開閉装置の開閉体停止装置

【課題】構造の簡単化を図れるようになる開閉装置の開閉体停止装置を提供すること。
【解決手段】開閉体停止装置であるシャッターカーテン停止装置に備えられた制御回路２００には、防災信号ＢＳが連続入力されており、シャッターカーテンが障害物に当接することにより開いていたマイクロスイッチ１７０の接点が、障害物が除去されることにより閉じると、遅延装置２１０のタイマー回路２１１で設定された時間が経過した後、閉回路となった制御回路２００のソレノイド１２６が通電されるため、シャッターカーテンが閉じ移動の途中で障害物に当接したときにシャッターカーテンと結合される架け渡し部材に作用する緊張力でオンとなっていたブレーキ装置がオフとなり、シャッターカーテンは再び閉じ移動を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、閉じ移動中の開閉体が障害物に当接したときにこの閉じ移動を停止させるための開閉装置の開閉体停止装置に係り、例えば、シャッターカーテンが開閉体となっている管理及び防災併用のシャッター装置や、オーニング装置、さらには、防煙垂れ幕装置等の各種の開閉装置に利用できるものである。
【背景技術】
【０００２】
開閉装置となっていて、シャッターカーテンが開閉移動する開閉体となっている防災用シャッター装置では、防煙等の防災機能を有しているシャッターカーテンが火災等の異常事態の発生時に閉じ移動し、これにより、建物等の構造物内に防災区画が形成される。このような防災用シャッター装置では、シャッターカーテンの閉じ方向に障害物が存在し、閉じ移動中のシャッターカーテンがこの障害物に当接したときに、シャッターカーテンの閉じ移動を停止させることが行われる。この停止を実行させるための装置が下記の特許文献１に示されている。
【０００３】
特許文献１に示されている装置は、防災用シャッター装置のシャッターカーテン停止装置であり、この装置は、上下方向に開閉移動するシャッターカーテンと、シャッターカーテンに対して不動となった不動部材である床等と、これらのシャッターカーテンと床等の間に架け渡された部分を有し、シャッターカーテンが閉じ移動の途中で障害物に当接したときにこのシャッターカーテンと結合される架け渡し部材である紐状部材と、この紐状部材に作用する緊張力により機械的にオンとなってシャッターカーテンの閉じ移動を停止させるブレーキ装置と、を含んで構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開２００８−２２３４５９号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
ところで、シャッターカーテンに当接した障害物が除去された後は、防災上の面から停止していたシャッターカーテンを再び全閉位置まで閉じ移動させることが好ましく、上記特許文献１に示されているシャッターカーテン停止装置では、障害物が除去されることにより、紐状部材に作用していた緊張力が消滅することでブレーキ装置が機械的にオフとなるようになっている。これにより、停止していたシャッターカーテンは、再び閉じ移動することになる。
【０００６】
しかし、ブレーキ装置のオフが機械的に行われるものとした場合には、シャッターカーテン停止装置を構成する機械部品の点数が多くなり、このため、シャッターカーテン停止装置の構造が複雑化していた。
【０００７】
このため、シャッターカーテン停止装置の構造の簡単化を図るための工夫が求められている。
【０００８】
本発明の目的は、構造の簡単化を図れるようになる開閉装置の開閉体停止装置を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
本発明に係る開閉装置の開閉体停止装置は、開閉体の開閉移動を停止させるための開閉装置の開閉体停止装置において、前記開閉体が閉じ移動の途中で障害物に当接したとき、前記開閉体の閉じ移動の停止を機械的に行い、前記障害物が除去されたとき、停止していた前記開閉体を再び閉じ移動させるための前記開閉体の停止状態の解除は電気的に行われることを特徴とするものである。
【００１０】
本発明では、前記開閉体が閉じ移動の途中で障害物に当接したことによる前記開閉体の閉じ移動の停止は、機械的に行われるが、前記障害物が除去されたとき、停止していた前記開閉体を再び閉じ移動させるための前記開閉体の停止状態の解除は電気的に行われるようになっている。
【００１１】
これにより、前記障害物が除去されたとき、停止していた前記開閉体を再び閉じ移動させるための前記開閉体の停止状態の解除が、機械的に行われるようにした場合と比較して、開閉体停止装置を構成する機械部品の点数をより少なくすることができる。
【００１２】
このため、本発明によると、開閉装置の開閉体停止装置の構造の簡単化を図ることができるようになる。
【００１３】
また、本発明では、前記障害物が除去されたとき、停止していた前記開閉体を再び閉じ移動させるための前記開閉体の停止状態の解除は電気的に行われるため、停止していた前記開閉体を再び閉じ移動させるための前記開閉体の停止状態の解除が、機械的に行われるようにした場合と比較して、閉じ移動の途中で前記障害物に当接したことによる前記開閉体の閉じ移動の停止以降の前記開閉体の動作制御を柔軟に行うことができるようになる。すなわち、閉じ移動の途中で障害物に当接したことにより閉じ移動を停止させた前記開閉体に対して様々な動作制御を行うことができるようになる。
【００１４】
本発明において、前記開閉体が閉じ移動の途中で障害物に当接したとき、前記開閉体の閉じ移動の停止を機械的に行い、前記障害物が除去されたとき、停止していた前記開閉体を再び閉じ移動させるための前記開閉体の停止状態の解除が電気的に行われるようにするための形式、構造等は任意なものでよく、その一例は、前記開閉体に対して不動となった不動部材と、これらの開閉体と不動部材の間に架け渡された部分を有し、前記開閉体が閉じ移動の途中で前記障害物に当接したときに前記開閉体と結合される架け渡し部材と、この架け渡し部材に作用する緊張力により機械的にオンとなって前記開閉体の閉じ移動を停止させるブレーキ装置と、を備え、前記障害物が除去されたとき、停止していた前記開閉体を再び閉じ移動させるための前記ブレーキ装置のオフは電気的に行われるようにしたものである。
【００１５】
これによると、前記開閉体が閉じ移動の途中で障害物に当接したことによる前記開閉体の閉じ移動の停止は、ブレーキ装置が機械的にオンされることにより行われるが、前記障害物が除去されたとき、停止していた前記開閉体を再び閉じ移動させるための前記ブレーキ装置のオフは電気的に行われる。
【００１６】
これにより、前記障害物が除去されたとき、停止していた前記開閉体を再び閉じ移動させるための前記ブレーキ装置のオフが機械的に行われるようにした場合と比較して、開閉体停止装置を構成する機械部品の点数をより少なくすることができる。
【００１７】
また、これによると、前記障害物が除去されたとき、停止していた前記開閉体を再び閉じ移動させるための前記ブレーキ装置のオフは電気的に行われるため、停止していた前記開閉体を再び閉じ移動させるための前記ブレーキ装置のオフが機械的に行われるようにした場合と比較して、閉じ移動の途中で前記障害物に当接したことによる前記開閉体の閉じ移動の停止以降の前記開閉体の動作制御を柔軟に行うことができるようになる。すなわち、閉じ移動の途中で障害物に当接したことにより閉じ移動を停止させた前記開閉体に対して様々な動作制御を行うことができるようになる。
【００１８】
本発明において、前記ブレーキ装置を電気的にオフするための形式、構造は任意なものでよく、その一例として、前記障害物が除去されたことにより通電されるソレノイドと、このソレノイドの通電により作動する作動部材を有するものとし、この作動部材の作動で前記ブレーキ装置がオフされるようにしたものを挙げることができる。
【００１９】
ここで、前記作動部材の形式、構造も任意であり、その一例として、前記架け渡し部材に前記緊張力が作用したときに前記ブレーキ装置をオンとする位置まで正方向にスライドし、前記ソレノイドの通電により前記ブレーキ装置をオフとする位置まで逆方向にスライドするスライド部材となっているものを挙げることができる。
【００２０】
また、前記作動部材の形式、構造の他の一例として、前記架け渡し部材に前記緊張力が作用したときに前記ブレーキ装置をオンとする位置まで正方向に回動し、前記ソレノイドの通電により前記ブレーキ装置をオフとする位置まで逆方向に回動する回動部材となっているものを挙げることができる。
【００２１】
そして、これらの例では、前記スライド部材や前記回動部材が前記ブレーキ装置をオンとする位置で停止することを保持するための保持部材を有するものとし、前記ソレノイドの通電により前記保持部材による前記スライド部材や回動部材の停止保持状態が解除されるようにすることが好ましい。
【００２２】
なお、前記保持部材の形式、構造は、前記スライド部材や前記回動部材が前記ブレーキ装置をオンとする位置で停止することを保持するものであれば任意なものでよく、例えば、前記保持部材は、前記スライド部材や前記回動部材に設けられた被係合部に係合する係合部を有するものを挙げることができる。
【００２３】
本発明において、前記障害物が除去されたことにより通電される前記ソレノイドを有するものとした場合には、前記ソレノイドが接続され、前記ブレーキ装置を電気的に制御するための制御回路を備えることが好ましい。
【００２４】
ここで、前記制御回路を動作させるためにこの制御回路に入力される信号は任意なものでよく、例えば、防災信号（ＤＣ２４Ｖ）でもよく、バッテリからの信号でもよく、商用電源からの信号（交流を直流に変換したもの）等でもよい。
【００２５】
なお、前記制御回路に入力する信号を前記防災信号とした場合には、前記制御回路には前記防災信号が連続入力され、前記ソレノイドは前記防災信号により通電されるにすることが好ましい。
【００２６】
なお、前記制御回路に入力される前記信号は、少なくとも前記開閉体が前記障害物に当接する事象が起こり得る間、すなわち、前記開閉体が閉じ移動を開始した直後から前記開閉体が全閉位置に達するまでの間、前記制御回路に連続入力されるようにすることが好ましい。
【００２７】
本発明において、前記制御回路を備えた場合には、前記障害物が除去されたことを検出するための障害物除去検出手段を備えることが好ましい。
【００２８】
この障害物除去検出手段の形式、構造は任意なものでよく、例えば、前記架け渡し部材に作用していた緊張力が消滅したことを検出するものでもよく、前記開閉体に当接している前記障害物自体が除去されたことを検出するものでよい。
【００２９】
後者の場合における前記障害物除去検出手段の一例として、前記制御回路に前記ソレノイドと直列に接続し、前記架け渡し部材に緊張力が作用しているときにはオフとなり、前記架け渡し部材に作用していた緊張力が消滅したときにはオンとなる障害物除去検出スイッチ手段であるものを挙げることができる。
【００３０】
これによると、前記開閉体に前記障害物が当接することで前記架け渡し部材に緊張力が作用しているとき、前記制御回路の前記ソレノイドには電流が流れない。一方、前記障害物が除去されることで前記架け渡し部材に作用していた緊張力が消滅したとき、前記制御回路の前記ソレノイドには電流が流れることになり、前記ブレーキ装置はオフとなる。
【００３１】
なお、前記障害物除去検出手段は、障害物を検出するための障害物検出手段を兼ねたものであってもよく、兼ねないものであってもよい。後者の場合には、障害物除去検出手段と障害物検出手段とが併存するものとなる。
【００３２】
また、本発明において、前記制御回路を備えた場合には、前記障害物が除去されたとき、停止していた前記開閉体を再び閉じ移動させるための前記ブレーキ装置のオフが電気的に行われることを遅延させるための遅延装置を備えていてもよく、備えていなくてもよい。
【００３３】
前者の場合によると、前記ブレーキ装置がオンからオフへ電気的に切り替られることは、前記遅延装置の遅延作用により、瞬時に行われない。したがって、前記障害物の除去により前記開閉体が閉じ移動を再開することは、前記障害物の除去から時間遅れをもって開始されることになり、このため、前記障害物の除去作業を時間的余裕をもって行うことができる。すなわち、前記開閉体により仕切られる一方の空間から他方の空間へ前記障害物を移動させることを時間的余裕をもって行うことができる。
【００３４】
前記遅延装置の形式、構造は、前記障害物が除去されたとき、停止していた前記開閉体を再び閉じ移動させるための前記ブレーキ装置のオフが電気的に行われることを遅延させるものであれば任意なものでよい。
【００３５】
なお、前記遅延装置は、前記ブレーキ装置のオフが電気的に行われることを遅延させることを電気的に行うものでもよく、機械的に行うものでもよい。
【００３６】
前者の場合の前記遅延装置の一例として、前記遅延装置は前記制御回路に接続されており、前記遅延装置は、前記障害物が除去されたときからの経過時間を計時するタイマー回路と、前記ソレノイドに直列に接続され、前記タイマー回路によりオン、オフされるタイマースイッチ手段と、を含んで構成され、前記タイマー回路は、このタイマー回路により計時される前記経過時間が所定時間に達するまでは前記タイマースイッチ手段をオフとし、前記タイマー回路により計時される前記経過時間が所定時間に達したとき、前記タイマースイッチ手段をオンとするもの（いわゆるオンディレイタイマー）を挙げることができる。
【００３７】
これによると、前記タイマー回路により計時される前記経過時間が所定時間に達するまでは前記タイマースイッチ手段がオフとなるため、前記制御回路の前記ソレノイドには電流が流れない。一方、前記タイマー回路により計時される前記経過時間が所定時間に達したとき、前記タイマースイッチ手段がオンとなるため、前記制御回路の前記ソレノイドには電流が流れることになり、前記ブレーキ装置はオフとなる。なお、前記ブレーキ装置をオフとした後は、前記タイマースイッチ手段をオフとする（前記タイマー回路に電流が流れないようにする）ことが好ましい。
【００３８】
また、本発明において、前記制御回路を備えた場合には、閉じ移動中の前記開閉体が、全閉位置から開き移動方向に所定距離離間した位置に達したときから、前記全閉位置に達するまでの間で、前記障害物に当接したとき、前記ブレーキ装置の機械的なオンが行われることにより前記開閉体の閉じ移動が停止されるが、前記障害物が除去されても、前記開閉体を再び閉じ移動させるための前記ブレーキ装置の電気的なオフは行われないようにしてもよい。
【００３９】
これによると、閉じ移動中の前記開閉体が、全閉位置から（前記開閉体の）開き移動方向に所定距離離間した位置から、前記全閉位置に達するまでの間で、前記障害物に当接したときには、前記開閉体は、前記障害物が除去されても、再び閉じ移動することなく、前記障害物に当接した位置での停止を継続する。一方、閉じ移動中の前記開閉体が、全開位置から、全閉位置から開き移動方向に所定距離離間した前記位置に達するまでの間で、前記障害物に当接したときには、前記開閉体は、前記障害物が除去された後は、再び閉じ移動することになる。
【００４０】
ここで、前記所定距離とは、前記障害物が人間等である場合において、前記開閉体に当接した人間等が前記開閉体で仕切られる一方の空間から他方の空間へ通過することが困難な程度まで前記開閉体が閉じ移動したときにおける前記開閉体の閉じ側の先端部の位置から前記全閉位置までの距離をいう。
【００４１】
上述した動作を実現するための前記制御回路の構成は任意なものでよく、その一例として、閉じ移動中の前記開閉体が、前記全閉位置から開き移動方向に前記所定距離離間した前記位置に達するまではオンとなり、閉じ移動中の前記開閉体が、前記全閉位置から開き移動方向に前記所定距離離間した前記位置に達したときにオフとなる開閉体位置検出スイッチ手段を、前記ソレノイドに直列に接続したものを挙げることができる。
【００４２】
これによると、閉じ移動中の前記開閉体が、前記全閉位置から開き移動方向に前記所定距離離間した位置から、前記全閉位置に達するまでの間で、前記障害物に当接したときには、前記開閉体位置検出スイッチ手段はオフとなるため、前記制御回路の前記ソレノイドには電流が流れない。このため、前記開閉体は、前記障害物が除去されても、再び閉じ移動することなく、前記障害物に当接した位置での停止を継続する。一方、閉じ移動中の前記開閉体が、前記全開位置から、前記全閉位置から開き移動方向に所定距離離間した前記位置に達するまでの間で、前記障害物に当接しても、前記開閉体位置検出スイッチ手段はオンのままとなる。このため、前記障害物が除去された後は、前記制御回路の前記ソレノイドには電流が流れて、前記ブレーキ装置はオフとなり、前記開閉体は、再び閉じ移動することになる。
【００４３】
本発明において、前記障害物除去検出手段を配置する位置は、任意であるが、外部から視認できない位置に配置されていることが好ましい。これによると、前記障害物除去検出手段が受ける外力をより少なくすることができる。前記障害物除去検出手段を配置する位置の一例としては、全開位置に達した前記開閉体を収納するための開閉体収納部材の内部を挙げることができる。なお、「全開」とは、略全開の意味を含むものであり、「略全開」とは、例えば、若干の相違があっても本来目的を達成する上では実質的に「全開」ということができるものをいう。なお、前記障害物除去検出手段が、前記開閉体が前記障害物に当接したことを検出するための前記障害物検出手段を兼ねるものとした場合においても、前記障害物除去検出手段は、外部から視認できない位置に配置されていることが好ましい。
【００４４】
本発明において、前記架け渡し部材を配置する位置も、任意であるが、外部から視認できない位置に配置されていることが好ましい。これによると、前記架け渡し部材が受ける外力をより少なくすることができる。なお、外部から視認できない位置に配置するのは、前記架け渡し部材の全部でもよく、一部でもよい。
【００４５】
本発明において、前記開閉体を閉じ移動と開き移動のうちの少なくとも開き移動させるための電動モータ装置を備えていてもよく、備えていなくてもよい。すなわち、前記開閉体の開き移動と閉じ移動の両方が、前記電動モータ装置の駆動力により行われるものでもよく、前記開閉体の開き移動のみが、前記電動モータ装置の駆動力により行われるものでもよい。
【００４６】
本発明において、前記開閉体の形式、構造は任意であり、その一例として、前記開閉体が、開閉体主部と、この開閉体主部に対して可動に設けられた開閉体副部と、を含んで構成されるものを挙げることができる。
【００４７】
この場合において、前記架け渡し部材は、前記開閉体の開閉移動によってこの開閉体に対する移動が生ずるものとし、前記架け渡し部材と、前記開閉体に配置され、前記開閉体の閉じ移動の途中で当接した前記障害物で前記開閉体副部が前記開閉体主部に対して移動することにより、前記開閉体と前記架け渡し部材とを機械式に結合された状態とするための機械式結合装置を備えるようにしてもよい。
【００４８】
これによると、前記開閉体の閉じ移動の途中で当接した前記障害物で前記開閉体副部が前記開閉体主部に対して移動することにより、前記開閉体と前記架け渡し部材とが機械式に結合された状態となる。これにより、前記架け渡し部材に前記開閉体の閉じ移動方向への緊張力が作用し、前記開閉体の閉じ移動は、前記架け渡し部材によって阻止され、停止することになる。このため、前記架け渡し部材は、前記障害物に当接した前記開閉体の閉じ移動を停止させるための機械的部材となっている。
【００４９】
また、本発明において、前記架け渡し部材は、任意な形状、構造のものでもよく、この架け渡し部材は、例えば、テレスコーピック式に伸縮自在となった棒状部材やブロック状部材でもよく、紐状部材等でもよい。前記架け渡し部材を前記紐状部材とする場合には、この紐状部材は、金属製等のワイヤーでもよく、合成樹脂製等の紐でもよく、ロープでもよく、ローラチェーンやボールチェーンを含むチェーンでもよく、その他の細長部材でもよい。
【００５０】
前記架け渡し部材を前記紐状部材とする場合には、この紐状部材を、前記機械式結合装置と対応する部分が折り返し部となったＵ字状とするとともに、この紐状部材を繰り出し自在に巻き取る巻取装置に連結し、この巻取装置を、前記開閉体に対して不動となった前記不動部材又はこの不動部材とは別の不動部材に配置してもよい。これによると、前記紐状部材を、前記巻取装置の巻き取り、繰り出しにより、前記開閉体の開閉移動に対して追従させることができ、これにより、前記紐状部材に、前記開閉体の開閉移動によってこの開閉体に対する移動を生じさせることができる。
【００５１】
また、前記架け渡し部材を前記紐状部材とする場合には、この紐状部材を、前記機械式結合装置と対応する部分を除き、直線状に延びたものとし、前記紐状部材の一方の端部を、前記開閉体に対して不動となった前記不動部材に達しさせ、前記紐状部材の他方の端部を、前記不動部材又はこの不動部材とは別の不動部材に達しさせてもよい。これによっても、前記紐状部材に、前記開閉体の開閉移動によってこの開閉体に対する移動、すなわち、前記開閉体に対する相対的な移動を生じさせることができる。
【００５２】
本発明において、前記開閉体の閉じ移動方向が下方向である場合には、閉じ移動の途中で前記障害物に当接した前記開閉体を、この開閉体の重量に基づき前記架け渡し部材に作用する緊張力で停止させようにしてもよい。言い換えると、前記開閉体の閉じ移動の途中で当接した前記障害物で前記開閉体副部が前記開閉体主部に対して移動することにより、前記開閉体と前記架け渡し部材とが前記機械式結合装置によって機械式に結合された状態となったときに、前記架け渡し部材に前記開閉体の自重による緊張力が作用し、この緊張力により前記開閉体の閉じ移動を停止させるようにしてもよい。
【００５３】
以上の本発明において、前述した各不動部材は、開閉移動する前記開閉体に対して不動となっている部材であれば、任意な部材でよく、例えば、前記開閉体によって開閉される出入口等の開口部の外枠を形成する部材（開口部の床を含む）や、前記開閉体の開閉移動を案内するガイド部材、さらには、開閉装置の構造躯体や、開閉装置が設置されている建物等の構造物のための躯体等である。
【００５４】
本発明において、前記機械式結合装置は、前記開閉体の任意な位置に配置することができ、前述したように、前記開閉体が前記開閉体主部と前記開閉体副部とを含んで構成される場合には、前記機械式結合装置の配置位置は、前記開閉体主部でもよく、前記開閉体副部でもよい。しかし、前記機械式結合装置を前記開閉体主部に配置した場合には、前記開閉体の閉じ移動の途中で前記障害物に当接することによって移動する前記開閉体の部分は前記開閉体副部であって、前記開閉体主部ではないため、前記障害物への当接時に前記機械式結合装置が移動することをなくすことができる。これにより、前記開閉体と前記架け渡し部材とを前記機械式結合装置で機械式に結合された状態とするための構造を簡単化することができる。
【００５５】
また、本発明において、前記開閉体の閉じ移動方向が下方向である場合には、この開閉体を、開閉体本体と、この開閉体本体の下側に配置されたエンド部材とを含んで構成されたものとするとともに、このエンド部材を、開閉体本体に固定された固定部と、この固定部の下側に配置され、固定部に対して上下方向に移動自在となった可動部とを含んで形成されたものとし、開閉体本体と固定部とで前述の開閉体主部を構成し、可動部を前述の開閉体副部とすることができる。
【００５６】
これによると、前記開閉体が閉じ移動しているときに、この閉じ移動方向に存在していた前記障害物に前記開閉体が当接することは、前記開閉体副部となっている前記可動部が前記障害物に当接することによって行われるため、前記障害物による前記開閉体副部の前記開閉体主部に対する移動を一層確実に行わせることができる。
【００５７】
また、本発明において、前述の機械式結合装置により前記開閉体と前記架け渡し部材とを機械式に結合するための結合方式は、任意な形態や構造によるものでよい。
【００５８】
例えば、第１の結合方式は、前記開閉体に配置された複数個の挟着部材によって架け渡し部材を挟着することである。この場合における挟着部材は、揺動自在となったレバー部材でもよく、ローラやピン等によるものでもよい。
【００５９】
また、第２の結合方式は、前述の紐状部材等のように細長部材となった前記架け渡し部材を筒状部材の内部の孔に挿通し、この筒状部材の内部の孔まで達する割り溝を筒状部材の全長に渡って形成しておき、前記障害物への当接によって前記開閉体の一定位置に固定状態となって配置される前記筒状部材の外面に、前記障害物への当接によって生ずる荷重を前記筒状部材の外面に作用させることにより、割り溝の幅を小さくさせて前記筒状部材の外径を縮小させ、これにより、直径が小さくなる前記筒状部材の上記の孔の内面で架け渡し部材を挟着させ、前記開閉体の一定位置に固定状態となって配置された前記筒状部材により、前記架け渡し部材をロックすることである。
【００６０】
さらに、第３の結合方式は、紐状部材等のように細長部材となっている前記架け渡し部材によって回転するラチェットホイール等の回転部材を前記開閉体に設け、この回転部材に、前記開閉体に配置されたラチェット部材等の爪部材を噛み込ませることである。
【００６１】
またさらに、第４の結合方式は、紐状部材等のように細長部材となっている前記架け渡し部材が、前述したように、前記機械式結合装置と対応する部分を除き、直線状に延び、前記機械式結合装置と対応する前記架け渡し部材の部分は、回転部材に掛け回され、この回転部材は、前記開閉体主部と前記開閉体副部とを含んで構成されている前記開閉体のうちの前記開閉体主部に設けられ、前記開閉体主部と前記開閉体副部とは、直線状に延びる前記架け渡し部材に向かってく字状に屈曲したリンク機構で連結されており、前記開閉体の開閉移動方向に屈曲可能となっており、前記障害物との当接によって前記リンク機構が屈曲することにより、前記回転部材が、直線状に延びる前記架け渡し部材から遠ざかる方向にスライドすることで前記架け渡し部材に緊張力を作用させることである。
【００６２】
本発明に係る開閉装置の開閉体停止装置の前記ブレーキ装置は、それ単独で一つの装置になっているものでもよく、あるいは、例えば、前記開閉体を開き移動と閉じ移動のうちの少なくとも開き移動させるための電動モータ装置と組み合わせられて前記開閉体を開閉移動させるための駆動装置である開閉機の一部となっているものでもよい。
【００６３】
なお、本発明において、前記開閉体が閉じ移動の途中で障害物に当接したとき、前記開閉体の閉じ移動の停止を機械的に行い、前記障害物が除去されたとき、停止していた前記開閉体を再び閉じ移動させるための前記開閉体の停止状態の解除が電気的に行われるようにするための形式、構造等は、以下に示すようなものでもよい。
【００６４】
すなわち、前記開閉体の開閉移動を停止させるためのブレーキ装置と、このブレーキ装置を電気的に制御するための制御部と、前記開閉体の閉じ移動中に、この開閉体の閉じ移動方向のエンド部材（先端部材）である座板が障害物に当接すると、この座板における前記開閉体の開閉移動方向と直交する方向（幅方向）の両端部から、前記開閉体の開閉移動を案内するガイド部材側に突出するとともに、このガイド部材に前記開閉体の開閉移動方向に所定の間隔で設けられた被係合部（例えば、前記幅方向に突出した凸部）に係合する係合部が突出することで、前記開閉体の閉じ移動を停止させるストップ機構と、前記座板に設けられ、前記障害物に当接することによりオンとなり、前記障害物が除去されることによりオフとなる電気スイッチ手段と、前記座板に設けられ、通電されることにより、突出した前記係合部を前記座板の内部の後退、収納させるソレノイドと、を備えたものでもよい。
【００６５】
この例では、前記開閉体が開放状態のときに、前記制御部が防災信号等の制御信号を受信すると、前記制御部が前記ブレーキ装置を解除することにより前記開閉体が自重による閉じ移動を行うようにし、前記開閉体の閉じ移動中に、この開閉体の前記座板が前記障害物に当接すると、前記ストップ機構の作動により、前記開閉体の閉じ移動は停止することになる。
【００６６】
一方、前記障害物が除去されると、前記座板に設けられた前記電気スイッチ手段がオンからオフに切り替わる。そして、この切り替わりを前記制御部が検出すると、必要に応じて前記制御部に設けられたタイマー等による遅延時間が確保された後、前記座板に設けられた前記ソレノイドに前記制御部からの制御信号が入力する。これにより、前記ソレノイドが通電され、前記被係合部に係合していた前記係合部は、前記座板の内部に後退、収納する。すなわち、前記ソレノイドが通電されることにより、前記ストップ機構の作動が解除される。上述したように、前記ブレーキ装置は、防災信号等を受信した前記制御部の制御により解除されているため、前記ストップ機構の作動が解除されると、停止していた前記開閉体は、再度自重による閉じ移動をすることになる。
【００６７】
もちろん、前記開閉体を駆動させるための駆動手段である電動モータが備えられている場合には、前記制御部の制御で、前記電動モータを逆回転させて前記開閉体を若干開き移動方向に開き移動させた後に、自重や前記電動モータの駆動力により、前記開閉体を再び閉じ移動させるようにしてもよい。
【００６８】
なお、前記電気スイッチ手段からの信号や、前記制御部からの制御信号を伝達するための信号線や、これらの装置に電力を供給するための電源線は、有線にて前記制御部から座板まで張設するようにする。
【００６９】
また、上述した例の変形例として、前記電気スイッチ手段のオン、オフの検出や、前記ストップ機構の作動を解除させる制御は、上述した制御部の制御によらずに、前記座板の内部に、前記制御部とは別の制御部及び電源部を配置し、この制御部が上記制御を行うようにしてもよい。
【００７０】
この例においても、前記ストップ機構の作動が解除されたときには、前記ブレーキ装置は、防災信号等を受信した前記制御部の制御により解除されているため、停止していた前記開閉体は、再度自重による閉じ移動をすることになる。
【００７１】
本発明は、任意な開閉体が開閉移動自在となっている任意な開閉装置に適用することができる。その一例は、前記開閉体がシャッターカーテンとなっているシャッター装置である。また、本発明は、開き戸装置や引戸装置にも適用することができ、さらには、オーニング装置や防煙垂れ幕装置等にも適用することができる。
【００７２】
また、本発明をシャッター装置に適用する場合には、このシャッター装置は任意な用途のためのシャッター装置でよい。すなわち、本発明が適用されるシャッター装置は、操作装置の操作によりシャッターカーテンが出入口等の開口部を開閉するために開閉移動する管理用シャッター装置でもよく、防煙等の防災機能を有しているシャッターカーテンが火災等の異常事態の発生時に閉じ移動することにより建物等の構造物内に防災区画を形成するための防災用シャッター装置でもよく、さらには、管理及び防災の併用シャッター装置でもよい。そして、防災用シャッター装置には、エレベータ等の昇降手段の近辺を全閉となったシャッターカーテンで閉鎖する昇降手段のための防災用シャッター装置が含まれる。
【００７３】
また、管理用シャッター装置の上記操作装置の信号送信方式は、有線方式でもよく、無線方式でもよい。
【００７４】
さらに、本発明が適用されるシャッター装置は、シャッターカーテンが任意な部材、構造で構成されたものでよい。すなわち、シャッターカーテンの全部又は主要は、複数のスラットで形成されてもよく、シートで形成されてよく、リンク部材で連結された複数のパイプで形成されてもよく、複数のパネルで形成されてもよく、ネットで形成されてもよく、これらの部材のうち、複数の部材を組み合わせることによって形成されてもよい。
【００７５】
また、シャッターカーテンの開閉移動方向は上下方向でもよく、あるいは、左右方向でもよい。シャッターカーテンの開閉移動方向が上下方向である場合には、シャッターカーテンの閉じ移動方向は、下方向でもよく、上方向でもよい。
【００７６】
さらに、シャッターカーテンの開き移動と閉じ移動のうちの少なくとも開き移動は電動モータ装置の駆動力で行われてもよく、あるいは、手操作で行われてもよい。
【００７７】
また、シャッターカーテンの開閉移動方向が上下方向であって、閉じ移動が下向きとなっている場合には、この閉じ移動は、シャッターカーテンの自重によって行われてもよく、あるいは、シャッターカーテンの自重に、前記電動モータ装置の駆動力が付加されて行われてもよい。
【００７８】
また、下向きに閉じ移動する前のシャッターカーテンを全開位置に停止させておくための手段は、前記ブレーキ装置でもよく、あるいは、シャッターカーテンの閉じ側の端部に設けられている座板等のシャッターカーテン構成部材に係止する係止部材を備えた係止装置でもよい。
【００７９】
前記ブレーキ装置には、シャッターカーテンの開閉移動を巻取軸によるシャッターカーテンの巻き取り、繰り出しで行うシャッター装置については、この巻取軸を回転させるための駆動装置となっている前記開閉機の前記電動モータ装置を制動させるためのブレーキ装置が含まれる。
【００８０】
また、上記係止装置には、シャッターカーテンが全開位置に達しているときに上記係止部材が座板等のシャッターカーテン構成部材に係止することにより、シャッターカーテンを全開位置に停止させるものが含まれる。
【００８１】
さらに、前記シャッターカーテンの開閉移動は、上述のように巻取軸によるシャッターカーテンの巻き取り、繰り出しで行われてもよく、あるいは、前記シャッターカーテンの開き移動が、オーバーヘッドドアのように、前記シャッターカーテンが全閉位置に達しているときの全体形状と同じ形状（多少は変形しているが、実質的に同じ形状と言えるものを含む。）を維持しながら行われてもよく、あるいは、前記シャッターカーテンの開き移動が、前記シャッターカーテンが湾曲等に変形しながら行われてもよく、あるいは、前記シャッターカーテンを構成する前述のパネル等の複数の構成部材が、前記シャッターカーテンの閉じ移動時には連結され、前記シャッターカーテンの開き移動時（前記シャッターカーテンの収納時）には、互いに分離し、これらの構成部材が厚さ方向に重なり合うようになっていてもよい。
【００８２】
また、前記シャッターカーテンの開閉移動が前記巻取軸の正逆回転による前記シャッターカーテンの巻き取り、繰り出しで行われ、前記シャッターカーテンの下向きの閉じ移動が前記シャッターカーテンの自重又はこの自重に加えて前記電動モータ装置の駆動力で行われるシャッター装置については、前記巻取軸に、前記シャッターカーテンの閉じ移動中に戻し力が蓄圧されるねじりコイルばねやぜんまいばねによる戻しばねを設けておき、前記シャッターカーテンの上向きの開き移動を、この戻しばねに蓄圧された戻し力を補助力として利用して行うようにしてもよい。
【００８３】
なお、前記シャッターカーテンの開閉移動が、上述のように巻取軸による前記シャッターカーテンの巻き取り、繰り出しで行われる場合には、前述した開閉体位置検出スイッチ手段は、前記シャッターカーテンの開閉移動を案内するための案内部材（ガイド部材）に設けられ、開閉移動する前記シャッターカーテンに当接することにより作動（オン）するものであってもよく、前記シャッターカーテンを巻き取り、繰り出す前記巻取軸の全開位置からの回転数が所定回数に達したことにより作動（オン）するものであってもよい。
【００８４】
なお、本発明において、前記ブレーキ装置が前記電動モータ装置と組み合わさられて前記開閉機の一部となっているものとなっている場合には、火災発生時等の非常時等には、前記防災信号を受信する（前記防災信号が入力される）ことにより、前記開閉体を全開状態に保持していた前記ブレーキ装置を電気的にオフにし、前記開閉体を閉じ移動させるための自動閉鎖装置を備えるようにしてもよい。この自動閉鎖装置は、上述したように、前記防災信号が入力されることにより、前記ブレーキ装置を電気的にオフするものであるため、前述した本発明に係る開閉装置の開閉体停止装置に、前記自動閉鎖装置の機能をさらに持たせるようにしてもよい。すなわち、本発明に係る開閉装置の開閉体停止装置は、前記自動閉鎖装置の機能を兼ねるものとしてもよい。
【００８５】
また、本発明において、前記自動閉鎖装置を備えるようにした場合には、手動によりこの自動閉鎖装置を作動させるための手動閉鎖装置を備えるようにしてもよい。これによると、火災発生時等の非常時等において、前記自動閉鎖装置が故障により作動しなかった場合や、災害発生を発見した人間が一刻も早く前記開閉体を閉じ移動させるべきであると判断した場合に、前記開閉体を手動により強制的に閉じ移動させることができる。すなわち、ブレーキ装置を手動により強制的にオフさせることができる。
【発明の効果】
【００８６】
本発明によると、開閉装置の開閉体停止装置の構造の簡単化を図ることができるようという効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【００８７】
【図１】図１は、本発明の一実施形態に係る開閉装置となっているシャッター装置の全体を示す正面図である。
【図２】図２は、図１のＳ２−Ｓ２線断面図である。
【図３】図３は、図１及び図２で示されている駆動装置である開閉機の内部構造を示す断面図である。
【図４】図４は、開閉体であるシャッターカーテンが閉じ移動中に障害物に当接したときに、この障害物を機械式に検出するための機械式障害物検出装置を示す斜視図である。
【図５】図５は、図４で示されている機械式障害物検出装置を構成する機械式結合装置のケースの正面側を示す図である。
【図６】図６は、機械式結合装置の内部構造を示す正面図である。
【図７】図７は、機械式結合装置がシャッターカーテンに取り付けられたときを示す正面図である。
【図８】図８は、図７のＳ８−Ｓ８線断面図である。
【図９】図９は、図７のＳ９−Ｓ９線断面図である。
【図１０】図１０は、開閉体副部であって、カーテン副部となっている座板の可動部が障害物への当接により座板の固定部に対して上昇したときを示す図６と同様の図である。
【図１１】図１１は、閉じ移動中のシャッターカーテンが障害物に当接したときに、機械式結合装置によりロック用ワイヤーがロックされたときを示す図６と同様の図である。
【図１２】図１２は、図４で示されている機械式障害物検出装置の第２処理装置の内部構造を示す図である。
【図１３】図１３は、図１等で示されている自動閉鎖装置の内部構造を示す正面図である
【図１４】図１４は、自動閉鎖装置の内部構造を示す平面図である。
【図１５】図１５は、火災等の災害が発生したことで自動閉鎖装置のソレノイドが通電、励磁されたときを示す図１４と同様の図である。
【図１６】図１６は、自動閉鎖装置のソレノイドの通電、励磁が停止されたときを示す図１４と同様の図である。
【図１７】図１７は、シャッターカーテンが障害物に当接したことにより、第２処理装置の障害物除去検出手段を兼ねる障害物検出手段であるマイクロスイッチが作動したときを示す図１２と同様の図である。
【図１８】図１８は、開閉体停止装置であるシャッターカーテン停止装置を構成する制御回路を示す回路図である。
【図１９】図１９は、本実施形態に係るシャッター装置が、防災用シャッター装置として機能する場合における動作の流れを示すフローチャート図である。
【図２０】図２０は、図１９のフローチャート図の続きを示す図である。
【図２１】図２１は、図２０のフローチャート図の続きを示す図である。
【図２２】図２２は、図１８の制御回路に防災信号が入力された直後の動作状態を示す回路図である。
【図２３】図２３は、図２２に示す動作状態の後、ブレーキ装置がオフとなり、シャッターカーテンが閉じ移動を開始した直後の動作状態を示す回路図である。
【図２４】図２４は、図２３に示す動作状態の後、全開リミットスイッチがオフとなったときの動作状態を示す回路図である。
【図２５】図２５は、図２４に示す動作状態の後、閉じ移動中のシャッターカーテンが障害物に当接し、ブレーキ装置がオンとなったときの動作状態を示す回路図である。
【図２６】図２６は、図２５に示す動作状態の後、障害物が除去され、ブレーキ装置がオフされることを遅延させるための遅延装置のタイマー回路による計時が開始したときの動作状態を示す回路図である。
【図２７】図２７は、図２６に示す動作状態の後、タイマー回路の設定時間が経過し、遅延装置のタイマー接点が閉じてソレノイドが通電したときの動作状態を示す回路図である。
【図２８】図２８は、図２７に示す動作状態の後、ブレーキ装置がオフとなり、シャッターカーテンが再び閉じ移動を開始した直後の動作状態を示す回路図である。
【図２９】図２９は、シャッターカーテンが全閉位置に達したときの動作状態を示す回路図である。
【図３０】図３０は、遅延回路が設けられていない実施形態に係る制御回路を示す図１８と同様の回路図である。
【図３１】図３１は、図３０の実施形態において、閉じ移動中のシャッターカーテンが障害物に当接したときの動作状態を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【００８８】
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。本実施形態に係る開閉装置は、開閉体がシャッターカーテンとなっているシャッター装置である。また、本実施形態に係るシャッター装置は、管理及び防災の併用シャッター装置である。すなわち、本実施形態に係るシャッター装置は、通常時に出入口等の開口部を開閉するためにシャッターカーテンが開閉移動する管理用シャッター装置としての機能と、防煙等の防災機能を有しているシャッターカーテンが火災等の異常事態の発生時（以下「非常時」という）に閉じ移動することにより建物等の構造物内に防災区画を形成するための防災用シャッター装置としての機能と、を有している。
【００８９】
図１には本実施形態に係るシャッター装置の全体が示されており、この図１は、開閉移動方向が上下方向になっていて、下向きに閉じ移動するシャッターカーテン１が半分程度まで閉じた半閉状態になっているときを示している。シャッターカーテン１で開閉される開口部は、建物に形成された出入口２であり、この出入口２は、壁等の左右の建物躯体３と、全閉となったときのシャッターカーテン１の下端部が当たる相手部材となっている床４と、天井部材５とで囲まれている。左右の建物躯体３には、シャッターカーテン１の左右方向の両端部、言い換えると、シャッターカーテン１の幅方向の両端部がスライド自在に挿入された左右のガイドレール６が取り付けられており、ガイド部材となっているこれらのガイドレール６に案内されてシャッターカーテン１は上下に開閉移動する。
【００９０】
出入口２に対して天井部材５で仕切られている天井裏空間７には、全開位置に達したシャッターカーテン１を収納するためのシャッターカーテン収納部材であるシャッターボックス８が配置されており、このシャッターボックス８は、図１のＳ２−Ｓ２線断面図である図２に示されているように、天井裏空間７に存在する下がり壁等の建物躯体９にボルト等の結合具１０で結合されている。シャッターボックス８の内部には巻取軸１１が水平に収納配置され、この巻取軸１１は、シャッターボックス８の図１で示されている左右の側面部８Ａ，８Ｂに回転自在に支持されている。また、図１に示されているように、巻取軸１１の一方の端部には、スプロケットホイールとローラチェーンによる駆動力伝達手段１２を介して開閉機１３が接続されている。巻取軸１１を駆動させるための駆動装置、言い換えると、シャッターカーテン１を開閉移動させるための駆動装置となっているこの開閉機１３は、図２でも示されており、開閉機１３の駆動軸１４の回転力は、この駆動軸１４に取り付けられた駆動スプロケットホイール１２Ａと、巻取軸１１の上記一方の端部に取り付けられた被動スプロケットホイール１２Ｂと、これらのスプロケットホイール１２Ａ、１２Ｂの間に架け渡された無端ローラチェーン１２Ｃとによる駆動力伝達手段１２を経て巻取軸１１に伝達される。
【００９１】
なお、本実施形態の開閉機１３は、シャッターボックス８の左右の側面部８Ａ，８Ｂのうち、一方の側面部８Ｂに結合されたブラケット部材１５に取り付けられている。
【００９２】
図２から分かるように、シャッターカーテン１は巻取軸１１に巻回されているとともに、シャッターカーテン１の上端は巻取軸１１の外周面に結合されている。また、シャッターカーテン１における巻取軸１１より下側の部分は、天井部材５に配置されているまぐさ１６に設けられたスリット１７を通って天井部材５の下側へ垂下され、さらに、シャッターカーテン１の幅方向の両端部は、前述のように左右のガイドレール６にスライド自在に挿入されている。まぐさ１６は、互いに対向配置されたまぐさ部材１６Ａ，１６Ｂにより形成され、これらのまぐさ部材１６Ａ，１６Ｂの間がスリット１７となっている。
【００９３】
図３は、開閉機１３の内部構造を示す断面図である。この図３に示されているように、開閉機１３は、直流又は交流の電動モータ装置１８とブレーキ装置１９とを軸方向に並設したものであり、上述の駆動軸１４は、電動モータ装置１８の回転する回転子１８Ａの中心に固定配置された回転軸となっている。この駆動軸１４におけるブレーキ装置１９側の端部には、円盤状のブレーキシュー２０が結合されている。ブレーキ装置１９には、軸方向に一定距離だけスライド自在となっているブレーキ軸２１が設けられ、このブレーキ軸２１には、ブレーキシュー２０と軸方向に対面するブレーキドラム２２が結合されている。通常時のブレーキ軸２１及びブレーキドラム２２は、ばね２３で電動モータ装置１８側へ押圧されており、このため、ブレーキシュー２０とブレーキドラム２２との圧接によりブレーキ装置１９はオンとなっている。したがって、このときの電動モータ装置１８の駆動軸１４は、ブレーキ装置１９の制動力によって回転しない。
【００９４】
一方、ブレーキ装置１９に配置されているソレノイド２４に通電されたときには、このソレノイド２４の磁力により、ブレーキ軸２１及びブレーキドラム２２はばね２３に抗して電動モータ装置１８から離れる方向へスライドする。このため、ブレーキシュー２０とブレーキドラム２２との圧接が解除され、ブレーキ装置１９はオフとなる。したがって、このときには、電動モータ装置１８の駆動軸１４は、コイル２５への通電により回転できることになる。
【００９５】
図１で示した左右の建物躯体３のうち、一方の建物躯体３には、電動モータ装置１８の駆動力により、すなわち、電動によりシャッターカーテン１を出入口２に対して上向きに開き移動させることと、下向きに閉じ移動させることと、停止させることとを行わせるための開閉体開・閉・停動作指示手段である操作装置３０が取り付けられている。図示されていないが、この操作装置３０には、「開」ボタンと、「閉」ボタンと、「停」ボタンとが設けられている。
【００９６】
また、シャッターカーテン１は、シャッターカーテン１の大部分の面積を占めていて、上端が巻取軸１１に結合されているカーテン本体１Ａと、このカーテン本体１Ａの下端部に設けられた座板１Ｂとを有したものとなっている。本実施形態のカーテン本体１Ａは、多数のスラットを上下に連設することによって形成されている。カーテン本体１Ａは、本実施形態における開閉体本体となっており、座板１Ｂは、本実施形態におけるエンド部材となっている。
【００９７】
図１に示されているように、本実施形態では、シャッター装置を通常時において管理用シャッター装置として動作させるための開閉機１３の駆動制御を行う制御装置２７と、シャッター装置を非常時（例えば、外部からの防災信号を受信したとき等）において防災用シャッター装置として動作させるための制御を行う防災用連動制御装置１８１と、が備えられている。
【００９８】
座板１Ｂが前述の天井部材５に配置されたまぐさ１６の高さ位置に達しているシャッターカーテン１の全開時に、又は、座板１Ｂが図１に示すようにまぐさ１６と床４との間の途中位置に達しているシャッターカーテン１の半閉状態（半開状態）のときに、操作装置３０の「閉」ボタンを操作すると、この「閉」ボタンからの閉信号が入力される制御装置２７の制御により、ブレーキ装置１９のソレノイド２４が通電されるため、ブレーキ装置１９がオフになるとともに、電動モータ装置１８のコイル２５が通電される。このため、駆動軸１４は正回転し、この回転は、前述の駆動力伝達手段１２を介して巻取軸１１に伝達され、巻取軸１１の正回転により、シャッターカーテン１は、巻取軸１１から下向きに繰り出されて閉じ移動する。これにより閉じ移動したシャッターカーテン１が全閉位置に達すると、この全閉位置を検出したセンサである図示されない全閉リミットスイッチからの信号が入力さた制御装置２７の制御より、ソレノイド２４への通電は遮断され、ブレーキ装置１９はばね２３でオンに復帰する。また、シャッターカーテン１が全閉となっているときに、又は、座板１Ｂが図１に示すようにまぐさ１６と床４との間の途中位置に達しているシャッターカーテン１の半開状態（半閉状態）のときに、「開」ボタンを操作すると、この「開」ボタンからの開信号が入力される制御装置２７の制御により、ブレーキ装置１９のソレノイド２４が通電されるため、ブレーキ装置１９がオフになるとともに、電動モータ装置１８のコイル２５が通電される。このため、駆動軸１４は逆回転し、この回転は前述の駆動力伝達手段１２を介して巻取軸１１に伝達され、巻取軸１１の逆回転により、シャッターカーテン１は巻取軸１１に巻き取られて開き移動する。シャッターカーテン１が全開位置に達すると、この全開位置を検出したセンサである図示されない全開リミットスイッチからの信号が入力される制御装置２７の制御により、ソレノイド２４への通電は遮断され、ブレーキ装置１９がばね２３でオンに復帰するとともに、コイル２５への通電が遮断される。
【００９９】
また、シャッターカーテン１が閉じ移動している途中で「停」ボタンを操作すると、この「停」ボタンからの停信号が入力される制御装置２７の制御により、ソレノイド２４への通電は遮断されるため、ブレーキ装置１９がばね２３でオンに復帰するとともに、電動モータ装置１８のコイル２５への通電は遮断され、これにより、シャッターカーテン１はその位置で停止する。これと同様に、シャッターカーテン１が開き移動している途中で「停」ボタンを操作すると、この「停」ボタンからの停信号が入力される制御装置２７の制御により、ソレノイド２４への通電は遮断されるため、ブレーキ装置１９がばね２３でオンに復帰するとともに、電動モータ装置１８のコイル２５への通電が遮断され、これにより、シャッターカーテン１はその位置で停止する。
【０１００】
以上の説明から分かるように、開閉移動するシャッターカーテン１に対して、前述の床４やガイドレール６、シャッターボックス８、さらにはまぐさ１６等は不動となっているため、これらの床４、ガイドレール６、シャッターボックス８、まぐさ１６等は、シャッターカーテン１に対して不動となっている不動部材である。
【０１０１】
なお、以上のように正逆回転する巻取軸１１に、シャッターカーテン１の閉じ移動中に戻し力が蓄圧されるねじりコイルばねやぜんまいばねによる戻しばねを設けておき、シャッターカーテン１の上向きの開き移動を、この戻しばねに蓄圧された戻し力を補助力として利用して行うようにしてもよい。
【０１０２】
また、図３に示されているとおり、ブレーキ軸２１における電動モータ装置１８側とは反対側の端部にはレバー部材３１が配置されている。このレバー部材３１はブレーキ軸２１を貫通したものであって、ブレーキ軸２１を境界として区分される第１部分３１Ａと第２部分３１Ｂとからなる。第１部分３１Ａには第１屈曲部３１Ｃが形成され、第２部分３１Ｂには第２屈曲部３１Ｄが形成されている。第１部分３１ＡにＡ方向、すなわち、電動モータ装置１８側とは反対側への荷重が作用したときには、第１部分３１Ａが第２屈曲部３１Ｄを支点としてＡ方向へ揺動するため、ブレーキ軸２１及びブレーキドラム２２は、Ａ方向と同じ方向であるＡ’方向へスライドする。このため、ソレノイド２４に通電しなくても、ブレーキ装置１９をオフとすることができる。
【０１０３】
このように第１部分３１ＡにＡ方向への荷重が作用することは、開閉機１３に取り付けられている後述の自動閉鎖装置３２や手動閉鎖装置１８４等によって行われる。
【０１０４】
また、第２部分３１ＢにＡ方向と同じ方向の荷重が作用したときには、第２部分３１Ｂが第１屈曲部３１Ｃを支点としてＡ方向と同じ方向へ揺動するため、この場合にも、ブレーキ軸２１及びブレーキドラム２２は、Ａ’方向へスライドする。このため、このときにもソレノイド２４に通電しなくても、ブレーキ装置１９をオフとすることができる。
【０１０５】
このように第２部分３１ＢにＡ方向と同じ方向の荷重を作用させることは、手作業により行うことができる。このため、この実施形態に係る開閉機１３は、手操作によってもブレーキ装置１９をオフにすることができるようになっている。なお、第２部分３１Ｂは、第２屈曲部３１Ｄを残して省略してもよい。
【０１０６】
図４は、シャッターカーテン１の閉じ移動中にシャッターカーテン１の座板１Ｂが図１で示す障害物３４に当接したときに、この障害物３４を機械式に検出するための機械式障害物検出装置３５を示す。この機械式障害物検出装置３５は、前述の不動部材となっているこのまぐさ１６とシャッターカーテン１との間に架け渡された部分を有している架け渡し部材となっているロック用ワイヤー３６と、可撓性を有するこのロック用ワイヤー３６の一方の端部が結合され、この一方の端部を処理している第１処理装置３７と、ロック用ワイヤー３６の他方の端部が結合され、この他方の端部を処理している第２処理装置３８と、ロック用ワイヤー３６の長さの途中に配置され、シャッターカーテン１が障害物３４に当接したときにロック用ワイヤー３６を機械式にロックするための、言い換えると、シャッターカーテン１とロック用ワイヤー３６とを機械式に結合した状態にするための機械式結合装置３９と、を備えている。この機械式結合装置３９は、後述するように、シャッターカーテン１に取り付けられている。
【０１０７】
上述の架け渡し部材となっているロック用ワイヤー３６は、本実施形態における紐状部材でもあり、細長部材でもある。
【０１０８】
第１処理装置３７と第２処理装置３８と機械式結合装置３９は、ロック用ワイヤー３６で連結された状態になっており、したがって、これらの装置３７〜３９を構成要素とする機械式障害物検出装置３５は、取り扱い等が容易なユニットとなっている。
【０１０９】
第１処理装置３７には回転自在なリール４０が設けられ、ロック用ワイヤー３６の一方の端部が結合されているこのリール４０にロック用ワイヤー３６が巻回されている。リール４０には、ぜんまいばね等による戻しばね４１が連結されており、ロック用ワイヤー３６がリール４０を回転させてこのリール４０から繰り出される際に、戻しばね４１には戻し力が蓄圧される。また、ロック用ワイヤー３６に弛みが生じたときには、戻しばね４１に蓄圧された戻し力により、リール４０はロック用ワイヤー３６を巻き取る方向へ回転することになる。
【０１１０】
第２処理装置３８には回動部材４２が設けられており、この回動部材４２に、ロック用ワイヤー３６の他方の端部が連結されている。
【０１１１】
また、第１処理装置３７と第２処理装置３８は、まぐさ１６にボルト又は溶接等で固定配置されたベース部材４４の上面に配置されており、このため、第１処理装置３７と第２処理装置３８はベース部材４４で連結されたユニット構造物４５となっている。したがって、ロック用ワイヤー３６をまぐさ１６とシャッターカーテン１との間に架け渡す作業等を行うために、第１処理装置３７と第２処理装置３８をまぐさ１６に配置する作業は、ユニット構造物４５をまぐさ１６にボルト又は溶接等で固定設置する作業を行うだけで終了することができ、この作業を容易に行えるようになっている。
【０１１２】
また、上述したようにロック用ワイヤー３６の他方の端部を、第２処理装置３８の回動部材４２に連結するために、図２に示されているように、ロック用ワイヤー３６は前述の天井部材５に配置されたまぐさ１６のスリット１７に通されている。すなわち、ロック用ワイヤー３６は、天井部材５の上下に跨る長さを有しており、また、ロック用ワイヤー３６は、まぐさ１６と接触せずにこのまぐさ１６のスリット１７に挿通されている。
【０１１３】
まぐさ１６における第１処理装置３７と第２処理装置３８の配置位置は、シャッターカーテン１の厚さ方向に調整可能となっている。これについて説明すると、図４に示されているとおり、第１処理装置３７の機枠４６は、ベース部材４４の側面部４４Ａに形成されている長孔４７に挿入されたビス等の止着具４８でこの側面部４４Ａに取り付けられている。このため、長孔４７の長さ分だけ、ベース部材４４における第１処理装置３７の取付位置がシャッターカーテン１の厚さ方向に調整可能となっている。さらに、第２処理装置３８の機枠４９の基板部４９Ａは、この基板部４９Ａに形成されている長孔５０に挿入されたビス等の止着具５１でベース部材４４に取り付けられている。このため、長孔５０の長さ分だけ、ベース部材４４における第２処理装置３８の取付位置がシャッターカーテン１の厚さ方向に調整可能となっている。
【０１１４】
なお、まぐさ１６における第１処理装置３７と第２処理装置３８の配置位置をシャッターカーテン１の厚さ方向に調整可能する構造は、長孔４７，５０による方式のものに限定されず、例えば、ボルト等のねじ軸部材の回転を利用したねじ送り方式や、ガイド溝の途中に複数のストップ部材を配置したスライドアンドストップ方式等のものでもよい。
【０１１５】
図４で示されている機械式結合装置３９のケース５５は、図４で示されている裏面部５５Ａ及び上面部５５Ｂと、図５で示されている正面部５５Ｃとを有する。すなわち、図４と図５では、機械式結合装置３９の表裏が逆となっている。図６は、ケース５５の内部に収納されている機械式結合装置３９の構造を示す図５の正断面図である。図４に示されているように、ケース５５の上面部５５Ｂには、ロック用ワイヤー３６が出入りする２個の孔５６，５７が形成され、また、図６に示されているように、ケース５５の内部には、ロック用ワイヤー３６を案内する２個の回転自在なローラ５８，５９がシャッターカーテン１の幅方向に離れて配置されているとともに、これらのローラ５８，５９と共にロック用ワイヤー３６を案内するためのピン等による複数のガイド部材６０も配置されている。
【０１１６】
また、ケース５５の内部には、ロック用ワイヤー３６におけるローラ５８とローラ５９の間の部分（後述する折り返し部）３６Ａを上下から挟着するための挟着部材となっている第１レバー部材６１と第２レバー部材６２が配置され、これらのレバー部材６１，６２は、同一の支点軸６３を中心に上下に揺動自在となっている。上側の第１レバー部材６１には、ねじりコイルばね６４による下向きの押圧力が作用しており、また、この第１レバー部材６１には下向きに湾曲形成された凸部６１Ａが設けられ、この凸部６１Ａがロック用ワイヤー３６の上記の部分３６Ａに当たることにより、支点軸６３を中心とする第１レバー部材６１の下向きの揺動限が規定されるようになっている。また、上記の部分３６Ａが弛緩しているときに第１レバー部材６１が支点軸６３を中心として下向きに大きく揺動することを防止できるようにするために、ケース５５には、第１レバー部材６１における支点軸６３側とは反対側の端部を受けるためのピン等によるストップ部材６５が固定されている。
【０１１７】
下側の第２レバー部材６２における支点軸６３側とは反対側の端部には、重り部材６６が取り付けられており、この重り部材６６の重量により、第２レバー部材６２には支点軸６３を中心とする下向きの揺動力が作用している。また、第２レバー部材６２には、上向きに湾曲形成された凸部６２Ａが設けられている。
【０１１８】
また、上側の第１レバー部材６１の下面と、下側の第２レバー部材６２の上面には、言い換えると、これらのレバー部材６１，６２の互いに対面する面には、摩擦部材６７，６８が取り付けられている。これらの摩擦部材６７，６８は、第１レバー部材６１と第２レバー部材６２がロック用ワイヤー３６の上記の部分３６Ａを挟着してロックするときに、この部分３６Ａとの間の摩擦力を大きくし、ロックを一層確実なものにするためのものである。そして、上側の第１レバー部材６１には下向きの突片部６１Ｂが形成され、この突片部６１Ｂと、ケース５５の裏面部５５Ａとにより、ロック用ワイヤー３６における上記の部分３６Ａが２個のレバー部材６１，６２の間から外れることが防止されている。また、第２レバー部材６２の凸部６２Ａは、この第２レバー部材６２が支点軸６３を中心に上向きに揺動することにより摩擦部材６７，６８がロック用ワイヤー３６の上記の部分３６Ａを挟着、ロックする直前に、この部分３６Ａを上向きに押し上げることになり、これにより、摩擦部材６７，６８による上記の部分３６Ａを挟着、ロックをさらに一層確実に行えるようにしている。また、下側の第２レバー部材６２には、下向きに湾曲形成された凸部６２Ｂが設けられている。
【０１１９】
図７には、機械式結合装置３９がシャッターカーテン１に取り付けられたときの正面図が示されている。図８は、図７のＳ８−Ｓ８線断面図であり、この図８には、前述したシャッターカーテン１の座板１Ｂの内部構造が示され、また、図８には、ロック用ワイヤー３６及び機械式結合装置３９が２点鎖線で示されている。シャッターカーテン１は、図１で説明したように、シャッターカーテン１の大部分の面積を占めていて、本実施形態における開閉体本体となっているカーテン本体１Ａと、図８に示されているように、このカーテン本体１Ａの下端部に設けられ、本実施形態におけるエンド部材となっている座板１Ｂとを有する。また、座板１Ｂは、カーテン本体１Ａの下部に固定された固定部７０Ａと、この固定部７０Ａの下側に配置され、固定部７０Ａに対して上下方向に移動可能となっている可動部７０Ｂとからなる。
【０１２０】
また、本実施形態のシャッターカーテン１は、図７で示されているように、カーテン主部７１Ａと、カーテン副部７１Ｂとを有し、カーテン主部７１Ａは、カーテン本体１Ａと、座板１Ｂのうちの固定部７０Ａとによって構成されており、カーテン副部７１Ｂは、座板１Ｂのうちの可動部７０Ｂによって構成されている。したがって、このカーテン副部７１Ｂは、シャッターカーテン１の閉じ側の端部に配置されている。そして、カーテン主部７１Ａは、本実施形態における開閉体主部となっており、カーテン副部７１Ｂは、本実施形態における開閉体副部となっている。
【０１２１】
図８に示されているように、座板１Ｂの固定部７０Ａは、共に断面箱型となった内外の部材７５，７６で形成され、外部材７５は、シャッターカーテン１の厚さ方向に分割配置された２個の分割部材７５Ａ，７５Ｂで形成されており、これらの分割部材７５Ａ，７５Ｂは、カーテン本体１Ａの下端部にボルト、ナット等による結合具７７で結合されている。また、内外の部材７５，７６の下面は開口部７８となっており、この開口部７８から座板１Ｂの可動部７０Ｂの立上り部７９の上端が固定部７０Ａの内部空間に挿入されている。立上り部７９の上端には、シャッターカーテン１の厚さ方向外側へ延出する延出部７９Ａ，７９Ｂが形成され、これらの延出部７９Ａ，７９Ｂが、固定部７０Ａの内側部材７６の下端に形成された突片部７６Ａ，７６Ｂの上面に乗ることにより、固定部７０Ａに対する可動部７０Ｂの下側への移動限が規定される。
【０１２２】
固定部７０Ａの内部には、シャッターカーテン１の幅方向に延びる支点軸８０を中心に上下揺動自在となった揺動部材８１が収納されている。この揺動部材８１は、図１０で示されているように可動部７０Ｂが固定部７０Ａに対して上昇したときには、すなわち、閉じ移動中のシャッターカーテン１が図１で示した障害物３４に当接したときには、可動部７０Ｂの立上り部７９の延出部７９Ａが揺動部材８１の突出片８１Ａを押し上げることにより、揺動部材８１は支点軸８０を中心に上向きに揺動する。また、座板１Ｂを構成している固定部７０Ａと可動部７０Ｂは、図１で示した左右のガイドレール６まで延びる長さを有しており、揺動部材８１も左右のガイドレール６まで延びる長さを有している。
【０１２３】
揺動部材８１及び可動部７０Ｂは、例えば、アルミ合金製等の押し出し成形品又は引き抜き成形品で形成されている。図１で示した出入口２の左右幅寸法が大きく、このため、揺動部材８１及び可動部７０Ｂを、それぞれ一本の連続した押し出し成形品又は引き抜き成形品で形成することが困難である場合には、長さ方向（シャッターカーテン１の幅方向）に並べた複数の押し出し成形品又は引き抜き成形品により、揺動部材８１及び可動部７０Ｂが形成される。
【０１２４】
図４で説明した機械式結合装置３９は、図７で示されているように、座板１Ｂのうち、固定部７０Ａに組み込まれる。すなわち、機械式結合装置３９は、シャッターカーテン１の前述したカーテン主部７１Ａを構成しているカーテン本体１Ａと、座板１Ｂの固定部７０Ａとのうち、固定部７０Ａに配置される。図９は、図７のＳ９−Ｓ９線断面図であって、機械式結合装置３９が配置された部分での座板１Ｂの断面図である。この図９で示されているように、座板１Ｂの固定部７０Ａを形成している内外の部材７５，７６の上面部及び正面部には、機械式結合装置３９の配置位置と対応する位置において、切欠加工による開口部９０が形成されており、この開口部９０に機械式結合装置３９が上から挿入されて固定部７０Ａに結合されている。
【０１２５】
支点軸８０を中心に上下方向に揺動自在となっている揺動部材８１の突出片８１Ａには、図７で示した下側の第２レバー部材６２の下向きの凸部６２Ｂと対応する位置において、押圧部材９１が取り付けられている。このため、シャッターカーテン１の閉じ移動中に、この閉じ移動方向である下側に存在していた障害物３４に座板１Ｂの可動部７０Ｂが当接し、これにより、図１０で説明したように、可動部７０Ｂの延出部７９Ａが揺動部材８１を支点軸８０を中心に上向きに揺動させたときには、凸部６２Ｂを押圧する押圧部材９１により、図１１に示されているように、第２レバー部材６２は支点軸６３を中心に上向きに揺動する。これにより、第２レバー部材６２に取り付けられている摩擦部材６８は、ロック用ワイヤー３６におけるローラ５８とローラ５９の間の部分３６Ａを上側へ押し上げることになる。
【０１２６】
この押し上げにより、上側の第１レバー部材６１は、この第１レバー部材６１に取り付けられている摩擦部材６７を介して支点軸６３を中心に上向きに揺動することになり、この上向きの揺動によりねじりコイルばね６４は圧縮されるため、ロック用ワイヤー３６におけるローラ５８とローラ５９の間の部分３６Ａは、２個のレバー部材６１，６２の摩擦部材６７，６８により上下から大きな荷重で挟着され、この挟着により、ロック用ワイヤー３６の部分３６Ａはロックされることになり、このロックにより、シャッターカーテン１とロック用ワイヤー３６とは機械式結合装置３９で機械式に結合された状態となる。
【０１２７】
なお、図９に示されているように、座板１Ｂの可動部７０Ｂが固定部７０Ａに対して最下降位置に達しているときには、揺動部材８１の突出片８１Ａが可動部７０Ｂの延出部７９Ａに当たることにより、支点軸８０を中心とする揺動部材８１の下向きの揺動が規制されるようになっている。
【０１２８】
なお、以上のように機械式結合装置３９を座板１Ｂの固定部７０Ａに取り付けるための作業は、本実施形態のシャッター装置のシャッターカーテン１を、本実施形態に係るシャッター装置を設置する建物の図１に示す左右の建物躯体３に取り付けたガイドレール６に沿って上下に開閉移動自在とした後に行う。すなわち、図４で説明した前述の機械式障害物検出装置３５を除くシャッター装置自体の設置作業が先に行われ、この後に、機械式障害物検出装置３５の設置作業が行われる。この機械式障害物検出装置３５の設置作業には、前述したユニット構造物４５をまぐさ１６に取り付ける作業と、機械式結合装置３９を座板１Ｂの固定部７０Ａに取り付ける作業とが含まれ、ユニット構造物４５をまぐさ１６に取り付ける作業と、機械式結合装置３９を座板１Ｂの固定部７０Ａに取り付ける作業とのうち、どちらの作業を先に行ってもよく、これらの作業を同時（実質的に同時と言える場合を含む。）に行ってもよい。
【０１２９】
そして、このように機械式障害物検出装置３５の設置作業を行う場合には、座板１Ｂの固定部７０Ａに機械式結合装置３９を配置して取り付けるための前述の開口部９０等を、予め工場において、形成しておくことが好ましい。
【０１３０】
本実施形態では、前述したようにロック用ワイヤー３６と、第１処理装置３７と、第２処理装置３８と、機械式結合装置３９とからなる機械式障害物検出装置３５は、ユニット化されたものとなっているため、工場から本実施形態に係るシャッター装置が設置される建物へ搬送されたこの機械式障害物検出装置３５についての設置作業を容易に行え、また、第１処理装置３７と第２処理装置３８はユニット構造物４５となっていて、これらの第１処理装置３７と第２処理装置３８だけでもユニット化されているため、第１処理装置３７と第２処理装置３８をまぐさ１６に取り付ける作業も容易に行える。
【０１３１】
以上のように機械式結合装置３９が座板１Ｂの固定部７０Ａに取り付けられることにより、不動部材である前述のまぐさ１６に設置された図４の第１処理装置３７と第２処理装置３８に両端部が結合されたロック用ワイヤー３６は、まぐさ１６とシャッターカーテン１との間に架け渡されることになる。また、このロック用ワイヤー３６は、機械式結合装置３９で折り返されているため、図１に示されているように、まぐさ１６からシャッターカーテン１へと延びる第１部分３６Ｂと、シャッターカーテン１からまぐさ１６へと延びる第２部分３６Ｃとを有するＵ字形となる。そして、ロック用ワイヤー３６のうち、機械式結合装置３９と対応している図６や図１１で示された前記部分３６Ａは、Ｕ字形のロック用ワイヤー３６の折り返し部となる。
【０１３２】
シャッターカーテン１が自重で閉じ移動したときは、ロック用ワイヤー３６は、シャッターカーテン１の重量により第１処理装置３７のリール４０を回転させて、このリール４０から繰り出されることになり、これにより、第１部分３６Ｂと第２部分３６Ｃのそれぞれの長さが長くなる。また、シャッターカーテン１が、前述の開閉機１３の駆動軸１４の回転で上方へ開き移動したときには、ロック用ワイヤー３６には弛みが生ずるため、前述した戻しばね４１の戻し力で上記とは反対方向へ回転するリール４０によりロック用ワイヤー３６は巻き取られ、これにより、第１部分３６Ｂと第２部分３６Ｃのそれぞれの長さは短くなる。このため、ロック用ワイヤー３６は、シャッターカーテン１の開閉移動に対して追従することになる。
【０１３３】
本実施形態では、図１から分かるように、機械式結合装置３９と、第１処理装置３７及び第２処理装置３８からなるユニット構造物４５は、シャッターカーテン１の幅方向の中央位置Ｂに配置されておらず、前述した機械式障害物検出装置３５を構成しているこれらの機械式結合装置３９とユニット構造物４５は、中央位置Ｂからシャッターカーテン１の幅方向のうちの一方の側へ変位している位置に配置されている。この変位している位置は、シャッターカーテン１を駆動させる駆動装置となっている前述の開閉機１３が配置されている側の位置である。
【０１３４】
また、図１に示されているように、ロック用ワイヤー３６の第１部分３６Ｂと第２部分３６Ｃの延び方向は、シャッターカーテン１のカーテン本体１Ａに沿った鉛直方向（実質的に鉛直方向と言えるものを含む。）となっており、また、これらの第１部分３６Ｂと第２部分３６Ｃは、互いに平行（実質的に互いに平行と言えるものを含む。）となっている。
【０１３５】
また、図２及び図４に示されているように、ロック用ワイヤー３６の第１部分３６Ｂと第２部分３６Ｃは、まぐさ１６におけるシャッターカーテン垂下用のスリット１７の内部位置に配置されており、このため、第１部分３６Ｂと第２部分３６Ｃは、まぐさ１６と干渉していない。言い換えると、まぐさ１６の上面に配置された第１処理装置３７及び第２処理装置３８は、ロック用ワイヤー３６の第１部分３６Ｂと第２部分３６Ｃを垂下する部分の位置が、まぐさ１６におけるシャッターカーテン垂下用のスリット１７の内部位置の上側の位置となるように、まぐさ１６に配置されている。
【０１３６】
さらに、図９に示されているとおり、座板１Ｂの固定部７０Ａにおける機械式結合装置３９が配置位置は、シャッターカーテン１の厚さ方向中央位置ではなく、この中央位置からシャッターカーテン１の厚さ方向のうちの一方の側へ変位している位置となっている。このため、ロック用ワイヤー３６は、第１部分３６Ｂと第２部分３６Ｃの両方について、図８に示されているように、シャッターカーテン１のうち、前述したカーテン本体１Ａと干渉しない。言い換えると、まぐさ１６の上面に配置された第１処理装置３７及び第２処理装置３８は、ロック用ワイヤー３６の第１部分３６Ｂと第２部分３６Ｃを垂下する部分の位置が、まぐさ１６におけるシャッターカーテン垂下用のスリット１７の内部位置の上側の位置となるように、まぐさ１６に配置されている。
【０１３７】
機械式結合装置３９が配置されている固定部７０Ａを除くカーテン主部７１Ａの部分はカーテン本体１Ａであり、このカーテン本体１Ａはシャッターカーテン１の大部分の面積を占める大きな部分である。このため、上述のように、ロック用ワイヤー３６の第１部分３６Ｂと第２部分３６Ｃの両方が、機械式結合装置３９が配置されている固定部７０Ａを除くカーテン主部７１Ａからシャッターカーテン１の厚さ方向に離れた位置に配置されていて、カーテン主部７１Ａと干渉していないことにより、まぐさ１６とシャッターカーテン１との間に架け渡された架け渡し部材となっていて、本実施形態における機械的部材となっているロック用ワイヤー３６は、シャッターカーテン１の開閉移動を阻害しないことになる。
【０１３８】
また、前述したとおり、座板１Ｂの可動部７０Ｂはカーテン副部７１Ｂを形成するものとなっており、図８に示されているとおり、この可動部７０Ｂについてのシャッターカーテン１の厚さ方向寸法はＷ１である。また、前述したカーテン主部７１Ａの一部を構成するものとなっている座板１Ｂの固定部７０Ａについてのシャッターカーテン１の厚さ方向寸法はＷ２であり、このＷ２は、Ｗ１よりも小さい。ロック用ワイヤー３６は、Ｗ１の範囲内であって、Ｗ２の範囲内に配置されている。可動部７０Ｂは、カーテン副部７１Ｂを形成するものとなっているため、ロック用ワイヤー３６は、このカーテン副部７１Ｂのシャッターカーテン厚さ方向寸法Ｗ１内に配置されていることになり、そしてＷ１は、シャッターカーテン１の全体の厚さ寸法を規定する寸法にもなっているため、ロック用ワイヤー３６は、シャッターカーテン１の全体の厚さ寸法内に配置されていることになる。
【０１３９】
したがって、シャッターカーテン１のカーテン本体１Ａに沿ってロック用ワイヤー３６を配置し、これにより、このロック用ワイヤー３６の第１部分３６Ｂと第２部分３６Ｃをカーテン本体１Ａと干渉しない位置に配置しても、このロック用ワイヤー３６を含むシャッターカーテン１の全体の厚さ寸法が大きくなることを抑制することができる。
【０１４０】
なお、Ｗ１をＷ２と等しいとした場合（多少の差がある場合であって、実質的に等しいと言うことできる場合を含む。）にも、ロック用ワイヤー３６を含むシャッターカーテン１の全体の厚さ寸法が大きくなることを抑制することができる。
【０１４１】
また、本実施形態では、図４で説明したように、まぐさ１６における第１処理装置３７と第２処理装置３８の配置位置は、長孔４７，５０によりシャッターカーテン１の厚さ方向に調整可能となっているため、ロック用ワイヤー３６の第１部分３６Ｂと第２部分３６Ｃの両方を、機械式結合装置３９が配置されている固定部７０Ａを除くカーテン主部７１Ａからシャッターカーテン１の厚さ方向に離れた位置に一層確実に配置できるようになっている。また。まぐさ１６における第１処理装置３７と第２処理装置３８の配置位置の調整作業を、第１処理装置３７と第２処理装置３８について個別に行うことにより、第１部分３６Ｂと第２部分３６Ｃを、機械式結合装置３９が配置されている固定部７０Ａを除くカーテン主部７１Ａからシャッターカーテン１の厚さ方向に同じ距離だけ離すための作業も行える。
【０１４２】
図１２は、第２処理装置３８の内部構造を示している。この第２処理装置３８には、前述したように、ロック用ワイヤー３６の他方の端部が連結された回動部材４２が設けられている。この回動部材４２の回動方向は、水平な中心軸４２Ａを中心とする上下方向である。また、回動部材４２の背後には、ぜんまいばね等による戻しばね１００が配置されている。この戻しばね１００の戻し力は、回動部材４２をＣ方向へ回動させるように、すなわち、ロック用ワイヤー３６の第２部分３６Ｃを引き上げる方向に回動部材４２を回動させるように、回動部材４２に作用している。
【０１４３】
また、図１２に示されているとおり、第２処理装置３８の機枠４９の上部には、マイクロスイッチ１７０が固定配置されている。このマイクロスイッチ１７０には、ばねでマイクロスイッチ１７０から突出する方向へ付勢されている作動部材（アクチュエータ）１７１が設けられており、このマイクロスイッチ１７０は、まぐさ１６に配置された第２処理装置３８の機枠４９に、作動部材１７１が下向きに突出するように固定配置されている。マイクロスイッチ１７０のリード線１７２は、制御装置２７や後述する制御回路２００，３００に接続されている。一方、回動部材４２の外周面４２Ｄには、ドグ部材１７３が取り付けられている。
【０１４４】
マイクロスイッチ１７０の作動部材１７１は、閉じ移動中のシャッターカーテン１が障害物に当接しない限り、回動部材４２の外周面４２Ｄに接触した状態となっている。一方、閉じ移動中のシャッターカーテン１が障害物に当接し、機械式結合装置３９の作動で回動部材４２がＤ方向に回動することにより、作動部材１７１は、ドグ部材１７３に当接するようになっている。
【０１４５】
このため、本実施形態では、マイクロスイッチ１７０は、機械式結合装置３９の作動でロック用ワイヤー３６に緊張力が作用したことを回動部材４２を介して検出する緊張力発生検出手段となっており、ロック用ワイヤー３６は、緊張力作用部材となっている。そして、本実施形態では、機械式障害物検出装置３５とマイクロスイッチ１７０とで、シャッターカーテン１の閉じ移動中にシャッターカーテン１の座板１Ｂが図１で示す障害物３４に当接したときに、この障害物３４を電気式に検出するための電気式障害物検出手段である電気式障害物検出装置を構成するものとなっている。
【０１４６】
また、本実施形態では、マイクロスイッチ１７０は、障害物３４が除去されることにより機械式結合装置３９が作動しなくなることでロック用ワイヤー３６に作用していた緊張力が消滅したことを回動部材４２を介して検出する緊張力消滅検出手段にもなっており、言い換えると、障害物除去検出手段にもなっている。
【０１４７】
このように、機械式結合装置３９は、シャッターカーテン１が全開位置に達している状態からシャッターカーテン１が全閉位置に達するまでの間（言い換えると、常時）、マイクロスイッチ１７０よりもシャッターカーテン１の閉じ移動方向側、すなわち、下側に位置するようになっている。
【０１４８】
なお、マイクロスイッチ１７０は、図２に示すように、巻取軸１１から繰り出されるシャッターカーテン１の厚さ方向（前後方向）中央位置を基準として、この中央位置よりも巻取軸１１側、すなわち、制御装置２７側に配置されている。すなわち、マイクロスイッチ１７０は、シャッターカーテン１の厚さ方向中央位置を基準として制御装置２７と同じ側に配置されている。このため、マイクロスイッチ１７０及び制御装置２７の修理、交換等のメンテナンス作業が容易となっている。
【０１４９】
図１３は、図１〜図３で示されている前述の自動閉鎖装置３２の内部構造を示す正面図であり、図１４は、この自動閉鎖装置３２の内部構造を示す平面図である。自動閉鎖装置３２は、非常時において、図１〜図３で示されている前述の開閉機１３を機械式又は電気式に制御することにより、全開位置に達していたシャッターカーテン１を自動的に閉じ移動させて全閉とし、防煙性及び／又は防火性を有しているシャッターカーテン１により図１の出入口２を閉鎖するためのものである。自動閉鎖装置３２は、この自動閉鎖装置３２の機枠１１０に設けられている図１３のブラケット部１１０Ａにより、開閉機１３に取り付けられている。また、図１４に示されているように、自動閉鎖装置３２まで、この自動閉鎖装置３２を制御するための第１制御用ワイヤー１１１、第２制御用ワイヤー１１２、第３制御用ワイヤー１１３のそれぞれの端部が延設されている。これらの制御用ワイヤー１１１〜１１３は、前述のロック用ワイヤー３６と同じく、可撓性を有する紐状部材となっていて、細長部材ともなっている。
【０１５０】
また、これらの制御用ワイヤー１１１〜１１３は、可撓性を有するアウターケーブル１１４〜１１６の内部にスライド自在に挿通されている。このため、制御用ワイヤー１１１〜１１３はアウターケーブル１１４〜１１６により保護されている。
【０１５１】
図１２に示されているように、第１制御用ワイヤー１１１は第２処理装置３８まで延びており、この第１制御用ワイヤー１１１の他方の端部は、第２処理装置３８の回動部材４２に連結されている。また、図２に示されているように、第１制御用ワイヤー１１１及びこの第１制御用ワイヤー１１１が内部に挿通されたアウターケーブル１１４は、第２処理装置３８が一部の構成要素となっている前述のユニット構造物４５と開閉機１３とが配置されている天井裏空間７において配線されているとともに、この天井裏空間７に存在する物体１１７を避けて、言い換えると、物体１１７を迂回して、第１制御用ワイヤー１１１とアウターケーブル１１４とが配線可能なスペースにおいて配線されている。なお、このスペースは、予め存在しているものでもよく、第１制御用ワイヤー１１１とアウターケーブル１１４の配線時において、物体１１７の一部を切欠したり、物体１１７に孔を設けたりすることにより、形成したものでもよい。
【０１５２】
そして、このように第１制御用ワイヤー１１１とアウターケーブル１１４を物体１１７と干渉しないで配線することは、第１制御用ワイヤー１１１とアウターケーブル１１４が可撓性を有しているために可能である。なお、物体１１７は、本実施形態のシャッター装置が設置される建物自体に関係したものでよく、本実施形態のシャッター装置の一部、例えば、前述したシャッターボックス８に関係したものでもよい。
【０１５３】
また、図１２に示されているように、第１制御用ワイヤー１１１及びアウターケーブル１１４は、第２処理装置３８の近くでは、第２処理装置３８に対して斜めの向きとなっている。これにより、第１制御用ワイヤー１１１及びアウターケーブル１１４が、図２で示されているまぐさ１６のまぐさ部材１６Ａとシャッターボックス８とを結合している結合部材２６と干渉しないようになっている。
【０１５４】
図１３及び図１４に示されているように、自動閉鎖装置３２の機枠１１０には、互いに対向する２個の立上り部１１０Ｂ、１１０Ｃが設けられており、これらの立上り部１１０Ｂ、１１０Ｃに形成された孔１１０Ｄ，１１０Ｅに、２個の立上り部１１０Ｂ、１１０Ｃに跨る長さを有している板状のスライド部材１２０がスライド自在に挿入されている。このスライド部材１２０の外周にはばね１２１が巻回されており、このばね１２１のばね力により、スライド部材１２０には立上り部１１０Ｂ側への前進力が常時作用している。この前進力の方向は、図３で説明した開閉機１３に設けられている前述のレバー部材３１の第１部分３１ＡをＡ方向へ移動させる方向である。
【０１５５】
図３及び図１３に示されているとおり、スライド部材１２０の前端に下向きに折曲形成された折曲部１２０Ａには、作動部材１２２が取り付けられており、また、レバー部材３１の第１部分３１Ａには、被作動部材１２３が立設結合されている。スライド部材１２０がばね１２１のばね力によって前進した場合には、作動部材１２２が被作動部材１２３に当接することにより、レバー部材３１の第１部分３１Ａに図３で示したＡ方向への荷重が作用するようになっている。図１３に示されているように、本実施形態では、作動部材１２２はボルト１２４の頭部１２４Ａとなっているため、この頭部１２４Ａを回転操作してボルト１２４をスライド部材１２０の折曲部１２０Ａに対して進退させることにより、作動部材１２２と被作動部材１２３との間の間隔を適切な寸法に調整できる。この調整を行った後に、ボルト１２４に螺合させておいたロックナット１２５を回転操作し、このロックナット１２５を折曲部１２０Ａに圧接させることにより、被作動部材１２３に対する作動部材１２２の位置を、適切な位置にして固定できることになる。
【０１５６】
図１４に示されているように、自動閉鎖装置３２の機枠１１０には、ソレノイド１２６が取り付けられており、このソレノイド１２６のプランジャ１２７には、ばね１２８のばね力がプランジャ１２７をソレノイド１２６から突出させる方向へ常時作用している。このプランジャ１２７の先端には、中心軸１２９Ａを中心に回動自在となっているＬ字形の屈曲レバー部材１２９の一方の端部がスライド式の連結部１２９Ｂで連結されており、トリガーレバー部材となっているこの屈曲レバー部材１２９の他方の端部には、ローラ１３０が回転自在に設けられている。
【０１５７】
このローラ１３０と対面するスライド部材１２０の部分には凹部１２０Ｂが形成されている。この凹部１２０Ｂにおけるスライド部材１２０の後退側の部分は、傾斜面１２０Ｃとなっている。また、自動閉鎖装置３２には、屈曲レバー部材１２９に中心軸１２９Ａを中心とするＧ方向への回動力を付与するためのばね１３１と、プランジャ１２７を前述のばね１２８と共にソレノイド１２６から突出させる方向へ付勢し、かつ屈曲レバー部材１２９を中心軸１２９Ａを中心にＧ方向へ回動させるばね１３２とが設けられており、これらのばね１２８，１３１，１３２のばね力により、通常時のローラ１３０は、図１４に示されているように、凹部１２０Ｂに嵌合しており、この嵌合により、前述したばね１２１によるスライド部材１２０の前進は止められている。このように凹部１２０Ｂに嵌合したローラ１３０で前進が止められているときにおけるスライド部材１２０の前端の位置は、図１４で示す２個の位置Ｈ，Ｉのうち、Ｈ位置である。
【０１５８】
図１４に示されているとおり、自動閉鎖装置３２には、マイクロスイッチ１３５が配置され、このマイクロスイッチ１３５には、ばねでマイクロスイッチ１３５から突出する方向へ付勢されている作動部材（アクチュエータ）１３６が設けられている。また、スライド部材１２０には、凹部１２０Ｂと反対側の部分において、ドグ部材１３７が取り付けられており、作動部材１３６はこのドグ部材１３７に当接している。なお、図１４には示されていないが、マイクロスイッチ１３５のリード線は、制御装置２７や後述する制御回路２００，３００に接続されている。
【０１５９】
スライド部材１２０には、第１連結部１３８Ａと第２連結部１３８Ｂが設けられた連結部材１３８が結合されており、ソレノイド１２６のプランジャ１２７の先端には連結部材１４０が結合されており、前述したばね１３２の一方の端部は、この連結部材１４０に連結されている。図４で示した第２処理装置３８の回動部材４２に他方の端部が連結されている前述の第１制御用ワイヤー１１１の一方の端部は、スライド部材１２０の連結部材１３８の第１連結部１３８Ａに連結され、第２制御用ワイヤー１１２の端部は、プランジャ１２７に結合された連結部材１４０に連結され、第３制御用ワイヤー１１３の端部は、スライド部材１２０の連結部材１３８の第２連結部１３８Ｂに連結されている。
【０１６０】
また、アウターケーブル１１５の内部に挿通された第２制御用ワイヤー１１２は、図１で示されている操作装置３０に隣接配置されている手動閉鎖装置１８４まで延びており、アウターケーブル１１５から突出している第２制御用ワイヤー１１２の端部には、手動閉鎖装置１８４のレバー部材等の図示ない手動操作部材が連結されている。この手動操作部材を操作することにより、第２制御用ワイヤー１１２を引っ張り操作できるようになっている。
【０１６１】
なお、アウターケーブル１１６の内部に挿通された第３制御用ワイヤー１１３は、自動閉鎖装置３２が配置された前述の天井裏空間７から延び、操作装置３０に隣接して配置されている手動復帰装置１８６に連結されている（図１参照）。この手動復帰装置１８６は、後述するように、自動閉鎖装置３２を火災等の災害が発生する前の初期状態に戻すためのものである。また、この手動復帰装置１８６は、第３制御用ワイヤー１１３の両端部のうち、自動閉鎖装置３２の後述するスライド部材１２０に連結されていない側の端部が連結され、この第３制御用ワイヤー１１３が巻き取られ、繰り出される図示されない巻取軸と、第３制御用ワイヤー１１３を巻き取るために前記巻取軸を回転させるための駆動力を発生する駆動装置である図示されない電動モータ装置と、この電動モータ装置で発生した駆動力を前記巻取軸に伝達するための図示されない動力伝達手段と、を含んで構成されている。手動復帰装置１８６の前記電動モータ装置は、操作装置３０の操作ボタンに隣接配置されている図示されない「復帰」ボタンを押下することにより作動するようになっている。
【０１６２】
また、第３制御用ワイヤー１１３は、図１に示されているように、もう１本あり、この第３制御用ワイヤー１１３は、自動閉鎖装置３２が配置された前述の天井裏空間７から、建物内における手動で操作できる位置まで延びている。この位置は、本実施形態では、図１に示されているように、天井裏空間７からまぐさ１６のスリット１７を通過した出入口２の上部の位置となっており、アウターケーブル１１６から突出している第３制御用ワイヤー１１３の端部には、手動で第３制御用ワイヤー１１３を引っ張り操作できる手動操作部材１４１が結合されており、この手動操作部材１４１は、本実施形態ではリング部材となっている。このため、第３制御用ワイヤー１１３と手動操作部材１４１とで、自動閉鎖装置３２を手動で初期状態に復帰させるための図示されない手動復帰装置が構成されている。
【０１６３】
本実施形態に係るシャッター装置が設置された建物において、シャッターカーテン１が全開となっているときに、火災等の災害が発生すると、この災害により発生した煙（熱）を感知するセンサである煙（熱）感知器１８０（図１参照）から、防災信号（ＤＣ２４Ｖ）が防災用連動制御装置１８１へ入力される。そして、この防災用連動制御装置１８１からは、自動閉鎖装置３２へ上記防災信号が連続して入力され、この防災信号は、自動閉鎖装置３２のソレノイド１２６を通電する。これにより、ソレノイド１２６が励磁されるため、このソレノイド１２６のプランジャ１２７は、ばね１２８のばね力に抗して後退する。これにより、屈曲レバー部材１２９は、ばね１３１，１３２のばね力に抗して中心軸１２９Ａを中心に図１４のＧ方向とは逆方向に回動することになる。このときの状態が図１５で示されている。屈曲レバー部材１２９が中心軸１２９Ａを中心にＧ方向とは逆方向に回動すると、屈曲レバー部材１２９のローラ１３０はスライド部材１２０の凹部１２０Ｂから脱出するため、スライド部材１２０はばね１２１のばね力で前進し、この前進は、連結部材１３８の前端が自動閉鎖装置３２の機枠１１０の前述の立上り部１１０Ｂに当接することにより停止する。このときにおけるスライド部材１２０の前端の位置は、図１４で示した２個の位置Ｈ，Ｉのうち、図１５に示されているように、最前位置であるＩ位置である。
【０１６４】
また、スライド部材１２０が前進すると、マイクロスイッチ１３５の作動部材１３６は、スライド部材１２０に取り付けられているドグ部材１３７の位置から外れるため、作動部材１３６がばねの付勢力で突出移動する。これにより、マイクロスイッチ１３５の接点がオンからオフへ切り替わり、ソレノイド１２６の通電は停止する。なお、マイクロスイッチ１３５の接点が切り替わることにより、シャッターカーテン１が閉じ移動を開始したことを外部で確認するための閉鎖確認信号が、後述する制御回路２００の防災用連動制御装置１８１から外部へ送信される。
【０１６５】
なお、マイクロスイッチ１３５や前述のマイクロスイッチ１７０は、後述する制御回路２００（図１８参照）に接続されている。また、マイクロスイッチ１３５の接点は、制御回路２００側への接続（クローズ）と、シャッターカーテン１が閉じ移動を開始したことを確認するための端子ｃを有する制御線（閉鎖動作確認線）２２０側への接続（クローズ）と、を切り替えるものとなっている。
【０１６６】
上述したように、ソレノイド１２６の通電の停止により、プランジャ１２７はばね１２８のばね力でソレノイド１２６から突出移動し、屈曲レバー部材１２９はばね１３１，１３２のばね力で中心軸１２９Ａを中心に図１４のＧ方向へ回動する。このときのスライド部材１２０は、このスライド部材１２０の前端がＩ位置まで達している移動限まで前進しているため、屈曲レバー部材１２９のローラ１３０は、図１６に示されているように、スライド部材１２０の前述した傾斜面１２０Ｃに当たる。このため、プランジャ１２７の突出移動、及び中心軸１２９Ａを中心とする屈曲レバー部材１２９のＧ方向への回動は、途中で停止する。
【０１６７】
以上のようにして自動閉鎖装置３２のスライド部材１２０が前進すると、このスライド部材１２０の前端に設けられている作動部材１２２が、図３で示されている被作動部材１２３を介して開閉機１３のレバー部材３１の第１部分３１Ａを図３のＡ方向に押圧するため、前述したように、この第１部分３１Ａがレバー部材３１の第２屈曲部３１Ｄを支点としてＡ方向へ揺動することにより、開閉機１３のブレーキ装置１９のブレーキ軸２１及びブレーキドラム２２は、Ａ方向と同じ方向であるＡ’方向へスライドし、これにより、それまでオンとなっていたブレーキ装置１９は、オフとなる。このため、全開となっていたシャッターカーテン１は、巻取軸１１よりも下側の部分の座板１Ｂ等の自重により、前述した巻取軸１１を回転させながら下向きに閉じ移動することになり、開閉機１３の前述した駆動軸１４も駆動力伝達手段１２を介して自由回転し、シャッターカーテン１が全閉となることにより、このシャッターカーテン１による防災区画が形成されることになる。
【０１６８】
また、火災等の災害が発生したことを人間が発見（感知）した場合には、この人間が、図１で示した操作装置３０に隣接配置されている手動閉鎖装置１８４に設けられ、前述した第２制御用ワイヤー１１２の端部に連結されているレバー部材等の図示しない手動操作部材により、第２制御用ワイヤー１１２を引っ張り操作する。これにより、ソレノイド１２６のプランジャ１２７は後退するため、ソレノイド１２６が通電、励磁される前であっても、ソレノイド１２６が通電、励磁されたときと同じく、屈曲レバー部材１２９は中心軸１２９Ａを中心に図１４のＧ方向とは逆方向へ回動するため、屈曲レバー部材１２９のローラ１３０はスライド部材１２０の凹部１２０Ｂから脱出し、スライド部材１２０はばね１２１のばね力で前進することになる。
【０１６９】
このため、本実施形態によると、第２制御用ワイヤー１１２を利用した手動操作でも、開閉機１３のブレーキ装置１９をオフにし、全開となっていたシャッターカーテン１を閉じ移動させて全閉とすることができる。
【０１７０】
そして、本実施形態では、図１に示されているように、手動閉鎖装置１８４は、左右の壁等の建物躯体３のうち、開閉機１３及び自動閉鎖装置３２に近い位置となっている一方の建物躯体３Ａに配置されているため、自動閉鎖装置３２と手動閉鎖装置１８４との間に架け渡されている第２制御用ワイヤー１１２の長さを短くできることになる。このため、他方の建物躯体３に手動閉鎖装置１８４を配置した場合よりも、上述のレバー部材等の手動操作部材により第２制御用ワイヤー１１２を引っ張り操作したときの引っ張り力を自動閉鎖装置３２に瞬時に入力させることができ、これにより、シャッターカーテン１の閉じ移動を迅速に開始させることができる。
【０１７１】
このように、本実施形態では、全開となっていたシャッターカーテン１を手動により閉じ移動させて全閉とするための手動閉鎖装置１８４が備えられており、この手動閉鎖装置１８４は、第２制御用ワイヤー１１２と、この第２制御用ワイヤー１１２の一端に連結されているソレノイド１２６と、第２制御用ワイヤー１１２の他端に連結されているレバー部材等の図示しない手動操作部材と、を含んで構成されたものとなっている。
【０１７２】
また、前述したように、火災等の災害で発生した煙（熱）を検出した煙（熱）感知器１８０から防災用連動制御装置１８１へ防災信号が入力され、この防災用連動制御装置１８１からの上記防災信号により自動閉鎖装置３２のソレノイド１２６が通電、励磁され、あるいは、第２制御用ワイヤー１１２の端部に連結されている手動閉鎖装置１８４の手動操作部材の操作により第２制御用ワイヤー１１２が引っ張り操作され、これにより、開閉機１３のブレーキ装置１９がオフとなって、シャッターカーテン１が全開位置から下向きに閉じ移動しているときに、言い換えると、自動閉鎖装置３２が図１６で示した状態になっているときに、閉じ移動方向であるシャッターカーテン１の下側に図１で示す障害物３４が存在している場合には、シャッターカーテン１の閉じ移動の途中において、このシャッターカーテン１の閉じ側の先端部に配置されているカーテン副部７１Ｂが、言い換えると、シャッターカーテン１の座板１Ｂの下側部分を形成している前述の可動部７０Ｂが障害物３４に当接し、この可動部７０Ｂの下降が停止する。
【０１７３】
可動部７０Ｂの下降が停止しても、カーテン本体１Ａと、座板１Ｂのうちの前述した固定部７０Ａとで構成される前述のカーテン主部７１Ａは、下降するため、この下降で生ずるカーテン主部７１Ａに対するカーテン副部７１Ｂの相対的な上昇により、図１１等で説明したように、前述した機械式結合装置３９の第１レバー部材６１と第２レバー部材６２は、摩擦部材６７，６８において、ロック用ワイヤー３６の前述した折り返し部３６Ａを挟着し、この挟着によりロック用ワイヤー３６をロックする。これにより、シャッターカーテン１とロック用ワイヤー３６とが、機械式結合装置３９により機械式に結合された状態となる。
【０１７４】
それまでのロック用ワイヤー３６は、シャッターカーテン１の閉じ移動に追従して前述の第１処理装置３７のリール４０から繰り出されており、ロック用ワイヤー３６の折り返し部３６Ａが摩擦部材６７，６８で挟着され、ロック用ワイヤー３６がロックされると、障害物３４のへこみ変形に基づき、折り返し部３６Ａで折り返された状態になっているロック用ワイヤー３６の第１部分３６Ｂと第２部分３６Ｃには、カーテン副部７１Ｂよりも上側のシャッターカーテン１の部分の重量、すなわち、カーテン主部７１Ａの重量が作用するため、ロック用ワイヤー３６には、特に、第２部分３６Ｃには、大きな緊張力が作用する。
【０１７５】
そして、ロック用ワイヤー３６の折り返し部３６Ａは、図１１に示されているように、第１レバー部材６１と第２レバー部材６２に設けられた摩擦力が大きい摩擦部材６７，６８で挟着、ロックされるため、これらの摩擦部材６７，６８により、ロック用ワイヤー３６が第１レバー部材６１と第２レバー部材６２に対して滑り移動することを阻止することができる。また、本実施形態では、第１レバー部材６１と第２レバー部材６２の揺動中心軸となっている前述の軸６３は、第１レバー部材６１と第２レバー部材６２について共通化されているため、部材点数の削減により機械式結合装置３９の構造を簡単化できるとともに、摩擦部材６７，６８同士の位置関係を適切に設定できることになり、このため、ロック用ワイヤー３６の上記の折り返し部３６Ａを摩擦部材６７，６８で一層確実に挟着、ロックできるようになっている。
【０１７６】
さらに、障害物３４へのシャッターカーテン１の当接が、前述の機械式結合装置３９が配置された位置の下側で行われず、この機械式結合装置３９の配置位置の下側からシャッターカーテン１の幅方向にずれた位置で行われ、このため、シャッターカーテン１における機械式結合装置３９が配置された部分がシャッターカーテン１の閉じ方向へ少し移動しようとした場合には、第１処理装置３７のリール４０から繰り出されているロック用ワイヤー３６は、摩擦部材６７，６８で挟着されている箇所が第１部分３６Ｂ側から第２部分３６Ｃ側へ移行するための移動を行おうとするが、この移動方向とは反対方向へ摩擦部材６７，６８の間隔は次第に小さくなっているため、ロック用ワイヤー３６が第１レバー部材６１と第２レバー部材６２に対して滑り移動することを一層有効に阻止することができる。
【０１７７】
また、本実施形態では、ロック用ワイヤー３６の折り返し部３６Ａが摩擦部材６７，６８で挟着、ロックされるときには、図１１で示されているように、折り返し部３６Ａには、前述した複数個のガイド部材６０のうちの１個のガイド部材６０Ａや、第２レバー部材６２により、直線状となっていない迂回部３６Ｆが形成されるようになっている。このため、障害物３４がへこみ変形しない又は殆どへこみ変形しない硬質の物体であっても、ロック用ワイヤー３６に迂回部３６Ｆが形成されることにより、ロック用ワイヤー３６の第２部分３６Ｃを引っ張ることができ、これにより、この第２部分３６Ｃに大きな緊張力を作用させることができる。
【０１７８】
以上のようにして、ロック用ワイヤー３６が第１レバー部材６１と第２レバー部材６２に対して滑り移動することが摩擦部材６７，６８により阻止されて、ロック用ワイヤー３６の第２部分３６Ｃに大きな緊張力が作用すると、図１２で示した第２処理装置３８の回動部材４２は、この緊張力により、前述した戻しばね１００に抗して図１２のＤ方向に回動する。このため、この回動部材４２に一方の端部が連結されている第１制御用ワイヤー１１１は引っ張られることになる。
【０１７９】
以上のことから、ロック用ワイヤー３６は、シャッターカーテン１が閉じ移動の途中で障害物３４に当接したときにこの当接に基づく緊張力が作用する緊張力作用部材となっている。
【０１８０】
なお、ロック用ワイヤー３６の第２部分３６Ｃを回動部材４２に直接連結しないで、これらの第２部分３６Ｃと回動部材４２との間に、衝撃荷重緩衝用弾性部材となるコイルばねを介設させてもよい。これによると、第２部分３６Ｃに上述の大きな緊張力が瞬間的に作用しても、この緊張力が回動部材４２に直接作用することはなく、緊張力を緩和させて回動部材４２に作用させることができる。
【０１８１】
上述のように第１制御用ワイヤー１１１が引っ張られると、この第１制御用ワイヤー１１１の他方の端部は、図１６で示されているスライド部材１２０に連結されているため、スライド部材１２０は、ばね１２１に抗しながら、前端の位置が図１４のＨ位置となる後退限まで後退する。すなわち、本実施形態では、第１制御用ワイヤー１１１が引っ張られる量及びスライド部材１２０が後退する量は、図１４で示すＩ位置から初期位置であるＨ位置までの距離に対応するものとなっている。
【０１８２】
また、スライド部材１２０がＨ位置へ復帰するときに、屈曲レバー部材１２９が中心軸１２９Ａを中心としてばね１３１，１３２のばね力で図１４のＧ方向へ回動するため、屈曲レバー部材１２９のローラ１３０は、図１４に示されているように、スライド部材１２０の凹部１２０Ｂに嵌合することになり、スライド部材１２０は、スライド部材１２０の前端がＨ位置に達した状態で停止する。
【０１８３】
これにより、自動閉鎖装置３２は、火災等の災害が発生する前の初期状態に戻る。また、これにより、スライド部材１２０の作動部材１２２によって図３及び図１３のレバー部材３１の第１部分３１Ａが図３のＡ方向に押圧されていた荷重は、解除されることになる。このため、開閉機１３のブレーキ装置１９は、オフからオンに切り替えられることになる。そして、このブレーキ装置１９のオンにより、開閉機１３の前述の駆動軸１４は回転できないため、シャッターカーテン１の上端が結合されている巻取軸１１も回転することはできない。
【０１８４】
したがって、障害物３４に当接したシャッターカーテン１は、その当接位置で閉じ移動を停止することになる。この停止は、ロック用ワイヤー３６を摩擦部材６７，６８でロックする第１レバー部材６１と第２レバー部材６２を備えた前述の機械式結合装置３９や、同じく機械式となっている第２処理装置３８、さらには機械式にスライドする自動閉鎖装置３２の部材となっているスライド部材１２０、機械式にオンとなる開閉機１３のブレーキ装置１９等により構成されている機械式構造によって行われる。
【０１８５】
このように、本実施形態に係るシャッター装置は、ロック用ワイヤー３６と、第１処理装置３７と、第２処理装置３８と、機械式結合装置３９と、を含んで構成されている開閉体停止装置であるシャッターカーテン停止装置を備えたものとなっている。
【０１８６】
このため、シャッターカーテン１が閉じ移動を開始した後に、火災等の災害の発生を原因として、あるいは、他の理由を原因として、本実施形態に係るシャッター装置が設置された建物が停電になっても、閉じ移動中に障害物３４に当接したシャッターカーテン１を停止させることができる。
【０１８７】
また、本実施形態では、図１で説明したように、前述した機械式障害物検出装置３５を構成している機械式結合装置３９とユニット構造物４５は、シャッターカーテン１の幅方向の中央位置Ｂに配置されておらず、この中央位置Ｂから、シャッターカーテン１の幅方向のうち、開閉機１３及び自動閉鎖装置３２が配置されている一方の側へ変位している位置に配置されている。このため、第２処理装置３８と自動閉鎖装置３２との間に配線されている第１制御用ワイヤー１１１の長さを短くすることができる。したがって、閉じ移動中のシャッターカーテン１が障害物３４に当接したときには、第１制御用ワイヤー１１１に作用する前述の緊張力を瞬時に自動閉鎖装置３２に入力させることができ、これにより、開閉機１３のブレーキ装置１９を迅速にオンにすることができる。
【０１８８】
なお、例えば、ユニット構造物４５と自動閉鎖装置３２との間に大きな物体が存在するなどの理由により、当該箇所に第１制御用ワイヤー１１１を配線できる充分なスペースがなく、このため、ユニット構造物４５の第２処理装置３８と自動閉鎖装置３２との間に、長さを短くした第１制御用ワイヤー１１１を配線することが不可能又は困難である場合には、まぐさ１６におけるユニット構造物４５を配置する位置を上記の位置から変更し、これにより、第２処理装置３８と自動閉鎖装置３２との間で第１制御用ワイヤー１１１を、この第１制御用ワイヤー１１１を配線できるスペースを通すことにより、配線するようにしてもよい。これによってユニット構造物４５が配置されるまぐさ１６における位置を、シャッターカーテン１の幅方向の中央位置Ｂから、シャッターカーテン１の幅方向のうち、開閉機１３及び自動閉鎖装置３２が配置されている上記の一方の側とは反対側の位置へ移行させ、ユニット構造物４５等で構成されている上述の機械式障害物検出装置３５の配置位置を、シャッターカーテン１の幅方向の中央位置Ｂに対して図１で示されている位置とは反対の位置、言い換えると、開閉機１３及び自動閉鎖装置３２から中央位置Ｂよりもさらに遠い位置としてもよい。
【０１８９】
以上のようにして閉じ移動中のシャッターカーテン１が障害物３４に当接し、開閉機１３のブレーキ装置１９がオンになった後に、障害物３４が除去されると、シャッターカーテン１のカーテン副部７１Ｂが下降するため、機械式結合装置３９の第１レバー部材６１と第２レバー部材６２の摩擦部材６７，６８によるロック用ワイヤー３６の挟着、ロックは解除され、機械式結合装置３９によるシャッターカーテン１とロック用ワイヤー３６との機械式結合状態も解除される。これにより、ロック用ワイヤー３６の緊張力は消滅し、このため、図１２の戻しばね１００による戻し力が作用している第２処理装置３８の回動部材４２は、図１２のＣ方向に回動する。
【０１９０】
この回動により、一端が回動部材４２に連結されている第１制御用ワイヤー１１１に作用していた緊張力も消滅するため、この第１制御用ワイヤー１１１の他端が連結された自動閉鎖装置３２のスライド部材１２０は、ばね１２１のばね力によりで前進しようとするが、前述したように、自動閉鎖装置３２は、図１４に示す初期状態となっており、屈曲レバー部材１２９のローラ１３０が、スライド部材１２０の凹部１２０Ｂに嵌合しているため、スライド部材１２０の前進は止められている。すなわち、自動閉鎖装置３２のスライド部材１２０は、前端の位置が図１４で示すＨ位置となっている初期状態を継続する。
【０１９１】
しかし、上述したように、本実施形態では、障害物３４が除去されることにより、ロック用ワイヤー３６の緊張力は消滅し、このため、図１２の戻しばね１００による戻し力が作用している第２処理装置３８の回動部材４２は、図１２のＣ方向に回動する。このため、図１７に示すように接点が開いていた（オフとなっていた）マイクロスイッチ１７０は、図１２に示すように接点が閉じることになる（オンとなる）。
【０１９２】
これにより、本実施形態に係るシャッターカーテン停止装置では、後述するように、閉じ移動中のシャッターカーテン１が当接した障害物３４が除去されることにより、開閉機１３のブレーキ装置１９は、電気的にオンからオフへ再度切り替られ、シャッターカーテン１は閉じ移動を再開することとなる。
【０１９３】
図１８には、本実施形態に係るシャッターカーテン停止装置に備えられている制御回路２００の回路図が示されている。この図１８に示すように、制御回路２００は、少なくとも、自動閉鎖装置３２に配置されている前述のマイクロスイッチ１３５（ＭＳ１）と、第２処理装置３８に配置されている前述のマイクロスイッチ１７０（ＭＳ２）と、タイマー回路２１１とタイマースイッチ手段であるタイマー接点２１２（Ｔ１）とを有する遅延装置である遅延装置２１０と、自動閉鎖装置３２に配置されている前述のソレノイド１２６と、開閉機１３に配置されている全開（上限）リミットスイッチ２０１（ＬＳ１）と、開閉機１３に配置されている全閉（下限）リミットスイッチ２０２（ＬＳ２）と、が接続されている。マイクロスイッチ１７０は、タイマー回路２１１と直列に接続されている。
【０１９４】
タイマー回路２１１は、このタイマー回路２１１に接続されている図示しない電源に電圧が加わってオンとなることにより、計時を開始し、予め設定された時間（例えば約１０秒）が経過すると、タイマー接点２１２をクローズする（閉じる）。この後、タイマー回路２１１の前記電源に電圧が加わらなくなってオフとなると、タイマー接点２１２をオープンする（開く）ものとなっている。このため、遅延装置２１０は、タイマー回路２１１の電源に電圧を加えてから設定時間が経過した後に、タイマー接点２１２が動作するオンディレイタイマーとなっている。
【０１９５】
また、マイクロスイッチ１３５の接点は、制御回路２００側への接続（クローズ）と、シャッターカーテン１が閉じ移動を開始したことを確認するための端子ｃを有する制御線（閉鎖動作確認線）２２０側への接続（クローズ）と、を切り替えるものなっている。
【０１９６】
なお、図１８で示されている制御回路２００は、シャッターカーテン１が全開位置で停止した状態であって、後述するように、端子ａ，ｂ間に火災等の発生による防災信号ＢＳが、入力されていない回路状態（初期状態）、すなわち、火災等が発生していない平常時（通常時）の回路状態を示す図である。
【０１９７】
図１９〜図２１は、本実施形態に係るシャッター装置が防災用シャッター装置として機能する場合におけるこのシャッター装置の動作の流れを示すフローチャート図であり、図２２〜図２９は、本実施形態に係るシャッター装置が防災用シャッター装置として機能する場合における図１８の制御回路２００の回路状態の遷移を示す図である。
【０１９８】
図１９に示すように、火災等が発生することにより防災信号ＢＳが自動閉鎖装置３２に入力するまで、すなわち、自動閉鎖装置３２のソレノイド１２６が接続されている図１８の制御回路２００の端子ａ，ｂ間に防災信号ＢＳが入力するまで、図１８の制御回路２００は動作待ち状態（ステップＳ１−ＮＯ）を繰り返す（ステップＳ１の判定処理のループ）。
【０１９９】
一方、防災信号ＢＳが自動閉鎖装置３２に入力すると（ステップＳ１−ＹＥＳ）、自動閉鎖装置３２のソレノイド１２６が通電される（ステップＳ２）。なお、本実施形態では、防災信号ＢＳは、火災等が発生してから、少なくともシャッターカーテン１が全閉位置に達するまで、制御回路２００に連続して入力されるものである。
【０２００】
図２２には、図１８の制御回路２００の端子ａ，ｂ間に防災信号ＢＳが入力された直後のこの制御回路２００の回路状態が示されている。この図２２に示されているように、図で示されている状態のマイクロスイッチ１３５は制御回路２００側へ閉じた状態となっており、また、全開リミットスイッチ２０１と全閉リミットスイッチ２０２も閉じた状態となっている。このため、防災信号ＢＳが入力された制御回路２００には図２２に示す電流Ｉが流れ、ソレノイド１２６が通電されることになる。
【０２０１】
これにより、Ｈ位置にあった自動閉鎖装置３２のスライド部材１２０は、Ｉ位置まで前進する（図１４及び図１５参照）（ステップＳ３）。そして、このスライド部材１２０の前進により、閉じていたマイクロスイッチ１３５は開くことになる（図１５参照）。
【０２０２】
このときの制御回路２００の回路状態が図２３に示されている。この図２３に示すように、マイクロスイッチ１３５は、制御回路２００側への接続から、シャッターカーテン１が閉じ移動を開始したことを確認するための端子ｃを有する制御線（閉鎖動作確認線）２２０側への接続へ切り替わる。
【０２０３】
これにより、制御回路２００は、図２３に示すように開回路となり、ソレノイド１２６への通電は停止する（ステップＳ４）。また、これにより、シャッターカーテン１が閉じ移動を開始した旨の制御信号が、防災用連動制御装置１８１から、例えば、防災センター等へ送信される（ステップＳ５）。
【０２０４】
また、前記したステップＳ３のスライド部材１２０の前進により、ブレーキ装置１９がオフとなる（ステップＳ６）ため、シャッターカーテン１の自重降下（シャッターカーテン１の自重による閉じ移動）が開始する（ステップＳ７）。
【０２０５】
この後、シャッターカーテン１が自重降下を開始して間もなく、図２４に示すように、閉じていた全開リミットスイッチ２０１がオープンする（開く）（ステップＳ８）とともに、シャッターカーテン１は自重降下を継続する（ステップＳ９）。
【０２０６】
このシャッターカーテン１の自重降下中において、全閉リミットスイッチ２０２が作動していない（オープンしていない）場合（ステップＳ１０−ＮＯ）、すなわち、シャッターカーテン１が全閉位置に達していない場合（ステップＳ１０−ＮＯ）であって、障害物３４が検出されない場合（ステップＳ１１−ＮＯ）、すなわち、閉じ移動中のシャッターカーテン１が障害物３４に当接することによる機械式結合装置３９の作動が行われない場合（ステップＳ１１−ＮＯ）には、シャッターカーテン１の自重降下が継続される（ステップＳ９）。
【０２０７】
一方、シャッターカーテン１の自重降下中において、全閉リミットスイッチ２０２が作動していない場合（ステップＳ１０−ＮＯ）であって、障害物３４が検出された場合（ステップＳ１１−ＹＥＳ）、すなわち、閉じ移動中のシャッターカーテン１が障害物３４に当接することによる機械式結合装置３９の作動が行われた場合（ステップＳ１１−ＹＥＳ）には、前述したように、シャッターカーテン１とロック用ワイヤー３６とが機械式に結合され、第１制御用ワイヤー１１１が図１７に示すＧ方向に引っ張られることによるスライド部材１２０の後退が行われる（ステップＳ１２）。前述したように、この後退は、スライド部材１２０の前端がＩ位置からＨ位置となるまで行われ、スライド部材１２０は、元の位置（初期状態の位置）に戻る（図１４参照）。
【０２０８】
また、図１４に示すように、スライド部材１２０の後退により、マイクロスイッチ１３５も元の状態に戻る。このときの回路状態が図２５に示されており、マイクロスイッチ１３５は、シャッターカーテン１が閉じ移動を開始したことを確認するための端子ｃを有する制御線（閉鎖動作確認線）２２０側から、制御回路２００側へ切り替わる（ステップＳ１３）。
【０２０９】
また、第１制御用ワイヤー１１１が引っ張られたときは、図１２に示すように、この第１制御用ワイヤー１１１の一端が連結されている回動部材４２がＤ方向へ回動するため、図２５に示されているように、マイクロスイッチ１７０の接点がオープンする（開く）ことになる（ステップＳ１４）。
【０２１０】
上記ステップＳ１３及びステップＳ１４における制御回路２００の回路状態が示されている図２５から分かるように、全開リミットスイッチ２０１及びマイクロスイッチ１７０の接点がオープンしている（開いている）ため、制御回路２００は開回路となり、この制御回路２００には電流が流れない状態となっている。
【０２１１】
また、前述したように、スライド部材１２０が元のＨ位置まで戻る（ステップＳ１２）ことにより、ブレーキ装置１９がオンとなる（ステップＳ１５）。この結果、障害物３４に当接したシャッターカーテン１の自重降下は停止する（ステップＳ１６）。
【０２１２】
この後、障害物３４が除去されるまで、シャッターカーテン１の自重降下が停止したままの状態（ステップＳ１７−ＮＯ）を繰り返す（ステップＳ１７の判定処理のループ）。すなわち、障害物３４が除去されることでロック用ワイヤー３６に作用していた緊張力が消滅し、図１７に示す回動部材４２がＣ方向に回動することにより、開いていた図２５に示すマイクロスイッチ１７０が閉じるまで、シャッターカーテン１の自重降下が停止したままの状態（ステップＳ１７−ＮＯ）を繰り返す（ステップＳ１７の判定処理のループ）。
【０２１３】
一方、障害物３４が除去される（ステップＳ１７−ＹＥＳ）と、防災信号ＢＳが入力されている制御回路２００は、図２６に示すように閉回路となり、回路内には電流Ｉが流れる。これにより、遅延装置２１０の電源がオンとなり（ステップＳ１８）、タイマー回路２１１による計時が開始される（ステップＳ１９）。このタイマー回路２１１による計時は、予め設定された時間（例えば１０秒）が経過する（ステップＳ２０−ＹＥＳ）まで繰り返される（ステップＳ２０−ＮＯの繰り返し（ステップＳ２０の判定処理のループ））。
【０２１４】
そして、タイマー回路２１１の設定時間が経過する（ステップＳ２０−ＹＥＳ）と、図２７に示すように、遅延装置２１０のタイマー接点２１２がクローズする（閉じる）（ステップＳ２１）。これにより、自動閉鎖装置３２のソレノイド１２６が通電され（ステップＳ２２）、自動閉鎖装置３２のスライド部材１２０が前進する（ステップＳ２３）。この結果、マイクロスイッチ１３５は、図２８に示すように、制御回路２００側から制御線２２０側へ切り替わり、これにより、制御回路２００は開回路となり、遅延装置２１０の電源がオフとなり（ステップＳ２４）、遅延装置２１０のタイマー接点２１２がオープンする（開く）（ステップＳ２５）。
【０２１５】
この後は、前述したステップＳ４以降の処理が行われる。すなわち、ブレーキ装置１９がオフとなり、ャッターカーテン１は再び自重降下することになる。
【０２１６】
前述のステップＳ１０の判定処理において、全閉リミットスイッチ２０２が作動した場合（ステップＳ１０−ＹＥＳ）には、前述のステップＳ１１の判定処理において、障害物３４が検出された場合（ステップＳ１１−ＹＥＳ）と同様の処理が行われる。すなわち、閉じ移動中のシャッターカーテン１が図１に示す床４に当接することによる機械式結合装置３９の作動が行われる。
【０２１７】
前述したように、シャッターカーテン１とロック用ワイヤー３６とが機械式に結合され、第１制御用ワイヤー１１１が図１７に示すＧ方向に引っ張られることによるスライド部材１２０の後退が行われる（ステップＳ２６）。前述したように、この後退は、スライド部材１２０の前端がＩ位置からＨ位置となるまで行われ、スライド部材１２０は、元の位置（初期状態の位置）に戻る（図１４参照）。
【０２１８】
また、図１４に示すように、スライド部材１２０の後退により、マイクロスイッチ１３５も元の状態に戻る。このときの回路状態が図２５に示されており、マイクロスイッチ１３５は、シャッターカーテン１が閉じ移動を開始したことを確認するための端子ｃを有する制御線（閉鎖動作確認線）２２０側から、制御回路２００側へ切り替わる（ステップＳ２７）。
【０２１９】
また、第１制御用ワイヤー１１１が引っ張られたときは、図１２に示すように、この第１制御用ワイヤー１１１の一端が連結されている回動部材４２がＤ方向へ回動するため、マイクロスイッチ１７０の接点がオープンする（開く）ことになる（ステップＳ２８）。
【０２２０】
また、前述したように、スライド部材１２０が元のＨ位置まで戻る（ステップＳ２６）ことにより、ブレーキ装置１９がオンとなる（ステップＳ２９）。この結果、床４に当接した（すなわち、全閉位置に達した）シャッターカーテン１の自重降下は停止し（ステップＳ２９）、この全閉位置に達したシャッターカーテン１により防災区画が形成される。
【０２２１】
なお、図２９には、シャッターカーテン１が床４に当接した（すなわち、全閉位置に達した）ときの制御回路２００の回路状態が示されている図２９から分かるように、全閉リミットスイッチ２０２及び全開リミットスイッチ２０１の接点がオープンしている（開いている）ため、制御回路２００は開回路となり、この制御回路２００には電流が流れない状態となっている。
【０２２２】
以上説明したように、スライド部材１２０は、ロック用ワイヤー３６に緊張力が作用したときに、オフとなっていたブレーキ装置１９をオンとするＨ位置まで正方向（図１４のＫ方向）にスライドし、ソレノイド１２６の通電によりブレーキ装置１９をオフとするＩ位置まで逆方向（図１４のＬ方向）にスライドするものとなっている。また、屈曲レバー部材１２９のローラ１３０は、スライド部材１２０がブレーキ装置１９をオンとするＨ位置で停止することを保持するための保持部材となっており、ソレノイド１２６の通電により屈曲レバー部材１２９のローラ１３０によるスライド部材１２０の停止保持状態が解除されることなる。
【０２２３】
以上説明した本実施形態に係るシャッターカーテン停止装置では、自重降下中のシャッターカーテン１が障害物３４に当接すると、機械式結合装置３９の作動でブレーキ装置１９が機械的にオンとなり、シャッターカーテン１の自重降下は停止する。一方、この後、障害物３４が除去されると、防災信号ＢＳが連続入力されている制御回路２００の動作により、ブレーキ装置１９が電気的にオフとなり、シャッターカーテン１は再度自重降下を開始するようになっている。
【０２２４】
このため、本実施形態に係るシャッターカーテン停止装置によると、障害物３４が除去されたとき、停止していたシャッターカーテン１を再び自重降下させるためのブレーキ装置１９のオフが機械的に行われるようにした場合と比較して、シャッターカーテン停止装置を構成する機械部品の点数をより少なくすることができる。
【０２２５】
また、本実施形態に係るシャッターカーテン停止装置によると、障害物３４が除去されたとき、停止していたシャッターカーテン１を再び自重降下させるためのブレーキ装置１９のオフが機械的に行われるようにした場合と比較して、シャッターカーテン１が自重降下の途中で障害物３４に当接したことによるこのシャッターカーテン１の自重降下の停止以降のシャッターカーテン１の動作制御を柔軟に行うことができるようになる。
【０２２６】
さらに、本実施形態に係るシャッターカーテン停止装置では、オンとなっていた開閉機１３のブレーキ装置１９のオフが電気的に行われることを遅延させるための遅延装置である遅延装置２１０が備えられているため、ブレーキ装置１９がオンからオフへ切り替られることは、遅延装置２１０の遅延作用により、瞬時には行われない。したがって、障害物３４の除去によりシャッターカーテン１が自重降下を再開することは、障害物３４の除去から時間遅れをもって開始されることになる。
【０２２７】
このため、本実施形態に係るシャッターカーテン停止装置によると、シャッターカーテン１により仕切られる一方の空間から他方の空間へ障害物３４を移動させることを時間的余裕を持って行うことができる。障害物３４が人間の場合には、人間は、時間的余裕を持ってシャッターカーテン１により仕切られる一方の空間から他方の空間へ移動することができる。
【０２２８】
なお、図１８に示す制御回路２００において、閉じ移動中（自重降下中）のシャッターカーテン１が全閉位置から開き移動方向に所定距離離間した位置（言い換えると、所定高さ位置）に達したときに作動する（接点がオープンする）リミットスイッチを、全閉リミットスイッチ２０２の代わりに接続するようにしてもよい。
【０２２９】
これによると、閉じ移動中のシャッターカーテン１が、全閉位置から開き移動方向に所定距離離間した位置に達したとき（上記リミットスイッチが作動したとき）から、全閉位置に達するまでの間で、障害物３４に当接したときには、機械式結合装置３９の作動でブレーキ装置１９がオンすることにより、シャッターカーテン１の閉じ移動は停止する。
【０２３０】
しかし、制御回路２００は、上記リミットスイッチがオープンしているため、開回路となっている。このため、連続入力されている防災信号ＢＳは制御回路２００を流れることがないため、ソレノイド１２６は通電されず、シャッターカーテン１は、障害物３４が除去されても再度閉じ移動することはない。すなわち、障害物３４が除去されても、シャッターカーテン１を再び閉じ移動させるためのブレーキ装置１９の電気的なオフは行われない。したがって、シャッターカーテン１は、障害物３４に当接した位置で停止を継続することになる。
【０２３１】
このように、上記リミットスイッチは、閉じ移動中のシャッターカーテン１が、全閉位置から開き移動方向に前記所定距離離間した前記位置に達するまではオンとなり、閉じ移動中のシャッターカーテン１が、前記全閉位置から開き移動方向に前記所定距離離間した前記位置に達したときにオフとなるシャッターカーテン位置検出スイッチ手段となっており、制御回路２００のソレノイド１２６に直列に接続したものとなっている。
【０２３２】
ここで、上記リミットスイッチが作動する位置である「全閉位置から開き移動方向に所定距離離間した位置」とは、障害物３４が人間等である場合において、シャッターカーテン１に当接した人間等がシャッターカーテン１で仕切られる一方の空間から他方の空間へ通過することが困難な程度まで、シャッターカーテン１が閉じ移動したときにおけるこのシャッターカーテン１の閉じ側の先端部である座板１Ｂ（より具体的には、可動部７０Ｂ）の高さ位置をいう。
【０２３３】
なお、上記リミットスイッチは、作動する位置を自由に調整できるものであることが好ましい。これによると、作動する位置を調整することにより、上記リミットスイッチを全閉リミットスイッチとしても使用することができるようになる。
【０２３４】
なお、全閉リミットスイッチ２０２の代わりに上記リミットスイッチを制御回路２００に接続する場合には、本実施形態に係るシャッター装置が管理用シャッター装置として動作する際に利用するための全閉リミットスイッチ２０２を別途備える（制御回路２００には接続する必要はない）ようにしてもよい。
【０２３５】
このように、制御回路２００に上記リミットスイッチを接続した実施形態によると、障害物３４に当接したときのシャッターカーテン１の閉じ移動量（降下量）に応じて、言い換えると、シャッターカーテン１の座板１Ｂの高さ位置に応じて、障害物３４に当接したことによるシャッターカーテン１の閉じ移動の停止以降のシャッターカーテン１の動作制御を異なるものとする（言い換えると、動作制御を柔軟に行う）ことができる。
【０２３６】
すなわち、図３０の実施形態に係るシャッターカーテン停止装置では、シャッターカーテン１が全開位置から所定高さ位置に達する直前までの閉じ移動中に障害物３４に当接したことにより、シャッターカーテン１を停止させた後、障害物３４が除去されたときはシャッターカーテン１を再降下させるという動作制御を行わせることができ、シャッターカーテン１が前記所定高さ位置から全閉位置までの閉じ移動中に障害物３４に当接したことにより、シャッターカーテン１を停止させた後、障害物３４が除去されてもシャッターカーテン１再降下させない（停止させたまま）という動作制御を行わせることができる。
【０２３７】
なお、上記リミットスイッチ、前述の全閉ミットスイッチ２０２及び全開リミットスイッチ２０１は、ガイドレール６に設けられ、シャッターカーテン１の座板１Ｂが当接することにより作動するものでもよく、シャッターカーテン１を巻き取り、繰り出す巻取軸１１や開閉機１３の駆動軸１４に設けられ、巻取軸１１や駆動軸１４の回転量が所定量に達することにより作動するものでもよい。
【０２３８】
図３０及び図３１は、遅延装置が設けられていない実施形態に係る制御回路を示す回路図であり、図３０は、本実施形態に係る制御回路３００の初期状態を示す図であり、図３１は、シャッターカーテン１に障害物３４が当接したときの制御回路３００の回路状態を示す図である。
【０２３９】
図３０に示されているように、本実施形態に係る制御回路３００は、図１８の実施形態に係る制御回路２００から遅延装置２１０を除外したものであり、前述の障害物除去検出手段であるマイクロスイッチ１７０は、ソレノイド１２６と直列に接続されている。
【０２４０】
また、図３１に示されているように、シャッターカーテン１が障害物３４に当接し、この障害物３４が除去されない間は、マイクロスイッチ１７０は接点がオープンのまま（開いたまま）の状態となり、制御回路３００は開回路となり、この制御回路３００には電流は流れない。
【０２４１】
この後、障害物３４が除去されることによりマイクロスイッチ１７０の接点がクローズする（閉じる）と、制御回路３００は直ちに閉回路となり、ソレノイド１２６が通電され、シャッターカーテン１の再降下は遅延なく直ちに行われる。
【０２４２】
なお、以上説明した各実施形態では、制御回路２００，３００の端子ａ，ｂ間に入力される信号は、防災用連動制御装置１８１からの防災信号ＢＳ（ＤＣ２４Ｖ）であったが、制御回路２００，３００の端子ａ，ｂ間に入力される信号は、バッテリ（蓄電池）からの信号（ＤＣ２４Ｖ）でもよく、商用電源からの交流信号をＤＣ２４Ｖに変換した信号でもよく、これらを併用する（例えば、商用電源、防災用連動制御装置、バッテリの順に使用可能なものを採用する）ものでもよい。
【０２４３】
また、以上説明した各実施形態では、シャッターカーテン１に当接した障害物３４が除去されたことを検出するための障害物除去検出手段は、第２処理装置３８の回動部材４２が回動することで作動（オン、オフ）するマイクロスイッチ１７０であったが、架け渡し部材であるロック用ワイヤー３６に作用していた緊張力が消失したことを検出するのであれば任意なものでよく、例えば、ロック用ワイヤー３６あるいは第１制御用ワイヤー１１１等にアクチュエータが連結され、これらのワイヤーが引っ張られることによりオフとなり、引っ張られることが解除されることによりオンとなるプルスイッチでもよい。
【０２４４】
なお、以上説明した各実施形態において、シャッターカーテン１が全閉位置に達したとき、何らかの原因により、自動閉鎖装置３２が初期状態とならなかった場合には、操作装置３０に隣接配置されている前述の手動復帰装置１８６の「復帰」ボタンを操作することにより、この手動復帰装置１８６の巻取軸が第３制御用ワイヤー１１３を巻き取る方向に回転するので、この第３制御用ワイヤー１１３は引っ張られることになる。これにより、自動閉鎖装置３２のスライド部材１２０は、前端の位置が図１４のＨ位置に戻る復帰移動を行うため、自動閉鎖装置３２の全体は初期状態に復帰する。また、自動閉鎖装置３２を初期状態に復帰させることは、前述したように、図１で示した手動復帰装置の手動操作部材１４１で第３制御用ワイヤー１１３を引っ張ることによってもできる。なお、これらの手動復帰装置は必ずしも備える必要はない。
【０２４５】
なお、以上説明した各実施形態では、通常時（平常時）において、全開状態となっている（全開位置に達している）シャッターカーテン１を閉じ移動させるためには、図１で示した操作装置３０の「閉」ボタンを操作することにより、電動によりシャッターカーテン１を閉じ移動させる。一方、全閉状態となっている（全閉位置に達している）シャッターカーテン１を開き移動させるためには、操作装置３０の「開」ボタンを操作することにより、電動によりシャッターカーテン１を開き移動させる。このように、本実施形態に係るシャッター装置が、出入口２を開閉するための管理用（開口部用）シャッター装置として動作する場合には、シャッターカーテン１の閉じ移動は操作装置３０の「閉」ボタンの操作で行われるものであり、前述した自動閉鎖装置３２の作動や手動閉鎖装置１８４の操作では行われない。このため、通常時、シャッターカーテン１が閉じ移動を開始したときの自動閉鎖装置３２の状態は、図１４に示されている初期状態となる。
【０２４６】
また、通常時において、閉じ移動中のシャッターカーテン１が障害物３４に当接した場合には、前述した非常時の場合と同じく、機械式結合装置３９の第１レバー部材６１と第２レバー部材６２は、摩擦部材６７，６８において、ロック用ワイヤー３６の部分３６Ａを挟着、ロックするため、ロック用ワイヤー３６の第２部分３６Ｃには、下向きの緊張力が作用することになる。
【０２４７】
これにより、シャッターカーテン１の閉じ移動（自重降下）は、ロック用ワイヤー３６の第２部分３６Ｃに作用する緊張力で停止することになる。また、これにより、ロック用ワイヤー３６の第２部分３６Ｃの端部がコイルばね４３を介して結合されている第２処理装置３８の回動部材４２が、図１２に示すＤ方向に回動することになる。前述したように、回動部材４２に一方の端部が連結されている第１制御用ワイヤー１１１の他方の端部は、スライド部材１２０の連結部材１３８の第１連結部１３８Ａに連結されているため（図１４参照）、回動部材４２がＤ方向に回動することにより、第１制御用ワイヤー１１１は引っ張られることになる。図１４に示されているように、第１制御用ワイヤー１１１が引っ張られる前のスライド部材１２０の幅広部１２０Ｄの後端部１２０Ｅと、屈曲レバー部材１２９のローラ１３０との間には、隙間１７６が形成されている。このため、第１制御用ワイヤー１１１が引っ張られることにより、スライド部材１２０は、隙間１７６分だけ後退可能となっている。
【０２４８】
前述したように、図１２は、シャッターカーテン１が障害物３４に当接していないときの第２処理装置３８を示す図であるが、このとき、第２処理装置３８の機枠４９の上部に固定配置されているマイクロスイッチ１７０の作動部材１７１は、回動部材４２の外周面４２Ｄに接触した状態、すなわち、マイクロスイッチ１７０が作動していない状態（接点が閉じた状態）となっている。一方、図１７は、シャッターカーテン１が障害物３４に当接することにより、回動部材４２がＤ方向に回動したときの第２処理装置３８を示す図である。この図１７に示されているように、回動部材４２がＤ方向に回動することにより、マイクロスイッチ１７０の作動部材１７１は、回動部材４２に取り付けられているドグ部材１７３に当接する（乗り上げる）。このため、ばねの付勢力で下向きに突出していたこの作動部材１７１は没入することになり、マイクロスイッチ１７０が作動した状態（接点が開いた状態）となる。すなわち、ロック用ワイヤー３６の第２部分３６Ｃに緊張力が作用したことを検出した状態、言い換えると、障害物３４を電気的に検出した状態となる。
【０２４９】
なお、通常時においては、回動部材４２のＤ方向の回動量は、前述したように、スライド部材１２０が後退可能な距離である図１４に示す隙間１７６分となるが、回動部材４２回動量がこの隙間１７６分、あるいはこれよりも小さな量となった時点で、マイクロスイッチ１７０が図１７に示すように作動した状態となる。これにより、このマイクロスイッチ１７０がリード線１７２を介して接続された制御装置２７により、開閉機１３の電動モータ装置１８のコイル２５の通電を遮断する制御が行われ、この結果、電動モータ装置１８の正駆動は停止する。この後、開閉機１３のブレーキ装置１９のソレノイド２４の通電を遮断する制御が行われ、これにより、ブレーキ装置１９がオフからオンに切り替わる。この結果、シャッターカーテン１は電動による降下を停止する。
【０２５０】
このため、マイクロスイッチ１７０は、本実施形態に係るシャッター装置が管理用シャッター装置として機能する場合において、シャッターカーテン１の電動による閉じ移動中における障害物３４の検出を電気式に行う電気式障害物検出手段となっている。すなわち、マイクロスイッチ１７０は、通常時におけるシャッターカーテン１の電動降下中の障害物３４との当接の検出を行う通常時障害物検出手段となっている。これに対して、図４に示す機械式障害物検出装置３５は、非常時におけるシャッターカーテン１の自重降下中の障害物３４との当接の検出を行う非常時障害物検出手段となっている。また、マイクロスイッチ１７０は、架け渡し部材であるロック用ワイヤー３６に緊張力が作用したことを検出する緊張力発生検出手段となっている。
【０２５１】
さらに、マイクロスイッチ１７０は、前述したように、ロック用ワイヤー３６に作用していた緊張力が消滅したことを検出するための緊張力消滅検出手段となっている。すなわち、マイクロスイッチ１７０は、障害物３４が除去されたことを検出するための障害物除去検出手段となっている。
【０２５２】
なお、マイクロスイッチ１７０が作動することにより、このマイクロスイッチ１７０のリード線１７２が接続されている制御装置２７では、シャッターカーテン１に当接した障害部３４との当接（衝突）を回避するための以下の制御が行われる。
【０２５３】
まず、開閉機１３の電動モータ装置１８のコイル２５の通電を遮断する制御が行われ、これにより、電動モータ装置１８の正駆動は停止する。この後、開閉機１３のブレーキ装置１９のソレノイド２４の通電を遮断する制御が行われ、これにより、ブレーキ装置１９がオンにされる。この結果、シャッターカーテン１は電動による降下を停止する。
【０２５４】
この後、開閉機１３のブレーキ装置１９のソレノイド２４を再度通電する制御が行われると共に、開閉機１３の電動モータ装置１８のコイル２５を再度通電する制御が行われる。これにより、電動モータ装置１８は逆駆動（逆回転）する。この結果、シャッターカーテン１は電動による上昇（開き移動）、言い換えると、反転上昇を行う。
【０２５５】
シャッターカーテン１が電動上昇している途中で、全開リミットスイッチ２０１（図１８参照）が作動した場合には、開閉機１３の電動モータ装置１８のコイル２５の通電を遮断する制御（電動モータ装置１８の逆駆動を停止する制御）が行われるとともに、開閉機１３のブレーキ装置１９のソレノイド２４の通電を遮断する制御（ブレーキ装置１９をオンにする制御）が行われる。この結果、シャッターカーテン１は電動による上昇を停止する。
【０２５６】
一方、シャッターカーテン１が電動上昇している途中で、全開リミットスイッチ２０１が作動していない場合には、シャッターカーテン１の電動上昇を開始してから所定時間Ｔ１１が経過するまで、シャッターカーテン１の電動上昇は継続される。シャッターカーテン１の電動上昇を開始してから所定時間Ｔ１１が経過したかどうかは、図４に示す制御装置２７に備えられているタイマー回路によりカウントされる時間で判定される。
【０２５７】
シャッターカーテン１の電動上昇を開始してから所定時間Ｔ１１が経過した場合には、開閉機１３の電動モータ装置１８のコイル２５の通電を遮断する制御が行われ、これにより、電動モータ装置１８の逆駆動は停止する。この後、開閉機１３のブレーキ装置１９のソレノイド２４の通電を遮断する制御が行われ、これにより、ブレーキ装置１９がオンにされる。この結果、シャッターカーテン１は電動による上昇を停止する。
【０２５８】
シャッターカーテン１の電動上昇を停止させた後は、所定時間Ｔ１２が経過した後に、再び電動降下を開始させるようになっている。すなわち、シャッターカーテン１の電動上昇が停止してから所定時間Ｔ１２が経過するまでは、シャッターカーテン１の停止が継続される。一方、シャッターカーテン１の電動上昇が停止してから所定時間Ｔ１２が経過した場合には、前述したシャッターカーテン１を電動降下させる制御が行われる。なお、シャッターカーテン１が電動上昇を停止してから所定時間Ｔ１２が経過したかどうかは、上記タイマー回路によりカウントされる時間で判定される。
【０２５９】
なお、上記タイマー回路によりカウントされる所定時間Ｔ１１及びＴ１２は任意に設定することができ、Ｔ１１とＴ１２が同じとなるようにしてもよい。
【０２６０】
なお、障害物３４に当接したシャッターカーテン１が電動上昇することにより、カーテン副部７１Ｂは障害物３４から離れていくため、カーテン副部７１Ｂがカーテン主部７１Ａに対して相対的に下降する。これにより、図１７に示された状態にあった回動部材４２は、戻しばね１００による戻し力によりＣ方向に回動するため、回動部材４２に取り付けられているドグ部材１３７との当接で没入していた第２処理装置３８のマイクロスイッチ１７０の作動部材１７１は、再び突出した状態となる（図１２参照）。この結果、マイクロスイッチ１７０の作動は解除される（接点が閉じる）ことになる。すなわち、電気式障害物検出装置の障害物検出状態は解除されることになる。
【０２６１】
電動上昇させたシャッターカーテン１を再び電動降下させたときにおいて、障害物３４がまだ除去されていない場合には、第２処理装置３８のマイクロスイッチ１７０が再度作動する（接点が開く）ことになるので、制御装置２７による前述したシャッターカーテン１を電動上昇させる制御が行われる。
【産業上の利用可能性】
【０２６２】
本発明は、シャッターカーテンが開閉体となっている管理及び防災併用等のシャッター装置や、オーニング装置、さらには、防煙垂れ幕装置等の各種の開閉装置に利用することができる。
【符号の説明】
【０２６３】
１開閉体であるシャッターカーテン
１６不動部材であるまぐさ
１９ブレーキ装置
３４障害物
３６緊張力作用部材となっている架け渡し部材であって紐状部材でもあるＵ字状のロック用ワイヤー
１２０作動部材であるスライド部材
１２６制御回路のソレノイド
１３０保持部材であるローラ
１７０障害物除去検出スイッチ手段であるマイクロスイッチ
２００，３００制御回路
２０２開閉体位置検出スイッチ手段であるリミットスイッチ
２１０遅延装置
２１１タイマー回路
２１２タイマースイッチ手段であるタイマー接点
ＢＳ防災信号

【特許請求の範囲】
【請求項１】
開閉体の開閉移動を停止させるための開閉装置の開閉体停止装置において、前記開閉体が閉じ移動の途中で障害物に当接したとき、前記開閉体の閉じ移動の停止を機械的に行い、前記障害物が除去されたとき、停止していた前記開閉体を再び閉じ移動させるための前記開閉体の停止状態の解除は電気的に行われることを特徴とする開閉装置の開閉体停止装置。
【請求項２】
請求項１に記載の開閉装置の開閉体停止装置において、前記開閉体に対して不動となった不動部材と、これらの開閉体と不動部材の間に架け渡された部分を有し、前記開閉体が閉じ移動の途中で前記障害物に当接したときに前記開閉体と結合される架け渡し部材と、この架け渡し部材に作用する緊張力により機械的にオンとなって前記開閉体の閉じ移動を停止させるブレーキ装置と、を備え、前記障害物が除去されたとき、停止していた前記開閉体を再び閉じ移動させるための前記ブレーキ装置のオフは電気的に行われることを特徴とする開閉装置の開閉体停止装置。
【請求項３】
請求項２に記載の開閉装置の開閉体停止装置において、前記障害物が除去されたことにより通電されるソレノイドと、このソレノイドの通電により作動する作動部材を有し、この作動部材の作動で前記ブレーキ装置がオフされることを特徴とする開閉装置の開閉体停止装置。
【請求項４】
請求項３に記載の開閉装置の開閉体停止装置において、前記作動部材は、前記架け渡し部材に前記緊張力が作用したときに前記ブレーキ装置をオンとする位置まで正方向にスライドし、前記ソレノイドの通電により前記ブレーキ装置をオフとする位置まで逆方向にスライドするスライド部材となっており、このスライド部材が前記ブレーキ装置をオンとする位置で停止することを保持するための保持部材を有し、前記ソレノイドの通電により前記保持部材による前記スライド部材の停止保持状態が解除されることを特徴とする開閉装置の開閉体停止装置。
【請求項５】
請求項３又は４に記載の開閉装置の開閉体停止装置において、前記ソレノイドが接続され、前記ブレーキ装置を電気的に制御するための制御回路が備えられており、この制御回路には防災信号が連続入力され、前記ソレノイドは前記防災信号により通電されるものであることを特徴とする開閉装置の開閉体停止装置。
【請求項６】
請求項５に記載の開閉装置の開閉体停止装置において、前記障害物が除去されたことを検出するための障害物除去検出手段を備え、この障害物除去検出手段は、前記架け渡し部材に作用していた緊張力が消滅したことを検出するものであることを特徴とする開閉装置の開閉体停止装置。
【請求項７】
請求項６に記載の開閉装置の開閉体停止装置において、前記障害物除去検出手段は、前記制御回路に前記ソレノイドと直列に接続され、前記架け渡し部材に緊張力が作用しているときにはオフとなり、前記架け渡し部材に作用していた緊張力が消滅したときにはオンとなる障害物除去検出スイッチ手段であることを特徴とする開閉装置の開閉体停止装置。
【請求項８】
請求項５〜７のいずれかに記載の開閉装置の開閉体停止装置において、前記障害物が除去されたとき、停止していた前記開閉体を再び閉じ移動させるための前記ブレーキ装置のオフが電気的に行われることを遅延させるための遅延装置を備えていることを特徴とする開閉装置の開閉体停止装置。
【請求項９】
請求項８に記載の開閉装置の開閉体停止装置において、前記遅延装置は前記制御回路に接続されており、前記遅延装置は、前記障害物が除去されたときからの経過時間を計時するタイマー回路と、前記ソレノイドに直列に接続され、前記タイマー回路によりオン、オフされるタイマースイッチ手段と、を含んで構成され、前記タイマー回路は、このタイマー回路により計時される前記経過時間が所定時間に達するまでは前記タイマースイッチ手段をオフとし、前記タイマー回路により計時される前記経過時間が所定時間に達したとき、前記タイマースイッチ手段をオンとすることを特徴とする開閉装置の開閉体停止装置。
【請求項１０】
請求項５〜９のいずれかに記載の開閉装置の開閉体停止装置において、閉じ移動中の前記開閉体が、全閉位置から開き移動方向に所定距離離間した位置に達したときから、前記全閉位置に達するまでの間で、前記障害物に当接したとき、前記ブレーキ装置の機械的なオンが行われることにより前記開閉体の閉じ移動が停止されるが、前記障害物が除去されても、前記開閉体を再び閉じ移動させるための前記ブレーキ装置の電気的なオフは行われないことを特徴とする開閉装置の開閉体停止装置。
【請求項１１】
請求項１０に記載の開閉装置の開閉体停止装置において、前記制御回路には、閉じ移動中の前記開閉体が、前記全閉位置から開き移動方向に前記所定距離離間した前記位置に達するまではオンとなり、閉じ移動中の前記開閉体が、前記全閉位置から開き移動方向に前記所定距離離間した前記位置に達したときにオフとなる開閉体位置検出スイッチ手段が、前記ソレノイドに直列に接続されていることを特徴とする開閉装置の開閉体停止装置。

【図１】