説明

開口塞ぎ具を備えたチェーンユニット及び該チェーンユニットの製造方法

【課題】チェーンに取り付けた状態で、チェーンを把持した手に当たらず、且つ容易に取り外すことができない開口塞ぎ具を備えたチェーンユニットを提供する。
【解決手段】チェーンユニット1は、内側が開口21した複数のチェーン片20を一方向に連結して構成されるチェーン2と、該開口21内に装着される塞ぎ具3を備えている。塞ぎ具3上にて、チェーン片連結方向に沿って延び互いに対向した一対の側部には夫々、チェーン片20の周面内側が嵌まる凹み31が設けられている。チェーン片連結方向に略直交する面内における、塞ぎ具3の一対の側部端縁30、30間の距離L1は、同じ面内における開口21の幅L2よりも長く形成され、且つ同じ面内におけるチェーン片20の幅L3よりも短く形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チェーンを構成するチェーン片の内側開口を塞ぐ開口塞ぎ具を備えたチェーンユニット及び該チェーンユニットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ブランコ等の遊戯具には、把持用にチェーンが使用されるのが一般的である。図8に示すように、チェーン(2)は一般的に内側が開口(21)した複数のチェーン片(20)を一方向に連結して構成される。各チェーン片(20)は、チェーン片(20)の連結方向に略平行で互いに対向した一対の長辺部(22)(22)と、両長辺部(22)(22)の対向する端部を繋ぐ円弧状の連結部(23)(23)を備えており、ステンレス等からなる金属線材から形成されている。
近年、子供が遊戯時にチェーン片(20)の開口(21)に指を誤って挿入し、指を怪我する事故が発生した。また、チェーン片(20)の開口(21)に異物を詰め込む悪戯が発生する虞れもある。
【0003】
この対策として、特許文献1に示すように、チェーン片(20)の開口を塞ぐ閉塞体(5)が開示されており、これを図8に示す。閉塞体(5)は開口(21)の一部を塞ぐように両長辺部(22)(22)に跨って形成され、該閉塞体(5)は両長辺部(22)(22)に被さって、ゴム又はプラスチックをモールド成形することにより形成される。閉塞体(5)がチェーン片(20)から外れないように、閉塞体(5)は両長辺部(22)(22)に被さり、連結部(23)(23)だけが閉塞体(5)から露出する。閉塞体(5)にてチェーン片(20)内側の開口(21)の一部を塞ぐことにより、子供が遊戯時に開口(21)内に指を挿入することを防いでいる。
【0004】
また、出願人は図9(a)に示すチェーン装着具(6)を以前に提案している(特許文献2参照)。これはチェーン片(20)の開口(21)を挟んで対向する第1部材(60)と第2部材(61)を有するチェーン装着具(6)であり、第1部材(60)は台板(62)から、外面に雄ネジを有するネジ軸(63)を下向きに突出している。第2部材(61)は台板(64)からネジ筒(65)を上向きに突出し、該ネジ筒(65)の内面に雌ネジ(66)を形成している。
チェーン装着具(6)をチェーン片(20)に取り付けるには、先ず第2部材(61)を、台板(64)を下側にして、ネジ筒(65)をチェーン片(20)の開口(21)の下側から、該開口(21)内に挿入する。次に、第1部材(60)を、台板(62)を上側にして、開口(21)の上方に配備する。第1部材(60)を下降させて、第1部材(60)のネジ軸(63)の雄ネジをネジ筒(65)の雌ネジ(66)に螺合させる。第1部材(60)は第2部材(61)と結合し、図9(b)に示すように、台板(62)(64)にてチェーン片(20)の開口(21)の一部を塞ぐ。各台板(62)(64)はチェーン片(20)の外側に突出しない。このチェーン装着具(6)によっても、指をチェーン片(20)の開口(21)に挿入することを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005―245589号
【特許文献2】実用新案登録第3092535号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に示す閉塞体(5)は、チェーン片(20)の長辺部(22)(22)を覆う。即ち、遊戯時に子供は、金属製のチェーン片(20)ではなく、ゴム又はプラスチック製の閉塞体(5)を把持するから、チェーン(2)を把持しているとの感覚がなく、手に違和感を感じる虞れがある。また、閉塞体(5)を取り付けたチェーン(2)は遊戯具に用いられて屋外に設置されるが、該閉塞体(5)はゴム又はプラスチック製であるから、昼夜の温度変化や太陽光に含まれる紫外線で劣化しやすい。従って、遊戯時に経時変化により劣化した閉塞体(5)が破損する虞も有る。
また、特許文献2に示すチェーン装着具(6)では、第1部材(60)を第2部材(61)に螺合させているから、第1部材(60)を第2部材(61)に対して螺合方向とは逆に回転させれば、チェーン(2)から簡単に取り外すことができる。従って、該チェーン装着具(6)を装着したチェーン(2)を、公園等の不特定の人数が出入りする屋外に設ければ、チェーン装着具(6)が簡単に盗まれるとの虞がある。
本発明の目的は、チェーンに取り付けた状態で、チェーンを把持した手に当たりにくく、且つ容易に取り外すことができない開口塞ぎ具を備えたチェーンユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、チェーンユニットは、内側が開口した複数のチェーン片を一方向に連結して構成されるチェーンと、該開口内に装着される塞ぎ具を備え、塞ぎ具上にて、チェーン片連結方向に沿って延び互いに対向した一対の側部には夫々、チェーン片の周面内側に嵌まる凹みが設けられ、
チェーン片連結方向に略直交する面内における、塞ぎ具の一対の側部端縁間の距離L1は、同じ面内における開口の幅L2よりも長く形成され、且つ同じ面内におけるチェーン片の幅L3よりも短く形成されている。
【0008】
前記構成によれば、塞ぎ具は一対の側部端縁間の距離L1が、開口の幅L2よりも長く形成されているので、各側部に形成された凹みに、夫々チェーン片の内周が嵌まり、塞ぎ具が開口から落下することが防止される。
また、塞ぎ具の一対の側部端縁間の距離L1は、チェーン片の幅L3よりも短く形成されているから、塞ぎ具の側部は、チェーン片の外側に突出しない。従って、チェーンユニットを把持した使用者、特に子供はチェーン片の外側を把持し、塞ぎ具を把持しないから、チェーンを把持しているとの実感がある。即ち、使用者はチェーンユニットを把持した手に違和感を感じない。
また、前記構成によれば、塞ぎ片はチェーン片連結方向に沿った一対の側部に夫々凹みを設けた一体構造である。従って、塞ぎ片は容易に分解等ができない。これにより、塞ぎ片を設けたチェーンユニットを公園等の不特定の人数が出入りする屋外に設置しても、塞ぎ片が盗まれる虞は少ない。
【0009】
前記塞ぎ具上にて、チェーン片連結方向に略直交する面内に位置する端面には、チェーン片の内周形状に合わせて内向きに窪んだ凹条が形成されている。
【0010】
前記構成によれば、塞ぎ具をチェーン片の開口に挿入した状態で、塞ぎ具の凹条には、塞ぎ具が挿入されたチェーン片に隣接するチェーン片の一部が嵌まる、又は接近する。これにより、塞ぎ具は開口内にて、チェーン片連結方向のガタ付きを規制される。
【0011】
前記塞ぎ具の厚みは、チェーン片の厚み以下である。
【0012】
前記構成によれば、塞ぎ具はチェーン片の開口内に装着された状態で、チェーン片から厚み方向に突出しない。これによっても、チェーンユニットを把持した使用者はチェーン片の外側を把持し、塞ぎ具を把持しないから、チェーンを把持しているとの実感があり、手に違和感を感じない。
【0013】
前記塞ぎ具は金属製であり、中空又は中実である。
【0014】
前記構成によれば、塞ぎ具が金属製であることにより、チェーンユニットが屋外に設置されても、塞ぎ具は昼夜の温度変化や太陽光に含まれる紫外線で劣化することを防止できる。従って、遊戯時に塞ぎ具が破損し、子供が怪我をする虞はない。また、塞ぎ具は中実であってもよいが、中空とすれば、塞ぎ具を構成する金属材料を減らすことができ、コストダウンを図ることができる。更に、チェーンユニット全体の重量を下げることができ、チェーンユニット運搬時の作業性が改善する。
【0015】
本発明は、内側が開口した複数のチェーン片を一方向に連結して構成されるチェーンと、該開口内に装着され、チェーン片連結方向に略直交する面内において互いに対向した一対の側部を有し、該一対の側部に夫々、チェーン片の周面内側に嵌まる凹みを形成した塞ぎ具を備えたチェーンユニットの製造方法であって、
チェーン片連結方向に略直交する面内における開口の幅L4を、前記塞ぎ具の端縁間の距離L1よりも大きく形成したチェーン片を用意する工程と、
凹みがチェーン片の周面内側に対向するように、チェーン片の開口内に、塞ぎ具を配備する工程と、
凹みに対向したチェーン片を、凹みに向かって外側から押圧し、塞ぎ具のチェーン片連結方向に略直交する面内における開口の幅L4が、前記端縁間距離L1よりも短いL2となり、且つ同じ面内におけるチェーン片の幅L3が前記端縁間距離L1よりも長くなるまで変形させて、該チェーン片を凹みに嵌める工程を備えている。
【0016】
前記塞ぎ具上にて、チェーン片連結方向に略直交する面内に位置する端面には、チェーン片の内周形状に合わせて内向きに窪んだ凹条が形成され、
更に、塞ぎ具を内向きに押圧して、塞ぎ具をチェーン片連結方向に変形させ、塞ぎ具の凹条に、塞ぎ具が挿入されたチェーン片に隣接するチェーン片の端部を嵌める、又は接近させる工程を備えている。
【0017】
本発明に係わるチェーンユニットの製造方法によれば、チェーンに取り付けた状態で、チェーンを把持した手に当たらず、且つ容易に取り外すことができない開口塞ぎ具を備えたチェーンユニットを容易に生産することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、チェーンに取り付けた状態で、チェーンを把持した手に当たらず、且つ容易に取り外すことができない開口塞ぎ具を備えたチェーンユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態に係わるチェーンユニットの平面図である。
【図2】図1のチェーンユニットをA―A線を含む面にて破断し、矢視した断面図である。
【図3】塞ぎ具の斜視図である。
【図4】(a)、(b)は、チェーンユニットの製造方法の工程を示す図である。
【図5】別の塞ぎ具の斜視図である。
【図6】別の塞ぎ具の斜視図である。
【図7】図6の塞ぎ具を装着したチェーンユニットの平面図である。
【図8】従来の閉塞体を示す平面図である。
【図9】(a)は、従来のチェーン装着具の分解斜視図であり、(b)は、従来のチェーン装着具を組み立てた状態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を、図面とともに詳述する。
図1は、本実施形態に係わるチェーンユニットの平面図であり、図2は、図1のチェーンユニットをA―A線を含む面にて破断し、矢視した断面図である。
チェーンユニット(1)は、内側が開口(21)した複数のチェーン片(20)(20)を一方向に連結して構成されるチェーン(2)と、該開口(21)内に嵌まる塞ぎ具(3)を備えて構成される。
各チェーン片(20)の形状は従来から公知であり、チェーン片(20)の連結方向に略平行で互いに対向した一対の長辺部(22)(22)と、両長辺部(22)(22)の対向する端部を繋ぐ円弧状の連結部(23)(23)を備えている。チェーン片(20)はステンレス等からなる金属線材を屈曲して形成され、線材の断面形状は略円形である。
【0021】
塞ぎ具(3)は金属、具体的にはアルミニウムのダイカスト成形により中実に形成され、場合によっては表面にアルマイト処理を施して所望の色に着色される。図3は、塞ぎ具(3)の斜視図であり、塞ぎ具(3)は略直方体に形成されて、長手方向をチェーン片(20)の連結方向に向けて、チェーン片(20)の開口(21)に挿入される。塞ぎ具(3)上にて長手方向に沿って延び、互いに対向した一対の側部には、チェーン片(20)の周面内側が嵌まる断面円弧状の凹み(31)(31)が設けられている。該凹み(31)は、塞ぎ具(3)の長手方向に沿って延びた溝状に形成されている。
【0022】
塞ぎ具(3)上にて、塞ぎ具(3)の長手方向と略直交する端面(32)には、チェーン片(20)の内周形状に合わせて内向きに窪んだ凹条(33)が形成されている。凹条(33)は図3にて縦向き、即ち、凹み(31)とは略直交する向きに延びている。
図1に示すように、前記凹条(33)には、塞ぎ具(3)が挿入されたチェーン片(20)に隣接するチェーン片(20)の一部が嵌まる、又は接近している。これにより、塞ぎ具(3)はチェーン片(20)の開口(21)内にて、チェーン片(20)連結方向のガタ付きを規制される。
【0023】
図2に示すように、塞ぎ具(3)はその長手方向に直交する面内にて、一対の側部端縁(30)(30)間の距離L1が、同じ面内における開口(21)の幅L2よりも長く形成されている。これにより、前記の如く、側部に形成された凹み(31)は、チェーン片(20)の内周に嵌まり、塞ぎ具(3)が開口(21)から落下することが防止される。
【0024】
また、塞ぎ具(3)の長手方向に直交する面内にて、該一対の側部端縁(30)(30)間の距離L1は、チェーン片(20)の幅L3よりも短く形成されている。これにより、塞ぎ具(3)の側部端縁(30)(30)は、チェーン片(20)の外側に突出しない。従って、チェーンユニット(1)を把持した使用者、特に子供はチェーン片(20)の外側を把持し、塞ぎ具(3)を把持しないから、チェーン(2)を把持しているとの実感がある。即ち、使用者はチェーンユニット(1)を把持した手に違和感を感じない。
塞ぎ具(3)の厚みは、チェーン片(20)を構成する線材の直径以下であり、塞ぎ具(3)はチェーン片(20)の開口(21)内に装着された状態で、チェーン片(20)から厚み方向に突出しない。これによっても、チェーンユニット(1)を把持した使用者は、チェーン片(20)の外側を把持し、塞ぎ具(3)を把持しないから、チェーン(2)の外側を把持しているとの実感があり、チェーンユニット(1)を把持した手に違和感を感じない。
また、塞ぎ片(3)はチェーン片連結方向に沿った一対の側部に夫々凹み(31)を設けて、ダイカスト成形によって形成された一体構造である。従って、塞ぎ片(3)は容易に分解等ができない。これにより、塞ぎ片(3)を設けたチェーンユニット(1)を公園等の不特定の人数が出入りする屋外に設置しても、塞ぎ片(3)が盗まれる虞は少ない。
【0025】
チェーンユニットの製造方法
以下に、本実施形態に係るチェーンユニットの製造方法を説明する。
先ず、図4(a)に示すように、複数のチェーン片(20)(20)を一方向に沿って連結したチェーン(2)と、塞ぎ具(3)を用意する。前記の如く、塞ぎ具(3)はその長手方向に直交する面内にて、一対の側部端縁(30)(30)間の距離がL1である。
チェーン片(20)は当初、チェーン片連結方向に略直交する面内における開口(21)の幅L4が、塞ぎ具(3)の側部端縁(30)(30)間の距離L1よりも大きく形成されている。幅L4は距離L1よりも、約0.2―0.3mm大きいが、この大きさに限定されない。
【0026】
次に、図4(b)に示すように、チェーン片(20)の開口(21)内に、塞ぎ具(3)を開口(21)の上側又は下側から挿入する。開口(21)の幅L4が、塞ぎ具(3)の一対の側部端縁(30)(30)間の距離L1よりも大きいから、塞ぎ具(3)は開口(21)内にスムーズに挿入される。塞ぎ具(3)の凹条(33)には、塞ぎ具(3)が挿入されたチェーン片(20)に隣接するチェーン片(20)の端部が対向する。図4(b)では、塞ぎ具(3)が挿入されたチェーン片(20)の右隣に位置するチェーン片(20)の左端部が、塞ぎ具(3)の凹条(33)に対向する。
【0027】
次に、プレス機(図示せず)等で、チェーン片(20)の長辺部(22)(22)の外側から、圧力Pを内向きに加え、開口(21)に向けて長辺部(22)を押圧する。長辺部(22)は、開口(21)の幅が、塞ぎ具(3)の端縁間距離L1よりも短いL2となるまで押圧される。
【0028】
更に、長辺部(22)に押されて、塞ぎ具(3)も内向きに押圧される。該塞ぎ具(3)はアルミニウム製であり、ステンレス製のチェーン片(20)よりも剛性が弱いから、塞ぎ具(3)は押圧力を受けて変形する。塞ぎ具(3)はチェーン片(20)連結方向に沿って変形し、塞ぎ具(3)の凹条(33)に、塞ぎ具(3)が挿入されたチェーン片(20)に隣接するチェーン片(20)の端部が嵌まる又は接近する。
塞ぎ具(3)は開口(21)内にて、チェーン片(20)連結方向のガタ付きを規制される。これで、塞ぎ具(3)のチェーン片(20)内への取り付けが完了する。
図4(a)―図4(b)に示す工程を各チェーン片(20)について行い、このようにして、図1に示すチェーンユニット(1)を得る。各チェーン片(20)は塑性変形しており、元の形状には戻らない。
【0029】
上記実施形態では、塞ぎ具(3)は中実に形成されているとした。しかし、これに代えて、図5に示すように、塞ぎ具(3)の側部を貫通する透孔(35)を凹み(31)内に開設して、中空に形成してもよい。塞ぎ具(3)をかかる中空に形成することにより、塞ぎ具(3)を構成する金属材料、具体的にはアルミニウムを減らすことができ、コストダウンを図ることができる。更に、チェーンユニット(1)全体の重量を下げることができ、チェーンユニット(1)運搬時の作業性が改善する。更に、図5に示す中空の塞ぎ具(3)は、金属板をプレス加工して形成することができる。
【0030】
また、上記実施形態では、塞ぎ具(3)上にて、塞ぎ具(3)の長手方向と略直交する端面(32)には、チェーン片(20)の内周形状に合わせて内向きに窪んだ凹条(33)が形成されているとした。しかし、これに代えて、図6に示すように、塞ぎ具(3)の端面(32)上に凹条(33)を設けない構成も考えられる。この凹条(33)を設けない塞ぎ具(3)をチェーン片(20)に装着したチェーンユニット(1)は図7に示される。
ところが、図6に示す塞ぎ具(3)は凹条(33)が設けられていないから、図3に示す塞ぎ具(3)に比して表面積が小さくなる。前記の如く、塞ぎ具(3)の表面には、アルマイト処理を施して着色することがあるが、一般に塞ぎ具(3)の表面積が大きいほど、着色が目立ち易い。従って、図3に示す塞ぎ具(3)の方が、図6に示す塞ぎ具(3)よりもアルマイト処理による着色が目立ち易い。
【0031】
上記の実施形態においては、塞ぎ具(3)は開口(21)内への指入れ防止用として設けられているとした。しかし、該塞ぎ具(3)に例えば蛍光塗料等を塗布すれば、塞ぎ具(3)は夜間に光るから、暗闇でも遊戯具の存在を知らしめることができる。また、該チェーンユニット(1)は遊戯具用に限定されず、チェーンが用いられる分野全般に適用可能であるのは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本実施形態に係るチェーンユニットは、チェーン片の開口内への指入れが防止され、ブランコ等の遊戯具に用いられるのに最適である。
【符号の説明】
【0033】
(1) チェーンユニット
(2) チェーン
(3) 塞ぎ具
(20) チェーン片
(21) 開口
(30) 側部端縁
(31) 凹み
(33) 凹条






【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側が開口した複数のチェーン片を一方向に連結して構成されるチェーンと、該開口内に装着される塞ぎ具を備え、該塞ぎ具上にて、チェーン片連結方向に沿って延び互いに対向した一対の側部には夫々、チェーン片の周面内側が嵌まる凹みが設けられ、
チェーン片連結方向に略直交する面内における、塞ぎ具の一対の側部端縁間の距離L1は、同じ面内における開口の幅L2よりも長く形成され、且つ同じ面内におけるチェーン片の幅L3よりも短く形成されていることを特徴とするチェーンユニット。
【請求項2】
前記塞ぎ具上にて、チェーン片連結方向に略直交する面内に位置する端面には、チェーン片の内周形状に合わせて内向きに窪んだ凹条が形成されている、請求項1に記載のチェーンユニット。
【請求項3】
前記塞ぎ具の厚みは、チェーン片の厚み以下である、請求項1又は2に記載のチェーンユニット
【請求項4】
前記塞ぎ具は金属製であり、中空又は中実である、請求項1乃至3の何れかに記載のチェーンユニット。
【請求項5】
内側が開口した複数のチェーン片を一方向に連結して構成されるチェーンと、該開口内に装着され、チェーン片連結方向に略直交する面内において互いに対向した一対の側部を有し、該一対の側部に夫々、チェーン片の周面内側が嵌まる凹みを形成した塞ぎ具を備えたチェーンユニットの製造方法であって、
チェーン片連結方向に略直交する面内における開口の幅L4を、前記塞ぎ具の端縁間の距離L1よりも大きく形成した複数のチェーン片を一方向に連結して構成されるチェーンを用意する工程と、
凹みがチェーン片の周面内側に対向するように、チェーン片の開口内に、塞ぎ具を配備する工程と、
チェーン片の該凹みに対向した部分を、凹みに向かって外側から押圧し、塞ぎ具のチェーン片連結方向に略直交する面内における開口の幅L4が、前記端縁間距離L1よりも短い幅L2となり、且つ同じ面内におけるチェーン片の幅L3が前記端縁間距離L1以下とならないように変形させて、該チェーン片を凹みに嵌める工程を備えた、チェーンユニットの製造方法。
【請求項6】
前記塞ぎ具上にて、チェーン片連結方向に略直交する面内に位置する端面には、チェーン片の内周形状に合わせて内向きに窪んだ凹条が形成され、
更に、塞ぎ具を内向きに押圧して、塞ぎ具をチェーン片連結方向に変形させ、塞ぎ具の凹条に、塞ぎ具が挿入されたチェーン片に隣接するチェーン片の端部を嵌める又は接近させる工程を備えた、請求項5に記載のチェーンユニットの製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−172767(P2012−172767A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35624(P2011−35624)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(390035910)株式会社水本機械製作所 (3)