説明

関節リウマチの治療剤又は予防剤

【課題】p38MAPK阻害活性及びこれに伴うTNFαの産生抑制活性を有し、医薬品として良好な体内動態プロファイルと肝毒性の低減の双方を実現した関節リウマチの治療剤又は予防剤を提供すること。
【解決手段】本発明は、一般式(I)で示される、2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イルウレア誘導体又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する、関節リウマチの治療剤又は予防剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、関節リウマチの治療剤又は予防剤に関する。
【背景技術】
【0002】
関節リウマチ(Rheumatiod Arthritis;RA)は、自己免疫の異常が原因となって関節及び結合組織のびらん性炎症を引き起こし、これにより関節痛及び関節の変形が生じる膠原病の一つである。関節リウマチは、関節を標的とする代表的な炎症性自己免疫疾患であるが、血管、心臓、肺、皮膚、筋肉といった多臓器を傷害することもあり、全身性の疾患へと発展し得ることも知られている。
【0003】
関節リウマチは、寛解と増悪を繰り返しながら慢性疾患へと進行し、末期には関節の破壊と変形を引き起こすこととなり、重度の運動障害に陥る場合もあるため、患者のQOL(Quality of Life)の観点からも、病態の進行を抑制することに主眼を置いた治療が施されている。現在使用されている関節リウマチの治療薬としては、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、病態修飾性抗リウマチ薬(DMARD)、副腎皮質ホルモン(ステロイド)、免疫抑制薬等が挙げられる。
【0004】
関節リウマチの発病原因については現在のところ不明であるが、滑膜細胞や浸潤細胞等から放出される炎症性サイトカインが、自己免疫異常の引き金になっていると考えられている。このことから、炎症性サイトカインの一つである腫瘍壊死因子α(以下、TNFα)の機能的拮抗に着目した生物製剤の研究が盛んに行われている。例えば、TNFαのモノクローナル抗体であるインフリキシマブは、生体内でTNFαの機能的拮抗薬として強力に作用するため、関節リウマチの治療に対して有効であるとされている(非特許文献1及び2)。
【0005】
一方、p38MAPKは、分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ(Mitogen−Activated Protain Kinase;以下、MAPK)のホモローグであり、紫外線照射、リポ多糖(以下、LPS)、炎症性サイトカイン等の刺激によって活性化され、TNFαを含む炎症性サイトカインの産生を促進することが知られている。
【0006】
特許文献1〜11には、p38MAPKの阻害活性を有する低分子化合物が開示されている。例えば、特許文献3及び10に開示されるBIRB796(1−(5−tert−ブチル−2−(4−メチルフェニル)−2H−ピラゾール−3−イル)−3[4−(2−モルフォリニルエトキシ)ナフタレン−1−イル]ウレア)は、ヒトの関節リウマチに近い症状を呈するマウスコラーゲン関節炎モデルにおいて有効性を示すことが報告されている(非特許文献3)。
【0007】
なお、特許文献12〜14には、2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イルウレア構造を有する化合物が開示されているが、2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イルウレア構造とp38MAPK阻害活性との相関性についての開示はなく、2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イルウレア誘導体がp38MAPK阻害作用を有すること、あるいは、関節リウマチに有効性を示すこと、について、これまでに報告されたことは一切ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第99/00357号
【特許文献2】特表2001−526276号公報
【特許文献3】国際公開第02/083642号
【特許文献4】国際公開第07/103468号
【特許文献5】特表2007−145819号公報
【特許文献6】特表2006−528986号公報
【特許文献7】特表2005−508357号公報
【特許文献8】特表2003−512378号公報
【特許文献9】特表2002−517486号公報
【特許文献10】国際公開第00/043384号
【特許文献11】国際公開第93/014081号
【特許文献12】国際公開第07/073503号
【特許文献13】国際公開第04/082687号
【特許文献14】特開1991−261755号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Koj、Biochim. Biophys. Acta、1996年、第1317巻、p.84−94
【非特許文献2】Dinarelloら、Rev. Infect. Disease、1984年、第6巻、p.51−95
【非特許文献3】Reganら、J. Med. Chem.、2002年、第45巻、p.2994−3008
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、関節リウマチの治療に使用されている非ステロイド性抗炎症薬、病態修飾性抗リウマチ薬、副腎皮質ホルモン及び免疫抑制薬は、症状の緩和は認められるが、寛解に至る確率は低く、感染症や重篤な副作用のリスクを伴っているのが現状である。
【0011】
また、関節リウマチの治療に使用されているインフリキシマブ等の生物製剤は、機能的拮抗薬として顕著な治療効果を期待し得るが、注射剤としての投与が必須となるために患者への負担が大きく、投与した生物製剤が体内で異物として認識された場合には薬効が大幅に減弱するリスクを有している。このため、TNFαの産生を抑制する低分子化合物の開発が切望されているが、肝毒性等の副作用の懸念のない低分子化合物は未だ見出されていないのが現状である。
【0012】
そこで本発明は、p38MAPK阻害活性及びこれに伴うTNFαの産生抑制活性を有し、医薬品として良好な体内動態プロファイルと肝毒性の低減の双方を実現した関節リウマチの治療剤又は予防剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、新規な2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イルウレア誘導体又はその薬理学的に許容される塩が、顕著なp38MAPK阻害活性及びこれに伴うTNFαの産生抑制活性を有し、かつ、優れた体内動態プロファイルと低毒性を兼ね備えていること、及び、関節リウマチに対して優れた薬効を有すること、を見出し、本発明を完成させるに至った。
【0014】
すなわち、本発明は、一般式(I)で示される、2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イルウレア誘導体又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する、関節リウマチの治療剤又は予防剤を提供する。
【化1】

[式中、nは、0〜4の整数を表し、Rは、炭素数1〜6のアルキル(1個以上のハロゲン、RO−及び/又は(RN−で置換されていてもよい)、RO−、(RN−又はハロゲンを表し、Rは、炭素数1〜6のアルキル(1個以上のハロゲン、RO−及び/又は(RN−で置換されていてもよい)、炭素数3〜8のシクロアルキル(1〜3個のそれぞれ独立したRで置換されていてもよく、環を構成する1〜3個のメチレンは、それぞれ独立して、−O−、−S−、−C(O)−又は−N(R)−に置き換わっていてもよく、ベンゼン環と直接結合した炭素原子は、窒素原子に置き換わっていてもよい)、RO−、(RN−又はハロゲンを表し、Rは、RO−又は(RN−を表し、Rは、水素、RO−又は(RN−を表し、Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル(1個以上のハロゲン、RO−及び/又は(RN−で置換されていてもよい)、炭素数3〜8のシクロアルキル(1〜3個のそれぞれ独立したRで置換されていてもよく、環を構成する1〜3個のメチレンは、それぞれ独立して、−O−、−S−、−C(O)−又は−N(R)−に置き換わっていてもよく、ベンゼン環と直接結合した炭素原子は、窒素原子に置き換わっていてもよい)、RO−、(RN−、RC(O)NH−、RS(O)NH−、RC(O)−、ROC(O)−、(RNC(O)−、シアノ又はハロゲンを表し、Rは、それぞれ独立して、水素又は炭素数1〜6のアルキル(1個以上のハロゲンで置換されていてもよい)を表し、Xは、RO−又は(RN−を表す。]
【発明の効果】
【0015】
本発明の2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イルウレア誘導体又はその薬理学的に許容される塩は、p38MAPK阻害活性及びこれに伴うTNFαの産生を抑制し、関節リウマチに対する優れた薬効を発揮するとともに、良好な体内動態プロファイルと肝毒性の低減が実現されているため、関節リウマチの治療剤又は予防剤として使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】マウスコラーゲン関節炎モデルの四肢関節腫脹に対する実施例記載の化合物1b、5bの効果を示す図である。
【図2】ラットアジュバント関節炎モデルの足の腫脹に対する実施例記載の化合物1b、5bの効果を示す図である。
【図3】ラットアジュバント関節炎モデルの骨組織傷害に対する実施例記載の化合物1b、5bの効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の関節リウマチの治療剤又は予防剤は、一般式(I)で示される2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イルウレア誘導体(以下、化合物(I))又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴としている。
【0018】
化合物(I)は特に指定しない限り、不斉炭素の存在等による異性体(R体、S体、α体、β体、エナンチオマー、ジアステレオマー)、旋光性を有する光学異性体(D体、L体、d体、l体、(+)体、(−)体)、クロマトグラフ分離による極性異性体(高極性体、低極性体)、これらの任意の割合の混合物及びラセミ混合物のすべてを包含する。
【0019】
本明細書で使用する次の用語は、特に断りがない限り、下記の定義の通りである。
【0020】
「ハロゲン」とは、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードを意味する。
【0021】
「炭素数1〜6のアルキル」とは、1〜6個の炭素からなる直鎖又は分岐の飽和炭化水素基を表し、「(1個以上のハロゲン、RO−及び/又は(RN−で置換されていてもよい)」と付記している場合は、アルキル基上の水素原子の一部又は全てがハロゲン、RO−及び/又は(RN−(ここで、Rは、それぞれ独立して、水素又は炭素数1〜6のアルキル(1個以上のハロゲンで置換されていてもよい)を表す。)で置換されている基を含むため、例えば、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−メチル−2−プロピル、2−メチル−1−プロピル、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2,2−ジメチル−1−プロピル、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、トリクロロメチル、2,2,2−トリクロロエチル、ヒドロキシメチル、メトキシメチル、1−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシ−2−メチル−2−プロピル、1,3−ジヒドロキシ−2−メチル−2−プロピル、1−アミノ−2−メチル−2−プロピル、2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル、2,2,2−トリフルオロ−1−メトキシエチル、1−アミノ−2,2,2−トリフルオロエチル又は2,2,2−トリフルオロ−1−(メチルアミノ)エチルが挙げられる。
【0022】
「炭素数3〜8のシクロアルキル」とは、3〜8個の炭素からなる単環又は多環の飽和環状炭化水素基を表し、「(1〜3個のそれぞれ独立したRで置換されていてもよく、環を構成する1〜3個のメチレンは、それぞれ独立して、−O−、−S−、−C(O)−又は−N(R)−に置き換わっていてもよく、ベンゼン環と直接結合した炭素原子は、窒素原子に置き換わっていてもよい)」と付記している場合は、アルキル基上の水素原子の1〜3個までがRで置換されている基、環を構成する1〜3個のメチレンがそれぞれ独立して−O−、−S−、−C(O)−又は−N(R)−に置き換わっている基及びフェニル基と直接結合した炭素原子が窒素原子に置き換わっている基を含むため、例えば、シクロプロピル、メチルシクロプロピル、シクロブチル、メチルシクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ノルボルナニル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、アゼパニル、テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル又は4−メチルテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルが挙げられる。
【0023】
化合物(I)の中で塩化し得る置換基を有する化合物は、公知の方法で、相当する塩に変換可能である。
【0024】
付加される酸としては、無毒性かつ水溶性のものが好ましく、塩酸、硫酸、硝酸、臭化水素酸、リン酸等の無機酸、酢酸、乳酸、クエン酸、マレイン酸、安息香酸、シュウ酸、グルタル酸、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸、マンデル酸、コハク酸等の有機カルボン酸又はメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸等の有機スルホン酸がより好ましい。
【0025】
付加される塩基としては、無毒性かつ水溶性のものが好ましく、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム等の無機塩基がより好ましい。
【0026】
一般式(I)中、Rとしては、RO−が好ましく、メトキシ又はエトキシがより好ましく、メトキシがさらに好ましい。
【0027】
一般式(I)中、Rとしては、炭素数3〜6のアルキル、炭素数3〜8のシクロアルキル(1〜3個のそれぞれ独立したRで置換されていてもよく、環を構成する1〜3個のメチレンは、それぞれ独立して、−O−、−S−、−C(O)−又は−N(R)−に置き換わっていてもよく、ベンゼン環と結合した炭素原子は、窒素原子に置き換わっていてもよい)又はハロゲンが好ましく、2−プロピル、2−ブチル、2−メチル−2−プロピル、2−メチル−2−ブチル、ピロリジニル、ピペリジニル、アゼパニル、モルホリニル又はブロモがより好ましく、2−メチル−2−プロピルがさらに好ましい。
【0028】
一般式(I)中、Rとしては、RO−が好ましく、ヒドロキシがより好ましい。
【0029】
一般式(I)中、Rとしては、水素が好ましい。
【0030】
一般式(I)中、Rとしては、それぞれ独立して、RO−又はハロゲンが好ましく、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、フルオロ、クロロ又はブロモがより好ましい。
【0031】
一般式(I)中、Xとしては、ヒドロキシ、アミノ、メチルアミノ又はジメチルアミノが好ましく、ヒドロキシがより好ましい。
【0032】
化合物(I)としては、例えば、一般式(Ia)で示される、表1に記載の化合物が挙げられる。なお、表中、構造式中の波線部はその位置で置換されていることを表す。
【化2】

【0033】
【表1−1】

【0034】
【表1−2】

【0035】
【表1−3】

【0036】
【表1−4】

【0037】
【表1−5】

【0038】
【表1−6】

【0039】
【表1−7】

【0040】
【表1−8】

【0041】
【表1−9】

【0042】
【表1−10】

【0043】
化合物(I)は、例えば、スキーム1に従い合成することができる。各反応式中の記号の意味は、特に断りのない限り、上記の定義の通りである。
【0044】
下記の製造法において、原料化合物がヒドロキシル基を有する場合、一般的に用いられる保護基により保護されていてもよく、反応後に必要に応じて保護基を除去することにより目的化合物を得ることができる。ヒドロキシル基の保護基としては、例えば、アルキル基、フェニル基、トリフェニルメチル基、アラルキル基、アシル基又は置換シリル基が挙げられる。
【0045】
上記の保護基の除去方法は、保護基の種類によって適宜選択されるが、公知の方法、例えば、Protective Groups in Organic Synthesis(Wiley InterScience出版)に記載の方法を用いることができる。
【0046】
下記の製造法において、原料化合物は塩として用いてもよい。付加される酸又は塩基としては、上記した化合物(I)の塩化と同様のものが挙げられる。
【0047】
下記の製造法により得られた化合物(I)は、公知の手段によって単離精製することができる。単離精製法としては、例えば、溶媒抽出、再結晶又はクロマトグラフィーが挙げられる。
【0048】
化合物(I)が、光学異性体、立体異性体を含有する場合には、公知の方法により、それぞれの異性体を単一化合物として得ることができる。
【化3】

【0049】
スキーム1中、Yは炭素数1〜6のアルキル基(1個以上のハロゲンで置換されていてもよい)又は炭素数6〜10のアリール基(適宜置換されていてもよい)を表す。
【0050】
〔第1工程〕
一般式(IV)で示されるカルバマート化合物は、塩基存在下、適当な溶媒中で、一般式(II)で示されるアニリン誘導体と一般式(III)で示されるクロロギ酸エステルとを反応させることにより合成できる。
【0051】
上記のクロロギ酸エステルとしては、第2工程のウレア化反応がスムーズに進行する脱離基を有するもの、例えば、クロロギ酸メチル、クロロギ酸エチル、クロロギ酸2,2,2−トリクロロエチル、クロロギ酸フェニル、クロロギ酸4−クロロフェニル、クロロギ酸4−ニトロフェニル又はクロロギ酸1−ナフチルが挙げられるが、クロロギ酸2,2,2−トリクロロエチル又はクロロギ酸フェニルが好ましい。
【0052】
上記のクロロギ酸エステルの使用量は、一般式(II)で示されるアニリン誘導体1モルに対して0.5〜5モルが好ましく、0.8〜3モルがより好ましい。
【0053】
共存させる塩基としては、例えば、炭酸水素ナトリウム若しくは炭酸水素カリウム等の炭酸水素アルカリ金属類、炭酸カリウム若しくは炭酸セシウム等の炭酸アルカリ金属類、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン若しくはピリジン等のアミン類、カリウムtert−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド又は水素化ナトリウム等のアルカリ金属の水素化物が挙げられるが、炭酸水素ナトリウム、トリエチルアミン又はN,N−ジイソプロピルエチルアミンが好ましい。
【0054】
共存させる塩基の使用量は、一般式(II)で示されるアニリン誘導体1モルに対して0.5〜6モルが好ましく、0.8〜3モルがより好ましい。
【0055】
反応溶媒は、通常反応を阻害しない溶媒から適宜選択され、例えば、テトラヒドロフラン(以下、THF)、1,4−ジオキサン若しくはエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム若しくは1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒、ベンゼン若しくはトルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMF)若しくはジメチルスルホキシド(以下、DMSO)等の非プロトン性極性溶媒、アセトン若しくはメチルエチルケトン等のケトン系溶媒、アセトニトリル若しくはプロピオニトリル等のニトリル系溶媒、水又はそれらの混合溶媒が挙げられるが、エーテル系溶媒が好ましい。
【0056】
一般式(II)で示されるアニリン誘導体の反応液中の濃度は、0.01〜5mol/Lが好ましく、0.1〜2mol/Lがより好ましい。
【0057】
反応温度は、−78〜200℃が好ましく、−20〜100℃がより好ましい。
【0058】
反応時間は、反応温度等の条件に応じて適宜選択されるが、通常10〜30時間程度で満足すべき結果が得られる。
【0059】
〔第2工程〕
一般式(I)で示されるウレア化合物は、塩基存在下、適当な溶媒中で、一般式(IV)で示されるカルバマート化合物と一般式(V)で示される2−アミノ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン化合物とを反応させることにより合成できる。
【0060】
共存させる塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属類、トリエチルアミン若しくはN,N−ジイソプロピルエチルアミン等のトリアルキルアミン類、ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン等の環状アミジン類又はピリジン若しくはN,N−ジメチルアミノピリジン等の芳香族アミン類が挙げられるが、トリアルキルアミン類が好ましい。
【0061】
共存させる塩基の使用量は、一般式(IV)で示されるカルバマート化合物1モルに対して0.5〜10モルが好ましく、0.8〜5モルがより好ましい。
【0062】
反応溶媒は、通常反応を阻害しない溶媒から適宜選択され、例えば、THF、1,4−ジオキサン若しくはエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム若しくは1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒、ベンゼン若しくはトルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、DMF若しくはDMSO等の非プロトン性極性溶媒、アセトン若しくはメチルエチルケトン等のケトン系溶媒、アセトニトリル若しくはプロピオニトリル等のニトリル系溶媒、水又はそれらの混合溶媒が挙げられるが、エーテル系溶媒、ニトリル系溶媒又はこれらの水との混合溶媒が好ましい。
【0063】
一般式(IV)で示されるカルバマート化合物の反応液中の濃度は、0.01〜5mol/Lが好ましく、0.1〜2mol/Lがより好ましい。
【0064】
反応温度は、−20〜200℃が好ましく、0〜150℃がより好ましい。
【0065】
反応時間は、反応温度等の条件に応じて適宜選択されるが、通常30分〜48時間程度で満足すべき結果が得られる。
【0066】
スキーム1の一般式(II)で示されるアニリン誘導体の内、2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル基を有する一般式(IX)で示されるアニリン誘導体は、スキーム2に示す方法で製造することができる。
【化4】

【0067】
〔第1工程〕
一般式(VII)で示されるニトロ化合物は、一般式(VI)で示されるベンズアルデヒド誘導体に対して、適当な溶媒中で、ニトロ化剤を作用させることにより合成できる。
【0068】
一般式(VI)で示されるベンズアルデヒド誘導体としては、市販の化合物又は市販の化合物からの誘導体が挙げられる。市販品を誘導する方法としては、例えば、Bioorganic & Medicinal Chemistry(2008年、第16巻、第15号、p.7193−7205)及びSynthesis(1998年、第7巻、p.1029−1032)に記載の方法が挙げられる。
【0069】
上記のニトロ化剤としては、例えば、硝酸と硫酸又は硝酸と無水酢酸等の組み合わせにより反応系中で発生させたニトロニウムカチオン又はニトロニウムテトラフルオロボレート等のニトロニウム塩が挙げられるが、ニトロニウム塩が好ましい。
【0070】
上記のニトロ化剤の使用量は、一般式(VI)で示されるベンズアルデヒド誘導体1モルに対して0.5〜5モルが好ましく、0.8〜3モルがより好ましい。
【0071】
反応溶媒は、反応を阻害しない溶媒が適宜選択され、例えば、酢酸エチル若しくは酢酸n−プロピル等のエステル系溶媒、アセトニトリル若しくはプロピオニトリル等のニトリル系溶媒、THF、1,4−ジオキサン若しくはエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム若しくは1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒又はそれらの混合溶媒が挙げられるが、エステル系溶媒又はニトリル系溶媒が好ましい。
【0072】
一般式(VI)で示されるベンズアルデヒド誘導体の反応液中の濃度は、0.01〜5mol/Lが好ましく、0.05〜2mol/Lがより好ましい。
【0073】
反応温度は、−78〜50℃が好ましく、−40〜30℃がより好ましい。
【0074】
反応時間は、反応温度等の条件に応じて適宜選択されるが、通常30分〜6時間程度で満足すべき結果が得られる。
【0075】
〔第2工程〕
一般式(VIII)で示されるトリフルオロエタノール誘導体は、適当な溶媒中で、必要に応じてフッ化物塩存在下、一般式(VII)で示されるベンズアルデヒド誘導体とトリフルオロメチル化剤とを反応させることにより合成できる。
【0076】
共存させるフッ化物塩としては、例えば、フッ化ナトリウム若しくはフッ化カリウム等のアルカリ金属塩又はテトラメチルアンモニウムフルオリド若しくはテトラn−ブチルアンモニウムフルオリド等のアンモニウム塩が挙げられるが、アンモニウム塩が好ましい。
【0077】
共存させるフッ化物塩の使用量は、一般式(VII)で示されるベンズアルデヒド誘導体1モルに対して0.01〜2モルが好ましく、0.05〜1モルがより好ましい。
【0078】
上記のトリフルオロメチル化剤としては、例えば、トリフルオロメチルヨージド又はトリメチル(トリフルオロメチル)シランが挙げられるが、トリメチル(トリフルオロメチル)シランが好ましい。
【0079】
上記のトリフルオロメチル化剤の使用量は、一般式(VII)で示されるベンズアルデヒド誘導体1モルに対して0.5〜10モルが好ましく、0.8〜5モルがより好ましい。
【0080】
反応溶媒は、通常反応を阻害しない溶媒が適宜選択され、例えば、THF、1,4−ジオキサン若しくはエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒又はベンゼン若しくはトルエン等の芳香族炭化水素系溶媒又はそれらの混合溶媒が挙げられるが、エーテル系溶媒が好ましい。
【0081】
一般式(VII)で示されるベンズアルデヒド誘導体の反応液中の濃度は、0.001〜5mol/Lが好ましく、0.05〜1mol/Lがより好ましい。
【0082】
反応温度は、−78〜50℃が好ましく、−30〜30℃がより好ましい。
【0083】
反応時間は、反応温度等の条件に応じて適宜選択されるが、通常30分〜12時間程度で満足すべき結果が得られる。
【0084】
〔第3工程〕
一般式(IX)で示されるアニリン誘導体は、適当な溶媒中で、一般式(VIII)で示されるニトロ化合物のニトロ基を還元することによって合成できる。還元の方法としては、例えば、接触水素化又は一電子還元が挙げられる。
【0085】
[接触水素化]
用いる金属触媒としては、例えば、パラジウム/活性炭、水酸化パラジウム/活性炭又は酸化白金が挙げられるが、パラジウム/活性炭が好ましい。
【0086】
上記の金属触媒の使用量は、一般式(VIII)で示されるニトロ化合物1モルの重量に対して0.5〜200重量%が好ましく、5〜100重量%がより好ましい。
【0087】
水素ガスの圧力は、1〜10気圧が好ましく、1〜3気圧がより好ましい。
【0088】
反応溶媒は、通常反応を阻害しない溶媒が適宜選択され、例えば、メタノール、エタノール若しくは2−プロパノール等のアルコール系溶媒、酢酸エチル若しくは酢酸n−プロピル等のエステル系溶媒、THF、1,4−ジオキサン若しくはエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム若しくは1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒、水又はそれらの混合溶媒が挙げられるが、アルコール系溶媒又はエステル系溶媒が好ましい。
【0089】
一般式(VIII)で示されるニトロ化合物の反応液中の濃度は、0.001〜5mol/Lが好ましく、0.05〜2mol/Lがより好ましい。
【0090】
反応温度は、0〜100℃が好ましく、10〜60℃がより好ましい。
【0091】
反応時間は、反応温度等の条件に応じて適宜選択されるが、通常30分〜48時間程度で満足すべき結果が得られる。
【0092】
[一電子還元]
用いる還元剤としては、例えば、鉄、ニッケル若しくはスズ等の金属単体又は塩化鉄若しくは塩化スズ等の金属塩化物が挙げられるが、鉄が好ましい。
【0093】
上記の還元剤の使用量は、一般式(VIII)で示されるニトロ化合物1モルに対して1〜20モルが好ましく、1〜10モルがより好ましい。
【0094】
反応液中には活性化剤を共存させることが好ましく、その活性化剤としては、例えば、塩酸若しくは硫酸等の無機酸又は塩化アンモニウム等のアンモニウム塩が挙げられるが、アンモニウム塩が好ましい。
【0095】
上記の活性化剤の量は、一般式(VIII)で示されるニトロ化合物1モルに対して1〜20モルが好ましく、1〜10モルがより好ましい。
【0096】
反応溶媒は、通常反応を阻害しない溶媒が適宜選択され、例えば、メタノール、エタノール若しくは2−プロパノール等のアルコール系溶媒、THF、1,4−ジオキサン若しくはエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒、水又はそれらの混合溶媒が挙げられるが、アルコール系溶媒と水との混合溶媒、エーテル系溶媒と水との混合溶媒又はアルコール系溶媒、エーテル系溶媒及び水の混合溶媒が好ましい。
【0097】
一般式(VIII)で示されるニトロ化合物の反応液中の濃度は、0.005〜5mol/Lが好ましく、0.1〜2mol/Lがより好ましい。
【0098】
反応温度は、10〜150℃が好ましく、50〜120℃がより好ましい。
【0099】
反応時間は、反応温度等の条件に応じて適宜選択されるが、通常30分〜24時間程度で満足すべき結果が得られる。
【0100】
一般式(IX)で示されるアニリン誘導体は、必要に応じて、一般的に用いられる手法(光学分割、ジアステレオマー分割等)によって、所望の異性体を得ることができる。
【0101】
スキーム1の一般式(II)で示されるアニリン誘導体の内、2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル基と環状アミノ置換基を有する一般式(XI)で示されるアニリン誘導体はスキーム3に示す方法で製造することができる。
【化5】

【0102】
スキーム3中、R2aはブロモ又はヨードを表し、Aを含む一般式(X)で示される化合物は環状2級アミンを表す。
【0103】
一般式(XI)で示される環状アミノ置換アニリン誘導体は、一般式(IXa)で示されるアニリン誘導体に対して、金属触媒、配位子及び塩基存在下、適当な溶媒中で、一般式(X)で示される環状2級アミンを作用させることにより合成できる。
【0104】
上記の金属触媒としては、例えば、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、酢酸パラジウム若しくはテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム等のパラジウム触媒又は酸化銅若しくはヨウ化銅等の銅触媒が挙げられるが、銅触媒が好ましい。
【0105】
上記の金属触媒の使用量は、一般式(IXa)で示されるアニリン誘導体1モルに対して0.001〜1モルが好ましく、0.01〜0.5モルがより好ましい。
【0106】
金属触媒の配位子は金属触媒に合わせて適宜選択され、パラジウム触媒の配位子としては、例えば、トリフェニルホスフィン、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル又は4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン等のホスフィン誘導体が挙げられるが、4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテンが好ましい。また、銅触媒の配位子としては、例えば、プロリン又はN,N−ジメチルグリシン等のアミノ酸誘導体が挙げられる。
【0107】
上記の配位子の使用量は、一般式(IXa)で示されるアニリン誘導体1モルに対して0.001〜1モルが好ましく、0.01〜0.5モルがより好ましい。
【0108】
共存させる塩基としては、例えば、炭酸ナトリウム若しくは炭酸カリウム等の炭酸アルカリ金属類、炭酸水素ナトリウム若しくは炭酸水素カリウム等の炭酸水素アルカリ金属類、リン酸ナトリウム若しくはリン酸カリウム等のリン酸アルカリ金属塩類又はリン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム若しくはリン酸二水素カリウム等のリン酸水素アルカリ金属類が挙げられるが、炭酸アルカリ金属類が好ましい。
【0109】
共存させる塩基の使用量は、一般式(IXa)で示されるアニリン誘導体1モルに対して1〜10モルが好ましく、1〜5モルがより好ましい。
【0110】
上記の環状2級アミンの使用量は、一般式(IXa)で示されるアニリン誘導体1モルに対して1〜20モルが好ましく、1〜10モルがより好ましい。
【0111】
反応溶媒は、通常反応を阻害しない溶媒が適宜選択され、例えば、THF、1,4−ジオキサン若しくはエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒又はDMF若しくはDMSO等の非プロトン性極性溶媒が挙げられるが、非プロトン性極性溶媒が好ましい。
【0112】
一般式(IXa)で示されるアニリン誘導体の反応液中の濃度は、0.005〜5mol/Lが好ましく、0.01〜2mol/Lがより好ましい。
【0113】
反応温度は、0〜200℃が好ましく、30〜150℃がより好ましい。
【0114】
反応時間は、反応温度等の条件に応じて適宜選択されるが、通常1〜48時間程度で満足すべき結果が得られる。
【0115】
スキーム2の一般式(VI)で示されるアルデヒド誘導体の内、メチルシクロアルカンを有する一般式(XVI)で示されるベンズアルデヒド誘導体は、スキーム4に従い合成することができる。
【化6】

【0116】
スキーム4中、R2aはブロモ又はヨードを表し、Bを含む一般式(XIII)で示される化合物はシクロアルカノンを表す。
【0117】
〔第1工程〕
一般式(XIV)で示されるヒドロキシシクロアルカン誘導体は、一般式(XII)で示されるハロゲン化アリール化合物に対して、適当な溶媒中で、塩基を作用させて得られる中間体に、一般式(XIII)で示されるシクロアルカノンを作用させることにより合成できる。
【0118】
用いる塩基としては、例えば、n−ブチルリチウム若しくはsec−ブチルリチウム等のアルキルリチウム、イソプロピルマグネシウムクロリド若しくはシクロヘキシルマグネシウムクロリド等のアルキルグリニャール試薬又はカリウムtert−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシドが挙げられるが、アルキルリチウムが好ましい。
【0119】
用いる塩基の使用量は、一般式(XII)で示されるハロゲン化アリール化合物1モルに対して0.5〜10モルが好ましく、1〜5モルがより好ましい。
【0120】
上記のシクロアルカノンの量は、一般式(XII)で示されるハロゲン化アリール化合物1モルに対して1〜20モルが好ましく、1〜5モルがより好ましい。
【0121】
反応溶媒は、通常反応を阻害しない溶媒が適宜選択され、例えば、THF、1,4−ジオキサン又はエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒が挙げられるが、THFが好ましい。
【0122】
一般式(XII)で示されるハロゲン化アリール化合物の反応液中の濃度は、0.01〜5mol/Lが好ましく、0.05〜3mol/Lがより好ましい。
【0123】
反応温度は、−100〜50℃が好ましく、−80〜20℃がより好ましい。
【0124】
反応時間は、反応温度等の条件に応じて適宜選択されるが、通常30分〜12時間程度で満足すべき結果が得られる。
【0125】
〔第2工程〕
一般式(XV)で示されるメチルシクロアルカン誘導体は、一般式(XIV)で示されるヒドロキシシクロアルカン誘導体に対して、適当な溶媒中で、ルイス酸存在下でメチル化剤を作用させることにより合成できる。
【0126】
共存させるルイス酸としては、例えば、塩化アルミニウム、塩化チタン又は塩化亜鉛等金属塩化物が挙げられるが、塩化チタンが好ましい。
【0127】
上記のルイス酸の使用量は、一般式(XIV)で示されるヒドロキシシクロアルカン誘導体1モルに対して0.5〜10モルが好ましく、1〜5モルがより好ましい。
【0128】
上記のメチル化剤としては、例えば、メチルリチウム、メチルマグネシウムブロミド又はジメチル亜鉛が挙げられるが、ジメチル亜鉛が好ましい。
【0129】
上記のメチル化剤の使用量は、一般式(XIV)で示されるヒドロキシシクロアルカン誘導体1モルに対して1〜20モルが好ましく、1〜10モルがより好ましい。
【0130】
反応溶媒は、通常反応を阻害しない溶媒が適宜選択され、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン若しくは四塩化炭素等のハロゲン系溶媒又はTHF、1,4−ジオキサン若しくはエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒が挙げられるが、ハロゲン系溶媒が好ましい。
【0131】
一般式(XIV)で示されるヒドロキシシクロアルカン誘導体の反応液中の濃度は、0.01〜5mol/Lが好ましく、0.05〜2mol/Lがより好ましい。
【0132】
反応温度は、−100〜0℃が好ましく、−90〜−30℃がより好ましい。
【0133】
反応時間は、反応温度等の条件に応じて適宜選択されるが、通常30分〜6時間程度で満足すべき結果が得られる。
【0134】
〔第3工程〕
一般式(XVI)で示されるベンズアルデヒド誘導体は、一般式(XV)で示されるメチルシクロアルカン誘導体に対して、適当な溶媒中で、ルイス酸存在下でホルミル化剤を作用させることにより合成できる。
【0135】
共存させるルイス酸としては、例えば、塩化アルミニウム、塩化チタン又は塩化亜鉛等の金属塩化物が挙げられるが、塩化チタンが好ましい。
【0136】
上記のルイス酸の使用量は、一般式(XV)で示されるメチルシクロアルカン誘導体1モルに対して0.5〜10モルが好ましく、1〜5モルがより好ましい。
【0137】
上記のホルミル化剤としては、ジクロロメチルメチルエーテルが好ましい。
【0138】
上記のホルミル化剤の使用量は、一般式(XV)で示されるメチルシクロアルカン誘導体1モルに対して1〜20モルが好ましく、1〜10モルがより好ましい。
【0139】
反応溶媒は、通常反応を阻害しない溶媒が適宜選択され、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン若しくは四塩化炭素等のハロゲン系溶媒又はTHF、1,4−ジオキサン若しくはエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒が挙げられるが、ハロゲン系溶媒が好ましい。
【0140】
一般式(XV)で示されるメチルシクロアルカン誘導体の反応液中の濃度は、0.01〜5mol/Lが好ましく、0.05〜2mol/Lがより好ましい。
【0141】
反応温度は、−100〜0℃が好ましく、−90〜−30℃がより好ましい。
【0142】
反応時間は、反応温度等の条件に応じて適宜選択されるが、通常30分〜6時間程度で満足すべき結果が得られる。
【0143】
一般式(V)
【化7】

で示される2−アミノ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン化合物は、文献記載の方法(Tetrahedron Letters、1993年、第34巻、第52号、p.8399−8402;YAKUGAKU ZASSHI、1979年、第99巻、第11号、p.1111−1115;Tetrahedron:Asymmetry、1995年、第6巻、第7号、p.1535−1538等)により合成できる。
【0144】
一般式(V)で示される化合物は必要に応じて、文献記載の方法(Tetrahedron:Asymmetry、1995年、第6巻、第7号、p.1535−1538等)により光学活性な酸を用いて光学分割を行うことで、光学活性体のアミンとして得ることもできる。
【0145】
上記の光学活性な酸としては、乳酸、酒石酸、2−フェニルプロピオン酸、マンデル酸等のカルボン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸等の酸性アミノ酸又はカンファースルホン酸等のスルホン酸が挙げられるが、化合物に応じて適宜選択することによって満足すべき結果が得られる。
【0146】
本発明の関節リウマチの治療剤又は予防剤の関節リウマチに対する効果は、マウスコラーゲン関節炎モデル(例えば、Annu. Rev. Immunol.、1984年、第2巻、p.199〜218参照)やラットアジュバント関節炎モデル(例えば、Cell. Immunol.、1983年、第75巻、p.271−282参照)、ラットストレプトコッカス細胞壁誘発関節炎モデル(例えば、J. Immunol.、1997年、第159巻第8号、p.4103−4108参照)等の文献記載の方法を用いて、抗原によって誘発される関節の腫脹反応の抑制作用により評価することができる。該モデルで認められる関節炎反応は、ヒトの関節リウマチ患者の病態に類似していることが知られている(例えば、Annu. Rev. Immunol.、1984年、第2巻、p.199〜218参照)。
【0147】
本発明の関節リウマチの治療剤又は予防剤は、関節リウマチ等の炎症性関節炎、より具体的には、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、変形性関節症、乾癬性関節炎、ライター症候群、ループス関連関節炎又は強直性脊椎炎等の改善に用いることができる。
【0148】
また、本発明の関節リウマチの治療剤又は予防剤は、関節リウマチに伴う症状、より具体的には、関節炎、関節痛、関節腫脹、関節変形、皮下結節、上強膜炎、肺浸潤、血管炎、多発性神経炎等の改善に用いることができる。
【0149】
本発明の関節リウマチの治療剤又は予防剤は、哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、サル、ウシ、ヒツジ又はヒト)に用いることができる。
【0150】
本発明の関節リウマチ治療剤又は予防剤を使用する際、化合物(I)のフリー体若しくはその薬理学的に許容される塩をそのまま又は医薬として許容される担体を配合して、全身作用あるいは局所作用を目的に使用することができる。
【0151】
投与形態としては、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、シロップ剤、若しくは液剤等の経口剤又は注射剤、吸入剤、坐剤、点鼻剤、点眼剤、ローション剤、軟膏剤、クリーム剤、貼付剤若しくはパッチ剤等の非経口剤が挙げられる。
【0152】
化合物(I)又はその薬理学的に許容される塩を含有する製剤の調製は、製剤分野で一般的に用いられている公知の製造方法に従って行うことができる。この場合、必要に応じて、製剤分野で一般的に用いられる賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、甘味剤、界面活性剤、懸濁化剤、乳化剤、pH調整剤又は基剤等を含有させることができる。
【0153】
上記の賦形剤としては、例えば、乳糖、白糖、ショ糖、ソルビトール、マンニトール、エリスリトール、結晶セルロース、トウモロコシデンプン、ゼラチン、デキストラン又は低置換ヒドロキシプロピルセルロースが挙げられる。
【0154】
上記の結合剤としては、例えば、デンプン、アラビアゴム、ゼラチン、トラガント、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム又はグリセリンが挙げられる。
【0155】
上記の滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ショ糖脂肪酸エステル、軽質無水ケイ酸又はタルクが挙げられる。
【0156】
上記の崩壊剤としては、例えば、デンプン、結晶セルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、カルメロースカルシウム又は部分アルファ化デンプンが挙げられる。
【0157】
上記の甘味剤としては、例えば、ブドウ糖、果糖、転化糖、ソルビトール、キシリトール、グリセリン又は単シロップが挙げられる。
【0158】
上記の界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート80、ソルビタンモノ脂肪酸エステル又はステアリン酸ポリオキシル40が挙げられる。
【0159】
上記の懸濁化剤としては、例えば、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース又はベントナイトが挙げられる。
【0160】
上記の乳化剤としては、例えば、アラビアゴム、トラガント、ゼラチン又はポリソルベート80が挙げられる。
【0161】
上記のpH調整剤としては、例えば、リン酸、酒石酸、クエン酸、グルタミン酸、水酸化ナトリウム又は酸化マグネシウムが挙げられる。
【0162】
上記の基剤としては、例えば、ワセリン、プラスチベース、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレングルコール、グリセリン、流動パラフィン、親水軟膏又は吸水軟膏が挙げられる。
【0163】
化合物(I)又はその薬理学的に許容される塩を含有する製剤を上記の剤形に調製する場合には、製剤分野において一般的に用いられる着色剤、遮光剤、保存剤、香料、矯味剤、等張化剤、安定化剤、可溶化剤、増粘剤、コーティング剤又は徐放性基剤等を使用することができる。
【0164】
上記製剤における化合物(I)又はその薬理学的に許容される塩の有効成分としての含有率は、0.001〜90重量%が好ましく、0.01〜70重量%がより好ましい。
【0165】
化合物(I)又はその薬理学的に許容される塩の用量は、患者の症状、年齢、体重、性別、投与方法等に応じて適宜選択されるが、成人に対する1日の有効成分量は、注射剤の場合には、0.01mg〜25gが好ましく、0.1mg〜10gがより好ましく、経口剤の場合には、0.1mg〜50gが好ましく、1mg〜20gがより好ましい。また、局所剤の場合には、1回又は数回に分けて患部へ投与する有効成分濃度として0.0001〜10%が好ましく、0.001〜5%がより好ましい。
【0166】
本発明の関節リウマチの治療剤又は予防剤は、単独で用いてもよいが、疾患の治療又は予防のため、症状の軽減又は抑制のため、予防若しくは治療効果の補完又は増強のためあるいは投与量の低減のため他の薬剤と適量配合又は併用して使用することもできる。
【0167】
配合又は併用し得る他の薬剤としては、例えば、NSAID(インドメタシン、ジクロフェナクナトリウム、ロキソプロフェンナトリウム等)、免疫調節薬(金チオリンゴ酸ナトリウム、オーラノフィン、ペニシラミン、サラゾスルファピリジン、ブシラミン、ロべンザリット、アクタリット等)、ステロイド(プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、ベタメタゾン、デキサメタゾン等)、免疫抑制薬(メトトレキサート、レフルノミド、ミゾリビン、アザチオプリン、シクロフォスファミド、シクロスポリン、タクロリムス等)、TNFα拮抗薬(インフリキシマブ、エタネルセプト、アダリムマブ等)、IL−6拮抗薬又はIL−1拮抗薬が挙げられる。
【実施例】
【0168】
以下、実施例を示して本発明を具体的に詳述するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0169】
(実施例1)
1−(5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−((S)−2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニル)−3−((1S,2R)−1−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)ウレア(化合物1a)、1−(5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニル)−3−((1S,2R)−1−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)ウレア(化合物1b)の合成
【化8】

〔第1工程〕
1−(5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−ニトロフェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノールの合成
5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−ニトロベンズアルデヒド(13.5g、57.1mmol)のTHF(57.1mL)溶液を0℃に冷却し、トリメチル(トリフルオロメチル)シラン(10.9mL、74.2mmol)、1.0mol/L テトラn−ブチルアンモニウムフルオリド/THF溶液(5.71mL、5.71mmol)をそれぞれ滴下した。試薬投入後、室温まで昇温させた。3時間撹拌した後、反応液に1mol/L塩酸を加え、室温で2時間撹拌した。水層から酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=100/0〜50/50)にて精製することにより、表題化合物を16.5g(収率94%)得た。
【0170】
〔第2工程〕
1−(3−アミノ−5−tert−ブチル−2−メトキシフェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノールの合成
1−(5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−ニトロフェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノール(0.440g、1.43mmol)のエタノール(4.7mL)、水(2.3mL)溶液に、塩化アンモニウム(0.230g、4.30mmol)、鉄粉(0.240g、4.30mmol)を加え、15時間加熱還流した。反応液を室温に戻し、不溶物をセライト床でろ過した。有機溶媒を減圧留去したのち、水層から酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過後、溶媒を減圧留去することにより、表題化合物を含む粗生成物を0.397g得た。
【0171】
〔第3工程〕
2,2,2−トリクロロエチル 5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニルカルバマートの合成
1−(3−アミノ−5−tert−ブチル−2−メトキシフェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノールを含む粗生成物(0.397g)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.374mL、2.14mmol)のTHF(4.77mL)溶液を0℃に冷却し、クロロギ酸2,2,2−トリクロロエチル(0.217mL、1.57mmol)を加え、10分撹拌した。反応液に水を加え、水層から酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=100/0〜75/25)にて精製することにより、表題化合物を0.622g(2工程収率96%)得た。
【0172】
〔第4工程〕
1−(5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−((S)−2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニル)−3−((1S,2R)−1−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)ウレア(化合物1a)、1−(5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニル)−3−((1S,2R)−1−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)ウレア(化合物1b)の合成
2,2,2−トリクロロエチル 5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニルカルバマート(0.220g、0.486mmol)、(1S,2R)−2−アミノ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オール・L−酒石酸塩(0.189g、0.632mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.423mL、2.43mmol)のアセトニトリル(0.486mL)懸濁液を加熱還流した。14時間後放冷し、反応液を減圧濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=67/33〜0/100)にて精製することにより、低極性側の表題化合物1aを0.095g(収率43%)、高極性側の表題化合物1bを0.095g(収率43%)得た。
【0173】
(実施例2)
1−(3−(1−アミノ−2,2,2−トリフルオロエチル)−5−tert−ブチル−2−メトキシフェニル)−3−((1S,2R)−1−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)ウレア(化合物2a、化合物2b)の合成
【化9】

〔第1工程〕
tert−ブチル 1−(5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−ニトロフェニル)−2,2,2−トリフルオロエチルカルバマートの合成
1−(5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−ニトロフェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノール(0.500g、1.62mmol)のアセトニトリル(13mL)溶液に、濃硫酸1.30mL(24.4mmol)を加え、2時間加熱還流した。反応終了後放冷し、反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液中に加え、pHを8とした。水層から酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣のTHF(20mL)溶液に、トリエチルアミン(0.32mL、2.31mmol)、ジtert−ブチルジカルボナート(0.510g、2.31mmol)、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(0.024g)を加え、室温で4時間撹拌した。反応終了後、メタノールを加え、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=90/10〜0/100)にて精製することにより表題化合物を0.599g(収率97%)得た。
【0174】
〔第2工程〕
tert−ブチル 1−(5−tert−ブチル−3−(3−((1S,2R)−1−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)ウレイド)−2−メトキシフェニル)−2,2,2−トリフルオロエチルカルバマートの合成
tert−ブチル 1−(5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−ニトロフェニル)−2,2,2−トリフルオロエチルカルバマート(0.645g、1.58mmol)のメタノール(20mL)溶液に、10%パラジウム/活性炭(0.130g)を加え、室温水素雰囲気下3時間撹拌した。反応終了後、不溶物をセライト床でろ過し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣のTHF(7.0mL)溶液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.360mL、2.06mmol)を加え、氷冷下にてクロロギ酸2,2,2−トリクロロエチル(0.235mL、1.74mmol)を加え、室温に戻し30分間撹拌した。反応終了後、メタノールを加え、溶媒を減圧留去し、無色油状物を0.768g得た。この油状物(0.300g)及び(1S,2R)−2−アミノ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オール・L−酒石酸塩(0.220g、0.735mmol)を用い、実施例1〔第4工程〕と同様の反応を行うことにより、表題化合物を0.185g(3工程収率54%)得た。
【0175】
〔第3工程〕
1−(3−(1−アミノ−2,2,2−トリフルオロエチル)−5−tert−ブチル−2−メトキシフェニル)−3−((1S,2R)−1−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)ウレア(化合物2a、化合物2b)の合成
tert−ブチル 1−(5−tert−ブチル−3−(3−((1S,2R)−1−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)ウレイド)−2−メトキシフェニル)−2,2,2−トリフルオロエチルカルバマート(0.183g、0.332mmol)を10%塩化水素/メタノール溶液(6.0mL)に溶解させ、室温にて28時間撹拌した。反応終了後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣に酢酸エチルと1mol/L水酸化ナトリウム水溶液を加え、pHを10とした。水層から酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過後、溶媒を減圧留去し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=90/10〜0/100)にて精製することにより、低極性側の表題化合物2aを0.064g(収率43%)、高極性側の表題化合物2bを0.049g(収率33%)得た。
【0176】
(実施例3)
1−(5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−(メチルアミノ)エチル)フェニル)−3−((1S,2R)−1−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)ウレア(化合物3a、化合物3b)の合成
【化10】

〔第1工程〕
1−(5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−ニトロフェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノンの合成
1−(5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−ニトロフェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノール(2.00g、6.51mmol)のジクロロメタン(32.5mL)溶液に、デス−マーチンペルヨージナン(2.90g、6.83mmol)を加え、室温で14時間撹拌した。不溶物をセライト床でろ過し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィ(アミンコーティングシリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=75/25〜10/90)にて精製することにより、表題化合物を1.81g(収率91%)得た。
【0177】
〔第2工程〕
1−(5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−ニトロフェニル)−2,2,2−トリフルオロ−N−メチルエタンアミンの合成
1−(5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−ニトロフェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノン(0.500g、1.63mmol)、メチルアミン塩酸塩(0.221g、3.28mmol)、トリエチルアミン(0.454mL、3.28mmol)のエタノール(5.0mL)溶液に、チタンテトライソプロポキシド(0.960mL、3.28mmol)を滴下し、室温にて一晩撹拌した。反応液を0℃に冷却し、水素化ホウ素ナトリウム(0.062g、1.63mmol)を加え、室温に戻し撹拌した。反応終了後、水を加え、不溶物をセライト床でろ過し、溶媒を減圧留去した。クロロホルムと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、水層からクロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過後、溶媒を減圧留去することにより得られた残渣をカラムクロマトグラフィ(アミンコーティングシリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=75/25)にて精製することにより、表題化合物を0.413g(収率78%)を得た。
【0178】
〔第3工程〕
5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−(メチルアミノ)エチル)アニリンの合成
1−(5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−ニトロフェニル)−2,2,2−トリフルオロ−N−メチルエタンアミン(0.413g、1.29mmol)のメタノール(12.0mL)溶液に10%パラジウム/活性炭(0.041g)を加え、室温水素雰囲気下にて3時間撹拌した。反応終了後、不溶物をセライト床でろ過し、ろ液を減圧溜去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィ(アミンコーティングシリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=90/10〜0/100)にて精製することにより、表題化合物を0.215g(収率57%)得た。
【0179】
〔第4工程〕
2,2,2−トリクロロエチル 1−(5−tert−ブチル−3−(3−((1S,2R)−1−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)ウレイド)−2−メトキシフェニル)−2,2,2−トリフルオロエチル(メチル)カルバマートの合成
5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−(メチルアミノ)エチル)アニリン(0.215g、0.741mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.350mL、1.95mmol)のTHF(3.5mL)溶液を0℃に冷却し、クロロギ酸2,2,2−トリクロロエチル(0.220mL、1.65mmol)を加え、室温に戻し30分間撹拌した。反応終了後、メタノールを加え、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=50/50〜90/10)にて精製することにより、無色固体を0.312g得た。この無色固体(0.312g)及び(1S,2R)−2−アミノ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オール・L−酒石酸塩(0.190g、0.633mmol)を用い、実施例1〔第4工程〕と同様の反応を行うことにより、表題化合物を0.284g(2工程収率60%)得た。
【0180】
〔第5工程〕
1−(5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−(メチルアミノ)エチル)フェニル)−3−((1S,2R)−1−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)ウレア(化合物3a、化合物3b)の合成
2,2,2−トリクロロエチル 1−(5−tert−ブチル−3−((1S,2R)−1−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)ウレイド)−2−メトキシフェニル)−2,2,2−トリフルオロエチル(メチル)カルバマート(0.284g、0.443mmol)の酢酸(2.2mL)溶液に、水(0.44mL)と亜鉛(0.087g、1.33mmol)を加え、室温にて一晩撹拌した。反応終了後、不溶物をセライト床でろ過した。ろ液を減圧留去し、得られた残渣に酢酸エチルと1mol/L水酸化ナトリウム水溶液を加え、水層から酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過後、溶媒減圧留去し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=90/10〜0/100)にて精製して、低極性側の表題化合物3aを0.081g(収率39%)、高極性側の表題化合物3bを0.082g(収率40%)得た。
【0181】
(実施例4)
1−(5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニル)−3−((1S,2R)−1−ヒドロキシ−4−メチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)ウレア(化合物4a、化合物4b)の合成
【化11】

2,2,2−トリクロロエチル 5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニルカルバマート(0.139g、0.308mmol)及び(1S,2R)−2−アミノ−4−メチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オール・(R)−マンデル酸塩(0.097g、0.308mmol)を用い、実施例1〔第4工程〕と同様の反応を行うことにより、低極性側の表題化合物4aを0.066g(収率46%)、高極性側の表題化合物4bを0.056g(収率39%)得た。
【0182】
(実施例5)
1−(5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニル)−3−(cis−4−フルオロ−1−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)ウレア(化合物5a、化合物5b)の合成
【化12】

(R)−2,2,2−トリクロロエチル 5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニルカルバマート(0.203g、0.449mmol)及び(±)−cis−2−アミノ−4−フルオロ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オール(0.090g、0.538mmol)を用い、実施例1〔第4工程〕と同様の反応を行うことにより、低極性側の表題化合物5aを0.081g(収率39%)、高極性側の表題化合物5bを0.075g(収率36%)得た。
【0183】
(実施例6)
1−(5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニル)−3−(cis−4−クロロ−1−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)ウレア(化合物6a、化合物6b)の合成
【化13】

2,2,2−トリクロロエチル 5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニルカルバマート(0.216g、0.477mmol)及び(±)−cis−2−アミノ−4−クロロ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オール(0.073g、0.398mmol)を用い、実施例1〔第4工程〕と同様の反応を行うことにより、低極性側の表題化合物6aを0.058g(収率30%)、高極性側の表題化合物6bを0.059g(収率30%)得た。
【0184】
(実施例7)
1−(5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニル)−3−((1S,2R)−1−ヒドロキシ−4−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)ウレア(化合物7a、化合物7b)の合成
【化14】

2,2,2−トリクロロエチル 5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニルカルバマート(0.240g、0.530mmol)及び(1S,2R)−2−アミノ−4−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オール(0.114g、0.636mmol)を用い、実施例1〔第4工程〕と同様の反応を行うことにより、低極性側の表題化合物7aを0.113g(収率44%)、高極性側の表題化合物7bを0.110g(収率43%)得た。
【0185】
(実施例8)
1−(5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニル)−3−(cis−5−フルオロ−1−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)ウレア(化合物10a、化合物10b)の合成
【化15】

(R)−2,2,2−トリクロロエチル 5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニルカルバマート(0.241g、0.532mmol)及び(±)−cis−2−アミノ−5−フルオロ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オール(0.080g、0.479mmol)を用い、実施例1〔第4工程〕と同様の反応を行うことにより、低極性側の表題化合物10aを0.093g(収率37%)、高極性側の表題化合物10bを0.092g(収率37%)得た。
【0186】
(実施例9)
1−(5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニル)−3−(cis−1−ヒドロキシ−5−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)ウレア(化合物12a、化合物12b)の合成
【化16】

(R)−2,2,2−トリクロロエチル 5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニルカルバマート(0.174g、0.384mmol)及び(±)−cis−2−アミノ−5−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オール(0.062g、0.346mmol)を用い、実施例1〔第4工程〕と同様の反応を行うことにより、低極性側の表題化合物12aを0.015g(収率8%)、高極性側の表題化合物12bを0.042g(収率23%)得た。
【0187】
(実施例10)
1−(5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニル)−3−(cis−6−フルオロ−1−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)ウレア(化合物15a、化合物15b)の合成
【化17】

(R)−2,2,2−トリクロロエチル 5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニルカルバマート(0.241g、0.532mmol)及び(±)−cis−2−アミノ−6−フルオロ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オール(0.080g、0.479mmol)を用い、実施例1〔第4工程〕と同様の反応を行うことにより、低極性側の表題化合物15aを0.040g(収率16%)、高極性側の表題化合物15bを0.043g(収率17%)得た。
【0188】
(実施例11)
1−(5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニル)−3−(cis−1−ヒドロキシ−6−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)ウレア(化合物17a、化合物17b)の合成
【化18】

(R)−2,2,2−トリクロロエチル 5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニルカルバマート(0.421g、0.930mmol)及び(±)−cis−2−アミノ−6−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オール(0.200g、1.12mmol)を用い、実施例1〔第4工程〕と同様の反応を行うことにより、低極性側の表題化合物17aを0.121g(収率27%)、高極性側の表題化合物17bを0.211g(収率47%)得た。
【0189】
(実施例12)
1−(5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニル)−3−(cis−7−フルオロ−1−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)ウレア(化合物20a、化合物20b)の合成
【化19】

(R)−2,2,2−トリクロロエチル 5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニルカルバマート(0.220g、0.485mmol)及び(±)−cis−2−アミノ−7−フルオロ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オール(0.073g、0.437mmol)を用い、実施例1〔第4工程〕と同様の反応を行うことにより、低極性側の表題化合物20aを0.010g(収率4%)、高極性側の表題化合物20bを0.019g(収率8%)得た。
【0190】
(実施例13)
1−(5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニル)−3−(cis−1−ヒドロキシ−7−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)ウレア(化合物22a、化合物22b)の合成
【化20】

(R)−2,2,2−トリクロロエチル 5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニルカルバマート(0.250g、0.552mmol)及び(±)−cis−2−アミノ−7−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オール(0.129g、0.720mmol)を用い、実施例1〔第4工程〕と同様の反応を行うことにより、低極性側の表題化合物22aを0.086g(収率32%)、高極性側の表題化合物22bを0.085g(収率32%)得た。
【0191】
(実施例14)
1−(5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニル)−3−(cis−1,7−ジヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)ウレア(化合物23a、化合物23b)の合成
【化21】

(R)−2,2,2−トリクロロエチル 5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニルカルバマート(0.136g、0.300mmol)及び(±)−cis−2−アミノ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1,7−ジオール(0.052g、0.315mmol)を用い、実施例1〔第4工程〕と同様の反応を行うことにより、低極性側の表題化合物23aを0.033g(収率23%)、高極性側の表題化合物23bを0.026g(収率19%)得た。
【0192】
(実施例15)
1−(5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニル)−3−(cis−4,7−ジフルオロ−1−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)ウレア(化合物28a、化合物28b)の合成
【化22】

(R)−2,2,2−トリクロロエチル 5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニルカルバマート(0.200g、0.442mmol)及び(±)−cis−2−アミノ−4,7−ジフルオロ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オール(0.090g、0.486mmol)を用い、実施例1〔第4工程〕と同様の反応を行うことにより、低極性側の表題化合物28aを0.063g(収率30%)、高極性側の表題化合物28bを0.093g(収率43%)得た。
【0193】
(実施例16)
1−(5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニル)−3−(cis−1−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)ウレア(化合物34a、化合物34b)の合成
【化23】

(R)−2,2,2−トリクロロエチル 5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニルカルバマート(0.200g、0.442mmol)及び(±)−cis−1−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−アミン(0.094g、0.576mmol)を用い、実施例1〔第4工程〕と同様の反応を行うことにより、低極性側の表題化合物34aを0.087g(収率42%)、高極性側の表題化合物34bを0.088g(収率43%)得た。
【0194】
(実施例17)
1−(5−ブロモ−2−メトキシ−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニル)−3−((1S,2R)−1−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)ウレア(化合物36a、化合物36b)の合成
【化24】

〔第1工程〕
5−ブロモ−2−メトキシ−3−ニトロベンズアルデヒドの合成
5−ブロモ−2−メトキシベンズアルデヒド(20.0g、93.0mmol)の硫酸(49.6mL)溶液を−15℃に冷却し、60%硝酸(7.62mL、102mmol)を加え2時間攪拌した。反応液に水を加えて析出した固体を濾取することにより、表題化合物を24.0g(収率99%)得た。
【0195】
〔第2工程〕
1−(5−ブロモ−2−メトキシ−3−ニトロフェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノールの合成
5−ブロモ−2−メトキシ−3−ニトロベンズアルデヒド(12.0g、46.1mmol)を用い、実施例1〔第1工程〕と同様の反応を行うことにより、表題化合物を9.32g(収率61%)得た。
【0196】
〔第3工程〕
1−(3−アミノ−5−ブロモ−2−メトキシフェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノールの合成
1−(5−ブロモ−2−メトキシ−3−ニトロフェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノール(9.32g、28.2mmol)を用い、実施例1〔第2工程〕と同様の反応を行うことにより、表題化合物を7.62g(収率90%)得た。
【0197】
〔第4工程〕
2,2,2−トリクロロエチル 5−ブロモ−2−メトキシ−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニルカルバマートの合成
1−(3−アミノ−5−ブロモ−2−メトキシフェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノール(1.78g、5.93mmol)を用い、実施例1〔第3工程〕と同様の反応を行うことにより、表題化合物を2.27g(収率80%)得た。
【0198】
〔第5工程〕
1−(5−ブロモ−2−メトキシ−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニル)−3−((1S,2R)−1−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)ウレア(化合物36a、化合物36b)の合成
2,2,2−トリクロロエチル 5−ブロモ−2−メトキシ−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニルカルバマート(1.70g、3.58mmol)及び(1S,2R)−2−アミノ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オール・L−酒石酸塩(1.12g、3.75mmol)を用い、実施例1〔第4工程〕と同様の反応を行うことにより、低極性側の表題化合物36aを0.648g(収率38%)、高極性側の表題化合物36bを0.612g(収率36%)得た。
【0199】
(実施例18)
1−((1S,2R)−1−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−3−(2−メトキシ−5−モルホリノ−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニル)ウレア(化合物37a、化合物37b)の合成
【化25】

〔第1工程〕
1−(3−アミノ−2−メトキシ−5−モルホリノフェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノールの合成
1−(3−アミノ−5−ブロモ−2−メトキシフェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノール(7.62g、25.4mmol)のDMSO(25.4mL)溶液に、モルホリン(11.1mL、127mmol)、L−プロリン(1.17g、10.1mmol)、炭酸カリウム(14.0g、102mmol)、ヨウ化銅(0.967g、5.08mmol)を加え、110℃で17時間攪拌した。反応液を室温に戻し、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止させた後、水層からジエチルエーテルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過後、溶媒を減圧留去し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=60/40〜30/70)にて精製することにより、表題化合物を5.32g(収率68%)得た。
【0200】
〔第2工程〕
2,2,2−トリクロロエチル 2−メトキシ−5−モルホリノ−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニルカルバマートの合成
1−(3−アミノ−2−メトキシ−5−モルホリノフェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノール(2.35g、7.67mmol)のTHF(20.4mL)溶液に、クロロギ酸2,2,2−トリクロロエチル(1.14mL、8.28mmol),N,N−ジイソプロピルエチルアミン(4.02mL、23.0mmol)を加え、0℃で15分攪拌した。反応液に水を加えて、水層から酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過後、溶媒を減圧留去し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=80/20〜60/40)にて精製することにより、表題化合物を3.45g(収率93%)得た。
【0201】
〔第3工程〕
1−((1S,2R)−1−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−3−(2−メトキシ−5−モルホリノ−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニル)ウレア(化合物37a、化合物37b)の合成
2,2,2−トリクロロエチル 2−メトキシ−5−モルホリノ−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニルカルバマート(0.090g、0.187mmol)及び(1S,2R)−2−アミノ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オール・L−酒石酸塩(0.062g、0.206mmol)を用い、実施例1〔第4工程〕と同様の反応を行うことにより、低極性側の表題化合物37aを0.032g(収率36%)、高極性側の表題化合物37bを0.024g(収率27%)得た。
【0202】
(実施例19)
1−((1S,2R)−4−フルオロ−1−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−3−(2−メトキシ−5−モルホリノ−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニル)ウレア(化合物38a、化合物38b)の合成
【化26】

2,2,2−トリクロロエチル 2−メトキシ−5−モルホリノ−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニルカルバマート(0.175g、0.364mmol)及び(1S,2R)−2−アミノ−4−フルオロ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オール・L−酒石酸塩(0.127g、0.400mmol)を用い、実施例1〔第4工程〕と同様の反応を行うことにより、低極性側の表題化合物38aを0.080g(収率44%)、高極性側の表題化合物38bを0.075g(収率41%)得た。
【0203】
(実施例20)
1−((1S,2R)−1−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−3−(2−メトキシ−5−(ピロリジン−1−イル)−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニル)ウレア(化合物46a、化合物46b)の合成
【化27】

〔第1工程〕
1−(3−アミノ−2−メトキシ−5−(ピロリジン−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノールの合成
1−(3−アミノ−5−ブロモ−2−メトキシフェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノール(0.600g、2.00mmol)、ピロリジン(0.25mL、3.04mmol)を用い、実施例18〔第1工程〕と同様の反応を行うことにより、表題化合物を0.253g(収率44%)得た。
【0204】
〔第2工程〕
2,2,2−トリクロロエチル 2−メトキシ−5−(ピロリジン−1−イル)−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニルカルバマートの合成
1−(3−アミノ−2−メトキシ−5−(ピロリジン−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノール(0.253g、0.872mmol)を用い、実施例1〔第3工程〕と同様の反応を行うことにより、表題化合物を0.406g(収率99%)得た。
【0205】
〔第3工程〕
1−((1S,2R)−1−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−3−(2−メトキシ−5−(ピロリジン−1−イル)−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニル)ウレア(化合物46a、化合物46b)の合成
2,2,2−トリクロロエチル 2−メトキシ−5−(ピロリジン−1−イル)−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニルカルバマート(0.233g、0.500mmol)及び(1S,2R)−2−アミノ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オール・L−酒石酸塩(0.165g、0.551mmol)を用い、実施例1〔第4工程〕と同様の反応を行うことにより、低極性側の表題化合物46aを0.058g(収率25%)、高極性側の表題化合物46bを0.068g(収率29%)得た。
【0206】
(実施例21)
1−((1S,2R)−4−フルオロ−1−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−3−(2−メトキシ−5−(ピロリジン−1−イル)−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニル)ウレア(化合物47a、化合物47b)の合成
【化28】

2,2,2−トリクロロエチル 2−メトキシ−5−(ピロリジン−1−イル)−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニルカルバマート(0.169g、0.364mmol)及び(1S,2R)−2−アミノ−4−フルオロ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オール・L−酒石酸塩(0.127g、0.400mmol)を用い、実施例1〔第4工程〕と同様の反応を行うことにより、低極性側の表題化合物47aを0.045g(収率26%)、高極性側の表題化合物47bを0.047g(収率27%)得た。
【0207】
(実施例22)
1−((1S,2R)−1−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−3−(2−メトキシ−5−(ピペリジン−1−イル)−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニル)ウレア(化合物51a、化合物51b)の合成
【化29】

〔第1工程〕
1−(3−アミノ−2−メトキシ−5−(ピペリジン−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノールの合成
1−(3−アミノ−5−ブロモ−2−メトキシフェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノール(0.300g、1.00mmol)、ピペリジン(0.150mL、1.52mmol)を用い、実施例18〔第1工程〕と同様の反応を行うことにより、表題化合物を0.091g(収率30%)得た。
【0208】
〔第2工程〕
2,2,2−トリクロロエチル 2−メトキシ−5−(ピペリジン−1−イル)−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニルカルバマートの合成
1−(3−アミノ−2−メトキシ−5−(ピペリジン−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノール(0.080g、0.263mmol)を用い、実施例1〔第3工程〕と同様の反応を行うことにより、表題化合物を0.126g(収率99%)得た。
【0209】
〔第3工程〕
1−((1S,2R)−1−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−3−(2−メトキシ−5−(ピペリジン−1−イル)−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニル)ウレア(化合物51a、化合物51b)の合成
2,2,2−トリクロロエチル 2−メトキシ−5−(ピペリジン−1−イル)−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニルカルバマート(0.125g、0.261mmol)及び(1S,2R)−2−アミノ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オール・L−酒石酸塩(0.086g、0.287mmol)を用い、実施例1〔第4工程〕と同様の反応を行うことにより、低極性側の表題化合物51aを0.032g(収率26%)、高極性側の表題化合51bを0.034g(収率27%)得た。
【0210】
(実施例23)
1−(5−(アゼパン−1−イル)−2−メトキシ−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニル)−3−((1S,2R)−1−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)ウレア(化合物56a、化合物56b)の合成
【化30】

〔第1工程〕
1−(3−アミノ−5−(アゼパン−1−イル)−2−メトキシフェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノールの合成
1−(3−アミノ−5−ブロモ−2−メトキシフェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノール(0.600g、2.00mmol)、ヘキサメチレンイミン(0.298g、3.00mmol)を用い、実施例18〔第1工程〕と同様の反応を行うことにより、表題化合物を0.435g(収率68%)得た。
【0211】
〔第2工程〕
2,2,2−トリクロロエチル 5−(アゼパン−1−イル)−2−メトキシ−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニルカルバマートの合成
1−(3−アミノ−5−(アゼパン−1−イル)−2−メトキシフェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノール(0.404g、1.27mmol)を用い、実施例1〔第3工程〕と同様の反応を行うことにより、表題化合物を0.408g(収率65%)得た。
【0212】
〔第3工程〕
1−(5−(アゼパン−1−イル)−2−メトキシ−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニル)−3−((1S,2R)−1−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)ウレア(化合物56a、化合物56b)の合成
2,2,2−トリクロロエチル 5−(アゼパン−1−イル)−2−メトキシ−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニルカルバマート(0.173g、0.350mmol)、(1S,2R)−2−アミノ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オール・L−酒石酸塩(0.115g、0.385mmol)を用い、実施例1〔第4工程〕と同様の反応を行うことにより、低極性側の表題化合物56aを0.045g(収率26%)、高極性側の表題化合物56bを0.050g(収率29%)得た。
【0213】
(実施例24)
1−((1S,2R)−1−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−3−(2−メトキシ−5−(4−メチルテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニル)ウレア(化合物62a、化合物62b)の合成
【化31】

〔第1工程〕
4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−オールの合成
4−ブロモアニソール(1.00g、5.35mmol)のTHF(10.0mL)溶液を−78℃に冷却し、2.77mol/L n−ブチルリチウム/n−ヘキサン溶液(2.31mL、6.42mmol)を滴下した。1時間撹拌した後、テトラヒドロ−4H−ピラン−4−オン(0.595mL、6.42mmol)を滴下した。2時間撹拌したのち、反応液に酢酸を加え反応を停止した。室温に戻し、酢酸エチルにて希釈し、有機層を水で洗浄した。有機層を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過後、溶媒を減圧留去し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=20/80〜0/100)にて精製することにより、表題化合物を0.680g(収率61%)得た。
【0214】
〔第2工程〕
4−(4−メトキシフェニル)−4−メチルテトラヒドロ−2H−ピランの合成
4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−オール(0.680g、3.27mmol)のジクロロメタン(16.0mL)溶液を−78℃に冷却し、四塩化チタン(0.720mL、6.53mmol)を滴下した。1時間撹拌した後、1.0mol/L ジメチル亜鉛/n−ヘキサン溶液(13.1mL、13.1mmol)を滴下した。2時間撹拌し、水を加えて反応を停止した。室温に戻し、酢酸エチルと1mol/L塩酸にて希釈し、有機層を水、次いで飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過後、溶媒を減圧留去し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=90/10〜30/70)にて精製することにより、表題化合物を0.641g(収率95%)得た。
【0215】
〔第3工程〕
2−メトキシ−5−(4−メチルテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)ベンズアルデヒドの合成
4−(4−メトキシフェニル)−4−メチルテトラヒドロ−2H−ピラン(0.518g、2.51mmol)のジクロロメタン(12.0mL)溶液を−15℃に冷却し、四塩化チタン(1.22mL、11.0mmol)を滴下した。20分間撹拌した後、ジクロロメチルメチルエーテル(0.336mL,3.77mmol)を滴下した。1時間撹拌した後、1mol/L塩酸を加え反応を停止した。反応液を酢酸エチルで希釈し、有機層を水、次いで飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過後、溶媒を減圧留去し、表題化合物を含む粗生成物を0.719g得た。
【0216】
〔第4工程〕
2−メトキシ−5−(4−メチルテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−3−ニトロベンズアルデヒドの合成
2−メトキシ−5−(4−メチルテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)ベンズアルデヒドを含む粗生成物(0.719g)の酢酸エチル(10.0mL)溶液を−40℃に冷却し、ニトロニウムテトラフルオロボレート(0.597g、4.49mmol)を加えた。2時間かけて撹拌しながら−10℃まで昇温させた。反応液に水を加え、酢酸エチルで希釈し、有機層を水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過後、溶媒を減圧留去し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=90/10〜30/70)にて精製することにより、表題化合物を0.644g(2工程収率92%)得た。
【0217】
〔第5工程〕
2,2,2−トリフルオロ−1−(2−メトキシ−5−(4−メチルテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−3−ニトロフェニル)エタノールの合成
2−メトキシ−5−(4−メチルテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−3−ニトロベンズアルデヒド(0.644g、2.30mmol)を用い、実施例1〔第1工程〕と同様の反応を行うことにより、表題化合物を0.697g(収率87%)得た。
【0218】
〔第6工程〕
1−(3−アミノ−2−メトキシ−5−(4−メチルテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノールの合成
2,2,2−トリフルオロ−1−(2−メトキシ−5−(4−メチルテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−3−ニトロフェニル)エタノール(0.697g、1.99mmol)を用い、実施例1〔第2工程〕と同様の反応を行うことにより、表題化合物を含む粗生成物0.698gを得た。
【0219】
〔第7工程〕
2,2,2−トリクロロエチル 2−メトキシ−5−(4−メチルテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニルカルバマートの合成
1−(3−アミノ−2−メトキシ−5−(4−メチルテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノールを含む粗生成物(0.698g)を用い、実施例1〔第3工程〕と同様の反応を行うことにより、表題化合物を0.708g(2工程収率72%)得た。
【0220】
〔第8工程〕
1−((1S,2R)−1−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−3−(2−メトキシ−5−(4−メチルテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニル)ウレア(化合物62a、化合物62b)の合成
2,2,2−トリクロロエチル 2−メトキシ−5−(4−メチルテトラヒドロ−1H−ピラン−4−イル)−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニルカルバマート(0.150g、0.303mmol)及び(1S,2R)−2−アミノ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オール・L−酒石酸塩(0.118g、0.394mmol)を用い、実施例1〔第4工程〕と同様の反応を行うことにより、低極性側の表題化合物62aを0.059g(収率40%)、高極性側の表題化合物62bを0.066g(収率44%)得た。
【0221】
(実施例25)
1−((1S,2R)−1−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−3−(2−メトキシ−5−tert−ペンチル−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニル)ウレア(化合物77a、化合物77b)の合成
【化32】

〔第1工程〕
2,2,2−トリフルオロ−1−(2−メトキシ−3−ニトロ−5−tert−ペンチルフェニル)エタノールの合成
2−メトキシ−3−ニトロ−5−tert−ペンチルベンズアルデヒド(0.351g、1.40mmol)を用い、実施例1〔第1工程〕と同様の反応を行うことにより、表題化合物を0.337g(収率75%)得た。
【0222】
〔第2工程〕
1−(3−アミノ−2−メトキシ−5−tert−ペンチルフェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノールの合成
2,2,2−トリフルオロ−1−(2−メトキシ−3−ニトロ−5−tert−ペンチルフェニル)エタノール(0.334g、1.04mmol)を用い、実施例1〔第2工程〕と同様の反応を行うことにより、表題化合物を含む粗生成物0.303gを得た。
【0223】
〔第3工程〕
2,2,2−トリクロロエチル 2−メトキシ−5−tert−ペンチル−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニルカルバマートの合成
1−(3−アミノ−2−メトキシ−5−tert−ペンチルフェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノールを含む粗生成物を用い、実施例1〔第3工程〕と同様の反応を行うことにより、表題化合物を0.208g(2工程収率43%)得た。
【0224】
〔第4工程〕
1−((1S,2R)−1−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−3−(2−メトキシ−5−tert−ペンチル−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニル)ウレア(化合物77a、化合物77b)の合成
2,2,2−トリクロロエチル 2−メトキシ−5−tert−ペンチル−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニルカルバマート(0.200g、0.428mmol)及び(1S,2R)−2−アミノ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オール・L−酒石酸塩(0.128g、0.428mmol)を用い、実施例1〔第4工程〕と同様の反応を行うことにより、低極性側の表題化合物77aを0.073g(収率36%)、高極性側の表題化合物77bを0.078g(収率39%)得た。
【0225】
(実施例26)
1−((1S,2R)−1−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−3−(2−メトキシ−5−(1−メチルシクロブチル)−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニル)ウレア(化合物89a、化合物89b)の合成
【化33】

〔第1工程〕
1−(4−メトキシフェニル)シクロブタノールの合成
4−ブロモアニソール(6.67g、35.7mmol)、シクロブタノン(3.00g、42.8mmol)を用い、実施例24〔第1工程〕と同様の反応を行うことにより、表題化合物を6.06g(収率95%)得た。
【0226】
〔第2工程〕
1−メトキシ−4−(1−メチルシクロブチル)ベンゼンの合成
1−(4−メトキシフェニル)シクロブタノール(3.00g、16.8mmol)を用い、実施例24〔第2工程〕と同様の反応を行うことにより、表題化合物を2.52g(収率85%)得た。
【0227】
〔第3工程〕
2−メトキシ−5−(1−メチルシクロブチル)ベンズアルデヒドの合成
1−メトキシ−4−(1−メチルシクロブチル)ベンゼン(1.20g、6.81mmol)を用い、実施例24〔第3工程〕と同様の反応を行うことにより、表題化合物を1.39g(収率99%)得た。
【0228】
〔第4工程〕
2−メトキシ−5−(1−メチルシクロブチル)−3−ニトロベンズアルデヒドの合成
2−メトキシ−5−(1−メチルシクロブチル)ベンズアルデヒド(1.39g、6.80mmol)を用い、実施例24〔第4工程〕と同様の反応を行うことにより、表題化合物を1.07g(収率63%)得た。
【0229】
〔第5工程〕
2,2,2−トリフルオロ−1−(2−メトキシ−5−(1−メチルシクロブチル)−3−ニトロフェニル)エタノールの合成
2−メトキシ−5−(1−メチルシクロブチル)−3−ニトロベンズアルデヒド(1.06g、4.25mmol)を用い、実施例1〔第1工程〕と同様の反応を行うことにより、表題化合物を1.17g(収率86%)得た。
【0230】
〔第6工程〕
1−(3−アミノ−2−メトキシ−5−(1−メチルシクロブチル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノールの合成
2,2,2−トリフルオロ−1−(2−メトキシ−5−(1−メチルシクロブチル)−3−ニトロフェニル)エタノール(1.17g、3.66mmol)を用い、実施例1〔第2工程〕と同様の反応を行うことにより、表題化合物を0.955g(収率90%)得た。
【0231】
〔第7工程〕
2,2,2−トリクロロエチル 2−メトキシ−5−(1−メチルシクロブチル)−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニルカルバマートの合成
1−(3−アミノ−2−メトキシ−5−(1−メチルシクロブチル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノール(0.950g、3.28mmol)を用い、実施例1〔第3工程〕と同様の反応を行うことにより、表題化合物を1.268g(収率83%)得た。
【0232】
〔第8工程〕
1−((1S,2R)−1−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−3−(2−メトキシ−5−(1−メチルシクロブチル)−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニル)ウレア(化合物89a、化合物89b)の合成
2,2,2−トリクロロエチル 2−メトキシ−5−(1−メチルシクロブチル)−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニルカルバマート(0.270g、0.581mmol)及び(1S,2R)−2−アミノ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オール・L−酒石酸塩(0.183g、0.611mmol)を用い、実施例1〔第4工程〕と同様の反応を行うことにより、低極性側の表題化合物89aを0.108g(収率40%)、高極性側の表題化合物89bを0.107g(収率40%)得た。
【0233】
以上のように合成した化合物(I)の物性データを、以下の表2に示す。
【0234】
【表2−1】

【0235】
【表2−2】

【0236】
【表2−3】

【0237】
【表2−4】

【0238】
【表2−5】

【0239】
【表2−6】

【0240】
【表2−7】

【0241】
【表2−8】

【0242】
【表2−9】

【0243】
【表2−10】

【0244】
【表2−11】

【0245】
(比較例1)
1−(5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニル)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)ウレア(比較化合物1)の合成
【化34】

2,2,2−トリクロロエチル 5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニルカルバマート(0.150g、0.331mmol)と2−アミノインダン(0.053g、0.398mmol)のアセトニトリル(1.0mL)溶液にN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.173mL、0.994mmol)を加え、110℃で18時間攪拌した。反応混合液を減圧留去し、得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=0/100〜60/40)にて精製して表題化合物を0.133g(収率92%)得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3)δ: 7.85 (1H, d, J=2.1 Hz), 7.23-7.15 (5H, m), 6.67 (1H, s), 5.29-5.23 (2H, m), 4.67-4.61 (1H, m), 3.72 (3H, s), 3.32 (2H, dd, J=16.1, 6.9 Hz), 3.26 (1H, d, J=6.3 Hz), 2.83 (2H, td, J=16.1, 4.6 Hz), 1.26 (9H, s).
MS (ESI):437 ([M+H]+).
【0246】
(比較例2)
1−(5−tert−ブチル−3−(ヒドロキシメチル)−2−メトキシフェニル)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)ウレア(比較化合物2)の合成
【化35】

〔第1工程〕
5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−ニトロベンズアルデヒドの合成
5−tert−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド(7.71g、43.3mmol)のアセトニトリル(216mL)溶液を−40℃に冷却し、ニトロニウムテトラフルオロボレート(7.47g、56.2mmol)を加えた。1時間かけて−20℃まで昇温しながら撹拌した。反応液に水を加え、水層から酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣(8.35g)と、炭酸カリウム(25.9g、187mmol)のDMF(50.0mL)懸濁液に、ヨウ化メチル(8.19mL、131mmol)を加え、室温で15時間撹拌した。反応液に水を加え、ジエチルエーテルで抽出した。有機層を水、ついで飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過後、溶媒を減圧留去することにより得られた残渣をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=100/0〜80/20)で精製することにより、表題化合物を7.49g(2工程収率84%)得た。
〔第2工程〕
(5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−ニトロフェニル)メタノールの合成
5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−ニトロベンズアルデヒド(0.500g、2.10mmol)のメタノール(10.5mL)溶液を0℃に冷却し、水素化ホウ素ナトリウム(0.088g、2.31mmol)を加え、15分撹拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、室温で10分撹拌した。水層から酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=10/90〜50/50)にて精製することにより、表題化合物を0.486g(収率96%)得た。
〔第3工程〕
(3−アミノ−5−tert−ブチル−2−メトキシフェニル)メタノールの合成
(5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−ニトロフェニル)メタノール(0.250g、1.04mmol)の酢酸エチル(10.4mL)溶液に、10%パラジウム/活性炭(0.025g)を加え、水素雰囲気下室温で14時間撹拌した。反応終了後、不溶物をセライト床でろ過し、酢酸エチルで洗浄した。ろ液の溶媒を減圧留去することにより、表題化合物を含む粗生成物を0.219g(定量的)得た。
〔第4工程〕
2,2,2−トリクロロエチル 5−tert−ブチル−3−(ヒドロキシメチル)−2−メトキシフェニルカルバマートの合成
(3−アミノ−5−tert−ブチル−2−メトキシフェニル)メタノール(1.72g、8.23mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(2.15mL、12.3mmol)のTHF(27.4mL)溶液を0℃に冷却し、クロロギ酸2,2,2−トリクロロエチル(1.24mL、9.06mmol)を加え、10分撹拌した。反応液に水を加え、水層から酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=75/25〜50/50)にて精製することにより、表題化合物を2.23g(収率71%)得た。
〔第5工程〕
1−(5−tert−ブチル−3−(ヒドロキシメチル)−2−メトキシフェニル)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)ウレア(比較化合物2)の合成
2,2,2−トリクロロエチル 5−tert−ブチル−3−(ヒドロキシメチル)−2−メトキシフェニルカルバマート(0.096g、0.250mmol)と2−アミノインダン(0.033g、0.248mmol)のアセトニトリル(1.0mL)溶液にN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.065mL、0.38mmol)を加え、70℃で12時間攪拌した。反応混合液を減圧留去し、得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=0/100〜60/40)にて精製して表題化合物を0.092g(定量的)得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3)δ: 7.84-6.90 (7H, m), 5.34 (1H, d, J = 6.8 Hz), 4.65-4.64 (3H, m), 3.72 (3H, s), 3.35-3.29 (2H, m), 2.87-2.82 (2H, m), 2.09 (1H, brs), 1.26 (9H, s).
MS (ESI):369 ([M+H]+).
【0247】
(比較例3)
1−(5−tert−ブチル−3−(2−シアノプロパン−2−イル)−2−メトキシフェニル)−3−((1S,2R)−1−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)ウレア(比較化合物3)の合成
【化36】

〔第1工程〕
5−tert−ブチル−1−(クロロメチル)−2−メトキシ−3−ニトロベンゼンの合成
(5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−ニトロフェニル)メタノール(4.59g、19.2mmol)のクロロホルム(20mL)溶液に、塩化チオニル(2.80mL、38.4mmol)を加え、還流下で一晩攪拌した。混合液を室温に冷却後、減圧留去し、残渣に水を加えた。酢酸エチルで抽出した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=0/100〜30/70)にて精製することにより、表題化合物を1.95g(収率39%)得た。
【0248】
〔第2工程〕
2−(5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−ニトロフェニル)アセトニトリルの合成
5−tert−ブチル−1−(クロロメチル)−2−メトキシ−3−ニトロベンゼン(1.93g、7.49mmol)のジオキサン(5.0mL)、エタノール(5.0mL)、水(2.5mL)混合溶液に、シアン化カリウム(0.980g、15.0mmol)を加え、還流下で2時間攪拌した。混合液を室温に冷却後、減圧留去し、残渣に水を加えた。酢酸エチルで抽出した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=0/100〜30/70)にて精製することにより、表題化合物を1.84g(収率99%)得た。
【0249】
〔第3工程〕
2−(5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−ニトロフェニル)−2−メチルプロパンニトリルの合成
水素化ナトリウム(60%)(0.097g、2.42mmol)のTHF(3.2mL)懸濁液に、2−(5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−ニトロフェニル)アセトニトリル(0.200g、0.806mmol)を加え、室温で20分攪拌した。この混合液にヨウ化メチル(0.121mL、1.93mmol)を加え、室温で一晩攪拌した。反応混合液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。抽出液は無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=0/100〜30/70)にて精製することにより、表題化合物を0.088g(収率39%)得た。
【0250】
〔第4工程〕
2−(3−アミノ−5−tert−ブチル−2−メトキシフェニル)−2−メチルプロパンニトリルの合成
2−(5−tert−ブチル−2−メトキシ−3−ニトロフェニル)−2−メチルプロパンニトリル(0.086g、0.311mmol)のエタノール(3.1mL)溶液に、鉄(0.087g、1.56mmol)、塩化アンモニウム(0.083g、1.56mmol)、水(1.6mL)を加え、還流下で3時間攪拌した。反応混合液を濾過し、エタノールで洗浄した。得られた濾液を減圧留去し、残渣をジクロロメタンに溶かした。この溶液を水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=0/100〜30/70)にて精製することにより、表題化合物を0.051g(収率67%)得た。
【0251】
〔第5工程〕
2,2,2−トリクロロエチル 5−tert−ブチル−3−(2−シアノプロパン−2−イル)−2−メトキシフェニルカルバマートの合成
2−(3−アミノ−5−tert−ブチル−2−メトキシフェニル)−2−メチルプロパンニトリル(0.050g、0.202mmol)のTHF(0.6mL)溶液に、クロロギ酸2,2,2−トリクロロエチル(0.052g、0.245mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.053mL、0.304mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。反応混合液を減圧留去し、得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=0/100〜30/70)にて精製して表題化合物を0.086g(定量的)得た。
【0252】
〔第6工程〕
1−(5−tert−ブチル−3−(2−シアノプロパン−2−イル)−2−メトキシフェニル)−3−((1S,2R)−1−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)ウレア(比較化合物3)の合成
2,2,2−トリクロロエチル 5−tert−ブチル−3−(2−シアノプロパン−2−イル)−2−メトキシフェニルカルバマート(0.086g、0.203mmol)と(1S,2R)−2−アミノ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オール・L−酒石酸塩(0.067g、0.223mmol)のアセトニトリル(0.8mL)溶液にN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.058mL、0.333mmol)を加え、110℃で一晩攪拌した。反応混合液を減圧留去し、得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=10/90〜60/40)にて精製して表題化合物を0.044g(収率51%)得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3)δ: 7.64-7.06 (6H, m), 6.40 (1H, s), 5.66 (1H, d, J = 8.0 Hz), 5.11 (1H, dd, J = 5.4, 5.1 Hz), 4.68-4.61 (1H, m), 3.93 (3H, s), 3.32 (1H, dd, J = 15.9, 7.3 Hz), 2.89 (1H, dd, J = 15.9, 6.6 Hz), 2.14 (1H, d, J = 5.1 Hz), 1.74 (3H, s), 1.73 (3H, s), 1.29 (9H, s).
MS (ESI):422 ([M+H]+).
【0253】
(比較例4)
1−(3−tert−ブチル−1−p−トリル−1H−ピラゾール−5−イル)−3−(4−(2−モルホリノエトキシ)ナフタレン−1−イル)ウレア(比較化合物4)及び1−(3−tert−ブチル−1−p−トリル−1H−ピラゾール−5−イル)−3−(4−(2−モルホリノエトキシ)ナフタレン−1−イル)ウレア・塩酸塩(比較化合物4c)の合成
の合成
【化37】

〔第1工程〕
3−tert−ブチル−1−p−トリル−1H−ピラゾール−5−アミン・塩酸塩の合成
p−トリルヒドラジン・塩酸塩(76.0g、479mmol)、ピバロイルアセトニトリル(85.0g、679mmol)のメタノール(350mL)溶液を加熱還流した。15時間後、室温まで放冷し、メタノールを減圧留去した。得られた残渣にジエチルエーテルを加え、再結晶を行うことにより、表題化合物を108.2g(収率85%)得た。
【0254】
〔第2工程〕
2,2,2−トリクロロエチル 3−tert−ブチル−1−p−トリル−1H−ピラゾール−5−イルカルバマートの合成
3−tert−ブチル−1−p−トリル−1H−ピラゾール−5−アミン・塩酸塩(75.0g、282mmol)の酢酸エチル(500mL)懸濁液を0℃に冷却し、水酸化ナトリウム(30.0g、750mmol)の水溶液(250mL)を30分かけて滴下した。さらに30分撹拌した後、クロロギ酸2,2,2−トリクロロエチル(55.2mL、401mmol)を30分かけて滴下した。滴下終了後、室温で1.5時間撹拌した後、有機層と分離した。水層から酢酸エチルで抽出し、有機層と合わせて、水、飽和重曹水、水、飽和食塩水の順で有機層を洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣にn−ヘキサンを加え、析出した沈殿を濾取する事により、表題化合物を97.81g(収率85%)得た。
【0255】
〔第3工程〕
4−(2−(4−ニトロナフタレン−1−イルオキシ)エチル)モルホリンの合成
4−ニトロナフタレン−1−オール(10.1g、53.4mmol)、4−(2−クロロエチル)モルホリン・塩酸塩(14.0g、75.2mmol)、水酸化ナトリウム(3.11g、77.8mmol)、炭酸カリウム(17.5g、127mmol)の1−メチルピロリジン−2−オン(180mL)懸濁液を100℃で撹拌した。3時間後、反応液を0℃に冷却し、水(200mL)を加えて撹拌した。析出した結晶を濾取する事により、表題化合物を14.31g(収率88%)得た。
【0256】
〔第4工程〕
1−(3−tert−ブチル−1−p−トリル−1H−ピラゾール−5−イル)−3−(4−(2−モルホリノエトキシ)ナフタレン−1−イル)ウレア(比較化合物4)の合成
4−(2−(4−ニトロナフタレン−1−イルオキシ)エチル)モルホリン(11.18g、36.9mmol)のメタノール(90mL)、THF(30mL)混合溶液に5%パラジウム/活性炭(0.500g)を加え、水素雰囲気下室温で撹拌した。23時間後、不溶物を濾過し、溶媒を減圧留去することにより得られた残渣に、2,2,2−トリクロロエチル 3−tert−ブチル−1−p−トリル−1H−ピラゾール−5−イルカルバマート(16.1g、39.7mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(8.50mL)、DMSO(30mL)を加え、60℃で撹拌した。18時間後、反応液を室温に戻し、飽和食塩水を加えた。水層から酢酸エチルで抽出した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=50/50〜酢酸エチル/メタノール=90/10)にて精製する事により表題化合物を13.58g(収率69%)得た。
【0257】
〔第5工程〕
1−(3−tert−ブチル−1−p−トリル−1H−ピラゾール−5−イル)−3−(4−(2−モルホリノエトキシ)ナフタレン−1−イル)ウレア・塩酸塩(比較化合物4c)の合成
1−(3−tert−ブチル−1−p−トリル−1H−ピラゾール−5−イル)−3−(4−(2−モルホリノエトキシ)ナフタレン−1−イル)ウレア(6.38g、12.1mmol)に0.1N塩酸(121mL)、水(150mL)を加えて溶解させた。溶媒を凍結乾燥法で除去することにより、表題化合物6.91g(定量的)得た。
1H-NMR (400MHz, DMSO-d6)δ: 10.95 (1H,s), 8.96 (1H, s), 8.79 (1H, s), 8.30 (1H, d, J=7.6 Hz), 7.99 (1H, d, J=7.6 Hz), 7.68 (1H, d, J=8.3 Hz), 7.61-7.54 (2H, m), 7.46 (2H, d, J=8.4 Hz), 7.35 (2H, d, J=8.4 Hz), 7.01 (1H, d, J=8.3 Hz), 6.35 (1H, s), 4.58-4.55 (2H, m), 4.01-3.98 (2H, m), 3.83-3.77 (2H, m), 3.73-3.71 (2H, m), 3.57-3.54 (2H, m), 3.33-3.28 (2H, m), 2.39 (3H, s), 1.28 (9H, s).
【0258】
(比較例5)
4−(4−(4−フルオロフェニル)−2−(4−(メチルスルフィニル)フェニル)−1H−イミダゾール−5−イル)ピリジン(比較化合物5)
【化38】

表題化合物は、市販試薬(シグマ−アルドリッチ社)を購入した。
【0259】
1)p38MAPK阻害活性評価
ヒトp38MAPKαを用いて、化合物(I)のp38MAPK阻害活性を、Current Medicinal Chemistry(2004年、第11号、p.721−730)に記載の方法を一部改変して検討した。
【0260】
384ウェルプレートに被験化合物の100%DMSO溶液とp38α/SAPK2a溶液(最終濃度1.5nM)(Invitrogen)を添加した後、室温、暗所にて1時間インキュベーションした。その後、リン酸供与体であるATP(最終濃度100μM)と基質であるビオチン化ATF2(最終濃度30nM)(upstate)を加え、室温、暗所にて1時間反応させた(DMSO最終濃度は0.25%)。反応終了後、抗リン酸化ATF2抗体(最終濃度1nM)(Cell Signaling)、抗IgGアクセプタービーズ(最終濃度20μg/mL)(PerkinElmer)及びストレプトアビジンドナービーズ(最終濃度20μg/mL)(PerkinElmer)を添加し、室温、暗所にて1時間インキュベーションした。アルファスクリーン法(Amplified Luminescent Proximity Homogeneous Assay)にてマイクロプレートアナライザー(Fusion−α、Packard)を用いて発光を検出した。各化合物のIC50値は、Prism 4.02(GraphPad Software,Inc)を用いてsigmoidal dose−responseに回帰することにより算出した。その結果を表3に示す。なお、比較対照化合物としては比較化合物1を用いた。
【0261】
【表3】

【0262】
表3の結果から明らかな通り、化合物(I)は、比較対照化合物に比べて著しく高いp38MAPK阻害活性を示した。
【0263】
2)ヒト全血を用いたサイトカイン産生抑制活性評価
ヒト全血を用いて、LPS刺激によるTNFα産生に対する化合物(I)の抑制作用を、Journal of Medicinal Chemistry(2003年、第46巻、p.4676−4686)に記載の方法を一部改変して検討した。
【0264】
96ウェル平底プレート中で、被験化合物の100%DMSO溶液とヒト血液を混合した後、LPS(最終濃度200ng/mL)を加えて37℃、5時間反応させた(DMSO最終濃度は0.2%)。反応終了後、20分間室温で遠心分離し、その上清を回収した。上清中のTNFα量の測定には、human cytokine kit(CIS bio international)を用いた。その結果を表4に示す。なお、比較対照化合物としては比較化合物2を用いた。
【0265】
【表4】

【0266】
表4の結果から明らかな通り、化合物(I)は、比較対照化合物に比べてTNFα産生を著しく抑制した。
【0267】
3)マウスLPS誘発サイトカイン産生モデルに対する評価
マウスにおいて、LPS投与により誘発されるTNFα産生に対する化合物(I)の作用を、Journal of Immunology(1992年、第148巻、p.1890−1897)に記載の方法を一部改変して検討した。
【0268】
BALB/c系マウス(雄、7−9週齢、日本チャールス・リバー)に、LPS(0111:B4、SIGMA)を1mg/kgの用量で腹腔内投与した。LPS投与60分後に、麻酔下にて腹部大静脈から採血し、15分間4℃で遠心分離し血清を得た。血清中のTNF−αの測定には、ELISA Development System (R&D System)を用いた。被験化合物はDMSO(最終濃度2%)に溶解後、27%の2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(以下、HP−β−CD、日本食品化工)水溶液に溶解し、LPS投与30分前に50mg/kgを経口投与した。その結果、実施例記載の化合物1bは、経口投与により、TNFα産生を溶媒投与群と比較して有意に抑制した(抑制率100.0%、Welch検定(有意水準5%未満))。
【0269】
なお、比較対照化合物として比較化合物3を用いた。比較化合物3によるTNFα産生の抑制率は、17.0%であった。
【0270】
この結果から明らかな通り、化合物(I)は、比較対照化合物に比べて著しく高い経口活性を示した。
【0271】
4)マウスにおける薬物動態学的評価
被験化合物を10%のHP−β−CD(日本食品化工)に溶解して投与液を調製した(経口投与用の投与液として0.08mg/mL)。BALB/c系マウス(雄、7週齢、日本チャールス・リバー)に、被験化合物を0.8mg/kgの用量で経口投与し、投与後24時間まで頸静脈又は心臓より経時採血した。得られた血液を遠心分離し血漿を採取した。メタノール抽出法により前処理し、被験化合物の濃度をLC/MS/MS(ESIポジティブモード)により分析した。
【0272】
得られた薬物動態学パラメータを表5に要約した。なお、比較対照化合物として、比較化合物2及び比較化合物5を用いた。
【0273】
【表5】

[表中、Cmaxは、最高血漿中濃度を表し、AUC0−∞は、化合物投与後、無限大時間までの血漿中化合物濃度の曲線下面積を表す。]
【0274】
表5の結果から明らかな通り、化合物(I)は、各比較対照化合物に比べて著しく高いCmax及びAUC0−∞を示し、経口投与時に優れた体内動態を示した。
【0275】
5)ヒトCYP(シトクロムP450)における代謝安定性評価
Human liver microsomes(Xenotech)を0.5mg/mL含むリン酸緩衝液に、被験化合物を2μMの濃度で混合した後、NADPHを加えて37℃にて最大30分間反応させた。アセトニトリルを加えて、反応を終了させた後、10分間4℃で遠心分離し、上清を回収した。上清をメタノール抽出法により前処理し、化合物濃度をLC/MS/MS(ESIポジティブモード)により分析した。得られた化合物濃度から化合物残存率を算出した。化合物残存率の推移から得られた固有クリアランス値(CLint)を表6に示す。なお、比較対照化合物として、比較化合物3及び比較化合物4c(5μM)を用いた。
【0276】
【表6】

【0277】
表6の結果から明らかな通り、化合物(I)は、比較対照化合物に比べて固有クリアランス値が低く、よって、優れた代謝安定性を示した。
【0278】
6)薬剤性リン脂質症誘発能の評価
化合物(I)によるリン脂質症誘発能の有無を検討した。実施例記載の化合物1bの評価は、Experimental and Toxicologic Pathology(2007年、第58巻、p.375−382)に記載の方法を一部改変して実施した。
【0279】
ヒト肝がん由来細胞株であるHepG2細胞に被験化合物及びリン脂質染色液であるHCS Lipid TOX Green Phospholipidosis Detection Regent(Invitrogen)を混合し、5%CO存在下、37℃で48時間培養した。培養後の培養上清を除き、核酸染色液であるHoechest33258(Invitrogen)を加え、遮光下、室温で20分間反応させた。PBS溶液で洗浄後、マイクロプレートアナライザー(Fusion−α、Packard)により蛍光強度を測定し、下式によりFLA(陽性対照物質であるAmiodarone hydrochloride(10μM)を1としたときの相対値)を算出した。FLAが1未満の場合は陰性と判定し、1以上の場合は陽性と判定した。なお、被験化合物はDMSOに溶解して使用し、DMSO最終濃度が1%となるように細胞に添加した。

FLR=(FLL−FLLB)/(FLH−FLHB)
FLA=(FLR/FLR(Amiodarone hydrochloride))
FLL : リン脂質蛍光強度
FLLB: リン脂質蛍光測定時のブランク値
FLH : 核酸蛍光強度
FLHB: 核酸蛍光測定時のブランク値

【0280】
その結果、実施例記載の化合物1bは、最大10μMの濃度においてもFLAが1未満であり、陰性と判定された。
【0281】
比較対照化合物である比較化合物4cの評価は、Cell Biology and Toxicology(2003年、第19巻、p.161−176)に記載の方法を一部改変して実施した。
【0282】
ヒト単球由来細胞株であるU937細胞と被験化合物を混合し、5%CO存在下、37℃で48時間培養した。培養後の細胞懸濁液を、リン脂質染色液であるNile red(Invitrogen)を含むPBS溶液に置換し、遮光下、室温で10分間反応させた。PBS溶液で遠心洗浄後、フローサイトメーター(Becton Dickinson)により蛍光強度(励起波長:488nm、検出域:515−545nm)を測定した。陰性対照物質としてValproic acid(300μM)を用い、Valproic acidと比較して蛍光強度が有意に増加した場合は陽性、有意に増加しなかった場合は陰性と判定した。なお、被験化合物はDMSOに溶解して使用し、DMSO最終濃度が1%となるように細胞に添加した。
【0283】
その結果、比較化合物4cは20μMの濃度において蛍光強度が有意(Dunnett's test(有意水準5%未満))に増加し、陽性と判定された。
【0284】
この結果から、比較対照化合物はリン脂質症誘発能を有するが、化合物(I)は、リン脂質症誘発能を有さないことが明らかとなった。
【0285】
7)マウスにおける肝毒性評価
実施例記載の化合物1bを0.5%メチルセルロース溶液(和光純薬工業)に懸濁して50mg/mLの投与液を調製した。ICR系マウス(雄、7週齢、日本チャールス・リバー)に化合物1bを500mg/kgの用量で経口投与し、投与翌日に後大静脈より採血し、得られた血液を遠心分離し血漿を採取した。血漿中の肝障害マーカーであるAST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)値を生化学自動分析装置(日立7070形、日立製作所)により測定した。なお、比較化合物4は0.5%のカルボキシメチルセルロースナトリウム溶液(和光純薬工業)に懸濁して使用した。
【0286】
その結果、溶媒投与群のAST値が34〜40U/Lであるのに対し、実施例記載の化合物1bではAST値は47U/Lであり、殆ど変化しなかったが、比較化合物4のAST値は145U/Lと統計学的に有意に増加した。
【0287】
この結果から明らかな通り、化合物(I)は、比較対照化合物に比べて肝毒性が著しく低かった。
【0288】
8)マウスコラーゲン関節炎モデルにおける評価
マウスコラーゲン関節炎モデルの四肢関節腫脹反応に対する化合物(I)の作用を検討した。マウスコラーゲン関節炎モデルとして、Annu.Rev.Immunol.(1984年、第2巻、p.199〜218)に記載の方法を一部改変して用いた。
【0289】
DBA/1JNCrljマウス(雄、7週齢、日本チャールス・リバー)にウシ由来II型コラーゲン含有エマルジョンを背部皮内投与し、感作した(初回感作)。初回感作後21日目に、ウシ由来II型コラーゲン含有エマルジョンを尾根部皮内に投与して関節炎を惹起した(追加感作)。被験化合物は、0.5%メチルセルロース溶液に懸濁して30mg/kgの用量で、追加感作日の翌日(初回感作後22日目)から剖検日の前日(初回感作後34日目)まで1日2回経口投与した。溶媒投与群には0.5%メチルセルロース溶液を投与した。
【0290】
なお、感作及び被験化合物投与を実施しない群を、無処置群とした。
【0291】
四肢関節腫脹の評価には、四肢関節炎スコアを用いた。初回感作日の前日から剖検日(初回感作後35日目)まで、経日的に四肢の腫脹を肉眼的に4段階にスコア付け(0点:変化なし、1点:部分的に明らかな腫脹と紅斑、2点:全体的に明らかな腫脹と紅斑、3点:全体的に強い腫脹と紅斑)し、合計値(最大12点)を求めた。また、各個体について関節炎スコア合計値の推移から、台形法により関節炎スコア下面積(AUC:横軸を初回感作日からの日数とし、縦軸をスコア合計値としたときの曲線下面積)を算出した。
【0292】
その結果を図1に示す。図中の値は平均値±標準誤差(n=10)を示す。「無処置」は無処置群、「溶媒」は溶媒投与群を示す。*印は溶媒投与群との比較(Studentのt検定)で統計学的に有意であることを示す(***:P<0.001)。
【0293】
図1に示すように、実施例記載の化合物1b、5bは、四肢関節腫脹を統計学的に有意に抑制した。
【0294】
この結果から明らかな通り、化合物(I)は経口投与により優れた関節炎抑制効果を示した。
【0295】
9)ラットアジュバント関節炎モデルにおける評価
ラットアジュバント関節炎モデルの関節炎症(足の腫脹及び骨組織傷害等)に対する化合物(I)の作用を検討した。ラットアジュバント関節炎モデルとして、Cell.Immunol.(1983年、第75巻、p.271−282)に記載の方法を一部改変して用いた。
【0296】
LEW/SsNSlcラット(雌、7週齢、日本エスエルシー)の左後肢足蹠皮内に、アジュバント懸濁液(ヒト結核死菌2mg/mL)を0.1mL注射した。被験化合物を3mg/kg又は10mg/kgの用量で、アジュバント接種の5日目から20日目までの16日間、1日2回経口投与した。なお、被験化合物である実施例記載の化合物1b及び5bは、0.5%メチルセルロース溶液に懸濁して用い、比較化合物4cは蒸留水に溶解して用いた。溶媒投与群には0.5%メチルセルロース溶液を投与した。
【0297】
なお、アジュバント接種及び被験化合物投与を実施しない群を、無処置群とした。
【0298】
足容積をアジュバント接種の5日目から21日目まで経日的に測定し、アジュバント接種5日目の足容積に対する足容積変化量(mL)を足の腫脹の指標とした。アジュバント接種足の足容積変化量は、アジュバント接種19日目に最大となった。アジュバント接種19日目の足容積変化量を図2に示す。図中の値は平均値±標準誤差(n=6)を示し、「無処置」は無処置群、「溶媒」は溶媒投与群を示す。図中の*印は、溶媒投与群との比較(Studentのt検定)で統計学的に有意であることを示す(**:P<0.01)。図中の#印は、比較化合物4c投与群との比較(Studentのt検定)で統計学的に有意であることを示す(#:P<0.05)。
【0299】
また、アジュバント接種の21日目に左右後肢を股関節部位から摘出してX線撮影し、骨組織傷害係数を計測した。骨組織傷害係数は肥山らの報告(1990年、日本薬理学雑誌、第95巻、p.83−90)に従って、踝関節から骨軸に沿って骨組織傷害径を測定し、この総和を骨組織傷害係数とした。その結果を図3に示す。図中の値は平均値±標準誤差(n=6)を示し、「無処置」は無処置群、「溶媒」は溶媒投与群を示す。図中の*印は、溶媒投与群との比較(Studentのt検定)で統計学的に有意であることを示す(**:P<0.01)。
【0300】
実施例記載の化合物1b、5bは、溶媒投与群又は比較化合物4cと比較して何れもアジュバント接種足の腫脹を統計学的に有意に抑制した(図2)。また実施例記載の化合物1b、5bは、溶媒投与群と比較してアジュバント接種足の骨組織傷害係数を統計学的に有意に抑制した(図3)。
【0301】
この結果から明らかな通り、化合物(I)は経口投与により比較対照化合物に対して優れた関節炎抑制効果を示した。また、化合物(I)は経口投与により骨組織傷害に対しても優れた抑制効果を示した。
【0302】
10)ラットストレプトコッカス細胞壁誘発関節炎モデルにおける評価
ラットストレプトコッカス細胞壁(以下、SCW)誘発関節炎モデルの足の腫脹に対する化合物(I)の作用を検討した。SCW関節炎モデルとして、J.Immunol.(1997年、第159巻第8号、p.4103−4108)に記載の方法を一部改変して用いた。
【0303】
LEW/SsNSlcラット(雌、8週齢、日本エスエルシー)の右後肢踝関節にSCWを5μg/siteの用量で注射して感作し、14日後にSCWを120μg/headの用量で尾静脈内注射してSCW関節炎を惹起した。被験化合物は、0.5%メチルセルロース溶液に懸濁して3mg/kgの用量で、惹起翌日から3日間、1日2回経口投与した。溶媒投与群には0.5%メチルセルロース溶液を投与した。
【0304】
右後肢の足容積を感作日から感作後18日目まで経日的に測定し、感作直前の足容積に対する足容積変化量(mL)を足の腫脹の指標とした。また、感作後15日目から18日目までの足容積変化量について、個体ごとに台形法により曲線下面積(AUC:横軸を感作日からの日数とし、縦軸を足容積変化量としたときの曲線下面積)を算出した。
【0305】
その結果、溶媒投与群の足容積変化量AUCが0.76±0.07(平均値±標準誤差、n=6)であるのに対し、実施例記載の化合物1b、5bのAUCはそれぞれ0.42±0.06、0.43±0.09であり、溶媒投与群と比較して何れも統計学的に有意に減少した(Studentのt検定(P<0.05))。
【0306】
この結果から明らかな通り、化合物(I)は経口投与により優れた関節炎抑制効果を示した。
【産業上の利用可能性】
【0307】
本発明は、関節リウマチの治療剤又は予防剤として利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)で示される、2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イルウレア誘導体又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する、関節リウマチの治療剤又は予防剤。
【化1】

[式中、nは、0〜4の整数を表し、Rは、炭素数1〜6のアルキル(1個以上のハロゲン、RO−及び/又は(RN−で置換されていてもよい)、RO−、(RN−又はハロゲンを表し、Rは、炭素数1〜6のアルキル(1個以上のハロゲン、RO−及び/又は(RN−で置換されていてもよい)、炭素数3〜8のシクロアルキル(1〜3個のそれぞれ独立したRで置換されていてもよく、環を構成する1〜3個のメチレンは、それぞれ独立して、−O−、−S−、−C(O)−又は−N(R)−に置き換わっていてもよく、ベンゼン環と直接結合した炭素原子は、窒素原子に置き換わっていてもよい)、RO−、(RN−又はハロゲンを表し、Rは、RO−又は(RN−を表し、Rは、水素、RO−又は(RN−を表し、Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル(1個以上のハロゲン、RO−及び/又は(RN−で置換されていてもよい)、炭素数3〜8のシクロアルキル(1〜3個のそれぞれ独立したRで置換されていてもよく、環を構成する1〜3個のメチレンは、それぞれ独立して、−O−、−S−、−C(O)−又は−N(R)−に置き換わっていてもよく、ベンゼン環と直接結合した炭素原子は、窒素原子に置き換わっていてもよい)、RO−、(RN−、RC(O)NH−、RS(O)NH−、RC(O)−、ROC(O)−、(RNC(O)−、シアノ又はハロゲンを表し、Rは、それぞれ独立して、水素又は炭素数1〜6のアルキル(1個以上のハロゲンで置換されていてもよい)を表し、Xは、RO−又は(RN−を表す。]
【請求項2】
及びRは、RO−であり、
は、炭素数3〜6のアルキル、炭素数3〜8のシクロアルキル(1〜3個のそれぞれ独立したRで置換されていてもよく、環を構成する1〜3個のメチレンは、それぞれ独立して、−O−、−S−、−C(O)−又は−N(R)−に置き換わっていてもよく、ベンゼン環と直接結合した炭素原子は、窒素原子に置き換わっていてもよい)又はハロゲンであり、
は、水素であり、
は、それぞれ独立して、RO−又はハロゲンである、
請求項1記載の治療剤又は予防剤。
【請求項3】
は、メトキシ又はエトキシであり、
は、2−プロピル、2−ブチル、2−メチル−2−プロピル、2−メチル−2−ブチル、ピロリジニル、ピペリジニル、アゼパニル、モルホリニル又はブロモであり、
は、ヒドロキシであり、
は、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、フルオロ、クロロ又はブロモであり、
Xは、ヒドロキシ、アミノ、メチルアミノ又はジメチルアミノである、
請求項1又は2記載の治療剤又は予防剤。
【請求項4】
は、メトキシであり、
は、2−メチル−2−プロピルであり、
Xは、ヒドロキシである、
請求項1〜3のいずれか一項記載の治療剤又は予防剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−211086(P2012−211086A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−76160(P2011−76160)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】