説明

開閉体のオープンスイッチ構造

【課題】レバー部の操作荷重を特別な部材を設けることなく十分に受けることができる開閉体のオープンスイッチ構造を提供する。
【解決手段】トランクリッド2に設けられた基板15と、この基板15の一面側に設けられるスイッチ本体16と、基板15の他面側に突出するレバー部17とを有し、レバー部17には操作荷重が入力される操作部25の反対側に当接部26が設けられ、レバー部17の操作部25を操作した際に当接部26が基板15に対して当接可能に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両のトランクリッドなどの開閉体のオープンスイッチ構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両には、トランクリッド、バックドアなどの開閉体を外側から開操作するためのオープンスイッチが設けられたものがある。
この開閉体のオープンスイッチは、例えば、トランクリッドの手掛けハンドルの裏側にスイッチ取り付け開口部が形成され、この部位に解除スイッチを設け、このスイッチのレバー部を操作することにより電動ロックのラッチ解除を行うものである(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−59764号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の開閉体のオープンスイッチにおいては、オープンスイッチとトランクリッドの開操作方向とを一致させることで、スイッチを押圧する動作からトランクリッドを開く動作までをスムーズに行うことはできる点で優れているが、レバー部から作用する操作荷重を支えるフランジ部を基板に設ける必要があり、フランジ部を基板から突出させるための切り起こし加工、またはフランジ部が形成された別体の基板などを設ける必要があるという問題がある。
【0004】
そこで、この発明は、レバー部の操作荷重を特別な部材を設けることなく十分に受けることができる開閉体のオープンスイッチ構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に記載した発明は、開閉体(例えば、実施形態におけるトランクリッド2)に設けられた基板(例えば、実施形態における基板15)と、この基板の一面側に設けられるスイッチ本体(例えば、実施形態におけるスイッチ本体16)と、前記基板の他面側に突出するレバー部(例えば、実施形態におけるレバー部17)とを有し、前記レバー部には操作荷重が入力される操作部(例えば、実施形態における操作部25)の反対側に当接部(例えば、実施形態における当接部26)が設けられ、前記レバー部の操作部を操作した際に前記当接部が基板に対して当接可能に設けられていることを特徴とする。
このように構成することで、レバー部を操作して操作部に操作荷重が作用すると、操作部の反対側の当接部が基板に当接して操作荷重の一部が基板に分散される。
【0006】
請求項2に記載した発明は、前記当接部は、前記基板に当接する部位に前記基板の表面に沿って形成される当接面(例えば、実施形態における当接面27)を備えていることを特徴とする。
このように構成することで、レバー部の操作時に当接面が基板に当接するため、確実に操作荷重を基板に伝達できる。
【0007】
請求項3に記載した発明は、前記当接部は、前記レバー部の操作方向に沿って形成される複数のリブ(例えば、実施形態におけるリブ28)を備えていることを特徴とする。
このように構成することで、操作荷重に対する当接部の剛性を確保できると共に軽量化を図ることができる。
【0008】
請求項4に記載した発明は、前記開閉体の前記オープンスイッチ(例えば、実施形態におけるオープンスイッチ10)の取付部(例えば、実施形態における後壁3)には、前記レバー部の先端側に向かい前記レバー部の操作方向に対向するように延出する指当て部(例えば、実施形態における指当て部45)が形成されていることを特徴とする。
このように構成することで、レバー部を操作する際に、操作部のみならず指当て部にも操作荷重を伝えることができる。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載した発明によれば、レバー部を操作して操作部に操作荷重が作用すると、操作部の反対側の当接部が基板に当接して操作荷重の一部が基板に分散されるため、基板に過大な操作荷重が作用した場合の荷重受け部を設ける必要がなく、簡素な基板構造でレバー部にかかる負荷を軽減できる効果がある。
請求項2に記載した発明によれば、レバー部の操作時に当接面が基板に当接するため、確実に操作荷重を基板に伝達できレバー部に作用する操作荷重を基板に対して分担できる効果がある。
請求項3に記載した発明によれば、操作荷重に対する当接部の剛性を確保できると共に軽量化を図ることができるため、レバー部に作用する操作荷重を基板に分担させることができる効果がある。
請求項4に記載した発明によれば、レバー部を操作する際に、操作部のみならず指当て部にも操作荷重を伝えることができるため、過大な荷重がレバー部に作用するのをより確実に防止できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1はこの発明の実施形態のトランクリッドのオープンスイッチを装着した車両を示している。同図に示すように、車体1の後部にはトランクリッド2が手動あるいはモータを用いて自動で開作動できるように開閉可能に設けられている。このトランクリッド2は、後壁3が下側に延出してトランク開口部4を後部側で広く確保したものである。トランク開口部4の下縁にはロック装置5が取り付けられ、このロック装置5に対応して、トランクリッド2の後壁3の下面6にストライカ7が取り付けられている。
【0011】
トランクリッド2の後壁3には、ライセンスプレート8の取付部9が凹設され、この取付部9の上部にトランクリッド2のオープンスイッチ10が配置されている。このオープンスイッチ10を操作することで、トランクリッド2のロック装置5とストライカ7とのラッチ状態を解除することができる。
【0012】
図2に示すように、トランクリッド2の後壁3は、ライセンスプレート8の取付部9の上部に至る部位までは下方に延び、ここで前側に屈曲する屈曲部11を備えている。屈曲部11は端末が上向きで終端し、この屈曲部11の端末には後端部が上側に立ち上がりその後平坦な形状で下側に向いた取付板12が連設されている。この取付板12は前端部が下側に屈曲して、ここにライセンスプレート8の取付部9を有している。取付板12には取付開口部14が形成され、この取付開口部14にオープンスイッチ10が取付られている。尚、後壁3の屈曲部11の端末と取付板12の端末との間の隙間にはシーラSが塗布されている。
【0013】
図3、4に示すように、オープンスイッチ10は、取付板12の取付開口部14の裏側の周縁にパッキン18、防水カバー19のベース36を介して重合する基板15と、この基板15の一面側(トランクルーム側)に設けられるスイッチ本体16と、基板15の他面側(車外側)に突出するレバー部17と、このレバー部17を包み込む防水カバー19を備えている。
図2に示すように、スイッチ本体16は傾動するとオン作動するスイッチノブ20を備え、このスイッチノブ20を包み込むように突設保持する孤状部21を有している。スイッチ本体16の基部は屈曲しここに図示しないハーネスを接続するソケット部22が設けられている。
【0014】
レバー部17はスイッチ本体16のスイッチノブ20を外側から覆うようにして取付られ、スイッチ本体16のスイッチノブ20を受け入れる挿入穴23を備え、挿入穴23の両側縁はスイッチ本体16の孤状部21に摺接してスイッチノブ20の傾動に追従する摺接脚24を備えている。ここで、スイッチ本体16の車体前側(FR側)は操作者の指Fによって押圧され操作荷重が印加される操作部25として構成されている。
【0015】
レバー部17には操作荷重が入力される操作部25の反対側に当接部26が設けられている。この当接部26は、レバー部17が通常位置にある状態(実線位置)から操作部25に操作力が作用して傾動した状態(鎖線位置)となった場合に、基板15の取付面に当接してこの基板15に支持されるようになっている。
【0016】
当接部26は操作部25の反対側で三角形状に張り出す部位であって、この当接部26は基板15に当接する部位に基板15の他面に沿って形成される平坦な当接面27を備えている。
ここで、当接部26は、レバー部17の操作方向に沿って形成される複数のリブ28...から成り、これら複数のリブ28...は基板15側が当接面27によって連結されることとなる。
【0017】
図3、4に示すように、基板15は金属製で長方形状の板状部材であって、中央部にはスイッチ本体16を挿通する開口部29が形成されている。基板15には開口部29の長辺側の内縁であってコーナー部分寄りに基板15の一面側に立ち上がった後に横方向に延びる取付座30,31が形成されている。各取付座30,31はスイッチ本体16の外壁に形成された取付部32に図示しないボルトやビスにより固定される。
ここで、基板15の周囲には長辺側の一方の端部に取付板12への固定孔33,33が形成されると共に、対向するコーナー部分に防水カバー19の取付ピン34を係止する係止孔35が形成されている。
ここで、基板15にはレバー部17の当接面27が当接する平坦な受け面13が形成され、レバー部17の操作時に当接部26の当接面27から作用する操作荷重を確実に受けるようになっている。
【0018】
パッキン18は取付板12と防水カバー19のベース36との間に挟み込まれるゴム製の部材であって、外周は防水カバー19のベース36に整合し、内周は防水カバー19のカバー部37を受容する開口部を備えて環状に形成されている。パッキン18の周囲には基板15の固定孔33,33に対応する固定孔38が形成されている。
【0019】
防水カバー19は弾力性のあるゴム製の部材であって、ベース36とこのベース36に設けられたカバー部37とで構成されている。ベース36は基板15に重合されるもので、基板15の固定孔33,33と係止孔35に対応する固定孔39,39と取付ピン34を備えている。 防水カバー19のカバー部37はレバー部17を包み込むものであって、カバー部37のレバー部17の操作部25側の基部には、レバー部17の操作終了後に防水カバー19を弾性的に姿勢復帰するための復帰部40が一定の高さをもって形成されている。
【0020】
図2に示すように、トランクリッド2の後壁3には屈曲部11の下面から取付板12に渡る凹部にガーニッシュ41が設けられている。このガーニッシュ41はトランクリッド2の後壁3の屈曲部11の下面から取付板12の後部にかけて取り付けられたベース部材42と、このベース部材42に取り付けられオープンスイッチ10のレバー部17の操作部25を開口43から露出させるガーニッシュカバー44とで構成されている。この開口43から指Fを入れてオープンスイッチ10の操作を行うことができる。
【0021】
ガーニッシュカバー44であってトランクリッド2の後壁3の屈曲部11側の部位は、屈曲部11の下面から、オープンスイッチ10のレバー部17(防水カバー19)の先端側に向かい、レバー部17の操作方向(矢印で示す)に対向するように延出する指当て部45として構成されている。
この指当て部45は、指Fの形状に沿って下側に鈍角に折れ曲がった形状に形成され、トランクリッド2の後壁3の屈曲部11から取付板12の後部にかけて取り付けられたベース部材42に一体形成されている。ベース部材42には補強用リブ46、47が形成され指当て部45に作用する操作荷重を、指当て部45自体のみならずで取付板12の後部にも座屈方向で受けるべく形成されている。
【0022】
上記実施形態によれば、レバー部17の操作部25を指により操作して、操作部25に操作荷重が作用すると、スイッチ本体16のスイッチノブ20が図2の鎖線に示すように傾動して、スイッチがオンとなる。このとき、レバー部17の操作部25の反対側の当接部26の当接面27が基板15の平坦な受け面13に当接するため操作荷重の一部が基板15によって支持されて分散される。したがって、基板15に、例えば、切り起こし部などの特別な部分を設けることなく、レバー部17に過大な操作荷重が作用した場合にこれを平坦で簡素な構造である基板15によって荷重分担できレバー部17にかかる負荷を軽減できる。
【0023】
ここで、レバー部17の当接部26は、基板15に当接する部位に基板15の表面に沿って形成される当接面27を備えているため、レバー部17の操作時に当接面27が基板15に当接するため、確実に操作荷重を基板15に分担させることができる。
とりわけ、レバー部17の当接部26はレバー部17の操作方向に沿って形成される複数のリブ28...を備えているため、操作荷重に対する当接部26の剛性を確保できると共に軽量化を図ることができる。
また、トランクリッド2のオープンスイッチ10の取付部である、後壁3の屈曲部11及び取付板12には、レバー部17の先端側に向かいレバー部17の操作方向に対向するように延出するガーニッシュ41のガーニッシュカバー44である指当て部45が形成されているため、レバー部17を操作する際に、操作部25のみならず指当て部45にも操作荷重を伝達して座屈方向でこれを荷重分担することができるので、過大な荷重がレバー部17に作用するのをより確実に防止できる。
【0024】
尚、この発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、セダン型者の開閉体としてトランクリッドを例にして説明したが、ワゴン車のテールゲートにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明の実施形態の車両後部の部分斜視図である。
【図2】図1のA−A線に沿う断面図である。
【図3】この発明の実施形態の下側から見た要部分解斜視図である。
【図4】この発明の実施形態の上側から見た要部分解斜視図である。
【符号の説明】
【0026】
2 トランクリッド(開閉体)
3 後壁(取付部)
10 オープンスイッチ
15 基板
16 スイッチ本体
17 レバー部
25 操作部
26 当接部
27 当接面
28 リブ
45 指当て部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉体に設けられた基板と、この基板の一面側に設けられるスイッチ本体と、前記基板の他面側に突出するレバー部とを有し、前記レバー部には操作荷重が入力される操作部の反対側に当接部が設けられ、前記レバー部の操作部を操作した際に前記当接部が基板に対して当接可能に設けられていることを特徴とする開閉体のオープンスイッチ構造。
【請求項2】
前記当接部は、前記基板に当接する部位に前記基板の表面に沿って形成される当接面を備えていることを特徴とする請求項1記載の開閉体のオープンスイッチ構造。
【請求項3】
前記当接部は、前記レバー部の操作方向に沿って形成される複数のリブを備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の開閉体のオープンスイッチ構造。
【請求項4】
前記開閉体の前記オープンスイッチの取付部には、前記レバー部の先端側に向かい前記レバー部の操作方向に対向するように延出する指当て部が形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の開閉体のオープンスイッチ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−70602(P2009−70602A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−235283(P2007−235283)
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】