説明

開口部装置

【課題】 左右縦枠を、室外側に位置するアルミニウム合金製形材と、室内側に位置する樹脂製形材とによって分離・構成したものにおいて、簡単な構成で、強度的に強い開口部装置を提供する。
【解決手段】 上下枠、及び左右縦枠3からなる枠体1と、この枠体1内に開閉可能に設けられた障子9、或いははめ殺し状に設けられたガラス窓とを備え、縦枠3は、室外側に位置するアルミニウム合金製形材31と、室内側に位置する樹脂製形材33とからなり、この樹脂製形材33は、アルミニウム合金製形材31にかしめられるかしめ部33aと、このかしめ部33aよりも室内側に位置し、かしめ部33aとは独立する中空部33bとを備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、室外側と室内側との間の断熱機能を有するサッシの開口部装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、上下枠、及び左右縦枠からなる枠体と、この枠体内に開閉可能に設けられた障子、或いははめ殺し状に設けられたガラスとを備える建具用のサッシが知られている。
【0003】この種のものでは、室外側と室内側との間の断熱機能を持たせるため、左右縦枠を、室外側に位置するアルミニウム合金製形材と、室内側に位置する樹脂製形材とによって分離・構成し、この樹脂製形材のかしめ部をアルミニウム合金製形材にかしめて、このかしめ部を断熱ブリッジとしたものが提案されている(例えば、特開平10−184199号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の構成では、樹脂製形材が二つのかしめ部(かしめ片)を備え、それぞれのかしめ片をアルミニウム合金製形材にかしめて、この樹脂製形材をホローに構成しているので、第一に、かしめ作業を二回に亘って行わなければならないという問題がある。
【0005】また、第二に、樹脂製形材をホローに構成しているものの、このホローに外力が加わった場合には、この外力のすべてがかしめ部に作用するので、強度的に弱いという問題がある。
【0006】そこで、本発明の目的は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、左右縦枠を、室外側に位置するアルミニウム合金製形材と、室内側に位置する樹脂製形材とによって分離・構成したものにおいて、簡単な構成で、強度的に強い開口部装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、上下枠、及び左右縦枠からなる枠体と、この枠体内に開閉可能に設けられた障子、或いははめ殺し状に設けられたガラスとを備え、縦枠は、室外側に位置するアルミニウム合金製形材と、室内側に位置する樹脂製形材とからなり、この樹脂製形材は、アルミニウム合金製形材にかしめられるかしめ部と、このかしめ部よりも室内側に位置し、かしめ部とは独立する中空部とを備えたことを特徴とするものである。
【0008】この発明では、樹脂製形材が、アルミニウム合金製形材にかしめられるかしめ部と、このかしめ部よりも室内側に位置し、かしめ部とは独立する中空部とを備えるため、樹脂製形材の強度が増し、この枠体を建屋の開口に取り付ける場合、中空部がガイドとなるので、取り付け作業が容易になる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を添付図面に従って説明する。
【0010】図1はサッシの横断面図であり、図2はサッシの縦断面図である。図1において、1は枠体を示し、この枠体1は、左右に配置された縦枠3と、図2に示す上枠5、及び下枠7とを四方枠組みして構成されている。
【0011】左右縦枠3は断熱構造を有し、図1に示すように、それぞれ室外側部材と室内側部材とで構成されている。すなわち、一方の室外側部材はアルミニウム合金製形材31であり、他方の室内側部材は樹脂製形材33である。
【0012】この樹脂製形材33は、アルミニウム合金製形材31にかしめられるかしめ部33aと、このかしめ部33aよりも室内側に位置し、当該かしめ部33aとは独立して存在する中空部33bとを備えている。
【0013】また、上枠5は断熱構造を有し、図2に示すように、室外側部材と室内側部材とで構成されている。一方の室外側部材はアルミニウム合金製形材51であり、他方の室内側部材は樹脂製形材53である。この樹脂製形材53は、アルミニウム合金製形材51にかしめられる一対のかしめ部53aを備え、この一対のかしめ部53aを、それぞれアルミニウム合金製形材51にかしめることにより、その部分にいわゆる中空部53bを形成している。
【0014】下枠7は断熱構造を有し、室外側部材と室内側部材とで構成され、これら各部材は共に、室外側アルミニウム合金製形材71と、室内側アルミニウム合金製形材73とで構成されている。そして、各アルミニウム合金製形材71、73は樹脂製の断熱ブリッジ75で連結されている。
【0015】上記構成の枠体1内には、図1に示すように、開閉可能にドア(障子)9が設けられている。このドア9は、吊元側がヒンジ11で支持され、戸先側に錠13を備え、ハンドル15によって開閉自在である。
【0016】この実施形態では、縦枠3のかしめが容易になる。樹脂製形材33のかしめ部33aは、アルミニウム合金製形材31にかしめられるが、この場合、図1を参照して、かしめ部33aの両側に一対のローラ(図示せず)が配置される。このローラによってかしめ部33aをかしめる時、中空部33bの内面Aをガイドにしてかしめることができるので、かしめが容易になる。
【0017】また、枠体1を建屋の開口に取り付ける場合、図1に示すように、アルミニウム合金製形材31のフィン31aが躯体17に当接するまで、室外側から室内側に向けて枠体1を押し込み、このフィン31aと躯体17とをねじ18で固定し、その後に、室内側から額縁19を取り付ける。この額縁19を取り付ける場合、中空部33bの内面Aは額縁19を突き当てて位置決めする役割を果たす。よって、中空部33bの内面Aは平坦であることが望ましい。
【0018】枠体1を建屋の開口に取り付ける場合、躯体17に対しては、中空部33bがガイドとなる。この中空部33bの外面34は、躯体17に当接可能に平坦な面を構成し、この外面34には見付け方向に突出するものがない。
【0019】この枠体1の嵌め込み時には、例えば、いずれか一方の躯体17に中空部33bを当接させながら、枠体1を平行に押し込むことにより、安全、かつ確実に枠体1を嵌め込むことができる。
【0020】通常、樹脂製形材33は強度が弱く、それが難点となっているが、この実施形態では、中空部33bが、かしめ部33aとは別個独立して形成されているので、この中空部33bによって強度が高められる。
【0021】この中空部33bに外力が加わった場合、外力のすべてがこの中空部33bに作用し、少なくともかしめ部33aに加わることがないので、このかしめ部33aの変形が防止され、縦枠3の剛性が高まる。
【0022】この縦枠3の剛性が高まることによって、四方枠を組んでこれを躯体17に取り付けるまでの運搬時における縦枠3の変形が防止され、躯体17に押し込む時の強度が高められる。また、設置後には、障子又はドアの全閉時の衝撃や、外部からの衝撃に対して強度が高められる。
【0023】図3は別の実施形態を示している。
【0024】この図3は、引き違い式の引き戸79を備えるサッシを示している。80は縦枠を示している。この縦枠80は断熱構造を有し、室外側部材と室内側部材とで構成されている。一方の室外側部材はアルミニウム合金製形材81であり、他方の室内側部材は樹脂製形材83である。
【0025】この樹脂製形材83は、アルミニウム合金製形材81にかしめられるかしめ部83aと、このかしめ部83aよりも室内側に位置し、当該かしめ部83aとは独立して存在する中空部83bとを備えている。
【0026】この中空部83bおよびかしめ部83aの外面84は一致し、この外面84には見付け方向に突出するものがない。
【0027】従って、上記実施形態と同様に、枠体1を建屋の開口に取り付ける場合、躯体87に対しては、中空部83bおよびかしめ部83aがガイドとなる。この枠体の嵌め込み時には、例えば、いずれか一方の躯体87に中空部83bおよびかしめ部83aを当接させながら、枠体を平行に押し込むことにより、安全、かつ確実に枠体を嵌め込むことができる。
【0028】この実施形態では、中空部83bが、かしめ部83aとは独立して形成されているので、この中空部83bによって強度が高められる。この中空部83bに外力が加わった場合、外力のすべてが中空部83bに作用し、かしめ部83aに加わることがないので、かしめ部83aが変形することがなく、縦枠80の強度を向上させることができる。
【0029】以上、一実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は、これに限定されるものでないことは明らかである。
【0030】例えば、上記の実施形態では、ドアサッシ、引き違い式のサッシについて説明したが、これに限定されず、縦すべりサッシ、横すべりサッシ、或いは開閉式の障子を持たないはめ殺し式のフィックスサッシなど、すべてのサッシに適用が可能なことはいうまでもない。
【0031】
【発明の効果】この発明では、上下枠、及び左右縦枠からなる枠体と、この枠体内に開閉可能に設けられた障子、或いははめ殺し状に設けられたガラスとを備え、縦枠は、室外側に位置するアルミニウム合金製形材と、室内側に位置する樹脂製形材とからなり、この樹脂製形材は、アルミニウム合金製形材にかしめられるかしめ部と、このかしめ部よりも室内側に位置し、かしめ部とは独立する中空部とを備えたので、この縦枠に外力が加わった場合、外力の大部分をこの中空部で負担し、かしめ部の負担が少なくなるので、このかしめ部の変形が防止され、枠体の剛性が高められる。従って、四方枠を組んでこれを躯体に取り付けるまでの運搬時における枠体の変形が防止され、躯体に押し込む時の強度が高められ、また、設置後には、障子又はドアの全閉時の衝撃や、外部からの衝撃に対して強度が高められる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による開口部装置の一実施形態を示す縦断面図である。
【図2】同横断面図である。
【図3】別の実施形態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 枠体
3 縦枠
5 上枠
7 下枠
9 ドア(障子)
11 ヒンジ
31 アルミニウム合金製形材
33 樹脂製形材
33a かしめ部
33b 中空部
79 引き戸
80 縦枠
81 アルミニウム合金製形材
83 樹脂製形材
83a かしめ部
83b 中空部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 上下枠、及び左右縦枠からなる枠体と、この枠体内に開閉可能に設けられた障子、或いははめ殺し状に設けられたガラスとを備え、前記縦枠は、室外側に位置するアルミニウム合金製形材と、室内側に位置する樹脂製形材とからなり、この樹脂製形材は、前記アルミニウム合金製形材にかしめられるかしめ部と、このかしめ部よりも室内側に位置し、前記かしめ部とは独立する中空部とを備えたことを特徴とする開口部装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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