説明

開放型燃焼暖房機器

【課題】 COセンサやOセンサなどのガスセンサによって異常検知を行う開放型燃焼暖房機器において、室内への外気の流入に起因する誤検知を防止する技術を提供する。
【解決手段】 本発明の開放型燃焼暖房機器は、バーナで燃料を燃焼させて室内を暖房する。その開放型燃焼暖房機器は、室内の空気のCO濃度を検出するCOセンサと、室内の空気の温度を検出する室温センサと、バーナの燃焼中に、COセンサで検出されるCO濃度が第1CO濃度しきい値を超えると、バーナの燃焼を終了させるバーナ制御手段を備えている。そのバーナ制御手段は、COセンサで検出されるCO濃度が第1CO濃度しきい値を超えて、かつ室温センサで検出される温度が低下した場合には、バーナの燃焼を継続させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開放型燃焼暖房機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、COセンサを備える開放型燃焼暖房機器が開示されている。その開放型燃焼暖房機器では、COセンサによってCO濃度の上昇が検知されると、バーナの燃焼を自動的に終了させ、CO濃度が再び低い水準に低下するまでバーナの燃焼を禁止する。特許文献1の技術によれば、バーナが不完全燃焼を起こした場合でも、自動的に開放型燃焼暖房機器の運転を停止し、使用者の安全を確保することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−164213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
開放型燃焼暖房機器の使用中に扉や窓を開けると、屋外から室内に外気が入り込む。外気には自動車の排気ガスや煙草の煙などに起因する微量のCOが含まれていることがあり、屋外からの外気の流入によってCOセンサがCO濃度の上昇を検知する場合がある。特に、開放型燃焼暖房機器を扉や窓の近くに配置している場合には、屋外から流入した外気が室内の空気とほとんど混合せずにCOセンサに接触して、一時的に高濃度のCOを検出する場合がある。このような場合にまで開放型燃焼暖房機器の運転を停止してしまうと、使用者の快適性を損なってしまう。
【0005】
バーナの不完全燃焼を検知するために、COセンサの代わりにOセンサを用いる場合にも、同様の問題を生じる。一般的に、室内の換気が十分でなく、室内の空気中におけるO濃度が全体的に減少すると、バーナが不完全燃焼を起こすおそれが生じる。このため、使用者の安全を確保するためには、OセンサによってO濃度の減少が検出された場合に、開放型燃焼暖房機器の運転を停止することが好ましい。しかしながら、屋外から室内に自動車の排気ガスや煙草の煙によって汚染された外気が入り込んで、流入した外気がOセンサに接触すると、Oセンサで検出されるO濃度が減少する場合がある。このような場合にまで開放型燃焼暖房機器の運転を停止してしまうと、使用者の快適性を損なってしまう。
【0006】
本発明は、上述した実情に鑑みて創作されたものであり、COセンサやOセンサなどのガスセンサによって異常検知を行う開放型燃焼暖房機器において、室内への外気の流入に起因する誤検知を防止する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の開放型燃焼暖房機器は、バーナで燃料を燃焼させて室内を暖房する。その開放型燃焼暖房機器は、室内の空気のCO濃度を検出するCOセンサと、室内の空気の温度を検出する室温センサと、バーナの燃焼中に、COセンサで検出されるCO濃度が第1CO濃度しきい値を超えると、バーナの燃焼を終了させるバーナ制御手段を備えている。そのバーナ制御手段は、COセンサで検出されるCO濃度が第1CO濃度しきい値を超えて、かつ室温センサで検出される温度が低下した場合には、バーナの燃焼を継続させることを特徴とする。
【0008】
開放型燃焼暖房機器が室内を暖房している間は、外部から寒冷な空気が流入しない限り、室内の空気の温度はあまり低下することがない。仮にバーナが不完全燃焼を起こした場合も同様である。しかしながら、屋外から室内に寒冷な空気が流入すると、室内の空気の温度は低下する。上記の開放型燃焼暖房機器では、室温センサで検出される温度が低下していない状況で、COセンサで検出されるCO濃度が第1CO濃度しきい値を超えた場合には、バーナが不完全燃焼を起こしているおそれがあるため、バーナの燃焼を自動的に終了させる。このような構成とすることで、バーナが不完全燃焼を起こした場合であっても、使用者の安全を確保することができる。また、上記の開放型燃焼暖房機器では、室温センサで検出される温度が低下している状況で、COセンサで検出されるCO濃度が第1CO濃度しきい値を超えた場合には、屋外からCOを含む外気が流入したと考えられるので、バーナの燃焼をそのまま継続させる。このような構成とすることで、扉や窓を開けて屋外から室内へ外気が流入し、外気中の自動車の排気ガスや煙草の煙に含まれるCOをCOセンサが検出した場合については、バーナの燃焼を終了させずに室内の暖房を継続することができる。使用者の快適性を確保することができる。
【0009】
上記の開放型燃焼暖房機器は、バーナ制御手段が、COセンサで検出されるCO濃度が第1CO濃度しきい値を超えて、かつ室温センサで検出される温度が低下して、バーナの燃焼を継続させている場合であっても、COセンサで検出されるCO濃度が第2CO濃度しきい値を超えると、バーナの燃焼を終了させることが好ましい。
【0010】
COセンサで検出されるCO濃度の上昇が、屋外からの外気の流入に起因するものであった場合でも、かなり高いCO濃度が検出される場合には、使用者の安全を考えてバーナの燃焼を停止させた方がよい。上記の開放型燃焼暖房機器によれば、使用者の安全性をより高度に確保することができる。
【0011】
上記の開放型燃焼暖房機器は、バーナ制御手段が、COセンサで検出されるCO濃度が第1CO濃度しきい値を超えて、かつ室温センサで検出される温度が低下して、バーナの燃焼を継続させている場合であっても、COセンサで検出されるCO濃度が、第1CO濃度しきい値を超えてから所定時間が経過しても低下しない場合に、バーナの燃焼を終了させることが好ましい。
【0012】
COセンサで検出されるCO濃度の上昇が、屋外からの外気の流入に起因するものであった場合でも、長時間に亘って高いCO濃度が検出される場合には、使用者の安全を考えてバーナの燃焼を停止させた方がよい。上記の開放型燃焼暖房機器によれば、使用者の安全性をより高度に確保することができる。
【0013】
COセンサの代わりにOセンサを用いてバーナの不完全燃焼を検知する場合についても、同様の考え方に基づいて、室内への外気の流入に起因する誤検知を防止することができる。本発明の他の開放型燃焼暖房機器は、バーナで燃料を燃焼させて室内を暖房する。その開放型燃焼暖房機器は、室内の空気のO濃度を検出するOセンサと、室内の空気の温度を検出する温度センサと、バーナの燃焼中に、Oセンサで検出されるO濃度が第1O濃度しきい値を下回ると、バーナの燃焼を終了させるバーナ制御手段を備えている。そのバーナ制御手段は、Oセンサで検出されるO濃度が第1O濃度しきい値を下回って、かつ室温センサで検出される温度が低下した場合には、バーナの燃焼を継続させることを特徴とする。
【0014】
上記の開放型燃焼暖房機器は、バーナ制御手段が、Oセンサで検出されるO濃度が第1O濃度しきい値を下回って、かつ室温センサで検出される温度が低下して、バーナの燃焼を継続させている場合であっても、Oセンサで検出されるO濃度が第2O濃度しきい値を下回ると、バーナの燃焼を終了させることが好ましい。
【0015】
上記の開放型燃焼暖房機器は、バーナ制御手段が、Oセンサで検出されるO濃度が第1O濃度しきい値を下回って、かつ室温センサで検出される温度が低下して、バーナの燃焼を継続させている場合であっても、Oセンサで検出されるO濃度が、第1O濃度しきい値を下回ってから所定時間が経過しても上昇しない場合に、バーナの燃焼を終了させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の開放型燃焼暖房機器によれば、COセンサやOセンサなどのガスセンサによって異常検知を行う際に、室内への外気の流入に起因する誤検知を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例1,2のガスファンヒータ2,50の構成を示す縦断面図である。
【図2】実施例1のガスファンヒータ2の制御ブロック図である。
【図3】実施例1のガスファンヒータ2の制御動作を示すフローチャートである。
【図4】実施例2のガスファンヒータ50の制御ブロック図である。
【図5】実施例2のガスファンヒータ50の制御動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施例1)
図1を参照しながら、開放型燃焼暖房機器の一実施形態に係るガスファンヒータ2について説明する。ガスファンヒータ2は、背面の給気口4を通して空気を吸い込み、吸い込んだ空気を燃焼用空気として燃料ガスを燃焼させ、燃料ガスの燃焼によって加熱された空気を前面の吹出口6から吹出すことで、室内を暖房する。
【0019】
ガスファンヒータ2は、燃料ガスを供給するガス供給管8と、ガス供給管8からの燃料ガスを燃焼させるバーナ10と、給気口4から室内の空気を吸込み、加熱された空気を吹出口6から室内に吹出す送風ファン12と、ガスファンヒータ2の運転を制御する制御部14と、使用者がガスファンヒータ2の運転を操作する操作部16と、これらを収容するケーシング18を備えている。
【0020】
給気口4はケーシング18の背面の上方側に形成されており、吹出口6はケーシング18の前面の下方側に形成されている。ケーシング18の内部には、給気口4から流入した空気の一部をバーナ10に燃焼用空気として供給し、残りをバーナ10の燃焼ガスと混合させた状態で吹出口6に導く内部空気通路20が形成されている。送風ファン12は、内部空気通路20内の吹出口6の近傍に配置されている。なお、給気口4には、塵埃等の侵入を抑制するエアフィルタ22が設けられている。
【0021】
ガス供給管8には、ガス供給管8を開閉する電磁式の開閉弁24と、ガス供給管8を流れるガスの流量を調整する比例弁26が設けられている。ガス供給管8には、ガスファンヒータ2の外部から都市ガス(例えば13Aなどの、メタンガス(CH4)を主成分とするガス)が供給される。バーナ10には、その炎口の上方にイグナイタ28が設けられている。
【0022】
ケーシング18の背面には、室温センサ30とCOセンサ32が設けられている。室温センサ30は給気口4からケーシング18内に吸い込まれる室内の空気の温度を検出する。室温センサ30としては、熱電対やサーミスタなどの各種形式のものを用いることができる。
【0023】
COセンサ32は、給気口4からケーシング18内に吸い込まれる室内の空気中のCO濃度を検出する。COセンサ32としては、例えば半導体式、接触燃焼式、電気化学式などの各種形式のものを用いることができる。
【0024】
図2に示すように、操作部16は、使用者がガスファンヒータ2の運転開始および運転停止を指示する運転スイッチ34、使用者に異常の発生を報知する異常報知ブザー36、暖房目標温度を設定する温度設定部38、暖房目標温度、室内温度等の各種情報を表示する表示部40などを備えている。運転スイッチ34は、押し操作が繰り返される毎に、制御部14に対して運転開始と運転停止が交互に指示されるように構成されている。
【0025】
制御部14は、送風ファン12、開閉弁24、比例弁26、イグナイタ28などの動作を制御する。使用者が運転スイッチ34を操作して、ガスファンヒータ2の運転開始が指示されると、制御部14は、送風ファン12を回転させて、バーナ10に燃焼用空気を供給する。さらに、制御部14は、開閉弁24を開いてガス供給管8からバーナ10にガスを供給し、イグナイタ28で着火することで、バーナ10の燃焼を開始させる。バーナ10の燃焼中は、室温センサ30で検出される室内の空気の温度が温度設定部38で設定された暖房目標温度に速やかに近づくように、制御部14が比例弁26の開度と送風ファン12の回転数を調整する。ガスファンヒータ2の運転中に使用者が運転スイッチ34を操作して、ガスファンヒータ2の運転停止が指示されると、制御部14は、開閉弁24を閉じてガス供給管8からバーナ10へのガスの供給を遮断することで、バーナ10の燃焼を終了させる。また、制御部14は送風ファン12の回転を停止させる。
【0026】
制御部14は、ガスファンヒータ2が運転を開始すると、図3に示すCO濃度の異常検知処理を行う。制御部14は、後述するCO濃度の異常検知処理のために、メモリ42と、タイマ44を備えている。
【0027】
ステップS302では、室温のサンプリングを開始する。本実施例のガスファンヒータ2では、15秒毎に室温センサ30の検出値を取り込み、過去2分間の室温の時系列をメモリ42に記憶しておく。
【0028】
ステップS304では、COセンサ32で検出されるCO濃度Cxが、第1CO濃度しきい値C1を超えるか否かを判断する。第1CO濃度しきい値C1は、通常室内で検出されるCO濃度よりも高い値(例えば5ppm)に設定されている。COセンサ32で検出されるCO濃度Cxが第1CO濃度しきい値C1以下の場合(ステップS304でNOの場合)には、室内の空気中のCO濃度が低く、異常は無いと考えられるので、処理をステップS306以降へ進めることなく、ステップS304でCO濃度Cxの監視を継続する。COセンサ32で検出されるCO濃度Cxが第1CO濃度しきい値C1を超える場合(ステップS304でYESの場合)には、処理はステップS306へ進む。
【0029】
ステップS306では、室温が急低下したか否かを判断する。一般に、COセンサ32で検出されるCO濃度は、バーナ10が不完全燃焼を起こした場合だけでなく、COを含む外気が室内に流入した場合にも上昇する。バーナ10が不完全燃焼を起こした場合には、CO濃度は上昇するものの、室温には大きな変動が生じない。これに対して、COを含む外気が室内に流入した場合には、暖房中の室内の空気に寒冷な外気が混入して、CO濃度の上昇とともに室温は急低下する。そこで、本実施例のガスファンヒータ2では、COセンサ32で検出されるCO濃度が上昇し、かつ室温センサ30で検出される室温が急低下した場合には、バーナ10が不完全燃焼を起こしたのではなく、COを含む外気が室内に流入したと判断して、異常検知による運転停止をすぐには行わずに、そのまま運転を継続する。COセンサ32で検出されるCO濃度が上昇し、かつ室温センサ30で検出される室温が急低下していない場合には、バーナ10が不完全燃焼を起こしているおそれがあるため、ガスファンヒータ2は異常検知による運転停止を行う。
【0030】
ステップS306における室温が急低下したか否かの判断は、メモリ42に記憶されている室温の時系列に基づいて行う。本実施例では、メモリ42に記憶されている最新の室温T1が、その2分前の室温T0から所定の温度幅(例えば2℃)を引いた温度よりも低い場合に、室温が急低下したと判断する。言い換えると、室温の時間に対する変化率が、所定の温度変化率を下回る場合に、室温が急低下したと判断する。ステップS306で室温が急低下していないと判断した場合(NOの場合)には、処理はステップS318へ進んで、CO濃度の異常検知による運転停止を行う。ステップS306で室温が急低下したと判断した場合(YESの場合)には、処理はステップS308へ進む。
【0031】
ステップS308では、タイマ44にカウントを開始させる。本実施例では、タイマ44によるカウント時間は2分間に設定されている。
【0032】
ステップS310では、使用者に対して高濃度のCOが検出された旨の報知を行う。制御部14は、表示部40に高濃度のCOが検出されたことを示す表示をさせ、異常報知ブザー36に高濃度のCOが検出されたことを示す音を出力させる。なお、ステップS310では、使用者に高濃度のCOが検出されたことを報知するのみであり、ガスファンヒータ2の運転はそのまま継続する。
【0033】
ステップS312では、COセンサ32で検出されるCO濃度Cxが、第2CO濃度しきい値C2を超えるか否かを判断する。第2CO濃度しきい値C2は、第1CO濃度しきい値C1よりも高い値(例えば50ppm)に設定されている。CO濃度Cxが第2CO濃度しきい値C2を超える場合(YESの場合)には、使用者の安全を確保するために、ステップS318へ進んで、CO濃度の異常検知による運転停止を行う。CO濃度が第2CO濃度しきい値C2以下の場合(ステップS312でNOの場合)には、処理はステップS314へ進む。
【0034】
ステップS314では、COセンサ32で検出されるCO濃度Cxが、第3CO濃度しきい値C3を下回ったか否かを判断する。第3CO濃度しきい値C3は、第1CO濃度しきい値C1よりも低い値(例えば3ppm)に設定されている。CO濃度Cxが第3CO濃度しきい値C3を下回る場合(YESの場合)には、ステップS304で一旦高いCO濃度が検出されたものの、その後にCO濃度が再び低い水準に戻っているため、使用者の安全が確保されていると判断して、ステップS304へ戻る。CO濃度Cxが第3CO濃度しきい値C3以上の場合(ステップS314でNOの場合)には、処理はステップS316へ進む。
【0035】
ステップS316では、タイマ44のカウントが終了したか否かを判断する。ステップS316でタイマ44のカウントが終了したと判断されるのは、CO濃度Cxが第1CO濃度しきい値C1を超えてから、CO濃度Cxが第3CO濃度しきい値C3を下回ることなく、タイマ44に設定されたカウント時間(本実施例では2分間)が経過した場合である。タイマ44のカウントが終了していない場合(ステップS316でNOの場合)には、処理はステップS312へ戻る。ステップS316でタイマ44のカウントが終了した場合(YESの場合)には、使用者の安全を確保するため、ステップS318へ進んで、CO濃度の異常検知による運転停止を行う。
【0036】
ステップS318では、CO濃度の異常検知による運転停止処理を行う。制御部14は、開閉弁24を閉じてバーナ10の燃焼を終了させ、送風ファン12の回転を停止する。また、制御部14は、表示部40にCO濃度の異常検知により運転を停止したことを示す表示をさせ、異常報知ブザー36にCO濃度の異常検知により運転を停止したことを示す音を出力させる。
【0037】
本実施例のガスファンヒータ2によれば、室温センサ30で検出される室温が急低下していない状況で、COセンサ32で検出されるCO濃度が上昇した場合に、使用者にCO濃度の異常検知を報知して、バーナ10の燃焼を自動的に終了させて、ガスファンヒータ2の運転を自動的に停止する。このような構成とすることで、バーナ10が不完全燃焼を起こした場合であっても、使用者の安全を確保することができる。
【0038】
本実施例のガスファンヒータ2によれば、室温センサ30で検出される室温が急低下している状況で、COセンサ32で検出されるCO濃度が上昇した場合には、使用者に高濃度のCOが検出されたことを報知するものの、ガスファンヒータ2の運転はそのまま継続する。このような構成とすることで、扉や窓を開けて屋外から室内へ外気が流入し、外気中の自動車の排気ガスや煙草の煙に含まれるCOをCOセンサ32が検出した場合については、ガスファンヒータ2の運転を停止せずに室内の暖房を継続することができる。使用者の快適性を確保することができる。
【0039】
本実施例のガスファンヒータ2によれば、COセンサ32で検出されるCO濃度が上昇し、かつ室温センサ30で検出される室温が急低下しており、ガスファンヒータ2の運転を停止せずにそのまま継続した場合に、所定時間が経過してもCO濃度が低下しなかった場合には、使用者にCO濃度の異常検知を報知して、バーナ10の燃焼を自動的に終了させて、ガスファンヒータ2の運転を自動的に停止する。このような構成とすることで、使用者の安全を確保することができる。
【0040】
本実施例のガスファンヒータ2によれば、COセンサ32で検出されるCO濃度が上昇し、かつ室温センサ30で検出される室温が急低下しており、ガスファンヒータ2の運転を停止せずにそのまま継続した場合でも、第2CO濃度しきい値C2を超える非常に高い濃度のCOが検出された場合には、使用者にCO濃度の異常検知を報知して、バーナ10の燃焼を自動的に終了させて、ガスファンヒータ2の運転を自動的に停止する。このような構成とすることで、使用者の安全を確保することができる。
【0041】
なお、ステップS306における室温が急低下したか否かの判断は、他の手法によって判断することもできる。例えば、ガスファンヒータ2が運転を開始してある程度の時間が経過した後は、室内の空気は暖房目標温度まで暖められている。従って、ガスファンヒータ2が運転を開始してある程度の時間が経過した後は、ステップS306において、メモリ42に記憶されている最新の室温T1(あるいは、ステップS306の時点において室温センサ30で検出される室温)が、温度設定部38で設定された暖房目標温度から所定の温度幅(例えば2℃)を引いた温度よりも低い場合に、室温が急低下したと判断するように、制御部14を構成してもよい。あるいは、ガスファンヒータ2が運転を開始した時点での室温(すなわち、まだ暖房がされておらず、屋外と同程度に寒冷な室内の空気の温度)を室温センサ30で検出してメモリ42に記憶しておき、室温センサ30で検出される室温がガスファンヒータ2の運転開始時の室温に所定の温度幅(例えば2℃)を加えた温度よりも低い場合に、室温が急低下したと判断するように、制御部14を構成してもよい。
【0042】
(実施例2)
本実施例のガスファンヒータ50は、図1に示す実施例1のガスファンヒータ2とほぼ同様の構成を備えている。ガスファンヒータ50は、実施例1のガスファンヒータ2におけるCOセンサ32の代わりに、Oセンサ52を備えている。
【0043】
センサ52は、ケーシング18の背面に設けられており、給気口4からケーシング18内に吸い込まれる室内の空気中のO濃度を検出する。Oセンサ52としては、例えばガルバニセル型、ポーラロセル型、拡散電流型などの各種形式のものを用いることができる。
【0044】
制御部14は、ガスファンヒータ2が運転を開始すると、O濃度の異常検知処理を行う。以下では図5を参照しながら、O濃度の異常検知処理について説明する。
【0045】
ステップS502では、室温のサンプリングを開始する。本実施例のガスファンヒータ50では、15秒毎に室温センサ30の検出値を取り込み、過去2分間の室温の時系列をメモリ42に記憶しておく。
【0046】
ステップS504では、Oセンサ52で検出されるO濃度Dxが、第1O濃度しきい値D1を下回るか否かを判断する。第1O濃度しきい値D1は、通常室内で検出されるO濃度よりも低い値(例えば18%)に設定されている。Oセンサ52で検出されるO濃度Dxが第1O濃度しきい値D1以上の場合(ステップS504でNOの場合)には、室内の空気中のO濃度に異常は無いと考えられるので、処理をステップS506以降へ進めることなく、ステップS504でO濃度Dxの監視を継続する。Oセンサ52で検出されるO濃度Dxが第1O濃度しきい値D1を下回る場合(ステップS504でYESの場合)には、処理はステップS506へ進む。
【0047】
ステップS506では、メモリ42に記憶されている室温の時系列に基づいて、室温が急低下したか否かを判断する。ステップS506で室温が急低下していないと判断した場合(NOの場合)には、処理はステップS518へ進んで、O濃度の異常検知による運転停止を行う。ステップS506で室温が急低下したと判断した場合(YESの場合)には、処理はステップS508へ進む。
【0048】
ステップS508では、タイマ44にカウントを開始させる。本実施例では、タイマ44によるカウント時間は2分間に設定されている。
【0049】
ステップS510では、使用者に対してO濃度の低下が検出された旨の報知を行う。制御部14は、表示部40にO濃度の低下が検出されたことを示す表示をさせ、異常報知ブザー36にO濃度の低下が検出されたことを示す音を出力させる。なお、ステップS510では、使用者にO濃度の低下が検出されたことを報知するのみであり、ガスファンヒータ2の運転はそのまま継続する。
【0050】
ステップS512では、Oセンサ52で検出されるO濃度Dxが、第2O濃度しきい値D2を下回るか否かを判断する。第2O濃度しきい値D2は、第1O濃度しきい値D1よりも低い値(例えば17.5%)に設定されている。O濃度Dxが第2O濃度しきい値D2を下回る場合(YESの場合)には、使用者の安全を確保するために、ステップS518へ進んで、O濃度の異常検知による運転停止を行う。O濃度が第2O濃度しきい値D2以上の場合(ステップS512でNOの場合)には、処理はステップS514へ進む。
【0051】
ステップS514では、Oセンサ52で検出されるO濃度Dxが、第3O濃度しきい値D3を上回ったか否かを判断する。第3O濃度しきい値D3は、第1O濃度しきい値D1よりも高い値(例えば18.5%)に設定されている。O濃度Dxが第3O濃度しきい値D3を上回る場合(YESの場合)には、ステップS504で一旦低いO濃度が検出されたものの、その後にO濃度が再び高い水準に戻っているため、使用者の安全が確保されていると判断して、ステップS504へ戻る。O濃度Dxが第3O濃度しきい値D3以下の場合(ステップS514でNOの場合)には、処理はステップS516へ進む。
【0052】
ステップS516では、タイマ44のカウントが終了したか否かを判断する。ステップS516でタイマ44のカウントが終了したと判断されるのは、O濃度Dxが第1O濃度しきい値D1を超えてから、O濃度Dxが第3O濃度しきい値D3を下回ることなく、タイマ44に設定されたカウント時間(本実施例では2分間)が経過した場合である。タイマ44のカウントが終了していない場合(ステップS516でNOの場合)には、処理はステップS512へ戻る。ステップS516でタイマ44のカウントが終了した場合(YESの場合)には、使用者の安全を確保するため、ステップS518へ進んで、O濃度の異常検知による運転停止を行う。
【0053】
ステップS518では、O濃度の異常検知による運転停止処理を行う。制御部14は、開閉弁24を閉じてバーナ10の燃焼を終了させ、送風ファン12の回転を停止する。また、制御部14は、表示部40にO濃度の異常検知により運転を停止したことを示す表示をさせ、異常報知ブザー36にO濃度の異常検知により運転を停止したことを示す音を出力させる。
【0054】
本実施例のガスファンヒータ50によれば、室温センサ30で検出される室温が急低下していない状況で、Oセンサ52で検出されるO濃度が低下した場合に、使用者にO濃度の異常検知を報知して、バーナ10の燃焼を自動的に終了させて、ガスファンヒータ2の運転を自動的に停止する。このような構成とすることで、バーナ10が不完全燃焼を起こした場合であっても、使用者の安全を確保することができる。
【0055】
本実施例のガスファンヒータ2によれば、室温センサ30で検出される室温が急低下している状況で、Oセンサ52で検出されるO濃度が低下した場合には、使用者にO濃度の低下が検出されたことを報知するものの、ガスファンヒータ2の運転はそのまま継続する。このような構成とすることで、屋外から室内に自動車の排気ガスや煙草の煙によって汚染された外気が入り込んで、流入した外気がOセンサに接触してO濃度の低下が検出された場合については、ガスファンヒータ2の運転を停止せずに室内の暖房を継続することができる。使用者の快適性を確保することができる。
【0056】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例をさまざまに変形、変更したものが含まれる。
【0057】
例えば、上記の実施例では開放型燃焼暖房機器の一実施形態としてガスファンヒータを例示して説明したが、本発明の開放型燃焼暖房機器としては、石油ファンヒータ、ガスストーブ、石油ストーブなどであってもよい。
【0058】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0059】
2,50 ガスファンヒータ;4 給気口;6 吹出口;8 ガス供給管;10 バーナ;12 送風ファン;14 制御部;16 操作部;18 ケーシング;20 内部空気通路;22 エアフィルタ;24 開閉弁;26 比例弁;28 イグナイタ;30 室温センサ;32 COセンサ;34 運転スイッチ;36 異常報知ブザー;38 温度設定部;40 表示部;42 メモリ;44 タイマ;52 Oセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナで燃料を燃焼させて室内を暖房する開放型燃焼暖房機器であって、
室内の空気のCO濃度を検出するCOセンサと、
室内の空気の温度を検出する室温センサと、
バーナの燃焼中に、COセンサで検出されるCO濃度が第1CO濃度しきい値を超えると、バーナの燃焼を終了させるバーナ制御手段を備えており、
前記バーナ制御手段は、COセンサで検出されるCO濃度が第1CO濃度しきい値を超えて、かつ室温センサで検出される温度が低下した場合には、バーナの燃焼を継続させることを特徴とする開放型燃焼暖房機器。
【請求項2】
前記バーナ制御手段が、COセンサで検出されるCO濃度が第1CO濃度しきい値を超えて、かつ室温センサで検出される温度が低下して、バーナの燃焼を継続させている場合であっても、COセンサで検出されるCO濃度が第2CO濃度しきい値を超えると、バーナの燃焼を終了させることを特徴とする請求項1の開放型燃焼暖房機器。
【請求項3】
前記バーナ制御手段が、COセンサで検出されるCO濃度が第1CO濃度しきい値を超えて、かつ室温センサで検出される温度が低下して、バーナの燃焼を継続させている場合であっても、COセンサで検出されるCO濃度が、第1CO濃度しきい値を超えてから所定時間が経過しても低下しない場合に、バーナの燃焼を終了させることを特徴とする請求項1または2の開放型燃焼暖房機器。
【請求項4】
バーナで燃料を燃焼させて室内を暖房する開放型燃焼暖房機器であって、
室内の空気のO濃度を検出するOセンサと、
室内の空気の温度を検出する温度センサと、
バーナの燃焼中に、Oセンサで検出されるO濃度が第1O濃度しきい値を下回ると、バーナの燃焼を終了させるバーナ制御手段を備えており、
前記バーナ制御手段は、Oセンサで検出されるO濃度が第1O濃度しきい値を下回って、かつ室温センサで検出される温度が低下した場合には、バーナの燃焼を継続させることを特徴とする開放型燃焼暖房機器。
【請求項5】
前記バーナ制御手段が、Oセンサで検出されるO濃度が第1O濃度しきい値を下回って、かつ室温センサで検出される温度が低下して、バーナの燃焼を継続させている場合であっても、Oセンサで検出されるO濃度が第2O濃度しきい値を下回ると、バーナの燃焼を終了させることを特徴とする請求項4の開放型燃焼暖房機器。
【請求項6】
前記バーナ制御手段が、Oセンサで検出されるO濃度が第1O濃度しきい値を下回って、かつ室温センサで検出される温度が低下して、バーナの燃焼を継続させている場合であっても、Oセンサで検出されるO濃度が、第1O濃度しきい値を下回ってから所定時間が経過しても上昇しない場合に、バーナの燃焼を終了させることを特徴とする請求項4または5の開放型燃焼暖房機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−177492(P2012−177492A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39684(P2011−39684)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【Fターム(参考)】