説明

間葉系幹細胞を調製する方法、その組成物及びキット

本発明は、臨床用途のための間葉系幹細胞(MSC)を単離し、プールし、更に培養する方法を開示する。本発明は、マスターセルバンク、続いてワーキングセルバンクを樹立し、これから同種骨髄由来のMSCを含む最終的な治療用組成物(治験薬/治験用医薬品と称される)を臨床用途のために調合する方法も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、幹細胞プロセシング、及び臨床用途のための幹細胞ベースの組成物を得る方法に関する。具体的には、本開示は、間葉系幹細胞(MSC)を単離するために吸引した骨髄をプロセシングする方法、及び更なる臨床用途のためのその大規模培養/増殖に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒト間葉系幹細胞(hMSC)は、有核細胞の0.001%〜0.01%を占める微量(rare)細胞集団として骨髄中に存在し、培養下でその幹細胞性を失うことなく急速に成長及び増殖することができる。hMSCは、(1)単離の容易さ、(2)高い増殖能、(3)遺伝的安定性、(4)分離株ごとの再現特性(reproducible attributes)、(5)再現性(reproducible characteristics)、(6)組織工学原理との適合性というその特性のために、多くの損傷組織において修復を増進する可能性を有する。
【0003】
MSC及びMSC様細胞は現在、脂肪組織、羊水、骨膜(periostium)及び胎児組織を含む骨髄以外の様々な組織から単離されており、表現型不均一性を示す。表現型的には、MSCは複数のマーカーを発現するが、残念ながらそのいずれもMSCに特異的なものではない。
【0004】
ヒト骨髄から得られる間葉系幹細胞(hBMSC)は、骨形成系列、脂肪生成系列及び軟骨形成系列、並びに肝細胞、心筋細胞及びニューロンを含む他の種類の組織又は細胞への比較的容易なアクセス可能性及び分化能のために、広く研究されている。その多能性及び自己複製能(self-renewal)のために、再生医療における用途を有する自己複製細胞源として、この幹細胞への関心が高まっている。加えて、培養基質への接着性に基づくその単離は、非間葉(non-mesenchymal)系列を除去する直接的戦略となり、特異的な表面マーカーの発現に左右される複雑な細胞単離法への依存を減らす。
【0005】
骨髄由来MSCによる制限は、その少ない量であり、臨床用途には大量のMSCが必要とされる。本開示は、骨髄由来MSCをプロセシングする方法、及び臨床用途のためのその更に大規模な増殖を提供する。
【発明の概要】
【0006】
したがって、本開示は、間葉系幹細胞、ウシ胎仔血清(FBS)及びジメチルスルホキシド(DMSO)を含むマスターセルバンク組成物を調製する方法であって、以下の工程:
a)骨髄細胞を得るとともに培養培地で希釈すること、及び該希釈した細胞を遠心分離し、第1のペレットを得ること、及び該第1のペレットを前記培養培地で再希釈すること、
b)密度勾配溶液を前記再希釈したペレットに添加すること、及び遠心分離し、界面にバフィー層を得ること、
c)等容量の前記培養培地を前記バフィー層に再添加すること、及び遠心分離し、第2のペレットを得ること、続いて該第2のペレットを前記培養培地に懸濁すること、及びインキュベートし、約80%〜85%のコンフルエンシーを達成すること、
d)前記培養培地を吸引すること、及び前記コンフルエントな細胞をダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)で洗浄すること、その後該細胞を0.25%トリプシンで処理すること、及び該処理した細胞を再インキュベートすること、
e)前記再インキュベートした細胞を中和培地で中和すること、並びに該細胞を再遠心
分離して第3のペレットを得ること、続いて該第3のペレットを前記培養培地に懸濁すること、並びに約85%〜95%のFBS及び約5%〜15%のDMSOを含む凍結培地で細胞を凍結すること、並びに
f)前記凍結した細胞をトリプシン処理すること、及び該トリプシン処理した細胞を前記凍結培地に再懸濁し、前記マスターセルバンク組成物を得ること、
を含む、間葉系幹細胞、ウシ胎仔血清(FBS)及びジメチルスルホキシド(DMSO)を含むマスターセルバンク組成物を調製する方法;
間葉系幹細胞、ウシ胎仔血清(FBS)及びジメチルスルホキシド(DMSO)を含むワーキングセルバンク組成物を調製する方法であって、以下の工程:
a)上記のようなマスターセルバンク組成物を、種々のドナーから得た骨髄細胞から調製すること、
b)前記組成物から細胞ペレットを得ること、続いて該細胞ペレットを培養培地に懸濁すること、及び該細胞を均等な割合でプールし、細胞の集合体を得ること、
c)前記細胞の集合体を前記培養培地で培養すること、その後インキュベートし、約80%〜85%のコンフルエンシーを達成すること、及び上記の工程(d)を再び行うこと、
d)前記再インキュベートした細胞を前記培養培地で中和すること、続いて該細胞を遠心分離し、第2のペレットを得ること、及び該第2のペレットを前記培養培地に懸濁し、培養細胞を得ること、並びに
e)前記培養細胞を再遠心分離すること、並びに約85%〜95%のFBS及び約5%〜15%のDMSOを含む凍結培地で該細胞ペレットを凍結し、前記ワーキングセルバンク組成物を得ること、
を含む、間葉系幹細胞、ウシ胎仔血清(FBS)及びジメチルスルホキシド(DMSO)を含むワーキングセルバンク組成物を調製する方法;
間葉系幹細胞、Plasmalyte A、ヒト血清アルブミン(HSA)、ジメチルスルホキシド(DMSO)を、任意で薬学的に許容可能な添加剤とともに含む組成物を調製する方法であって、以下の工程:
a)上記のようなワーキングセルバンク組成物を調製すること、
b)間葉系幹細胞を前記組成物から得ること、続いて該細胞を培養培地で培養すること、及びインキュベートし、約80%〜85%のコンフルエンシーを達成すること、及び上記の工程(d)を再び行うこと、
c)前記再インキュベートした細胞を前記培養培地で中和すること、その後該細胞を遠心分離し、細胞ペレットを得ること、該細胞ペレットをDPBSで洗浄すること、続いて再遠心分離し、第2の細胞ペレットを得ること、
d)前記第2の細胞ペレットを前記完全培地に懸濁すること、及び該細胞を培養すること、続いて該培養細胞をインキュベートすること、及び前記完全培地を該インキュベートした細胞に添加し、約80%〜85%のコンフルエンシーを達成すること、
e)前記コンフルエントな細胞をトリプシン処理すること、及び該細胞を前記DPBSで再洗浄すること、続いて該再洗浄した細胞を0.25%トリプシンで処理すること、及び該処理した細胞をインキュベートすること、続いて該インキュベートした細胞を前記完全培地で中和すること、
f)前記中和した細胞を遠心分離すること、及び該遠心分離した細胞を前記DPBSで洗浄すること、続いて再遠心分離し、第3のペレットを得ること、並びに
g)前記第3のペレットを前記Plasmalyte−A、前記DMSO及び前記ヒト血清アルブミンとともに凍結すること、並びに任意で薬学的に許容可能な添加剤を添加し、前記組成物を得ること
を含む、間葉系幹細胞、Plasmalyte A、ヒト血清アルブミン(HSA)、ジメチルスルホキシド(DMSO)を、任意で薬学的に許容可能な添加剤とともに含む組成物を調製する方法;
間葉系幹細胞、ヒト血清アルブミン(HSA)、Plasmalyte A及びジメチ
ルスルホキシド(DMSO)を、任意で薬学的に許容可能な添加剤とともに含む組成物;
間葉系幹細胞、ウシ胎仔血清(FBS)及びジメチルスルホキシド(DMSO)を含むマスターセルバンク組成物又はワーキングセルバンク組成物;並びに
上記の組成物及び取扱説明書を含むキット
に関する。
【0007】
本開示が容易に理解され、実用化されるように、ここでは添付の図面を参照して説明される例示的な実施形態に言及する。図面は下記の発明を実施するための形態とともに、本明細書中に援用され、本明細書の一部を形成し、本開示に従って実施形態を更に説明し、様々な原理及び利点を明らかにする役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】マスターセルバンク(MCB)の達成に関する工程を示すフローチャートである。
【図2】ワーキングセルバンク(WCB)の達成に関する工程を示すフローチャートである。
【図3】最終組成物/治験薬(IP)/治験用医薬品(IMP)の達成に関する工程を示すフローチャートである。
【図4】紡錘状かつ線維芽細胞様の特徴的形態を示す継代5の治験薬(IP)の写真である(倍率100倍)。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は、間葉系幹細胞、ウシ胎仔血清(FBS)及びジメチルスルホキシド(DMSO)を含むマスターセルバンク組成物を調製する方法であって、以下の工程:
a.骨髄細胞を得るとともに培養培地で希釈すること、及び該希釈した細胞を遠心分離し、第1のペレットを得る、遠心分離すること、及び該第1のペレットを前記培養培地で再希釈すること、
b.密度勾配溶液を前記再希釈したペレットに添加すること、及び遠心分離し、界面にバフィー層を得る、遠心分離すること、
c.等容量の前記培養培地を前記バフィー層に再添加すること、及び遠心分離し、第2のペレットを得る、遠心分離すること、続いて該第2のペレットを前記培養培地に懸濁すること、及びインキュベートし、約80%〜約85%のコンフルエンシーを達成する、インキュベートすること、
d.前記培養培地を吸引すること、及び前記コンフルエントな細胞をダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)で洗浄すること、その後該細胞を0.25%トリプシンで処理すること、及び該処理した細胞を再インキュベートすること、
e.前記再インキュベートした細胞を中和培地で中和すること、並びに該細胞を再遠心分離して第3のペレットを得る、再遠心分離すること、続いて該第3のペレットを前記培養培地に懸濁すること、並びに約85%〜95%のFBS及び約5%〜15%のDMSOを含む凍結培地で細胞を凍結すること、並びに
f.前記凍結した細胞をトリプシン処理すること、及び該トリプシン処理した細胞を前記凍結培地に再懸濁し、前記マスターセルバンク組成物を得る、再懸濁すること
を含む、間葉系幹細胞、ウシ胎仔血清(FBS)及びジメチルスルホキシド(DMSO)を含むマスターセルバンク組成物を調製する方法に関する。
【0010】
本開示の一実施形態では、前記インキュベーションを5%COインキュベーター内、約37℃の温度で行い、前記コンフルエンシーが、前記培養培地を約7日後〜8日後に補充することによって得られ、前記中和培地がダルベッコ変法イーグル培地−ノックアウト(DMEM KO)、約10%のウシ胎仔血清(FBS)及び約0.5%のPen−Strepを含み、前記再インキュベーションを37℃のインキュベーター内で約2分間〜3
分間行う。
【0011】
本開示は、間葉系幹細胞、ウシ胎仔血清(FBS)及びジメチルスルホキシド(DMSO)を含むワーキングセルバンク組成物を調製する方法であって、以下の工程:
a.上記のようなマスターセルバンク組成物を、種々のドナーから得た骨髄細胞から調製すること、
b.前記組成物から細胞ペレットを得ること、続いて該細胞ペレットを培養培地に懸濁すること、及び該細胞を均等な割合でプールし、細胞の集合体を得ること、
c.前記細胞の集合体を前記培養培地で培養すること、その後インキュベートし、約80%〜85%のコンフルエンシーを達成すること、及び上記の工程(d)を再び行うこと、
d.前記再インキュベートした細胞を前記培養培地で中和すること、続いて該細胞を遠心分離し、第2のペレットを得ること、及び該第2のペレットを前記培養培地に懸濁し、培養細胞を得ること、並びに
e.前記培養細胞を再遠心分離すること、並びに約85%〜95%のFBS及び約5%〜15%のDMSOを含む凍結培地で細胞ペレットを凍結し、前記ワーキングセルバンク組成物を得ること、
を含む、間葉系幹細胞、ウシ胎仔血清(FBS)及びジメチルスルホキシド(DMSO)を含むワーキングセルバンク組成物を調製する方法に関する。
【0012】
本開示の一実施形態では、前記マスターセルバンク組成物が、約100万細胞〜300万細胞の範囲の間葉系幹細胞、約85%〜95%の範囲のウシ胎仔血清(FBS)及び約5%〜15%の範囲のジメチルスルホキシド(DMSO)を含む。
【0013】
本開示の別の実施形態では、幹細胞を融解すること、凍結培地を完全培地で中和すること、及び約1200rpm〜1500rpmで約10分間〜20分間の間遠心分離し、細胞ペレットを得ることによって、前記細胞ペレットを得る。
【0014】
本開示は、間葉系幹細胞、Plasmalyte A、ヒト血清アルブミン(HSA)、ジメチルスルホキシド(DMSO)を、任意で薬学的に許容可能な添加剤とともに含む組成物を調製する方法であって、以下の工程:
a.上記のようなワーキングセルバンク組成物を調製すること、
b.間葉系幹細胞を前記組成物から得ること、続いて該細胞を培養培地で培養すること、及びインキュベートし、約80%〜85%のコンフルエンシーを達成すること、及び上記の工程(d)を再び行うこと、
c.前記再インキュベートした細胞を前記培養培地で中和すること、その後該細胞を遠心分離し、細胞ペレットを得ること、該細胞ペレットをDPBSで洗浄すること、続いて再遠心分離し、第2の細胞ペレットを得ること、
d.前記第2の細胞ペレットを前記完全培地に懸濁すること、及び該細胞を培養すること、続いて該培養細胞をインキュベートすること、及び前記完全培地を該インキュベートした細胞に添加し、約80%〜85%のコンフルエンシーを達成すること、
e.前記コンフルエントな細胞をトリプシン処理すること、及び該細胞を前記DPBSで再洗浄すること、続いて該再洗浄した細胞を0.25%トリプシンで処理すること、及び該処理した細胞をインキュベートすること、続いて該インキュベートした細胞を前記完全培地で中和すること、
f.前記中和した細胞を遠心分離すること、及び該遠心分離した細胞を前記DPBSで洗浄すること、続いて再遠心分離し、第3のペレットを得ること、並びに、
g.前記第3のペレットを前記Plasmalyte−A、前記DMSO及び前記ヒト血清アルブミンとともに凍結すること、並びに任意で薬学的に許容可能な添加剤を添加し、前記組成物を得ること、
を含む、間葉系幹細胞、Plasmalyte A、ヒト血清アルブミン(HSA)、ジメチルスルホキシド(DMSO)を、任意で薬学的に許容可能な添加剤とともに含む組成物を調製する方法に関する。
【0015】
本開示の一実施形態では、前記ワーキングセルバンク組成物が、約100万細胞〜300万細胞の範囲の間葉系幹細胞、約85%〜95%の範囲のウシ胎仔血清(FBS)及び約5%〜15%の範囲のジメチルスルホキシド(DMSO)を有する。
【0016】
本開示の別の実施形態では、約1200rpm〜1500rpm、約20℃〜25℃の範囲の温度で約10分間〜20分間の範囲の期間、前記遠心分離を行う。
【0017】
本開示の更に別の実施形態では、前記インキュベーションを5%COインキュベーター内、約37℃の温度で行い、前記コンフルエンシーが、前記培養培地を約7日後〜8日後に補充することによって得られ、前記再インキュベーションを37℃のインキュベーター内で約2分間〜3分間行う。
【0018】
本開示の更に別の実施形態では、前記培養培地が、約85%〜95%の範囲の濃度のダルベッコ変法イーグル培地−ノックアウト(DMEM−KO)、約5%〜15%の範囲の濃度のウシ胎仔血清(FBS)、約0.5%〜2%の範囲の濃度のグルタミン、約0.1%〜1%の範囲の濃度のPen−Strep、及び約0.5ng/ml〜5ng/mlの範囲の濃度の塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)を含む。
【0019】
本開示は、間葉系幹細胞、ヒト血清アルブミン(HSA)、Plasmalyte A及びジメチルスルホキシド(DMSO)を、任意で薬学的に許容可能な添加剤とともに含む組成物に関する。
【0020】
本開示は、間葉系幹細胞、ウシ胎仔血清(FBS)及びジメチルスルホキシド(DMSO)を含むマスターセルバンク組成物又はワーキングセルバンク組成物に関する。
【0021】
本開示の一実施形態では、約2500万細胞〜2億細胞の範囲の濃度の前記間葉系幹細胞、約1%〜6%の範囲の濃度の前記ヒト血清アルブミン、約80%〜90%の範囲の濃度の前記Plasmalyte、及び約5%〜10%の範囲の濃度の前記ジメチルスルホキシドを各々の低温保存バイアル内に含む。
【0022】
本開示の別の実施形態では、約100万細胞〜300万細胞の範囲の濃度の前記間葉系幹細胞、約85%〜95%の範囲の濃度の前記ウシ胎仔血清、及び約5%〜15%の範囲の濃度の前記ジメチルスルホキシドを各々の低温保存バイアル内に含む。
【0023】
本開示の更に別の実施形態では、前記薬学的に許容可能な添加剤がPlasmalyte Aである。
【0024】
本開示は、上記の組成物及び取扱説明書を含むキットに関する。
【0025】
本開示は、骨髄由来MSCの治療用途のための単離、プーリング及び大規模増殖の方法を提示する。本開示は、移植用/移植前の新たに採取した間葉系幹細胞(MSC/凍結融解MSC)を、その生存性及び多能性を特定期間維持するために最適条件で保存/貯蔵する重要な方法も開示する。加えて、本開示は、間葉系幹細胞(MSC)、ヒト血清アルブミン、Plasmalyte A及びジメチルスルホキシド(DMSO)を薬学的に許容可能な賦形剤とともに含む、臨床用途のための組成物にも関する。本開示は、該組成物を得る方法にも関する。該方法は、吸引した骨髄からマスターセルバンクを樹立すること、
続いてワーキングセルバンクを調製すること、及び最後に治験用医薬品の組成物を達成することを更に含む。
【0026】
本開示の一実施形態では、本明細書中で使用される「治験用医薬品(IMP)又は治験薬(IP)又は治療用組成物又は組成物」という用語は全て、主に骨髄由来同種間葉系幹細胞を、ヒト血清アルブミン、Plasmalyte A及びジメチルスルホキシド(DMSO)とともに含む組成物を意味する。以下、本明細書中ではこれをIMPと称する。
【0027】
一実施形態では、本開示は、主に活性成分である間葉系幹細胞、ヒト血清アルブミン、Plasmalyte A及びジメチルスルホキシド(DMSO)を含む組成物、並びにそれを得る方法を提供する。間葉系幹細胞は、複数の健常ドナー、好ましくは1人〜5人のドナー、より好ましくは1人〜3人のドナーから吸引した骨髄に由来するものであり、マスターセルバンクの調製のための様々な処理を行う。さらに、ワーキングセルバンクは上記マスターセルバンクから得られ、これをその後、治療用途/臨床用途のための本組成物/(IMP)に調合する。
【0028】
MSCの単離、マスターセルバンク、ワーキングセルバンク及び治験薬の調製
MCBの調製:
本開示の一実施形態では、約60mL〜70mLの骨髄を各健常ドナーの腸骨稜から無菌的に吸引し、個々の血液バッグに回収する。20ml容の注射器を使用して、サンプルをセルストレーナー(100μm)に通して骨片、血餅及び細胞集合体を除去し、遠心分離管に回収する。回収した骨髄を完全培養培地で希釈し、遠心分離を約1200rpm〜1500rpmで約10分間〜20分間行う。完全培養培地はノックアウトダルベッコ変法イーグル培地(DMEM−KO)、ウシ胎仔血清(10%)、グルタミン(1%)及びPen−Strep(ペニシリン(Penicillin)−ストレプトマイシン)(0.5%)を含む。上清を捨て、ペレットを完全培養培地で希釈する。別の遠心分離管にlymphoprep(密度勾配溶液)を取り、これに希釈した骨髄をその2倍容量添加し、約1200rpm〜1500rpmで約10分間〜20分間、室温で遠心分離する(ここで、室温とは20℃〜25℃である)。界面に存在するバフィー層を回収し、細胞の計数を行う。
【0029】
本開示の別の実施形態では、バフィーコートは単核細胞(MNC)を含む。バフィーコート中に存在するMNCを完全培養培地で洗浄する。各々のドナーから得られるMNC数は、ドナーの年齢及び生物学的性質に応じて異なる。平均数は約4億〜10億である。残りのMNCを1つのバイアル内で凍結させて、数をバイアルに記入する。バフィー層の残りに等容量の完全培養培地を添加し、約1200rpm〜1500rpmで約10分間〜20分間遠心分離する。ペレットに培養培地を添加し、穏やかに再懸濁する。細胞を血球計算器で計数し、1つのT−75フラスコにつき約4000万個〜5000万個のMNCを播種し、37℃の5%COインキュベーターに移す。最初の培地交換は約72時間の時点で行い、その後48時間ごとに、フラスコが80%〜85%のコンフルエンシーに達するまで培地交換を行う。培地交換によって、MSCのみが特有のプラスチック付着性のために表面に付着することを確実にする。約48時間〜約72時間後、細胞を顕微鏡下でスクリーニングし、2枚の代表的な顕微鏡写真を撮影する。
【0030】
本開示の一実施形態では、細胞を約80%〜85%のコンフルエンシーに達するまでフラスコ内で培養する。細胞が約80%〜85%コンフルエントである場合、完全培地を吸引し、細胞をダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)で2回洗浄する。1つのT−75フラスコにつき約1ml〜2mlのトリプシンを添加し、37℃で約2分間〜3分間インキュベートする。DMEM KO、10%のFBS及び0.5%のPen−Strep(ペニシリン−ストレプトマイシン)を含む中和培地でトリプシンの作用を中和し、中和したサンプルを回収し、約1200rpm〜1500rpmで約10分間〜20分間、
室温で遠心分離する。ペレットに完全培地を添加した後、細胞計数を行う。その後、約85%〜95%のFBS及び約5%〜15%のDMSOを含む凍結培地を用いて、MSCを1ml当たり約100万個の濃度でバイアル内で凍結させる。これを継代0(P0)細胞(すなわち1本又は2本のバイアル)と称する。細胞の残りをセルスタック内で1平方cm当たり約6666細胞の播種密度で培養/増殖させ、7日目又は8日目(培養齢)に完全培地を交換し、0.25%トリプシンを用いて14日目〜18日目にセルスタックを採取する。トリプシン処理した細胞を、DMEM KO、10%のFBS、0.5%のPen−Strep(ペニシリン−ストレプトマイシン)を含む中和培地で中和し、遠心分離管に回収し、約1200rpm〜1500rpmで約10分間〜20分間遠心分離する。ペレットを完全培地に再懸濁して、細胞数を評価する。採取した細胞を、約85%〜95%のFBS及び約5%〜15%のDMSOを含む凍結培地中、1ml当たり約100万細胞〜300万細胞の濃度でバイアル内で凍結させる。これを継代1(P1)細胞又はマスターセルバンクと称する。
【0031】
WCBの調製:
本開示の別の実施形態では、各1バイアルのマスターセルバンクを取り、細胞を続いて計数し、各ドナーについて均等に(equal proportion)プールする。これをプーリングと称する。プーリングは2人、3人、4人、5人若しくはそれ以上のドナーによるもの、又は要件に従うものであり得る。全てのドナー細胞の計数及びプーリングの後、細胞を生存性について確認し、生存細胞を得られた細胞数に従って2個〜10個のチャンバーにプレーティングする。その後、培養チャンバーを約37℃の5%COインキュベーターに移す。48時間〜72時間ごとにセルスタックを顕微鏡下で観察し、2枚の代表的な顕微鏡写真を撮影する。7日〜8日ごとに、完全培養培地にDMEM−KO、FBS、グルタミン、Pen−Strep及び塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)を含む新たに調製した完全培地を補充する。チャンバー内の細胞が約80%〜85%コンフルエントになるまで細胞を培養する。
【0032】
本開示の一実施形態では、細胞が約80%〜85%のコンフルエンシーを達成した時点で、完全培地を吸引し、セルスタックをDPBSで2回洗浄する。洗浄後、トリプシンを添加し、細胞を約37℃で約4分間〜5分間インキュベートし、その後中和培地で細胞を中和する。中和したサンプルを回収し、約1200rpm〜1500rpmで約10分間〜20分間、室温で遠心分離する。それにより得られたペレットに完全培地を添加し、細胞を計数する。その後、細胞をセルスタック内で更に1継代、培養/増殖させて、細胞を採取し、遠心分離する。得られたペレットに完全培地を添加し、細胞を計数する。各バイアルが、約85%〜95%のFBS及び約5%〜15%のDMSOを含む凍結ミックス(freezing mix)中に約100万個〜300万個のMSCを含有するようにして、バイアルを約180℃〜196℃で凍結する。これにより、継代3(P3)のワーキングセルバンクが形成される。本開示において使用される低温貯蔵タンクは液体窒素を利用するものであり、このワーキングセルバンクを後の大規模増殖に使用する。
【0033】
大規模増殖のための種調製:
本開示の一実施形態では、IMP調合に必要とされる細胞の数に応じて特定数のWBCバイアルを回復させ、計数する。細胞生存性を初めに確認し、生存細胞を1平方センチメートル当たり約1000細胞の播種密度でプレーティングする。その後、バイアルを培養チャンバー、更に約37℃に維持した5%COインキュベーターに移す。48時間〜72時間ごとにセルスタックを顕微鏡下でスクリーニングし、2枚の代表的な顕微鏡写真を撮影する。次いで、完全培地に新たに調製した完全培地を補充し、7日〜8日後に補充を繰り返す。次いで、チャンバーが約80%〜85%コンフルエントになるまで細胞を培養する。
【0034】
本開示の別の実施形態では、細胞が約80%〜85%のコンフルエンシーを達成した時点で、使用済み培地を吸引し、セルスタックをDPBSで2回洗浄する。洗浄後、トリプシンを添加し、約37℃で約4分間〜5分間インキュベートし、中和培地で中和する。中和したサンプルを回収し、約1200rpm〜1500rpmで約10分間〜20分間、室温(約20℃〜25℃の範囲)で遠心分離する。ペレットにDPBSを添加し、十分に混合し、約1200rpm〜1500rpmで約10分間〜20分間遠心分離する。細胞を完全培地に再懸濁し、種細胞数を評価する(assess)。上記の細胞を継代4(P4)段階の種細胞と称する。
【0035】
大規模生産:
本開示の一実施形態では、上記の計数した生存細胞を、複数の10セルスタック(TCS)(通常は22.4TCS)に1平方cm当たり約1000細胞〜1100細胞の播種密度で更に活発に増殖させる。その後、培養チャンバーを5%COインキュベーターに移す。
【0036】
本開示の一実施形態では、48時間〜72時間ごとにセルスタックを顕微鏡下でスクリーニングし、2枚の代表的な顕微鏡写真を撮影する。7日目又は8日目に、使用済み培地を除去することなく、bFGFを含む約500mlの完全培地を既存の10セルスタックに添加することを、流加回分活性化プロセスと称する。
【0037】
本開示の別の実施形態では、7日目又は8日目(培養齢)に流加回分活性化によって培地を補充し、0.25%トリプシンを用いることによって14日目〜18日目にセルスタックを採取する。チャンバーが約80%〜85%コンフルエントになるまで細胞を培養する。
【0038】
本開示の更に別の実施形態では、細胞が約80%〜85%コンフルエントに達した時点で、セルスタックから使用済み培地を別の遠心分離管に回収し、セルスタックをDPBSで2回洗浄する。洗浄後、トリプシンを添加し、約37℃で約3分間〜4分間インキュベートし、回収した使用済み培地で中和する。中和したサンプルを遠心分離管に回収し、約1200rpm〜1500rpmで約10分間〜20分間、室温で遠心分離する。細胞をDPBSに再懸濁し、約1200rpm〜1500rpmで10分間〜20分間遠心分離することによって2回洗浄する。細胞を血球計算器で計数した後、最後のDPBS洗浄を行う。最後の洗浄を行ったペレットに、Plasmalyte−A、DMSO及びヒト血清アルブミンを含む凍結ミックスを添加し、全体をクライオバッグに移す。これは、間葉系幹細胞、Plasmalyte−A、ヒト血清アルブミン(HSA)及びDMSOを含む本開示の最終IMP/組成物であり、治療用途/臨床用途に使用することができる。
【0039】
本開示の一実施形態では、骨髄から幹細胞を得ることに関するプロセスを下記に示す。
【0040】
以下の実施例及び図面によって本開示を更に詳述する。しかしながら、これらの実施例は本開示の範囲を限定すると解釈されるものではない。
【実施例】
【0041】
実施例1:
工程1:マスターセルバンク調製のための骨髄由来MSCの単離
1. 骨髄穿刺液を、セルストレーナー(100μm)に通して遠心分離管に移し、骨片及び細胞集合体を除去する。
2. 骨髄をダルベッコ変法イーグル培地ノックアウト(DMEM−KO)、ウシ胎仔血清(FBS)、グルタミン及びPen−Strepを含む完全培養培地で1:1の比率で希釈した後、穏やかに混合する。
3. 約1200rpm〜1500rpmで約10分間〜20分間遠心分離する。
4. 上清を慎重に吸引し、ペレットを完全培養培地で希釈する。
5. 50ml容の遠心分離管にlymphoprepを取り、これに希釈した骨髄をその2倍容量添加する(1:2の比率)。
6. 骨髄サンプルをlymphoprep上に、サンプルとlymphoprepとが混合しないように慎重に重層する。
7. 約1200rpm〜1500rpmで約10分間〜20分間、室温で遠心分離する。
8. RBCと血漿の多い層との間に存在するバフィー層から単核細胞を回収するために、他のいかなる層も吸引しないようにピペットをバフィー層の隅に45°の角度で合わせて、バフィー層を慎重に吸引する。
9. 細胞を新たな遠心分離管に移し、細胞を血球計算器で計数する。
10. 単核細胞(MNC)の10本のバイアルを凍結する(各々のバイアルは約1000万細胞を含有する)。
11. バフィー層の残りに等容量の完全培養培地を添加し、約1200rpm〜1500rpmで約10分間〜20分間遠心分離する。
12. 約10mlの培養培地をペレットに添加し、穏やかに再懸濁する。
13. 細胞を血球計算器で計数する。
14. 約4000万個〜約5000万個のMNC細胞をT−75フラスコに移す。
15. 培養チャンバーを37℃の5%COインキュベーターに移し、約10日間〜15日間インキュベートする。
16. 約48時間後〜約72時間後、セルスタックを顕微鏡下で観察し、2枚の代表的な顕微鏡写真を撮影する。
17. 完全培地に72時間後、及びその後48時間ごとに新たに調製した完全培地を補充する。
18. チャンバー内の細胞が約80%〜85%コンフルエントになるまで細胞を培養する。
19. 細胞が約80%〜85%コンフルエントになった時点で、完全培養培地を吸引し、セルスタックをダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)で2回洗浄する。
20. 洗浄後、1つのフラスコにつき約2mlの0.25%トリプシンを添加し、37℃のインキュベーター内で約2分間〜3分間インキュベートする。
21. トリプシンの作用を、1:4の比率の中和培地で中和する。
22. 中和したサンプルを遠心分離管に回収し、約1200rpm〜1500rpmで約10分間〜20分間、室温で遠心分離する。
23. ペレットに完全培地を添加し、細胞を計数する。
24. 先の継代の3本〜10本のバイアルを、85%〜95%のFBS及び5%〜15%のDMSOを含む凍結培地中で、1ml当たり100万細胞〜300万細胞の最終濃度で凍結する。培養物を1セルスタック(CS)又は2CSで、6666細胞/cmの播種密度で増殖させて、MCBを得る。
25. 培養物をトリプシン処理によって採取し、細胞ペレットを約85%〜95%のFBS及び5%〜15%のDMSOを含む凍結培地に、1ml当たり約100万細胞〜300万細胞の最終細胞濃度で再懸濁する。
【0042】
工程2:マスターセルバンクからのワーキングセルバンクの調製
26. 複数のドナーの各々に由来するマスターセルバンクバイアルを各1本ずつ取る。27. バイアルを水浴中、約37℃で融解する。
28. 凍結培地を完全培地で1:9の比率で中和することによって細胞を回復させる。29. 中和した懸濁液を約1200rpm〜1500rpmで10分間〜20分間、室温で遠心分離する。
30. 上清を捨て、ペレットを完全培地で再懸濁し、各ドナーの総生存細胞数を個々に
計数する。
31. 全てのドナーからの細胞を均等に混合する。これはプーリングと称される。プーリングは2人、3人、4人、5人又はそれ以上のドナーによるものであり得る。
32. 計数し、1つ〜5つ又はそれ以上のドナー細胞を混合した後、生存性を確認し、生存細胞を、得られた細胞数に従って2個のチャンバー及び10個のチャンバー内に約1000細胞/cmの播種密度でプレーティングする。
33. その後、培養チャンバーを約37℃の5%COインキュベーターに移す。
34. 48時間〜72時間ごとにセルスタックを顕微鏡下でスクリーニングし、2枚の代表的な顕微鏡写真を撮影する。
35. 7日〜8日ごとに、完全培地にDMEM−KO、FBS、グルタミン、Pen−Strep及びbFGFを含む新たに調製した完全培地を補充する。
36. 次いで、チャンバー内の細胞が約80%〜85%コンフルエントになるまで細胞を培養する。
37. 細胞が約80%〜85%コンフルエントになった時点で、完全培地を吸引し、セルスタックをDPBSで2回洗浄する。
38. 洗浄後、1個のチャンバーにつき約20mlの0.25%トリプシンを添加し、37℃のインキュベーター内で約4分間〜5分間インキュベートする。
39. トリプシンの作用を、1:4の比率の完全培地で中和する。
40. 中和したサンプルを遠心分離管に回収し、約1200rpm〜1500rpmで約10分間〜20分間、室温で遠心分離する。
41. ペレットに約10ml〜20mlの完全培地を添加し、細胞を計数する。
42. 細胞をセルスタック内で更に1継代増殖させて、工程37〜41の通りに細胞を採取する。
43. 細胞を約1200rpm〜1500rpmで約10分間〜20分間、室温で遠心分離し、上清を捨て、約5%〜15%のDMSO及び約85%〜95%のFBSからなる凍結培地でペレットを再懸濁する。
44. 穏やかに混合し、100万細胞/ml〜300万細胞/mlの凍結培地を含有するようにクライオバイアルに充填し、継代3(P3)のWCBという表示を付ける。
【0043】
工程3:ワーキングセルバンクバイアルからの組成物の調製
45. IMPの要件に応じて必要数のワーキングセルバンクのバイアルを回復させ、細胞を計数し、その生存性を確認する。1つの10チャンバーセルスタックにつき約636万個の生存細胞をプレーティングする。
46. 培養チャンバーを約37℃の5%COインキュベーターに移す。
47. 48時間〜72時間ごとにセルスタックを顕微鏡下で観察し、2枚の代表的な顕微鏡写真を撮影する。
48. 7日〜8日ごとに、完全培地に新たに調製した完全培地を補充する。
49. チャンバーが約80%〜85%コンフルエントになるまで細胞を培養する。
50. 細胞が約80%〜85%コンフルエントになった時点で、使用済み培地を吸引し、セルスタックをDPBSで2回洗浄する。
51. 洗浄後、1つのチャンバーにつき約20mlの0.25%トリプシンを添加し、37℃のインキュベーター内で約2分間〜3分間インキュベートする。
52. トリプシンの作用を、1:4の比率の完全培地で中和する。
53. 中和したサンプルを遠心分離管に回収し、約1200rpm〜1500rpmで約10分間〜20分間、室温で遠心分離する。
54. ペレットに約20mlのDPBSを添加し、十分に混合し、約1200rpm〜1500rpmで10分間〜約20分間遠心分離する。
55. 細胞を完全培地に再懸濁し、細胞数を測定する。上記の細胞をP4段階の種細胞と称する。
56. P4細胞を、再度の増殖のために複数の10セルスタック(通常は22.4TC
S)に1平方cm当たり約1000細胞〜1100細胞の播種密度で播種する。培養チャンバーを5%COインキュベーターに移す。
57. 48時間〜72時間ごとにセルスタックを顕微鏡下でスクリーニングし、2枚の代表的な顕微鏡写真を撮影する。
58. 7日目又は8日目に、使用済み培地を除去することなく、bFGFを含む約500mlの完全培地を10セルスタックに添加する。
59. 14日目〜18日目にチャンバーが約80%〜85%コンフルエントになった時点で、0.25%トリプシンを用いてセルスタックを採取する。
60. 細胞が約80%〜85%コンフルエントになった時点で、セルスタックから(from)使用済み培地を別の遠心分離管に回収し、セルスタックをDPBSで2回洗浄する。61. トリプシンを添加し、37℃のインキュベーター内で約3分間〜4分間インキュベートし、回収した使用済み培地で中和する。
62. 中和したサンプルを遠心分離管に回収し、約1200rpm〜1500rpmで約10分間〜20分間、室温で遠心分離する。
63. 細胞をDPBSに再懸濁し、約1200rpm〜1500rpmで10分間〜20分間遠心分離することによって2回洗浄する。
64. 細胞を血球計算器で計数した後、最後のDPBS洗浄を行う。
65. 最後の洗浄を行ったペレットに、約2億細胞のペレットにつき約12.75mlのPlasmalyte−A、約1.5mlのDMSO及び約0.75mlのヒト血清アルブミンを含む凍結ミックスを約15ml添加する。全体をクライオバッグに移す。これは、間葉系幹細胞、Plasmalyte−A、ヒト血清アルブミン及びDMSOを含む本開示の最終組成物であり、治療用途/臨床用途に使用することができる。
【0044】
本開示の一実施形態では、各バイアルにおいて、マスターセルバンク組成物中の間葉系幹細胞は約100万細胞であり、ワーキングセルバンク組成物中の間葉系幹細胞は約300万細胞である。
【0045】
実施例2:
マスターセルバンクの樹立
図1は、単離した骨髄からのマスターセルバンク(MCB)の調製に関する主要な工程を示す。工程101は、19歳〜35歳の年齢群の健常ドナーの選択であり、工程103は、強制スクリーニング試験としてヒト免疫不全ウイルス(HIV1)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)及びサイトメガロウイルス(CMV)についてスクリーニングした、選択したドナーからの骨髄の吸引である。骨髄(60mL〜80mL)を複数のドナーの腸骨稜から全身麻酔下で無菌的に吸引する。工程105は、単核細胞(MNC)のプレーティング/播種であり、その後に継代0(P0)のMSCの採取(107)及びP0のMSCの再播種(109)が続く。工程111は、マスターセルバンク(MCB)を樹立するための継代1(P1)のMSCの採取からなる。113は、約85%〜95%のFBS及び約5%〜15%のDMSOを含む低温保存溶液中でのMCB(100万細胞/ml〜300万細胞/mL)の低温保存である。
【0046】
ワーキングセルバンクの樹立
図2は、マスターセルバンク(MCB)からのワーキングセルバンク(WCB)の調製に関する主要な工程を説明するものである。工程201は複数のドナーからのMCBのプーリング、203はP1 MSCの播種、205はP2 MSCの採取、207はP2 MSCの低温保存、209はP2 MSCの再播種、211はワーキングセルバンク(WCB)を構成するP3 MSCの採取、213は約85%〜95%のFBS及び約5%〜15%のDMSOを含む低温保存ミックス/凍結ミックス中での100万細胞/ml〜300万細胞/mlアリコートのMSCの低温保存である。
【0047】
治験薬(IP)/治験用医薬品(IMP)/治療用組成物の調合
図3は、治療用組成物(この用途で治験薬(IP)/治験用医薬品(IMP)とも称される)を配合するために行われる様々な重要な工程を説明するものである。IPは主に骨髄由来の同種間葉系幹細胞(MSC)を他の微量成分とともに含む。規定量のP3の細胞を含む必要数のバッグを回復させ、完全培養培地に播種して、IPを形成する継代4(P4)細胞を採取する(301)。これを、Plasmalyte−A、DMSO及びヒト血清アルブミン(HSA)を含む凍結ミックス/低温保存ミックス中で更に低温保存することができる(303)。最終治験薬は2億個の細胞、12.75mlのPlasmalyte−A、1.5mlのDMSO及び0.75mlのヒト血清アルブミン(HSA)を含む(305)。
【0048】
実施形態の1つでは、IMPは、約2500万細胞〜約2億細胞の範囲の濃度の間葉系幹細胞、約1%〜約6%の範囲の濃度のヒト血清アルブミン、約80%〜約90%の範囲の濃度のPlasmalyte A、約5%〜約10%の範囲の濃度のジメチルスルホキシドを含む。
【0049】
実施例3:
一実施形態では、19歳〜35歳の年齢群の3人の健常ドナー(A、B及びC)を選択する。強制スクリーニング試験として、ヒト免疫不全ウイルス(HIV1)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)及びサイトメガロウイルス(CMV)について患者をスクリーニングする。骨髄(60mL〜80mL)を3人のドナーの腸骨稜から深鎮静下で無菌的に吸引する。骨髄中のMSCの量が0.01〜0.001%であることを考慮すると(Pittenger 199 9)、上記範囲を下回る量から得られるMSCの量は試験を進行するのに少な過ぎ、上記範囲を上回る量はRBC等の不要な成分を生じるおそれがある。
【0050】
【表1】

【0051】
骨髄穿刺液を、100um(細孔径)のセルストレーナー(strainer)に通して骨片及び血餅を除去することによって4本又は5本の遠心分離管に回収し、完全培養培地で1:1の比率で希釈する。この完全(complete)培養培地は、ウシ胎仔血清(FBS)、グルタミン及びPen−Strepを添加したノックアウトダルベッコ変法イーグル培地(DMEM−KO)を含む。骨髄穿刺液を約1200rpm〜1500rpmで約10分間〜20分間遠心分離して、血漿を除去する。上清を捨て、再懸濁した(resuspended)ペレットをLymphoprep上に2:1の比率(懸濁したBMA:lymphoprep
)で重層する。単核細胞(MNC)は、約1200rpm〜1500rpmで約10分間〜20分間の遠心分離後に得られるLymphoprep密度勾配のバフィーコートに由来する。バフィーコート中に存在するMNCを完全培養培地で再度洗浄する。各々のドナーから得られるMNC数は、ドナーの年齢及び生物学的性質に応じて異なる。平均数は約4億〜10億である。
【0052】
実施例4:MSC(P0)を得るためのMNCの継代
単核画分(MSCも含有する)を、T−75フラスコ(BD Biosciences)にプレーティングし、10%FBS、200mM Glutamax及びPen−Strepを添加したDMEM−KOを含む完全培養培地中で培養する。最適播種密度は1つのT−75フラスコにつき約4000万個〜5000万個である。最初の培地交換は72時間のインキュベーション後に行い、続く培地交換はその後48時間ごとに、約80%〜85%のコンフルエンシーレベルが得られるまで行うものとする。細胞の十分な増殖及び非接着性細胞の除去を確実にするために、最大で5回の培地交換を行う。しかしながら、培地交換の回数は細胞のコンフルエンシーによって異なり得る。細胞がコンフルエントになった時点で、0.25%トリプシン/0.53mM EDTA(Invitrogen)で解離し、6666細胞/cmの比率で再播種する(継代1)。3日間〜5日間の培養の後、細胞は約80%〜85%のコンフルエンシーに達し、これを採取して、MCBとして1ml当たり100万細胞〜300万細胞を凍結する。表2はP0でのMSCの単離の詳細を示す。
【0053】
【表2】

【0054】
実施例5:継代(P1)−MCB
複数の1セルスタック又は2セルスタックが、この段階での増殖に最適であることが分かる。複数の1セルスタック又は2セルスタックの使用は、5〜10セルスタックに対して収率の点でより有益であり、セルスタックは、インキュベーション中に細胞のコンフルエンシーをモニタリングするために顕微鏡(microscope)下で観察するものとする。6666細胞/cmの播種密度が最適であることが分かる。インキュベーション期間は、37℃及び5%COで播種日から約6日〜9日である。個々のドナー細胞は、一様な細胞数のP1を得るために同じ方法でプロセシングし、1本のバイアルにつき100万細胞で凍結し、約180℃〜196℃で貯蔵するものとする。上記の凍結したP1−MCBバイ
アルをQC試験のために無作為に選択する。融解したMCBは85%超の生存性を有するものとし、この細胞の80%超がMSC表面マーカー(純度の指標)に陽性であり、5%未満が陰性マーカーに陽性であるものとする。表3は継代1(P1)の概要を示す。
【0055】
【表3】

【0056】
実施例6:継代(P2)
レシピエントからの拒絶を低減するのに必要とされる均質な生成物を得るために、個々のドナー細胞を混合することが必要である。この趣旨で、3人のドナーのP1バイアルを均等に混合し、1セルスタック又は2セルスタックに、bFGF強化完全培地中1000細胞/cmの播種密度でプレーティングする。培地交換を7日目〜8日目に行い、インキュベーション期間は37℃及び5%COで播種日から14日〜18日である。融解したMCBは85%超の生存性を有するものとし、この細胞の80%超がMSC表面マーカー(純度の指標)に陽性であり、5%未満が陰性マーカーに陽性であるものとする。
【0057】
実施例7:継代(P3)
上記の活性細胞を、10セルスタック及び対照として2セルスタック内で、bFGF強化完全培地中1000細胞/cmの播種密度で更に1回(at 1)継代培養する。培地交換を7日目〜8日目に行い、インキュベーション期間は37℃及び5%COで播種日から14日〜18日である。P3は、それから得られるバイアルの数以外は、あらゆる面でP2のレプリカである。P2に適用可能なパラメータは全てP3にも適用可能である。これは、複数のバイアルに、各バイアルにつき100万細胞〜300万細胞で凍結するものとする。これらをWCB−P3細胞として使用する。
【0058】
実施例8:継代(P4)−播種
WCBの2本又は3本のバイアルを取り、大規模IMP調製のための種調製物(seed preparation)として、複数の1セルスタック又は2セルスタックにプレーティングする。これらの細胞はP3と同じ方法で播種及び採取する。
【0059】
実施例9:継代(P5)−IMP調製
上記の活性細胞を、複数の10セルスタック及び対照として2セルスタック内で、bFGF強化完全培地中1000細胞/cmの播種密度で更に1回継代培養する。培地交換を7日目〜8日目に行い、インキュベーション期間は37℃及び5%COで播種日から14日〜18日である。採取した細胞を、複数のクライオバッグ(各々2500万細胞〜2億細胞)内に調合培地(formulation media)中で凍結する。融解したMCBは85%超の生存性を有するものとし、この細胞の80%超がMSC表面マーカー(純度の指標)に陽性であり、5%未満が陰性マーカーに陽性であるものとする。これを治療用組成物/治験薬(IP)/治験用医薬品(IMP)として臨床用途に使用する。下記表4はIPを得ることに関する種々の段階を示すものである。
【0060】
【表4】

【0061】
実施例10:特性研究
本開示の同種MSCは、複数のドナーに由来する成人ヒト間葉系幹細胞のex vivo培養物である。これは、細胞表面表現型等の特異的な細胞マーカーを特徴とする間葉系幹細胞の均質集団からなる。本開示の間葉系幹細胞を、CD 14、CD 19、CD 34、CD 45、CD 73、CD 90、CD 105、CD 133、CD 166及びHLA−DRマーカーを用いたフローサイトメトリーによって分析する。本開示の組成物のMSCは、80%超がCD 73、CD 90、CD 105及びCD 166に陽性であるが、10%未満がCD 14、CD 19、CD 34、CD 45、CD
133及びHLA−DRに陽性である。下記表5は、本出願に開示の方法によって得られる継代5のIMPの種々のバッチについてのフローサイトメトリーを用いたCDマーカーの比較を示すものである。
【0062】
【表5】

【0063】
本開示の一実施形態では、キットは本開示の組成物、マスターセルバンク組成物又はワーキングセルバンク組成物、及び該組成物を調製するための取扱説明書を含む。組成物は間葉系幹細胞、ヒト血清アルブミン(HSA)、Plasmalyte A及びジメチルスルホキシド(DMSO)を、任意で薬学的に許容可能な添加剤とともに含む。さらに、マスターセルバンク組成物又はワーキングセルバンク組成物は、間葉系幹細胞、ウシ胎仔血清(FBS)及びジメチルスルホキシド(DMSO)を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
間葉系幹細胞、ウシ胎仔血清(FBS)及びジメチルスルホキシド(DMSO)を含むマスターセルバンク組成物を調製する方法であって、以下の工程:
a.骨髄細胞を得るとともに培養培地で希釈すること、及び該希釈した細胞を遠心分離し、第1のペレットを得ること、及び該第1のペレットを前記培養培地で再希釈すること、
b.密度勾配溶液を前記再希釈したペレットに添加すること、及び遠心分離し、界面にバフィー層を得ること、
c.等容量の前記培養培地を前記バフィー層に再添加すること、及び遠心分離し、第2のペレットを得ること、続いて該第2のペレットを前記培養培地に懸濁すること、及びインキュベートし、約80%〜85%のコンフルエンシーを達成すること、
d.前記培養培地を吸引すること、及び前記コンフルエントな細胞をダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)で洗浄すること、その後該細胞を0.25%トリプシンで処理すること、及び該処理した細胞を再インキュベートすること、
e.前記再インキュベートした細胞を中和培地で中和すること、並びに該細胞を再遠心分離して第3のペレットを得ること、続いて該第3のペレットを前記培養培地に懸濁すること、並びに約85%〜95%のFBS及び約5%〜15%のDMSOを含む凍結培地で細胞を凍結すること、並びに
f.前記凍結した細胞をトリプシン処理すること、及び該トリプシン処理した細胞を前記凍結培地に再懸濁し、前記マスターセルバンク組成物を得ること、
を含む、間葉系幹細胞、ウシ胎仔血清(FBS)及びジメチルスルホキシド(DMSO)を含むマスターセルバンク組成物を調製する方法。
【請求項2】
前記インキュベーションを5%COインキュベーター内、約37℃の温度で行い、前記コンフルエンシーが、前記培養培地を約7日後〜8日後に補充することによって得られ、前記中和培地が、ダルベッコ変法イーグル培地
−ノックアウト(DMEM KO)、約10%のウシ胎仔血清(FBS)及び約0.5%のPen−Strepを含み、前記再インキュベーションを37℃のインキュベーター内で約2分間〜3分間行う、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
間葉系幹細胞、ウシ胎仔血清(FBS)及びジメチルスルホキシド(DMSO)を含むワーキングセルバンク組成物を調製する方法であって、以下の工程:
a.請求項1に記載のマスターセルバンク組成物を、種々のドナーから得た骨髄細胞から調製すること、
b.前記組成物から細胞ペレットを得ること、続いて該細胞ペレットを培養培地に懸濁すること、及び該細胞を均等な割合でプールし、細胞の集合体を得ること、
c.前記細胞の集合体を前記培養培地で培養すること、その後インキュベートし、約80%〜85%のコンフルエンシーを達成すること、及び請求項1の工程(d)を再び行うこと、
d.前記再インキュベートした細胞を前記培養培地で中和すること、続いて該細胞を遠心分離し、第2のペレットを得ること、及び該第2のペレットを前記培養培地に懸濁し、培養細胞を得ること、並びに
e.前記培養細胞を再遠心分離すること、並びに約85%〜95%のFBS及び約5%〜15%のDMSOを含む凍結培地で該細胞ペレットを凍結し、前記ワーキングセルバンク組成物を得ること、
を含む、間葉系幹細胞、ウシ胎仔血清(FBS)及びジメチルスルホキシド(DMSO)を含むワーキングセルバンク組成物を調製する方法。
【請求項4】
前記マスターセルバンク組成物が、約100万細胞〜300万細胞の範囲の間葉系幹細
胞、約85%〜95%の範囲のウシ胎仔血清(FBS)及び約5%〜15%の範囲のジメチルスルホキシド(DMSO)を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
幹細胞を融解すること、凍結培地を完全培地で中和すること、及び約1200rpm〜1500rpmで約10分間〜20分間の間遠心分離し、細胞ペレットを得ることによって、前記細胞ペレットを得る、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
間葉系幹細胞、Plasmalyte A、ヒト血清アルブミン(HSA)、ジメチルスルホキシド(DMSO)を、任意で薬学的に許容可能な添加剤とともに含む組成物を調製する方法であって、以下の工程:
a.請求項3に記載のワーキングセルバンク組成物を調製すること、
b.間葉系幹細胞を前記組成物から得ること、続いて該細胞を培養培地で培養すること、及びインキュベートし、約80%〜85%のコンフルエンシーを達成すること、及び請求項1の工程(d)を再び行うこと、
c.前記再インキュベートした細胞を前記培養培地で中和すること、その後該細胞を遠心分離し、細胞ペレットを得ること、該細胞ペレットをDPBSで洗浄すること、続いて再遠心分離し、第2の細胞ペレットを得ること、
d.前記第2の細胞ペレットを前記完全培地に懸濁すること、及び該細胞を培養すること、続いて該培養細胞をインキュベートすること、及び前記完全培地を該インキュベートした細胞に添加し、約80%〜85%のコンフルエンシーを達成すること、
e.前記コンフルエントな細胞をトリプシン処理すること、及び該細胞を前記DPBSで再洗浄すること、続いて該再洗浄した細胞を0.25%トリプシンで処理すること、及び該処理した細胞をインキュベートすること、続いて該インキュベートした細胞を前記完全培地で中和すること、
f.前記中和した細胞を遠心分離すること、及び該遠心分離した細胞を前記DPBSで洗浄すること、続いて再遠心分離し、第3のペレットを得ること、並びに
g.前記第3のペレットを前記Plasmalyte−A、前記DMSO及び前記ヒト血清アルブミンとともに凍結すること、並びに任意で薬学的に許容可能な添加剤を添加し、前記組成物を得ること、
を含む、間葉系幹細胞、Plasmalyte A、ヒト血清アルブミン(HSA)、ジメチルスルホキシド(DMSO)を、任意で薬学的に許容可能な添加剤とともに含む組成物を調製する方法。
【請求項7】
前記ワーキングセルバンク組成物が、約100万細胞〜300万細胞の範囲の間葉系幹細胞、約85%〜95%の範囲のウシ胎仔血清(FBS)及び約5%〜15%の範囲のジメチルスルホキシド(DMSO)を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
約1200rpm〜1500rpm、約20℃〜25℃の範囲の温度で約10分間〜20分間の範囲の期間、前記遠心分離を行う、請求項1、3又は6に記載の方法。
【請求項9】
前記インキュベーションを5%COインキュベーター内、約37℃の温度で行い、前記コンフルエンシーが、前記培養培地を約7日後〜8日後に補充することによって得られ、前記再インキュベーションを37℃のインキュベーター内で約2分間〜3分間行う、請求項3又は6に記載の方法。
【請求項10】
前記培養培地が、約85%〜95%の範囲の濃度のダルベッコ変法イーグル培地
−ノックアウト(DMEM−KO)、約5%〜15%の範囲の濃度のウシ胎仔血清(FBS)、約0.5%〜2%の範囲の濃度のグルタミン、約0.1%〜1%の範囲の濃度のPen−Strep、及び約0.5ng/ml〜5ng/mlの範囲の濃度の塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)を含む、請求項1、3又は6に記載の方法。
【請求項11】
間葉系幹細胞、ヒト血清アルブミン(HSA)、Plasmalyte A及びジメチルスルホキシド(DMSO)を、任意で薬学的に許容可能な添加剤とともに含む組成物。
【請求項12】
間葉系幹細胞、ウシ胎仔血清(FBS)及びジメチルスルホキシド(DMSO)を含むマスターセルバンク組成物又はワーキングセルバンク組成物。
【請求項13】
約2500万細胞〜2億細胞の範囲の濃度の前記間葉系幹細胞、約1%〜6%の範囲の濃度の前記ヒト血清アルブミン、約80%〜90%の範囲の濃度の前記Plasmalyte、及び約5%〜10%の範囲の濃度の前記ジメチルスルホキシドを各々の低温保存バイアル内に含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
約100万細胞〜300万細胞の範囲の濃度の前記間葉系幹細胞、約85%〜95%の範囲の濃度の前記ウシ胎仔血清、及び約5%〜15%の範囲の濃度の前記ジメチルスルホキシドを各々の低温保存バイアル内に含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
前記薬学的に許容可能な添加剤がPlasmalyte Aである、請求項11に記載の組成物又は請求項6に記載の方法。
【請求項16】
請求項11又は12に記載の組成物及び取扱説明書を含むキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−511976(P2013−511976A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−540529(P2012−540529)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際出願番号】PCT/IB2010/055424
【国際公開番号】WO2011/064733
【国際公開日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(512117166)ステムピューティクス リサーチ ピーブイティー.リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】STEMPEUTICS RESEARCH PVT. LTD.
【住所又は居所原語表記】Akshay Tech Park, 72&73, 2nd Floor,EPIP Zone, Phase I−Area Whitefield, Bangalore−560066, Karnataka, India
【Fターム(参考)】