説明

開封具

【課題】容器のシール部を突き刺して破断するに際して、使用者の手の力が入り易い形状を備えた開封具を提供する。また、容器のリシールの際に、内容液の漏洩がなく、容器からの抜けを防止できる開封具を提供する。
【解決手段】天蓋12の下面に設けられる筒状部11を容器2の注出筒23に挿入して開封するに際し、この天蓋12の上面に基部13と基部の両側から下方に延びる延長部14とからなる摘み部15を設け、両延長部の間の距離を注出筒23の外径よりも大きくした。また、天蓋の下面には、注出筒の内周面に密着するインナーリング31が形成されており、筒状部の下方外周面には、容器内部に挿入された後、容器の内壁24に係止して筒状部の抜けを防止するための突起32が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料や調味料、薬品等の内容液を収容する容器の開封具に関し、より具体的には注出口がシール部材により封止され、且つそのシール部を取り囲むように上方に延びる注出筒が形成されている容器に対して好適な開封具に関する。
【背景技術】
【0002】
小容量の紙パック容器に収容されている飲料などを飲む際、容器の注出口のシールをストローを突き刺して破断する場合に、内容液が飛散することがある。そのため、このような容器として、例えば容器上端の一部に注出部を形成し、この注出部に付属のストローを突き刺して容器の注出口のシールを破断することが行われているが、ストローの強度が弱く、シールへの突き刺しに失敗することもあった。そこで、内容液が収容された容器を開封するに際し、シール破断用の開封具が提案されている。
【0003】
このような開封具に関し、例えば、特許文献1には、注ぎ口とキャップとからなる容器用蓋部材において、紙製容器本体に注ぎ口を粘着シートを介在させて着脱可能に貼着し、注ぎ口又はキャップの何れか一方に容器本体に穴を穿設する尖部を一体形成した開封具が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−113261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の開封具の構造では、キャップと尖部とにより容器本体に注出口を形成することになるため、手で摘み難く開封時の力が伝わりにくいといった問題を有する。また、注出口やキャップの径が小さい場合には、容器の注ぎ口に尖部を突き刺して穴を穿設後に、キャップをねじってキャップと尖部を注ぎ口から取り外すのが容易ではないという問題点がある。
【0006】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたもので、シール部が形成されている容器のシール部を突き刺して破断するに際して、使用者の手の力が入り易い形状を備え、しかも開封及び取り外し操作のし易い開封具を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、容器のリシールの際に、内容液の漏洩がなく、容器からの抜けを防止できる開封具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の開封具は、容器の注出口を封止するシール部を囲繞し上方に延びる注出筒が形成されている容器の該シール部を破断するための開封具であって、容器の注出筒に挿入する筒状部と、該筒状部の上端を塞ぐ天蓋からなり、該天蓋は注出筒上端面を完全に覆う大きさを有し、該天蓋の上面には、前記筒状部の径方向に延びる基部と該基部の両側から前記筒状部の外壁に沿って下方に延伸した延長部とからなる摘み部が設けられており、前記筒状部は、その下端が容器のシール部を破断するために斜めに切断されて尖った形状となっており、前記両延長部間の距離は、前記注出筒外径より大きく形成されていることを特徴とする。
【0008】
(2)本発明の開封具は、前記(1)において、前記基部は、天蓋の上面から上方に伸延した平板形状であることを特徴とする。
【0009】
(3)本発明の開封具は、前記(1)又は(2)において、前記天蓋の下面には、注出筒の内周面に密着するインナーリングが形成されており、前記筒状部の下方外周面には、容器内部に挿入された後、容器の内壁に係止して該筒状部の抜けを防止するための突起が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の開封具によれば、天蓋の上面に設けられた延長部を含む摘み部を摘むか或いは、摘み部を含む天蓋を上方から押圧することで、使用者が容器のシール部を突き刺して破断するに際して確実に力を伝達することができ、その結果として容易に容器の開封を行うことができ、しかも、摘み部を摘んで開封具の取り外しも容易に行うことができる。
また、容器の注出筒を跨ぐ両延長部間の距離が注出筒外径より若干大きいので、開封具を容器の注出筒に挿入する際に、この延長部がガイドとなりスムーズに挿入操作を行うことができる。
また、インナーリングによりシール部破断後のリシールを行うことができるにも拘わらず、摘み部を摘むことにより、容易に開閉の操作を行うことができ、さらに筒状部下方外周面の突起により、リシール時に開封具と注出筒との係止力が向上するので、容器の転倒程度では注出筒から開封具が外れ、注出筒より誤って内容液が排出されることはない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1の開封具を、容器の注出筒に挿入する際の状態を示す正面図である。
【図2】実施例1の開封具を下斜め方向から見た斜視図である。
【図3】注出筒が設けられた容器の斜視図である。
【図4】実施例1の開封具の使用形態を容器要部と共に示す縦断面図であり、(a)は開封前の状態を示し、(b)は開封後の状態を示す。
【図5】(a)は実施例2の開封具を下斜め方向から見た斜視図であり、(b)は正面図である。
【図6】実施例2の開封具を用いて、容器のシール部を破断する際の使用形態を説明する縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の好適な実施形態では、本発明の開封具は容器の注出口を封止するシール部を囲繞し上方に延びる注出筒が形成されている容器の該シール部を破断するための開封具であって、容器の注出筒に挿入するストロー状の筒状部と、該筒状部の上端を塞ぐ天蓋からなり、該天蓋は注出筒上端面を完全に覆う大きさを有し、該天蓋の上面には、前記筒状部の径方向に延びる基部と該基部の両側から前記筒状部の外壁に沿って下方に延伸した延長部とからなる摘み部が設けられており、前記筒状部は、その下端が容器のシール部を突き刺して破断するために斜めに切断されて尖った形状となっており、前記両延長部間の距離は、前記注出筒外径より大きく形成されている。
【0013】
本発明の開封具が用いられる容器としては、その用途や形状、大きさが特定されるものではなく、飲料や調味料、あるいは薬品などの液体の収容に用いられ、紙やプラスチックなどの素材が用途に応じて適宜選択される。
注出口は、容器の外面に設けられており、容器内に収容された内容液を注ぎ出し口であり、内容液により適宜その大きさや形状が決定される。
シール部は、容器の注出口に形成され内容液の漏洩を封止している。シール部の素材としては、開封具の先端を突き刺すことにより破断可能な樹脂コーティングされたアルミ箔やポリエチレンなどの樹脂フィルムなどが挙げられる。
注出筒は、容器のシール部の上に形成され、シール部を囲繞し上方に延びる煙突のような形状をしており、開封具によってシール部を破断した後において、内容液が注出筒を通って注出される。
【0014】
筒状部は、本発明の開封具の一部であり、容器の注出筒に挿入される部分であり、例えば中空のストローのような形状となっている。また、注出筒の上端面は、注出筒から内容液の外部への漏洩を防止するように天蓋で覆われている。なお、天蓋の形状としては、注出筒の上端面を完全に覆う大きさの円板が挙げられる。これによって、本発明の開封具によって、シール部を破断した後に、この開封具をリシール部材として用いることができる。 また、筒状部の下端は、斜めに切断されて尖った形状となっており、容器の注出筒に挿入して、容器のシール部を破断しやすいようになっている。
【0015】
天蓋の上面に設けられる摘み部は、天蓋の上面において、筒状部の径方向(即ち、天蓋の径方向)に延びる基部と基部の両側から筒状部の外壁に沿って下方に延伸した延長部とからなり、使用者の手によって摘みやすい形状となっている。
【0016】
筒状部を跨ぐ位置における両延長部間の距離は、容器の注出筒の外径より若干大きく形成されており、筒状部を注出筒へ挿入する際のガイド、及び挿入後の筒状部の注出筒への固定化という役割を果たし、容器のシール部を突き刺して破断し容器の開封を行うことが容易にできる。
【0017】
摘み部の基部は、天蓋の上面から上方に伸延した平板形状に形成され、使用者が基部と延長部とによりなる摘み部を摘んで、容器のシール部を突き刺して容易に破断することができる
【0018】
インナーリングは、天蓋の下面に形成されており、容器の注出筒の内周面と密着することで、容器の開封後は開封具が容器の注出筒をリシールするキャップとして機能し、内容液の漏洩を封止することができる。
【0019】
突起は、開封具の筒状部の下方外周面に形成されており、筒状部を容器の注出筒に挿入した後において、容器の内壁に係止され、筒状部の抜けを防止する。突起の数としては、筒状部の外周に1又は複数個形成することができる。例えば、筒状部の円周方向に3カ所、120°の角度を隔てて形成されることが望ましい。
【0020】
このように、インナーリングと突起とをさらに具備することで、シール部の開封後にはキャップとして機能させることができ、キャップを別途用意することなく、容器をリシールして内容液の保存性をさらに増すことができる。
【実施例】
【0021】
以下、本発明を適用した開封具に係る実施例について図を参照しながら説明する。
<実施例1>
図1は、実施例1の開封具1を、容器2の注出筒に挿入する際の状態を示す正面図である。図1において、説明の便宜のため容器2の内部を点線にて示している。図2は、実施例1の開封具を、下斜め方向から見た斜視図である。図3は、注出筒が設けられた容器の斜視図である。
【0022】
図示するように、容器2は、その上部に注出口21、およびこの注出口21を封止するシール部22を備えている。さらに容器2には、シール部22の上方に配置され該シール部22を囲繞するように上方に延びる注出筒23が、容器の上面にリブ25を介して溶着されている。
【0023】
容器2には、飲料や調味料、薬品などの内容液が収納され、例えば紙材を用いて角柱形状に形成されている。なお、容器2の形状や大きさはその用途に合わせて種々考えられ、特に本実施例に限定されるものではない。また、シール部22の素材としては、樹脂コーティングされたアルミ箔やポリエチレンフィルムなどが好適に用いられる。
【0024】
開封具1は、筒状部11、天蓋12、基部13と延長部14からなる摘み部15などから構成されており、容器2に形成されるシール部22を破断するために用いられる。
【0025】
ここで、筒状部11は容器2の注出筒23に挿入される中空の円筒状の部材であり、射出成形法などで成形される際に、その下端111を斜めに成形して尖った形状とされるが、この筒状部11の下端111を尖った形状とするには、切断加工や、切削加工などによっても加工することもできる。
【0026】
筒状部11の上端112には、この上端112を塞ぐ天蓋12が設けられており、容器2の注出筒23の上端面231を完全に覆う大きさを有する円板形状としている。
【0027】
天蓋12の上面には、この天蓋12の上方に伸延した平板状の基部13が設けられている。基部13の両側には、基部13の両側それぞれから筒状部11の外壁に沿って、筒状部11を跨ぐように下方に延伸して、耳のような形状の平板状の延長部14が設けられている。
【0028】
図1に示すように、延長部14の間の距離Aは、注出筒23の外径Bよりも若干大きくなるように形成されており、筒状部11を注出筒23へ挿入する際に、延長部14の内側が容器の注出筒23の外周側に位置づけられ、後述する筒状部11によるシール部の破断のガイドとして作用する。
【0029】
次に、図4を用いて容器2の開封時における実施例1の開封具1の使用形態を説明する。図4は、容器のシール部22を破断する際の開封具の使用形態を容器要部と共に示す縦断面図である。図4(a)に示すように、容器2の開封に際しては、開封具1の筒状部11を容器2の注出筒23へ挿入する。この際、延長部14がガイドとなり、筒状部11によるシール部22の破断を容易に行うことができる。そして筒状部11の下端111は尖った形状となっているので、開封具1の使用者は摘み部15の基部13や延長部14を手で摘んで突き刺すことで、図4(b)に示すように、シール部22が破断されて注出口21から内容液の注ぎ出しが可能となる。開封後は、開封具1を容器2から取り外す。
【0030】
<実施例2>
図5を用いて、実施例2の開封具を説明する。なお実施例2における開封具3は、インナーリング31および突起32を備えている点で実施例1と異なるが、その他は実施例1と同様である。また、実施例1と共通する部分については同一の符号を付してその説明は省略する。
【0031】
図5(a)は、実施例2に係る開封具3の斜視図であり、図5(b)は開封具3の正面図である。図5(a)及び(b)に示すように、天蓋12の下面には、インナーリング31が垂下して形成されており、容器2の開封時あるいは封止時に容器2の注出筒23の内周面232と密着して、注出筒23からの内容液の漏洩を防ぐ。
【0032】
また、筒状部11の下方外周面には、筒状部11の抜けを防止するための突起32が設けられている。この突起32は、筒状部11の先端付近が容器2の内部に挿入された後に容器2の内壁24に係止する機能を有する。本実施例において、突起32は筒状部11の円周方向に互いに120°の角度を隔てて3個形成されている。この突起32の形成位置としては、開封具3が容器2を封止したときに容器2の内壁24に係止する位置が好適である。
【0033】
次に、図6を用いて容器2の開封時における実施例2の開封具3の使用形態を説明する。図6は、実施例2の開封具の使用形態を容器要部と共に示す縦断面図である。
図6に示すように、容器2の開封時において、開封具3の筒状部11を容器2の注出筒23へ挿入する。そして筒状部23の下端によりシール部を破断して開封し、開封具3のインナーリング31を筒状部23の内周面232と密着させて封止する。このとき、筒状部23の突起32は容器2の内壁24に係止され、開封具3の容器2から抜け出しが防止される。
【0034】
また、突起32の高さ(厚み)と筒状部11の外径とを合わせた径Cは、インナーリング31の外径Dよりも小さくなるように設定している。これにより、筒状部11を注出筒23へ挿入する際において、突起32が注出筒の内周面232と干渉することを防止できる。このように実施例2の開封具3は、インナーリング31と突起32とを備えたことにより、封止部材としてのキャップの機能をも兼ね備えることができる。
【0035】
なお本発明に係る開封具は上記の実施例に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない限度で適宜変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、飲料や調味料を収容する容器や薬品を保存する容器の開封具として、産業上の利用可能性が極めて高い。
【符号の説明】
【0037】
1 開封具
2 容器
3 開封具
11 筒状部
12 天蓋
13 基部
14 延長部
15 摘み部
21 注出口
22 シール部
23 注出筒
24 内壁
25 リブ
31 インナーリング
32 突起
111 下端部
112 上端部
231 上端面
232 内周面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の注出口を封止するシール部を囲繞し上方に延びる注出筒が形成されている容器の該シール部を破断するための開封具であって、
容器の注出筒に挿入する筒状部と、該筒状部の上端を塞ぐ天蓋からなり、該天蓋は注出筒上端面を完全に覆う大きさを有し、該天蓋の上面には、前記筒状部の径方向に延びる基部と該基部の両側から前記筒状部の外壁に沿って下方に延伸した延長部とからなる摘み部が設けられており、前記筒状部は、その下端が容器のシール部を破断するために斜めに切断されて尖った形状となっており、前記両延長部間の距離は、前記注出筒外径より大きく形成されていることを特徴とする開封具。
【請求項2】
前記基部は、天蓋の上面から上方に伸延した平板形状であることを特徴とする請求項1に記載の開封具。
【請求項3】
前記天蓋の下面には、注出筒の内周面に密着するインナーリングが形成されており、前記筒状部の下方外周面には、容器内部に挿入された後、容器の内壁に係止して該筒状部の抜けを防止するための突起が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の開封具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−222017(P2010−222017A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−69345(P2009−69345)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(000228442)日本クラウンコルク株式会社 (382)
【出願人】(000229232)日本テトラパック株式会社 (259)
【Fターム(参考)】