わせ気泡検出器/流量計2060、ドローチューブ2020、リターンチューブ2030、及びリターンセーフティクランプ2070をまとめ上げて、システム内を流れる流体流を調整する。
【0106】
システムをSSO2療法に使用する場合、流体ポンプが患者から動脈血を吸引し、これを酸素化カートリッジ2100及び注入カテーテルに送り込んで患者に戻す(図23参照)。完全閉塞性の蠕動血液ポンプ2011は、カートリッジチューブとインターフェイス接続し、従って流体と直接接触することはない。システムユーザは、システム設定中に吸引側チューブ2020をポンプヘッドに、戻し側チューブ2030を流量プローブに挿入する。図9及び図10は、血液ポンプ2011の目に見える構成要素を示している。
【0107】
ポンプヘッド2012は、中央部制御モジュールのエンクロージャの内部に装着されたDCモータに結合される。ポンプヘッド2012及び組み合わせ気泡検出器/流量計2060は、モジュラーエンクロージャの前部に装着される。血液ポンプ2011は、ソフトウェアにより設定された75ml/分の固定流速で動作する。血液ポンプは、75ml/分の流速設定点を35psig(周囲雰囲気に対して241kPa)以下の流体力学圧力でサポートする。血液ポンプの要素的特徴としては、ポンプヘッド2012、ポンプヘッド検出器2013、ポンプモータ2014、及びポンプロック2015が挙げられる。
【0108】
ポンプヘッド2012は、システムメインエンクロージャの前部に装着された3ローラ式蠕動ポンプヘッドである。閉塞性設定は、チューブに関して完全に閉塞性なので、ポンプヘッド2012は、停止時にはチューブクランプとして機能する。蠕動ポンプは、チューブの装着を容易にするためのハンドル2016を備えたオーバセンタによるカム作動式機構を特徴とする。ポンプヘッドシャフトは、血液ポンプDCモータに結合される。
【0109】
血液ポンプ2011は、ポンプヘッドが閉じているかどうかを検出するためのセンサを有する。このIRセンサは、ポンプヘッドが閉鎖位置にあるときの反射特性を検出してコントローラ2080に電気信号を提供する。ポンプヘッド2012が開放位置にある場合、ポンプモータ2014は回転しない。
【0110】
血液ポンプモータ2014アセンブリは、光学エンコーダ及びギアボックスを備えたDCサーボモータである。モータ速度は、カートリッジコントローラPCBによりパルス幅変調(PWM)を使用して調整される。この回路は、負荷、線間電圧及び温度変化に関わらず一貫したポンプ速度での動作を実現する。コントローラPCBは、血流測定からのアナログ入力を使用して流速設定点を保持し、このアナログ信号を安全保護装置へ送信する。ポンプモータシャフトは、コントローラPCBが測定した回転インデックス出力を含む光学エンコーダを有する。
【0111】
血液ポンプに組み入れられるカスタムロック機構は、ドローチューブを装着又は取り外しできるようにするためにのみ開く。これにより、動作中にポンプヘッドが不用意に開くことが防がれる。
【0112】
図11は、本発明による例示的なロック機構を示している。本発明の好ましい実施形態では、ポンプが、偏心カム2018に接続されたポンプレバー2016を有する。レバー2016が開放位置にある場合、カムがポンプロックラッチ2017を抑えるので、ロックが噛み合うことはできない。レバーが閉鎖位置にある場合、カムが邪魔にならない位置に回転するため、ポンプロックラッチ2017が完全に噛み合うことができるようになる。ラッチ2017が噛み合うと、レバーが開放位置へ回転できないようにカムが抑えられ、これにより一旦ロックが噛み合うとポンプヘッドが誤って開かないようになる。
【0113】
組み合わせ気泡検出器/流量計
気泡検出器/流量計2060は、気泡検出及び流量測定の両方の機能を果たす組み合わせ装置である。本発明の好ましい実施形態の図1、図2、図9及び図10に示すように、組み合わせ気泡検出器/流量計2060は、中央部制御モジュールに装着された超音波装置であり、リターンチューブ2030に結合される。気泡検出器/流量プローブ2060は、コントローラPCB上のデジタルシグナルプロセッサ(DSP)と通信して、戻り血液経路の気泡を絶えずモニタする。DSPは、リターンチューブを通過する個々の気泡を数えてそのサイズを計算するソフトウェアを有する。組み合わせ検出器2060の気泡検出機能は、直径100μmほどの個々の気泡を数えることができる。気泡検出器のDSPソフトウェアは、累積気泡量も計算する。90分間の治療中に累積気泡量が10μlに達した場合、又は信号強度が範囲外にある場合、気泡検出器はシステムシャットダウンを開始する。気泡の測定には、環境分散を補償する飛行時間型測定法を使用する。
【0114】
本発明の好ましい実施形態では、超音波プローブが、流体路を45度の角度で横切って配向された1対の結晶を有する。信号は両方向に送信できるが、一方はアップストリームの方向であり、他方はダウンストリームである。データ収集状態機械によってデータが収集された後、アップストリームデータとダウンストリームデータの差分を使用して流体流を計算する。2つの測定した収集データの位相間の差分に基づいて流速が計算される。
【0115】
流速は、図5に示すように2つの位相角間の差分に比例するので、最初に既知の流速に対して位相角の差分を較正し、その後比例性を使用して他方の流速を求めることにより飛行時間型測定法を実施することができる。検出範囲は、約1〜200ml/分の範囲内とすることができる。
【0116】
気泡検出器/流量プローブデジタルシグナルプロセッサ(DSP)は、そのソフトウェアに基づいて、気泡検出器/流量計変換器から受け取った信号を処理する。DSP内のソフトウェアアルゴリズムは、気泡が変換器を通過したときに発生する電気信号減衰を測定する。気泡のサイズは減衰の大きさに比例する。DSPは、気泡を数えて累積気泡量を計算するためのソフトウェアアルゴリズムを有するカートリッジコントローラに入力を供給する。気泡検出器DSPは、累積気泡量に関するシリアル通信をカートリッジコントローラに行い、安全保護装置との間でデジタル信号を送信/受信する。
【0117】
図25は、本発明による流量計算のためのアルゴリズムを示すブロック図である。流速を計算する手順としては、まず位相ロックループアルゴリズムを実行することにより、サンプル値データに対してアップストリーム及びダウンストリームの位相を計算する。位相ロックループが同相及び直角位相信号振幅を計算し、次に直角位相値をゼロに強制する。位相ロックループの出力は、同相信号を入力データに対してピークに保つために必要な位相角である。位相信号間の差分を計算して、較正オフセットを加える。その後、較正した流量測定値を整えるために、これをローパスフィルタに通す。
【0118】
図26は、本発明による気泡検出のためのアルゴリズムを示すブロック図である。気泡検出処理は、アップストリーム及びダウンストリーム信号振幅を計算し、これらを平均化し、信号レベルを下限閾値に対してチェックし、信号をピーク検出し、気泡状態の終端を求めるものである。
【0119】
ピーク検出器は、まずノイズ閾値を超える信号をチェックする。信号が検出されると、サンプルピークによるサンプルが計算される。信号がノイズ閾値を下回った場合、或いは極小値に達してその後極小値+ノイズ閾値を上回った場合のいずれかにピークと見なされる。ピーク検出スキームは、センサ内で密集した気泡、さらには重なった気泡に対応するように設計される。
【0120】
測定される超音波信号の減衰は、投影される気泡の2−D面積に比例するので、気泡ピークが捕捉されると、結果として得られるピークを、まず標準化した面積を反映する大きさにする。次に、面積をPI(π)で除算して平方根をとると半径が得られる。次に、この半径にスケール面積を乗じた後に4/3を乗じて気泡容積を生成する。個々の気泡容積を加算して累積気泡量を生成する。その後、この累積気泡量をさらに処理するためにホストシステムに受け渡す。
【0121】
再び図2Aを参照すると、中央部主制御モジュールには、故障状態が生じた場合にカートリッジ内の血流から患者を隔離するためのリターンセーフティクランプ2070が装着され、リターンチューブ2030に結合される。カートリッジコントローラサブシステム2001が、リターンクランプを作動させるためのドライブエレクトロニクスを提供する。通常、このピンチクランプは閉じている。これらのクランプ内には、通常、ユーザにより最初のシステム設定中にカートリッジチューブが装着される。
【0122】
酸素化カートリッジ(ガス富化装置)
本発明の好ましい実施形態では、ガス富化装置は、図13に示すようなカートリッジの形をとる。カートリッジ2100は、システム内に装着されるように設計された1度きりの使い捨て装置である。このカートリッジは、病院から供給される酸素及び生理食塩水の投入によりSSO2溶液を生成し、このSSO2溶液をカートリッジの血液経路内の動脈血と混合するスリーチャンバ式の本体を有する。カートリッジは、吸引ラインを通じて患者の動脈血を吸引し、戻りラインを通じて注入カテーテルに酸素過飽和血液を戻すチューブセットを有する。カートリッジの吸引ラインは動脈シースに接続される。シースは、医師の判断により、同軸(単一の動脈アクセス部位)に、又は対側(2つの動脈アクセス部位)に配置することができる。医師は、SSO2療法の開始中に2つのラインを接続し、すなわち、血液流路をプライミングする前にカートリッジの吸引ライン2020を動脈シースに取り付け、血液流路を正常にプライミングした後に戻りライン2030を注入カテーテルに取り付ける。
【0123】
図14は、生理流体チャンバ2103、霧化チャンバ2105、及び混合チャンバ2106を含む、酸素化カートリッジ2100のスリーチャンバ構造の概略図である。動作中、IVバッグから生理流体チャンバ2103内に食塩水が吸引され、次に加圧霧化チャンバ2105へ送り込まれる。酸素タンクから酸素が供給されて霧化チャンバ2105に導入され、これを霧化食塩水と混合して酸素過飽和生理流体を形成する。次に、この酸素富化食塩水が混合チャンバ2106内に導入されて血液と混合される。吸引ラインを通じて、血液が混合チャンバ2106内に吸引される。血液が酸素富化食塩水と混合されると、この混合物が戻りラインを通じて患者に戻される。
【0124】
図8及び図9に示すように、カートリッジハウジング2050は、ドローチューブ2020及びリターンチューブ2030を固定するためのドア2051及び溝を有する。動作中、カートリッジハウジング2050はカートリッジ2100と協働する。カートリッジハウジング2050は、カートリッジピストンを動作させてIVバッグから食塩水を送達する電動ピストンアクチュエータを有する。カートリッジハウジング2050はまた、カートリッジを通る液体の流れを制御するためのニードルバルブアクチュエータの組と、カートリッジの酸素チャンバ及び血液混合チャンバを減圧するための通気バルブアクチュエータとを有する。
【0125】
図8及び図9は、カートリッジ2100がカートリッジハウジング2050に装着されている構成を示している。
【0126】
図10は、カートリッジハウジング2050に対するポンプアセンブリ2010の場所を示している。
【0127】
図14及び図15を参照すると、動作中、食塩水を提供するためのIVバッグにチューブが結合されている。チューブの外端は、酸素化カートリッジ2100上のポートに結合され、流体供給チャンバにつながる通路を形成する。流体通路2151には、流体が流体通路2151を通じて流体チャンバ2103に入ることはできるが、流体通路を通じて出ることはできないように逆止弁2102が配置される。
【0128】
図15は、逆止弁2102の詳細図をさらに示している。図を参照すると、逆止弁2102は、流体通路2151内のカウンタボアとポートの間に配置されたOリングシール2152を有する。バネ2154が、ボール2153を付勢してOリングシール2152と接触させる。矢印の方向に移動する流体が、流体供給チャンバ内のバネの力及び圧力に打ち勝つと、ボールがバネに押し付けられて、流体が流体供給チャンバに流れ込むようになる。ボールがOリングシールに対して効率的に密封を行うので、流体は単方向に流れる。
【0129】
再び図14を参照すると、流体供給チャンバの逆止弁から反対端にはピストンアセンブリ2104が位置する。図16にさらに詳細に示すように、ピストンアセンブリ2104は、第1の位置(左図)と第2の位置(右図)との間で動くことができる。ピストンアセンブリの自由端にはキーが設けられる。このキーは、ややドアノブに類似するように狭い部分と比較的広い部分とを含み、このため装置がピストンアクチュエータアセンブリのラム上に係止されて、ピストンアセンブリを第1の位置と第2の位置との間で動かせるようになる。
【0130】
再び図14を参照すると、流体供給チャンバ2103は、チューブにより流体通路に結合された第2の流体通路を有する。この通路は、流体供給チャンバからの流体を霧化チャンバ内へ送達する態様を制御するバルブアセンブリへの入口である。
【0131】
動作中、流体供給チャンバ内のピストンアセンブリ2104はピストンポンプとして機能する。ピストン2161が後退すると、流体が流体供給装置からチャンバに引き込まれる。通路から流体を引き込むことは、弁アセンブリが閉じており、逆止弁もこの方向には閉じているので不可能である。ピストン2161が延びると、チャンバ内の流体が、通常は約650psig(周囲雰囲気に対して4481kPa)に加圧され、流体通路を通じて流体供給チャンバから排出される。流体供給チャンバの出口は、適当な流体通路を介して霧化チャンバの入口に結合される。
【0132】
バルブアセンブリは、充填バルブ2202、洗浄バルブ2203、及びフローバルブ2204という3つの弁を含む。図17に示すように、このシステムは、通常、閉鎖位置に付勢されるニードルバルブを使用する。可能であると仮定した場合、ニードルに加わる圧力が約100psi(689kPa)などのあるレベルよりも上昇してシステムアクチュエータが開くと、バルブが閉鎖位置から開放位置へ動くようになる。プッシュピン及び関連する作動機構が、バルブの1又はそれ以上が開くまでバルブを閉鎖位置に保持する。
【0133】
圧力により、酸素が通路を介して霧化チャンバへ送達される。酸素供給装置が通路の入口に結合されて所望の酸素を供給する。全てのバルブが閉じている場合、流体は入口通路から充填バルブ2202が位置する通路へ流れ込む。充填バルブ2202の断面積よりも通路の断面積のほうが大きいので、流体は、閉じた充填バルブの周囲を流れて霧化器につながる通路へと流れ込む。
【0134】
霧化器は、一方向バルブが配置された中央通路を含む。この一方向バルブは、図15を参照しながら説明したバルブと同様の逆止弁である。従って、流体圧が一方向バルブのバネの力に打ち勝つとともに霧化器内の酸素の圧力に打ち勝つと、流体が通路内を移動して、霧化器の端部にあるノズル2108から排出される。
【0135】
ノズル2108は流体液滴を形成し、この液滴が霧化チャンバ内を移動すると液滴内に霧化チャンバ内の酸素が拡散する。この酸素富化流体は、過飽和酸素(SSO2)溶液と呼ばれる。ノズルは、霧化チャンバ内の約550psig(周囲雰囲気に対して3792kPa)などの通常の動作圧で、典型的には約20度〜約40度となる角度αにより定められる液滴錐体を形成する。ノズルは、直径約0.004インチ(0.01016cm)〜直径0.005インチ(0.0127cm)の流体オリフィスを含む単型渦巻加圧霧化ノズルであることが好ましい。酸素を吹き込まれた液滴は、霧化チャンバの底部にあるプールに入り込む。プールのレベルがノズルのレベルよりも上昇すると霧化器が正しく霧化しなくなるので、プールのレベルは、霧化器が正しく機能し続けることを確実にするように制御される。
【0136】
設計により、霧化流体内には、流体が非霧化形態で霧化チャンバへ送達されるよりもはるかに多くの酸素が溶解する。上述したように、通常、霧化チャンバは、約550psig(周囲雰囲気に対して3792kPa)の一定圧で動作する。550psig(周囲雰囲気に対して3792kPa)で、或いは200psig(周囲雰囲気に対して1378kPa)を上回るいずれかの圧力で霧化チャンバを動作させることにより、200psig(周囲雰囲気に対して1378kPa)を下回る圧力で動作するよりも、霧化器からの生理溶液の液滴がより細かく形成されるとともに、生理流体内のガス飽和効率がより良好になる。
【0137】
霧化チャンバ2105内で形成された酸素過飽和流体は混合チャンバ2106へ送達され、ここで患者からの血液と組み合わせられる。患者の血液を酸素で富化させる程度を制御すること、及びシステムを一定の血流速度で動作させることが望ましいので、霧化チャンバ内の酸素過飽和流体を希釈して酸素含有量を減少させることが望ましい場合もある。このような希釈が望ましい場合には、充填バルブを開いて、霧化器を通る経路よりも比較的抵抗性の低い経路を流体に提供する。こうすると、流体は、霧化器を通過するのではなく、チューブを介して霧化チャンバ内へと上方に延びる通路を貫流する。チューブは、流体が霧化チャンバの底部にあるプール内の酸素過飽和流体と容易に混合するように、霧化チャンバの円筒壁に対して接線方向に若干曲げられることが有利である。
【0138】
バルブアセンブリは、基本的に2つの追加機能を果たす。第1に、充填バルブ及びフローバルブを閉いた状態では、フローバルブの断面積よりも大きな断面積の洗浄バルブを開いて、入口通路からの流体流が一連の通路を通過できるようにすることができる。従って、流体は、毛細管2109(図18)に結合された出口通路から流出する。この毛細管は、混合チャンバ内へと上方に延びる先端で終端する。この流体はガス富化されていないので、基本的に通路及び毛細管を洗浄してあらゆる汚染物質を除去するとともに十分な流体流を保証する働きをする。第2に、充填バルブ及び洗浄バルブを閉じた状態では、ガス過飽和流体を霧化チャンバの下部にあるプールから混合チャンバへ送達することが望ましいときにフローバルブを開くことができる。
【0139】
この第2の状況では、霧化チャンバ内の圧力が約550psig(周囲雰囲気に対して3792kPa)のように比較的高く、混合チャンバ内の圧力が約30psia(206kPa絶対圧力)のように比較的低いという事実に起因して、ガス過飽和流体が霧化チャンバから毛細管を通じて混合チャンバへ容易に流れ込む。毛細管先端の端部は、混合チャンバの血液入口よりも下に位置する。通常、この空間的配置により、ドローチューブを通じて血液入口に流れ込む血液が、毛細管先端を通じて混合チャンバに流れ込む酸素過飽和流体と確実に混合されるようになる。最終的に、血液ポンプシステムの力により、酸素化血液が混合チャンバから出口を通じてリターンチューブ内へ送り込まれる。
【0140】
通常、毛細管2109及び毛細管先端は、正しい抵抗性が確実に保持されて、酸素過飽和流体が霧化チャンバから混合チャンバに移動したときに、この流体中の酸素が溶液中に残るようにするために比較的長い。毛細管及びその先端は、長さが50ミクロン〜300ミクロンの範囲内、及び内径が3インチ(7.62cm)〜20インチ(50.8cm)の範囲内にある。従って、酸素化装置のサイズを小型に保つために、図18の詳細図面に示すように、毛細管は、混合チャンバの出口ノズルの周囲をラッピングされる。コイル状の毛細管を損傷から保護するために、この周囲に保護シールドを形成して区画を生じることが有利である。
【0141】
霧化チャンバ2105及び混合チャンバ2106の両方は、通気バルブ2200を含む。図19の詳細図面に示すように、この通気バルブは、カートリッジから雰囲気中にガス圧を排出できるようにする一方向バルブである。通気バルブは、バネ2201により閉鎖位置においてOリングシール2202に付勢されるボール又はピストンヘッド2206を含む。この付勢力は、それぞれのチャンバ内がほんの1〜2psi(6.894kPa〜13.789kPa)になれば、プランジャがシールから離れてチャンバの排出を十分に行えるほど軽いものである。従って、通常は、カートリッジハウジングの一部でありシステムコントローラにより制御される作動装置が、バルブを閉鎖位置に保持する。
【0142】
上述したように、カートリッジは、フロー時間、所望の濃度などの処置に関するデータを記録するための情報記録素子を任意に含むことができる。この記録素子は、当技術分野で通常使用されるバーコードラベル、RFIDチップ、PROM、フラッシュメモリ、又はその他のいずれかの好適な記憶装置などのいずれの好適な情報記録装置であってもよい。この情報記録素子を使用して、(年齢、性別、体重、身長などの)患者健康情報、処置データ、及び受け取る患者の治療計画に合わせた特定のシステム設定情報などの関連患者情報を記録することもできる。このような情報を含めることにより、操作者の利便性及び患者の安全性がさらに高まる。
【0143】
情報記録素子がカートリッジに含まれる場合、システムは、情報を検索して利用するための対応する手段をさらに含むことができる。例えば、バーコードラベルを使用する場合、システムはバーコードリーダをさらに含むことができる。オンボードカートリッジコントローラは、内部データベースをさらに含むことができ、或いはバーコードに対応する情報を取り出すための外部情報システムに接続することができる。情報が、治療期間、温度、濃度、流速などの動作パラメータを含む場合、システムコントローラがこれらを自動的に利用することができる。
【0144】
或いは、情報検索手段を、本発明の酸素化システムとともに使用する別個の独立システムとすることもできる。例えば、独立型のバーコードリーダを使用して、カートリッジをシステムに挿入する前に操作者がカートリッジ上のバーコードを読み取ることもできる。
【0145】
カートリッジバルブの作動
酸素化カートリッジ2100のサイズ及び形状、カートリッジハウジング2050の外形、及びドア2051を閉じることにより、カートリッジがカートリッジハウジング2050内に所望の態様で確実に配置されるようになる。カートリッジ2100のバルブ及び通気口の配置、並びにこれらを制御して作動させる態様により、正しい位置が重要となる。カートリッジのバルブ及び通気口は、ピンを使用して作動される。カートリッジの頂部には2つの通気口が含まれ、カートリッジの底部には3つのバルブが含まれる。これらの通気口及びバルブは、ソレノイド式ピンを使用して電気機械的に作動される。
【0146】
これらの作動装置の詳細図を図20及び図21に示す。まず図20を参照すると、カートリッジハウジングの底面図を示している。なお、カートリッジハウジングの底部には、酸素化カートリッジからの血液リターンチューブを通すことができるスロットが含まれる。酸素化カートリッジ2100がカートリッジハウジング2050内の適所にくると、充填バルブ2203、洗浄バルブ2204、及びフローバルブ2205が、それぞれの作動ピン2057と位置合わせされるはずである。ピンの各々は、位置ずれの公差を大きくするように端部が先細になっている。作動ピンの各々は、それぞれのソレノイド2058により閉鎖位置と開放位置の間で動く。ソレノイドの各々はそれぞれの作動ピンに結合され、それぞれのレバー2059を介して作動する。それぞれのレバーの各々は、それぞれの支点又は枢動ピンを基準に枢動する。
【0147】
図20の断面図を参照すると、アクチュエータが作動する態様を理解することができる。通常、バルブは閉鎖位置に保持される。図20に示すように、レバーの一端を付勢するバネにより、ピストンが延びた位置に押し付けられる。
【0148】
洗浄バルブ2204が開くようにするには、ピンを図21に示すように作動させる。ソレノイドが作動することにより、ピストンが全体的に後退位置に移動する。ソレノイドの力がバネの付勢に打ち勝って作動ピンを動かす。作動ピンが後退位置にきて、洗浄バルブ2204が開くことができる。
【0149】
通常、酸素通気バルブは開いており、混合チャンバ通気バルブは閉じている。ここで図21を参照すると、カートリッジハウジング2050の上面図を示している。カートリッジハウジングの頂部には、IVチューブを通すことができるスロットも含まれる。カートリッジ2100がカートリッジハウジング2050内に正しく配置されると、通気バルブ2200が作動ピンとそれぞれ位置合わせされるようになる。これらのピンも、位置ずれの公差を大きくするように端部が先細になっている。作動ピンの各々は、それぞれのソレノイドにより作動する。ソレノイドの各々はそれぞれの作動ピンに結合され、それぞれのレバーによって作動する。レバーの各々は、支点又は枢動ピンを中心にそれぞれ枢動する。
【0150】
通気バルブ2200を開くには、ソレノイドを作動させる。図21に示すように、ソレノイドが作動すると、ピストンが後退位置へ移動する。ソレノイドの力がバネの付勢力に打ち勝ち、このようにしてレバーが作動ピンを閉鎖位置に動かす。作動ピンが後退位置にきて、通気バルブが上方へ移動して開き、混合チャンバ内のガスを排出する。
【0151】
注入カテーテル
図22は、本発明の好ましい実施形態の例示的な注入カテーテルを示している。一般に、このカテーテルは、6F以上の大きさの市販のガイドカテーテルを通じて患者に挿入できる無菌の使い捨てオーバーザワイヤ装置である。カテーテルの外径(O.D.)は、遠位端から近位の張力緩和部4015まで4.6フレンチ(F)であることが好ましい。カテーテルは、柔軟な先端からより剛性の高い近位シャフトへと移行する連続法で押し出される。カテーテルの公称可使長は127cmであり、公称全長は135cmである。このシングルルーメン・エンドホールカテーテルの内径(I.D.)は、プラチナ/イリジウム放射線不透過性マーカーバンド4020の位置を除き、公称0.046インチ(0.11684cm)である。マーカーバンドの下のI.D.は、最低0.037インチ(0.09398cm)である。
【0152】
注入カテーテルの構成要素としては、ルアーハブ4010、張力緩和部4015、及び近位シャフト4020を含むことができる。
【0153】
ルアーハブ4010は、シャフトの近位O.D.にわたって成形された雌ハブである。ルアーハブ4010は、カテーテルにカートリッジリターンチューブを取り付けできるようにする。ポリオレフィンの張力緩和部4015が、熱収縮工程によりシャフトとルアーハブ4010の接合部を覆って施される。
【0154】
注入カテーテルは、非可塑性白色高密度ポリエチレン(HDPE)の近位シャフトを有することが好ましい。ドローチューブが、血管形成術及びステント埋め込み処置に使用できる同じ大腿動脈シースに接続する。シースは、医師の判断により、同軸(一方の大腿動脈)に、又は対側(右左両方の大腿動脈)に配置することができる。図23は、ガイドカテーテルとシースの間の環状空間を通るサイドアームを介していかにして動脈血を吸引するかを示しており、この(同軸の)構成では、単一の8Fイントロデューサシースを使用することができる。ドローチューブのルアー固定具がサイドアームに接続する。注入カテーテルは、ガイドワイヤを覆う6Fガイドカテーテルを通じて冠動脈内の所望のターゲット位置に配置される。ガイドワイヤは、血流の開始前に除去される。体外血流の開始時には、注入カテーテル及びリターンチューブがウェット接続されて、プライミング中に患者にガス塞栓が導入されないことを確実にする。ウェット接続という用語には、両装置が十分に血液をプライミングされ、気泡が捕捉されないことが必要である。カートリッジのリターンチューブルアー固定具が、注入カテーテル4000のルアーハブ4010に接続する。対側アプローチ(図示せず)では、吸引側に5Fイントロデューサシースを使用するが、6Fイントロデューサシースを使用すれば6Fガイドカテーテルがアクセスできるようになる。単一の8Fシースの代わりに2つのより小さなシース(5F及び6F)を動脈アクセスに使用することを好む医師は、この代替のアプローチを使用してもよい。
【0155】
流体路のプライミング
上述したように、本発明の好ましい実施形態のカートリッジは、スリーチャンバ式の本体を有する。図14を参照すると、カートリッジ2100が、カートリッジハウジングエンクロージャ2050に装着されると、患者から吸引ラインを通じて混合チャンバ内に体液を導き、その後戻りラインを介して患者に体液を戻す数多くの流体通路、特に体外回路通路と、加圧されて霧化チャンバへ送られ、その後混合チャンバへ導かれて体液と混合される生理流体を生理流体源から生理流体チャンバに引き込む生理流体通路とを形成する。システム及びカートリッジを使用する前に、流体路の様々な部分に適当な流体をプライミングする必要がある。
【0156】
生理流体供給チャンバ2103及び霧化チャンバ2105には、SSO2投与を開始する前に生理流体を正しくプライミングすべきであり、吸引ライン、混合チャンバ及び戻りラインには、SSO2投与の前に体液を正しくプライミングすべきである。これらのプライミングステップがカートリッジコントローラにより自動化される点が本発明の有利な特徴である。流体通路をプライミングする一般的ステップについて以下のように概説する。
【0157】
カートリッジハウジングエンクロージャ2050内にカートリッジが正しく装着されてドア2051が閉じられると、システムが、適当なカートリッジチャンバに生理流体をプライミングする準備ステップを自動的に開始する。この段階中、システムは、準備手順が進行中であることを示すための進行メッセージをディスプレイ上に表示する。準備手順中、システムは、一連の診断チェックを行ってカートリッジ及びシステムが正常に作動していることを保証する。システムが初期準備手順を終了すると、体外回路のプライミングを開始できる旨をユーザに示すためのメッセージが表示される。
【0158】
この結果、ユーザは、ポンプヘッドを通じて適所にドローチューブを装着し、カテーテルを介して患者に接続することにより体外回路を接続する。リターンチューブも、組み合わせ気泡検出器/流量計2060及びリターンクランプ2070を通じて適所に装着される。この段階で、リターンクランプ2070を固く閉じて、あらゆる流体がリターンチューブから出ないように効果的に封じ込める。これらのステップは、システムが初期準備ステップを行っている間、又は初期準備ステップが完了していることをシステムが示した後のいずれかに行うことができる。
【0159】
システムが初期準備ステップを完了し、ユーザが体外回路を接続し終えると、ユーザは、ディスプレイの隣のプライミングスイッチ3040を押すことにより体外回路のプライミングを開始することができる。内蔵の安全チェックを使用して体外経路プライミングが自動化され、ユーザが介在する必要がないという点が本発明の有利な特徴である。体外回路プライミングの第1段階中には、体液が吸引ラインを通じて混合チャンバに吸引される一方で、混合チャンバのリターンクランプ2070及び通気バルブ2107は閉じたままである。体液がチャンバを満たすと、通路内の静水圧が高まって、全ての構成要素が通路内に漏れを生じずに正しく接続されていることを確認する。圧力変換器が圧力の変化をモニタする。正しい圧力(約5psi(34.473kPa))に達すると、通気バルブが開いて過剰なガスが逃げられるようにする。混合チャンバ内のレベルセンサが、流体が混合動作を開始するのに適したレベルに達するまでチャンバ内の体液のレベルをモニタし続ける。この時点で、リターンクランプが解除され、流体がリターンチューブから出られるようになる。
【0160】
リターンチューブから少量の体液が排出され一定の流速及び圧力が確立された後、ユーザが、排出される流体中に目に見える気泡が存在しないことを確認する。次に、ユーザが、リターンチューブと注入カテーテルをウェットツーウェット接続して体外回路を完成させる。
【0161】
このようにして、流体通路設計及びプライミング手順の結果、気泡形成が最小化される。本発明のシステムでは、独立した又は外部の気泡排除器は不要である。
【0162】
特定の例示的な実施形態及び実施例の観点から本発明について説明したが、本明細書で開示した実施形態は例示のみを目的とするものであり、当業者であれば、以下の特許請求の範囲に記載する本発明の思想及び範囲から逸脱することなく様々な修正及び変更を行うことができると理解するであろう。
【符号の説明】
【0163】
280 ガスタンクアダプタ
1000 ベースモジュール
1001 台座
1002 ホイール
1003 バッテリ
1004/1011 電力供給装置
1012 バッテリ
1010 電力供給サブシステム
1020 ガス供給サブシステム
1021 ガスタンク容器
1022 酸素タンク
2000 制御モジュール
2001 カートリッジ制御システム
2010 ポンプアセンブリ
2011 ポンプ
2012 ポンプヘッド
2013 ポンプヘッド検出器
2014 ポンプモータ
2015 ポンプロック
2016 ハンドル
2017 ポンプロックラッチ
2018 偏心カム
2020 ドローチューブ
2030 リターンチューブ
2040 圧力センサ
2049 受け入れブロック
2050 カートリッジハウジング
2051 ドア
2052 アクセスパネル
2053 表示灯
2054 ドアハンドル
2055 頂部プレート
2056 底部プレート
2058 ソレノイド
2059 レバー
2060 気泡検出器/流量計
2061 ジャック
2062 変換器ケーブル
2070 リターンクランプ
2080 コントローラ
2090 安全保護ブロック
2100 カートリッジ
2102 逆止弁
2103 流体チャンバ
2104 ピストンアセンブリ
2105 霧化チャンバ
2106 混合チャンバ
2107 通気バルブ
2108 ノズル
2109 毛細管
2110 酸素タンクアダプタ
2120 レールハンドル
2130 ボトル圧力計
2140 電源レバー
2151 流体通路
2152 Oリングシール
2153 ボール
2154 バネ
2161 ピストン
2200 通気バルブ
2201 バネ
2202 Oリングシール
2203 充填バルブ
2204 洗浄バルブ
2205 フローバルブ
2206 ボール/ピストンヘッド
3000 データモジュール
3010 ディスプレイサブシステム
3011 LCDディスプレイ
3020 生理流体供給装置
3040 プライミングスイッチ
3050 緊急停止スイッチ
4000 注入カテーテル
4010 ルアーハブ
4015 張力緩和部
4020 マーカーバンド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の体液をガス富化流体で富化させるための体外回路を有するガス富化システムであって、
生理流体を前記ガスで富化させるためのガス富化チャンバ(2105)と、前記ガス富化生理流体を前記患者の前記体液と混合するための混合チャンバ(2106)とを備えたガス富化装置(2100)を受け入れるように構成されたエンクロージャ(2050)と、
前記体外回路を通る流体流を制御するためのポンプ(2011)を備えたポンプアセンブリ(2010)と、
ガス富化及び体外回路の動作を自動制御するためのコントローラ(2080)と、を備え、
前記システム及び前記ガス富化装置(2100)が、前記システムに装着されると、前記体液を前記患者から前記混合チャンバ(2106)へ、及び再び前記患者へ循環させるための流体路を提供し、
前記コントローラ(2080)が、前記ポンプアセンブリ(2010)及び前記ガス富化装置(2100)を、前記ガス富化装置(2100)が装着されたときに前記ガス富化チャンバ(2105)に前記生理流体をプライミングし、前記ユーザからプライミングコマンドを受け取ったときに前記流体路に前記体液をプライミングするための自動動作シーケンスを実施するように制御することができ、
前記コントローラ(2080)が、体外回路内の閉塞を検出し、異なる閉塞状態に対応して回路が強制的にシャットダウン/再プライミングされるのを防ぐことができる、
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記閉塞が一時的で軽微なものである場合、前記システムが、ガス富化生理流体の混合チャンバ(2016)への流入を停止し、前記体外回路内の体液の正常な流れを回復させ、その後、ユーザ入力時に、前記ガス富化生理流体の前記混合チャンバへの流入を再始動して前記ガス富化生理流体と前記体液の混合を再開することにより対応する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記閉塞が持続的で大きなものである場合、前記システムが、ガス富化生理流体の混合チャンバ(2016)への流入を停止し、前記体外回路を停止し、前記閉塞を取り除いたことを示すユーザ入力を待ち、その後前記体外回路内の体液の循環を再開して前記ガス富化生理流体と前記体液を混合することにより対応する、
請求項1又は請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記流体内のガス濃度を直接モニタするためのガス濃度センサをさらに備え、前記システムが、前記濃度センサからのガス濃度測定値を、前記生理流体の目標ガス濃度を決定するための入力として組み込むことができる、
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記ポンプ(2011)が、前記患者から前記混合チャンバ(2016)への前記流体路に動作可能に結合されて、速度が可変であるとともに前記流体路内の流体流を完全に閉塞することができ、
前記混合チャンバ(2016)から前記患者へ戻る前記流体路が、閉鎖時に前記流体路内の流体流を完全に停止させるように構成されたリターンクランプ(2070)に動作可能に結合され、
前記体外回路が、該体外回路内の圧力をモニタすることができる圧力変換器に動作可能に結合され、
前記ポンプ(2011)、リターンクランプ(2070)、及び圧力変換器が協働して閉塞への対応及び回復を行う、
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のシステム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12(A)】
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【図12(B)】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公表番号】特表2012−510859(P2012−510859A)
【公表日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539593(P2011−539593)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【国際出願番号】PCT/US2009/065702
【国際公開番号】WO2010/065394
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Linux
【出願人】(511131790)シアロックス インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】