説明

開閉装置、この開閉装置を備える電子機器、及び画像形成装置

【課題】駆動源や駆動源から回転が供給される各部材に負荷をかけずに、カバーを自動で開閉することができる開閉装置、この開閉装置を備える電子機器及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】開閉装置30は、カバー20、カバーギア31、捻りコイルバネ33、モータ34及び制御部105を備える。カバー20の両端には、それぞれ回転軸に貫通される貫通口21A,22Aを有する一対の支持部材21,22が形成される。支持部材21の外側に配置されるカバーギア31は、扇状を呈し、回転軸に貫通される貫通口312を有する円弧状のギア311が先端側に形成される。カバー20とカバーギア31の間には、捻りコイルバネ33が張設される。制御部105は、カバー20を開放した状態から閉鎖した状態を経て、カバーギア31が所定角度だけ回転して閉鎖位置に到達すると(S22)、ギア311に回転を供給するモータ34の正回転を停止する(S23)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、開閉自在なカバーを備える開閉装置、この開閉装置を備える電子機器、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置には、コンビニエンスストアが量販店等の公衆の場に設置され、挿入口にメモリカードや光ディスク等の記録媒体が差し込まれると、記録媒体からデータを読み出し、読み出したデータを用いて写真等の画像形成処理を行うものがある。データの読み出し中に、挿入口から記録媒体が抜き出されると、記録媒体内のデータが破損する。そこで、画像形成装置には、挿入口を覆うカバーを開閉する開閉装置を備えるものがある。
【0003】
開閉装置には、筐体、カバー、L型部材、揺動体、捻りコイルバネ、及びオイルダンパを備えたものがある(例えば、特許文献1参照。)。筐体には、軸を揺動軸として開閉自在なカバーと、カバーの開放時及び閉鎖時のそれぞれにおいてカバーに直交するように固定して設けられたL字型部材と、が取り付けられている。カバーは、軸を揺動軸とする揺動体が配設されており、揺動体と一体で揺動する。L字型部材は、揺動体に揺動抵抗を付加するオイルダンパが配設されている。揺動体とL字型部材との間には、一端が揺動体に他端がL字型部材に回動自在に結合された捻りコイルバネが縮設されている。
【0004】
カバーは、カバーを閉鎖した状態から手動で所定量だけ開放されると、揺動体を介して、カバーを開放する開放方向へ捻りコイルバネによって付勢されるとともに、カバーを閉鎖する閉鎖方向にオイルダンパによって揺動抵抗が付加されるため、緩やかに開放されて、完全に開放された状態に保持される。また、カバーは、カバーを開放した状態から手動で所定量だけ閉鎖されると、揺動体を介して、閉鎖方向へ捻りコイルバネによって付勢されるとともに、開放方向にオイルダンパによって揺動抵抗が付加されるため、緩やかに閉鎖されて、完全に閉鎖された状態に保持される。
【0005】
開閉装置は、半自動でカバーの開閉を行うものであり、自動でカバーの開閉を行うことはできない。自動でカバーの開閉を行う開閉装置は、正逆方向に回転するモータと、モータの回転が供給されるとカバーを開閉するギアと、をさらに備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−74981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
自動でカバーの開閉を行う開閉装置では、モータの回転を停止する停止位置がモータの静止角度誤差により変動すると、モータやギアに負荷がかかり破損することがある。さらに、カバーを開閉してから所定時間の間、モータの回転をギアに供給することで、カバーを完全に開閉している。このため、モータに負荷がかかりモータから異常音が発生することがある。また、カバーの閉鎖時に、カバーで指を挟むと負傷する。
【0008】
この発明の目的は、モータやギア等に負荷をかけずに、カバーを自動で開閉することができるカバー開閉装置、このカバー開閉装置を備える電子機器及び画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の開閉装置は、カバーギア、駆動源、カバー、付勢部材、及び制御部を備える。カバーギアは、第1回転軸を中心として正逆方向に回転可能である。駆動源は、正逆方向の回転をカバーギアに供給する。カバーは、第2回転軸を中心として第1位置から第2位置までの間を正逆方向に回転可能である。付勢部材は、カバーギアの回転をカバーに伝達し、カバーを第1位置から第2位置へ向かう所定方向へ付勢する。制御部は、カバーが第2位置に位置してからカバーギアを所定角度だけ所定方向へ回転させた後に、駆動源の回転を停止させる。
【0010】
この構成では、制御部は、駆動源の正逆方向の回転を制御する。カバーギアは、駆動源からカバーギアに正逆方向の回転を供給されると、第1回転軸を中心として正逆方向に回転する。カバーは、付勢部材によって第1位置から第2位置へ向かう所定方向に付勢されているため、カバーギアの正逆方向の回転が伝達されると、第2回転軸を中心として第1位置から第2位置までの間を正逆方向に回転する。制御部は、カバーが第2位置に位置した状態で、付勢部材によってカバーとカバーギアとの間に生じる負荷を低減しつつ、カバーギアを所定角度だけ所定方向へ回転させてから駆動源の回転を停止する。
【0011】
この構成において、第1回転軸及び第2回転軸は同軸上に位置することが好ましい。
【0012】
これにより、カバーとカバーギアの回転軸が同軸上に位置するため、カバーギアの回転をカバーに効果的に伝達することができる。
【0013】
また、カバーギアが第3位置に位置することを検出する検出部をさらに備え、第3位置は、カバーが第2位置に位置してからカバーギアが所定角度だけ所定方向へ回転した位置であり、制御部は、カバーギアが第3位置に位置することを検出部によって検出すると、駆動源の回転を停止させる構成であることが好ましい。
【0014】
この構成では、カバーギアが第2位置に位置してからカバーギアに所定角度だけ所定方向へ回転した第3位置に検出部が配置されている。制御部は、検出部によってカバーギアを検出すると、駆動源の回転を停止させる。
【0015】
これにより、カバーギアが第3位置に到達したことを容易に判断することができる。
【0016】
また、カバーギアは、カバーの回転を規制する一対の規制リブを有し、カバーは、一対の規制リブの間で回転し、駆動源の回転の停止時において一対の規制リブの一方と付勢部材とによって回転が規制される構成であることが好ましい。
【0017】
この構成では、カバーは、第1位置から第2位置へ向かう所定方向へ付勢部材によって付勢されつつ、カバーギアが有する一対の規制リブの間で回転する。カバーは、駆動源の回転の停止時において、一対の規制リブのうち第2位置側に位置する規制リブと付勢部材とによって回転が規制される。
【0018】
これにより、カバーは、駆動源の回転を停止させても、第2位置に確実に位置することができる。
【0019】
また、第2位置は、カバーが閉鎖した状態で位置する閉鎖位置である構成であることが好ましい。
【0020】
これにより、カバーが閉鎖位置に位置したタイミングで、カバーに指を挟んでも、駆動源の回転に伴ってカバーギアのみを回転させることができるため、指に力がかからず、指を負傷することがない。
【0021】
この発明の電子機器は、記録媒体が着脱可能に挿入される挿入口と、挿入口をカバーで覆う上述の開閉装置と、を備える。
【0022】
この構成では、メモリカード及び光ディスク等の記録媒体が着脱可能に挿入される挿入口をカバーで覆う開閉装置を備える電子機器に適用することができる。
【0023】
この発明の画像形成装置は、記録媒体が着脱可能に挿入される挿入口と、挿入口をカバーで覆う上述の開閉装置と、挿入口に装着された記録媒体に格納されているデータを用いて、記録部材に対して画像形成処理を行う画像形成部と、を備える。
【0024】
この構成では、メモリカード及び光ディスク等の記録媒体が着脱可能に挿入される挿入口をカバーで覆う開閉装置を備え、記録媒体に記録されているデータを用いて、普通用紙や写真用用紙等の記録部材に対して画像形成処理を行う画像形成装置に適用することができる。
【発明の効果】
【0025】
この発明の開閉装置は、駆動源や駆動源から回転が供給される各種部材に負荷をかけずに、カバーを自動で開閉することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】(A)はこの発明に係る画像形成装置の側面図で、(B)は正面図である。
【図2】同画像形成装置が備えるデータ取得部の外観図である。
【図3】(A)は同データ取得部が備える開閉装置の機構を示すカバー側からの斜視図で、(B)はカバーギア側からの斜視図である。
【図4】(A)はカバーを開放した状態、(B)は閉鎖した状態、(C)はカバーを閉鎖した状態から所定角度だけカバーギアを回転させた状態を示す。
【図5】同画像形成装置の一部の機能部を示すブロック図である。
【図6】同画像形成装置における画像形成時の処理を示すフローチャートである。
【図7】同画像形成装置におけるカバーの閉鎖処理を示すフローチャートである。
【図8】同画像形成装置におけるカバーの開放処理を示すフローチャートである。
【図9】(A),(B)は、開閉装置の機構の他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1に示すように、画像形成装置100は、モニタ110、本体部120、及びデータ取得部130を備え、記録部材である写真用用紙に画像を印刷する。
【0028】
モニタ110は、画像形成装置100の上方に配置される。モニタ110は、タッチパネルを採用しており、印刷対象のデータの選択、印刷開始指示等の各種設定を受け付ける。
【0029】
本体部120は、コイン入金口121、札入金口122、出金口123、排出口124を備え、画像形成装置100の下方に配置される。コイン入金口121は、硬貨の入金を受け付け、札入金口122は、紙幣の入金を受け付ける。出金口123は、清算後の釣銭が排出される。排出口124は、印刷後の写真が排出される。
【0030】
図2示すように、データ取得部130は、メモリスロット131、ディスクドライブ132、カバー20の開閉装置30(図3参照。)を備え、モニタ110と本体部120の間に配置される。
【0031】
メモリスロット131は、正面に挿入口131Aを有し、挿入口131Aからから記録媒体であるメモリカードの挿入を受け付ける。ディスクドライブ132は、正面に挿入口132Aを有し、挿入口132Aから記録媒体であるコンパクトディスクやDVD等の光ディスク等の挿入を受け付ける。
【0032】
カバー20は、閉鎖した状態又は開放した状態の一方から他方へ、挿入口131A、132A側を凹にして円弧状に移動する。カバー20は、閉鎖した状態で、挿入口131A、132Aを覆う。
【0033】
図3に示すように、開閉装置30は、カバー20、カバーギア31、ギア32、捻りコイルバネ(本発明の付勢部材に相当する。)33、モータ34、及び一対のセンサ35,36を備える。まず、開閉装置30を構成する各部材について説明する。
【0034】
カバー20は、側面視して、成す角が鈍角の円弧状を呈する。カバー20は、正面視して、カバー20を支持する一対の支持部材21,22が両端に一体形成されている。一対の支持部材21,22は、側面視して、カバー20の円弧の一端に形成されており、円弧の凹部側に突出する。一対の支持部材21,22は、それぞれ、開放端側に貫通口21A,22Aが形成されている。
【0035】
カバーギア31は、側面視して、扇状を呈し、円弧310を挟む2辺が交わる先端側に、先端側が凸となる円弧状のギア311が形成されている。円弧状のギア311は、成す角が鈍角であり、貫通口312が中心に形成されている。円弧状のギア311は、ギア32が連結されており、ギア32を介して駆動源であるモータ34の回転が供給される。モータ34は、制御部105(図5参照。)によって制御される。
【0036】
カバーギア31は、支持部材21の回転を規制する一対の規制リブ313,314が形成されている。規制リブ313は、略L字型を呈し、円弧310を挟む2辺のうちの1辺に沿うように形成された本体部313Aと、円弧310の延長線上で且つカバーギア31の外方に突出する突出部313Bと、を備える。規制リブ314は、略L字型を呈し、円弧状のギア311側から円弧310側へ向かう方向を長手方向とする本体部314Aと、円弧310に沿って形成されカバーギア31の外方に突出する突出部314Bと、を備える。本体部313Aと本体部314Aとは、支持部材21の一端が本体部313Aに当接した状態から、支持部材21を所定角度だけ回転させると、支持部材21の他端が本体部314Aに当接するように、配置されている。
【0037】
捻りコイルバネ33は、コイル部331及びアーム332,333を備え、コイル部331の中心軸まわりに捻りモーメントを受ける。アーム332の長さは、アーム333の長さよりも長く形成されている。
【0038】
一対のセンサ35,36は、光学センサであり、それぞれ凹部351,361を備える。一対のセンサ35,36それぞれ規制リブ313の突出部313B及び規制リブ314の突出部314Bが凹部351,361に到達したことを検出して、検出結果を制御部105へ出力する。
【0039】
次に開閉装置30の組み立て方法について説明する。一対の支持部材21,22が背面側に位置するようにカバー20を配置する。支持部材21の外側には、カバーギア31を配置する。カバーギア31は、規制リブ313の本体部313Aと規制リブ314の本体部314Aとの間に支持部材21を挟むように配置される。規制リブ314は正面側に配置され、規制リブ313は背面側に配置される。
【0040】
一対の支持部材21とカバーギア31との間には、捻りコイルバネ33を配置する。一対の支持部材21,22の貫通口21A,22A、捻りコイルバネ33のコイル部331、及びカバーギア31の貫通口312は、貫通口312、コイル部331、貫通口21A、22Aの順に回転軸によって同軸上で貫通される。なお、一対の支持部材21,22とカバーギア31とを異なる軸上で貫通してもよい。同軸上で貫通することで、カバーギア31から支持部材21へ効果的に回転を伝達することができる。
【0041】
捻りコイルバネ33のアーム332は、支持部材21の外側面に取り付けられ、アーム333は、カバーギア31の内側面に取り付けられる。捻りコイルバネ33は、支持部材21とカバーギア31の間に張設される。
【0042】
一対のセンサ35,36は、それぞれ、カバー20を開放した状態又は閉鎖した状態で、カバーギア31を検出するように配置される。カバー20は、カバー20を開放した状態で本発明の第1位置に位置し、閉鎖した状態で本発明の第2位置に位置する。
【0043】
センサ35は、カバー20を開放した状態(図4(A)参照。)で、規制リブ313の突出部313Bが到達する開放位置に配置される。センサ36は、カバー20が閉鎖された状態(図4(B)参照。)から、カバーギア31が所定角度だけ回転した時(図4(C)参照。)に、規制リブ314の突出部314Bが到達する閉鎖位置(本発明の第3位置に相当する。)に配置される。カバー20が閉鎖された状態では、規制リブ314の突出部314Bは、中継位置に到達する。
【0044】
図5に示すように、画像形成装置100は、読取部101、記憶部102、収納部103、画像形成部104、及び制御部105等を本体部120の内部にさらに備える。読取部101は、メモリカード及び光ディスクからデータを読み取る。記憶部102は、読取部が読み取ったデータを一時記憶する。収納部103は、画像形成処理前の写真用用紙が収納されている。なお、収納部103には、写真用用紙に限らず画像形成処理前の普通用紙が収納されていてもよい。
【0045】
画像形成部104は、記憶部102に一時記憶されたデータを用いて、収納部103に収納されている写真用用紙に公知の昇華型熱転写方式やインクジェット方式による画像形成処理を行う。昇華型熱転写方式では、シアン、マゼンダ、イエローの固形インクを塗布したインクリボンに印字ヘッドで熱を加えて昇華させ、ポリエステル系の樹脂でコートした写真用用紙に付着させる。インクジェット方式では、マゼンダ、シアン、イエロー及びブラックのインクを加圧してプリンタノズルから発射し、発射したインクの発射方向を偏向電極板によって変化させて、インクを写真用用紙に吹き付ける。
【0046】
制御部105は、各機能部を制御する。
【0047】
図6に示すように、制御部105は、メモリカード又は光ディスクが挿入口131A,132Aに挿入されたことを検知すると(S11)、図7に示すカバー20の閉鎖処理を行う(S12)。制御部105は、メモリカード又は光ディスクからデータを読取部101によって読み出して記憶部102に一時記憶し、一時記憶したデータをモニタ110に表示する(S13)。制御部105は、印刷対象のデータの選択を受け付けるまで待つ(S14)。制御部105は、印刷対象のデータが選択されると、印刷開始指示を受け付けるまで待つ(S15)。
【0048】
制御部105は、印刷開始指示を受け付けない場合に、カバー20の開放処理を行い(S20)、印刷開始指示を受け付けると、印刷料金をモニタに表示して、コイン入金口121又は札入金口122に貨幣が入金されるまで待つ(S16)。
【0049】
制御部105は、貨幣が入金されると、収納部103に収納されている写真用用紙に対して、選択された印刷対象のデータを用いて画像形成部104による画像形成処理を行い(S17)、画像形成処理後の写真を排出口124に排出する(S18)。制御部105は、入金された金額と印刷料金とに基づいて清算して釣銭を出金口123へ排出し(S19)、カバー20の開放処理を行う(S20)。
【0050】
次に、カバー20の閉鎖処理について説明する。図7に示すように、制御部105は、カバー20を開放した状態(図4(A)参照。)において、モータ34を正回転させる(S21)。
【0051】
モータ34の正回転は、ギア32を介してカバーギア31の円弧状のギア311に供給される。カバーギア31は、モータ34の正回転が供給されると、開放位置から閉鎖位置へ向かう閉鎖方向に回転する。支持部材21は、縮む方向に付勢された捻りコイルバネ33によって閉鎖方向へ付勢される。この結果、カバー20は、カバーギア31の閉鎖方向の回転に伴って、捻りコイルバネ33によってカバーギア31の規制リブ314の本体部314Aに支持部材21が当接した状態で、閉鎖方向に回転する。
【0052】
制御部105は、カバーギア31が中継位置に到達してカバー20を閉鎖した状態(図4(B)参照。)を経て、カバーギア31が所定角度だけ閉鎖方向に回転して、規制リブ314の突出部314Bが閉鎖位置に到達したことをセンサ36によって検出するまで待つ(S22)。
【0053】
突出部314Bが中継位置から閉鎖位置に到達するまでの間、カバー20は閉鎖方向に回転できないため、カバーギア31のみが閉鎖方向に回転する。この結果、カバー20の支持部材21は、一端が本体部313Aに当接した状態から他端が本体部314Aに当接する状態に変位する。捻りコイルバネ33は、カバー20を開放した状態における付勢力よりも強い力で縮む方向へ付勢される。
【0054】
制御部105は、突出部314Bが閉鎖位置に到達したこと(図4(C)参照。)を検出すると、モータ34の正回転を停止する(S23)。
【0055】
モータ34の正回転を停止すると、カバーギア31に閉鎖方向に回転する力が付加されないため、カバーギア31は、縮む方向に付勢された捻りコイルバネ33によって閉鎖位置から開放位置へ向かう開放方向へ回転し、カバー20の支持部材21に当接した状態で中継位置(図4(B)参照。)に変位する。カバー20は、捻りコイルバネ33と規制リブ313の本体部313Aとによって回転しないように固定される。
【0056】
以上より、開閉装置30は、モータ34の正回転を停止させる停止位置がずれても、カバーギア31と捻りコイルバネ33によってモータ34の正回転を吸収するため、モータ34やギア32に負荷がかかることがない。開閉装置30は、カバー20を確実に閉鎖するために、カバー20の閉鎖後にモータ34を正回転させても、モータ34の正回転によってカバーギア31を閉鎖方向に回転させるため、モータ34の異常音が発生しない。開閉装置30は、カバー20を開放した状態(図4(A)参照。)から閉鎖する時に、指を挟んでも、モータ34の正回転に伴ってカバーギア31のみを所定角度だけ閉鎖方向に回転させることができるため、指に力がかからず、指を負傷することがない。
【0057】
次に、カバー20の開放処理について説明する。図8に示すように、制御部105は、カバー20が閉鎖した状態(図4(B)参照。)において、モータ34を逆回転させる(S31)。
【0058】
モータ34の逆回転は、ギア32を介してカバーギア31の円弧状のギア311に供給される。カバーギア31は、モータ34の逆回転が供給されると、中継位置(図4(B)参照。)から開放位置へ向かって回転する。カバー20は、縮む方向に付勢された捻りコイルバネ33によって閉鎖方向へ付勢される。この結果、カバー20は、カバーギア31の開放方向の回転に伴って、カバーギア31の規制リブ314の本体部314Aに支持部材21が当接した状態で、開放方向に回転する。
【0059】
制御部105は、規制リブ313の突出部313Bが開放位置に到達したことをセンサ36によって検出するまで待つ(S32)。制御部105は、突出部313Bが開放位置に到達したことを検出すると、モータ34の逆回転を停止する(S33)。
【0060】
モータ34の逆回転を停止すると、カバーギア31に開放方向に回転する力が付加されない。カバー20は、捻りコイルバネ33と規制リブ314の本体部314Aとによって回転しないように固定される。
【0061】
なお、捻りコイルバネ33に代えて、図9(A)に示すように、カバー20の支持部材21と規制リブ313の本体部313Aとの間にバネ(本発明の付勢部材に相当する。)40を縮設してもよい。また、図9(B)に示すように、カバー20の支持部材21と規制リブ314の本体部314Aとの間にバネ(本発明の付勢部材に相当する。)41を張設してもよい。
【0062】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0063】
20…カバー
30…開閉装置
31…カバーギア
33…捻りコイルバネ
34…モータ
105…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1回転軸を中心として正逆方向に回転可能なカバーギアと、
正逆方向の回転を前記カバーギアに供給する駆動源と、
第2回転軸を中心として第1位置から第2位置までの間を正逆方向に回転可能なカバーと、
前記カバーギアの回転を前記カバーに伝達する付勢部材であって、前記カバーを第1位置から前記第2位置へ向かう所定方向へ付勢する付勢部材と、
前記カバーが前記第2位置に位置してから前記カバーギアを所定角度だけ前記所定方向へ回転させた後に、前記駆動源の回転を停止させる制御部と、を備える開閉装置。
【請求項2】
前記第1回転軸及び前記第2回転軸は同軸上に位置する請求項1に記載の開閉装置。
【請求項3】
前記カバーギアが第3位置に位置することを検出する検出部をさらに備え、
前記第3位置は、前記カバーが前記第2位置に位置してから前記カバーギアが前記所定角度だけ前記所定方向へ回転した位置であり、
前記制御部は、前記カバーギアが前記第3位置に位置することを前記検出部によって検出すると、前記駆動源の回転を停止させる請求項1又は請求項2に記載の開閉装置。
【請求項4】
前記カバーギアは、前記カバーの回転を規制する一対の規制リブを有し、
前記カバーは、前記一対の規制リブの間で回転し、前記駆動源の回転の停止時において前記一対の規制リブの一方と前記付勢部材とによって回転が規制される請求項1〜3の何れかに記載の開閉装置。
【請求項5】
前記第2位置は、前記カバーが閉鎖した状態で位置する閉鎖位置である請求項1〜4の何れかに記載の開閉装置。
【請求項6】
記録媒体が着脱可能に挿入される挿入口と、
前記挿入口を前記カバーで覆う、請求項1〜5の何れかに記載の開閉装置と、を備える電子機器。
【請求項7】
記録媒体が着脱可能に挿入される挿入口と、
前記挿入口を前記カバーで覆う、請求項1〜5の何れかに記載の開閉装置と、
前記挿入口に装着された記録媒体に格納されているデータを用いて、記録部材に対して画像形成処理を行う画像形成部と、を備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−86321(P2013−86321A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227689(P2011−227689)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】