説明

間仕切装置

【課題】ブラケットを、地震時の振動等により簡単に外れることなく、支柱に強固に、しかも簡単に係止することができるとともに、室内のレイアウトの変更等に合わせて、ブラケットの交換や取付位置の変更を簡単に行うことができるようにした間仕切装置を提供する。
【解決手段】左右1対の支柱1間にパネル4を架設してなる間仕切装置において、支柱1の内側面に、上下2個ずつの係合孔7を設け、パネル4を係止するブラケット3における支柱1の内側面と対向する当接面3bの下部に、下方の係合孔7の下縁に係合する下向きの鉤形の係合片9を設けるとともに、当接面3bの下部に、係合片9を下方の係合孔7の下縁に係合させたとき、上方の係合孔7に嵌合しうるようにした嵌合突部8を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間仕切装置、特に、支柱に、パネルまたはその他の部材を係止するブラケットを、簡単かつ強固に取り付けることができるようにした間仕切装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種のものとしては、前後の側端に上向きのフック部を有するブラケットを、支柱の内側面に、溶接またはねじ止めにより固着し、上記ブラケットのフック部に、パネルまたはその他の部材を係止するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、支柱の前面に設けた係止孔の下縁に、上下の縁に上向き開口溝と下向き開口溝とを設けた係止具の下向き開口溝を係止し、かつ上記上向き開口溝に、パネル背面に設けた係止孔の上縁を係止させるようにしたものもある(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】実開昭52−118516号公報
【特許文献1】特開2005−48377号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載されている間仕切装置は、ブラケットを、支柱の内側面に、溶接またはねじ止めする作業が煩雑であるとともに、パネルの交換時等に、ブラケットの取付位置を変更したり、異なる種類のブラケット交換したりすることが不可能または困難であり、室内のレイアウトの変更等に対応することができない。
【0005】
また、特許文献2に記載されている間仕切装置は、ブラケットを、支柱の係止孔に係止させてあるだけであるので、地震時等の振動により、パネルやブラケットががたついたり、または支柱から脱落するおそれがある。
【0006】
本発明は、従来の技術が有する上記のような問題点に鑑み、ブラケットを、地震時の振動等により簡単に外れることなく、支柱に強固に、しかも簡単に係止することができるとともに、室内のレイアウトの変更等に合わせて、ブラケットの交換や取付位置の変更を簡単に行うことができるようにした間仕切装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1)左右1対の支柱間にパネルを架設してなる間仕切装置において、前記支柱の内側面に、上下1対の係合孔を設け、前記パネルまたはその他の部材を係止するブラケットにおける前記支柱の内側面と対向する当接面に、上下いずれか一方の係合孔の上下いずれかの縁に係合する上向きまたは下向きの鉤形の係合片を設けるとともに、前記係合片を一方の係合孔の上下いずれかの縁に係合させたとき、他方の係合孔に嵌合しうるようにした嵌合突部を設ける。
【0008】
(2)上記(1)項において、係合片を、弾性撓曲可能とし、前記係合片を一方の係合孔の上下いずれかの縁に係合させたとき、前記係合片と当接面とにより、支柱における前記一方の係合孔の縁を挾圧把持して、当接面を支柱の内側面に圧接させるようにする。
【0009】
(3)上記(1)または(2)項において、ブラケットの当接面に、複数個の係合片を前後方向に離間させて設けるとともに、それに対応して、支柱の内側面に、各係合片が係合しうる複数の係合孔を、前後方向に離間させて設ける。
【0010】
(4)上記(3)項において、ブラケットの当接面における前後に隣接する1対の係合片間に、支柱の内側面に圧接する突部を設ける。
【0011】
(5)上記(1)〜(4)項のいずれかにおいて、支柱の内側面に、前後方向に並ぶ上下2個ずつの係合孔を設け、かつブラケットの当接面に、係合片と嵌合突部とを、それぞれ2個ずつ設ける。
【0012】
(6)上記(1)〜(5)項のいずれかにおいて、ブラケットの前後の側端に、パネルまたはその他の部材を係止可能の上向きのフック部を設ける。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、次のような効果を奏することができる。
請求項1記載の発明によると、ブラケットは、支柱に装着された状態では、係合片が一方の係合孔の縁に係合し、かつ嵌合突部が他方の係合孔に嵌合しているので、支柱に対して、上下、左右、および前後のいずれの方向にも不動であり、地震時の振動等により、支柱から簡単に外れることはなく、支柱に強固に取り付けられる。
また、係合片を一方の係合孔の縁に係合させた後、係合片を中心として、ブラケットを回動させつつ、嵌合突部を他方の係合孔に嵌合することにより、ブラケットを簡単に支柱に係止することができるとともに、上記と逆の操作で、ブラケットを簡単に支柱から外すことができる。
したがって、室内のレイアウトの変更等に合わせて、ブラケットの交換や取付位置の変更を簡単に行うことができる。
【0014】
請求項2記載の発明によると、係合片と当接面とにより、支柱における一方の係合孔の縁を挾圧把持して、当接面を支柱の内側面に圧接させるようにしてあるので、ブラケットが、地震時の振動等により、支柱から妄りに外れることはない。
【0015】
請求項3記載の発明によると、ブラケットの当接面に、複数個の係合片を前後方向に離間させて設けるとともに、それに対応して、支柱の内側面に、各係合片が係合しうる複数の係合孔を、前後方向に離間させて設けあるので、ブラケットを、前後方向に傾くことなく、安定して、支柱に保持することができる。
【0016】
請求項4記載の発明によると、ブラケットの当接面における前後に隣接する1対の係合片間に、支柱の内側面に圧接する突部を設けてあるので、この突部が、一方の係合孔に係合している前後に隣接する1対の係合片間において、支柱の内側面に圧接することにより、前後の係合片と係合孔との噛み合いを強めることができ、ブラケットを支柱に、より強固に取り付けることができる。
【0017】
請求項5記載の発明によると、支柱の内側面に、前後方向に並ぶ上下2個ずつの係合孔を設け、かつブラケットの当接面に、係合片と嵌合突部とを、それぞれ2個ずつ設けてあるので、ブラケットを、前後方向に傾くことなく、安定して、支柱に強固に取り付けることができる。
【0018】
請求項6記載の発明によると、ブラケットのフック部に、パネルまたはその他の部材を、安定して係止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の一実施形態を、添付図面を参照して説明する。
図1に示すように、この間仕切装置は、角管状をなす左右1対の支柱(その一方のみを図示する)(1)の互いに対向する内側面に、前後の側端に上向きのフック部(2)(2)を有する上下1対のブラケット(3)(3)を係止し、各ブラケット(3)のフック部(2)に、前後1対のパネル(4)(4)の側枠部(5)の裏面に設けた上下方向に長い長孔状の係合孔(6)の上縁を係止することにより、前後のパネル(4)(4)を、支柱(1)の前後両面に装着したものよりなっている。
【0020】
次に、図2〜図4を参照して、各支柱(1)へのブラケット(3)の取付構造について説明する。
各支柱(1)の内側面における上下部、または上下方向に離間した複数箇所には、上下および前後に2個ずつ並べた4個の円形の係合孔(7)が1組として、それぞれ穿設されている。
【0021】
ブラケット(3)は、上下方向を向くほぼ正方形の鋼板よりなる基片(3a)を有しており、この基片(3a)の上部には、ボス状をなして外側方に突出する前後1対の嵌合突部(8)(8)が設けられ、また基片(3a)の下部には、外側方に向かって下向き鉤状をなす前後1対の係合片(9)(9)が切り起こして形成されている。
【0022】
各係合片(9)の先端部(9a)は、外下方に向かって拡開するように傾斜させておくのが好ましい。
また、基片(3a)の前後方向の寸法は、支柱(1)の前後方向の寸法とほぼ同一かまたは若干小とし、ブラケット(3)を支柱(1)の内側面に取り付けたとき、基片(3a)の前後の側端に連設した上向きのフック部(2)(2)が、支柱(1)の前後面より前後方向に突出するようにしておくのが好ましい。
【0023】
基片(3a)の外側面である当接面(3b)の下部における前後の係合片(9)(9)間には、円形の低寸の突部(10)が設けられている。
また、基片(3a)の上下の端部には、上下部折曲片(3c)(3d)が、内側方に向かって直角に折曲形成されている。
【0024】
支柱(1)にブラケット(3)を取り付けるには、図3(b)に示すように、ブラケット(3)を、その上部が下部より両支柱(1)間の内方に寄るように若干傾斜させた状態で、前後の係合片(9)(9)を、支柱(1)の内側面における下部の2個の係合孔(7)(7)に嵌合し、次いでそのままの姿勢で、ブラケット(3)を下降させることにより、係合片(9)(9)を、係合孔(7)(7)の下縁に係合させる。
ブラケット(3)が下降し難いときは、木槌等により、ブラケット(3)の上部折曲片(3b)を、下方に向けて叩き込み、係合片(9)(9)を強制的に弾性撓曲させればよい。
【0025】
係合片(9)(9)が、支柱(1)の内側面における下部の2個の係合孔(7)(7)の下縁に完全に係合すると、ブラケット(3)における2個の嵌合突部(8)(8)は、上方の2個の係合孔(7)(7)と整合し、それと同時に、ブラケット(3)は、若干押し広げられた係合片(9)(9)の弾性復元力により、係合片(9)(9)を中心として、起立する方向に回動させられるので、2個の嵌合突部(8)(8)は、自然に、係合孔(7)(7)に嵌合され、図3(a)示すように、ブラケット(3)は、その基片(3a)の当接面(3b)が、支柱(1)の内側面に圧接されられた状態で、支柱(1)の内側面に強固に取り付けられる。
【0026】
このようにして、ブラケット(3)が支柱(1)に取り付けられると、係合片(9)(9)が下方の係合孔(7)(7)の下縁に係合し、かつ嵌合突部(8)(8)が上方の係合孔(7)(7)に嵌合しているので、ブラケット(3)は、支柱(1)に対して、上下、左右、および前後のいずれの方向にも不動であり、地震時の振動等により、支柱(1)から簡単に外れることはなく、支柱(1)に強固に取り付けられる。
【0027】
また、上述のように、係合片(9)(9)を下方の係合孔(7)(7)の縁に嵌合した後、係合片(9)(9)を中心として、ブラケット(3)を回動させつつ、嵌合突部(8)(8)を上方の係合孔(7)(7)に嵌合することにより、ブラケット(3)を簡単に支柱(1)に係止することができるとともに、上記と逆の操作で、ブラケット(3)を簡単に支柱(1)から外すことができる。
したがって、室内のレイアウトの変更等に合わせて、ブラケット(3)の交換や取付位置の変更を簡単に行うことができる。
【0028】
この例では、当接面(3b)の下部中央に突部(10)を設けてあるので、この突部(10)が、下方の係合孔(7)(7)に係合している前後の係合片(9)(9)間において、支柱(1)の内側面に圧接することにより、前後の係合片(9)(9)と係合孔(7)(7)との噛み合いを強めることができ、ブラケット(3)を支柱(1)に、より強固に取り付けることができる。
【0029】
さらに、係合片(9)(9)を、弾性撓曲可能とし、係合片(9)(9)を係合孔(7)(7)の下縁に係合させたとき、係合片(9)(9)と当接面(3b)、この例では特に当接面(3b)の一部である突部(10)の先端面とにより、支柱(1)における係合孔(7)の縁を挾圧把持して、当接面(3b)を支柱(1)の内側面に圧接させるようにしてあるので、ブラケット(3)が、地震時の振動等により、支柱(1)から妄りに外れることはない。
【0030】
しかも、上下の係合孔(7)(7)、嵌合突部(8)(8)、および係合片(9)(9)を、それぞれ前後1対ずつ設けてあるので、ブラケット(3)を、前後方向に傾くことなく、安定して、支柱(1)に保持することができる。
【0031】
ブラケット(3)を、左右1対の支柱(1)の互いに対向する内側面の上下部に、上述のようにして係止した後、各支柱(1)の前後面より突出するフック部(2)(2)に、前後のパネル(4)(4)の側枠部(5)の裏面における係合孔(6)の上縁を係止することにより、前後のパネル(4)(4)を、支柱(1)の前後両面に、安定して装着することができる。
【0032】
なお、フック部(2)に、パネル(4)ではなく、例えば、支柱カバーやその他の部材を取り付けることもできる。
【0033】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、特許請求の範囲を逸脱しない範囲内で、上記各実施形態に種々の変形や変更を施すことが可能である。
例えば、嵌合突部(8)または係合片(9)、およびそれらが係合する係合孔(7)を、ブラケット(3)の基片(3a)および支柱(1)の内側面の前後方向に1個のみ、または3個以上設けたり、係合片(9)を基片(3a)の上部に、また嵌合突部(8)を基片(3a)の下部に設けたりしてもよい。
【0034】
また、係合片(9)を上向き鉤形として、係合孔(7)の上縁に係合させるようにしたり、各係合孔(7)の形状を、方形その他の形状としたりしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態の間仕切装置の一部の分解斜視図である。
【図2】同じく、要部の拡大縦断側面図である。
【図3】(a)は、図2におけるIII−III線に沿う縦断正面図、(b)は、ブラケットを支柱に取り付ける途中の状態における、(a)と同様の部分の縦断正面図である。
【図4】図2におけるIV−IV線に沿う横断平面図である。
【符号の説明】
【0036】
(1)支柱
(2)フック部
(3)ブラケット
(3a)基片
(3b)当接面
(3c)上部折曲片
(3d)下部折曲片
(4)パネル
(5)側枠部
(6)係合孔
(7)係合孔
(8)嵌合突部
(9)係合片
(9a)先端部
(10)突部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右1対の支柱間にパネルを架設してなる間仕切装置において、
前記支柱の内側面に、上下1対の係合孔を設け、前記パネルまたはその他の部材を係止するブラケットにおける前記支柱の内側面と対向する当接面に、上下いずれか一方の係合孔の上下いずれかの縁に係合する上向きまたは下向きの鉤形の係合片を設けるとともに、前記係合片を一方の係合孔の上下いずれかの縁に係合させたとき、他方の係合孔に嵌合しうるようにした嵌合突部を設けたことを特徴とする間仕切装置。
【請求項2】
係合片を、弾性撓曲可能とし、前記係合片を一方の係合孔の上下いずれかの縁に係合させたとき、前記係合片と当接面とにより、支柱における前記一方の係合孔の縁を挾圧把持して、当接面を支柱の内側面に圧接させるようにしたことを特徴とする請求項1記載の間仕切装置。
【請求項3】
ブラケットの当接面に、複数個の係合片を前後方向に離間させて設けるとともに、それに対応して、支柱の内側面に、各係合片が係合しうる複数の係合孔を、前後方向に離間させて設けたことを特徴とする請求項1または2記載の間仕切装置。
【請求項4】
ブラケットの当接面における前後に隣接する1対の係合片間に、支柱の内側面に圧接する突部を設けたことを特徴とする請求項3記載の間仕切装置。
【請求項5】
支柱の内側面に、前後方向に並ぶ上下2個ずつの係合孔を設け、かつブラケットの当接面に、係合片と嵌合突部とを、それぞれ2個ずつ設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の間仕切装置。
【請求項6】
ブラケットの前後の側端に、パネルまたはその他の部材を係止可能の上向きのフック部を設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の間仕切装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−255017(P2007−255017A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−79457(P2006−79457)
【出願日】平成18年3月22日(2006.3.22)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)