説明

開閉部材及びそれを用いた間仕切りユニット

【課題】磁気的吸着性が高いとともに、閉鎖による閉じ音が低減された開閉部材及び間仕切りユニットを提供する。
【解決手段】開閉部材は、互いに対向可能な一対の棒状部材1a,1bと、一対の棒状部材の対向部位に配設された軟質マグネット部材2a,2bとを備え、磁力により吸着可能である。一方の棒状部材1aの長手方向に形成された装着凹部3aには、装着凹部3aの幅方向にN極及びS極を隣接させて第1の軟質マグネット部材2aを装着し、他方の棒状部材1bの長手方向に形成された装着凹部3bには、前記第1の軟質マグネット部材2aの磁極に対して反対の磁極を向けて第2の軟質マグネット部材2bを装着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁力を利用して開閉可能な間仕切りユニット(間仕切りカーテンなど)などを形成し、会議室などの空間を仕切るのに有用な開閉部材及びそれを用いた間仕切りユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
間仕切りカーテンは、会議室、宴会場、応接室などの種々の空間を仕切るために広く利用されている。このような間仕切りカーテンを開閉するための開閉部材には、通常、長尺な一対の開閉部材の対向面に配設された磁石が利用されている。しかし、開閉部材の対向面に磁石を配置すると、閉鎖時に磁石が磁気的に吸着する吸着音が生じる。そのため、通常、一対の開閉部材の対向面には、長手方向に沿って装着凹部が形成され、この装着凹部に、複数の磁石と、これらの磁石の間に配設され、かつ弾性を有するクッション材とが交互に配設されている。そして、吸着音を軽減するため、前記クッション材は磁石よりも対向面側に湾曲又は突出している。なお、クッション材としては、通常、前記装着凹部に装着可能であり、かつ対向面側が湾曲又は屈曲したシート状成形体が利用されている。しかし、このような開閉部材は、複数の磁石の位置決め固定やクッション材の装着操作が必要であり、組み立て操作が煩雑である。さらに、クッション材が対向面側に湾曲又は屈曲しているため、閉じ操作においてクッション材の先端部が先ず接触するため、磁石による開閉部材の吸着力が低減するとともに、磁石の磁力を開閉部材の開閉に有効に利用できなくなる。
【0003】
特開2000−220355号公報(特許文献1)には、多数枚のパネルをハンガーレールに沿って移動可能に支持するとともに、各パネルをそれぞれ回動可能に連結し、先頭に位置するパネルの端部には先頭框を設け、前記先頭框を先頭ランナーを介して前記ハンガーレールから吊下支持した間仕切りパネルにおいて、前記先頭框には、該先頭框を壁面に密着させる吸着手段を設け、前記先頭框の先端部には前記吸着手段を覆うようにカバーを取着し、前記カバーは前記吸着手段を露出させるように切除可能とした間仕切りパネルが開示されている。この文献には、前記吸着手段は、前記先頭框に磁石を取着し、前記カバーを切除して前記磁石を露出させたとき、前記壁面に前記磁石に吸着するマグネット受けを取着して構成することが記載されている。この文献には、前記カバーがクッションゴムであることが記載されている。
【0004】
この吸着手段は、クッションゴムと磁石とで構成され、磁石に形成されたヨーク板の突条が、金属板で構成されたマグネット受けに吸着される。そして、閉鎖時には、クッションゴムの先端部が撓んで壁面に密着する。そのため、前記吸着手段は、磁気的吸着性が低く、閉鎖による閉じ音を抑制するのが困難である。また、ハンガーレールを支点にしたパネルが揺動すると、マグネット受けに対するヨーク板の突条の位置がずれる。そのため、マグネット受けにヨーク板の突条を精度よく位置させるためには、ハンガーレールに沿ってパネルを揺動させることなく移動させる必要があり、開閉操作が煩雑であるとともに慎重にパネルを閉じ方向に移動させる必要がある。さらに、前記カバーの切除や吸着手段の構築作業も繁雑であり、間仕切りパネルの組み立て作業性も低下する。
【特許文献1】特開2000−220355号公報(請求項1及び4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、磁気的吸着性が高いとともに、閉鎖による閉じ音が軽減された開閉部材及びそれを用いた間仕切りユニットを提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、閉じ操作により位置ずれが生じることのない開閉部材及びそれを用いた間仕切りユニットを提供することにある。
【0007】
本発明のさらに他の目的は、簡単な組み立て操作で容易に構築できる開閉部材及びそれを用いた間仕切りユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、一対の磁気的吸着部材のうち、少なくとも一方の磁気的吸着部材を、磁性粉体と軟質樹脂とを含む軟質マグネット部材で構成すると、前記従来のクッション材を用いることなく、磁気的吸着性を向上できるとともに、閉鎖による閉じ音を有効に軽減できることを見いだし、本発明を完成した。さらに、本発明者は、一対の開閉部材の対向部の幅方向に異なる磁極(N極及びS極)を隣接させ、しかも一対の開閉部材の対向面においては、互いに反対の磁極(N極に対してはS極、S極に対してはN極)を向けてマグネット部材を対向させると、同極同士で反発し異なる極性で吸着する磁気的作用を利用して、位置ずれを生じることなく一対の部材を円滑に閉じることができることを見いだした。
【0009】
すなわち、本発明の開閉部材は、互いに対向可能な一対の部材と、一対の部材の対向面にそれぞれ配設され、かつ互いに磁気的に吸着可能な磁気的吸着部材とを備えた一対の開閉部材である。前記開閉部材は、一対の部材のうち一方の部材の幅方向に、異なる磁極を隣接させて第1のマグネット部材が配設され、他方の部材の対向面に、強磁性部材、又は前記第1のマグネット部材の磁極に対して反対の磁極を向けて第2のマグネット部材が配設されており、前記第1及び第2のマグネット部材のうち少なくとも第1のマグネット部材が、磁性粉体と軟質樹脂とを含む軟質マグネット部材で構成されている。
【0010】
前記開閉部材は、一対の部材のうち一方の部材の幅方向に、異なる磁極を隣接させて第1の軟質マグネット部材が配設され、他方の部材の対向面に、前記第1の軟質マグネット部材に対して反対の磁極を向けて第2の軟質マグネット部材が配設されていてもよい。このような開閉部材では、閉じ操作において、揺動などにより少なくとも一方の部材の軸線が他方の部材の軸線からずれたとしても、対向部位に反対の磁極を向けてマグネット部材が配設されているため、磁気的吸引力により位置ずれを補正できる。前記開閉部材は、少なくとも一方の部材がスライド可能であり、一対の部材が互いに対向可能な長尺な部材で構成され、第1及び第2のマグネット部材が軟質マグネット部材で構成され、これらのマグネット部材が、それぞれ、一対の部材の対向面に長手方向に延びて形成された装着部に装着されていてもよい。前記開閉部材は、固定部に固定された他方の部材に対して、一方の部材がスライド可能であってもよい。前記開閉部材は、一対の部材の対向面に長手方向に延びるあり溝状の装着部と、このあり溝状の装着部に摺動可能に装着された軟質マグネット部材とを備えていてもよい。開閉部材があり溝状の装着部を備えていると、マグネット部材をあり溝状装着部に挿入するという簡単な組み立て操作で容易に開閉部材を構築できる。前記開閉部材は、スライド可能に配設され、磁力により吸着する一対の長尺な開閉部材であって、一方の部材が、他方の部材との対向面に長手方向に形成された装着凹部と、この装着凹部の長手方向に装着されているとともに、前記装着凹部の幅方向に隣接し、かつ長手方向に延びたN極及びS極で形成された第1の軟質マグネット部材とを備え、他方の部材が、前記一方の部材との対向面に長手方向に形成された装着凹部と、この装着凹部の長手方向に装着されているとともに、前記第1の軟質マグネット部材の磁極に対して反対の磁極を対向させた第2の軟質マグネット部材とを備えていてもよい。
【0011】
前記開閉部材は、一対の部材のうち少なくとも一方の部材の側部に、開閉操作のための操作部を備えていてもよい。前記操作部は、一方の部材の側部から延出する延出部と、この延出部の端部に形成された把持部とを備えており、この把持部が、前記延出部に対して、開閉方向の開方向に位置していてもよい。このような把持部を備えていると、開閉部材の開き操作において、開閉部材にはマグネット部材の対向方向に対して斜め方向から牽引力(又は引離力)が作用する。そして、一対の磁気的吸着部材の吸着力は対向方向に対しては強いものの、斜め方向からの牽引力に対しては弱く、しかも一対のマグネット部材の吸着面の側部が一旦開くと、磁気的吸着部材の磁気的吸着力が急激に弱まる。そのため、このような操作部を備えていると、開閉部材を容易に開閉することができる。
【0012】
前記開閉部材は、一対の部材のうち少なくとも一方の部材に、間仕切シートを取り付けるための取り付け部を備えていてもよい。前記取り付け部は、一対の部材の対向面に対して反対側の側部に形成されていてもよい。前記開閉部材は、少なくとも一方の部材の取り付け部に対して位置決め可能な位置決め部を有し、かつこの位置決め部以外の部位で間仕切りシートを挟持するための押さえ部材をさらに備えていてもよい。このような押さえ部材を備えていると、一方の部材に対して押さえ部材を位置決めできるため、間仕切りシートのずれを防止しつつ、開閉部材を容易に組み立てることができる。前記開閉部材は、レールに沿って空間を仕切るための間仕切り用部材を構成してもよい。
【0013】
本発明には、一対の部材と、一対の部材の対向面にそれぞれ配設され、かつ互いに磁気的に吸着可能な磁気的吸着部材と、前記一対の部材のうち少なくとも一方の部材の非対向面に取り付けられた間仕切シートとを備え、前記磁気的吸着部材の磁力を利用して開閉可能な間仕切りユニットであって、前記一対の部材のうち一方の部材の幅方向に、異なる磁極を隣接させて第1のマグネット部材が配設され、他方の部材の対向面に、強磁性部材、又は前記第1のマグネット部材の磁極に対して反対の磁極を向けて第2のマグネット部材が配設されており、前記第1及び第2のマグネット部材のうち少なくとも第1のマグネット部材が、磁性粉体と軟質樹脂とを含む軟質マグネット部材で構成されている間仕切りユニットも含まれる。前記間仕切りユニットは、一対の部材のうち一方の部材の幅方向に、異なる磁極を隣接させて第1の軟質マグネット部材が配設され、他方の部材の対向面に、前記第1の軟質マグネット部材に対して反対の磁極を向けて第2の軟質マグネット部材が配設されていてもよい。前記間仕切りユニットは、レールに沿ってスライド可能に配設され、互いに対向可能な長尺な一対の部材と、これらの一対の部材の対向面にそれぞれ長手方向に形成された装着凹部と、一方の部材の装着凹部の長手方向に装着されているとともに、前記装着凹部の幅方向に隣接し、かつ長手方向に延びたN極及びS極で形成された第1の軟質マグネット部材と、他方の部材の装着凹部の長手方向に装着されているとともに、前記第1の軟質マグネット部材の磁極に対して反対の磁極を対向させた第2の軟質マグネット部材と、一対の部材の対向面に対して反対側の側部に取り付けられた間仕切りシートとを備えていてもよい。前記間仕切りユニットは、少なくとも一方の部材の側部に、開閉操作のための操作部を備えていてもよい。前記間仕切りユニットは、間仕切りシートの途中部で間仕切りシートを挟持して支持するための一対の支持部材を備えた間仕切りユニットであって、前記一対の支持部材のうち、間仕切りシートを挟持可能な挟持面が、断面形状において対称な凹凸面を有していてもよい。このような凹凸面を有していると、相手部材を誤ることなく、開閉部材を容易に組み立てることできる。
【0014】
なお、本明細書において、「一対の部材」又はその「部材」を「一対の開閉部材」、「開閉部材」、又は「棒状部材」と言う場合がある。また、「軟質マグネット部材」を「マグネットクッション部材」、「ゴム磁石部材」、又は「ラバーマグネット部材(ラバー磁石部材)」と言う場合がある。「マグネット部材」は、「軟質マグネット部材」及び「磁石類で構成された部材」の双方を含む意味に用いる。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、一対の磁気的吸着部材のうち、少なくとも一方の磁気的吸着部材を、磁性粉体と軟質樹脂とを含む軟質マグネット部材で構成するため、磁気的吸着性を向上できるとともに、閉鎖による閉じ音を軽減できる。また、一対の開閉部材の対向部の幅方向に異なる磁極(N極及びS極)を隣接させ、一対の開閉部材の対向面においては、互いに反対の磁極(N極に対してはS極、S極に対してはN極)を向けてマグネット部材を対向させると、位置ずれを生じることなく一対の棒状部材を円滑に閉じることができる。さらに、反対の磁極のマグネット部材を対向部位で対向させればよいため、開閉部材の組み立て操作が簡単である。特に、あり溝状装着部と、このあり溝状装着部に摺動可能に装着されるマグネット部材とで開閉部材を構成すると、簡単な組み立て操作で容易に構築できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、必要に応じて添付図面を参照しつつ、本発明を詳細に説明する。図1は、本発明の開閉部材の一方の棒状部材を示す概略分解斜視図であり、図2は、図1の開閉部材を示す概略断面斜視図であり、図3は、図1の開閉部材を示す概略断面図である。
【0017】
図1に示す例において、開閉部材は、会議室などの空間を仕切るためのカーテン式間仕切りユニットの開閉部材を構成している。前記開閉部材は、長尺で断面四角形状の一対の中空筒状棒状部材1a,1bと、この棒状部材の対向面に長手方向に沿って形成されたあり溝状の装着凹部3a,3bと、この装着凹部3a,3bに長手方向に沿って装着された長尺状又は細片状の第1及び第2の軟質マグネット部材2a,2bと、前記一対の棒状部材1a,1bのうち一方の棒状部材1aの側部に取り付けられ、かつ前記開閉部材を開閉操作するための操作部5aと、前記一対の棒状部材1a,1bのうち対向面とは反対側の側部から延出して形成され、かつ間仕切りシート8a,8bを取り付けるための取り付け部9a,9bとを備えている。前記棒状部材1a,1bは、アルミニウムの押出成形により形成されている。
【0018】
前記装着凹部3a,3bの断面は、開口部側が狭まったあり溝状の形態を有しており、軟質マグネット部材2a,2bの装着性を高めるとともに脱落を防止している。すなわち、装着凹部3a,3bの断面形状は、ほぼコ字状であり、奥部が幅広のほぼコ字状凹部と、この奥部の凹部から階段状にさらに側方に幅広で延び、かつ開口部側が前記奥部の凹部よりも狭まったほぼコ字状の凹部とで形成された階段状の凹部で構成されている。
【0019】
軟質マグネット部材2a,2bが装着部凹部3a,3bから抜け落ちて脱離するのを防止するため、前記棒状部材1a,1bの装着凹部3a,3bの端部(下端部)には、L字状のストッパー4aが配置され、ねじ21で固定されている。
【0020】
軟質マグネット部材2a,2bは、装着凹部3a,3bに対応した断面形状をしており、装着状態において、軟質マグネット部材2a,2bの対向部位は装着凹部3a,3bから突出している。すなわち、軟質マグネット部材2a,2bの両側部は、幅方向の中央部よりも肉薄に階段状に形成され、前記装着凹部3a,3bの開口部側の凹部にスライド自在に配設可能であり、装着凹部3a,3bへの装着状態において、軟質マグネット部材2a,2bの対向面は装着凹部3a,3bの開口部側の凹部の深さよりも厚く、装着凹部3a,3bから互いに対向して突出している。そのため、一対の棒状部材1a,1bは軟質マグネット部材2a,2bの磁気的作用を利用して磁気的吸着性を高めることができるとともに、装着凹部3a,3bから突出する軟質マグネット部材2a,2bにより開閉部材の閉鎖による閉じ音を軽減又は緩衝できる。
【0021】
図2に示すように、一方の棒状部材(又は第1の棒状部材)1aの装着凹部3aに装着された第1の軟質マグネット部材2aは、幅方向に隣接し、かつ長手方向に延びるN極及びS極で構成されている。また、他方の棒状部材(又は第2の棒状部材)1bの装着凹部3bに装着された第2の軟質マグネット部材2bは、第1の軟質マグネット部材2aの磁極に対して反対の磁極を対向させている。すなわち、第1の軟質マグネット部材2aのN極に対しては第2の軟質マグネット部材2bのS極を向けて、第1の軟質マグネット部材2aのS極に対しては第2の軟質マグネット部材2bのN極を向けて、第1及び第2の軟質マグネット部材2a,2bがそれぞれ装着凹部3a,3bに装着されている。そのため、開閉部材の閉じ操作において、第1の棒状部材1aに対して第2の棒状部材1bが位置ずれ(例えば、第1の棒状部材1aの軸線に対して第2の棒状部材1bの軸線が位置ずれ)しても、N極とS極との磁気的作用を利用して、位置ずれすることなく、正確な位置で閉じることができる。なお、磁極(N極及びS極)を視覚的に識別することは困難であるが、理解を助けるため、軟質マグネット部材2a,2bにおいてN極及びS極を図示している。
【0022】
前記一対の棒状部材1a,1bのうち片方の棒状部材1aは、一方の側部に開閉操作のための操作部5aを備えている。この操作部5aは、一方の棒状部材1aの側壁から側部方向に延出する2つの延出部6aと、これらの延出部6aから開閉操作の開き方向に延出する連結部と、この連結部の端部を連結する把持部7aとを備えている。すなわち、操作部5aの平面形状はL字状に形成されている。そのため、把持部7aは、前記延出部6aに対して、開閉方向の開方向の位置に位置している。なお、前記一対の棒状部材1a,1bの両側部には、長手方向に延びる凹溝(又はあり溝状凹部)が形成されており、この凹溝に沿って前記操作部5aの基部8aがスライド可能である。そのため、前記操作部5aの基部8aは、高さ方向を位置決めし、ねじ22で部材1a,1bの側壁に取り付け可能である。操作部5aの基部は、ねじ22で螺合され、棒状部材1aの片方の側部に取り付けられている。このような操作部5aを形成すると、軟質マグネット部材2a,2bが磁気的に強力に吸着しても、小さな力で開閉部材を容易に開くことができる。
【0023】
図3に示すように、一方の棒状部材1aの側壁に取り付けられた把持部7aが、延出部6aに対して開方向の下流側に位置するため、閉鎖した開閉部材において、把持部7aを開閉操作の開方向に牽引すると、操作部5a及び一方の棒状部材1aには捻り力が作用し、軟質マグネット部材2a,2bの吸着部位のうち、操作部5aに対して反対側の端部を支点18として、吸着した軟質マグネット部材2a,2bが脱離する。すなわち、一対の軟質マグネット部材2a,2bの磁気的吸着力は対向方向に対しては強いものの、斜め方向からの牽引力(又は引離力)に対しては弱く、しかも一対の軟質マグネット部材2a,2bの吸着面の側部が一旦開くと、軟質マグネット部材2a,2bの磁気的吸着力が急激に弱まる。そのため、軟質マグネット部材2a,2bによる磁気的吸着力を容易に開放できる。
【0024】
さらに、前記一対の棒状部材1a,1bの対向面とは反対側の側部(開閉操作の開方向の側壁)には、間仕切シート9a,9bを取り付けるための取り付け部10a,10bが延出して形成されている。すなわち、取り付け部10a,10bは、開閉方向に沿って延び、かつ間仕切シート9a,9bを取り付けるための取付壁を備えており、端部コーナー部が面取又は切除された断面中空四角形状に形成されている。取り付け部10a,10bの取付壁と押さえ部材11a,11bとで間仕切りシート9a,9bを挟持し、ねじ23で取付壁と押さえ部材11a,11bとを螺着することにより一対の棒状部材1a,1bに間仕切りシート9a,9bを取り付けることができ、前記開閉部材に間仕切りシート9a,9bを取り付けることにより間仕切りユニットを形成している。なお、押さえ部材11a,11bの断面形状は、両側端部がL字状に屈曲したコ字状であり、この屈曲部の先端部を間仕切りシート9a,9bに向けて間仕切りシート9a,9bを挟持するとともに、ねじ止めすることにより、間仕切りシート9a,9bを強固に保持している。
【0025】
さらに、一対の棒状部材1a,1bの底部はキャップ12aでカバーされている。キャップ12aは、一対の棒状部材1a,1bの底部の断面形状に対応した形状を有し、一対の棒状部材1a,1bの側部の長手方向に延びる凹溝に差込可能な凸状の差し込み部13aを備えている。
【0026】
さらにまた、一対の棒状部材1a,1bの頂部(上部)には、開閉部材を吊り下げてレールに沿って移動させるため、ランナ14aが取り付けられている。このランナ14aは、棒状部材1a,1bの中空部に挿入可能なコ字状に形成され、ねじ24及びナット25により棒状部材1a,1bの上端部に取り付け可能な吊り下げ部15aと、所定のレールに沿って回動して移動するためのローラ部16aと、このローラ部16aに対して揺動可能に取り付けられたリング部17aと、このリング部を吊り下げ部15aに取り付けるためのねじ部26とで構成されている。
【0027】
このような開閉部材及び間仕切りユニットでは、レールに沿って開閉部材(一対の棒状部材1a,1b)を移動させ、一対の軟質マグネット部材1a,1bの磁気的吸着力を利用して、一対の棒状部材1a,1bが位置ずれすることなく、閉鎖時の閉じ音を低減しつつ、所定の空間を間仕切りシート8a,8bで円滑に仕切ることができる。また、操作部5aを利用して、一対の軟質マグネット部材1a,1bの磁気的吸着力を開放することにより、所定空間を容易に開放できる。
【0028】
図4は、本発明の開閉部材の別の例を示す概略断面図である。図5は、図4の開閉部材を示す概略断面斜視図である。図6は、間仕切りシートの途中部で間仕切りシートを支持するための一対の支持部材を示す概略断面図である。
【0029】
図4及び図5において、他方の棒状部材31は、ねじ35で壁面34に螺合され固定されており、この部材31に対して、一方の棒状部材41はスライド可能であり、他方の棒状部材31に対して一方の棒状部材41が開閉可能である。すなわち、他方の棒状部材31は、板状に形成され、一方の棒状部材41に対する対向面に長手方向に沿って形成されたあり溝状の装着凹部32と、前記第2の軟質マグネット部材2bと同様の第2の軟質マグネット部材33とを備えている。棒状部材31の対向面に対して反対側の裏面には、壁面34に沿いやすくするとともに、ねじ35による締付力を増すため、棒状部材31の長手方向に沿って、浅い凹溝36が形成されている。
【0030】
一方の棒状部材41は、前記装着凹部3a及び前記第1の軟質マグネット部材2aと同様に、装着凹部42に第1の軟質マグネット部材43が装着されており、間仕切りシート48を一方の棒状部材41との間で挟持するための押さえ部材44を備えている。すなわち、一方の棒状部材41は、断面中空形状を有しており、装着凹部42の壁面のうち一方の側部(図5では右側の側部)から後方(対向面に対して反対方向、又は開閉方向の開方向)に延び、かつ内側の側壁が被押圧壁45として形成されている。被押圧壁45において、棒状部材41は、装着凹部42の壁面から所定間隔離れて側方(図5では左側方向)に突出して長手方向に延びて形成された突起部46(又は凸条部)と、装着凹部42の壁面から後方の側部に、間仕切りシート48を挟圧可能な挟圧部51を有している。押さえ部材44は、断面中空形状を有しており、被押圧壁45に対する対向壁50と、この対向壁50おいて前記突起部46が嵌合装着可能であり、かつ長手方向に延びて形成された断面コ字状の凹部47(又は凹溝)と、装着凹部42の壁面から後方の側部に、前記挟圧部51との間に間仕切りシート48を挟圧可能な挟圧部52とが形成されている。
【0031】
このような構造の開閉部材では、棒状部材41の突起部46と、押さえ部材44の凹部47とを用いることにより、間仕切りシート48の位置ずれを防止しつつ、押さえ部材44を棒状部材41に対して正確に、かつ容易に嵌合でき、嵌合状態でねじ49で固定することにより、開閉部材を容易に組み立てることができる。また、挟圧部51,52を利用して間仕切りシートの保持性を高めることができる。
【0032】
図6に示すように、間仕切りシート62の途中部は、一対の支持部材61a,61bで挟持して支持してもよい。一対の支持部材61a,61bの挟持面は、断面形状が対称な湾曲した凹凸部63,64を有している。すなわち、一対の支持部材61a,61bの対向面の中央部には、ねじ65で螺合するための螺着部66が形成され、挟持面は、この螺着部から対称形状に湾曲して形成されている。このような凹凸部63,64で挟持すると、間仕切りシート62の位置ずれを防止でき、間仕切りシート62を強固に保持できる。さらに、凹凸部63,64は、対称な形状であるため、一対の支持部材61a,61bを誤って対向させることなく、簡単かつ確実に開閉部材を組み立てることができる。また、断面形状が湾曲しているため、間仕切りシートを挟持しても、皺が生じにくく、破損するのを防止できる。
【0033】
なお、一対の開閉部材は、互いに対向可能な一対の部材で構成でき、前記開閉部材の長さは、特に制限されず、用途に応じて短尺であってもよく長尺であってもよい。会議室や宴会場などの空間を仕切る場合には、通常、長尺な部材を用いる場合が多い。少なくとも一方の部材(一方又は双方の部材)は、移動可能(又はスライド可能)な部材であってもよい。また、他方の部材は、移動可能(又はスライド可能)な部材の他、壁、柱などの固定部に固定された部材などであってもよい。前記部材の形状は、棒状の他、柱状、板状などであってもよい。また、前記部材の断面形状は、円形状、楕円形状、多角形状[三角形状、四角形状(正方形状、長方形状など)、五角形状など]などであってもよい。また、前記部材(特に、移動可能な部材)は、中実状であってもよいが、軽量化するためには中空状であるのが有利である。なお、前記部材は、一部に中空部を有していてもよいが、全体が中空状である場合が多い。前記一対の部材は、それぞれ、異なる材料で形成されていてもよく、同じ材料で形成されていてもよい。前記一対の開閉部材は、木材、プラスチックなどで形成してもよく、間仕切りカーテンなどの間仕切り部材では、強度の面から、アルミニウムなどの金属で形成してもよい。
【0034】
互いに対向可能な部材のうち少なくとも一方の部材はスライド可能であってもよく、双方の部材がスライド可能であってもよい。部材のスライド機構は、前記レール(ハンガーレールなどの案内手段)と、このレール上を移動可能なスライド部材(レール上を転動可能であり、かつレールから吊下して支持されたランナ部材など)と、このスライド部材を前記部材に取り付けるために取付部材とで構成でき、前記のように、スライド部材と取付部材との間にリングなどの揺動部材が介在していてもよい。また、部材の下部は、レールによりスライド可能に支持されていてもよい。例えば、部材の下部(又は下端面)にレールに沿ってスライド又は転動可能なランナ又はローラ部材を取り付けてもよい。
【0035】
前記開閉部材は、磁気的吸着部材を装着するための装着部を有していてもよく、この装着部は、部材の適所に形成できるが、通常、部材の対向部位に形成されている場合が多い。
【0036】
前記装着部は、前記磁気的吸着部材を装着可能であれば特に制限されず、凸部、突起などで構成してもよいが、凹部で構成する場合が多い。また、装着部は磁気的吸着部材が取付可能な平坦面であってもよい。また、装着部は、一対の棒状部材の長手方向(又は軸方向)に沿って全長に亘り形成してもよく、両端部を残して長手方向に延びて形成してもよく、部分的に(例えば、長手方向に沿って離散して)形成してもよい。例えば、棒状部材の長手方向(又は軸方向)に沿って規則的又は不規則的な間隔で形成してもよい。装着部は長尺又は細幅状の磁気的吸着部材の装着性を高めるためには、棒状部材の長手方向に延びる装着凹部であるのが有利である。装着部の断面形状は、磁気的吸着部材を装着した固定可能である限り特に制限されず、断面コ字状、開口部側が拡がった台形状、開口部側が狭まった多角形状(三角形状など)などであってもよく、必要であれば磁気的吸着部材が装着又は挿入可能な中空状であってもよい。好ましい装着部は、スライドにより磁気的吸着部材を容易に装着可能な形態、例えば、開口部側が狭まったあり溝状(例えば、断面円状、断面楕円形状、断面台形状、開口部側が狭まった断面コ字状、奥部の凹部よりもさらに幅広で、かつ開口部側が前記奥部の凹部よりも狭まった階段状の凹部など)などが挙げられる。特に、マグネット部材(特に、軟質マグネット部材)が棒状部材の長手方向に延びる装着凹部にスライドにより装着可能な形態であるのが好ましい。なお、装着部に対して磁気的吸着部材は、接着剤、ビスなどの固定手段により装着してもよい。
【0037】
磁気的吸着部材が装着部に保持される限り、必ずしも必要ではないが、装着部又は開閉部材には、磁気的吸着部材が装着部から脱落するのを防止するため、ストッパや固定部材などの脱落防止手段を取り付けてもよい。脱落防止手段は、磁気的吸着部材の種類や個数などに応じて適所に配置できる。
【0038】
前記開閉部材は必ずしも操作部(又は取っ手)を備えている必要はないが、開閉部材及び間仕切りユニットの開閉操作のために操作部を備えているのが好ましい。この操作部は、開閉部材のうち、少なくとも一方(一方又は双方)の棒状部材に形成できる。前記操作部は、開閉部材の両側壁(又は両側面)に取り付けてもよく、一方の側壁(又は側面)に取り付けてもよい。また、対向する一対の開閉部材において、前記操作部は、一方の部材の一方の側壁と、他方の部材の他方の側壁とに取り付けてもよい。さらには、操作部は、一対の対向する開閉部材のうち隣接する一方の側壁(又は側面)に取り付けてもよい。なお、前記操作部は開閉部材の適所に形成できる。また、前記操作部を開閉部材の両側壁に取り付ける場合、取り付ける位置(高さ)は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0039】
前記操作部の形態は特に制限されず、指が係止可能な凹部や凸部、棒状体などであってもよく、開閉部材の側面に形成された取っ手状の把持部であってもよい。また、操作部の平面形状は、開閉部材の側面から側方に延びる枠状であってもよく、開閉操作での閉じ方向に屈曲又は湾曲した枠状であってもよく、開閉操作での開き方向に屈曲又は湾曲した枠状であってもよく、前記枠状の操作部の形態は、側面形状がコ字状、アーチ状などのフレーム状などであってもよい。前記一対の部材の両側部には、長手方向に延びて形成された装着部(凹溝又はあり溝状凹部など)に沿って前記操作部の基部がスライド可能に挿入されていてもよい。前記装着部に対して、操作部がスライド又は摺動可能な形態では、前記操作部の基部を装着部に沿ってスライドにより挿入し、高さ方向を位置決めし、ねじなどの固定手段で固定することにより、簡単な操作で前記操作部を棒状部材の側壁に取り付けることができる。
【0040】
前記操作部は、通常、開閉部材の側部から延出する延出部と、この延出部の端部に形成された把持部とを備えている。前記延出部は、部材の側部から側方に延出していてもよく、側方に対して斜め方向に(例えば、開閉操作の開方向(後退動方向)に対して斜めに)延出していてもよい。好ましい操作部は、一方の部材の側部から延出する延出部と、この延出部の端部に形成された把持部とを備えており、この把持部が、前記延出部に対して、開閉方向の開方向に位置している。すなわち、把持部は、前記延出部に対して開閉方向の開方向に湾曲又は屈曲している。
【0041】
前記一対の部材は、それぞれの対向面(又は対向部位)に、磁気的吸着部材を備えている。一対の磁気的吸着部材のうち少なくとも一方の磁気的吸着部材は、軟質マグネット部材で構成できる。他方の磁気的吸着部材は、軟質マグネット部材の他、磁石類で構成された部材、強磁性部材(鉄、ニッケル、コバルト、これらの合金などで構成された部材)などで構成できる。
【0042】
開閉部材が片開き方式(一方の方向に開く方式)、及び開閉部材が両開き方式(左右両方向に開閉できる方式)のいずれにおいても、一対の磁気的吸着部材のうち少なくとも一方の磁気的吸着部材が軟質マグネット部材であればよく、他の磁気的吸着部材は、軟質マグネット部材、磁石類で構成された部材、強磁性部材から選択された少なくとも一種であってもよい。
【0043】
また、通常、片開き方式の部材において、壁や柱などの固定部材には、軟質マグネット部材、磁石類で構成された部材、強磁性部材のうちいずれが固定されていてもよい。両開き方式の部材では、双方の棒状部材にマグネット部材(特に、軟質マグネット部材)が配設されていてもよい。
【0044】
好ましい磁気的吸着部材の組合せとしては、少なくとも一方の磁気的吸着部材が軟質マグネット部材であり、他方の磁気的吸着部材が軟質マグネット部材、又は磁石類で構成された部材である組合せが挙げられ、特に、双方の磁気的吸着部材が軟質マグネット部材である組合せが好ましい。
【0045】
一方の部材に配設された第1のマグネット部材は、磁性粉体と軟質樹脂とを含む軟質マグネット部材(マグネットクッション部材、ゴム磁石部材、又はラバーマグネット部材(ラバー磁石部材))で構成されている。
【0046】
前記磁性粉体としては、遷移金属元素及びこれらの合金、酸化鉄を主成分とする高透磁率フェライト(鉄−ニッケル合金など)、永久磁石、粉末磁石、希土類磁石などが挙げられる。これらの磁性粉体は、単独で又は二種以上組み合わせて用いてもよい。前記軟質樹脂としては、熱可塑性樹脂[オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ウレタン系樹脂、合成ゴム(ジエン系ゴム、オレフィン系ゴム、アクリル系ゴム、フッ素系ゴム、ウレタン系ゴムなど)や熱可塑性エラストマーが挙げられる。これらの軟質樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
【0047】
マグネット部材とクッション部材とで構成された従来の開閉部材では、クッション部材の方がマグネット部材よりも前方に突出しているため、マグネット部材の吸着性が低く、さらに、閉鎖による閉じ音を抑制するのも困難である。しかし、一対の磁気的吸着部材のうち少なくとも一方の磁気的吸着部材に軟質マグネット部材を用いると、磁気的吸着性が向上できるとともに、閉鎖による閉じ音を低減することができる。さらに、このような軟質マグネット部材は、加工が容易であるとともに、装着部に対する装着性を向上できる。
【0048】
なお、軟質マグネット部材は市販されており、容易に入手できる。少なくとも一方の磁気的吸着部材を前記軟質マグネット部材で構成すると、細幅状のマグネット部材を容易に形成でき、前記装着部の長手方向に沿って簡単に装着でき、開閉部材の組み立て作業性を大きく改善できる。
【0049】
前記磁気的吸着部材の残留磁束密度、最大エネルギー積などの磁気特性は、用途に応じて適宜選択できる。前記残留磁束密度は、例えば、1〜20kG(好ましくは2〜15kG、さらに好ましくは3〜10kG)程度から選択できる。前記最大エネルギー積は、例えば、0.3〜40MGOe(好ましくは0.4〜30MGOe、好ましくは0.5〜20MGOe)程度から選択できる。
【0050】
前記磁気的吸着部材は、互いに対向可能な一対の部材の対向面(又は対向部位)に配設可能であればよい。前記磁気的吸着部材の形態は前記装着部に装着可能である場合が多く、釦状(円状、楕円状など)、多角形状[三角形状、四角形状、五角形状など]、細長状又は細幅状(又は長尺状又は細片状)などであってもよい。
【0051】
磁気的吸着部材は、開閉部材の長手方向に沿って全長に亘り配設してもよく、開閉部材の長手方向に部分的に(又は離散して)、かつ規則的に又は非規則的に配設してもよい。一対の磁気的吸着部材は、一方の磁気的吸着部材に対して、他方の磁気的吸着部材の少なくとも一部が対向していればよい。
【0052】
磁気的吸着部材は、一対の棒状部材の対向部位に長手方向に延びて形成された装着部(前記あり溝状装着部など)に装着されている場合が多い。さらに、マグネット部材は、装着部に対して嵌合、係合などの形態で装着してもよいが、開閉部材の組み立て操作を簡単にするためには、装着部に対して摺動可能に装着するのが好ましい。
【0053】
なお、磁気的吸着部材は装着部から突出している必要はなく、装着部とほぼ同一面又は装着部よりも内部位置に磁気的吸着部材の表面を位置させてもよい。磁気的吸着部材の磁力を有効に利用するためには、装着面とほぼ同一面又は突出しているのが好ましい。
【0054】
また、一方の磁気的吸着部材の対向面は、平面であってもよく、凹凸形状を有していてもよく、一方の磁気的吸着部材の対向面には、他の磁気的吸着部材の対向面と互いに嵌合又は挿入可能な凹凸部が形成されていてもよい。さらに、必要であれば、吸着音を低減するため、少なくとも一方の磁気的吸着部材の対向面は樹脂(軟質樹脂など)などで被覆又はコーティングされていてもよい。
【0055】
第1のマグネット部材及び第2のマグネット部材は、前記一対の開閉部材の幅方向に異なる磁極を隣接させた形態で、前記一対の開閉部材に配設されていてもよい。すなわち、前記一対の棒状部材において、それぞれのマグネット部材の磁極は、一対の棒状部材の幅方向で異なっていてもよい。さらに、前記一対の棒状部材の対向面において、反対の磁極を向けて、前記マグネット部材が対向していてもよい。より具体的には、前記一方の棒状部材の幅方向(又は前記装着凹部の幅方向)には異なる磁極(N極及びS極)を隣接させて、前記一方の棒状部材に第1のマグネット部材が配設され、他方の棒状部材の幅方向(又は前記装着凹部の幅方向)にも異なる磁極(N極及びS極)を隣接させて、前記他方の棒状部材に第2のマグネット部材が配設されており、前記一対の棒状部材の対向面において、反対の磁極(N極に対してはS極、S極に対してはN極)を向けて第1のマグネット部材及び第2のマグネット部材が対向していてもよい。そのため、開閉部材の閉じ操作において、確実に位置決めしつつ閉じることができる。
【0056】
前記マグネット部材は単一の部材であってもよく、長手方向及び/又は幅方向に隣接させた又は離間して配設された複数のマグネット部材で構成してもよい。マグネット部材の磁極数は、2極(N極及びS極)に限らず、4極、6極などの複数極であってもよいが、マグネット部材の部品点数を少なくするとともに、開閉部材の組み立て作業性を改善するためには、2極であるのが好ましい。また、N極の幅とS極の幅とは、異なっていてもよいが、通常、同じである場合が多い。
【0057】
なお、必要により装着部に装着された磁気的吸着部材は、固定手段(留め具や粘着剤など)などで位置決め固定してもよく、あり溝構造の凹溝やキャップなどにより脱落を防止してもよい。
【0058】
前記マグネット部材を装着部に誤った方向に装着するのを防止するため、マグネット部材及び/又は開閉部材又は装着部(少なくともマグネット部材)には、マーカーを付してもよく、このマーカーは磁極(N極及びS極)と装着方向又は装着位置と関連させることができる。例えば、マグネット部材の端部に開閉部材の装着部に対する配置部位を示すためのマーカーを施してもよく、マグネット部材の端部に装着凹部の挿入開始部又は配置部位を示すためのマーカーを施してもよい。マグネット部材の端部の側部(N極及びS極に対応する一方の側部又は両側部)にマーカーを施してもよい。このマーカーは、マグネット部材と開閉部材又は装着部との双方に付してもよい。この場合、マーカーの位置や種類などが一致したとき(例えば、共通するマーカーが端部に位置するとき)、マグネット部材が適切に挿入されたと判断することもできる。さらに、マーカーは、マグネット部材及び/又は開閉部材又は装着部の両端部に施した種類の異なるマーカー(例えば、異なる色、異なる文字などのマーカー)であってもよい。マーカーの種類は特に制限されず、例えば、着色、切り込みなどの刻印などであってもよく、装着部位や挿入開始部などの表示(文字表示)などであってもよい。例えば、マグネット部材のN極及びS極を表示するため、マグネット部材のN極及びS極の少なくとも一方の磁極にその旨の表示を付してもよい。
【0059】
前記開閉部材において、一対の部材のうち少なくとも一方(双方又は片方)の部材は、間仕切シートを取り付けるための取り付け部が必ずしも必要ではないが、備えている場合が多い。この取り付け部は、前記棒状部材の非対向部位に形成されていればよく、前記部材の対向面に対して隣接する側部(側壁)、前記部材の対向面に対して反対側の側部(開閉操作において開方向の側面又は側壁)などに形成してもよい。前記取り付け部は、前記部材から延出して形成されていてもよい。前記取り付け部の厚み方向の断面形状は、半円状、多角形[三角形、四角形(正方形、長方形、台形など)、五角形など]、多角形の1つ又は複数の端部コーナー部が面取又は切除された形状などであってもよい。
【0060】
前記開閉部材は、一対の部材のうち少なくとも一方の部材に間仕切りシートを挟持するための押さえ部材を備えていてもよい。間仕切りシートは、位置決め部(特に、嵌合部)で挟持してもよいが、通常、位置決め部(特に、嵌合部)以外の部位(又は領域)で挟持する場合が多い。間仕切りシートは、棒状部材(取り付け部など)と、押さえ部材との対向面で挟持してもよく、棒状部材及び/又は押さえ部材の幅方向の少なくとも一方の側部(特に、両側部)に、間仕切りシートを挟圧可能な挟圧部(又は凸部)を備えていてもよい。押さえ部材の断面形状は、断面非中空状(断面コ字状など)であってもよく、断面中空多角形状[断面中空四角形状(断面中空正方形状、断面中空長方形状など)など]などであってもよい。押さえ部材は、少なくとも一方の部材に対して位置決め可能な位置決め部を有していてもよい。位置決め部の形態は、特に制限されず、例えば、棒状部材(取り付け部など)に対して係止又は掛止可能な係止又は掛止部であってもよく、嵌合可能な嵌合部であってもよい。前記位置決め部(特に、嵌合部)は、押さえ部材の長手方向に所定の間隔をおいて形成してもよく、正確にかつ容易に棒状部材と嵌合させて位置決めするため、長手方向に延びて形成してもよい。特に、前記位置決め部(特に、嵌合部)が長手方向に延びて形成されていると、正確にかつ容易に棒状部材と嵌合させて位置決めできる。押さえ部材は、棒状部材に対して位置決め(特に、嵌合)可能であればよく、例えば、棒状部材の被押圧壁に対する押さえ部材の対向壁で位置決め(特に、嵌合)していてもよく、通常、装着凹部の壁面から所定間隔離れて位置決め(特に、嵌合)している場合が多い。
【0061】
前記開閉部材は、空間を仕切るための間仕切り用部材を構成してもよい。この間仕切り用部材において、空間はレール又は案内部材に沿って間仕切りされてもよい。すなわち、前記開閉部材は、前記取り付け部に取り付けられた間仕切りシートを備えた間仕切りユニットを形成するのに有用である。
【0062】
間仕切りシートは、樹脂フィルム又はシート(軟質樹脂シートなど)、紙、布帛(織布(カーテンなど)、不織布など)、樹脂含浸布帛、プレート(木材板、金属板など)などで構成でき、網状体で構成してもよい。また、間仕切りシートは、屈曲可能に連接された複数のシートやパネルで構成してもよく、折り畳み式に展開(伸長)又は収納(収縮)可能なシートやパネルで構成してもよい。前記間仕切りシートの厚みは、用途に応じて選択でき、例えば、10μm〜30mm、好ましくは25μm〜20mm、さらに好ましくは50μm〜10mm程度であってもよい。
【0063】
前記間仕切りシートは、棒状部材(取り付け部など)に取り付け可能であればよく、前記のように、棒状部材又は取り付け部と、押さえ部材とで挟持して取り付けてもよく、接着、溶着、ビスなどによる種々の固定手段で取り付けることができる。
【0064】
必要であれば、間仕切りシートは、開閉方向の適所(又は複数箇所)にて、補強支持部材で支持してもよく、通常、間仕切りシートの途中部で間仕切りシートを挟持して支持している場合が多い。このような補強支持部材は、一対の支持部材(ポール)で構成し、一対の支持部材で間仕切りシートを挟持してもよく、支持部材と、この支持部材に対して押圧可能な押さえ部材とで構成し、支持部材と押さえ部材とで間仕切りシートを挟持してもよい。一対の支持部材の挟持面、又は支持部材と押さえ部材との挟持面の断面形状は、直線状であってもよいが、非直線状(凹凸状など)であってもよい。前記挟持面は、特に、対称な凹凸面を有しているのが好ましい。前記凹凸面の断面形状は、U字状(湾曲状又は波状)、V字状、コ字状などであってもよく、通常、U字状又はV字状(特に、U字状)である場合が多い。凹凸面の断面形状がU字状又はV字状(特に、U字状)であると、間仕切りシートを破損することなく、強固に挟持できる。補強支持部材を用いると、間仕切りシートのばたつきを防止できるため、開閉操作を円滑に行うことができる。また、布帛などの場合には垂れ下がりを防止することもできる。特に、一対の支持部材の挟持面、又は支持部材と押さえ部材との挟持面の断面形状が非直線状(凹凸状など)であると、間仕切りシートを強固に固定でき、位置ずれを防止できる。さらに、前記挟持面が対称な凹凸面を有していると、誤って組み立てることがなく、容易に組み立てを行うことができる。前記補強支持部材の個数、前記開閉部材との間隔、ポール同士の間隔などは適当に選択できる。なお、必要に応じて、各部材の取り付けには、ねじなどの種々の締結又は固定手段を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明の開閉部材は、磁気的吸着性が高いとともに、閉鎖による閉じ音が軽減できるため、スペース(工場の作業ブース、クリーンルーム、倉庫;会議室;ホテルの部屋、宴会場;学校の教室、体育館;劇場のステージ;病院の病室、手術室;展示スペースなど)を仕切るための間仕切りユニット(間仕切りカーテン、間仕切りパネルなど)に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】図1は本発明の開閉部材の一例を説明するための一方の部材の概略分解斜視図である。
【図2】図2は本発明の開閉部材の一例を説明するための概略断面斜視図である。
【図3】図3は本発明の開閉部材の一例を説明するための概略断面図である。
【図4】図4は本発明の開閉部材の一例を説明するための概略断面図である。
【図5】図5は本発明の開閉部材の一例を説明するための概略断面斜視図である。
【図6】図6は補強支持部材の一例を説明するための概略断面図である。
【符号の説明】
【0067】
1a,1b,31,41…棒状部材
2a,2b,33,43…軟質マグネット部材
3a,3b,32,42…装着凹部
5a…操作部
10a,10b…取り付け部
18…支点
61a,61b…支持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向可能な一対の部材と、一対の部材の対向面にそれぞれ配設され、かつ互いに磁気的に吸着可能な磁気的吸着部材とを備えた一対の開閉部材であって、前記一対の部材のうち一方の部材の幅方向に、異なる磁極を隣接させて第1のマグネット部材が配設され、他方の部材の対向面に、強磁性部材、又は前記第1のマグネット部材の磁極に対して反対の磁極を向けて第2のマグネット部材が配設されており、前記第1及び第2のマグネット部材のうち少なくとも第1のマグネット部材が、磁性粉体と軟質樹脂とを含む軟質マグネット部材で構成されている開閉部材。
【請求項2】
一対の部材のうち一方の部材の幅方向に、異なる磁極を隣接させて第1の軟質マグネット部材が配設され、他方の部材の対向面に、前記第1の軟質マグネット部材に対して反対の磁極を向けて第2の軟質マグネット部材が配設されている請求項1記載の開閉部材。
【請求項3】
少なくとも一方の部材がスライド可能であり、一対の部材が互いに対向可能な長尺な部材で構成され、第1及び第2のマグネット部材が軟質マグネット部材で構成され、これらのマグネット部材が、それぞれ、一対の部材の対向面に長手方向に延びて形成された装着部に装着されている請求項1又は2記載の開閉部材。
【請求項4】
固定部に固定された他方の部材に対して、一方の部材がスライド可能である請求項3記載の開閉部材。
【請求項5】
一対の部材の対向面に長手方向に延びるあり溝状の装着部と、このあり溝状の装着部に摺動可能に装着された軟質マグネット部材とを備えている請求項1〜4のいずれかに記載の開閉部材。
【請求項6】
スライド可能に配設され、磁力により吸着する一対の長尺な開閉部材であって、一方の部材が、他方の部材との対向面に長手方向に形成された装着凹部と、この装着凹部の長手方向に装着されているとともに、前記装着凹部の幅方向に隣接し、かつ長手方向に延びたN極及びS極で形成された第1の軟質マグネット部材とを備え、他方の部材が、前記一方の部材との対向面に長手方向に形成された装着凹部と、この装着凹部の長手方向に装着されているとともに、前記第1の軟質マグネット部材の磁極に対して反対の磁極を対向させた第2の軟質マグネット部材とを備えている請求項1〜5のいずれかに記載の開閉部材。
【請求項7】
一対の部材のうち少なくとも一方の部材の側部に、開閉操作のための操作部を備えている請求項1〜6のいずれかに記載の開閉部材。
【請求項8】
操作部が、一方の部材の側部から延出する延出部と、この延出部の端部に形成された把持部とを備えており、この把持部が、前記延出部に対して、開閉方向の開方向に位置する請求項7記載の開閉部材。
【請求項9】
一対の部材のうち少なくとも一方の部材に、間仕切シートを取り付けるための取り付け部を備えている請求項1〜8のいずれかに記載の開閉部材。
【請求項10】
取り付け部が、一対の部材の対向面に対して反対側の側部に形成されている請求項9記載の開閉部材。
【請求項11】
少なくとも一方の部材の取り付け部に対して位置決め可能な位置決め部を有し、かつこの位置決め部以外の部位で間仕切りシートを挟持するための押さえ部材をさらに備えている請求項9又は10記載の開閉部材。
【請求項12】
レールに沿って空間を仕切るための間仕切り用部材である請求項1〜11のいずれかに記載の開閉部材。
【請求項13】
一対の部材と、一対の部材の対向面にそれぞれ配設され、かつ互いに磁気的に吸着可能な磁気的吸着部材と、前記一対の部材のうち少なくとも一方の部材の非対向面に取り付けられた間仕切シートとを備え、前記磁気的吸着部材の磁力を利用して開閉可能な間仕切りユニットであって、前記一対の部材のうち一方の部材の幅方向に、異なる磁極を隣接させて第1のマグネット部材が配設され、他方の部材の対向面に、強磁性部材、又は前記第1のマグネット部材の磁極に対して反対の磁極を向けて第2のマグネット部材が配設されており、前記第1及び第2のマグネット部材のうち少なくとも第1のマグネット部材が、磁性粉体と軟質樹脂とを含む軟質マグネット部材で構成されている間仕切りユニット。
【請求項14】
一対の部材のうち一方の部材の幅方向に、異なる磁極を隣接させて第1の軟質マグネット部材が配設され、他方の部材の対向面に、前記第1の軟質マグネット部材に対して反対の磁極を向けて第2の軟質マグネット部材が配設されている請求項13記載の間仕切りユニット。
【請求項15】
レールに沿ってスライド可能に配設され、互いに対向可能な長尺な一対の部材と、これらの一対の部材の対向面にそれぞれ長手方向に形成された装着凹部と、一方の部材の装着凹部の長手方向に装着されているとともに、前記装着凹部の幅方向に隣接し、かつ長手方向に延びたN極及びS極で形成された第1の軟質マグネット部材と、他方の部材の装着凹部の長手方向に装着されているとともに、前記第1の軟質マグネット部材の磁極に対して反対の磁極を対向させた第2の軟質マグネット部材と、一対の部材の対向面に対して反対側の側部に取り付けられた間仕切りシートとを備えている請求項13又は14記載の間仕切りユニット。
【請求項16】
少なくとも一方の部材の側部に、開閉操作のための操作部を備えている請求項13〜15のいずれかに記載の間仕切りユニット。
【請求項17】
間仕切りシートの途中部で間仕切りシートを挟持して支持するための一対の支持部材を備えた間仕切りユニットであって、前記一対の支持部材のうち、間仕切りシートを挟持可能な挟持面が、断面形状において対称な凹凸面を有していている請求項13〜16のいずれかに記載の間仕切りユニット。







【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−131589(P2009−131589A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−38590(P2008−38590)
【出願日】平成20年2月20日(2008.2.20)
【出願人】(500410846)岡田装飾金物株式会社 (12)
【Fターム(参考)】