説明

開閉工具兼用ドライバー

【課題】プライヤーやペンチなどのような開閉工具と兼用式のドライバーでありながら、取り扱い操作が極めて簡便でかつ強固に締め付け可能な兼用構造を実現する。
【解決手段】開閉操作用の一対の開閉アームの反対側に設けた把持用の顎部の先端面にドライバービットを固設してあるため、プライヤーやペンチなどのような開閉工具とドライバーを兼用できる。また、開閉操作用の一対の開閉アームの反対側に設けた把持用の顎部の先端面に、ドライバービットの多角柱状の根元部を挿入するための多角形状のソケット孔を設けてあるため、ドライバービットの多角柱状の根元部を顎部の多角形状のソケット孔に挿入すれば、ドライバーとして使用することができる。従って、ドライバーとして使用しない場合は、ドライバービットを取り外しておくので、通常の開閉工具として使用でき、特に支障を来すことが無い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プライヤーやペンチなどのような開閉工具と兼用可能なドライバーに関する。
【背景技術】
【0002】
プライヤーやペンチとドライバーを兼用可能にした構造として、例えば実開平5−80662号や実開平7−20278号、米抄6,182,541号が知られているが、何れも一対の開閉アームの先端にドライバービットを形成したり着脱可能にした構造である。従って、通常はプライヤーやペンチとして使用するが、逆方向に把持することによって、片方の開閉アームの先端側をドライバーとしても利用できて便利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5−80662号
【特許文献2】実開平7−20278号
【特許文献3】米抄6,182,541号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、いずれもプライヤーやペンチとして挟持する部分とは反対側の一つの開閉アームの先端にドライバービットが有るので、プライヤーなどの工具を前後逆に持ち替えてドライバーとして使用することになり、取り扱い操作が不便でである。
また、挟持部は挟持目的のあご部を形成した部分であるから、ドライバー操作時に手で持ったり握ったりしてするのに向いておらず、ドライバー操作が極めて困難である。
本発明の技術的課題は、このような問題に着目し、プライヤーやペンチなどのような開閉工具と兼用式ドライバーでありながら、取り扱い操作が極めて簡便でかつ強固に締め付け可能な兼用構造を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の技術的課題は次のような手段によって解決される。請求項1は、開閉操作用の一対の開閉アームの反対側に設けた把持用の顎部の先端面にドライバービットを固設してあることを特徴とする開閉工具兼用ドライバーである。
このように、開閉操作用の一対の開閉アームの反対側に設けた把持用の顎部の先端面にドライバービットを固設してあると、プライヤーやペンチなどのような開閉工具とドライバーを兼用できる。
【0006】
請求項2は、開閉操作用の一対の開閉アームの反対側に設けた把持用の顎部の先端面に、ドライバービットの多角柱状の根元部を挿入するための多角形状のソケット孔を設けてあることを特徴とする開閉工具兼用ドライバーである。
このように、開閉操作用の一対の開閉アームの反対側に設けた把持用の顎部の先端面に、ドライバービットの多角柱状の根元部を挿入するための多角形状のソケット孔を設けてあるため、ドライバービットの多角柱状の根元部を顎部の多角形状のソケット孔に挿入して、ドライバーとして使用することができる。従って、ドライバーとして使用しない場合は、ドライバービットを取り外しておくので、通常の開閉工具として使用でき、特に支障を来すことが無い。
【0007】
請求項3は、ドライバービットを取付ける顎部と一体の開閉アームの先端を握り手段に抜き差し可能に又は固定状態に挿入すると共に、一対の開閉アームを閉じた状態にロックする手段を有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の開閉工具兼用ドライバーである。
このように、ドライバービットを取付ける顎部と一体の開閉アームの先端を握り手段に抜き差し可能に又は固定状態に挿入すると共に、一対の開閉アームを閉じた状態にロックする手段を有しているため、開閉アームを閉じた状態で、握り手段を手に持って、容易にドライバー操作することができる。
【0008】
請求項4は、閉じた状態の両開閉アームの先端側を抜き差し可能に挿入するための受け孔を有する両握り手段を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の開閉工具兼用ドライバーである。
このように、閉じた状態の両開閉アームの先端側を抜き差し可能に挿入するための受け孔を有する両握り手段を有しているため、ドライバーとして使用する際に、閉じた状態の両開閉アームの先端側を両握り手段の受け孔に挿入すれば、一対の開閉アームを閉じた状態で両開閉アームを一緒に回転操作してドライバー操作できる。その結果、安定良く円滑にドライバー操作できる。
【0009】
請求項5は、前記両握り手段の中央に、ドライバービットを取付ける顎部と一体の開閉アームの先端を抜き差し可能に挿入するセンター孔を有することを特徴とする請求項4に記載の開閉工具兼用ドライバーである。
このように、前記両握り手段の中央に、ドライバービットを取付ける顎部と一体の開閉アームの先端を抜き差し可能に挿入するセンター孔を有するため、開閉アームをほぼ直角に開いた状態で、他方の開閉アームでドライバービットを回転操作する際に、ドライバービット側の開閉アームの先端をセンター孔に挿入した状態で、両握り手段を掌で押せるので、強力にネジ締めできる。また、錆びついたネジを外す際に、強力な回転力を発生させることができる。
【0010】
請求項6は、前記両握り手段の受け孔の開口側の面に、ドライバービットを挿入するビット保管孔を有することを特徴とする請求項4または請求項5に記載の開閉工具兼用ドライバーである。
このように、前記両握り手段の受け孔の開口側の面に、ドライバービットを挿入するビット保管孔を有するため、ドライバー操作に使用しないビットを保管孔に挿入して保管することができ、ドライバービットの紛失を防止できる。
【0011】
請求項7は、一対の開閉アームを開いて、片方の開閉アームで回転操作する際に、直交状態の軸受け部が丁度嵌入できるように、ほぼ十文字状の受け凹部を有する装着具を有することを特徴とする請求項2から請求項6までのいずれかに記載の開閉工具兼用ドライバーである。
このように、一対の開閉アームを開いて、開いた開閉アームで回転操作する際に、開いて直交状態の軸受け部が丁度嵌入できるように、ほぼ十文字状の受け凹部を有する装着具を有するため、開閉アームを開いてドライバー操作する際に、直交状態の軸受け部を装着具のほぼ十文字状の受け凹部に嵌め込んだ状態にすると、一対の開閉アームが開いた状態で安定するので、円滑に安全にドライバー操作でき、かつ強力な回転操作力を発生させることができる。
【0012】
請求項8は、一対の顎部のうち、ドライバービットを取付けない方の顎部の先端面に照明用孔を開けておいて、小型の照明手段を挿入可能としたことを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれかに記載の開閉工具兼用ドライバーである。
このように、一対の顎部のうち、ドライバービットを取付けない方の顎部の先端面に照明用孔を開けておいて、小型の照明手段を挿入可能の構造としたため、照明手段を挿入した状態でドライバー操作すると、箱体内部などのように暗い部分でネジの取付け取り外しを行なう場合に作業が容易になり便利である。
【0013】
請求項9は、前記ドライバービットのビット先端が嵌入して回転駆動される嵌入孔とは反対側に、前記ドライバービットとは異なる形状又は寸法の異種ドライバービット先端を有することを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれかに記載の開閉工具兼用ドライバーである。
このように、前記ドライバービットのビット先端が嵌入して回転駆動される嵌入孔とは反対側に、前記ドライバービットとは異なる形状又は寸法の異種ドライバービット先端を有するため、異種ドライバービットと同じビット先端を有する通常のドライバー又はドライバービットを有しない場合は、異種ドライバービットを、開閉工具兼用ドライバー又は通常のドライバーのドライバービットの先端に装着すれば、2種のドライバービットとして使用でき、便利である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1のように、開閉操作用の一対の開閉アームの反対側に設けた把持用の顎部の先端面にドライバービットを固設してあると、プライヤーやペンチなどのような開閉工具とドライバーを兼用できる。
【0015】
請求項2のように、開閉操作用の一対の開閉アームの反対側に設けた把持用の顎部の先端面に、ドライバービットの多角柱状の根元部を挿入するための多角形状のソケット孔を設けてあるため、ドライバービットの多角柱状の根元部を顎部の多角形状のソケット孔に挿入して、ドライバーとして使用することができる。従って、ドライバーとして使用しない場合は、ドライバービットを取り外しておくので、通常の開閉工具として使用でき、特に支障を来すことが無い。
【0016】
請求項3のように、ドライバービットを取付ける顎部と一体の開閉アームの先端を握り手段に抜き差し可能に又は固定状態に挿入すると共に、一対の開閉アームを閉じた状態にロックする手段を有しているため、開閉アームを閉じた状態で、握り手段を手に持って、容易にドライバー操作することができる。
【0017】
請求項4のように、閉じた状態の両開閉アームの先端側を抜き差し可能に挿入するための受け孔を有する両握り手段を有しているため、ドライバーとして使用する際に、閉じた状態の両開閉アームの先端側を両握り手段の受け孔に挿入するだけで、一対の開閉アームを閉じた状態で両開閉アームを一緒に回転操作してドライバー操作できる。その結果、安定良く円滑にドライバー操作できる。
【0018】
請求項5のように、前記両握り手段の中央に、ドライバービットを取付ける顎部と一体の開閉アームの先端を抜き差し可能に挿入するセンター孔を有するため、開閉アームをほぼ直角に開いた状態で、他方の開閉アームでドライバービットを回転操作する際に、ドライバービット側の開閉アームの先端をセンター孔に挿入した状態で、両握り手段を掌で押せるので、強力にネジ締めできる。また、錆びついたネジを緩める際に、強力な回転力を発生させることができる。
【0019】
請求項6のように、前記両握り手段の受け孔の開口側の面に、ドライバービットを挿入するビット保管孔を有するため、ドライバー操作に使用しないビットを保管孔に挿入して保管することができ、ドライバービットの紛失を防止できる。
【0020】
請求項7のように、一対の開閉アームを開いて、開いた開閉アームで回転操作する際に、開いて直交状態の軸受け部が丁度嵌入できるように、ほぼ十文字状の受け凹部を有する装着具を有するため、開閉アームを開いてドライバー操作する際に、直交状態の軸受け部を装着具のほぼ十文字状の受け凹部に嵌め込んだ状態にすると、一対の開閉アームが開いた状態で安定するので、円滑に安全にドライバー操作でき、かつ強力な回転操作力を発生させることができる。
【0021】
請求項8のように、一対の顎部のうち、ドライバービットを取付けない方の顎部の先端面に照明用孔を開けておいて、小型の照明手段を挿入可能の構造としたため、照明手段を挿入した状態でドライバー操作すると、箱体内部などのように暗い位置のネジの取付け取り外しを行なう場合に照明されて作業が容易になり便利である。
【0022】
請求項9のように、前記ドライバービットのビット先端が嵌入して回転駆動される嵌入孔とは反対側に、前記ドライバービットとは異なる形状又は寸法の異種ドライバービット先端を有するため、異種ドライバービットと同じビット先端を有する通常のドライバー又はドライバービットを有しない場合は、異種ドライバービットを、開閉工具兼用ドライバー又は通常のドライバーのドライバービットの先端に装着すれば、2種のドライバービットとして使用でき、便利である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】ドライバービットをプライヤーに固定した第1実施形態で、(1)は平面図、(2)は右側面図、(3)は正面から見た図である。
【図2】ドライバービットを着脱構造にした第2実施形態で、(1)は平面図、(2)はマイナスの着脱ビットの側面図、(3)はプラスの着脱ビットの側面図である。
【図3】両の開閉アームを一緒に嵌め込む両握りを用いた第3実施形態で、(1)は平面図、(2)は側面図、(3)は両握りの正面図である。
【図4】開閉アームを開いてドライバー操作する状態の側面図である。
【図5】マイナスビットの先端にプラスの着脱ビットを連結した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に本発明による開閉工具兼用ドライバーが実際上どのように具体化されるか各種実施形態を説明する。図1は、プライヤーに適用した第1実施形態で、(1)平面図、(2)は右側面図、(3)は正面から見た図である。
開閉操作用の一対の開閉アーム1、2の軸受け部3、4の反対側に把持用の顎部5、6を有し、片方の軸受け部3に固定された支軸7を支点にして、開閉アーム1、2を開閉操作することによって、一対の顎部5、6を開閉して、間に被挟持物体を挟持する。
太い物体だと、顎部の支軸7寄りの空間8中で挟持し、細い又は薄い物体だと、顎部先端の接離部9で挟持する。
【0025】
図示例はコンビネーションプライヤーで、軸受け部4の瓢箪状孔Hを支軸7側に移動して、開閉時の支点にすると、より太い又は厚い物体を挟持可能となる。
本発明の場合、片方の顎部6の先端面にドライバービットBの根元を溶接固定してあり、このドライバービットBで、木ねじやビスなどのネジ類を回転操作して、締め付けたり緩めたりできる。
このようなドライバー操作を容易にするために、片方の開閉アームの先端をドライバービットBと反対側に延長して、延長部21を球状握り10中に挿入し固定してある。従って、開閉アーム1、2を閉じた状態で、握り10を手に持って回転操作することよって、ドライバービットBを回して、ネジを締め付けたり緩めたりできる。
【0026】
ドライバー操作時に開閉アーム1、2が不意に開閉すると、操作性が悪く危険でもあるので、例えば輪ゴムを開閉アーム1、2に巻き付けて弾力的に締め付けると、閉じた状態で安定する。開閉アーム1、2のそれぞれに鉤状のフックを固設して、両方のフックに輪ゴムを引っ掛けてもよい。
しかし輪ゴムでは強度や弾力が弱いなどの問題がある場合は、図示のように、片方の開閉アーム2に瓢箪状フックfの根元を軸支し、先端寄りの開閉部f1に他方の開閉アーム1に設けた球状部1bを挿入してロックすることもできる。球状部1bの外径より開閉部f1の間隔が小さいので、フックf先端を矢印方向に操作して、開閉部f1中に球状部1b強引に押し込むことでロックされ、逆向きに強引に引き抜くとロックが解除される。
【0027】
フックfの矢印方向の回転操作に代えて、U状の板バネ11を開閉アーム1、2を包むように装着して、U状の根元を片方の開閉アームの外面にネジ止めしたり溶接固定おけば、U状先端の開口に他方の開閉アーム1を着脱できる。すなわち、(4)(5)図のように、U状板バネ11の先端開口の間隔が狭くなっているので、この狭小開口部を強引に押し開けるように操作することによって、その中に開閉アーム1を挿入してロックしたり、引き抜いてロックを解除したりできる。
(6)のように、ローマ字のJ字状のフックFの根元を蝶番などのヒンジ手段c又は軸支手段を介して開閉アーム2側に矢印方向に回動可能に取付けておき、鎖線で示すように鉤状の先端を他方の開閉アーム1に被せるように閉じて引っ掛けることによって、両開閉アーム1、2が閉じた状態にロックすることもできる。
開閉アーム1、2の先端の互いに最も接近する部分に永久磁石と磁性体を固定しておいてもよい。すなわち、片方のアーム先端に永久磁石を固定しておき、他方きアーム先端に鉄片などを固定しておくと、互いに吸引力が作用して、吸着するので、閉じた状態で安定する。
【0028】
図1の兼用ドライバーをさらに改良したのが図2の第2実施形態で、ドライバービットBが着脱構造になっている。図1のようにドライバービットBが顎部6の先端面に常時固定されていると、プライヤーとして物を挟持する操作をする際にドライバービットBが邪魔になる。
これに対し、図2では、ドライバービットBを着脱できる構造になっているので、通常はドライバービットBを外しておけば、従来のプライヤーと同様に自由に操作でき、ドライバービットBが挟持操作の邪魔になることはない。
【0029】
このような着脱構造にするために、片方の顎部6の先端面から六角形状のソケット孔hを開けてある。(2)(3)図のように、着脱式のドライバービットは、先端のドライバービット部Bの反対側の根元部が六角柱部12になっているので、この六角柱部12を前記顎部6の六角形状の受け孔h中に挿入することによって、顎部6側に装着できる。
装着状態では、ドライバービットBの部分は、顎部6から突出しているので、図1の場合と同様に、ネジの締め付け取り外しが可能となる。また、着脱されるネジの種類に応じて、(2)のようなマイナスドライバーのビットBを装着して使用したり、取り外して(3)のようなプラスドライバーのビットBを装着して使用したり、互換性を発揮できる。
着脱されるネジのサイズもいろいろであるから、(2)(3)図のビットBのサイズも2種類以上そろえておけば、ネジのサイズにも対応できる。
なお、ドライバービットの根元部12や根元部12挿入用のソケット孔hは、六角形状以外の多角形状でも足り、また握り10は球状以外も可能である。
【0030】
図1、図2のように、片方の開閉アーム2の先端に握り10を取付けた構造は、図2のようにドライバービットBを着脱構造にしたとしても、プライヤーとして挟持操作する際に握り10が邪魔になる。
開閉アーム2先端の延長部21を六角柱状にして、握り10の六角孔に挿入する構造にして、邪魔な場合は六角柱状延長部21を抜くことも可能だが、着脱構造にすると、ネジの締め付けや取り外し時に強力な回転力が得られない。
図3の第3実施形態は、このような不便を解消し、開閉アーム1、2の両方に回転操作力が作用する構造で、閉じた状態の両開閉アーム1、2を挿入できる両握り13を嵌めてある。この両握り13は、片方の開閉アーム1を挿入する受け孔1hと、他方の開閉アーム2を挿入する受け孔2hを開けてある。この状態を両握り13の正面図で見ると、(3)図のようになる。
【0031】
このように両方の開閉アーム1、2を同時に両握り13に挿入して、両握り13を回転操作すると、両方の開閉アーム1、2に同時に回転力が作用するので、ドライバービットBを安定良く回転操作でき、また両開閉アーム1、2を閉じた状態にスックするためのロック手段を必要としない。鎖線13dのように、両握り13の外径を膨らませた形状にすると、握り易くなり、また大きな回転力を加えることができる。
ドライバービットBを使用しない場合は、ドライバービットBを取り外すと共に両握り13を取り外せば、通常のプライヤーと全く同様に使用できる。
(3)図のように、各種ビットBの保管孔3hを1以上開けておいて、顎部6の先端に装着しないビットBを挿入して保管しておくことができる。
【0032】
これらの保管孔3hや図2、図3の顎部6先端の六角形状のソケット孔hの孔底に永久磁石片を埋め込んでおき、各着脱ビットBの根元に磁性体片を固設しておくと、磁力で吸着保持されるので、容易に脱落するを防止できる。
なお、保管孔3hやソケット孔hの中にグリースを入れたり、着脱ビットBの根元側にグリースを塗布しておくと、グリースの粘着力で脱落を防ぐことも可能である。
【0033】
通常ドライバー操作は、図1〜図3のように、握り10や両握り13を回転操作するだけで足りる場合が多いが、錆びついているネジを外したり、特に強く締め付けたいような場合は、図4のように、開閉アーム1、2を90度程度の角度に開いた状態で、ビットB側の開閉アーム2の先端を片手でビットB側に押した状態で、他方の手で他方の開閉アーム1を回転操作すると、テコの原理で強力な回転力をビットBに加えることができる。
この加圧側の開閉アーム2が両握り13の中央に位置決めされるように、図3(3)のように両握り13の中央に、片方の開閉アーム2の先端が挿入されるセンター孔4hを開けてある。従って、このセンター孔4h中に開閉アーム2の先端を挿入した状態で、図4のように両握り13を掌に当ててビットB方向に押圧しながら、他方の開閉アーム1を回転操作すると、ビットBに強力な回転力が作用する。なお、センター孔4hや受け孔1h、2hの深さは自由である。
【0034】
両開閉アーム1、2を開いた状態で、支軸7を中心に開閉すると、円滑な回転操作ができず、危険でもあるので、回転防止用の装着具14を嵌め込んでおくと、安定性が増し、円滑に回転操作できる。
この装着具14は、例えば楕円状の合成樹脂体の片面に、直交状態の軸受け部3、4が丁度嵌入できるように、ほぼ十文字状の受け凹部15を形成してある。従って、この十文字状の受け凹部中15中に、直交状態に開いた状態の軸受け部3、4を嵌め込んでおくと、両開閉アーム1、2の角度が安定するので、安定よく円滑にドライバー操作できる。
【0035】
図1のように、例えばプラスドライバーのビットBが溶接固定されていると、マイナスネジの操作ができないので、図5のように、その先端にマイナスのドライバービットBを連結できる便利である。
図5は、マイナスネジのドライバービットBを顎部6に固定してあり、このマイナスビットBの先端に、プラスの着脱ビットbを連結した例である。すなわち、プラスの着脱ビットbの根元部に、マイナス形状のビットBの先端が丁度嵌入できるようにマイナス形状の凹孔bhを開けてある。
従って、図5のようにプラスの着脱ビットbをマイナスビットBの先端に嵌めておくと、プラスネジを回転操作でき、プラスの着脱ビットbを取り外しておけば、マイナスネジの回転操作が可能となる。
なお、図示のマイナスビットBのビット先端がプラスで、異種の着脱ビットbのビット先端がマイナスネジ用であっても同様な効果を奏する。また、ビットBと異種の着脱ビットbとが寸法の異なるビット先端であってもよい。
【0036】
以上の実施形態は、プライヤーを例示してあるが、開閉アーム1、2を開閉する工具であれば、ペンチややっとこなどにも適用可能である。
また、図1のようなドライバービットの固定構造は、図3、図4の両握り13にも適用できる。
一対の顎部5、6のうち、ドライバービットを取付けない方の顎部の先端面に照明用孔を開けておいて、LEDなどから成る小型の照明手段を挿入しておくと、箱体の内部のように暗い部分のネジを締め付け取り外しする場合に明るくなるので、ドライバー操作が円滑になる。この照明手段は、破損防止のために照明用孔から突出しないこと、また着脱式が好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
以上のように、本発明によると、プライヤーやペンチなどのような開閉工具の顎部の先端面にドライバービットを固定したり着脱可能な構造であるため、開閉アームを操作してドライバービットを回転操作でき、兼用式ドライバーでありながら、取り扱い操作が極めて簡便である。また、両の開閉アームを一緒に挿入できる両握りを用いたり、開閉アームを開いた状態で安定よくビットを回転操作できるため、ネジを強固に締め付けたり、錆びついたネジでも容易に取り外すことができる。
【符号の説明】
【0038】
1・2 開閉アーム
3・4 軸受け部
5・6 顎部
7 支軸
B ドライバービット
10 球状握り
h ソケット孔
12 六角柱状の根元部
13 両握り
1h・2h 開閉アーム挿入孔
3h ビット保管孔
4h センター孔
14 回転防止用の装着具
15 十文字状の受け凹部
b ビット先端が異種又はサイズの異なる着脱ビット
bh 凹孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉操作用の一対の開閉アームの反対側に設けた把持用の顎部の先端面にドライバービットを固設してあることを特徴とする開閉工具兼用ドライバー。
【請求項2】
開閉操作用の一対の開閉アームの反対側に設けた把持用の顎部の先端面に、ドライバービットの多角柱状の根元部を挿入するための多角形状のソケット孔を設けてあることを特徴とする開閉工具兼用ドライバー。
【請求項3】
ドライバービットを取付ける顎部と一体の開閉アームの先端を握り手段に抜き差し可能に又は固定状態に挿入すると共に、一対の開閉アームを閉じた状態にロックする手段を有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の開閉工具兼用ドライバー。
【請求項4】
閉じた状態の両開閉アームの先端側を抜き差し可能に挿入するための受け孔を有する両握り手段を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の開閉工具兼用ドライバー。
【請求項5】
前記両握り手段の中央に、ドライバービットを取付ける顎部と一体の開閉アームの先端を抜き差し可能に挿入するセンター孔を有することを特徴とする請求項4に記載の開閉工具兼用ドライバー。
【請求項6】
前記両握り手段の受け孔の開口側の面に、ドライバービットを挿入するビット保管孔を有することを特徴とする請求項4または請求項5に記載の開閉工具兼用ドライバー。
【請求項7】
一対の開閉アームを開いて、片方の開閉アームで回転操作する際に、直交状態の軸受け部が丁度嵌入できるように、ほぼ十文字状の受け凹部を有する装着具を有することを特徴とする請求項2から請求項6までのいずれかに記載の開閉工具兼用ドライバー。
【請求項8】
一対の顎部のうち、ドライバービットを取付けない方の顎部の先端面に照明用孔を開けておいて、小型の照明手段を挿入可能としたことを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれかに記載の開閉工具兼用ドライバー。
【請求項9】
前記ドライバービットのビット先端が嵌入して回転駆動される嵌入孔側の他端に、前記ドライバービットとは異なる形状又は寸法の異種ドライバービットを有することを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれかに記載の開閉工具兼用ドライバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−221313(P2010−221313A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−69153(P2009−69153)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(593108912)
【Fターム(参考)】