説明

開放舎における横臥ボックス用の制限装置

【課題】家畜を飼育するための開放舎における横臥ボックス内で、起立している牛の横臥ボックスの前端に向かう方向の移動の自由を制限する制限装置を提供する。
【解決手段】本制限装置は、前端近くにおいて、横臥ボックスの前端近く、底部上に、そこから突出して配置されるように意図されている制限装置と、該制限装置の少なくとも1つの上部が、横臥ボックスの前端に向かう起立している牛の移動の自由を制限するように、底部から動作可能に突出する制限位置と、横臥している牛の前脚のために、制限装置が制限位置で占有する空間の少なくとも一部を空ける解放位置と、の間で移動可能であり、および、こうした制限装置を備えた横臥ボックスおよび開放舎。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
畜産業では、牛を飼育するために糞尿通路および横臥ボックス(lying box)を備えた開放舎(loose house)が用いられる。横臥ボックスは、牛が小屋内を歩き回る他の牛によって妨害されることなく反芻し休むために横臥することができる、ある程度ついたてで仕切られている空間である。
【背景技術】
【0002】
乳生産の場合、牛が一日の大半(およそ一日10〜14時間)横臥して過ごすことが重要である。さらに、横臥面には、排泄物がないままであることが重要であり、それにより、牛は、排泄物で汚れず、特に、乳房が清潔なままである。一般に、こうした横臥ボックスは、牛が快適に横臥または起立するために必要な最小寸法に適応した、矩形横臥面を有している。牛は、糞尿通路に近接する横臥ボックスの後端の入口から横臥ボックスに入り、かつそこから出る。
【0003】
一般に、横臥ボックスの底部は、横臥ボックスの後端に沿って通る糞尿通路に対して高くなっており、糞尿通路には、排泄物を排出する設備を備えることができる。底部を、たとえば、硬質材料、軟質材料のカバー、あるいは束ねていない寝藁または藁から形成することができる。
【0004】
2つの横臥ボックスに沿ったゲートは、一方で、横臥ボックスを、たとえば隣接する横臥ボックスまたは他の牛から遮蔽し、さらに、牛が横臥ボックス内で横方向にまたは斜めに起立または横臥して、排泄時に横臥ボックスの底部が汚れることがないようにする役割を果たす。
【0005】
横臥ボックスを占有する牛は、好ましくは、一方で、後脚もまた横臥ボックスの底部の上に立つか、または載っているように、長手方向を前方に起立し、または横臥すべきである。他方、牛は、排泄時、糞尿が横臥ボックスの底部に排出されるほど、前方に起立するべきではない。
【0006】
この目的で、横臥ボックスには、通常、横臥ボックスの床より上の高さに肩梁が設けられており、それは、牛が横臥ボックス内を前方に行き過ぎようとした時に、牛の肩が、肩梁に接触するため、牛の前方の移動の自由が制限されるように、配置されている。さらに、横臥ボックスには、各々、横臥した牛が、前方に移動し過ぎないように、底部に、さらなる制限装置が備えられている場合がある。
【0007】
肩梁の欠点は、牛が、肩梁が可能とするより、さらに前方の起立位置まで立ち上がることが度々ある、ということである。そして、牛は、下方から肩梁にぶつかる。これにより、特に、牛がはまり込んだ状態で、パニックになった時、背中を骨折するほど深刻な場合もある損傷がもたらされることがよくある。
【0008】
肩梁と激しく接触しないように、肩梁に沿って、ナイロン製のひもが用いられる場合がある。しかしながら、ひもと床との間に、下方からはまり込むことが依然として起こる可能性があり、ナイロン製のひもは、さらなる障害物を形成し、牛とともに跳ね返る可能性があるため、肩梁ほど、厳密な制限を形成しない。
【0009】
本発明は、請求項1の前文部分による制限装置に関し、それは、肩梁の代りとして、牛の起立位置と、牛が横臥を開始する位置とを、前方方向に制限する役割も果たす。
【0010】
こうした制限装置は、欧州特許第0659336号明細書から既知である(特許文献1)。第1例によると、制限装置は、高さが15cm〜25cmの梁として設計される。梁は、横臥ボックスの後端における敷居に対するその位置により、正面の頭梁と協働して、牛が横臥ボックス内に入った後、制限装置の後方に留まり、そこで、膝を屈して、横臥することを確実にするように意図されている。別の例によれば、梁の代りに、横臥ボックスの底部から上方に、間隔を空けて通る管が設けられている。
【0011】
こうした制限装置の欠点は、起立している牛に対し、前方の移動の自由が過度に許容され、それによって、横臥ボックスの汚れが促進されることになり、および/または、横臥している牛に対して、横臥ボックス内で快適に横臥するための長さが非常に制限され、横臥時間が短くなることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】欧州特許第0659336号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、牛が、前方に行き過ぎようとした場合に、肩をぶつけるような高さの肩梁を用いることなく、一方で、牛が、横臥ボックス内を、前方に寄り過ぎて起立または横臥しないようにし、他方で、横臥ボックス内で横臥する牛に対し、長手方向に十分な空間が提供され、それにより、快適な横臥位置が可能となる解決法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、この目的は、請求項1による制限装置によって達成される。制限装置は、制限位置では、起立している牛の前方移動を確実に防止する障害物を形成し、かつ、解放位置では、一方の前脚または両方の前脚に対し、したがって、横臥位置における前脚の前端と牛の後端との間のより長い総距離に対し、十分な空間を空ける。
【0015】
本発明による制限装置ならびにこうした制限装置が設けられた横臥ボックスおよび開放舎の特別な実施形態は、従属請求項にある。
【発明の効果】
【0016】
本発明のさらなる構造上の態様、効果および詳細ならびに本発明の典型的な実施形態を、図面を参照して、以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】牛を含む横臥ボックスならびに本発明による制限装置の第1の典型的な実施形態の断面での側面図である。
【図2】図1による横臥ボックスの背面図である。
【図3】図1および図2に示す典型的な実施形態による制限装置に対する別形の横臥ボックスの側面図での概略図である。
【図4】制限位置にある、本発明のさらなる典型的な実施形態による制限装置を有する横臥ボックスの側面図での概略図である。
【図5】本発明のさらに典型的な実施形態による制限装置を有する横臥ボックスの側面図での概略図である。
【図6】本発明のさらなる典型的な実施形態による制限装置を有する横臥ボックスの正面図での概略図である。
【図7】図6による横臥ボックスの正面部分の側面図での概略切取図である。
【図8】本発明のさらなる典型的な実施形態による制限装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
まず、本発明を、図1および図2に表す実施例に基づいて説明する。図1には、開放舎の糞尿通路2の隣接する部分を含む横臥ボックス1が表されている。図2には、横臥ボックス1および隣接する横臥ボックス4、5の一部が表されている。
【0019】
こうした横臥ボックス1、4、5は、通常、開放舎内に、縦が互いに隣接する列で配置されている。ここで、横臥ボックス1、4、5は、各々、牛が横臥ボックスの領域に入るのを可能にするように開放している後端と、横臥ボックスの後端から離れている端部にある前端と、を有している。
【0020】
横臥ボックス間の底部に、横臥ボックスに出入りする牛を横方向に案内する側方ガイドとして、側方クッション6が設けられており、それらは、各々、底部から突出する隆起6として設計され、幅の狭い上縁と、上縁から横臥ボックスまで下方に傾斜している側壁と、を有している。
【0021】
図1において、一点鎖線で、従来の横臥ボックス仕切り7が表されており、それを、側方クッション6の代りとして、または追加として、設けることができる。横臥ボックス1は、一点鎖線8で示す前端を有している。前端の領域において、任意に、ひもおよび/または梁および/または管等のさらなる障害物が存在することが可能である。図1には、さらに、横臥ボックス内で起立している牛10が表されている。
【0022】
図1において、この牛は、また、一点破線で横臥位置でも表されており、符号10で示されている。横臥ボックスは、上にマットレス3を備えた底部11を有し、マットレス3は、牛10が起立し、かつ横臥することができる下部床(underground)を形成する。また、マットレスの代りに、マットまたはおがくず等の異なる下部床が、牛のための柔らかい横臥面を形成することも可能である。
【0023】
横臥ボックス1の底部11の上の空間には、肩梁がない。肩梁は、横臥ボックスの対象となっている牛の肩の付け根より上の高さより、ほんのわずかに低い高さ(通常、横臥ボックスの底部から、およそ110−130cm)において、横臥ボックスに対して横切る方向に延在する桁であり、起立している牛が、最前進位置より前方に移動しないようにし、最前進位置は、牛が、この位置から、依然として糞尿通路に正確に排泄するように選択される。
【0024】
牛が横臥する時、肩梁は、横臥している牛の自然な移動パターンの一部を形成する肩の前方移動中に、牛を妨害しない。しかしながら、牛は、横臥中に、または横臥している時に、前方に移動した場合、起立時にその肩または背中を肩梁にぶつける。特に、その結果、動物がパニックになった場合、これによって、容易に深刻な損傷がもたらされる可能性がある。
【0025】
横臥ボックス1の前端において、横臥ボックス1の底部11およびマットレス3の上に、かつそこから突出して、障害物9の形態の制限装置が設けられている。この実施例による制限装置9では、制限装置の上部分が、板12として設計され、その上には、柔軟な材料からなるカバー13が設けられており、図1および図2において、実線で表されている、底部から突出する制限位置と、図1および図2において、一点鎖線で表されている解放位置9と、の間で移動可能である。カバー13は、マットレス3と同じ種類の材料から製造されることが好ましい。
【0026】
制限位置において、制限装置9は、牛10の横臥ボックス1の前端8に向かう移動の自由が制限されているという意味で、牛10の起立する最初の位置を制限する。この結果、牛10は、前方に寄り過ぎて起立することが防止され、したがって、また、牛は、前方に寄り過ぎた位置で横臥ボックス内に横臥することになる。実際、前方に寄り過ぎて起立し、前方に寄り過ぎて横臥することにより、ともに横臥ボックスが汚れることになり、その結果、乳房が汚れる。乳房が汚れることにより、牛乳が汚染し、乳房炎等の病気にかかる危険が増大する。
【0027】
解放位置9’では、制限位置において制限装置9によって占有される空間の少なくとも一部が空けられ、それにより、横臥した後の牛10に対し、前脚のために十分な空間が得られる。したがって、横臥位置における前脚の前端と牛の後端との間のより広い総距離に対して、横臥ボックスの長手方向に十分な空間が空けられる。
【0028】
制限装置9の上には、隆起16が設けられており、それは、たとえば、マットレスの上部によって形成されている横臥面より、およそ8cm−9cm上の高さであり、横臥している牛が、這って前方に寄り過ぎるのを防止する役割を果たす。
【0029】
横臥した後の牛が、這って前方に寄り過ぎる場合も、また、横臥ボックスは、一般に、厩肥によって非常に汚れることになり、牛は、さらに、前側に対向して位置する横臥ボックスに横臥している牛を妨害する可能性がある。壁または他の垂直境界が前端を画定する場合、前方に寄り過ぎて横臥することにより、前方に移動するための空間が不十分であるため、立ち上がることが困難になる可能性がある。
【0030】
解放位置では、制限装置9の上部12、13は、制限位置より下方に位置し、制限装置9には、作動組立体が備えられており、それは、この実施例では、ばね14および枢動支持体26の形態であって、上部12、13を制限位置に付勢し、かつ上部12、13に荷重がかかった場合に、上部12、13の解放位置への柔軟な移動を可能にする。
【0031】
牛10は、横臥する時、前脚で上部12、13を解放位置まで押す。解放位置では、ばね14およびアーム26が互いに対して実質的に平行に延在するため、作動組立体14、26の形状は、上部12、13によって、牛10’の前脚に加えられる上向きの力が、比較的制限され、上部12、13を制限位置から付勢するために、必要な力より著しく小さい、というものである。したがって、起立している牛10が、単に制限装置9を制限位置から押すだけでなく、横臥している牛10’に対し、同様に制限装置9の上に横臥することは不快ではない。
【0032】
この実施例による制限装置では、上部12、13が、制限装置9が載っている底部11に対して、枢軸15を中心に枢動可能であるため、上部12、13の可動性は、簡単に具現化される。
【0033】
制限位置では、上部12、13の上面は、底部11から前端8まで、上方に急峻に(好ましくは底部に対して>30°の角度で)上昇する。これは、起立している牛10が、制限装置9を下方に押すのを防止するのに役立つ。
【0034】
解放位置では、前端8に最も近接して位置する上面の部分が、制限位置より下方であり、上面は、底部11に対し、平坦に、または少なくとも制限位置より傾斜しないで伸びる。このように、横臥している牛の前脚の正面に、牛に対して選択的に空間を空けることが、簡単に具現化される。
【0035】
図3に、図1および図2の典型的な実施形態の別の形が表されている。この別形では、制限装置39の上部(解放位置における制限装置を参照数字39’で示す)は、組合せ式であり、上部の板32、33の部品は、軸40を中心に、互いに対して蝶番式に取り付けられている。板32、33のカバーは、それに応じて、部品35、36に分割されている。
【0036】
板部品35、36の間に、ばね14が設けられている。弾性バンドとしても設計され得るばね14を収縮させることにより、両板部品が、底部11に沿って、伸張位置から、上方に枢動した制限位置まで揺動する。ここで、牛10に近い板部品33は、軸15を中心に枢動し、牛10に近い板部品33から遠い他方の板部品32の端部は、底部11の上を摺動する。
【0037】
図4に、本発明による制限装置のさらなる実施例が表されており、そこでは、一対の板ばね64が、作動要素として、かつ制限装置59の上部62を底部11に取り付ける取付要素として、用いられている。したがって、簡単な構成が得られる。任意に、単一の板ばねが十分であり得る。
【0038】
当業者には、特許請求の範囲に定義されている本発明の枠組内で、多くのさらなる実施形態があることが自明である。図5に表されている実施例により、解放位置において、上部112が制限位置より低い必要はないという事実を示す。
【0039】
この実施例によれば、制限装置109に、底部11に沿って延在するガイド120が備えられており、それは、矢印121で示すように、上部112の、実線で表されている位置(制限位置)と一点鎖線で表されている位置(解放位置)との間の経路にわたる移動を案内する。
【0040】
さらに、上部112を前後に移動させるために、スピンドル122を備えたモータ114の形態の作動要素が設けられている。モータ114は、制御ユニット123に結合されており、次に、制御ユニット123は、底部に設けられた温度センサ124に結合されており、温度センサ124を用いて、牛が横臥ボックス1内で横臥しているか否かを検出することができる。
【0041】
制限装置が制限位置にある時、底部からの制限装置の高さは、好ましくは少なくとも7cmであり、より詳細には、横臥面より少なくとも15cm上である。より詳細には、制限装置が制限位置にある時、横臥面からの制限装置の高さは25−35cmであることが好ましい。
【0042】
制限装置は、特に、小屋の長手方向に少なくとも25cmの深さである場合、比較的高さを低くすることができる。これは、深さがより深く、たとえば30cm、40cmまたは50cmとなると、それに応じて、さらに抑えられる。
【0043】
制限位置にある制限装置は、さらに、横臥ボックスの後端から165cm未満に位置することが好ましく、より好ましくは155cm未満に位置する。解放位置では、制限装置は、横臥ボックスに対し、下部床と接触している牛の部分に対して、好ましくは少なくとも165cm、より好ましくは170〜190cmの長さを空ける。
【0044】
図5および図6には、本発明による制限装置を備えた横臥ボックスのさらなる実施例が表されており、そこでは、制限装置は、横臥ボックスの長手方向前後に移動可能である。この実施例によれば、また、制限装置159には、底部11に沿って延在するガイド170が備えられている。
【0045】
この実施例によれば、制限装置159の上部162は、金属板から設計されており、ガイド170により、図7に実線で表されている制限位置162と一点鎖線で表されている解放位置162’との間で、前後に移動可能に案内される。
【0046】
上部162を制限位置に付勢するために、制限装置には、制限装置159の上部162が解放位置まで移動した時に巻戻される竹の子ばね164が備えられており、竹の子ばね164の自由端は、制限装置159の可動上部162に取り付けられている。巻上げ状態では、竹の子ばね164は螺旋状に巻かれた板ばねである。
【0047】
螺旋の内側に位置する竹の子ばね164の端部は、巻回面に対して垂直な軸を中心に自由に回転するように取り付けられている。引っ張られることに応じて、竹の子ばね164は、それが引っ張られる長さではほとんど変化しないばね力を加える。実際には、巻回力は、巻回部から直線状に伸長するひも材料の部分に遷移する領域において、ひも材料を巻上げ状態にするばね力によってもたらされる。
【0048】
遷移の領域における構成は、ばねの巻戻しに対してほとんど変化しない。したがって、上部は、実質的に一定の力によって制限位置まで付勢される。この力を、一方で、横臥しており制限装置159を押し退けた動物を妨害しないように十分小さく、他方で、制限位置への確実な戻り移動を保証するように選択することができる。
【0049】
ガイド170は、各々、断面上部177と2つの断面下部178とから構成され、支持体179、180を介して底部11に対して支持されている。断面下部178は、各々、長手方向に底部に向かって開放したスロットを有しており、そのスロットを通して、可動上部162のキャリア181が伸びる。
【0050】
このキャリアには、ローラ182が取り付けられており、ローラ182は、底部に向かってのみ開放したスロット178内を前後に、汚損から保護されて、確実に回転することができる。上部162の後側には、マットレス3の上で引き出すことが可能なローラ(図示せず)が設けられている。
【0051】
任意に、制限装置を超えて歩くのをさらに防止するために、上部に、ピラミッド型であり得る隆起を設けることができる。解放位置で、横臥ボックス内で横臥している動物に対して制限された力で、当接する上部の後縁に、横臥位置にある動物に対し、それ以上妨げないように、軟質材料からなるカバーを設けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
図8に表されている制限構成では、それぞれの端面が互いに対向して配置される横臥ボックスに対する2つの制限装置209が、上部212の前後の移動を案内するガイド220を支持する共通の支持体230を有している。
【0053】
ガイドは、横臥ボックスの長手方向に対して横方向に、かつ横臥ボックスの底部から上方に間隔を空けて、水平軸233を中心に枢動可能な、揺動体220として設計されており、それにより、上部212に蝶番によって結合される揺動体220の各々の自由端を、横臥ボックスの長手方向において、実質的に水平な移動構成要素により、前後に移動させることができる。
【0054】
上部212を制限位置まで戻るように付勢するために、ガススプリング214の形態の作動要素が、支持体230と揺動体220との間に設けられている。上部の揺動体220から離れている側の近くに、マットレスの上を横臥ボックスから転がり落ちることができるローラ234が設けられている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
家畜を飼育するための開放舎における横臥ボックス(1)内の牛(10)の、前記横臥ボックス(1)の前端(8)に向かう方向における前方の移動の自由を制限する制限装置(9;59;109;159;209)であり、前記横臥ボックス(1)の底部(11)の上に、かつそこから突出する、前記前縁(8)の近くに配置される障害物として設計される制限装置であって、
前記制限装置(9;59;109;159;209)の少なくとも上部(12、13;62;112;162;212)が、起立している牛(10)の前記横臥ボックス(1)の前記前端(8)に向かう移動の自由を制限するように、使用状態で、前記底部(11)から突出する制限位置と、前記横臥している牛(10)の前脚のために、前記制限装置(9;59;109;159;209)が、前記制限位置で占有する空間の少なくとも一部を空ける解放位置と、の間で移動可能であることを特徴とする、制限装置。
【請求項2】
前記解放位置にある前記上部(12、13;62)が、前記制限位置より下方位置に位置し、
前記上部(12、13;62)を前記制限位置に付勢し、かつ、前記上部(12、13;62)に荷重がかけられた時、前記上部(12、13;62)の前記解放位置への柔軟な移動を可能にする作動要素(14;64)をさらに具備する、請求項1に記載の制限装置。
【請求項3】
前記上部(12、13)が、少なくとも使用状態において、前記制限装置(9)が載っている前記底部(11)に対して、実質的に固定位置で枢軸(15)を中心に枢動可能であり、前記枢軸(15)から間隔を空けて、前記上部(12、13)を、前記制限位置で維持する少なくとも1つの作動要素(14)を備え、前記制限位置において、前記上部(12、13)の上面が、使用状態において、前記底部(11)に対して、前記前端(8)へ上方に伸び、前記作動要素(14)が、少なくとも前記上部(12、13)の前記解放位置への枢動を可能にするように設計され、そこで、前記前端(8)の最も近くに動作可能に位置する前記上面の部分が、前記制限位置より低く、かつ、前記上面が、平坦に、または少なくとも前記制限位置より前記底部(11)に対して、傾斜しないように伸びる、請求項1または2に記載の制限装置。
【請求項4】
前記作動要素(14;64)が、少なくとも1つのばねとして設計される、請求項2または3に記載の制限装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つのばねが、前記上部(62)の少なくとも一方の側を前記底部(11)から間隔が空けられた前記制限位置まで付勢するように、前記上部(62)の下方に動作可能に位置する少なくとも1つの板ばね(64)として設計される、請求項4に記載の制限装置。
【請求項6】
前記上部(112;162)の、前記前端(8)に向かい、かつ前記前端(8)から離れる経路にわたる変位を案内する、前記底部(11)に沿って動作可能に延在するガイド(120;170)と、少なくとも、前記上部(112;162)を、前記経路において、前記前端(8)から離れた位置まで付勢する少なくとも1つの作動要素(114、122;164)と、をさらに具備する、請求項1に記載の制限装置。
【請求項7】
前記制限位置における高さが、少なくとも7cmである、前記請求項のいずれかに記載の制限装置。
【請求項8】
家畜を飼育するための開放舎用の横臥ボックスであって、牛(10)が、前記横臥ボックス(1)の領域内に入るのを可能にするように開放している後端と、前記横臥ボックス(1)の前記後端から離れた端部にある前端(8)と、を有し、前記横臥ボックス(1)を出入りする牛を側方に案内する側方ガイド(6、7)と、前記横臥ボックスの前記前端(8)の領域における、前記請求項のいずれかに記載の制限装置(9;59;159;209)と、が設けられる、横臥ボックス。
【請求項9】
前記側方ガイド(6)が、前記底部(11)から突出する隆起として設計される、請求項8に記載の横臥ボックス。
【請求項10】
肩梁がない、請求項8または9に記載の横臥ボックス。
【請求項11】
前記制限位置にある前記制限装置(9;59;159;209)が、前記横臥ボックス(1)の前記後端から165cm未満に位置する、前記請求項8−10のいずれか一項に記載の横臥ボックス。
【請求項12】
糞尿通路(2)と請求項8−11のいずれかに記載の横臥ボックス(1)とを有する、家畜を飼育するための開放舎。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2010−518818(P2010−518818A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549543(P2009−549543)
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【国際出願番号】PCT/NL2008/050094
【国際公開番号】WO2008/103038
【国際公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(509232991)アール.アンドリンガ ホールディング ビー.ブイ. (1)
【氏名又は名称原語表記】R.ANDRINGA HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】Bumawei 23 NL−9295 KD Westergreest The Netherlands
【Fターム(参考)】