説明

開花時期制御遺伝子であるFTの、サトウダイコンのホモログのトランスジェニック発現による、サトウダイコンにおける抽薹耐性の改変

本発明は、サトウダイコンの抽薹及び開花制御の分野、特にFT遺伝子のベータ・ブルガリス(Beta vulgaris)ホモログであるBvFT1とBvFT2の発現を改変することにより、サトウダイコンの抽薹耐性を操作するための方法、並びに核酸分子、キメラ構築物、及びベクターに関する。特に本発明は、抽薹耐性の表現型を有するサトウダイコン植物を提供する。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号5、6、8、若しくは9のいずれかに記載の核酸配列又はその相補体から成る群から選択される核酸配列
a)と少なくとも70%の配列同一性を有する;或いは
b)の少なくとも15個の連続ヌクレオチドを含む;或いは
c)とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、核酸配列、好ましくは単離された核酸分子。
【請求項2】
配列番号5、6、8、又は9のいずれかに記載の核酸配列を含む、請求項1に記載の核酸配列。
【請求項3】
配列番号1又は2に記載の核酸配列によりコードされるポリペプチド、好ましくは単離されたポリペプチド。
【請求項4】
配列番号7又は10に記載のアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を有する、請求項3に記載のポリペプチド。
【請求項5】
調節エレメントの制御下、好ましくは植物中で機能する調節エレメントの制御下にある、配列番号1又は2に記載の核酸配列を含むキメラ構築物。
【請求項6】
選択工程において、形質転換植物物質と非形質転換植物物質との区別を可能にする選択マーカー遺伝子をさらに含む、請求項5に記載のキメラ構築物。
【請求項7】
a)サトウダイコン中の内因性BvFT2遺伝子の発現のトランスジェニック下方制御若しくは抑制;又は、
b)サトウダイコン中の内因性BvFT1遺伝子の発現のトランスジェニック上方制御のいずれかのために提供される、請求項5又は6に記載のキメラ構築物。
【請求項8】
前記下方制御若しくは抑制が、
a)dsRNA;
b)アンチセンス抑制;又は
c)コサプレッション
から成る群から選択される手段により達成される、内因性BvFT2遺伝子の発現のトランスジェニック下方制御若しくは抑制のための、請求項7に記載のキメラ構築物。
【請求項9】
第1のRNA鎖及び第2のRNA鎖をコードし、並びに転写されたときに第1のRNAヌクレオチド配列及び第2のRNAヌクレオチド配列を生じる異種DNAを含み、ここで、前記第1のRNA鎖は、サトウダイコン中の内因性BvFT2遺伝子のRNA鎖の少なくとも一部と十分に相補的であって、前記内因性BvFT2遺伝子の発現の下方制御若しくは抑制を引き起こすために、前記内因性BvFT2遺伝子により産生されるRNA鎖とハイブリダイズ若しくはアニーリングし、並びに、前記第1のRNAヌクレオチド配列及び前記第2のRNAヌクレオチド配列は2本鎖RNAを形成し、ここで前記2本鎖RNAは、サトウダイコン植物中での発現時において、前記内因性BvFT2遺伝子の発現のRNA干渉に関与し、それにより、前記内因性BvFT2遺伝子の発現の下方制御若しくは抑制を引き起こす、請求項8に記載のキメラ構築物。
【請求項10】
逆方向反復を、好ましくは構成的プロモーターと作動可能に連結された逆方向反復を含み、そしてそれは転写されたときに、前記第1及び第2のRNA鎖を含む前記サトウダイコン植物細胞中で2本鎖RNA分子を形成し、前記2本鎖RNA分子はBvFT2のサイレンシングを引き起こす、請求項9に記載のキメラ構築物。
【請求項11】
前記異種DNAが、請求項1又は2に記載の、配列番号8若しくは9に記載の核酸配列
a)と少なくとも70%の配列同一性を有する;或いは
b)の少なくとも15個の連続ヌクレオチドを含む;或いは
c)とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、
核酸配列を含む、請求項9又は10に記載のキメラ構築物。
【請求項12】
ヌクレオチド配列5’−CTATGGATCCGCATTTAATAAAATCTCTTTCAATG−3’(配列番号44)を有する順方向プライマーHiNK6382、及びヌクレオチド配列5’−GTAGAAGCAGAAACTTACCTGCCAAGAAGTTGTCTGCTATG−3’(配列番号45)を有する逆方向プライマーHiNK6384を使用するPCR反応で、BvFT2遺伝子のエクソン4からなる、0.27KbのcDNA断片から得られる異種DNAを含む、請求項11に記載のキメラ構築物。
【請求項13】
配列番号33のヌクレオチド8747〜9046で示される異種DNAを含む、請求項12に記載のキメラ構築物。
【請求項14】
前記キメラ構築物中の前記異種DNAが、プロモーターとターミネーターとの間に挿入され、ここで、
a)ヌクレオチド配列5’−CTATGGATCCGCATTTAATAAAATCTCTTTCAATG−3’(配列番号44)を有する順方向プライマーHiNK6382、及びヌクレオチド配列5’−GTAGAAGCAGAAACTTACCTGCCAAGAAGTTGTCTGCTATG−3’(配列番号45)を有する逆方向プライマーHiNK6384、並びに鋳型としてサトウダイコンcDNAを使用するPCR反応で、BvFT2遺伝子のエクソン4から得られる0.27KbのcDNA断片を増幅し、ここで、前記サトウダイコンcDNAは、ヌクレオチド配列5’−GCGAGCACAGAATTAATACGACTCACTATAGGT12VN−3’(配列番号35)を有する3’RACEアダプターをプライマーとして使用する逆転写反応で、サトウダイコンの葉から抽出された総RNAから得られ;
b)ヌクレオチド配列5’−CATAGCAGACAACTTCTTGGCAGGTAAGTTTCTGCTTCTAC−3’(配列番号46)を有する順方向プライマーHiNK6383、及びヌクレオチド配列5’−ATCCAACCGCGGACCTGCACATCAACAA−3’(配列番号40)を有する逆方向プライマーHiNK529、並びに鋳型としてジャガイモSt−LS1イントロンを含有するジャガイモDNAを使用して、ST−LS1イントロン及び隣接するスプライシング部位を含む、0.19Kbの断片を増幅し;
c)プライマーHiNH6382及びHiNK529、並びに鋳型として工程a)及びb)で得られた増幅生成物の混合物を使用する2回目のPCRにより、工程a)及びb)で得られた増幅生成物を互いに融合し、長さ0.47Kbの融合生成物を得;
d)ヌクレオチド配列5’−TAAATCCGCGGGCCAAGAAGTTGTCTGCTATG−3’(配列番号47)を有する順方向プライマーHiNK6385、及びヌクレオチド配列5’−CTATTTGTCGACGCATTTAATAAAATCTCTTTC−3’(配列番号48)を有する逆方向プライマーHiNK6386、並びに鋳型として上記サブセクションa)に記載されたサトウダイコンcDNAを使用して、0.27KbのBvFT2断片の2回目の増幅を行い;
e)SacII制限部位で両方の断片を融合させて、前記ジャガイモST−LS1遺伝子から、イントロンにより分離されたBvFT2配列の逆方向反復を作成すること
により、前記異種DNAが得られる、請求項11〜13のいずれか1項に記載のキメラ構築物。
【請求項15】
配列番号33に記載のヌクレオチド配列で示される配列を含む、請求項14に記載のキメラ構築物。
【請求項16】
BvFT1遺伝子又はその一部をコードするヌクレオチド配列を含み、ここで、BvFT1遺伝子又はその一部をコードする前記ヌクレオチド配列は、配列番号5若しくは6として示される、請求項1又は2に記載の核酸配列と、
a)少なくとも70%の配列同一性を有するか;又は、
b)ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする
ヌクレオチド配列を有し、ここで植物中での発現時に、内因性BvFT1遺伝子の発現の上方制御が生じるように、BvFT1遺伝子又はその一部をコードする前記ヌクレオチド配列が、制御配列に作動可能に連結される、内因性BvFT1遺伝子の発現のトランスジェニック上方制御のための、請求項7に記載のキメラ構築物。
【請求項17】
BvFT1遺伝子をコードする前記ヌクレオチド配列が、配列番号6に記載のヌクレオチド配列を有する、請求項16に記載のキメラ構築物。
【請求項18】
配列番号34のヌクレオチド2076〜2615で示されるヌクレオチド配列を含む、請求項16又は17のキメラ構築物。
【請求項19】
配列番号34で示されるヌクレオチド配列を含む、請求項18に記載のキメラ構築物。
【請求項20】
前記異種DNAが、構成的プロモーター、好ましくはシロイヌナズナ(Arabidopsis)のUbi3プロモーターに作動可能に連結される、請求項16〜19のいずれか1項に記載のキメラ構築物。
【請求項21】
請求項5〜20のいずれか1項に記載のキメラ構築物を含む、植物形質転換ベクター及び/又は植物発現ベクター。
【請求項22】
a)請求項5〜15のいずれか1項に記載のキメラ構築物を含むRNAi発現ベクター、及び/又は
b)請求項5〜7及び16〜20のいずれか1項に記載のキメラ構築物を含む発現ベクター
である、請求項21に記載の植物形質転換ベクター。
【請求項23】
配列番号33に記載のヌクレオチド配列を有するキメラ構築物を含む、請求項22に記載のRNAi発現ベクター。
【請求項24】
配列番号34に記載のヌクレオチド配列を有するキメラ構築物を含む、請求項22に記載の発現ベクター。
【請求項25】
(a)内因性BvFT2遺伝子の発現が、トランスジェニック・サトウダイコン植物中で下方制御若しくは抑制され;及び/又は
(b)内因性BvFT1遺伝子の発現が、前記トランスジェニック・サトウダイコン植物中で上方制御される、
内因性BvFT1遺伝子及び/又はBvFT2遺伝子が調節される前記トランスジェニック・サトウダイコン植物、又はその細胞、組織、若しくは種子。
【請求項26】
内因性BvFT2遺伝子の発現が、
a)dsRNA;
b)アンチセンス抑制;又は
c)コサプレッション
から成る群から選択される方法により下方制御若しくは抑制される、請求項25に記載のトランスジェニック・サトウダイコン植物、又はその細胞、組織、若しくは種子。
【請求項27】
請求項5〜15のいずれか1項に記載のキメラ構築物、又は請求項1若しくは2に記載の核酸配列を含み、抽薹耐性であり、且つ、遅延抽薹の表現型を、好ましくは非抽薹表現型を示す、請求項26に記載のトランスジェニック・サトウダイコン植物、又はその細胞、組織、若しくは種子。
【請求項28】
請求項5〜7及び16〜20のいずれか1項に記載のキメラ構築物、又は請求項1若しくは2に記載の核酸配列を含み、ここで内因性BvFT1は、前記トランスジェニック・サトウダイコン植物中で過剰発現され、並びに前記植物は遅延抽薹の表現型を、好ましくは非抽薹表現型を示す、請求項25に記載のトランスジェニック・サトウダイコン植物、又はその細胞、組織、若しくは種子。
【請求項29】
請求項25〜28のいずれか1項に記載の細胞、組織、又は種子から産生される、トランスジェニック・サトウダイコン植物。
【請求項30】
請求項25〜29のいずれか1項に記載のトランスジェニック・サトウダイコン植物の根又は後代。
【請求項31】
抽薹耐性の表現型を有するサトウダイコン植物が生長され得るハイブリッド種子を生産する方法であって、以下の工程:
a.抽薹耐性の表現型を有するサトウダイコン系統、特に、請求項26〜30のいずれか1項に記載のトランスジェニック・サトウダイコン植物を、第1の親系統として提供し;
b.工程a)のサトウダイコン系統とは異なる遺伝子型を有するサトウダイコン系統を、第2の親系統として提供し;
ここで、工程a)又は工程b)の親系統の1つは雄性不稔cms系統であり、他の親系統は雄性稔性であり、並びに、
c.前記雄性稔性親系統の植物を前記雄性不稔親系統の花に受粉させ、種子を生長させ、及びハイブリッド種子を採取し;
ここで、採取された前記ハイブリッド種子は、遅延抽薹の表現型を有する、好ましくは非抽薹表現型を有するサトウダイコン・ハイブリッド植物の種子であること
を含む、前記方法。
【請求項32】
雄性不稔CMSサトウダイコン親系統が、請求項5〜20のいずれか1項に記載のキメラ構築物を含む同系繁殖系サトウダイコン系統である、請求項31に記載のサトウダイコン・ハイブリッド種子を生産する方法。
【請求項33】
遅延抽薹の表現型、好ましくは非抽薹表現型を有する、サトウダイコン植物のハイブリッド種子。
【請求項34】
請求項31又は32の方法により産生される、請求項33に記載のハイブリッド種子。
【請求項35】
請求項33又は34のハイブリッド種子を生長させることにより産生される、遅延抽薹の表現型、好ましくは非抽薹表現型を有する、ハイブリッド・サトウダイコン植物。
【請求項36】
種子、胚、小胞子、葯、接合子、プロトプラスト、細胞、卵子、胚珠、花粉、主根、子葉、抽出物、又は生物学的試料から成る群から選択される植物の部分であって、請求項25〜30のいずれか1項に記載のトランスジェニック・サトウダイコン植物、又はその細胞、組織、若しくは種子から、或いは請求項33又は24に記載のハイブリッド種子から、或いは請求項35に記載のハイブリッド・サトウダイコン植物から得られる、前記植物の部分。
【請求項37】
サトウダイコン植物細胞の形質転換のための、請求項1又は2に記載の核酸配列若しくはその断片、又は請求項5〜20のいずれか1項に記載のキメラ構築物の使用。
【請求項38】
請求項1若しくは2に記載の核酸配列の使用、又は請求項5〜20のいずれか1項に記載のキメラ構築物の使用、又は請求項21〜24のいずれか1項に記載のベクターの使用を含む、サトウダイコン植物細胞を形質転換する方法。
【請求項39】
糖生産法、好気性発酵法、及び嫌気性発酵法を含む群から選択される方法、特に糖生産法における、請求項25〜30のいずれか1項に記載のトランスジェニック・サトウダイコン植物の使用、請求項35に記載のハイブリッド・サトウダイコン植物の使用、又は請求項36に記載の植物の部分の使用。
【請求項40】
糖を生産するために、請求項25〜30、35、又は36のいずれか1項に記載のサトウダイコン植物、若しくはその細胞、又は組織が加工される、糖の生産法。
【請求項41】
請求項25〜30、35、又は36のいずれか1項に記載のサトウダイコン植物、若しくはその細胞、又は組織から生産された糖。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公表番号】特表2012−501172(P2012−501172A)
【公表日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−524269(P2011−524269)
【出願日】平成21年9月1日(2009.9.1)
【国際出願番号】PCT/EP2009/006319
【国際公開番号】WO2010/025888
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(500584309)シンジェンタ パーティシペーションズ アクチェンゲゼルシャフト (352)
【Fターム(参考)】