説明

開閉装置

【課題】 障害物感知により全開した後、全閉した際の開閉体に弛みが生じるのを防ぐ。
【解決手段】 巻取体31の繰出し回転中に障害物感知手段12aの感知信号があった場合に、巻取体31を巻取回転させ、この巻取回転を全開感知手段の感知信号に応じて停止し、巻取体31の繰出し回転中に、巻取体31の変化量を示すカウント値と動作原点値の差が所定の全閉ストローク値になった場合には、巻取体31の繰出し回転を停止するようにした開閉装置において、巻取体31の巻取回転を前記全開感知手段の感知信号に応じて停止した際に、開閉体10の全閉時に巻取体31の繰出回転を停止するタイミングを調整するための処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅やビル、倉庫、工場、地下街、トンネル、車両の荷台等の構造物の開口部分や内部に配設され、前記開口部分や内部空間を仕切ったり開放したりする開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の発明には、特許文献1に記載されるもののように、左右のガイドレールと、これらガイドレール間に案内されて昇降開閉するシート状の開閉体と、この開閉体を昇降駆動する駆動手段と、前記開閉体に設けられた動作原点位置補正用の突起部と、前記開閉体の開放上限位置に配設されて前記突起部を当接させる上限ストッパとを備え、前記シート状の開閉体を、全閉位置と全開位置との間で、比較的に高速に開閉動作するようにしたシートシャッターがある。
この従来技術では、開閉体が全開位置まで上昇したことを、前記突起が前記上限ストッパに当接することで感知し、開閉体の動作原点値を自動的に補正し、開閉体を全閉する際には、開閉体を、前記のようにして補正された動作原点値から所定のストローク量だけ閉鎖動作して停止するようにしている。
【0003】
前記従来技術の動作について詳細に説明すれば、例えば、開閉体を初期の全開状態から閉鎖動作した場合には、図10(a)〜(b)に示すように、巻取体の回転量を示すカウント値が増加し、該カウント値と動作原点値(例えば0)の差が所定の全閉ストローク(図示例によれば100)になった時点で、巻取体の繰出し回転を停止する。
そして、開閉体を再度全開して停止した際には、図10(c)に示すように、動作原点値がその停止時点のカウント値(例えば−5)に更新される。例えば、開閉体が熱膨張や伸び等に起因して開閉方向へ伸びた場合には、開閉体が再度全開した際に巻取体が巻取り回転寄りに停止するため、その全開停止時点の前記カウント値が初期全開状態の時(図10(a)の時点)よりも小さくなるが、動作原点値は、前記のように小さくなったカウント値(例えば−5)に更新される。
次に、開閉体を閉鎖動作した場合には、図10(d)に示すように、カウント値が増加し、該カウント値と動作原点値(例えば−5)の差が所定の全閉ストローク(図示例では100)になった時点で、巻取体の繰出し回転を停止する。つまり、開閉体が伸びた分、繰り出し回転量が少なくなることになり、全閉停止時点では、開閉体に弛み等をほとんど生じることがない。
このように、前記従来技術によれば、熱影響等により開閉体の開閉方向の寸法が安定しない場合でも、開閉体の全開時に動作原点値を更新するようにしているため、開閉体の全閉時に、該開閉体に弛みが生じたり、開閉体の閉鎖方向端部と着座対象部位(例えば床面や地面、下枠等)との間に隙間が生じたりするのを防ぐことができる。
【0004】
ところで、前記のようなシートシャッターにおいて、閉鎖動作中の開閉体が障害物に当接した場合の衝撃を緩和するためには、前記開閉体の閉鎖方向側に障害物が侵入したことを感知する障害物感知装置を備え、前記開閉体の閉鎖動作中に前記障害物感知装置による感知信号があった場合に、閉鎖動作中の開閉体を急反転して途中停止することなく全開位置まで開放するように制御することが提案される(図11参照)。
【0005】
しかしながら、前記のような制御をした場合には、開閉体を初期の全開状態(図11(a)参照)から閉鎖動作している最中に、該開閉体が障害物に当接すると、その当接による衝撃等に起因して、開閉体に弛み(撓み)を生じる場合がある(図11(b)参照)。
このような場合、開閉体の幅方向の端部側にも、部分的に折れ曲がるようにして弛みが形成され、この弛み部分は、ガイドレールによって開閉体厚さ方向から挟まれることで保持される。そのため、障害物感知装置の感知信号に応じて巻取体が逆回転しても、前記弛み部分が解消されずに残存したまま、開閉体が全開状態となる場合がある。
したがって、前記全開状態において動作原点値がその時点のカウント値に更新され、その後に、巻取体が繰り出し回転して、カウント値と動作原点値との差が所定の全閉ストロークになった時点で、巻取体の繰出し回転を停止した場合には、図11(d)に示すように、その全閉状態の開閉体に弛みを生じてしまう場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−169584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記従来事情に鑑みてなされたものであり、その課題とする処は、障害物感知により全開した後、全閉した際の開閉体に弛みが生じるのを防ぐことができる開閉装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための技術的手段は、双方向へ回転するように制御された巻取体と、該巻取体に巻き取られることで開放動作し、該巻取体から繰り出されることで閉鎖動作する開閉体と、該開閉体の幅方向の端部を囲んで開閉方向へ案内するガイドレールと、前記巻取体の原点位置からの回転に伴う変化量をカウント値として認識するカウント手段と、前記開閉体が全開位置にある際の前記カウント値を動作原点値として記憶する手段と、開閉体が全開位置になったことを感知する全開感知手段と、閉鎖動作中の開閉体が障害物に当接したことを感知する障害物感知手段とを備え、前記巻取体の繰出し回転中に前記障害物感知手段の感知信号があった場合に、前記巻取体を巻取回転させ、この巻取回転を前記全開感知手段の感知信号に応じて停止し、前記巻取体の繰出し回転中に前記カウント値と前記動作原点値の差が所定の全閉ストローク値になった場合には、前記巻取体の繰出し回転を停止するようにした開閉装置において、前記巻取体の巻取回転を前記全開感知手段の感知信号に応じて停止した際に、前記開閉体の全閉時に前記巻取体の繰出回転を停止するタイミングを調整するための処理を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような作用効果を奏する。
閉鎖動作中の開閉体が障害物に当接して、該開閉体に弛み(撓み)が生じ、その弛み状態のまま開閉体が巻取体に巻き取られて全開した場合であっても、その全開停止時点で、開閉体の全閉時に巻取体の繰出回転を停止するタイミングを調整するための処理が行われる。
よって、障害物感知により全開した後、全閉した際の開閉体に弛みが生じるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る開閉装置の一例を示す正面図である。
【図2】同開閉装置の制御動作を示すフローチャートである。
【図3】同開閉装置の制御動作の他例を示すフローチャートである。
【図4】開放動作ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図5】図4のフローチャートを実行した場合の動作を(a)〜(d)に順次に示す模式図である。
【図6】開放動作ルーチンの他例を示すフローチャートである。
【図7】図6のフローチャートを実行した場合の動作を(a)〜(d)に順次に示す模式図である。
【図8】開放動作ルーチンの他例を示すフローチャートである。
【図9】図8のフローチャートを実行した場合の動作を(a)〜(d)に順次に示す模式図である。
【図10】従来の開閉装置の開閉動作の一例を示す模式図である。
【図11】図10の開閉装置に障害物感知装置を具備した場合の開閉動作の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための一形態では、双方向へ回転するように制御された巻取体と、該巻取体に巻き取られることで開放動作し、該巻取体から繰り出されることで閉鎖動作する開閉体と、該開閉体の幅方向の端部を囲んで開閉方向へ案内するガイドレールと、前記巻取体の原点位置からの回転に伴う変化量をカウント値として認識するカウント手段と、前記開閉体が全開位置にある際の前記カウント値を動作原点値として記憶する手段と、開閉体が全開位置になったことを感知する全開感知手段と、閉鎖動作中の開閉体が障害物に当接したことを感知する障害物感知手段とを備え、前記巻取体の繰出し回転中に前記障害物感知手段の感知信号があった場合に、前記巻取体を巻取回転させ、この巻取回転を前記全開感知手段の感知信号に応じて停止し、前記巻取体の繰出し回転中に前記カウント値と前記動作原点値の差が所定の全閉ストローク値になった場合には、前記巻取体の繰出し回転を停止するようにした開閉装置において、前記巻取体の巻取回転を前記全開感知手段の感知信号に応じて停止した際に、前記開閉体の全閉時に前記巻取体の繰出回転を停止するタイミングを調整するための処理を行う。
【0012】
さらに、第二の形態では、前記巻取体の巻取回転を前記全開感知手段の感知信号に応じて停止した際に、この停止時点の前記カウント値と、同停止時点よりも前に記憶された動作原点値とを比較し、前記カウント値が前記動作原点値よりも小さい場合に、前記動作原点値を前記停止時点の前記カウント値に更新し、そうでない場合には、前記動作原点値を更新しないようにした。
【0013】
また、第三の形態では、前記巻取体の繰出し回転中に前記障害物感知手段の感知信号があった場合に該感知信号があったことを記憶する記憶手段を備え、前記巻取体の巻取回転を前記全開感知手段の感知信号に応じて停止した際に、前記記憶手段により記憶されたデータに基づき前記巻取回転の直前に障害物感知があったか否かを判断し、障害物感知があった場合には、前記動作原点値を更新せず、そうでない場合に前記動作原点値を前記停止時点の前記カウント値に更新するようにした。
【0014】
また、第四の形態では、前記巻取体の巻取回転を前記全開感知手段の感知信号に応じて停止した際に、前記動作原点値をその停止時点の前記カウント値に更新するとともに、この更新の前後の動作原点値の差分値を算出し、この差分値を前記全閉ストローク値から減算するようにした。
【0015】
次に、上記形態の特に好ましい実施例を、図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0016】
図1は、本発明に係る開閉装置の一例を示す。
この開閉装置Aは、上下方向のスライドにより空間を仕切ったり開放したりする開閉体10と、該開閉体10をその左右両側で開閉方向へ導くガイドレール20と、該開閉体10をその開放方向側である上方向の巻取体31によって巻き取ったり繰り出したりする収納部30とを備える(図1参照)。
【0017】
開閉体10は、図2に示すように、全閉時に躯体開口部の略全面を仕切る本体シート部11と、該本体シート部11の最下端部に接続された座板部材12とからなる。
【0018】
本体シート部11は、例えば、ガラスクロスやシリカクロス等の難燃性布地や、フッ素加工を施した塩化ビニル樹脂シート材、ガラス繊維を含んだ合成樹脂シート材等、遮煙性、必要に応じ耐火性(難燃性を含む)の可撓性シート材料によって構成される。
この本体シート部11の上端部は、巻取体31の外周部に接続される。また、座板部材12の下端部には、座板部材12が接続される。
【0019】
座板部材12は、開閉体10における幅方向の略全長にわたって本体シート部11の下端に接続され、開閉体10による閉鎖性を良好にするとともに、その自重により本体シート部11を下方へ引っ張って、本体シート部11に撓みや皺等が発生するのを防ぐ。
この座板部材12は、例えば、本体シート部11の下端に断面袋状の部分を形成し、この袋状部分に錘体を内在することで構成される。
【0020】
前記座板部材12の下端には、閉鎖動作中の開閉体10の下端が障害物Xに当接したことを感知する障害物感知手段12aが設けられる。この障害物感知手段12aは、例えば、前記袋状部分の内部であって前記錘体の下端に開閉体幅方向へわたって設けられたテープスイッチとすればよい。このテープスイッチは、その長手方向のどの位置においても下方からの押圧力を受けた際に感知信号を出力する周知構造のスイッチであり、その感知信号を有線又は無線によって収納部30内の制御部34へ送信するように構成される。
なお、障害物感知手段12aの他例としては、座板部材12の下端に、上下方向へ移動自在な可動座板を設け、この可動座板の移動を、接触式又は非接触式センサによって感知する態様等とすることも可能である。
【0021】
また、開閉体10の下端側には、開閉体10面から開閉体厚さ方向へ突出するように、当接部材13が設けられている。この当接部材13は、開閉体10が略全開した際に、不動部位(例えば収納ケース32又はガイドレール20等)に固定された上限ストッパ21に対し当接する。
【0022】
また、ガイドレール20は、開閉体10の開閉体幅方向の端部を囲む断面略コ字状もしくは断面略凹状の部材であり、着座対象部位Pと収納部30との間にわたって長尺状に設けられている。
【0023】
また、収納部30は、収納ケース32内に、略円筒状の巻取体31と、該巻取体31に対し歯車等の動力伝達機構を介して回転力を伝達する開閉機33と、該開閉機33の回転を制御する制御部34と、開閉体10が全開したことを感知する全開感知手段(図示せず)とを具備している。この収納部30は、前記巻取体31により開閉体10を巻き取ったり巻き戻したりすることで、収納ケース32内へ開閉体10を収納したり、収納ケース32から開閉体10を繰り出したりする。
【0024】
開閉機33は、例えば電動モータである。この開閉機33には、巻取体31の機械的な原点位置からの回転に伴う変化量(例えば開閉機33の回転量)をカウント値として認識するカウント手段が設けられる。
このカウント手段は、例えば、エンコーダやホールセンサ等によって開閉機33の出力軸の機械的な基準位置からの回転量をカウントする装置とすればよい。
このカウント手段により計数されるカウント値は、開閉体10の開閉動作に伴い変化し、開閉体10の開閉方向の位置を示す値として扱われる。
本実施例において、前記カウント手段は、開閉体10の閉鎖動作に伴って前記カウント値を加算し、同開閉体10の開放動作に伴って前記カウント値を減算するものとする。
なお、前記カウント手段の他例としては、開閉体10の閉鎖動作に伴って前記カウント値を減算し、同開閉体10の開放動作に伴って前記カウント値を加算する態様とすることも可能である。
さらに、前記カウント手段の他例としては、巻取体31の回転量を前記変化量として直接的にカウントするようにした態様や、開閉機33の回転力を巻取体31に伝達する歯車等の回転量を前記変化量としてカウントするようにした態様等とすることも可能である。
【0025】
制御部34は、図示しない記憶装置に記憶されたプログラムに基づいて中央処理装置(CPU)を機能させる電子回路(所謂マイコン回路等)であり、図示しない操作部(操作BOXや、リモコン、操作信号を発するコンピュータ、携帯端末等)などから入力される閉鎖指令や開放指令、停止指令、障害物感知手段から送信される障害物感知信号、全開感知手段から入力される全開感知信号等を、プログラムに基づいて電子的に演算処理し、その処理結果に応じた制御信号を開閉機33sへ出力して、開閉機33sを正転や逆転、停止等させる制御回路である。
【0026】
また、前記全開感知手段は、開閉機33の負荷(例えば電流値等)を感知するセンサ(例えば電流センサ等)によって構成される。この全開感知手段は、開閉体10が全開することで、開閉体10の当接部材13が不動部位の上限ストッパ21に当接し、開閉機33の負荷値が上昇して所定の閾値を超えたことを感知し、その感知信号を前記制御部34へ送信する。
なお、前記全開感知手段の他例としては、上限ストッパ21に当接部材13を接触又は非接触感知可能なスイッチ(例えば、リミットスイッチや近接スイッチ等)を設け、開閉体10が全開することで当接部材13が前記スイッチを作動し、その際の作動信号を制御部34へ送信する構成とすることも可能である。
【0027】
また、この収納部30内の機構は、電動モータ等からなる開閉機33により巻取体31を回転させる機構とすればよいが、災害等による停電の際でも、開閉体10を閉鎖できるようにする観点から、錘体や開閉体10の自重により巻取体31を回転させる機構や、スプリング等の付勢部材の付勢力により巻取体31を回転させる機構等を、必要に応じて併用した構造とするのが好ましい。
【0028】
次に、上記開閉装置Aの制御動作を、図2〜4に基づいて詳細に説明する。
先ず、開閉体10の全開した初期状態においては、その時点のカウント値(例えば0)が、動作原点値として図示しない記憶装置に記憶されているものとする。
ステップ1では、開閉体10の全開状態において、制御部34が閉鎖指令の有無を判断し、閉鎖指令がある場合には、次のステップ2へ処理を進め、そうでなければ閉鎖指令があるのを待つ。
【0029】
次のステップ2では、開閉機33の動作により巻取体31を繰り出し回転させて、開閉体10の閉鎖動作を開始する。
そして、その閉鎖動作中、ステップ3にて、障害物感知手段12aによる感知信号があるか否かが判断され、障害物感知信号がある場合には次のステップ4へ処理を進め、そうでなければ、ステップ5へ処理が進められる。
【0030】
ステップ4では、後述する開放動作ルーチン(図4参照)が実行され、その後、処理はステップ1へ戻される。
【0031】
また、ステップ5では、現時点のカウント値と動作原点値との差が、所定の全閉ストローク値以上となったか否かが判断され、全閉ストローク値以上となった場合には、次のステップ6へ処理を進め、そうでなければステップ3へ処理が戻される。
ここで、前記全閉ストローク値とは、開閉体10の全開から全閉までのストロークを示す値であり、予め初期動作や計算等によって求められ、制御部34の図示しない記憶装置に記憶されている。
【0032】
次のステップ6では、開閉機33を停止することで、巻取体31の繰出し回転、及び開閉体10の閉鎖動作が停止する。
すなわち、ステップ5にて、現時点のカウント値と動作原点値との差が、所定の全閉ストローク値以上であると判断された場合には、開閉体10の撓み等が原因で実際には全閉までに至らずに略全閉の場合も有り得るが、開閉体10が略全閉したものとみなされ、次のステップ6において、開閉機33及び巻取体31の回転、及び開閉体10の閉鎖動作が停止する。
【0033】
なお、図2に示すフローチャートは、全閉時に座板部材12が着座対象部位pに当接した場合に、着座対象部位pを障害物であると誤って判断してしまい、その結果、開閉体10を開放方向へ移動させてしまうおそれがあるような場合には、図3に示すフローチャートに置換してもよい。
図3のフローチャートは、図2のフローチャートに対し、ステップ3〜6を、以下に説明するステップ3’〜6’に置換したものである。
その置換部分についてのみ詳細に説明すれば、ステップ2の後、ステップ3’では、現時点のカウント値と動作原点値との差が、所定の全閉ストローク値以上となったか否かを判断し(上記ステップ5と同様)、全閉ストローク値以上となった場合には、次のステップ4’へ処理を進め、そうでなければステップ5’へ処理を移行する。
ステップ4’では、開閉機33を停止することで、巻取体31の繰出し回転、及び開閉体10の閉鎖動作が停止する(上記ステップ6と同様)。
ステップ5’では、障害物感知手段12aによる感知信号があるか否かが判断され(上記ステップ3と同様)、障害物感知信号がある場合には次のステップ6’へ処理を進め、そうでなければ、ステップ3’へ処理が戻される。
ステップ6’では、後述する開放動作ルーチン(図4参照)が実行され、その後、処理はステップ1へ戻される(上記ステップ4と同様)。
【0034】
また、図4に示す開放動作ルーチンでは、先ず、開閉機33の逆転により巻取体31が巻取回転され、開閉体10が開放動作するとともにその開放動作に伴ってカウント値が減算されてゆく(ステップ11)。
【0035】
次のステップ12では、全開感知手段による全開感知信号があったか否かが判断され、全開感知信号があった場合は次のステップ13へ処理が進められ、そうでなければ、全開感知信号があるまで、巻取体31の巻取り回転を継続する。
すなわち、開閉体10が全開すると、開閉体10下端側の当接部材13が上限ストッパ21に当接し、開閉機33の負荷が急激に増大する。全開感知手段は、この際の負荷の増大を感知して、その感知信号を全開感知信号として制御部34に発する。制御部34は、受信した全開感知信号に応じて、前記ステップ12の判断及び処理を行う。
【0036】
次のステップ13では、開閉機33に内蔵されるブレーキ装置(図示せず)の作動により、開閉機33の駆動軸の回転を停止するとともに、巻取体31の巻取り回転、及び開閉体10の開放動作を停止する。
【0037】
次のステップ14では、現在の開閉体10の全開時点におけるカウント値と、先に記憶された動作原点値とを比較し、カウント値が動作原点値よりも小さい場合には次のステップ15へ処理を進め、そうでなければステップ16へ処理をジャンプする。
【0038】
ステップ15では、動作原点値を、現時点のカウント値に更新する。すなわち、現時点のカウント値が、新たな動作原点値として、制御部34の記憶装置に記憶される。
【0039】
つまり、ステップ13にて、開閉体10を全開停止した時点で、カウント値が動作原点値よりも小さいと判断された場合には、開閉体10が熱影響等に起因して開閉体開閉方向へ伸び、そのことによって、巻取体31の停止位置が当初よりも巻取回転方向側にずれたものとみなされ、動作原点値が更新される。
また、カウント値が動作原点値よりも大きいと判断された場合には、巻取回転前の閉鎖動作において開閉体10が障害物に当接して弛みを生じたものとみなされ、動作原点値の更新を行なわず、先に記憶した動作原点値が継続して用いられる。
【0040】
ステップ16では、前述した開放動作ルーチンを全て終了して、処理をステップ1へ戻す。
【0041】
次に、図5に示す一例に基づき、閉鎖動作中の開閉体10が障害物Xに当接した場合に、実際にどのような制御が行われるのかを説明する。
まず、図5(a)に示すように、機械的原点位置が0である開閉体10の全開初期状態において、その時点のカウント値(例えば0)が、動作原点値として記憶される。
この全開状態において、閉鎖指令があると開閉体10は閉鎖動作を開始する(前記ステップ1及び2参照)。
そして、その閉鎖動作中、図5(b)に示すように、開閉体10の閉鎖方向端部が障害物Xに当接すると、障害物感知手段12aにより障害物感知信号が発せられる(前記ステップ3及び4参照)。また、前記当接の際の衝撃等に起因して、開閉体10には弛み(撓み)が生じる場合がある。
【0042】
制御部34は、障害物感知信号を受けると、全開感知手段による全開感知信号があるまで、開閉体10を開放動作する(前記ステップ12及び13参照)。前述したように開閉体10に弛みが生じた場合、この弛み部分は、開閉体10の幅方向端部側で折れ曲がるようにして、凹状のガイドレール内に挟み込まれて、前記開放動作によっても解消されない場合がある。
このような場合、図5(c)に示すように、開閉体10の開放動作を全開感知信号に応じて停止した全開時点においても、巻取体31に巻き取られた開閉体10には、弛みが残存する。
この全開時点においては、カウント値と、先に記憶した動作原点値との比較が行われ、カウント値が動作原点値以上である場合には、前記弛み等に起因して、巻取体31の停止位置が、前回の全開時点の停止位置(図示例によれば図5(a)に示す初期位置)よりも繰り出し方向側(図示例によれば反時計方向側)にあるものとみなされ、動作原点値の更新を行わない(ステップ14参照)。
【0043】
この後、閉鎖指令により開閉体10が閉鎖動作し、その閉鎖動作中、障害物の当接がなく、且つ、カウント手段により加算されるカウント値と動作原点値との差が、前記全閉ストローク値以上となった場合には、巻取体31の繰出し回転を停止することで、開閉体10の閉鎖動作を停止する(前記ステップ5及び6参照)。
この全閉停止状態では、図5(d)に示すように、開閉体10にはほとんど弛みを生じることなく、且つ、開閉体10の閉鎖方向端部と着座対象部位Pとの間にはほとんど隙間を生じない。
【0044】
つまり、例えば、図5(c)に示す全開時点で、仮に、動作原点値を、その全開時点のカウント値である+10に更新してしまった場合には、その後の閉鎖動作において、カウント値と動作原点値(+10)の差が全閉ストローク値(100)に達した時点、すなわち、カウント値が+10から+110に増加してその増加量が100となった時点で、巻取体31の繰り出し回転が停止する。この結果、この全閉停止時点では、全開時点で巻取体31に巻かれた開閉体10の弛みが、解消されずに残存することになる。
しかしながら、本実施例では、図5(c)に示す全開時点で、動作原点値を先に記憶した0のままとしているため、その後の閉鎖動作において、カウント値と動作原点値(0)との差が全閉ストローク値(100)に達した時点、すなわち、カウント値が+10から+100に増加してその増加量が90となった時点で、巻取体31の繰り出し回転が停止する。この結果、この全閉停止時点では、全開時点で巻取体31に巻かれた開閉体10の弛みが、解消されることになる。
なお、前記数値及び図示の数値は、本実施例の動作をわかり易く説明するための一例であり、実際の動作を示す数値とは異なる場合がある。
【0045】
よって、上記構成の開閉装置Aによれば、熱影響等により開閉体10の開閉方向の寸法が長くなった場合でも、開閉体10の全開時に動作原点値を更新するようにしているため、全閉時の開閉体10に弛みが生じるのを防ぐことができ、その上、障害物Xとの当接に起因する弛みが全開時に解消されない場合でも、その場合には開閉体10の全開時に動作原点値を更新しないため、全閉した際の開閉体10に弛みを生じるのを防ぐことができる。
【0046】
次に、制御部34による制御動作の他例について説明する。以下に示す制御動作は、制御部34を機能させるプログラムを入れ替えることにより、図2に示すフローチャートにおける開放動作ルーチン(ステップ4)の内容のみを、図6に示すフローチャートに変更している。
【0047】
図6に示す開放動作ルーチンでは、先のステップ3(図2参照)にて障害物感知ありと判断された直後に、次のステップ21で障害物感知フラグをオンにする。
ここで、障害物感知フラグとは、障害物感知の有無を示す変数であり、制御部34の記憶装置(図示せず)に記憶される。例えば、障害物感知フラグONを1、障害物感知フラグOFFを0とすればよい。
【0048】
次にステップ22では、開閉機33の逆転により巻取体31が巻取回転され、開閉体10が開放動作するとともにその開放動作に伴ってカウント値が減算されてゆく。
【0049】
次にステップ23では、全開感知手段による全開感知信号があったか否かが判断され、全開感知信号があった場合は開閉体10が全開したものとみなされて次のステップ24へ処理が進められ、そうでなければ、全開感知信号があるまで、巻取体31の巻取り回転を継続する。
【0050】
次にステップ24では、開閉機33の回転を停止することにより、巻取体31の巻取り回転、及び開閉体10の開放動作を停止する。
【0051】
次にステップ25では、前記障害物感知フラグがオンであるか否かを判断し、オンでない場合(オフの場合)は次のステップ26へ処理を進め、オンである場合にはステップ27へ処理をジャンプする。
【0052】
ステップ26では、動作原点値を、現時点のカウント値に更新する。換言すれば、現時点のカウント値が、新たな動作原点値として、制御部34の記憶装置に記憶される。
ステップ27では、前記障害物感知フラグがオフにされる。
【0053】
すなわち、例えば、開閉体10が全閉状態から全開した場合や、閉鎖動作中の開閉体10が障害物感知することなく開放指令によって全開した場合等、全開となる直前の閉鎖動作で障害物感知がなかった場合には、前記ステップ26が実行されることにより、動作原点値が更新される。また、全開となる直前の閉鎖動作で障害物感知があった場合には、前記更新処理がジャンプされる。
【0054】
そして、ステップ28では、図6に示す開放動作ルーチンを全て終了して、処理をステップ1へ戻す。
【0055】
次に、図6に示す開放動作ルーチンを実行した場合の開閉装置Aの実際の動作の一例を、図7に基づいて説明する。
まず、図7(a)に示すように、機械的原点位置が0である開閉体10の全開初期状態において、その時点のカウント値(例えば0)が、動作原点値として記憶される。
この全開状態において、閉鎖指令があると開閉体10は閉鎖動作を開始し(図2のステップ1及び2参照)、その閉鎖動作中、図5(b)に示すように、開閉体10の閉鎖方向端部が障害物Xに当接すると、障害物感知手段12aにより障害物感知信号が発せられる(図2のステップ3及び4参照)。前記当接の際には、衝撃等に起因して、開閉体10には弛み(撓み)が生じる場合がある。
【0056】
制御部34は、障害物感知信号を受けると、障害物感知フラグをオンにし(図6のステップ21参照)、全開感知手段による全開感知信号があるまで、開閉体10を開放動作する(図6のステップ22及び23参照)。前述したように開閉体10に弛みが生じた場合、この弛みは、開閉体10の幅方向端部側で折れ曲がるようにして、凹状のガイドレール内に挟み込まれて、前記開放動作によっても解消されない場合がある。
このような場合、図7(c)に示すように、開閉体10の開放動作を全開感知信号に応じて停止した全開時点においても、巻取体31に巻き取られた開閉体10には、弛みが残存し、この弛みにより、巻取体31が繰り出し回転寄りで停止するため、この全開時点のカウント値は、初期の全開時点(図7(a)の時点)よりも増加する。すなわち、図示例によれば、初期の全開時点(図7(a))のカウント値が0に対し、次の全開時点(図7(c))のカウント値は10に増加している。
この全開時点においては、障害物感知フラグがオンであるか否かが判断され(図6のステップ25参照)、前記のように障害物感知フラグがオンとなっている場合には、動作原点値を現時点のカウント値に更新する処理(図6のステップ26)を行わず、先に記憶した動作原点値(例えば0)がそのまま継続して用いられる。そして、その後、障害物感知フラグはオフにされる。
【0057】
この後、閉鎖指令により開閉体10が閉鎖動作し、その閉鎖動作中、障害物の当接がなく、且つ、カウント手段により加算されるカウント値と動作原点値との差が、前記全閉ストローク値以上となった場合には、巻取体31の繰出し回転を停止することで、開閉体10の閉鎖動作を停止する(図2のステップ5及び6参照)。
この全閉停止状態では、図7(d)に示すように、開閉体10にはほとんど弛みを生じることなく、且つ、開閉体10の閉鎖方向端部と着座対象部位Pとの間にはほとんど隙間を生じない。
【0058】
つまり、図6の開放動作ルーチンを実行した場合、直前の閉鎖動作で障害物感知があったことを条件に、図7(c)に示す全開時点で、動作原点値を更新せずに先に記憶した動作原点値(0)のままとするため、その後の閉鎖動作において、カウント値と動作原点値(0)との差が全閉ストローク値(100)に達した時点、すなわち、カウント値が+10から+100に増加してその増加量が90となった時点で、巻取体31の繰り出し回転が停止する。この結果、全閉停止時点では、全開時点で巻取体31に巻かれていた開閉体10の弛みが、解消されることになる。
【0059】
次に、制御部34による制御動作の他例として、図2のステップ4の開放動作ルーチンを、図8に示すフローチャートとした態様について説明する。
先ず、図8に示す開放動作ルーチンでは、開閉機33の逆転により巻取体31が巻取回転され、開閉体10が開放動作するとともにその開放動作に伴ってカウント値が減算されてゆく(ステップ31)。
【0060】
ステップ32では、全開感知手段による全開感知信号があったか否かが判断され、全開感知信号があった場合は次のステップ33へ処理が進められ、そうでなければ、全開感知信号があるまで、巻取体31の巻取り回転を継続する。
【0061】
ステップ33では、開閉機33の回転を停止することにより、巻取体31の巻取り回転、及び開閉体10の開放動作を停止する。
【0062】
ステップ34では、動作原点値を、現時点のカウント値に更新する。すなわち、このステップ34では、カウント値の大小判断や、障害物感知の有無の判断等、図4及び図6の開放動作ルーチンで行った判断を行うことなく、動作原点値が、現時点のカウント値に更新される。
【0063】
ステップ35では、前記ステップ34の更新の前後の動作原点値の差分値を算出する。
【0064】
ステップ36では、先に記憶していた全閉ストローク値から前記差分値を減算して求まる新たな全閉ストローク値を、制御部34の記憶装置(図示せず)に記憶する。
【0065】
そして、ステップ37では、図8に示す開放動作ルーチンを全て終了して、処理をステップ1へ戻す。
【0066】
次に、図8に示す開放動作ルーチンを実行した場合の開閉装置Aの実際の動作の一例を、図9に基づいて説明する。
まず、図9(a)に示すように、機械的原点位置が0である開閉体10の全開初期状態において、その時点のカウント値(例えば0)が、動作原点値として記憶される。
この全開状態において、閉鎖指令があると開閉体10は閉鎖動作を開始し(図2のステップ1及び2参照)、その閉鎖動作中、図9(b)に示すように、開閉体10の閉鎖方向端部が障害物Xに当接すると、障害物感知手段12aにより障害物感知信号が発せられる(図2のステップ3及び4参照)。前記当接の際には、衝撃等に起因して、開閉体10には弛み(撓み)が生じる場合がある。
【0067】
制御部34は、障害物感知信号を受けると、全開感知手段による全開感知信号があるまで、開閉体10を開放動作する(図8のステップ31〜33参照)。前述したように開閉体10に弛みが生じた場合、この弛み部分は、開閉体10の幅方向端部側で折れ曲がるようにして、凹状のガイドレール内に挟み込まれて、前記開放動作によっても解消されない場合がある。
このような場合、図9(c)に示すように、開閉体10の開放動作を停止した全開時点においても、巻取体31に巻き取られた開閉体10には、弛みが残存し、この弛みにより、巻取体31が繰り出し回転寄りで停止するため、この全開時点のカウント値は、初期の全開時点(図9(a)の時点)よりも増加する。すなわち、図示例によれば、初期の全開時点(図7(a))のカウント値が0に対し、次の全開時点(図7(c))のカウント値は10に増加している。
【0068】
制御部34は、前記全開時点(図9(c)参照)において、動作原点値を現時点のカウント値(10)に更新する。そして、その更新前後の動作原点値の差分値を算出する。図示例によれば、更新前の動作原点値(0)と、更新後の動作原点値(10)とから、差分値(10)が求められる。
さらに、制御部34は、先に記憶していた全閉ストローク値(100)から前記差分値(10)を減算し、その計算値(90)を、新たな全閉ストローク値として記憶する。
【0069】
この後、閉鎖指令により開閉体10が閉鎖動作し、その閉鎖動作中、障害物の当接がなく、且つ、カウント手段により加算されるカウント値と動作原点値との差が、前記全閉ストローク値以上となった場合には、巻取体31の繰出し回転を停止することで、開閉体10の閉鎖動作を停止する(図2のステップ5及び6参照)。
この全閉停止状態では、図9(d)に示すように、開閉体10にはほとんど弛みを生じることなく、且つ、開閉体10の閉鎖方向端部と着座対象部位Pとの間にはほとんど隙間を生じない。
【0070】
つまり、図9の開放動作ルーチンを実行した場合、全閉ストローク値が、元の値(100)から前記差分値(10)を減算した値(90)に更新される。このため、開閉体10を閉鎖動作した際には、カウント値が+10から+100に増加してその増加量が、更新された全閉ストローク値(90)となった時点で、巻取体31の繰り出し回転が停止する。この結果、全閉停止時点では、全開時点で巻取体31に巻かれていた開閉体10の弛みが、解消されることになる。
【0071】
なお、上記記載では、開放指令や停止指令があった時の動作の説明を省略しているが、開閉体10の閉鎖動作中や全閉中に開放指令があった場合には、開閉機33の動作により巻取体31の巻取り回転及び開閉体10の開放動作が行われる。また、開閉体10の開閉動作中に停止指令があった場合には、開閉機33内のブレーキ装置(図示せず)を作動させることで、巻取体31の回転及び開閉体10の開閉動作が停止する。
【0072】
また、図示を省略するが、開閉装置Aを特に防災シャッターとして用いる場合等には、開閉体10の幅方向端部に、開閉体開閉方向に間隔を置いて、あるいは必要に応じ連続して、単数又は複数の抜止め突起を設け、前記抜止め突起をガイドレール20に係合させて、災害時の風圧や圧力差等により、開閉体10の幅方向端部がガイドレール20から抜けるのを防ぐようにしてもよい。
【0073】
また、他例としては、開閉体10の幅方向の端部に係合子(図示せず)を設けるとともに、巻取体31の軸方向の端部に前記係合子と係脱する円環状の被係合部(図示せず)を設け、開閉体10を巻取体31に巻き取る際には、前記係合子と前記係合部を係合させ、開閉体10を巻取体31から繰り出す際には、前記係合子と前記係合部を離脱させる構造を付加することも可能である。
【0074】
また、本発明に係る開閉装置は、開閉体が剛性材料(例えば鉄製)からなる比較的頑丈なスラットで構成されたシャッター装置にも適用可能であるが、特には、背景技術で説明したように、例えば、開閉体が比較的柔軟なシートで構成されていて、開閉体に障害物が当接した際に、障害物へのダメージや開閉体の破損等をなるべく少なくする目的で、開閉体に障害物が当接した際の衝撃により、撓みが生じたり、部分的に折り曲がったり、さらにはガイドレールから開閉体が一部離脱したり、あるいは開閉体が一部離脱しても自動または手動でガイドレール内に復帰できたりするように構成されているシャッター装置に対して、より好適である。
【符号の説明】
【0075】
10:開閉体 12:座板部材
13:当接部材 12a:障害物感知手段
20:ガイドレール 21:上限ストッパ
31:巻取体 33:開閉機
34:制御部 A:開閉装置
X:障害物 p:着座対象部位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
双方向へ回転するように制御された巻取体と、該巻取体に巻き取られることで開放動作し、該巻取体から繰り出されることで閉鎖動作する開閉体と、該開閉体の幅方向の端部を囲んで開閉方向へ案内するガイドレールと、前記巻取体の原点位置からの回転に伴う変化量をカウント値として認識するカウント手段と、前記開閉体が全開位置にある際の前記カウント値を動作原点値として記憶する手段と、開閉体が全開位置になったことを感知する全開感知手段と、閉鎖動作中の開閉体が障害物に当接したことを感知する障害物感知手段とを備え、前記巻取体の繰出し回転中に前記障害物感知手段の感知信号があった場合に、前記巻取体を巻取回転させ、この巻取回転を前記全開感知手段の感知信号に応じて停止し、前記巻取体の繰出し回転中に前記カウント値と前記動作原点値の差が所定の全閉ストローク値になった場合には、前記巻取体の繰出し回転を停止するようにした開閉装置において、
前記巻取体の巻取回転を前記全開感知手段の感知信号に応じて停止した際に、前記開閉体の全閉時に前記巻取体の繰出回転を停止するタイミングを調整するための処理を行うことを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
前記巻取体の巻取回転を前記全開感知手段の感知信号に応じて停止した際に、この停止時点の前記カウント値と、同停止時点よりも前に記憶された動作原点値とを比較し、前記カウント値が前記動作原点値よりも小さい場合に、前記動作原点値を前記停止時点の前記カウント値に更新し、そうでない場合には、前記動作原点値を更新しないようにしたことを特徴とする請求項1記載の開閉装置。
【請求項3】
前記巻取体の繰出し回転中に前記障害物感知手段の感知信号があった場合に該感知信号があったことを記憶する記憶手段を備え、
前記巻取体の巻取回転を前記全開感知手段の感知信号に応じて停止した際に、前記記憶手段により記憶されたデータに基づき前記巻取回転の直前に障害物感知があったか否かを判断し、障害物感知があった場合には、前記動作原点値を更新せず、そうでない場合に前記動作原点値を前記停止時点の前記カウント値に更新するようにしたことを特徴とする請求項1記載の開閉装置。
【請求項4】
前記巻取体の巻取回転を前記全開感知手段の感知信号に応じて停止した際に、前記動作原点値をその停止時点の前記カウント値に更新するとともに、
この更新の前後の動作原点値の差分値を算出し、この差分値を前記全閉ストローク値から減算するようにしたことを特徴とする請求項1記載の開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−100649(P2013−100649A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243882(P2011−243882)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000239714)文化シヤッター株式会社 (657)
【Fターム(参考)】