説明

開閉キャップのヒンジ連結装置とそのキャップと容器

【課題】 従来、キャップ本体の開閉バネ片を中央に有するワンタッチ開閉キャップのプラスチック製のヒンジ連結装置は、親指を使ってひねりを伴ってキャップ本体を開閉するため、ヒンジの薄肉連結部が引き伸ばされ、キャップ開閉操作の円滑性とキャップの密閉性が失われる課題があった。
【解決手段】
キャップ基部体10に対してキャップ本体20をワンタッチで開閉可能な開閉バネ片3を中央に有すると共に、その両側にヒンジ連結部4を有するワンタッチ開閉キャップ1のヒンジ連結装置2において、ヒンジ連結部4の屈曲自在な薄肉連結部5の側部に薄肉補強膜体30を一体に設けてなるワンタッチ開閉キャップのヒンジ連結装置とそのキャップと容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口部を有する容器側のキャップ基部体に対して開口部を覆うキャップ本体を弾力的に開閉可能な開閉バネ片を中央に有すると共に、その両側にヒンジ連結部を有する開閉キャップのプラスチック製のヒンジ連結装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の開閉キャップは粉末調味料などの振出容器に使用されており、キャップ本体を弾力的にワンタッチで開閉可能な開閉バネ片を中央に有すると共に、その両側のヒンジ連結部のキャップ基部体側の連結体の先端部とキャップ本体側の連結体の先端部を屈曲可能な薄肉連結部で連結してあり、実開昭59−66760号及び特開2007−62745号公報などに記載のように、従来から知られている(特許文献1、2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭59−66760号公報
【特許文献2】特開2007−62745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、振出容器などに使用されるこの種の開閉キャップでは、例えば、一方の手で調理器具等を持ち、他方の手で振出容器を取り上げて握った状態で、握った手の指を使ってキャップ本体をワンタッチで開いて容器内の粉末調味料などを振り出し、振り出し後には直ちにキャップ本体をその指又は他の指で閉じるような操作を繰り返して行うことが多い。
【0005】
この指で行うキャップ開閉操作によって、キャップ本体を斜めに押してヒンジ連結部にねじり方向の開閉力を長期間にわたって繰り返し加え、キャップ基部体側とキャップ本体側の連結体を連結する薄肉連結部が引き伸ばされ変形すると、キャップ開閉操作が円滑にできなくなる場合も考えられ、キャップ本体を弾力的に開閉可能な開閉バネ片を中央に有するヒンジ連結部を、基本的な構造を改変したり大型化することなく強化することができれば、キャップ切込の隙間等が少なくなり有利である。
【0006】
ヒンジ連結部の中央に設けた開閉バネ片は、キャップ基部体とキャップ本体を切り抜く形態で開閉キャップの背後中央に縦長に設けてあり、その両端部のバネ接合部は、キャップ基部体とキャップ本体に屈曲自在に連結してある。開閉バネ片は、その一方のバネ接合部の位置がキャップ本体の上蓋部まで達するように大きく切り込んで設けてあり、上蓋部に強力な閉じ弾力を付与して迅速に閉蓋すると共に閉蓋状態を確実に維持することができる利点がある反面、上蓋部に大きく切り込んで設けてある分だけ蓋部の径や形状によっては開閉バネ片と蓋部の表面上に隙間が生じやすくなることから、開閉バネ片の横幅はなるべく小さくして隙間を少なくすると共に、同様に、その両側に設けたヒンジ連結部の幅もそれだけ狭い構造にすることが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明は、請求項1に記載のように、開口部を有する容器側のキャップ基部体に対して開口部を覆うキャップ本体を弾力的に開閉可能な開閉バネ片を中央に有すると共に、その両側にプラスチック製のヒンジ連結部を有する開閉キャップのヒンジ連結装置において、前記ヒンジ連結部のキャップ基部体側の連結体の先端部とキャップ本体側の連結体の先端部を屈曲可能な薄肉連結部で連結すると共に、前記薄肉連結部の側部に薄肉補強膜体を一体に設けてなる開閉キャップのヒンジ連結装置を提供しようとするものである。
【0008】
また、本発明は、請求項2に記載のように、請求項1に記載の開閉キャップのヒンジ連結装置において、薄肉補強膜体の肉厚が薄肉連結部の肉厚に対して肉厚比をほぼ0.5〜1.5に設けてなる開閉キャップのヒンジ連結装置を提供しようとするものである。
【0009】
また、本発明は、請求項3に記載のように、請求項1又は2に記載の開閉キャップのヒンジ連結装置において、薄肉補強膜体の肉厚が薄肉連結部の肉厚に対して肉厚比をほぼ同一に設けてある開閉キャップのヒンジ連結装置を提供しようとするものである。
【0010】
また、本発明は、請求項4に記載のように、請求項1、2又は3に記載の開閉キャップのヒンジ連結装置において、薄肉補強膜体が連結体の側部に一体に連結して設けてある開閉キャップのヒンジ連結装置を提供しようとするものである。
【0011】
また、本発明は、請求項5に記載のように、請求項1乃至4のいずれかに記載の開閉キャップのヒンジ連結装置において、薄肉補強膜体が連結体の基部の側部に位置するキャップ基部体及び又はキャップ本体に一体に連結して設けてある開閉キャップのヒンジ連結装置を提供しようとするものである。
【0012】
また、本発明は、請求項6に記載のように、請求項1乃至5のいずれかに記載の開閉キャップのヒンジ連結装置において、薄肉補強膜体が開閉バネ片に対して連結体及び薄肉連結部の外側に設けてあるキャップのヒンジ連結装置を提供しようとするものである。
【0013】
また、本発明は、請求項7に記載のように、請求項1乃至6のいずれかに記載の開閉キャップのヒンジ連結装置において、薄肉補強膜体の周縁部30aの長さCが薄肉連結部の端縁部5aの幅Bに対してほぼ1.2倍以上の比率に設けてある開閉キャップのヒンジ連結装置を提供しようとするものである。
【0014】
また、本発明は、請求項8に記載のように、請求項1乃至7のいずれかに記載の開閉キャップのヒンジ連結装置において、薄肉補強膜体が少なくとも中央の開閉バネ片とその両側のヒンジ連結部とプラスチックの一体成形加工により製造されている開閉キャップのヒンジ連結装置を提供しようとするものである。
【0015】
また、本発明は、請求項9に記載のように、請求項1乃至8のいずれかに記載の開閉キャップのヒンジ連結装置において、キャップ基部体が片手で握れる容器に装着可能であると共に、キャップ本体をその容器を握った手の指で開閉可能な開閉キャップのヒンジ連結装置を提供しようとするものである。
【0016】
また、本発明は、請求項10に記載のように、請求項1乃至9のいずれかに記載のヒンジ連結装置を有する開閉キャップを提供しようとするものである。
【0017】
また、本発明は、請求項11に記載のように、請求項10に記載の開閉キャップを装着した食品収容用の容器を提供しようとするものである。
【0018】
また、本発明は、請求項12に記載のように、請求項10に記載の開閉キャップを着脱自在に装着して内容物を詰め替え自在に収容した容器を提供しようとするものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る開閉キャップのヒンジ連結装置によれば、請求項1に記載のように、開口部を有する容器側のキャップ基部体に対して開口部を覆うキャップ本体を弾力的に開閉可能な開閉バネ片を中央に有すると共に、その両側にプラスチック製のヒンジ連結部を有する開閉キャップのヒンジ連結装置において、前記ヒンジ連結部のキャップ基部体側の連結体の先端部とキャップ本体側の連結体の先端部を屈曲可能な薄肉連結部で連結すると共に、前記薄肉連結部の側部に薄肉補強膜体を一体に設けてなる構成を有することにより、キャップ開閉操作の繰り返しによって、ヒンジ連結部の薄肉連結部の側部に集中して開閉屈曲作用やねじり方向の開閉力が加わっていたのに対して、ねじれによってその側端から切れやすい薄肉連結部の側部に一体に薄肉補強膜体が設けてあるから、薄肉連結部の側部に加わる集中応力が薄肉補強膜体によって分散され緩和されて、結果としてヒンジ連結部が薄肉補強膜体によって強力に補強され、ヒンジ連結部の薄肉連結部の強化によって、結果としてヒンジ連結部の中央に設けた開閉バネ片を引き伸ばしやねじれから保護することになり、開閉バネ片を中央に有するヒンジ連結部の小型化ができ、基本的にヒンジ連結部の構造を改変したり大型化することなく強化することができ、キャップ開閉操作を安定して長期間にわたって円滑に継続することができる効果がある。
【0020】
また、本発明は、請求項2に記載のように、請求項1に記載の開閉キャップのヒンジ連結装置において、薄肉補強膜体の肉厚が薄肉連結部の肉厚に対して肉厚比をほぼ0.5〜1.5に設けてある構成を有することにより、ヒンジ連結部が薄肉連結部より肉厚が薄いか、それほど厚くない一体に屈曲可能な薄肉補強膜体により充分に補強され、保護される効果がある。
【0021】
また、本発明は、請求項3に記載のように、請求項1又は2に記載の開閉キャップのヒンジ連結装置において、薄肉補強膜体の肉厚が薄肉連結部の肉厚に対して肉厚比をほぼ同一に設けてある構成を有することにより、薄肉補強膜体と薄肉連結部を金型によって安価に一体成形加工することができると共に、薄肉連結部を同等に屈曲可能な薄肉補強膜体で補強し保護することができる効果がある。
【0022】
また、本発明は、請求項4に記載のように、請求項1、2又は3に記載の開閉キャップのヒンジ連結装置において、薄肉補強膜体が連結体の側部に一体に連結して設けてある構成を有することにより、薄肉補強膜体を連結体と一体に薄肉連結部と共に屈曲し易くすることができる効果がある。
【0023】
また、本発明は、請求項5に記載のように、請求項1乃至4のいずれかに記載の開閉キャップのヒンジ連結装置において、薄肉補強膜体が連結体の基部の側部に位置するキャップ基部体及び又はキャップ本体に一体に連結して設けてある構成を有することにより、連結体と薄肉連結部とからなるヒンジ連結を薄肉補強膜体で補強することができる効果がある。
【0024】
また、本発明は、請求項6に記載のように、請求項1乃至5のいずれかに記載の開閉キャップのヒンジ連結装置において、薄肉補強膜体が開閉バネ片に対して連結体及び薄肉連結部の外側に設けてある構成を有することにより、キャップ開閉操作時にヒンジ連結部に加わるねじれ力に薄肉補強膜体が連結体及び薄肉連結部の両外側において強固に対抗して補強する効果がある。
【0025】
また、本発明は、請求項7に記載のように、請求項1乃至6のいずれかに記載の開閉キャップのヒンジ連結装置において、薄肉補強膜体の周縁部30aの長さCが薄肉連結部の端縁部5aの幅Bに対してほぼ1.2倍以上の比率に設けてある構成を有することにより、繰り返してねじり力を受ける薄肉連結部の端縁部5aがその幅Bより周縁部30aが1.2倍以上の長さCを有する薄肉補強膜体によってその長さ分だけ強化され補強される効果がある。
【0026】
また、本発明は、請求項8に記載のように、請求項1乃至7のいずれかに記載の開閉キャップのヒンジ連結装置において、薄肉補強膜体が少なくとも中央の開閉バネ片とその両側のヒンジ連結部とプラスチックの一体成形加工により製造されている構成を有することにより、薄肉補強膜体を開閉キャップのヒンジ連結部と共にプラスチックの一体成形加工で容易に製作することができる効果がある。
【0027】
また、本発明は、請求項9に記載のように、請求項1乃至8のいずれかに記載の開閉キャップのヒンジ連結装置において、キャップ基部体が片手で握れる容器に装着可能であると共に、キャップ本体をその容器を握った手の指で弾力的に開閉可能な構成を有することにより、薄肉補強膜体で補強されたヒンジ連結部がねじれたりすることがないから、キャップ開閉操作を長期間にわたって円滑に行うことができる効果がある。
【0028】
また、本発明は、請求項10に記載のように、請求項1乃至9のいずれかに記載のヒンジ連結装置を有する開閉キャップを提供する効果がある。
【0029】
また、本発明は、請求項11に記載のように、請求項10に記載の開閉キャップを装着した食品収容用の容器を提供する効果がある。
【0030】
また、本発明は、請求項12に記載のように、請求項10に記載の開閉キャップを着脱自在に装着して内容物を詰め替え自在に収容した容器を提供する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明装置の一実施例の平面図。
【図2】その正面図。
【図3】図1のA−A線縦断面図。
【図4】図3の要部の拡大面図。
【図5】図1の要部の拡大平面図。
【図6】図1の実施例のキャップが閉じた状態の側面図。
【図7】図5の要部の拡大面図。
【図8】図6の正面図。
【図9】図8の平面図。
【図10】図1の説明図。
【図11】他の実施例の要部の平面図。
【図12】図11の要部の拡大面図。
【図13】他の実施例の要部の平面図。
【図14】図13の要部の拡大面図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明に係る開閉キャップ1のヒンジ連結装置2は、開口部11を有する容器側のキャップ基部体10に対して、該開口部11を覆うキャップ本体20を弾力的に開閉可能な開閉バネ片3を中央に有すると共に、その両側にヒンジ連結部4を有する。なお、図示の実施例の場合、開口部11は、天板部16に1個小さく開口しているが、用途に応じて大きく1個又は複数個を適宜に配設可能である。
【実施例1】
【0033】
前記開閉キャップ1は、図2に記載のように、キャップ基部体10のキャップ受面12とキャップ本体20のキャップ嵌合面22とが水平になる開き状態で、雄型と雌型とによって挟持される形でプラスチックの射出成形加工により一体成形される。
【0034】
従って、ヒンジ連結装置2はキャップ基部体10とキャップ本体20と同一のプラスチックで一体に成形されており、前記開閉バネ片3の両側に位置するキャップ基部体10側のヒンジ連結部4の連結体13の先端部とキャップ本体20側のヒンジ連結部4の連結体23の先端部は屈曲可能な薄肉連結部5で連結されている。
【0035】
開閉バネ片3は、図3に記載のように、U字状に収縮弾力を有するように成形されており、その一端部がキャップ基部体10側と前記薄肉連結部と同様に屈曲可能なバネ接合部6で連結し、その他端部がキャップ本体20側と屈曲可能なバネ接合部7で連結しており、図2又は図3において、キャップ基部体10側とのバネ接合部6とキャップ本体20側のバネ接合部7とを結ぶ引張弾力線8がヒンジ連結部4の薄肉連結部5より外側に位置する時には開き弾力をキャップ本体20に付与してキャップ本体20を開蓋状態に維持し、図8に記載のように、内側に位置する時には閉じ弾力をキャップ本体20に付与してキャップ本体20の閉蓋状態を維持する。
【0036】
開閉バネ片3は、バネ接合部7の位置がキャップ本体20の上蓋部25まで大きく切り込んで設けてあるように、上蓋部25に強力な閉じ弾力を付与して迅速に閉蓋すると共に閉蓋状態を確実に維持することができる利点がある反面、上蓋部25に大きく切り込んで設けてある分だけ蓋部に隙間が生じることから、開閉バネ片3の横幅はなるべく小さくして隙間を少なくすると共に、その両側のヒンジ連結部4の幅もそれだけ狭い構造にすることが好ましい。
【0037】
なお、図示のキャップ本体20の開き状態は、キャップ成型直後の形態であり、プラスチック固化後にはキャップ本体20が120度程度に開いた状態になる。また、キャップ本体20の閉じ状態において、キャップ基部体10のキャップ受面12とキャップ本体20のキャップ嵌合面22とは弾力的に合致し、開口部11に筒状突起21が弾力的に嵌合することとなる。
【0038】
ここで、本発明に係る開閉キャップ1のヒンジ連結装置2は、図4乃至図9に記載のように、ヒンジ連結部4の連結体13,23の中間を連結する薄肉連結部5の外側部に連続的に薄肉補強膜体30を一体に成形してある。従って、キャップ開閉操作によって、繰り返し薄肉連結部5の外側部に屈曲とねじり方向の開閉力が集中して加わる場合でも、薄肉連結部5の外側部に一体に成形された薄肉補強膜体30によって応力集中が緩和されて、薄肉連結部5が薄肉補強膜体30に補強されて、結果、薄肉連結部5が引き伸ばされ、切れや変形しないため、ヒンジ連結部4も変形したりしないから、結果としてその中央に設けた開閉バネ片3が引き伸ばされたり、千切れたりして損傷を受けることを阻止し、開閉バネ片3及びヒンジ連結部4の小型化が可能になると共に、キャップ開閉操作を繰り返し円滑にできると共に、キャップの密閉性が失われる恐れを未然に防止することができる。
【実施例2】
【0039】
図11及び図12に記載の実施例の場合、本発明に係る薄肉補強膜体30は、図12に拡大して記載のように、ヒンジ連結部4の薄肉連結部5の端縁部5aとぼぼ同一肉厚で一体に連続的に接合して設けてあると共に、前記連結体13、23の側部13a,23aに周縁部30bが一体に連結して設けてある。その結果、ヒンジ連結部4の薄肉連結部5の端縁部5aの幅Bを薄肉補強膜体30の周縁部30aの長さCまで拡張して、ヒンジ連結部4の薄肉連結部5の端縁部5aの幅Bに集中して加わるねじり力を薄肉補強膜体30の周縁部30aまで拡散することができ、繰り返し荷重に対してヒンジ連結部4を格段に強化することができる。また、薄肉補強膜体30は、連結体13,23と一体に薄肉連結部5を中心に屈曲し易い構成にしてある。
【実施例3】
【0040】
図13及び図14に記載の実施例の場合、本発明に係る薄肉補強膜体30は、図14に拡大して記載のように、ヒンジ連結部4の薄肉連結部5の端縁部5aとぼぼ同一肉厚で一体に連続的に接合して設けてあり、実施例2とは前記連結体13、23の側部に薄肉補強膜体30の周縁部30aが接合していない点で異なる。
【0041】
その結果、実施例2の場合と同様に、ヒンジ連結部4の薄肉連結部5の端縁部5aの幅Bを薄肉補強膜体30の周縁部30aの長さCまで拡張して、ヒンジ連結部4の薄肉連結部5の端縁部5aの幅Bに集中して加わるねじり力を薄肉補強膜体30の周縁部30aまで拡散することができ、繰り返し荷重に対してヒンジ連結部4を格段に強化することができる。また、薄肉補強膜体30は、連結体13,23と一体性がないから、ヒンジ連結部4の薄肉連結部5を中心とする屈曲に影響がない構成にしてある。
【0042】
なお、上記実施例2及び3の場合、キャップ本体20はヒンジ連結部4の中央に位置する開閉バネ片3によって弾力的に開閉する構成であるから、薄肉補強膜体30は連結体13,23に開閉弾力を与える必要がない構成であり、連結体13,23がキャップ本体20の開閉操作に伴って薄肉連結部5を中心に抵抗無く円滑に屈曲するように設けることが好ましい。
【実施例4】
【0043】
図1乃至図9に記載の実施例において、ヒンジ連結部4の薄肉連結部5の端縁部5aとほぼ同一肉厚で一体に連続的に接合して設けてある薄肉補強膜体30は、ヒンジ連結部4の連結体13,23及び薄肉連結部5の側部に羽根のように延長又は拡張して設けてあると共に、図7に拡大して示すように、薄肉補強膜体30の両端部31,32を連結体13,23の基部の側部に位置するキャップ基部体部分14及びキャップ本体部分24に一体に連結して設けてある。 その結果、先の実施例の場合と同様に、ヒンジ連結部4の薄肉連結部5の端縁部5aの幅Bを薄肉補強膜体30の周縁部30aの長さCまで拡張して、ヒンジ連結部4の薄肉連結部5の端縁部5aの幅Bに集中して加わるねじり力を薄肉補強膜体30の周縁部30aまで拡散することができ、繰り返し荷重に対してヒンジ連結部4を格段に強化することができる。また、薄肉補強膜体30にヒンジ連結部4との一体的な屈曲性を与えることができる。
【実施例5】
【0044】
また、図4の実施例において、ヒンジ連結部4の薄肉連結部5の側部に羽根のように延長又は拡張して、その両端部31,32を連結体13,23の基部の側部に位置するキャップ基部体部分14及びキャップ本体部分24に一体に連結し設けた本発明に係る薄肉補強膜体30を、実施例2に記載のようにヒンジ連結部4の連結体13,23の側部に一体に連結して設ける構成にすることができる。
【0045】
この実施例5の場合、薄肉補強膜体30にヒンジ連結部4との一体的な屈曲性を与えることができると共に、薄肉補強膜体30をヒンジ連結部4の一側部として連結体13,23を薄膜状にした構造とみなすことができ、ヒンジ連結部4を全体として小型化する利点がある。
【0046】
この実施例5において、図9に記載ように幅Dの薄肉連結部5の側部に同一肉厚で幅dだけ拡張して設けた薄肉補強膜体30をキャップ基部体部分14及びキャップ本体部分24に一体に連結して設けると共に連結体13,23に一体に設けた開閉キャップと、薄肉補強膜体30の幅dだけ薄肉連結部5の幅Dを延長したヒンジ連結部4を有する従来型の同一素材からなる開閉キャップを比較例として、ヒンジ連結部が切れるまで2rpmで12度ひねったときのトルクを計測したところ、本発明の実施例では従来型よりトルクと時間でそれぞれ約2倍の強度があることが確かめられた。
【0047】
なお、実施例5においても、先の実施例の場合と同様に、薄肉補強膜体30はキャップ基部体部分14及びキャップ本体部分24に開閉弾力を与える必要がない部材として設けてあり、キャップ本体20が開閉操作に伴って薄肉補強膜体30の影響を受けることなく薄肉連結部5を中心に抵抗無く円滑に開閉操作できるように設けてある。
【実施例6】
【0048】
また、図1乃至図9に記載のヒンジ連結部4の薄肉連結部5は連結体13、23の外表面側に設けてあると共に、薄肉補強膜体30も同様に外表面側に設けてあり、図6に記載の如く、その両端部31,32はキャップ基部体10及びキャップ本体20の外表面側に一体に連結してある。従って、外表面側から見ると薄肉補強膜体30は薄肉連結部5と一体であると共に、ヒンジ連結部4と一体であり、薄肉補強膜体30をヒンジ連結部4の一側部として連結体13,23を薄膜状にした構造とみなすことができ、ヒンジ連結部4を全体として小型化する利点がある。
【実施例7】
【0049】
また、上記実施例の開閉キャップ1のヒンジ連結装置2において、薄肉補強膜体30の肉厚は薄肉連結部5の肉厚に対して肉厚比をほぼ0.5〜1.5に設けてあり、薄肉補強膜体30の肉厚が薄肉連結部5とほぼ同等若しくは薄いことから、薄肉連結部5と同等若しくはより柔軟に屈曲して薄肉連結部5の屈曲性を損ねないのみならず、簡素な構成の薄肉補強膜体30により薄肉連結部5を充分に補強し保護することができる。なお、肉厚比を0.5より小さくすると成形が困難であり、1.5以上では柔軟性に欠けることとなる。
【実施例8】
【0050】
また、本発明は、上記実施例において、薄肉補強膜体30が中央の開閉バネ片3に対して連結体13,23及び薄肉連結部5の外側に設けてある構成を有することにより、キャップ開閉操作時にヒンジ連結部4に加わるねじれ力に強固に対抗することができる。
【実施例9】
【0051】
また、本発明は、図では省略した薄肉補強膜体30が開閉バネ片3に対して連結体13,23及び薄肉連結部5の内側に設ける実施例にすることによって、薄肉補強膜体30を開閉バネ片3の外側と連結体13,23及び薄肉連結部5の内側の間においてヒンジ連結部4を補強することができる。
【実施例10】
【0052】
また、本発明は、上記開閉キャップ1のヒンジ連結装置2において、図7、図12又は図14等に記載のように、薄肉補強膜体30の周縁部30aの長さCが薄肉連結部の端縁部5aの幅Bに対してほぼ1.2倍以上の比率に設けてある構成を有することにより、繰り返してねじり力を受ける薄肉連結部の端縁部5aがその幅Bより周縁部30aが1.2倍以上の長さCを有する薄肉補強膜体によってその長さ分だけ強化され補強される効果がある。
【実施例11】
【0053】
また、本発明は、前述の実施例において、薄肉補強膜体30が、少なくとも中央の開閉バネ片3とその両側のヒンジ連結部4と、その両端31,32のキャップ基部体10とキャップ本体20と共にプラスチックの一体成形加工により製造することによって、薄肉補強膜体30をヒンジ連結部4と共にプラスチックの一体成形加工で容易に製作することができる。
【実施例12】
【0054】
また、本発明は、図では省略したが、上記開閉キャップ1のヒンジ連結装置2において、キャップ基部体10が、片手で握れる容器に装着可能であると共に、キャップ本体20をその容器を握った手の指で開閉して使用することが可能な構成にすることによって、ヒンジ連結部4がねじれたり千切れたりすることがないから、キャップ開閉操作を片手で円滑に確実に行うことができる。図3において、15はキャップ基部体10を容器開口首部に装着するためのネジ部である。
【実施例13】
【0055】
また、本発明は、図10に記載のように、開閉キャップ1のヒンジ連結装置2において、キャップ本体20のヒンジ連結部4の薄肉連結部5からの長さLに対してヒンジ連結部4の幅Wが50%以下、好ましくは30%以下に構成することができ、薄肉補強膜体30で強化してある分だけヒンジ連結部4の連結体13,23を小型に構成することができる。
【実施例14】
【0056】
また、本発明は、上記実施例に記載のヒンジ連結装置を有する開閉キャップを提供するものであり、上記実施例に記載の開閉キャップを装着したスパイス類、調味料等の食品収容用の容器を提供するものであり、また、上記実施例に記載の開閉キャップを着脱自在に装着することによってスパイス類等の内容物を詰め替え自在に収容した容器を提供するものである。
【符号の説明】
【0057】
1 開閉キャップ
2 ヒンジ連結装置
3 開閉バネ片
4 ヒンジ連結部
5 薄肉連結部
6 バネ接合部
7 バネ接合部
8 引張弾力線
10 キャップ基部体
11 開口部
12 キャップ受面
13 連結体
14 キャップ基部体部分
20 キャップ本体
21 筒状突起
22 キャップ嵌合面
23 連結体
24 キャップ本体部分
25 上蓋部
30 薄肉補強膜体
31 端部
32 端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する容器側のキャップ基部体に対して開口部を覆うキャップ本体を弾力的に開閉可能な開閉バネ片を中央に有すると共に、その両側にプラスチック製のヒンジ連結部を有する開閉キャップのヒンジ連結装置において、ヒンジ連結部のキャップ基部体側の連結体の先端部とキャップ本体側の連結体の先端部を屈曲可能な薄肉連結部で連結すると共に、前記薄肉連結部の側部に薄肉補強膜体を一体に設けてなる開閉キャップのヒンジ連結装置。
【請求項2】
請求項1に記載の開閉キャップのヒンジ連結装置において、薄肉補強膜体の肉厚が薄肉連結部の肉厚に対して肉厚比をほぼ0.5〜1.5に設けてある開閉キャップのヒンジ連結装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の開閉キャップのヒンジ連結装置において、薄肉補強膜体の肉厚が薄肉連結部の肉厚に対して肉厚比をほぼ同一に設けてある開閉キャップのヒンジ連結装置。
【請求項4】
請求項1、2又は3に記載の開閉キャップのヒンジ連結装置において、薄肉補強膜体が連結体の側部に一体に連結して設けてある開閉キャップのヒンジ連結装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の開閉キャップのヒンジ連結装置において、薄肉補強膜体が連結体の基部の側部に位置するキャップ基部体及び又はキャップ本体に一体に連結して設けてある開閉キャップのヒンジ連結装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の開閉キャップのヒンジ連結装置において、薄肉補強膜体が開閉バネ片に対して連結体及び薄肉連結部の外側に設けてある開閉キャップのヒンジ連結装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の開閉キャップのヒンジ連結装置において、薄肉補強膜体の周縁部30aの長さCが薄肉連結部の端縁部5aの幅Bに対してほぼ1.2倍以上の比率に設けてある開閉キャップのヒンジ連結装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の開閉キャップのヒンジ連結装置において、薄肉補強膜体が少なくとも中央の開閉バネ片とその両側のヒンジ連結部とプラスチックの一体成形加工により製造されている開閉キャップのヒンジ連結装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の開閉キャップのヒンジ連結装置において、キャップ基部体が片手で握れる容器に装着可能であると共に、キャップ本体をその容器を握った手の指で弾力的に開閉可能な開閉キャップのヒンジ連結装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載のヒンジ連結装置を有する開閉キャップ。
【請求項11】
請求項10に記載の開閉キャップを装着した食品収容用の容器。
【請求項12】
請求項10に記載の開閉キャップを着脱自在に装着して内容物を詰め替え自在に収容した容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−173612(P2011−173612A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−38666(P2010−38666)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(000234627)シロウマサイエンス株式会社 (40)
【出願人】(000116297)ヱスビー食品株式会社 (40)
【Fターム(参考)】