説明

開口部構造

【課題】 熱負荷を十分に低減させ、省エネルギー化を図ると共に、採光等、開口部本来の機能を確保する。
【解決手段】 本発明は、建築構造物に設けられる開口部構造であって、外側の透過性板材2と内側の透過性板材3とが所定幅、離間して設けられており、外側の透過性板材2と内側の透過性板材3との間にウール断熱材4が介装されていることを特徴とする。そして、ウール断熱材4は、板状のウール素材5と、ウール素材5の表面に形成された薄膜6とから構成されており、ウール素材5は、先端に折り返し部を有する針による貫通及び引き抜き動作を繰り返し行い、ウール繊維を絡み合わせることにより製造されているのがよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築構造物に設けられる開口部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築構造物には、採光や眺望を確保する等の目的のため、窓等の開口部が設けられている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−129589号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記した従来の開口部は、熱貫流率が高いため、室内の熱負荷が大きくなり、省エネルギー化が図り難いといった問題があった。
【0004】
また、開口部からの熱負荷を低減させるため、室内側にブラインドを設置し、ブラインドを下げることにより遮光することも行われているが、プラインドによる熱負荷の低減効果は十分とは言えず、また、ブラインドを下げた時には採光や眺望を確保すると言った開口部本来の目的を達成できないといった問題があった。
【0005】
本発明は、上記した課題を解決すべく成されてものであり、熱負荷を十分に低減させ、省エネルギー化を図ると共に、採光等、開口部本来の機能を確保することができる開口部構造を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、建築構造物に設けられる開口部構造であって、外側の透過性板材と内側の透過性板材とが所定幅、離間して設けられており、前記外側の透過性板材と前記内側の透過性板材との間にウール断熱材が介装されていることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、建築構造物に設けられる開口部構造であって、透過性板材と、該透過性板材に沿って設けられたウール断熱材とから構成されていることを特徴とする。
【0008】
そして、前記ウール断熱材は、板状のウール素材と、該ウール素材の表面に形成された薄膜とから構成されており、前記ウール素材は、先端に折り返し部を有する針による貫通及び引き抜き動作を繰り返し行い、ウール繊維を絡み合わせることにより製造されているのがよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、外側の透過性板材と内側の透過性板材との間、或いは、透過性部材に沿ってウール断熱材が設けられているため、開口部の断熱効果を高めることができると共に開口部本来の機能を確保することができる等、種々の優れた効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
【0011】
本発明の実施の形態に係る開口部構造は、図1に示すように、窓ガラス1の内側に立設されており、外側の透明なポリカードネイト板2と内側の透明なポリカードネイト板3とを約25mm、離間して設け、外側のポリカーボネイト板2と内側のポリカーボネイト板3との間にウール断熱材4を介装させて構成されている。
【0012】
ウール断熱材4には、図2に示すように、約25mmの厚みを有する板状の白色ウール素材5が設けられており、このウール素材5は、多数の針が剣山のように配設されたニードルと呼ばれる機械によってパンチングされ、製造されるようになっている。そして、ニードルの針の先端には折り返し部が形成されており、ウール素材5に対してこの針を貫通させ、引き抜きさせる動作を繰り返し行うことにより、ウール素材5の各ウール繊維が針の折り返し部に引っ掛かり、各ウール繊維同士が絡み合うようになっている。これにより、ウール繊維の解れを防止することができ、ウール素材5の加工を容易に行うことができるようになる。
【0013】
また、ウール断熱材4には、図3に示すように、ウール製の薄膜6が設けられており、この薄膜6はウール素材5の表面に平らに重ね合わされている。そして、この薄膜6の表面には、インクジェット等により色や柄を自由に付けることができるため、部屋の内装デザインに合った設計を行うことができ、設計の自由度を高めることができる。また、一方側、例えば、内側から映像を投影して、他方側、例えば外側へ映像を映し出すこともできる。
【0014】
さらに、上記した本実施の形態に係るウール断熱材4によれば、断熱効果やカビ及び結露の防止効果を得ることができると共に、障子から漏れる薄明かり程度の明るさを確保することができるため、開口部本来の目的を達成することもできる。さらにまた、有毒なホルムアルデヒドを吸着する効果を得ることができると共に、燃焼時に有毒ガスを排出することがないため、環境にやさしい開口部構造を提供することができる。
【0015】
なお、上記した実施の形態において説明したウール断熱材4の厚みや色は、単なる例示に過ぎず、各種変更が可能である。
【0016】
また、上記実施の形態では、外側と内側にそれぞれ透明なポリカーボネイト板2,3が設けられているが、透過性を有していれば、透明又は半透明なガラス板等、他の板材を使用することもできる。さらに、ウール断熱材4は、図4に示すように、ポリカーボネイト板2に沿って設けたり、或いは、窓ガラス1自体に本発明に係る開口部構造を適用したりすることもできる。
【0017】
さらに、薄膜6は、透過性を有する素材製であれば、必ずしも上記したようなウール製である必要はない。
【0018】
さらにまた、本発明に係る開口部構造は、外壁に設けられる窓等の開口部だけでなく、間仕切り壁や扉等、他の開口部にも設置可能であることは言う迄もない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態に係る開口部構造を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る開口部構造のウール素材を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る開口部構造のウール断熱材を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る開口部構造の別の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0020】
2 外側の透過性板材
3 内側の透過性板材
4 ウール断熱材
5 ウール素材
6 薄膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築構造物に設けられる開口部構造であって、
外側の透過性板材と内側の透過性板材とが所定幅、離間して設けられており、前記外側の透過性板材と前記内側の透過性板材との間にウール断熱材が介装されていることを特徴とする開口部構造。
【請求項2】
建築構造物に設けられる開口部構造であって、
透過性板材と、該透過性板材に沿って設けられたウール断熱材とから構成されていることを特徴とする開口部構造。
【請求項3】
前記ウール断熱材は、板状のウール素材と、該ウール素材の表面に形成された薄膜とから構成されており、前記ウール素材は、先端に折り返し部を有する針による貫通及び引き抜き動作を繰り返し行い、ウール繊維を絡み合わせることにより製造されている請求項1又は2に記載の開口部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−348542(P2006−348542A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−174405(P2005−174405)
【出願日】平成17年6月14日(2005.6.14)
【出願人】(303032144)有限会社かなや設計 (1)
【出願人】(505223104)有限会社ビーウィッシュ (1)
【Fターム(参考)】