説明

開放防止構造を持つ車両用収納装置

【課題】一定荷重以上の衝撃が加えられても収納装置が任意に開放されない開放防止構造を持つ車両用収納装置を提供する。
【解決手段】車両の室内に設けられ小物を収納する車両用収納装置において、前記収納装置の下部一側に回動可能に取り付けられ、収納装置カバーを回動可能に支持して前記収納装置カバーの開放時は一側に回転しまた前記収納装置カバーの閉鎖時は他側に回転する回転部材120と、前記回転部材120に隣接して前記収納装置の下部に取り付けられて前記収納装置に衝撃が加えられる時に前記回転部材120の回動を防止するロックピン210が備えられた重力センサとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開放防止構造を持つ車両用収納装置(車両用トレイ)に係り、より詳しくは、一定荷重以上の衝撃が加えられても任意に収納装置が開放されない開放防止構造を持つ車両用収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車には、車両用灰皿装置をはじめとして小物を収納できる様々な種類の小物入れ装置が備えられている。
このような収納装置は、車両の急加速または急制動時や、車両の激しい上下振動時、または車両の衝突時のように、車両に一定荷重以上の衝撃が加えられると収納装置ノブのロックが解除され、この時、収納装置の開放方向に力を加えるように備えられた弾性手段ないし重力手段によって収納装置が開放されてしまう。ところが、このように衝撃時に収納装置が任意に開放されることは安全上問題になるため、このような収納装置の任意開放を防止するために収納装置はヘッドインパクト(Head Impact)法規試験をパスしなければならない。
【0003】
収納装置の任意開放を防止するために、韓国特許公開2003-0055384号公報と同2006-0060067号公報には、錘の回転によって収納装置の開放を防止する技術が開示されている。
また、韓国特許公開2005-0120271号公報には、収納装置カバーガイド部材上に係止溝を形成してここにロック部の回転体に形成された係止部材が係止される構造で収納装置の開放を防止する技術が記載されており、韓国特許公開2007-0066775号公報には、ストッパが形成された回動部材により収納装置を開放するラッチ部材の後退を防止することで収納装置の開放を防止する技術が記載されている。
【0004】
このように、収納装置が任意に開放されないように多くの技術が適用されているが、同一技術分野における競争力を確保するために、ヘッドインパクト法規を満たすより優れた新たな収納装置の開放防止構造が必要である。
【特許文献1】特開2008−024202号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、一定荷重以上の衝撃が加えられても収納装置が任意に開放されない開放防止構造を持つ車両用収納装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明は、車両の室内に設けられ小物を収納する車両用収納装置において、前記収納装置の下部一側に回動可能に取り付けられ、収納装置カバーを回動可能に支持して前記収納装置カバーの開放時は一側に回転しまた前記収納装置カバーの閉鎖時は他側に回転する回転部材と、前記回転部材に隣接して前記収納装置の下部に取り付けられて前記収納装置に衝撃が加えられる時に前記回転部材の回動を防止するロックピンが備えられた重力センサとを含むことを特徴とする。
【0007】
前記回転部材は、外周面に沿って流線形に形成されて、前記ロックピンを収容するガイドレールをさらに含むことができる。
また、前記ガイドレールは、ガイドレールの一端が前記収納装置カバーの閉状態で前記重力センサの移動方向と同じ方向に折り曲げられて形成され、前記ロックピンを収納するストッパレールをさらに含むことができる。
【0008】
前記重力センサは、前記重力センサを前記収納装置の一側に回動可能に固定させる固定部材と、前記収納装置に衝撃が加えられる時に衝撃に反応して前記固定部材を中心に回動することにより前記ロックピンを前記回転部材側に移動させる錘(weight)とをさらに含むことができる。
【0009】
前記重力センサは前記固定部材付近に設けられ、前記重力センサが所定の大きさ以上の衝撃を受けた時にだけ、前記ロックピンが前記回転部材側に移動するようにする荷重制限部材をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一実施例に係る開放防止構造を持つ車両用収納装置は、重力センサを適用することにより、一定荷重以上の衝撃が加えられて収納装置ノブのロックが解除されても任意に収納装置が開放されないため、ヘッドインパクト(Head Impact)関連法規を満足させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本発明の一実施例に係る開放防止構造を持つ車両用収納装置について詳しく説明する。
図1は、本発明に係る開放防止構造を持つ車両用収納装置の閉状態を示す底面図であり、図2は、本発明に係る開放防止構造を持つ車両用収納装置の開状態を示す底面図である。図3は、本発明に係る車両用収納装置に衝撃が加えられた時の作動状態を示す底面図であり、図4は、本発明の車両用収納装置に係る重力センサの作動状態を示す底面図である。
【0012】
図1〜図4に示すように、本発明の収納装置100は、回転部材120により回動可能に収納装置100に取り付けられる収納装置カバー110により開閉される。回転部材120は、収納装置100に装着され、回転部材120に隣接して収納装置カバー110の任意開放を防止する重力センサ200が設けられている。
回転部材120は、収納装置100の下部一側に回動可能に装着され、外周面の一側に沿って流線形のガイドレール122とガイドレール122の端部に形成されたストッパレール124が貫通して形成される。
【0013】
図1に示すように、収納装置カバー110が開いていない状態、すなわち収納装置100の閉状態で、回転部材120は図1を基準として左側にガイドレール122が位置する状態となる。
図2に示すように、収納装置カバー110を開放すると、回転部材120が回転すると共に、ガイドレール122が図2を基準にして右側に回転して位置することになる。
ガイドレール122は、全体的に流線形に外周面に沿って貫通して形成され、ガイドレール122の端部は、図1および図2に示すように、1回折り曲げられてストッパレール124を形成する。
【0014】
図3に示すように、ストッパレール124は、ガイドレール122の端部から重力センサ200の移動方向と同じ方向に折り曲げて形成される。
ガイドレール122は、重力センサ200に形成されたロックピン210を収容し、一定荷重以上の衝撃が加えられる状態ではロックピン210がストッパレール124に移動して収納装置カバー110が任意に開放されないようにする。
【0015】
図1〜図4に示すように、実施例では重力センサ200が略‘フ’字状に形成され、その一端部は収納装置100の下側に固定部材230を中心に回動可能に固定され、他端部にはロックピン210と錘220が備えられる。
実施例で、ロックピン210は重力センサ200の‘フ’字状の角部分に突出形成され、ガイドレール122に収容されるように備えられており、固定部材230は固定スクリューである。固定部材230付近には、収納装置100に一定の大きさ以上の衝撃が加えられた時にだけ重力センサ200が作動するようにすることで、重力センサ200が反応する荷重の大きさを制限する荷重制限部材240が備えられる。
荷重制限部材240は固定部材230と同軸に備えられたトーションスプリングであるため、トーションスプリングの反発力を超えて重力センサ200を回動させることができる大きさ以上の衝撃にだけ重力センサ200が反応することになる。
【0016】
次に、図1〜図4を参照して重力センサ200の作動について説明する。収納装置100に衝撃が加えられると、その衝撃によって発生した加速度により錘220が上方に移動する。この時、重力センサ200が固定部材230を中心に回動するように構成されているため、錘220も固定部材230を中心にする円弧軌跡に沿って移動する。ただし、その衝撃が予め設定された一定の大きさに達していない時には、トーションスプリングの反発力を超えないため錘220の上方移動が抑制される。錘220が上方に移動することによって、ロックピン210を上方に向けて回転部材120側に移動させることになり、さらに後述するようにストッパレール124に進入させることになる。
【0017】
ロックピン210の作動についてより詳しく説明すると、一般的な収納装置100の開閉状態では、ロックピン210の設置位置がガイドレール122の移動軌跡上にあるため、回転部材120の回転作動に何ら影響を与えない。
しかし図3に示すように、車両に一定荷重以上の衝撃(Impact、矢印方向参照)が加えられると、重力センサ200が矢印方向(a)に移動しながらロックピン210がガイドレール122から外れ、ストッパレール124に進入してストッパレール124の内側に移動する。
したがって、ロックピン210により回転部材120の回転が制限されるため、衝撃によって収納装置ノブ(図示せず)のロックが解除されても、回転部材120の回動によって開閉される収納装置カバー110は開かないことになる。
【0018】
本発明の一実施例で一つ留意すべき点は、衝撃によって収納装置ノブのロックが解除され収納装置カバー110が開く状態となる衝撃の大きさよりも、重力センサ200が作動してロックピン210のストッパレール124に進入させるようにする衝撃の大きさの方が、より小さくなるように重力センサ200の感度が設定されなければならないという点である。このように設定されれば、衝撃によって収納装置ノブのロックが解除されて収納装置カバー110が開く前に、重力センサ200が先に作動して収納装置カバー110が任意に開放されることを防止できるためである。
【0019】
衝撃によって先に重力センサ200が作動し、続いて収納装置ノブのロックが解除されて収納装置カバー110が開き始めると、収納装置カバー110を開放させる方向に力を加える弾性手段ないし重力手段(図示せず)により、収納装置カバー110は開放方向に続けて力を受けることになる。この時、既にストッパレール124内に進入している重力センサ200のロックピン210は、前記弾性手段ないし重力手段から収納装置カバー110に加えられる力によって、ストッパレール124の壁面に圧搾ないし摩擦接触されることによりガイドレール122に向かって下方移動が防止され、これにより収納装置カバー110がこれ以上開放されることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る開放防止構造を持つ車両用収納装置の閉状態を示す底面図である。
【図2】本発明に係る開放防止構造を持つ車両用収納装置の開状態を示す底面図である。
【図3】本発明に係る車両用収納装置に衝撃が加えられた時の作動状態を示す底面図である。
【図4】本発明の車両用収納装置に係る重力センサの作動状態を示す底面図である。
【符号の説明】
【0021】
100 収納装置
110 収納装置カバー
120 回転部材
122 ガイドレール
124 ストッパレール
200 重力センサ
210 ロックピン
220 錘
230 固定部材
240 荷重制限部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の室内に設けられ、小物を収納する車両用収納装置(車両用トレイ)(100)において、
前記収納装置(100)の下部一側に回動可能に取り付けられ、収納装置カバー(110)を回動可能に支持して前記収納装置カバー(110)の開放時は一側に回転し、また前記収納装置カバー(110)の閉鎖時は他側に回転する回転部材(120)と、
前記回転部材に隣接し前記収納装置(100)の下部に取り付けられて前記収納装置(100)に衝撃が加えられる時に前記回転部材(120)の回動を防止するロックピン(210)が備えられた重力センサ(200)とを含むことを特徴とする開放防止構造を持つ車両用収納装置。
【請求項2】
前記回転部材(120)は、外周面に沿って流線形に形成され、前記ロックピン(210)を収容するガイドレール(122)をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の開放防止構造を持つ車両用収納装置。
【請求項3】
前記ガイドレール(122)は、ガイドレール(122)の一端が前記収納装置カバー(110)の閉状態で前記重力センサ(200)の移動方向と同じ方向に折り曲げられて形成され、前記ロックピン(210)を収納するストッパレール(124)をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の開放防止構造を持つ車両用収納装置。
【請求項4】
前記重力センサ(200)は、前記重力センサ(200)を前記収納装置(100)の一側に回動可能に固定させる固定部材(230)と、前記収納装置(100)に衝撃が加えられる時に衝撃に反応して前記固定部材(230)を中心に回動することにより前記ロックピン(210)を前記回転部材(120)側に移動させる錘(weight)(220)とをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の開放防止構造を持つ車両用収納装置。
【請求項5】
前記重力センサ(200)は、前記固定部材(230)付近に設けられ、前記重力センサ(200)が所定の大きさ以上の衝撃を受けた時にだけ前記ロックピン(210)が前記回転部材(120)側に移動するようにする荷重制限部材(240)をさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の開放防止構造を持つ車両用収納装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−270426(P2009−270426A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−317169(P2008−317169)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【出願人】(500518050)起亞自動車株式会社 (449)
【Fターム(参考)】