説明

開閉装置の開閉体停止装置

【課題】係合部材と回転部材が突き当て状態になることを回避し、係合部材等に過大な荷重が作用することを防止できる開閉装置の開閉体停止装置を提供すること。
【解決手段】開閉体であるシャッターカーテンは、ブレーキ装置で停止、移動可能となり、シャッターカーテンが障害物に当接したときに紐状部材であるロック用ワイヤー36に緊張力が作用してブレーキ装置はオンとなり、カーテンには、カーテンが障害物に当接したときにカーテンとワイヤー36とを結合して緊張力をワイヤー36に作用させる機械式結合装置55が配置され、この装置は、歯部35Aを備える回転部材35と、カーテンが障害物に当接したときにカーテンに対する運動を行うことで係合部53が歯部35Aに係合する係合部材50とを含み、係合部材の運動荷重をカーテンから係合部材を経て回転部材の歯部に伝達するための運動荷重伝達経路中に、弾性変形可能な弾性部54を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、閉じ移動中の開閉体が障害物に当接したときにこの閉じ移動を停止させるための開閉装置の開閉体停止装置に係り、例えば、シャッターカーテンが開閉体となっている管理及び防災併用等のシャッター装置や、オーニング装置、さらには、防煙垂れ幕装置等の各種の開閉装置に利用できるものである。
【背景技術】
【0002】
開閉装置となっていて、シャッターカーテンが開閉移動する開閉体となっている管理用シャッター装置では、出入口等の開口部を開閉するためのシャッターカーテンが、操作装置に操作により開き移動、閉じ移動、移動停止する。また、同じく開閉装置となっている防災用シャッター装置では、防煙等の防災機能を有しているシャッターカーテンが火災等の異常事態の発生時に閉じ移動し、これにより、建物等の構造物内に防災区画が形成される。このような管理用シャッター装置や、防災用シャッター装置、さらには、管理及び防災併用のシャッター装置では、シャッターカーテンの閉じ方向に障害物が存在し、閉じ移動中のシャッターカーテンがこの障害物に当接したときに、シャッターカーテンの閉じ移動を停止させることが行われる。この停止を実行させるための停止装置が下記の特許文献1に示されている。
【0003】
この停止装置は、オン、オフすることにより開閉移動自在な開閉体であるシャッターカーテンを停止、移動可能とさせるためのブレーキ装置と、閉じ移動中のシャッターカーテンが障害物に当接したときに緊張力が作用し、この緊張力によりシャッターカーテンの移動を停止させるためにブレーキ装置をオンとさせる紐状部材と、シャッターカーテンに配置され、このシャッターカーテンが障害物に当接することによりシャッターカーテンと紐状部材とを機械的に結合して紐状部材に緊張力を作用させる機械式結合装置とを有している。そして、この機械式結合装置は、歯部を備え、シャッターカーテンの移動時に回転する回転部材と、前記歯部に係合可能となった係合部を有し、シャッターカーテンが障害物に当接したときにシャッターカーテンに対する運動を行うことで前記係合部が前記歯部に係合する係合部材とを含んで構成されており、歯部への係合部の係合で回転部材の回転を停止させることにより開閉体と紐状部材とを機械的に結合するものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−13647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記停止装置では、シャッターカーテンが障害物に当接したときに係合部材がシャッターカーテンに対する運動を行い、これにより、係合部材の係合部が回転部材の歯部に係合して回転部材の回転を停止させることが行われるが、係合部材の係合部が回転部材の歯部に係合せずに、係合部の先端と回転部材の歯部の先端とが当接してしまい、これにより、係合部材と回転部材とが突き当て状態になるおそれがあり、言い換えると、係合部材と回転部材とがいわばデッドロック状態の関係になるおそれがあり、このような状態になると、係合部材と回転部材との突き当てのために係合部材等に過大な荷重が作用してしまうため、上述の状態になることを回避できる工夫が求められる。
【0006】
本発明の目的は、係合部材と回転部材とが突き当て状態になることを回避し、係合部材等に過大な荷重が作用することを防止できるようになる開閉装置の開閉体停止装置を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る開閉装置の開閉体停止装置は、オン、オフすることにより開閉移動自在な開閉体を停止、移動可能とさせるためのブレーキ装置と、閉じ移動中の前記開閉体が障害物に当接したときに緊張力が作用し、この緊張力により前記開閉体の移動を停止させるために前記ブレーキ装置をオンとさせる紐状部材と、前記開閉体に配置され、この開閉体が前記障害物に当接することにより前記開閉体と前記紐状部材とを機械的に結合して前記紐状部材に前記緊張力を作用させる機械式結合装置とを有し、この機械式結合装置が、歯部を備え、前記開閉体の移動時に回転する回転部材と、前記歯部に係合可能となった係合部を有し、前記開閉体が前記障害物に当接したときに前記開閉体に対する運動を行うことで前記係合部が前記歯部に係合する係合部材とを含んで構成され、前記歯部への前記係合部の係合で前記回転部材の回転を停止させることにより前記開閉体と前記紐状部材とを機械的に結合する開閉装置の開閉体停止装置において、前記係合部材の運動荷重を前記開閉体から前記係合部材を経て前記回転部材の前記歯部に伝達するための運動荷重伝達経路中に、弾性変形可能となった弾性部が設けられていることを特徴とするものである。
【0008】
本発明に係る停止装置では、係合部材の運動荷重を開閉体から係合部材を経て回転部材の歯部に伝達するための運動荷重伝達経路中に、弾性変形可能となった弾性部が設けられているため、閉じ移動中の開閉体が障害物に当接することで係合部材が開閉体に対する運動を行い、これにより、係合部材の係合部が回転部材の歯部に係合しようとしたときに、係合部の先端と歯部の先端とが当接してしまって係合部材と回転部材とが突き当て状態になることは、上記弾性部が弾性変形することで係合部材が回転部材に対して弾性的に後退することにより回避できることになり、このため、係合部材等に過大な荷重が作用することを防止できることになる。
【0009】
以上の本発明において、閉じ移動中の開閉体が障害物に当接することで係合部材が開閉体に対して行う運動は、回動運動(揺動運動)でもよく、直線運動でもよく、これらの複合運動でもよく、係合部材の係合部が回転部材の歯部に係合できるものであれば任意な運動でよい。
【0010】
また、本発明において、弾性変形可能となった上記弾性部は、係合部材の運動荷重を開閉体から係合部材を経て回転部材の前記歯部に伝達するためにこれらの開閉体と係合部材と回転部材の歯部により形成されている運動荷重伝達経路中であれば、任意な箇所に設けることができる。
【0011】
その一例は、係合部材を開閉体により運動させるために開閉体及び係合部材に、互いに当接する開閉体側当接部と係合部材側当接部とを設ける場合には、開閉体側当接部を弾性部とすることである。
【0012】
また、係合部材に上記弾性部を設けてよい。このように係合部材に上記弾性部を設ける場合であって、係合部材を開閉体により運動させるために開閉体及び係合部材に、互いに当接する開閉体側当接部と係合部材側当接部とを設ける場合には、係合部材側当接部を弾性部としてもよい。
【0013】
また、係合部材に上記弾性部を設ける場合には、この係合部材を、上記弾性部を形成している弾性部材と、この弾性部材によって連結されている少なくとも2個の構成部材とを含んで構成し、これらの構成部材のうち、一方の構成部材を他方の構成部材に対して弾性部材の弾性変形により運動可能としてもよい。
【0014】
この場合において、弾性部材の弾性変形により行われる一方の構成部材の他方の構成部材に対する運動は、回動運動でもでもよく、直線運動でもよく、これらの複合運動でもよく、任意な運動でよい。
【0015】
さらに、閉じ移動中の開閉体が障害物に当接することで係合部材が開閉体に対して行う運動が、係合部材が軸を中心に回動する運動である場合には、前記一方の構成部材が前記他方の構成部材に対して弾性部材の弾性変形により運動することは、前記軸を中心に回動することでもよい。
【0016】
また、この場合における弾性部材は任意なものでよく、その一例は、弾性部材を、一方の端部が前記一方の構成部材に係止され、他方の端部が前記他方の構成部材に係止されるねじりコイルばねとすることである。
【0017】
また、上述のように係合部材を、弾性部を形成している弾性部材と、この弾性部材によって連結されている少なくとも2個の構成部材とを含んで構成し、これらの構成部材のうち、一方の構成部材を他方の構成部材に対して弾性部材の弾性変形により運動可能とする場合には、前記一方の構成部材と前記他方の構成部材とのうち、少なくとも1個の構成部材に、弾性部材の弾性変形により前記一方の構成部材が前記他方の構成部材に対して運動するときに、係合部材の係合部が回転部材の歯部から離脱する前に前記一方の構成部材の運動を止めるためのストップ手段を設けるようにする。
【0018】
これによると、係合部材が上記弾性部を形成している弾性部材を含んで構成されていても、この弾性部材の弾性変形により前記一方の構成部材が前記他方の構成部材に対して運動するときに、係合部材の係合部が回転部材の歯部から離脱する前に、前記一方の構成部材が前記他方の構成部材に対して行う運動がストップ手段によって止められるため、係合部材の係合部が回転部材の歯部と係合することを維持できることになり、これにより、回転部材の回転を係合部材により停止させて前述した機械式結合装置で開閉体と紐状部材と結合させること、及びこの結合により紐状部材に作用する緊張力で前述のブレーキ装置をオンとし、障害物に当接した開閉体の閉じ移動を停止させることを実現できることになる。
【0019】
さらに本発明において、上記弾性部を前述の運動荷重伝達経路中に設けるためには、係合部材を、弾性撓み変形可能な弾性部材となっている軸を中心に回動自在とすることにより、この軸を弾性部としてもよい。
【0020】
また、係合部材を軸を中心に回動自在とし、この軸を弾性変形可能な軸支持部材によって支持することにより、この軸支持部材を弾性部としてもよい。
【0021】
さらに、本発明において、上記弾性部を前述の運動荷重伝達経路中に設けるためには、係合部材の係合部を弾性材料で形成することにより、この係合部を弾性部としてもよい。さらに、回転部材の歯部を弾性材料で形成することにより、この歯部を弾性部としてもよい。
【0022】
また、本発明における紐状部材は、ワイヤーでもよく、合成樹脂製の紐でもよく、ローラチェーン等のチェーンでもよく、任意な紐状部材でよい。
【0023】
さらに、本発明に係る停止装置のブレーキ装置は、それ単独で一つの装置になっているものでもよく、あるいは、例えば、開閉体を開閉移動させるための電動モータ装置と組み合わせられて開閉体を開閉移動させるための開閉機の一部となっているものでもよい。
【0024】
また、本発明おいて、閉じ移動中の開閉体が障害物に当接して紐状部材に緊張力が作用したときに、この緊張力によりブレーキ装置を機械的にオンにさせて開閉体の閉じ移動を停止させるようにしてもよく、あるいは、紐状部材に作用した緊張力により中間部材を作動させ、この中間部材の作動によりブレーキ装置を電気的にオンにさせて開閉体に閉じ移動の停止等を行わせるようにしてもよい。後者の場合における中間部材は、例えば、開閉移動する開閉体に対して不動となっている不動部材に取り付けた電気スイッチであり、この電気スイッチが紐状部材に作用した緊張力によりオンとなることにより、このオン信号が入力する制御装置の制御によってブレーキ装置が電気的にオンとなって開閉体に閉じ移動の停止を行わせてもよく、また、開閉体が当接した障害物が除去されることで紐状部材の緊張力が消滅して電気スイッチがオフとなったときに、このオフ信号が入力した制御装置の制御によりブレーキ装置を遅延させて電気的にオフにすることにより、開閉体の閉じ移動を遅延させて再開させてもよく、さらに、電気スイッチが上述のようにオンとなることにより、このオン信号が入力する制御装置の制御により、開閉体を移動させるための電動モータ等を作動させて開閉体を徐々に閉じ移動等させてもよい。
【0025】
また、本発明は、任意な開閉体が開閉移動自在となっている任意な開閉装置に適用することができ、その開閉装置の一例は、開閉体がシャッターカーテンとなっているシャッター装置であり、また、本発明は、オーニング装置、さらには、防煙垂れ幕装置等の各種の開閉装置に適用することができる。
【0026】
さらに、シャッター装置は、操作装置の操作によりシャッターカーテンが開閉移動、移動停止を行う管理用シャッター装置でもよく、あるいは、全閉となったシャッターカーテンにより防災区画を形成する防災用シャッター装置でもよく、あるいは、管理及び防災併用のシャッター装置でもよい。
【0027】
また、管理用シャッター装置の上記操作装置の信号送信方式は、有線方式でもよく、無線方式でもよい。
【発明の効果】
【0028】
本発明によると、係合部材と回転部材とが突き当て状態になることを回避し、係合部材等に過大な荷重が作用することを防止できるという効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る開閉装置となっているシャッター装置の全体を示す正面図である。
【図2】図2は、図1のS2−S2線断面図である。
【図3】図3は、図1及び図2で示されている開閉機の内部構造を示す断面図である。
【図4】図4は、図1のS4−S4線断面図である。
【図5】図5は、図4で示されている機械式結合装置をシャッターカーテンの裏側から見た断面図である。
【図6】図6は、シャッターカーテンが障害物に当接したときを示す図4と同様の図である。
【図7】図7は、図6のときを示す図5と同様の図であって、係合部材と回転部材とが突き当て状態になるときを示した図である。
【図8】図8は、シャッターカーテンの障害物への当接がさらに進行したときを示す図5と同様の図であって、係合部材の係合部と回転部材の歯部とが係合したときを示す図である。
【図9】図9は、図8の一部拡大図である。
【図10】図10は、図1及び図2で示されている遅延装置の内部構造を示す図である。
【図11】図11は、図1及び図3で示されている自動閉鎖装置の内部構造を示す正面図である
【図12】図12は、自動閉鎖装置の内部構造を示す平面図である。
【図13】図13は、火災等の災害が発生したことで自動閉鎖装置のソレノイドが通電、励磁されたときを示す図12と同様の図である。
【図14】図14は、自動閉鎖装置のソレノイドの通電、励磁が停止されたときを示す図12と同様の図である。
【図15】図15は、閉じ移動中のシャッターカーテンが障害物に当接したときを示す図12と同様の図である。
【図16】図16は、運動荷重伝達経路中に設けられている弾性部が係合部材側当接部になっている実施形態を示す図5と同様の図である。
【図17】図17は、係合部材が、弾性部材と、この弾性部材によって連結されている2個の構成部材とを含んで構成されている実施形態を示す係合部材の図である。
【図18】図18は、図17の別実施形態を示す係合部材の図である。
【図19】図19は、係合部材が弾性部となっている軸を中心に回動自在になっている実施形態を示す係合部材の図である。
【図20】図20は、係合部材が軸を中心に回動自在であって、この軸が弾性部となっている軸支持部材によって支持されている実施形態を示す係合部材の図である。
【図21】図21は、紐状部材を、シャッターカーテンに配置されている機械式結合装置で折り返している実施形態を示す図1と同様の図である。
【図22】図22は、紐状部材を、シャッターカーテンの移動を案内するガイドレールの内部に収納した実施形態を示す図1と同様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。本実施形態に係る開閉装置は、開閉体がシャッターカーテンとなっているシャッター装置である。また、本実施形態に係るシャッター装置は、管理及び防災の併用シャッター装置である。すなわち、本実施形態に係るシャッター装置は、シャッターカーテンが出入口等の開口部を開閉するために、操作装置の操作により開き移動、閉じ移動、移動停止を行う管理用シャッター装置としての機能と、防煙等の防災機能を有しているシャッターカーテンが火災等の異常事態の発生時に閉じ移動することにより、全閉となったこのシャッターカーテンにより建物等の構造物内に防災区画を形成するための防災用シャッター装置としての機能と、を有している。
【0031】
図1には本実施形態に係るシャッター装置の全体が示されており、この図1は、開閉移動方向が上下方向になっていて、下向きに閉じ移動するシャッターカーテン1が半分程度まで閉じた半閉状態になっているときを示している。シャッターカーテン1で開閉される開口部は、建物に形成された出入口2であり、この出入口2は、壁等の左右の建物躯体3と、全閉となったときのシャッターカーテン1の下端部が当たる相手部材となっている床4と、天井部材5とで囲まれている。左右の建物躯体3には、シャッターカーテン1の左右方向の両端部、言い換えると、シャッターカーテン1の幅方向の両端部がスライド自在に挿入された左右一対のガイドレール6が取り付けられており、ガイド部材となっているこれらのガイドレール6に案内されてシャッターカーテン1は上下に開閉移動する。
【0032】
出入口2に対して天井部材5で仕切られている天井裏空間7には、シャッターボックス8が配置されており、このシャッターボックス8は、図1のS2−S2線断面図である図2に示されているように、天井裏空間7に存在する下がり壁等の建物躯体9にボルト等の結合具10で結合されている。シャッターボックス8の内部には巻取軸11が水平に収納配置され、この巻取軸11は、シャッターボックス8の図1で示されている左右の側面部8A,8Bに回転自在に支持されている。また、図1に示されているように、巻取軸11の一方の端部には、スプロケットホイールとローラチェーンによる駆動力伝達手段12を介して開閉機13が接続されている。巻取軸11を駆動させるための駆動装置となっているこの開閉機13は図2でも示されており、開閉機13の駆動軸14の回転力は、この駆動軸14に取り付けられた駆動スプロケットホイール12Aと、巻取軸11の上記一方の端部に取り付けられた被動スプロケットホイール12Bと、これらのスプロケットホイール12A、12Bの間に架け渡された無端ローラチェーン12Cとによる駆動力伝達手段12を経て巻取軸11に伝達される。
【0033】
なお、本実施形態の開閉機13は、図2に示されているように、シャッターボックス8の左右の側面部8A,8Bのうち、一方の側面部8Bに結合されたブラケット部材15に取り付けられている。
【0034】
図2から分かるように、シャッターカーテン1は巻取軸11に巻回されているとともに、シャッターカーテン1の上端は巻取軸11の外周面に結合されている。また、シャッターカーテン1における巻取軸11より下側の部分は、天井部材5に配置されているまぐさ16に設けられたスリット17を通って天井部材5の下側へ垂下され、さらに、シャッターカーテン1の幅方向の両端部は、前述のように左右のガイドレール6にスライド自在に挿入されている。まぐさ16は、互いに対向配置されたまぐさ部材16A,16Bにより形成され、これらのまぐさ部材16A,16Bの間がスリット17となっている。
【0035】
図3は、開閉機13の内部構造を示す断面図である。この図3に示されているように、開閉機13は、直流又は交流の電動モータ装置18とブレーキ装置19とを軸方向に並設したものであり、上述の駆動軸14は、電動モータ装置18の回転する回転子18Aの中心に固定配置された回転軸となっている。この駆動軸14におけるブレーキ装置19側の端部には、円盤状のブレーキシュー20が結合されている。ブレーキ装置19には、軸方向に一定距離だけスライド自在となっているブレーキ軸21が設けられ、このブレーキ軸21には、ブレーキシュー20と軸方向に対面するブレーキドラム22が結合されている。通常時のブレーキ軸21及びブレーキドラム22は、ばね23で電動モータ装置18側へ押圧されており、このため、ブレーキシュー20とブレーキドラム22との圧接によりブレーキ装置19はオンとなっている。したがって、このときの電動モータ装置18の駆動軸14は、ブレーキ装置19の制動力によって回転しない。
【0036】
一方、ブレーキ装置19に配置されているソレノイド24に通電されたときには、このソレノイド24の磁力により、ブレーキ軸21及びブレーキドラム22はばね23に対抗して電動モータ装置18から離れる方向へスライドする。このため、ブレーキシュー20とブレーキドラム22との圧接が解除され、ブレーキ装置19はオフとなる。したがって、このときには、電動モータ装置18の駆動軸14は、コイル25への通電により回転できることになる。
【0037】
このようにソレノイド24への通電によリ、ブレーキ装置19はオフとなり、この通電を停止すると、ブレーキ装置19はオンとなるため、このブレーキ装置19は電気的にオン、オフするブレーキ装置となっている。
【0038】
本実施形態では、図1に示されているように、開閉機13には制御装置26が取り付けられており、この制御装置26は、開閉機13の電動モータ装置18及びブレーキ装置19を電気的に制御するものである。なお、制御装置26は、開閉機13とは別の部材や手段、装置等に取り付けてもよく、その配置箇所は任意である。
【0039】
図1で示した左右の建物躯体3のうち、一方の建物躯体3Aには、シャッターカーテン1を出入口2に対して上向きに開き移動させることと、下向きに閉じ移動させることと、移動停止させることとを行わせるための操作装置30が取り付けられている。この操作装置30には、「開」ボタンと、「閉」ボタンと、「停」ボタンとが設けられている。また、シャッターカーテン1は、シャッターカーテン1の大部分の面積を占めていて、上端が巻取軸11に結合されているカーテン本体1Aと、このカーテン本体1Aの下端部に設けられた座板1Bとを有するものとなっている。本実施形態のカーテン本体1Aは、多数のスラットを上下に連設することによって形成されている。
【0040】
カーテン本体1Aは、本実施形態における開閉体本体となっており、座板1Bは、本実施形態におけるエンド部材となっている。
【0041】
座板1Bが前述の天井部材5に配置されたまぐさ16の高さ位置に達しているシャッターカーテン1の全開時に、又は、座板1Bが図1に示すようにまぐさ16と床4との間の途中位置に達しているシャッターカーテン1の半閉状態(半開状態)のときに、操作装置30の「閉」ボタンを操作すると、この「閉」ボタンからの信号が入力する制御装置26の制御により、ブレーキ装置19のソレノイド24に通電されるため、ブレーキ装置19がオフとなる。これにより、シャッターカーテン1は、シャッターカーテン1の自重により巻取軸11及び駆動軸14を正回転させて巻取軸11から下向きに繰り出され、これにより閉じ移動したシャッターカーテン1が全閉位置に達すると、この全閉位置を検知した図示しないセンサからの信号が入力する制御装置26の制御により、ソレノイド24への通電は遮断され、ブレーキ装置19はばね23でオンに復帰する。また、シャッターカーテン1が全閉となっているときに、又は、座板1Bが図1に示すようにまぐさ16と床4との間の途中位置に達しているシャッターカーテン1の半開状態(半閉状態)のときに、「開」ボタンを操作すると、この「開」ボタンからの信号が入力する制御装置26の制御により、ブレーキ装置19のソレノイド24に通電されるため、ブレーキ装置19がオフになるとともに、制御装置26の制御により電動モータ装置18のコイル25に通電される。このため、駆動軸14は逆回転し、この回転は前述の駆動力伝達手段12を介して巻取軸11に伝達され、巻取軸11の逆回転により、シャッターカーテン1は巻取軸11に巻き取られて開き移動する。シャッターカーテン1が全開位置に達すると、この全開位置を検知した図示しないセンサからの信号が入力する制御装置26の制御により、ソレノイド24への通電は遮断され、ブレーキ装置19がばね23でオンに復帰するとともに、制御装置26の制御によりコイル25への通電が遮断される。
【0042】
また、シャッターカーテン1が閉じ移動している途中で「停」ボタンを操作すると、この「停」ボタンからの信号が入力する制御装置26の制御により、ソレノイド24への通電は遮断されるため、ブレーキ装置19がばね23でオンに復帰することにより、シャッターカーテン1はその位置で停止する。さらに、シャッターカーテン1が開き移動している途中で「停」ボタンを操作すると、この「停」ボタンからの信号が入力する制御装置26の制御により、ソレノイド24への通電は遮断されるため、ブレーキ装置19がばね23でオンに復帰するとともに、制御装置26の制御により電動モータ装置18のコイル25への通電が遮断され、これにより、シャッターカーテン1はその位置で停止する。
【0043】
以上の説明から分かるように、開閉移動するシャッターカーテン1に対して、前述の床4やガイドレール6、シャッターボックス8、このシャッターボックス8に結合されたブラケット部材15、さらには、まぐさ16等は不動となっているため、これらの床4、ガイドレール6、シャッターボックス8、ブラケット部材15、まぐさ16等は、シャッターカーテン1に対する不動部材となっている。
【0044】
なお、シャッターカーテン1の下向きの閉じ移動をシャッターカーテン1の自重だけで行わせるのではなく、この自重と、電気モータ装置18の駆動による駆動軸14の正回転とにより、シャッターカーテン1を閉じ移動させるようにしてもよい。
【0045】
また、前述のように正逆回転自在となっている巻取軸11に、シャッターカーテン1の閉じ移動中に戻し力が蓄圧されるねじりコイルばねやぜんまいばねによる戻しばねを設けておき、シャッターカーテン1の上向きの開き移動を、この戻しばねに蓄圧された戻し力を補助力として利用して行うようにしてもよい。
【0046】
本実施形態では、図3に示されているとおり、ブレーキ軸21における電動モータ装置18側とは反対側の端部にはレバー部材31が配置されている。このレバー部材31はブレーキ軸21を貫通したものであって、ブレーキ軸21を境界として区分される第1部分31Aと第2部分31Bとからなる。第1部分31Aには第1屈曲部31Cが形成され、第2部分31Bには第2屈曲部31Dが形成されている。第1部分31AにA方向、すなわち、電動モータ装置18側とは反対側への荷重が作用したときには、第1部分31Aが第2屈曲部31Dを支点としてA方向へ揺動するため、ブレーキ軸21及びブレーキドラム22は、A方向と同じ方向であるA’方向へスライドする。このため、ソレノイド24に通電しなくても、ブレーキ装置19をオフとすることができる。
【0047】
このため、ブレーキ装置19は、第1部分31AへのA方向の荷重の作用と、この荷重が解除されたときのばね23とにより、オン、オフする機械的のブレーキ装置にもなっている。
【0048】
なお、第1部分31AにA方向への荷重が作用することは、開閉機13に取り付けられている後述の自動閉鎖装置32によって行われる。この自動閉鎖装置32は、後述の説明で分かるように、シャッターカーテン1を駆動させる駆動装置になっている開閉機13を機械式に制御するための機械式制御装置である。
【0049】
また、第2部分31BにA方向と同じ方向の荷重が作用したときには、第2部分31Bが第1屈曲部31Cを支点としてA方向と同じ方向へ揺動するため、この場合にも、ブレーキ軸21及びブレーキドラム22は、A’方向へスライドする。このため、このときにもソレノイド24に通電しなくても、ブレーキ装置19をオフとすることができる。
【0050】
このように第2部分31BにA方向と同じ方向の荷重を作用させることは、手作業により行うことができる。このため、この実施形態に係る開閉機13は、手操作によってもブレーキ装置19をオフにすることができるようになっている。なお、第2部分31Bは、第2屈曲部31Dを残して省略してもよい。
【0051】
図4は、図1で示されているシャッターカーテン1の座板1Bの部分の構造を示す図1のS4−S4線断面図である。本実施形態のシャッターカーテン1は、前述したようにカーテン本体1Aと座板1Bとを有し、座板1Bは、固定部70Aと可動部70Bとからなる。また、シャッターカーテン1は、カーテン主部71Aと、カーテン副部71Bとを有し、カーテン主部71Aは、カーテン本体1Aと、座板1Bのうちの固定部70Aとによって構成されており、カーテン副部71Bは、座板1Bのうちの可動部70Bによって構成されている。したがって、このカーテン副部71Bは、シャッターカーテン1の閉じ側の端部に配置されている。そして、カーテン主部71Aは、本実施形態における開閉体主部となっており、カーテン副部71Bは、本実施形態における開閉体副部となっている。
【0052】
また、図4に示されているように座板1Bのうち、カーテン本体1Aと結合されている固定部70Aは、共に断面箱型となった内外の部材75,76で形成され、この固定部70Aに対して可動部70Bは上下動自在となっている。図4から分かるように、固定部70Aを形成している内外の部材75,76の下面は開口部78となっており、この開口部78から可動部70Bの立上り部79の上端が固定部70Aの内部空間に挿入されている。立上り部79の上端には、シャッターカーテン1の厚さ方向外側へ延出する延出部79A,79Bが形成され、これらの延出部79A,79Bが、固定部70Aの内部材76の下端に形成された突片部76A,76Bの上面に乗ることにより、固定部70Aに対する可動部70Bの下側への移動限が規定される。
【0053】
固定部70Aの内部には、シャッターカーテン1の幅方向に延びる支点軸80を中心に上下揺動自在となった揺動部材81が収納されている。この揺動部材81は、図6で示されているように、可動部70Bが固定部70Aに対して上昇したときには、すなわち、閉じ移動中のシャッターカーテン1が図1で示した障害物34等に当接したときには、可動部70Bの立上り部79の延出部79Aが揺動部材81を押し上げることにより、揺動部材81は支点軸80を中心に上向きに揺動する。
【0054】
図4に示されているように、座板1Bの固定部70Aには、図1にも示されているケース33が取り付けられており、このケース33の内部は図5にも示されている。ケース33の内部には、外周部に多数の歯部35Aが円周方向に形成された回転部材35と、巻取りリール37とが、ケース33に固定された固定軸となっている軸41を中心に回転自在に収納され、これらの回転部材35と巻取りリール37は結合一体化されている。また、巻取りリール37には、ロック用ワイヤー36の下端が結合され、このロック用ワイヤー36の下側部分は巻取りリール37に巻き取られているとともに、上側部分は、ケース33の上面に形成されている孔33Aから上方へ延びている。そして、ロック用ワイヤー36の上端は、図10に示されている遅延装置38の回動部材42にばね43を介して連結されている。
【0055】
なお、ケース33の内部に1個又は複数個のガイドローラを回転自在に収納し、このガイドローラで案内させてロック用ワイヤー36を巻取りリール37へ導くようにしてもよい。
【0056】
遅延装置38は、図1及び図2に示されているように、前述のまぐさ16に設置されている。このため、ロック用ワイヤー36は、巻取りリール37が配置されたシャッターカーテン1と、開閉移動するシャッターカーテン1に対して不動部材となっているまぐさ16との間に架け渡された架け渡し部材となっており、また、巻取りリール37に巻取り可能となっているロック用ワイヤー36は、可撓性を有する紐状部材ともなっている。そして、シャッターカーテン1が下方へ閉じ移動するときには、図5の軸41を中心にS方向に回転する巻取りリール37からロック用ワイヤー36が繰り出されながらシャッターカーテン1が閉じ移動することになる。
【0057】
図4に示されているように、巻取りリール37の内部には空間部37Aが形成されており、この空間部37Aに、図5では一部が省略されて示されている戻しばね39が収納され、回転部材35と巻取りリール37との回転中心軸である軸41の外周に巻回状態となっているこの戻しばね39はぜんまいばねであり、戻しばね39の一方の端部はケース33側の部材となっている軸41に結合され、他方の端部は回転部材35と一体化されている巻取りリール37に連結されている。このため、回転部材35及び巻取りリール37がS方向に回転してシャッターカーテン1が下方へ閉じ移動するときに、戻しばね39には、ロック用ワイヤー36を繰り出すために回転する巻取りリール37によって蓄圧力が蓄圧され、回転部材35及び巻取りリール37がT方向に回転してシャッターカーテン1が上方へ開き移動するときに、戻しばね39に蓄圧された蓄圧力により巻取りリール37がT方向に回転することにより、ロック用ワイヤー36は巻取りリール37に巻き取られるようになっている。
【0058】
このため、本実施形態では、巻取りリール37と戻しばね39により、ロック用ワイヤー36を繰り出し自在に巻き取るための巻取装置40が構成されている。
【0059】
本実施形態では、ぜんまいばねによる戻しばね39は、巻取りリール37の内部に形成された空間部37Aに収納されているため、ケース33についてのシャッターカーテン1の厚さ方向の寸法が小さくても、図4から分かるように巻取りリール37についてのシャッターカーテン1の厚さ方向の寸法を充分に大きくすることができ、これにより、巻取りリール37によるロック用ワイヤー36の巻取り長さが充分に長くなり、シャッターカーテン1の開閉移動長さが長いシャッター装置にも対応できるようになっている。
【0060】
図5に示されているように、ケース33の内部には、このケース33に設けられた軸56を中心に上下方向に回動自在となった係合部材50が収納されている。本実施形態の係合部材50は、回転部材35の歯部35Aに係合可能となっている係合部53を有している第1構成部材51と、この第1構成部材51と結合され、シャッターカーテン1の幅方向への長さを有している第2構成部材52とからなる。このように係合部材50を、それぞれ別部品となっている第1構成部材51と第2構成部材52の組み合わせとすることにより、回転部材35の歯部35Aに係合する係合部53が形成されている第1構成部材51を焼入れ処理等により硬質とすることができ、これにより、係合部材50全体を焼入れ処理等しなくても、係合部53に、回転部材35の歯部35Aと同様に、大きな強度を付与することができる。
【0061】
なお、本実施形態では、係合部材50の係合部53として、図5に示されているように、軸56を中心とする係合部材50の回動方向に離れた第1係合部53Aと第2係合部53Bとが設けられ、これらの第1係合部53Aと第2係合部53Bは、係合部材50の回動中心部を中心とする円弧上又は略円弧上に形成されたものとなっている。
【0062】
また、図4に示されているように、前述した座板1Bの固定部70A(カーテン主部71A)の内部に支点軸80を中心に上下揺動自在となって配置されている揺動部材81には、押圧部材54が取り付けられている。本実施形態の押圧部材54は、U字状又はV字状に折り曲げられた板ばねで形成されたものとなっている。
【0063】
また、図4から分かるように、係合部材50にはねじりコイルばね57が設けられている。コイル部が軸56の外周に巻回されているこのねじりコイルばね57の一方の端部57Aは、係合部材50に係止され、他方の端部57Bは、ケース33に係止されている。このため、係合部材50は、図5において、ねじりコイルばね57のばね力により軸56を中心にM方向に回動付勢されており、これにより、図5、図7及び図8に示されているように、係合部材50の一部が、シャッターカーテン1に設けられた押圧部材54に、具体的には、シャッターカーテン1のカーテン主部71Aに設けられている支点軸80を中心に上下揺動自在な揺動部材81に配置されている押圧部材54に当接するようになっている。
【0064】
このため、シャッターカーテン1及び係合部材50には、後述の説明で分かるように、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接したときに、係合部材50を図5のM方向とは反対方向のN方向に回動させるために互いに当接するシャッターカーテン側当接部58と係合部材側当接部59とが設けられていることになる。そして、シャッターカーテン側当接部58は、押圧部材54によるものであり、係合部材側当接部59は、係合部材50の第2構成部材52に第1係合部材側当接部59Aと第2係合部材側当接部59Bとして2個存在している。これらの第1係合部材側当接部59Aと第2係合部材側当接部59Bは、シャッターカーテン1の幅方向に離れている。
【0065】
また、このような第1係合部材側当接部59Aと第2係合部材側当接部59Bを係合部材50に設けることは、図5に示されているように、係合部材50のうち、軸56よりも下側の部分を、具体的には、係合部材50を第1構成部材51と共に形成している第2構成部材52のうち、第1構成部材51と重複している部分を除く部分をL字又は略L字の形状とすることにより、実現することができる。
【0066】
そして、シャッターカーテン側当接部58は、板ばねで形成された押圧部材54によるものとなっているため、このシャッターカーテン側当接部58は、弾性変形可能な弾性部となっている。
【0067】
なお、係合部材50を、図5において、軸56を中心にM方向に回動付勢するためには、ねじりコイルばね57を用いることなく、軸56を中心とする係合部材50の重量バランスの設定だけで実現してもよい。
【0068】
閉じ移動中のシャッターカーテン1の座板1Bが図1に示されている障害物34に当接するなどにより、図6に示されているように、シャッターカーテン1の座板1Bの固定部70A(カーテン主部71A)に対して可動部70B(カーテン副部71B)が相対的に上昇したときには、支点軸80を中心に揺動部材81が上向きに揺動するため、押圧部材54により、係合部材50は、図5において、軸56を中心にN方向に回動する。これにより、係合部材50の係合部53は、図7の状態を経て図8に示されているように、回転部材35の歯部35Aに係合し、この係合により、回転部材35と、この回転部材35と結合一体化されている巻取りリール37は、シャッターカーテン1が閉じ方向へ移動しているときの回転方向(図5のS方向)へは回転できなくなり、このため、回転部材35と巻取りリール37はロックされる。
【0069】
このため、このときには、一部が巻取りリール37に巻き取られているロック用ワイヤー36と、巻取りリール37が配置されているシャッターカーテン1とが機械式に結合されたことになる。したがって、本実施形態では、回転部材35や係合部材50等により、ロック用ワイヤー36とシャッターカーテン1とを機械式に結合するための機械式結合装置55が構成されていることになる。
【0070】
次に、図10に示されている遅延装置38について説明する。この遅延装置38には、前述したように、ロック用ワイヤー36の上端がばね43を介して連結された回動部材42が設けられている。この回動部材42の回動方向は、水平な中心軸42Aを中心とする上下方向である。回動部材42の背後には、ぜんまいばね等による戻しばね100が配置され、この戻しばね100の戻し力は、回動部材42をC方向へ回動させるように、すなわち、ロック用ワイヤー36を引き上げる方向に回動部材42を回動させるように、回動部材42に作用している。回動部材42には、中心軸42Aを中心とする円弧状の長孔42Bが形成され、この長孔42Bには、遅延装置38の機枠49に取り付けられたストップ部材101が挿入され、このストップ部材101により回動部材42の回動量が一定量に規制されている。
【0071】
回動部材42の外周部の一部にはギヤ歯42Cが形成されており、このため、回動部材42は、一部にギヤ歯42Cが形成されたセクターギヤとなっている。また、遅延装置38には2個のロータリー式のダンパー102が配置され、これらのダンパー102は、回動部材42のギヤ歯42Cと噛み合うピニオンギヤ103を備えている。ピニオンギヤ103の回転中心軸104には、ワンウエイクラッチを介してダンパー102の内部に配置された複数のブレードが取り付けられており、回動部材42がC方向に回動することでピニオンギヤ103及び中心軸104がE方向に回転した場合には、ワンウエイクラッチを介してそれぞれのブレードが、ダンパー102の内部に充填されている粘性流体内において回転する。このため、粘性流体の抵抗力により回動部材42は、C方向へ低速で回動することになる。一方、回動部材42がC方向とは逆のD方向に回動し、ピニオンギヤ103及び中心軸104がF方向に回転した場合には、この方向への回転は、ワンウエイクラッチの切断作用によりそれぞれのブレードに伝達されない。このため、回動部材42は、D方向へは高速で回動することができる。
【0072】
なお、ダンパー102は1個でもよい。しかし、本実施形態のようにダンパー102の個数を複数個とすることにより、回動部材42をC方向へ低速で回動させる上記の抵抗力を大きくでき、これにより、回動部材42のC方向への速度を所望する速度まで遅くすることができる。
【0073】
図1に示されているように、開閉機13の上部には自動閉鎖装置32が載置固定されている。図11は、この自動閉鎖装置32の内部構造を示す正面図であり、図12は、自動閉鎖装置32の内部構造を示す平面図である。自動閉鎖装置32は、火災等の災害の発生時において、開閉機13を機械式に制御することにより、全開位置又は開閉方向途中位置で停止していたシャッターカーテン1を自動的に閉じ移動させて全閉とし、防煙性及び/又は防火性を有しているシャッターカーテン1により図1の出入口2を閉鎖するためのものである。自動閉鎖装置32は、この自動閉鎖装置32の機枠110に設けられている図11のブラケット部110Aにより、開閉機13に取り付けられている。また、図12に示されているように、自動閉鎖装置32まで、この自動閉鎖装置32を制御するための第1制御用ワイヤー111、第2制御用ワイヤー112、第3制御用ワイヤー113のそれぞれの端部が延設されている。これらの制御用ワイヤー111〜113は、前述のロック用ワイヤー36と同じく、可撓性を有する紐状部材となっていて、細長部材ともなっている。
【0074】
また、これらの制御用ワイヤー111〜113は、可撓性を有するアウターケーブル114〜116の内部にスライド自在に挿通されている。このため、制御用ワイヤー111〜113はアウターケーブル114〜116により保護されている。
【0075】
図1、図2及び図10に示されているように、第1制御用ワイヤー111は遅延装置38まで延びており、この第1制御用ワイヤー111の端部は、図10に示されているとおり、遅延装置38の回動部材42に連結されている。
【0076】
図11及び図12に示されているように、自動閉鎖装置32の機枠110には、互いに対向する2個の立上り部110B,110Cが設けられており、これらの立上り部110B,110Cに形成された孔110D,110Eに、2個の立上り部110B,110Cに跨る長さを有している図13の板状のスライド部材120がスライド自在に挿入されている。このスライド部材120の外周にはばね121が巻回されており、このばね121のばね力により、スライド部材120には立上り部110B側への前進力が常時作用している。この前進力の方向は、図3で説明した開閉機13に設けられている前述のレバー部材31の第1部分31AをA方向へ移動させる方向である。
【0077】
図3及び図11に示されているとおり、スライド部材120の前端に下向きに折曲形成された折曲部120Aには、作動部材122が取り付けられており、また、図3のレバー部材31の第1部分31Aには、被作動部材123が立設結合されている。スライド部材120がばね121のばね力によって前進した場合には、作動部材122が被作動部材123に当接することにより、レバー部材31の第1部分31Aに図3で示したA方向への荷重が作用するようになっている。図11に示されているように、本実施形態では、作動部材122はボルト124の頭部124Aとなっているため、この頭部124Aを回転操作してボルト124をスライド部材120の折曲部120Aに対して進退させることにより、作動部材122と被作動部材123との間の間隔を適切な寸法に調整できる。この調整を行った後に、ボルト124に螺合させておいたロックナット125を回転操作し、このロックナット125を折曲部120Aに圧接させることにより、被作動部材123に対する作動部材122の位置を、適切な位置にして固定できることになる。
【0078】
図12に示されているように、自動閉鎖装置32の機枠110には、ソレノイド126が取り付けられており、このソレノイド126のプランジャ127には、ばね128のばね力がプランジャ127をソレノイド126から突出させる方向へ常時作用している。このプランジャ127の先端には、中心軸129Aを中心に回動自在となっているL字形の屈曲レバー部材129の一方の端部がスライド式の連結部129Bで連結されており、トリガーレバー部材となっているこの屈曲レバー部材129の他方の端部には、ローラ130が回転自在に設けられている。
【0079】
このローラ130と対面するスライド部材120の部分には凹部120Bが形成されている。この凹部120Bにおけるスライド部材120の後退側の部分は、傾斜面120Cとなっている。また、自動閉鎖装置32には、屈曲レバー部材129に中心軸129Aを中心とするG方向への回動力を付与するためのばね131と、プランジャ127を前述のばね128と共にソレノイド126から突出させる方向へ付勢し、かつ屈曲レバー部材129を中心軸129Aを中心にG方向へ回動させるばね132とが設けられており、これらのばね128,131,132のばね力により、通常時のローラ130は、図12に示されているように、凹部120Bに嵌合しており、この嵌合により、前述したばね121によるスライド部材120の前進は止められている。このように凹部120Bに嵌合したローラ130で前進が止められているときにおけるスライド部材120の前端の位置は、図12で示す3個の位置H,I,Jのうち、H位置である。
【0080】
図12に示されているとおり、自動閉鎖装置32には、電気スイッチ135が配置され、この電気スイッチ135には、ばねで電気スイッチ135から突出する方向へ付勢されているアクチュエータ136が設けられている。また、スライド部材120には、凹部120Bと反対側の部分において、ドグ部材137が取り付けられており、アクチュエータ136はこのドグ部材137に当接している。
【0081】
スライド部材120には、第1連結部138Aと第2連結部138Bが設けられた連結部材138が結合されており、ソレノイド126のプランジャ127の先端には連結部材140が結合されており、前述したばね132の一方の端部は、この連結部材140に連結されている。図10で示した遅延装置38の回動部材42に一方の端部が連結されている前述の第1制御用ワイヤー111の他方の端部は、スライド部材120の連結部材138の第1連結部138Aに連結され、第2制御用ワイヤー112の端部は、プランジャ127に結合された連結部材140に連結され、第3制御用ワイヤー113の端部は、スライド部材120の連結部材138の第2連結部138Bに連結されている。
【0082】
また、アウターケーブル115の内部に挿通された第2制御用ワイヤー112は、図1で示されている操作装置30まで延びており、アウターケーブル115から突出している第2制御用ワイヤー112の端部には、操作装置30に配置されているレバー部材等の手動操作部材が連結されている。さらに、アウターケーブル116の内部に挿通された第3制御用ワイヤー113も、操作装置30まで延びており、アウターケーブル116から突出している第3制御用ワイヤー113の端部にも、操作装置30に配置されているレバー部材等の手動操作部材が連結されている。
【0083】
以上の説明から分かるように、図10で示した遅延装置38は、前述した架け渡し部材であって可撓性を有する紐状部材にもなっているロック用ワイヤー36と、開閉機13を機械的に制御するための自動閉鎖装置32との間に配置されているため、これらのロック用ワイヤー36と自動閉鎖装置32とを中継するための中継装置となっており、遅延装置38と自動閉鎖装置32は、第1制御用ワイヤー111を介して連結されている。
【0084】
また、ロック用ワイヤー36の延長線上には、遅延装置38と第1制御用ワイヤー11と自動閉鎖装置32を介して、電動モータ装置18とブレーキ装置19との組み合わせからなる開閉機13が配置されていることになる。そして、本実施形態では、後述の説明から分かるように、ロック用ワイヤー36に下向きの緊張力が作用してこのロック用ワイヤー36が下方へ引っ張られることにより、開閉機13のブレーキ装置19をオフとするために前進していた自動閉鎖装置32のスライド部材120が後退することになり、これにより、ブレーキ装置19がオンとなるようになっている。
【0085】
次に、本実施形態に係るシャッター装置の作動の概要について説明する。
【0086】
本実施形態に係るシャッター装置が設置された建物において、シャッターカーテン1が全開位置又は開閉移動方向途中位置で停止しているときに、火災等の災害が発生すると、この災害を検知したセンサからの信号が入力した図示しない制御装置(この制御装置は、図1の制御装置26が兼ねていてもよい。)により、自動閉鎖装置32のソレノイド126は通電され、このソレノイド126が励磁されるため、このソレノイド126のプランジャ127は、ばね128のばね力に抗して後退する。これにより、屈曲レバー部材129は、ばね131,132のばね力に抗して中心軸129Aを中心に図12のG方向とは逆方向に回動することになる。このときの状態が図13で示されている。屈曲レバー部材129が中心軸129Aを中心にG方向とは逆方向に回動すると、屈曲レバー部材129のローラ130はスライド部材120の凹部120Bから脱出するため、スライド部材120はばね121のばね力で前進し、この前進は、連結部材138の前端が自動閉鎖装置32の機枠110の前述の立上り部110Bに当接することにより停止する。このときにおけるスライド部材120の前端の位置は、図12で示した3個の位置H,I,Jのうち、図13に示されているように、最前位置であるI位置である。
【0087】
また、スライド部材120が前進すると、電気スイッチ135のアクチュエータ136は、スライド部材120に取り付けられているドグ部材137の位置から外れるため、アクチュエータ136がばねの付勢力で突出移動することによる電気スイッチ135からの信号により、上記の制御装置はソレノイド126への通電を停止する。
【0088】
このソレノイド126への通電の停止により、プランジャ127はばね128のばね力でソレノイド126から突出移動し、屈曲レバー部材129はばね131,132のばね力で中心軸129Aを中心に図12のG方向へ回動する。このときのスライド部材120は、このスライド部材120の前端がI位置まで達している移動限まで前進しているため、屈曲レバー部材129のローラ130は、図14に示されているように、スライド部材120の前述した傾斜面120Cに当たる。このため、プランジャ127の突出移動、及び中心軸129Aを中心とする屈曲レバー部材129のG方向への回動は、途中で停止する。
【0089】
以上のようにして自動閉鎖装置32のスライド部材120が前進すると、このスライド部材120の前端に設けられている作動部材122が、図3で示されている被作動部材123を介して開閉機13のレバー部材31の第1部分31Aを図3のA方向に押圧するため、前述したように、この第1部分31Aがレバー部材31の第2屈曲部31Dを支点としてA方向へ揺動することにより、開閉機13のブレーキ装置19のブレーキ軸21及びブレーキドラム22は、A方向と同じ方向であるA’方向へスライドし、これにより、それまでオンとなっていたブレーキ装置19は、オフとなる。このため、全開となっていたシャッターカーテン1は、巻取軸11よりも下側の部分の座板1B等の自重により、前述した巻取軸11を回転させながら下向きに閉じ移動することになり、開閉機13の前述した駆動軸14も駆動力伝達手段12を介して自由回転し、シャッターカーテン1が全閉となることにより、このシャッターカーテン1による防災区画が形成されることになる。
【0090】
また、火災等の災害が発生したことを人が発見した場合には、この人が、図1で示した操作装置30に配置されていて、前述した第2制御用ワイヤー112の端部に連結されているレバー部材等の手動操作部材により、第2制御用ワイヤー112を引っ張り操作する。これにより、ソレノイド126のプランジャ127は後退するため、ソレノイド126が通電、励磁される前であっても、ソレノイド126が通電、励磁されたときと同じく、屈曲レバー部材129は中心軸129Aを中心に図12のG方向とは逆方向へ回動するため、屈曲レバー部材129のローラ130はスライド部材120の凹部120Bから脱出し、スライド部材120はばね121のばね力で前進することになる。
【0091】
上述のようにしてシャッターカーテン1が全閉位置に達し、そして、火災等の災害が解消したときには、操作装置30に配置されていて、前述した第3制御用ワイヤー113の端部に連結されているレバー部材等の手動操作部材により、第3制御用ワイヤー113を引っ張り操作する。これにより、第3制御用ワイヤー113は自動閉鎖装置32のスライド部材120に連結されているため、このスライド部材120はばね121のばね力に抗して後退することになる。このため、スライド部材120は、図14に示されている位置から、前端が図12のH位置となる初期位置へ復帰することになる。また、スライド部材120がこの初期位置へ復帰するときに、屈曲レバー部材129が中心軸129Aを中心としてばね131,132のばね力で図12のG方向へ回動するため、屈曲レバー部材129のローラ130は、図12に示されているように、スライド部材120の凹部120Bに嵌合することになり、スライド部材120は、スライド部材120の前端がH位置に達した状態で停止する。これにより、自動閉鎖装置32は、火災等の災害が発生する前の初期状態に戻る。
【0092】
また、スライド部材120が初期位置へ復帰すると、開閉機13のブレーキ装置19のブレーキ軸21及びブレーキドラム22は図3の前述したばね23でA’方向とは逆方向へ移動するため、ブレーキ装置19はオンに復帰する。この後に、操作装置30に設けられている前述の「開」ボタンを操作することにより、シャッターカーテン1は、前述したとおり、全開位置まで開き移動する。
【0093】
以上説明した火災等の災害の発生が前述のセンサで検出されたり、火災等の災害の発生を発見した人が第2制御用ワイヤー112を引っ張り操作することにより、シャッターカーテン1が防災区画を形成するために全閉位置まで閉じ移動するときは、本実施形態に係るシャッター装置が前述の防災用シャッター装置となっているときである。これに対して前述したように、操作装置30の「開」「閉」「停」のそれぞれのボタン操作により、シャッターカーテン1の開閉移動、移動停止を行わせているときが、本実施形態に係るシャッター装置が前述の管理用シャッター装置となっているときである。
【0094】
本実施形態に係るシャッター装置が防災用シャッター装置となってシャッターカーテン1が閉じ移動しているときに、言い換えると、自動閉鎖装置32が図14で示す状態となっていて、シャッターカーテン1が閉じ移動しているときに、閉じ移動方向であるシャッターカーテン1の下側に図1で示す障害物34が存在している場合には、シャッターカーテン1の閉じ移動の途中において、このシャッターカーテン1の閉じ側の先端部に配置されているカーテン副部71Bが、言い換えると、シャッターカーテン1の座板1Bの下側部分を形成している図4の可動部70Bが障害物34に当接することになり、可動部70Bの下降が停止する。
【0095】
可動部70Bの下降が停止しても、カーテン本体1Aと、座板1Bのうち、図4の固定部70Aとで構成される前述のカーテン主部71Aは、図4の状態から下降するため、この下降で生ずるカーテン主部71Aに対するカーテン副部71B(可動部70B)の相対的な上昇により、図6に示されているように、固定部70Aの内部に配置されている揺動部材81が支点軸80を中心に上向きに揺動する。これにより、揺動部材81に設けられている押圧部材54により、前述した機械式結合装置55を構成している係合部材50は、図5のN方向に回転することで図7の状態を経て図8の状態となり、係合部材50の係合部53は回転部材35の歯部35Aに係合する。
【0096】
これにより、シャッターカーテン1が閉じ移動しているときに図5のS方向へ回転していた回転部材35及び巻取りリール37は、このS方向に回転できなくなり、シャッターカーテン1と、巻取りリール37から繰り出されていたロック用ワイヤー36とが、回転部材35と係合部材50を構成要素とする機械式結合装置55によって結合されたことになる。このため、ロック用ワイヤー36には、シャッターカーテン1の重量のうち、可動部70Bを除く重量、すなわち、カーテン主部71Aの重量による下向きの緊張力が作用する。
【0097】
閉じ移動しているシャッターカーテン1が上述のように障害物34に当接して、ロック用ワイヤー36に、シャッターカーテン1の重量のうち、可動部70Bを除く重量による下向きの緊張力が作用した後に、障害物34がへこみ変形すると、機械式結合装置55でシャッターカーテン1と結合されたロック用ワイヤー36は、このへこみ変形分だけ下方へ引っ張られることになる。
【0098】
また、障害物34がへこみ変形しない又は殆どしない硬質のものであっても、揺動部材81の押圧部材54により係合部材50が図5のN方向に回動すると、図8に示されているように、この係合部材50に係合部53として2個設けられている第1係合部53Aと第2係合部53Bのうち、初めに第1係合部53Aが回転部材35の歯部35Aに係合し、次いで第2係合部53Bが回転部材35の歯部35Aに係合する。これらの係合のうち、少なくとも第1係合部53Aの歯部35Aへの係合は、図5に示されているように、係合部材50に、この係合部材50の長さ方向に離れて係合部材側当接部59として2個設けられている第1係合部材側当接部59Aと第2係合部材側当接部59Bのうち、係合部材50の回動中心軸となっている軸56から遠い箇所にある第1係合部材側当接部59Aが、シャッターカーテン側当接部58となっている押圧部材54により押し上げられることにより行われる。
【0099】
なお、第1係合部53Aと第2係合部53Bとの間隔寸法は、回転部材35の歯部35A同士の間隔寸法(歯ピッチ)と同じ寸法もしくは略同じ寸法、又は歯部35A同士の間隔寸法の2以上の整数倍の寸法もしくは略整数倍の寸法となっているため、第1係合部53Aが歯部35Aに係合したときには、第2係合部53Bも歯部35Aに係合するようになっている。
【0100】
図9には、上述のように第1係合部53Aと第2係合部53Bが回転部材35の歯部35Aに係合したときの図8の一部拡大図が示されている。第1係合部53Aが回転部材35の歯部35Aに係合して、第2係合部53Bが回転部材35の歯部35Aに係合したときに、又は第1係合部53Aが回転部材35の歯部35Aに係合して、第2係合部53Bも回転部材35の歯部35Aした係合した後に、又は第1係合部53Aが回転部材35の歯部35Aに係合した後であって、第2係合部53Bが回転部材35の歯部35Aに係合する前に、図8に示されているように、係合部材50の第2係合部材側当接部59Bが押圧部材54に当接して押し上げられる。すなわち、押圧部材54による係合部材50の係合部材側当接部59の押し上げは、第1係合部材側当接部59Aから第2係合部材側当接部59Bへと移行して行われ、2段階でこの押し上げが行われることになる。
【0101】
このため、図9において、係合部材50のN方向への回動は継続され、これにより、係合部材50の第1係合部53Aが回転部材35の歯部35Aとの係合から外れても、第2係合部53Bが回転部材35の歯部35Aとの係合を継続し、この第2係合部53Bが回転部材35をT方向へ回転させる。このT方向への回転は、巻取りリール37がロック用ワイヤー36を巻き取る方向への回転である。
【0102】
そして、このようにして第2係合部53Bが回転部材35をT方向へ回転させることは、係合部材50の回動中心となっている軸56からの距離が第1係合部材側当接部59Aよりも短い第2係合部材側当接部59Bが押圧部材54によって押し上げられることにより行われるため、第2係合部53Bによる回転部材35のT方向へ回転量は大きくなる。したがって、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接したときのカーテン主部71Aに対するカーテン副部71Bの相対的上昇量が一定量となっていても、障害物34がへこみ変形した場合と同様に、ロック用ワイヤー36の下方への引っ張り量を充分に確保することができる。
【0103】
このため、障害物34がへこみ変形しない又は殆どしない硬質のものである場合にも、機械式結合装置55でシャッターカーテン1と結合されたロック用ワイヤー36を、障害物34がへこみ変形したときのように、充分に下方へ引っ張ることができる。
【0104】
以上のようにしてロック用ワイヤー36が下方へ引っ張られることにより、図10で示した遅延装置38の回動部材42は、前述した戻しばね100に抗して図10のD方向に回動し、この回動量は、前述のストップ部材101が挿入されている円弧状の長孔42Bの長さに応じたものとなる。このときの回動は、ロータリー式のダンパー102のピニオンギヤ103をF方向に回転させるが、このF方向へのピニオンギヤ103の回転では、前述したとおり、ダンパー102に粘性流体による抵抗力は発生しない。このため、ロック用ワイヤー36により回動部材42は高速でD方向へ回動することになり、この回動部材42に一方の端部が連結されている第1制御用ワイヤー111は引っ張られることになる。
【0105】
なお、本実施形態のロック用ワイヤー36は回動部材42に直接連結されておらず、これらのロック用ワイヤー36と回動部材42との間には衝撃荷重緩衝用弾性部材となっているばね43が介設されているため、ロック用ワイヤー36が急激に下方へ引っ張られても、この引っ張り力を緩和させて回動部材42に伝達できる。
【0106】
また、回動部材42のD方向への回動量が円弧状の長孔42Bに挿入されているストップ部材101で規定される限界値に達したときにも、ばね43による衝撃荷重緩衝作用により、ロック用ワイヤー36と回動部材42との間で大きな衝撃荷重が伝播をすることを防止できる。
【0107】
上述のように第1制御用ワイヤー111が引っ張られると、この第1制御用ワイヤー111の他方の端部は、前述したように図14の状態になっている自動閉鎖装置32のスライド部材120に連結されているため、スライド部材120はばね121に抗しながら後退する。第1制御用ワイヤー111が引っ張られる量及びスライド部材120が後退する量は、図10で示した回動部材42の長孔42Bの長さで規定されている量であるため、前端が図12及び図14で示すI位置まで達していたスライド部材120は、スライド部材120の前端の位置が図12のH位置となる後退限まで後退せず、前端の位置がJ位置となる位置、すなわち、H位置とI位置との中間の位置で停止する。このときの状態が図15に示されている。このときの屈曲レバー部材129のローラ130が当接しているスライド部材120の位置は、図14のときよりも、スライド部材120のスライド方向であるスライド部材120の長さ方向へ移動しているが、ローラ130は、前述した傾斜面120Cにまだ当接している。
【0108】
また、このときのスライド部材120の前端の位置は、I位置からJ位置へ後退しているため、このスライド部材120の作動部材122によって図3及び図11のレバー部材31の第1部分31Aが図3のA方向に押圧されていた荷重は、解除されることになる。このため、開閉機13のブレーキ装置19は、オフからオンに機械的に切り替えられることになる。そして、このブレーキ装置19のオンにより、開閉機13の前述の駆動軸14は回転できないため、シャッターカーテン1の上端が結合されている巻取軸11も回転することはできない。
【0109】
したがって、障害物34に当接したシャッターカーテン1は、その当接位置で閉じ移動を停止することになる。この停止は、前述の機械式結合装置55や、同じく機械式となっている遅延装置38、さらには機械式にスライドする自動閉鎖装置32の部材となっているスライド部材120、機械式にオンとなる開閉機13のブレーキ装置19等により構成されている機械式構造によって行われる。このため、シャッターカーテン1が閉じ移動を開始した後に、火災等の災害の発生を原因として、あるいは、他の理由を原因として、本実施形態に係るシャッター装置が設置された建物が停電になっても、閉じ移動中に障害物34に当接したシャッターカーテン1を停止させることができる。
【0110】
上述したように、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接し、開閉機13のブレーキ装置19がオンになった後に、障害物34が除去されると、シャッターカーテン1のカーテン副部71Bが下降するため、機械式結合装置55によるシャッターカーテン1とロック用ワイヤー36との結合は解除される。これにより、ロック用ワイヤー36に作用していた緊張力は消滅し、このため、図10の戻しばね100による戻し力が作用している遅延装置38の回動部材42は、図10のC方向に回動し、この回動により、第1制御用ワイヤー111によって後退方向へ引っ張られていた自動閉鎖装置32のスライド部材120は、前端の位置が図15で示すJ位置から図12及び図14で示すI位置へ移行する前進をばね121により行う。このため、開閉機13のブレーキ装置19は、オンからオフへ機械的に再度切り替られ、シャッターカーテン1は閉じ移動を再開することとなる。
【0111】
また、遅延装置38の回動部材42が図10のC方向に回動するときには、ロータリー式のダンパー102のピニオンギヤ103はE方向に回転し、このE方向についてはダンパー102に粘性流体による抵抗力が生ずる。このため、スライド部材120の前端の位置が図15で示すJ位置から図12及び図14で示すI位置へ移行すること、及びこの移行により開閉機13のブレーキ装置19がオンからオフへ切り替られることは、ダンパー102の遅延作用により、瞬時に行われない。したがって、障害物34の除去によりシャッターカーテン1が閉じ移動を再開することは、障害物34の除去から時間遅れをもって開始されることになり、このため、障害物34の除去作業を時間的余裕をもって行うことができる。
【0112】
なお、シャッターカーテン1が前述の管理用シャッター装置のシャッターカーテン1として閉じ移動しているときに障害物34に当接したときも、図10の遅延装置38の回動部材42はD方向へ回動して第1制御用ワイヤー111が引っ張られるが、このときの自動閉鎖装置32は図12の状態になっていて、屈曲レバー部材129のローラ130はスライド部材120の凹部120Bに嵌合しているため、スライド部材120は少し後退又は全く後退しないことになり、したがって、自動閉鎖装置32に変化は生じない。
【0113】
また、遅延装置38に、回動部材42のD方向への回動で作動する電気スイッチを設けておき、この電気スイッチが作動したときに、この電気スイッチからの信号が入力する図1の制御装置26によって開閉機13を電気的に駆動制御することにより、シャッターカーテン1を、障害物34への当接後に一定量だけ反転上昇させてから停止させるようにしてもよい。なお、このようにした場合には、前述の火災等の災害を検知したセンサからの信号が前述の制御装置に入力して本実施形態に係るシャッター装置が前述の防災用シャッター装置となってシャッターカーテンが閉じ移動するときには、このセンサからの信号を制御装置26に入力させることにより、上記電気スイッチからの信号を無効とする。
【0114】
次に、前述したようにシャッターカーテン1に設けられている押圧部材54によるシャッターカーテン側当接部58を、前述したように板ばねによる弾性部とした理由について説明する。
【0115】
以上説明した本実施形態に係るシャッター装置の作動において、このシャッター装置が防災用シャッター装置又は管理用シャッター装置となってシャッターカーテン1が閉じ移動しているときに、このシャッターカーテン1が障害物34に当接すると、前述したようにシャッターカーテン側当接部58となっている押圧部材54により係合部材50の第1係合部材側当接部59Aが押し上げられ、これにより、図5の軸56を中心にN方向に回動する係合部材50の第1係合部53Aが回転部材35の歯部35Aに係合しようとするが、係合部材50の回動タイミングや回転部材35の回転タイミングにより、図7に示されているように、第1係合部53Aの先端と歯部35Aの先端とが当接してしまい、これにより、係合部材50と回転部材35が突き当て状態となって、これらの係合部材50と回転部材35がいわばデッドロック状態になるおそれがある。
【0116】
しかし、本実施形態では、前述したようにシャッターカーテン側当接部58となっている押圧部材54は板ばねで形成されているため、このシャッターカーテン側当接部58は弾性変形可能である。このため、第1係合部53Aの先端と歯部35Aの先端とが当接して係合部材50と回転部材35が突き当て状態となる場合には、この突き当てにより係合部材50に作用する荷重により、シャッターカーテン側当接部58が弾性変形することで、係合部材50は図5のM方向へ弾性的に少し戻り回動してからN方向へ回動することになり、言い換えると、係合部材50は回転部材35に対して少し後退回動してから前進回動することになり、これにより、係合部材50の第1係合部53Aが、回転を継続している回転部材35の歯部35Aに係合することになる。
【0117】
このため、本実施形態によると、係合部材50の第1係合部53Aの先端と回転部材35の歯部35Aの先端とが当接して係合部材50と回転部材35が突き当て状態となることを回避することができ、この突き当て状態が生じたときに係合部材50等に発生する過大な荷重をなくすことができる。
【0118】
本実施形態では、係合部材50は軸56を中心に回動運動するものとなっており、この回動運動を行わせるための運動荷重を、シャッターカーテン1に設けられているシャッターカーテン側当接部58から係合部材50を経て回転部材35の歯部35Aに伝達するために、これらのシャッターカーテン側当接部58と係合部材50と回転部材35の歯部35Aを通る経路が、運動荷重伝達経路となっている。
【0119】
そして、図4〜図9で説明した実施形態では、この運動荷重伝達経路中に、係合部材50と回転部材35が突き当て状態となることを回避するために弾性変形する弾性部が設けられているとともに、この弾性部は、押圧部材54となっているシャッターカーテン側当接部58の箇所に設けられていることになる。
【0120】
次に、係合部材50と回転部材35が突き当て状態となることを回避するために弾性変形する弾性部が、運動荷重伝達経路中の別に箇所に設けられている実施形態について説明する。
【0121】
図16の実施形態では、係合部材150に係合部材側当接部159として2個設けられている第1係合部材側当接部159Aと第2係合部材側当接部159Bのうち、第1係合部材側当接部159Aを、J字又は略J字の形状に折り曲げた板ばね60により形成している。このため、この実施形態では、第1係合部材側当接部159Aが弾性変形可能な弾性部となっている。なお、この実施形態におけるシャッターカーテン側当接部58となっている押圧部材54’は、通常の金属等の硬質材料で形成されている、
この実施形態でも、係合部材150に係合部153として2個設けられている第1係合部153Aと第2係合部153Bのうち、第1係合部153Aの先端と回転部材35の歯部35Aの先端とが当接して係合部材150と回転部材35が突き当て状態となる場合には、この突き当てにより係合部材150に作用する荷重により、第1係合部材側当接部159Aが弾性変形するため、この突き当て状態を回避して、係合部材150の第1係合部153Aと回転部材35の歯部35Aとを係合させることができる。
【0122】
図17の実施形態の係合部材250は、第1係合部253Aと第2係合部253Bが設けられた第1構成部材251と、第1係合部材側当接部259Aと第2係合部材側当接部259Bが設けられた第2構成部材252と、軸56を中心に回動自在となっているこれらの第1構成部材251と第2構成部材252とを回動方向に連結しているねじりコイルばね254とにより形成されている。弾性部材となっているねじりコイルばね254の一方の端部254Aは第1構成部材251に係止されているとともに、他方の端部254Bは第2構成部材252に係止されている。
【0123】
このため、この実施形態の弾性変形する弾性部は、弾性部材であるねじりコイルばね254となっており、第1構成部材251は、ねじりコイルばね254の弾性変形により、第2構成部材252に対して軸56を中心に弾性的に回動可能である。
【0124】
また、第1構成部材251と第2構成部材252のうち、一方には軸56を中心とする円弧状の長孔255が形成され、他方にはこの長孔255に挿入されたピン256が取り付けられている。このため、第1構成部材251が第2構成部材252に対して軸56を中心に回動する範囲は規定されている。
【0125】
この実施形態では、係合部材250の第1係合部253Aの先端と回転部材35の歯部35Aの先端とが当接して係合部材250と回転部材35が突き当て状態となる場合には、第1構成部材251は、ねじりコイルばね254の弾性変形により、第2構成部材252に対して軸56を中心に弾性的に回動してこの突き当て状態を回避し、第1係合部253Aと歯部35Aとが係合することになる。
【0126】
また、シャッターカーテン1が閉じ移動するときは、図5に示されている回転部材35は図5のS方向に回転し、シャッターカーテン1が障害物34に当接したときには、このS方向への回転部材35の回転を係合部材250が止めなければならないが、この実施形態では、長孔255とピン256により、第1構成部材251が第2構成部材252に対して軸56を中心に回動する範囲を規定するストップ手段257が構成され、係合部材250の第1係合部253AがS方向に回転する回転部材35の歯部35Aから離脱する前に、このストップ手段257により、第1構成部材251が軸56を中心に回動することが止めるため、第1係合部253Aと歯部35Aとの係合を維持させて回転部材35のS方向の回転を止めることができる。
【0127】
図18の実施形態の係合部材350は、第1係合部353Aと第2係合部353Bが設けられた第1構成部材351と、第1係合部材側当接部359Aと第2係合部材側当接部359Bが設けられた第2構成部材352と、軸56を中心に回動自在となっているこれらの第1構成部材351と第2構成部材352とを連結するために、第1構成部材351と第2構成部材352との間に介設されている厚板状のゴム等による弾性部材354とにより形成されている。この実施形態の弾性変形可能な弾性部を形成している弾性部材354にも軸56が貫通している。
【0128】
そして、第1構成部材351と第2構成部材352のうち、一方には、第1構成部材351が第2構成部材352に対して軸56を中心に回動する範囲を規定するためのストップ手段357となっているストップ部材355が取り付けられている。
【0129】
このため、この実施形態でも、係合部材350第1係合部353Aの先端と回転部材35の歯部35Aの先端とが当接して係合部材350と回転部材35が突き当て状態となる場合には、第1構成部材351は、弾性部材354の弾性変形により、第2構成部材352に対して軸56を中心に弾性的に回動してこの突き当て状態を回避して、第1係合部353Aと歯部35Aとが係合し、また、第1係合部353AがS方向に回転する回転部材35の歯部35Aから離脱する前に、ストップ手段357により、第1構成部材251が軸56を中心に回動することが止めるため、第1係合部353Aと歯部35Aとの係合を維持させて回転部材35のS方向の回転を止めることができる。
【0130】
図19の実施形態では、係合部材450をケース33に回動自在に配置するために、係合部材450の回動中心軸となっている軸456をケース33に設けるとともに、この軸456を弾性撓み変形可能な弾性部材とし、これにより、前述した運動荷重伝達経路中に、この軸456によって弾性部を設けている。
【0131】
また、図20の実施形態では、係合部材550をケース33に回動自在に配置するために、係合部材550の回動中心軸となっている軸556をケース33に設けるとともに、この軸556を、弾性変形可能な軸支持部材557を介してケース33に支持させている。このため、この実施形態では、この軸支持部材557が弾性部となっている。
【0132】
図19及び図20の実施形態において、係合部材350,450の係合部の先端と回転部材35の歯部35Aの先端とが当接して係合部材350,450と回転部材35が突き当て状態となることは、図19の実施形態では軸456の弾性撓み変形により、また、図20の実施形態では、軸556に対して軸支持部材557の一方の側が圧縮弾性変形して他方の側が引張弾性変形することで軸556が移動することにより、それぞれ回避され、そして、係合部材350,450の係合部と回転部材35の歯部35Aとが係合することになる。
【0133】
なお、図20の軸支持部材557には、上記の一方の側が圧縮弾性変形しやすくなるように空洞部557Aが形成されている。
【0134】
次に、図21及び図22に示されている実施形態について説明する。なお、これらの図21及び図22において、図1に示されている開閉機13や自動閉鎖装置32等は図面上省略されている。
【0135】
これまで説明した実施形態では、紐状部材となっているロック用ワイヤー36を巻き取るための巻取りリール37を有する巻取装置40は、シャッターカーテン1に配置されていたが、図21の実施形態の巻取装置640は、開閉移動するシャッターカーテン1に対して不動部材となっているまぐさ16に配置されている。そして、この実施形態では、まぐさ16に配置されている遅延装置38から巻取装置640まで延設されている紐状部材636は、シャッターカーテン1の座板1Bの固定部70Aに取り付けられているケース633の内部で折り返されることによりU字状に配線されたものとなっている。
【0136】
このケース633の内部には、前述した実施形態と同様に、機械式結合装置を構成する係合部材と、この係合部材の係合部が係合する歯部を有する回転部材とが収納され、この回転部材は、シャッターカーテン1が開閉移動するときに、このシャッターカーテン1に対して移動する紐状部材636により回転するようになっている。このように回転部材が、シャッターカーテン1が開閉移動するときに、このシャッターカーテン1に対して移動する紐状部材636により回転するようにするためには、例えば、紐状部材636をローラチェーンとし、回転部材と、このローラチェーンが掛け増されたスプロケットホイールとを結合一体化すればよい。これにより、シャッターカーテン1が開閉移動するときに、歯部を有する回転部材が回転し、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接することにより、係合部材の係合部を歯部を有する回転部材の歯部に係合させることができる。
【0137】
また、図22の実施形態では、巻取装置が用いられていない。また、この実施形態の紐状部材736は、シャッターカーテン1の開閉移動を案内するガイドレール6の内部に挿通されている。そして、紐状部材736の上端は、これまでの実施形態と同様に、まぐさ16に配置された遅延装置38に連結され、下端はガイドレール6との不動部材に連結されている。シャッターカーテン1には、紐状部材736が掛け回された第1回転部材701と第2回転部材702と第3回転部材703が配置され、第2回転部材702は、シャッターカーテン1の座板1Bの固定部70Aに取り付けられているケース733の内部に収納されている。また、ケース733の内部には、前述した実施形態と同様に、機械式結合装置を構成する係合部材と、この係合部材の係合部が係合する歯部を有する回転部材とが収納され、歯部を有するこの回転部材は、第2回転部材702と結合一体化されている。
【0138】
紐状部材736は、例えば、ローラチェーンであり、第1回転部材701と第2回転部材702と第3回転部材703は、例えば、スプロケットホイールである。シャッターカーテン1が開閉移動すると、歯部を有するこの回転部材と第2回転部材702は一体となって回転することになり、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接することにより、係合部材の係合部を、歯部を有する回転部材の歯部に係合させることができる。
【0139】
図21及び図22の実施形態から分かるように、ブレーキ装置19を緊張力でオンさせるための紐状部材を巻き取るための巻取装置は、必ずしもシャッターカーテン1に配置する必要はなく、また、この巻取装置を省略してもよい。
【0140】
また、以上説明した実施形態では、遅延装置38がまぐさ16に配置されていたが、この遅延装置を、図11及び図12に示されている自動閉鎖装置32に近接配置し、これらの自動閉鎖装置32と遅延装置38が組み合わせられて構成される複合装置の一部としてもよい。また、遅延装置38を省略してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0141】
本発明は、シャッターカーテンが開閉体となっている管理及び防災併用等のシャッター装置や、オーニング装置、さらには、防煙垂れ幕装置等の各種の開閉装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0142】
1 開閉体であるシャッターカーテン
13 開閉機
18 電動モータ装置
19 ブレーキ装置
32 自動閉鎖装置
35 回転部材
35A 歯部
36 紐状部材であるロック用ワイヤー
37 巻取りリール
50,150,250,350,450,550 係合部材
51,52,251,252,351,352 係合部材の構成部材
53,153,253,353 係合部
55 機械式結合装置
56 係合部材の回動中心軸
58 開閉体側当接部であるシャッターカーテン側当接部
59,159,259,359 係合部材側当接部
254 弾性部材であるねじりコイルばね
257,357 ストップ手段
354 弾性部材
456 弾性撓み変形可能な軸
557 軸支持部材
636,736 紐状部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オン、オフすることにより開閉移動自在な開閉体を停止、移動可能とさせるためのブレーキ装置と、閉じ移動中の前記開閉体が障害物に当接したときに緊張力が作用し、この緊張力により前記開閉体の移動を停止させるために前記ブレーキ装置をオンとさせる紐状部材と、前記開閉体に配置され、この開閉体が前記障害物に当接することにより前記開閉体と前記紐状部材とを機械的に結合して前記紐状部材に前記緊張力を作用させる機械式結合装置とを有し、
この機械式結合装置が、歯部を備え、前記開閉体の移動時に回転する回転部材と、前記歯部に係合可能となった係合部を有し、前記開閉体が前記障害物に当接したときに前記開閉体に対する運動を行うことで前記係合部が前記歯部に係合する係合部材とを含んで構成され、前記歯部への前記係合部の係合で前記回転部材の回転を停止させることにより前記開閉体と前記紐状部材とを機械的に結合する開閉装置の開閉体停止装置において、
前記係合部材の運動荷重を前記開閉体から前記係合部材を経て前記回転部材の前記歯部に伝達するための運動荷重伝達経路中に、弾性変形可能となった弾性部が設けられていることを特徴とする開閉装置の開閉体停止装置。
【請求項2】
請求項1に記載の開閉装置の開閉体停止装置において、前記係合部材を前記開閉体により運動させるために前記開閉体及び前記係合部材には、互いに当接する開閉体側当接部と係合部材側当接部とが設けられ、前記開閉体側当接部が前記弾性部となっていることを特徴とする開閉装置の開閉体停止装置。
【請求項3】
請求項1に記載の開閉装置の開閉体停止装置において、前記係合部材に前記弾性部が設けられていることを特徴とする開閉装置の開閉体停止装置。
【請求項4】
請求項3に記載の開閉装置の開閉体停止装置において、前記係合部材を前記開閉体により運動させるために前記開閉体及び前記係合部材には、互いに当接する開閉体側当接部と係合部材側当接部とが設けられ、前記係合部材側当接部が前記弾性部となっていることを特徴とする開閉装置の開閉体停止装置。
【請求項5】
請求項3に記載の開閉装置の開閉体停止装置において、前記係合部材は、前記弾性部を形成している弾性部材と、この弾性部材によって連結されている少なくとも2個の構成部材とを含んで構成され、これらの構成部材のうち、一方の構成部材が他方の構成部材に対して前記弾性部材の弾性変形により運動可能となっていることを特徴とする開閉装置の開閉体停止装置。
【請求項6】
請求項5に記載の開閉装置の開閉体停止装置において、前係合部材は軸を中心に回動自在であり、前記一方の構成部材が前記他方の構成部材に対して前記弾性部材の弾性変形により運動することは、前記軸を中心に回動することであることを特徴とする開閉装置の開閉体停止装置。
【請求項7】
請求項6に記載の開閉装置の開閉体停止装置において、前記弾性部材は、一方の端部が前記一方の構成部材に係止され、他方の端部が前記他方の構成部材に係止されているねじりコイルばねであることを特徴とする開閉装置の開閉体停止装置。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれかに記載の開閉装置の開閉体停止装置において、前記一方の構成部材と前記他方の構成部材とのうち、少なくとも1個の構成部材には、前記弾性部材の弾性変形により前記一方の構成部材が前記他方の構成部材に対して運動するときに、前記係合部材の前記係合部が前記回転部材の前記歯部から離脱する前に前記一方の構成部材の運動を止めるためのストップ手段が設けられていることを特徴とする開閉装置の開閉体停止装置。
【請求項9】
請求項1に記載の開閉装置の開閉体停止装置において、前係合部材は、弾性撓み変形可能な弾性部材となっている軸を中心に回動自在であり、前記軸が前記弾性部となっていることを特徴とする開閉装置の開閉体停止装置。
【請求項10】
請求項1に記載の開閉装置の開閉体停止装置において、前係合部材は軸を中心に回動自在であり、この軸は弾性変形可能な軸支持部材によって支持され、この軸支持部材が前記弾性部となっていることを特徴とする開閉装置の開閉体停止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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