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開閉屋根構造
説明

開閉屋根構造

【課題】寒冷地で使用される開閉屋根の屋根材を膜材で構成しても、十分に耐えられる開閉式屋根構造を提供する。
【解決手段】屋根の開口部を開閉する開閉屋根構造である。上記開口部に沿って配設された一対の走行路間に架設されて、走行路に沿ってそれぞれ個別に移動可能な状態で並ぶ複数の大梁と、隣り合う大梁間に配設された屋根材を二重膜構造とする。その屋根材を構成する二重の膜材間の密封空間に対し空気を供給する送風装置、および送風装置が供給する空気を温める加熱装置を備える温風ユニットを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根材の少なくとも一部を二重膜構造とし内部に空気を封入した開閉屋根構造に関し、特に寒冷地で使用される大規模な建物に好適な開閉屋根構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、屋根の全部または一部を開閉式とする大規模な建物が運動施設或いは多目的施設等として普及しており、その一例として、変形しない移動屋根を、固定屋根の開口部と固定屋根の上側または下側に配置した収納位置との間で移動させることにより屋根の一部を開閉式とするものがある。しかし、この例では固定屋根の上側または下側に収納位置を設ける必要があるために屋根の開口率が限定されるとともに移動屋根の収納に広いスペースが必要となるという不具合がある。
【0003】
そこで、移動屋根の収納時には移動屋根の長さを縮小して収納スペースを小さくできる折り畳み式の開閉屋根が特許文献1などで提案されている。
この折り畳み式の開閉屋根は、屋根の開口部の左右の縁に沿って相互に平行に配置された走行路間に、走行路の延在方向たる前後方向に多数の開閉ユニットが配設されてなる。その開閉ユニットは、左右方向に長い平面トラスからなる一対のパネル状の開閉フレームの上端どうしを枢着してなり、両開閉フレームを下側において開閉できるようになっている。そして、両開閉フレームの下部の間は上記開閉が可能なように伸折可能な繋ぎ材で連結されて、横断面において二等辺をなす開閉フレームと底辺をなす繋ぎ材により略三角形をなしている。この横断面が略三角形をなす前後の開閉ユニットは上記開閉フレームの下端において連続されて全体として蛇腹式に連続する折り畳み式開閉屋根となっている。
【特許文献1】特開平10−102666号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
寒冷地での使用を考慮すると、屋根材の上に雪が積もった場合に屋根材及びそれを支持するフレームに対して所要の積雪荷重が掛かることから、その分、剛性を高く設計する必要がある。
特に、開閉屋根を構成する屋根材を、膜材など可撓性を有する材質とした場合には、その分、屋根材の強度が小さくなる傾向にあるので、上記積雪荷重を小さくしたい。
本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、寒冷地で使用される開閉屋根の屋根材を膜材で構成しても、十分に耐えられる開閉式屋根構造を提供可能とすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明のうち請求項1に記載した発明は、屋根の開口部を開閉する開閉屋根構造であって、
上記開口部に沿って配設された一対の走行路間に架設されて、走行路に沿ってそれぞれ個別に移動可能な状態で並ぶ複数の大梁と、隣り合う大梁間に配設された二重膜構造の屋根材と、その屋根材を構成する二重の膜材間の密封空間に対し空気を供給する送風装置と、送風装置が供給する空気を温める加熱装置と、を備えることを特徴とするものである。
【0006】
次に、請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した構成に対し、上記加熱装置は、送風装置と一体に構成されていることを特徴とするものである。
次に、請求項3に記載した発明は、請求項1または請求項2に記載した構成に対し、 上記加熱装置で供給空気が暖められる送風装置の吸入口の少なくとも一部を、上記二重の膜材間の密封空間に連通したことを特徴とするものである。
【0007】
次に、請求項4に記載した発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載した構成に対し、上記送風機及び加熱装置は、上記大梁に設けられていることを特徴とするものである。
次に、請求項5に記載した発明は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載した構成に対し、隣り合う大梁間に架設された小梁を備え、その小梁は、両大梁の間隔が閉じたときに屈折されて両大梁間を構造的に独立させるとともに、両大梁の間隔が開いたときに伸展して両大梁間を構造的に一体化させて両大梁とともに構造フレームを形成することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、送風機で密封空間内に空気を圧送することで、屋根材としての膜材に張りが与えられて、屋根材としての形状が安定する結果、風によるばたつきが防止され且つ雨水の流れも円滑になる。
さらに、加熱装置によって、密封空間に供給する空気を暖めることで、膜材の上に載った雪が溶けて、積雪荷重を軽減することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態の開閉屋根装置を示す模式的な斜視説明図である。図1では、左右の一対の走行レール11の全長にわたる片開きの開閉屋根を用い、説明の便宜のために右半部において開閉屋根が閉じた状態を示し、また、左半部において開閉屋根15を開いた状態から右方に閉じ始めた状態を示している。
【0010】
また、図2は、本実施形態の開閉屋根構造を示す模式的な側面図であり、左右の走行レール11に一つの開閉屋根15を架設しており、同図の左半部は開閉屋根15の全体を左方へ移動させて開いた状態の屋根を示し、同図の右半部は開閉屋根15を閉じた状態の屋根の約半分を示している。
本発明においては片開きと両開きのいずれの開閉屋根15をも含むものであるが、以下においては走行レール11に一つの開閉屋根15が架設された片開きの実施形態に基づいて説明する。
【0011】
また、この実施形態では、建物の本体については省略しており、その固定屋根16が図3に示されるだけであるが、建物としては、スポーツ施設,コンサートホール,多目的ホール等の大型の建物であれば各種のものに適用することができる。
上記固定屋根16の中央部には、平面長方形の開口部26が開口しており、図3に示すように、この開口部26の長辺の縁に沿って、固定屋根16の下側にはキールトラス10が架設されている。キールトラス10の両端は建物における柱などの耐荷部分に支持されていて、開閉屋根15と固定屋根16の荷重を、キールトラス10を介して、建物本体の耐荷部分が支持している。
【0012】
キールトラス10の上側では、図4に示すように、固定屋根16の縁に走行路たる走行レール11が設けられている。一対の走行レール11は開口部26の左右の長辺の縁に沿い平面視で平行をなしており、固定屋根16は中央部が高く周囲部が低い形状をしているため、左右の走行レール11もそれに倣って側面視において同一のアーチ型をしている。
【0013】
各走行レール11には、車輪等からなる走行体17が走行レール11に沿って走行自在に係合している。この走行体17を介して、後述の大梁12が左右の走行レール11間に走行自在に架設される。すなわち、大梁12の左右両端部に、各大梁12には前後2個所の走行体17が取り付けられる。そして、図示しないが、各大梁12の左右両端においては前後の走行体17の少なくとも一方に、大梁12を走行駆動するための駆動装置が設けられている。したがって、各大梁12は左右に走行駆動装置を備えていることになる。なお、その駆動装置としては、大梁12を往復走行させるための力を付与できる装置であれば各種のものを採用することができる。例えば走行体17を車輪とし、この車輪の車軸に直接またはギヤを介して連結された電動または油圧モータもその一つである。また走行体17としては、走行レール11に沿って摺動する機構のものなど、走行レール11に係合したまま走行レール11に沿って移動できるものを全て適用することができる。
上記の走行体17は、それぞれ介して左右の走行レール11間に架設され、また、走行レール11上を移動する大梁12は、当該走行レール11に沿って並ぶように複数個、配置されている。
【0014】
次に、その大梁12の構造を説明する。なお、隣り合う大梁12の並び方向、つまり走行レール11に沿った方向を前後と呼ぶ。
大梁12は、図4のように、上弦材12aと下弦材12bとラチスバー12cとウェブ材12dとからなるトラス梁から構成される。この大梁12は、後述の図6や図8に示すように、側面視では、上側に比べて下側の前後幅が狭くなるような略逆三角形形状となっている。すなわち、上弦材12aの前後幅が広く、下弦材12bの前後幅が狭い、断面上が広い三角形をなしている。
【0015】
また、上弦材12aは左右に渡ってほぼ同一高さをなすが、下弦材12bは左右において高く、中央において低くなっており、したがって大梁12は中央の上下寸法が左右より大になっている。かかる大梁12の左右端において、図4のように、上弦材12aの下面にブラケット18を介して上記走行体17が取り付けられることで、大梁12が左右の走行レール11間に、前後に移動自在に架設されており、前後方向に複数の大梁12が同様にして配設されている。また、上記走行体17は、各大梁12の左右両端において前後複数が取り付けられているから、走行レール11の前後方向における傾斜に応じて大梁12が前後に傾斜するようになっている。したがって、全体として側面視アーチ形をなす走行レール11における各大梁12の位置に応じて各大梁12の前後傾斜角が変化するようになっている。なお、図4においては大梁12の左端部分が示されているが、右端部分はこれと左右対称に表れる。
【0016】
また、走行レール11に配設される隣り合う前後の各大梁12の間に、当該大梁12間の空間を覆うことが出来る大きさの膜材からなる屋根材14が配設されると共に、隣り合う前後の各大梁12の間に複数の小梁13が架設されている。本実施形態では、2本の小梁13を備え、各小梁13は、隣り合う大梁12の長手方向両端部側を連結するように配置されると共に、上記屋根材14の端部を支持している。すなわち、平面視において、隣り合う大梁12と2本の小梁13で囲まれる空間を覆うように上記膜材が配置される。屋根材14を構成する膜材については後述する。
【0017】
上記小梁13は、図9に示されるように、各大梁12から延びる前後のアーム部13aと、その前後のアーム部13aの対向する先端部間を連結する中央連結部13bとから構成される。前後のアーム部13aは、それぞれ、上弦材と下弦材と垂直材とからなる。その上弦材は、それぞれ幅方向に並べられ且つ前後に延在する複数の鋼材を、長手方向の複数個所で幅方向の連結材と筋違いにより剛結合してなり、下弦材は上弦材よりも若干短いが上弦材と同様の構造を有し、上弦材の前端近くに下弦材の前端が固定されるとともに、上弦材と下弦材の後端は垂直材を介して剛結合される。これによって、小梁13のアーム部13aは、側面視において後端部の上下厚みが大な三角形をなしている。また、中央連結部13bは、上記アーム部13aと比較して短い鋼材を剛結合して、上記アーム部13aの先端部と同一厚みをもつ直方体に形成されている。
【0018】
アーム部13aの先端部と中央連結部13bとは、同一高さを有していて、上端部においてヒンジ21を介して枢着されている。このように構成された小梁13は、前後の大梁12の間隔が狭くなったときに下に屈折して中央連結部13bが下降するようになっている。図9における右側の小梁13が伸展した状態を、同左側の小梁13が屈折した状態を模式的に示している。
【0019】
小梁13を上記構造にしたため、下方への屈折時には、図9における左側の小梁13のように、小梁13は上面の前後幅が狭く且つ下面の前後幅が広くなるように構成されているから、上面の前後幅が広く且つ下面の前後幅が狭い前後の大梁12が接近したときの、両大梁12間の空間に適応する。このため、開閉屋根15が開いたときに開閉屋根15の折り畳み長さが短くなり、開閉屋根15が占める空間が狭くなるから、開口部26を大きく開放することが可能となる。
【0020】
また、小梁13には、前後のアーム部13aの間に中央連結部13bがあるため、上記屈折状態においては、前後のアーム部13aの間に空間が形成されて、この空間が膜材からなる後述の屋根材14を格納するための空間になる。このため、屋根材14が、前後のアーム部13aの間に挟まれて圧縮されることがないから、屋根材14の劣化を防止することができる。
【0021】
小梁13と前後の大梁12とを枢着するヒンジ22、及び小梁13の中央連結部13bと前後のアーム部13aを枢着するヒンジ21は、いずれも十分な強度を有している。そして、前後の大梁12の間にある複数の小梁13のうちの少なくとも大梁12の左右の端部に近い小梁13において、前後のアーム部13aと中央連結部13bとの間に、いずれもシリンダ装置からなる油圧ジャッキ20を渡設しておく。なお、油圧ジャッキ20に代えて空圧ジャッキを使用することもできる。一方の油圧ジャッキ20はシリンダチューブをアーム部13aに枢着し、そのピストンロッド先端を中央連結部13bに枢着してあり、他方の油圧ジャッキ20はシリンダチューブを後部分13bに枢着し、そのピストンロッド先端を中央部分に枢着してある。なお、この油圧ジャッキ20を大梁12の左右の端部に近い小梁13に設けたのは、開閉屋根15を開いたときに油圧ジャッキ20と大梁12との干渉を避けるためのものであり、左右の小梁13の部位においては、大梁12の下弦材12bが油圧ジャッキ20より高い位置にあるから、開閉屋根15を開いたときに上記干渉のおそれがない。なお、かかる干渉のおそれのない場合には、左右方向における全部の小梁13に上記油圧ジャッキ20を設けることもできる。また、大梁12を挟む前後の小梁13間で油圧ジャッキ20どうしが干渉するおそれがあるときには、小梁13における油圧ジャッキ20の取付位置を左右に偏寄させておけばよい。図6には小梁13のアーム部13a側と後部分13b側の各油圧ジャッキ20を左右に偏寄させた状態が示されており、大梁12を介して前後に連続する各小梁13において同様の配置にしている。
【0022】
かかる油圧ジャッキ20には2つの使用形態がある。第1は、小梁13の伸展時の最終工程で大梁12の移動による小梁13の伸展を補助するものであり、したがって油圧ジャッキ20の収縮力を補助力として小梁13を最終的に伸展させ、この状態を維持させるものである。また、小梁13を屈折するときには前後の大梁12どうしを接近させつつ油圧ジャッキ20を伸長させて屈折の補助とする。これにより小梁13が屈折を開始するがその後は大梁12の移動のみによって上記屈折は進行する。かくして、油圧ジャッキ20は小梁13の伸展時の最終工程及びその屈折時の初期工程で小梁13の屈伸の補助をするとともに小梁13の伸展状態を維持する。この場合には、小梁13の屈伸における他の工程において油圧ジャッキ20はフリーになっていて、小梁13の屈伸に伴って伸縮するようにしておく。したがって、この場合の油圧ジャッキ20は伸縮駆動部材の機能の他に、小梁13の伸展状態をロックするロック機構としての機能を有する。
【0023】
また、油圧ジャッキ20の使用形態の第2は、小梁13の伸縮を大梁12の移動によってのみ行い、小梁13の伸展時にその状態をロックするロック機構としての使用形態がある。この場合には上記ロック動作と、ロックの解除との間の切り換えのみを行えばよい。したがってこの使用形態においては必ずしも油圧ジャッキ等のシリンダ装置でなくとも、上記のロック,アンロックの切り換え可能な部材または装置であれば使用することができる。
【0024】
小梁13の伸展した状態をロックさせて両大梁12間を構造的に一体化させると、小梁13は全体が一本の梁として機能するから両大梁12とともに構造フレームを形成する。また、小梁13が屈折したときには両大梁12間が構造的に独立したことになる。
上記膜材からなる屋根材14は、上膜14aと下膜14bの2重膜構造となっていて、その上膜14aと下膜14bの外周部全周が閉じられることで、上膜14aと下膜14bとの間に密封空間Sが形成されている。当該屋根材14は、図10に示すように、平面視では、前後方向を長辺とした長方形形状であって、前後の長辺部分が大梁12に固定され、短辺部分の中央部が、左右の小梁13の中央連結部13bに固定されている。
【0025】
また、上記大梁12には、上記密封空間Sに空気を圧送する温風ユニット30が装備されている。温風ユニット30は、図10及び一部を省略した図11のように、大梁12の長手方向に沿って千鳥状に複数台配置されていて、各温風ユニット30は、前後両側に配置された膜材の密封空間Sの一方に対して空気を供給する。
ここで、図11中、符号28は制御盤を示す。また、符号29はキャットウォークを表している。
【0026】
上記温風ユニット30周りの構成を、図12を参照して説明する。温風ユニット30の吸い込み口にレタンチャンバ31が接続され、また、温風ユニット30の送風口にサプライチャンバ32が接続されている。サプライチャンバ32は、第1ダンパ32aを介して対応する膜材内に連通していると共に第2ダンパ32bを介して外気に連通している。また、レタンチャンバ31は、第3ダンパ31aを介して、対応する膜材内に連通していると共に第4ダンパ31bを介して外気に連通している。また、温風ユニット30は、送風機30aと加熱装置30bとが一体になって構成される。加熱装置30bは、例えば電機ヒータや温水コイルなどから構成すればよい。また、送風機と加熱装置とは別体であっても良い。
【0027】
また、上記温風ユニット30に接続するチャンバとは別に、排気用チャンバ33が各屋根材14の密封空間Sに接続されている。
なお、各大梁12の上弦材12aには大梁12の上面全体にわたって平板が備えられて、これも屋根材14の一部をなし、屋根材14の全体は、前後方向に膜材14と大梁12上面とが交互に連続して構成される。
【0028】
また、上記大梁12における上弦材12aの前後一方の縁には、隣接する大梁12における上弦材12aの縁に向けてキャノピー35が突設されている。このキャノピー35は大梁12の長さ方向に渡って連続していて、開閉屋根15が開いて前後の大梁12が接近したときに、両大梁12間に掛け渡されて、これらの間の雨仕舞となるように施蓋するようになっている。このキャノピーの開閉は、シリンダ装置などの駆動装置により動作するようにしてもよいし、隣接する大梁12の移動力を利用して動作するようにしてもよい。
【0029】
(作用効果)
開閉屋根15の大梁12を、この大梁12の走行体17に設けられた走行駆動装置を駆動させて前後いずれかに移動させと、前後の大梁12の間隔が順次拡がることに合わせて小梁13が伸展しながら屋根15が閉じ、また、上記前後の大梁12の間隔が順次縮小することに合わせて、小梁13は屈折しながら屋根15が折り畳まれて開くことになる。
【0030】
この場合、開閉屋根15を閉じるときには、図1における左半部に示すように、大梁12が太矢印方向に順次走行することにより小梁13は伸展される(図9における右側の小梁13の状態)。また逆に開閉屋根15を開くときには各大梁12の走行駆動装置の動力により各大梁12が上記閉じるときの逆方向に走行して、隣接する大梁12間が接近することにより、小梁13は屈折し(図9における左側の小梁13の状態)、開閉屋根15が収納位置に順次折り畳まれていく。かくして、開閉屋根15の開閉は一端部の大梁12から他端部の大梁12に向けて各大梁12が順次移動することによって行われる。
【0031】
また、上記屋根材14は、温風ユニット30からの空気が常態的に供給されていて、隣り合う大梁12間を広げて屋根を閉じた状態では、図5の断面図である図6のように、屋根材14は所定の張力をもって膨らんだ状態となっており、また、隣り合う大梁12を接近させて屋根を空けた状態では、図7の断面図である図8のように、屋根材14は、隣り合う大梁12間に配置される。
【0032】
上記温風ユニット30は、常時稼働されていて、レタンチャンバ31内で密封空間Sから吸引された空気と外気からの空気が混合され、その混合された空気が送風機30aに吸引される。そして、送風機30aから圧送された空気が加熱装置30bで温められた後に、サプライチャンバ32を介して上記密封空間S内に供給される。
これによって、密封空間Sには所要の圧力が発生して、屋根材14に必要な張力が発生する。なお、このとき、屋根材14の張力が所定の範囲に調整するために、適宜、排気用ダンパ33を開いたり、レタンチャンバ31における第3ダンパ31aと第4ダンパ31bの開度比率を調整することで外気の取り込み量を調整したりする。なお、排気用ダンパ33は、主として屋根を開いたときに密封空間Sから空気を排出するために使用する。
【0033】
このように屋根材14を、内部に空気を注入した二重膜構造としたので、開閉屋根15が閉じたときには、密封空間Sが断熱層となって、断熱性の高い屋根とすることができる。すなわち、寒冷地への適用に好適である。
また、寒冷地での適用を考えた場合に、閉じた開閉屋根の上に雪が載る。これに対し、本実施形態では、温めた空気を屋根材14内の密封空間Sに供給するため、上膜14aに載った雪は溶けて水になって流れることで、屋根材14の上に雪が積もり難くなる。
【0034】
なお、密封空間S内の温度は、例えば10度前後に制御すればよい。膜材の材質にもよるが机上計算によれば、膜材内の空気を10度に設定すると、上膜14a上面の温度もほぼ10度近傍の温度に設定されて、雪を溶かすことが可能であることを確認している。ここで、膜材の材料としては、公知の膜材が適宜、適用可能であるが、例えば、特殊織りのポリエステル繊維にPDF(ポリフッ化ビニリデン)でコーティングしたものを使用すればよい。
【0035】
また、本実施形態では、温風ユニット30で吸引する空気の一部若しくは全部を、密封空間S内の空気にすることで、温めた空気を循環させるため効率良く、密封空間S内の空気を暖めることが出来る。すなわち、単に温風ユニット30で温風を圧送しながら、別の排気用ダクト33で排気して密封空間S内の圧力調整等を行う場合に比べてエネルギー効率がよい。
【0036】
ここで、上記実施形態では、全ての温風ユニット30について送風機と加熱装置とを対にした構成としているが、一部の温風ユニット30については、送風機30aだけから構成しても良い。また、上記実施形態では、送風機30aの出力側に加熱装置30bを配置した例であるが、送風機30aの入口側に加熱装置30bを配置しても良い。
また、上記小梁13は、前後の大梁12の間に複数が配置され、これらは左右に渡って所定間隔に且つ相互に独立して大梁12間に渡設されているから、各ヒンジ22の部分における大梁12の撓みや歪み量は無視できる程度に小さく、したがって各ヒンジ22のピンに負荷される剪断力は小さい。
【0037】
このように大梁12は撓みや歪みの発生が許容されるために、左右の走行レール11間のスパンが大である開閉屋根15であっても、鉄骨量を抑制して軽量化を計ることができ、また左右の走行体17も高精度に同調することが要求されないから、各大梁12の駆動装置の制御も容易になる。またヒンジ22のピンに無理な力が加わらないため、小梁13の屈折及び伸長作動がこの点においても円滑になる。
【0038】
以上の実施形態では、固定屋根16の一つの開口部26に一組の開閉屋根15を設置して片開きとし、これにより開口部26全体を開閉できるようにしたが、夫々別の開閉屋根15を前後方向に一対設けることにより両開きにした場合には、屋根を閉じたときに、両開閉屋根15の移動先端をなす大梁12どうしが接合することになる。このため、接合される大梁12どうしの間には、一方の梁12に他方の梁12の上面に至る庇などを設け、或いは少なくとも一方の大梁12の接合面にゴム質のウェザーストリップ(シール材)を設けることにより、両大梁12間の雨仕舞いを施しておくものとする。
【0039】
また、両開閉屋根15を開く動作が開始するまでの間は上記大梁12どうしの接合を維持できるようにロック機構を設けておき、このロック機構は、走行体17の駆動装置に連動して、同駆動装置が開閉屋根15を開くための駆動を開始するときに上記のロック機構を解除するようにしておくと好適である。
ここで、一組の隣り合う大梁12間の屋根材14を構成する上膜14aと下膜14bとの間に形成される密封空間Sは、1つの空間であっても良いし、大梁12の長手方向に沿って複数の室に区切られていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】穂閉屋根の斜視説明図であり、片開きの折り畳み式開閉屋根を使用した場合を示している。
【図2】開閉屋根の側面図であり、片開きの開閉屋根を使用し、左半部はそれを開いた状態、右半部はそれを閉じた状態を示している。
【図3】開閉屋根と固定屋根の、大梁に沿う方向の縦断面図である。
【図4】大梁の左端部と固定屋根との関係を示す説明図である。
【図5】開いた状態での大梁と屋根材の関係を示す平面図である。
【図6】図5の断面図である。
【図7】閉じた状態での大梁と屋根材の関係を示す平面図である。
【図8】図7の断面図である。
【図9】小梁を示す側面図である。
【図10】大梁と温風ユニットとの関係を示す平面図である。
【図11】大梁と温風ユニットとの関係を示す側面図である。
【図12】温風ユニット周りを説明する図である。
【符号の説明】
【0041】
11 走行レール(走行路)
12 大梁
13 小梁
14 屋根材
14a 上膜
14b 下膜
15 開閉屋根
16 固定屋根
17 走行体
26 固定屋根の開口部
30 温風ユニット
30a 送風装置
30b 加熱装置
31 レタンチャンバ
32 サプライチャンバ
33 排気用チャンバ
S 密封空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根の開口部を開閉する開閉屋根構造であって、
上記開口部に沿って配設された一対の走行路間に架設されて、走行路に沿ってそれぞれ個別に移動可能な状態で並ぶ複数の大梁と、隣り合う大梁間に配設された二重膜構造の屋根材と、その屋根材を構成する二重の膜材間の密封空間に対し空気を供給する送風装置と、送風装置が供給する空気を温める加熱装置と、を備えることを特徴とする開閉屋根構造。
【請求項2】
上記加熱装置は、送風装置と一体に構成されていることを特徴とする請求項1に記載した開閉屋根構造。
【請求項3】
上記加熱装置で供給空気が暖められる送風装置の吸入口の少なくとも一部を、上記二重の膜材間の密封空間に連通したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載した開閉屋根構造。
【請求項4】
上記送風機及び加熱装置は、上記大梁に設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載した開閉屋根構造。
【請求項5】
隣り合う大梁間に架設された小梁を備え、その小梁は、両大梁の間隔が閉じたときに屈折されて両大梁間を構造的に独立させるとともに、両大梁の間隔が開いたときに伸展して両大梁間を構造的に一体化させて両大梁とともに構造フレームを形成することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載した開閉屋根構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−25190(P2008−25190A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−198528(P2006−198528)
【出願日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(599023129)株式会社ケイ・システムズ (2)
【Fターム(参考)】