説明

関節リウマチの治療用のテトラサイクリン化合物および関連する治療方法

本発明は、少なくとも部分的に、置換テトラサイクリン化合物に関する。本発明はまた、対象において関節リウマチを治療するための方法であって、本発明のテトラサイクリン化合物を対象に投与する段階を含む方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2008年9月19日出願の米国仮出願第61/098,594号および2008年10月24日出願の米国仮出願第61/108,386号の優先権の恩典を主張し、各々の内容全体は参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
テトラサイクリン抗生物質の開発により、クロルテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、テトラサイクリンおよびミノサイクリンなどのいくつかの重要な化合物が得られた。
【0003】
歴史的には、テトラサイクリン類は、それらの初期の開発および導入後まもなく、リケッチア; いくつかのグラム陽性菌およびグラム陰性菌; ならびに鼠径リンパ肉芽腫症、封入体結膜炎およびオウム病の原因となる作用物質に対して薬理学的に非常に有効であることがわかった。したがって、テトラサイクリン類は「広域」抗生物質として知られるようになった。分類としてのテトラサイクリン類は、それらのインビトロ抗菌活性、実験感染症における有効性、および薬理特性が引き続き確立されたことにより、急速に治療目的で広く使用されるようになった。しかし、重症および軽症の両方の病気および疾患についてのテトラサイクリン類のこの広範な使用により、共生性および病原性の両方の非常に感受性が高い細菌種(例えば肺炎球菌およびサルモネラ菌)の間でさえも、これらの抗生物質に対する耐性が直接出現した。テトラサイクリン耐性菌の出現により、選択抗生物質としてのテトラサイクリン類およびテトラサイクリン類似体組成物の使用が一般的に減少した。
【0004】
関節リウマチ(RA)は、活性化炎症細胞の滑膜浸潤、滑膜過形成、血管新生、ならびに軟骨および骨の進行性破壊を特徴とする、慢性自己免疫性状態である。関節リウマチの慣習的な第一選択治療としては、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、それに続くメトトレキサートおよびヒドロキシクロロキンなどの疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)が挙げられる。ミノサイクリンは、関節リウマチの治療において何らかの有益な効果を示した。いくつかの二重盲検プラセボ制御試験は、早期血清陽性(罹患1年未満)関節リウマチ患者が、3〜6ヶ月のミノサイクリン処置に対して、6ヶ月、1年および4年の経過観察後に正の応答を示すと結論づけた。しかし、ミノサイクリンの長期使用は、その抗菌活性による望ましくない結果(例えば消化器不調)を示すと考えられる。
【0005】
したがって、関節リウマチの治療に有効でありかつ既知のテトラサイクリン化合物の抗菌活性を有さない、置換テトラサイクリン化合物を開発することが有利であると考えられる。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、少なくとも部分的に、式Iの7-置換テトラサイクリン化合物または薬学的に許容されるその塩、エステルもしくはプロドラッグに関する:

式中、
R4はアミノまたは水素であり;
R7は置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクリル、置換もしくは非置換フェニル、置換もしくは非置換ヘテロアリールまたは置換もしくは非置換アシルである。
【0007】
本発明はまた、式II-Aの7-置換4-デジメチルアミノサンサイクリン化合物または薬学的に許容されるその塩、エステルもしくはプロドラッグに関する:

式中、
R7は置換もしくは非置換C1〜C5アルキル、置換もしくは非置換ピペリジニル、置換もしくは非置換フェニル、置換もしくは非置換ヘテロアリールまたは置換もしくは非置換アシルである。
【0008】
本発明はまた、式II-Bの7-置換サンサイクリン化合物または薬学的に許容されるその塩、エステルもしくはプロドラッグに関する:

式中、
R7は置換もしくは非置換C1〜C5アルキル、置換もしくは非置換ピペリジニル、置換もしくは非置換フェニル、置換もしくは非置換ヘテロアリールまたは置換もしくは非置換アシルである。
【0009】
本発明はまた、式IIIの9-置換テトラサイクリン化合物または薬学的に許容されるその塩、エステルもしくはプロドラッグに関する:

式中、
R4はアミノまたは水素であり;
R7はアミノまたは水素であり;
R9は置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクリル、置換もしくは非置換フェニル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、置換もしくは非置換アシルまたは置換もしくは非置換イミンである。
【0010】
本発明はまた、式IV-Aの9-置換4-デジメチルアミノミノサイクリン化合物または薬学的に許容されるその塩、エステルもしくはプロドラッグに関する:

式中、
R9は置換もしくは非置換C1〜C5アルキル、置換もしくは非置換テトラヒドロピラニル、置換もしくは非置換フェニル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、置換もしくは非置換アシルまたは置換もしくは非置換イミンである。
【0011】
本発明はまた、式IV-Bの9-置換ミノサイクリン化合物または薬学的に許容されるその塩、エステルもしくはプロドラッグに関する:

式中、
R9は置換もしくは非置換C1〜C5アルキル、置換もしくは非置換テトラヒドロピラニル、置換もしくは非置換フェニル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、置換もしくは非置換アシルまたは置換もしくは非置換イミンである。
【0012】
本発明はまた、式Vの7,9-二置換テトラサイクリン化合物または薬学的に許容されるその塩、エステルもしくはプロドラッグに関する:

式中、
R4はアミノまたは水素であり;
R7は置換もしくは非置換C1〜C5アルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクリル、置換もしくは非置換フェニル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、置換もしくは非置換アシルであり;
R9は置換もしくは非置換C1〜C5アルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクリル、置換もしくは非置換フェニル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、置換もしくは非置換アシルまたは置換もしくは非置換イミンである。
【0013】
本発明はまた、式VIの10-置換テトラサイクリン化合物または薬学的に許容されるその塩、エステルもしくはプロドラッグに関する:

式中、
R4はアミノまたは水素であり;
R7はアミノまたは水素であり;
R10は水素、置換もしくは非置換C1〜C5アルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクリル、置換もしくは非置換フェニル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、置換もしくは非置換アシルまたは置換もしくは非置換イミンである。
【0014】
本発明はまた、対象において関節リウマチを治療するための方法であって、本発明のテトラサイクリン化合物(例えば式I、II-A、II-B、III、IV-A、IV-B、V、VIまたは表2の)を対象に投与することにより、関節リウマチを治療する段階を含む方法に関する。一態様では、テトラサイクリン化合物は抗菌活性を示さない。
【0015】
一態様では、本発明は、対象において関節リウマチを治療するための方法であって、式Iのテトラサイクリン化合物または薬学的に許容されるその塩、エステルもしくはプロドラッグを対象に投与することにより、対象において関節リウマチを治療する段階を含む方法を提供する:

式中、
R4はアミノまたは水素であり;
R7は置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクリル、置換もしくは非置換フェニル、置換もしくは非置換ヘテロアリールまたは置換もしくは非置換アシルである。
【0016】
別の態様では、本発明は、対象において関節リウマチを治療するための方法であって、式II-Aのテトラサイクリン化合物または薬学的に許容されるその塩、エステルもしくはプロドラッグを対象に投与することにより、対象において関節リウマチを治療する段階を含む方法を提供する:

式中、
R7は置換もしくは非置換C1〜C5アルキル、置換もしくは非置換ピペリジニル、置換もしくは非置換フェニル、置換もしくは非置換ヘテロアリールまたは置換もしくは非置換アシルである。
【0017】
別の態様では、本発明は、対象において関節リウマチを治療するための方法であって、式II-Bのテトラサイクリン化合物または薬学的に許容されるその塩、エステルもしくはプロドラッグを対象に投与することにより、対象において関節リウマチを治療する段階を含む方法を提供する:

式中、
R7は置換もしくは非置換C1〜C5アルキル、置換もしくは非置換ピペリジニル、置換もしくは非置換フェニル、置換もしくは非置換ヘテロアリールまたは置換もしくは非置換アシルである。
【0018】
別の態様では、本発明は、対象において関節リウマチを治療するための方法であって、式IIIのテトラサイクリン化合物または薬学的に許容されるその塩、エステルもしくはプロドラッグを対象に投与することにより、対象において関節リウマチを治療する段階を含む方法を提供する:

式中、
R4はアミノまたは水素であり;
R7はアミノまたは水素であり;
R9は置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクリル、置換もしくは非置換フェニル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、置換もしくは非置換アシルまたは置換もしくは非置換イミンである。
【0019】
別の態様では、本発明は、対象において関節リウマチを治療するための方法であって、式IV-Aのテトラサイクリン化合物または薬学的に許容されるその塩、エステルもしくはプロドラッグを対象に投与することにより、対象において関節リウマチを治療する段階を含む方法を提供する:

式中、
R9は置換もしくは非置換C1〜C5アルキル、置換もしくは非置換テトラヒドロピラニル、置換もしくは非置換フェニル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、置換もしくは非置換アシルまたは置換もしくは非置換イミンである。
【0020】
別の態様では、本発明は、対象において関節リウマチを治療するための方法であって、式IV-Bのテトラサイクリン化合物または薬学的に許容されるその塩、エステルもしくはプロドラッグを対象に投与することにより、対象において関節リウマチを治療する段階を含む方法を提供する:

式中、
R9は置換もしくは非置換C1〜C5アルキル、置換もしくは非置換テトラヒドロピラニル、置換もしくは非置換フェニル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、置換もしくは非置換アシルまたは置換もしくは非置換イミンである。
【0021】
別の態様では、本発明は、対象において関節リウマチを治療するための方法であって、式Vのテトラサイクリン化合物または薬学的に許容されるその塩、エステルもしくはプロドラッグを対象に投与することにより、対象において関節リウマチを治療する段階を含む方法を提供する:

式中、
R4はアミノまたは水素であり;
R7は置換もしくは非置換C1〜C5アルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクリル、置換もしくは非置換フェニル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、置換もしくは非置換アシルであり;
R9は置換もしくは非置換C1〜C5アルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクリル、置換もしくは非置換フェニル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、置換もしくは非置換アシルまたは置換もしくは非置換イミンである。
【0022】
別の態様では、本発明は、対象において関節リウマチを治療するための方法であって、式VIのテトラサイクリン化合物または薬学的に許容されるその塩、エステルもしくはプロドラッグを対象に投与することにより、対象において関節リウマチを治療する段階を含む方法を提供する:

式中、
R4はアミノまたは水素であり;
R7はアミノまたは水素であり;
R10は水素、置換もしくは非置換C1〜C5アルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクリル、置換もしくは非置換フェニル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、置換もしくは非置換アシルまたは置換もしくは非置換イミンである。
【0023】
本発明はまた、有効量の本発明のテトラサイクリン化合物(例えば式I、II-A、II-B、III、IV-A、IV-B、V、VIまたは表2の)および任意で薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物を含む。
【0024】
本発明はまた、関節リウマチの治療用の医薬の製造における、本発明のテトラサイクリン化合物(例えば式I、II-A、II-B、III、IV-A、IV-B、V、VIまたは表2の)の使用を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
発明の詳細な説明
本発明は部分的に、関節リウマチ(RA)の治療のための方法を提供する。そのような方法としては、T細胞活性化の経口利用可能なモジュレーター、および下流作用の阻害剤の投与を挙げることができるがそれに限定されない。
【0026】
本発明は、少なくとも部分的に、修飾テトラサイクリン化合物に関する。これらのテトラサイクリン化合物は、関節リウマチの治療、ならびにテトラサイクリン流出の遮断および遺伝子発現の調節などのミノサイクリン化合物およびテトラサイクリン化合物の一般的な他の公知の用途に使用することができる。
【0027】
「テトラサイクリン化合物」という用語は、テトラサイクリンと同様の環構造を有する多くの化合物を含む。テトラサイクリン化合物の例としては、テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、デメクロサイクリン、メタサイクリン、サンサイクリン、ドキシサイクリンおよびミノサイクリンが挙げられる。同様の4環構造を含む他の誘導体および類似体も含まれる。この用語は4-デジメチルアミノテトラサイクリン化合物も含む。表1は、テトラサイクリンおよびいくつかの公知のテトラサイクリン誘導体を図示する。
【0028】
【表1】

【0029】
I. 7-置換テトラサイクリン化合物
「7-置換テトラサイクリン化合物」という用語は、7位に置換を有するテトラサイクリン化合物を含む。一態様では、7位での置換は、テトラサイクリン化合物がその意図される機能を行う能力、例えば関節リウマチを治療する能力を強化する。一態様では、7-置換テトラサイクリン化合物は7-置換サンサイクリン(すなわちR4がジメチルアミノである)である。別の態様では、7-置換テトラサイクリン化合物は7-置換4-デジメチルアミノサンサイクリン(すなわちR4が水素である)である。
【0030】
本発明は、式Iの7-置換テトラサイクリン化合物または薬学的に許容されるその塩、エステルもしくはプロドラッグに関する:

式中、
R4はアミノまたは水素であり;
R7は置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクリル、置換もしくは非置換フェニル、置換もしくは非置換ヘテロアリールまたは置換もしくは非置換アシルである。
【0031】
一態様では、R4はジアルキルアミノ基(例えばジメチルアミノ)である。
【0032】
別の態様では、R7は置換もしくは非置換ヘテロアリールである。別の態様では、R7は置換もしくは非置換フェニルである。フェニルR7基またはヘテロアリールR7基は、テトラサイクリン化合物がその意図される機能を行うことを可能にする任意の置換基で置換されていてもよい。置換基の例としては、アルキル、アルケニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アミノアルキル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、シリル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、アラルキル、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミド、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、アリールチオ、チオカルボキシレート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アリールおよびヘテロアリールが挙げられるがそれに限定されない。
【0033】
さらなる態様では、フェニルR7基またはヘテロアリールR7基は、置換もしくは非置換アルキルで置換されている。アルキルの置換基の例としては、モルホリン、ピペリジンおよびピロリジンなどの複素環が挙げられる。別のさらなる態様では、フェニルR7基またはヘテロアリールR7基は、アミノ基で置換されている。アミノ基は、例えばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、カルボニル基、アルコキシ基またはアリール(例えば置換もしくは非置換のヘテロアリール、フェニルなど)基でさらに置換されていてもよい。アミノ置換基は、それがその意図される機能を行うことを可能にする任意の置換基または置換基の組み合わせで置換されていてもよい。そのような置換基の例としては、ハロゲン(例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)、アミノ(例えばアルキル部分、カルボニル部分、アルケニル部分、アルキニル部分またはアリール部分で置換されていてもよい)およびアリールアミノ(例えばフェニルアミノ)が挙げられるがそれに限定されない。
【0034】
フェニルR7基またはヘテロアリールR7基は、アルコキシ基で置換されていてもよい。アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、パーフルオロメトキシ、パークロロメトキシ、メチレンジオキシなどが挙げられるがそれに限定されない。フェニル基またはヘテロアリール基は、カルバメート部分(例えばアルコキシカルボニルアミノ基)などのアミド基で置換されていてもよい。
【0035】
ヘテロアリールR7基は、置換もしくは非置換のビアリール、例えばナフチル、フルオレニルなどであってもよい。ビアリールR7基は、それがその意図される機能を行うことを可能にする任意の置換基で置換されていてもよい。置換基の例としては、アルキル、アルケニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、カルボキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アミノアルキル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、シリル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、アラルキル、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミド、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、アリールチオ、チオカルボキシレート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アリールおよびヘテロアリールが挙げられるがそれに限定されない。
【0036】
一態様では、R7は、アミノまたはホルミルで置換されているヘテロアリール基である。
【0037】
ヘテロアリールR7部分の例としては、フラニル、イミダゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、キノリニル、イソキノリニル、ピリジニル、ピラゾリル、ベンゾジオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、チオフラニル、オキサジアゾリル、ピロリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、インドリル、チエニル、ピリミジル、ピラジニル、プリニル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、チアゾリル、イソチアゾリルおよびデアザプリニルが挙げられるがそれに限定されない。ある種の態様では、ヘテロアリールR7基はオキサゾリルである。
【0038】
別の態様では、R7は置換もしくは非置換アルキルである。アルキル基は、直鎖または分岐鎖、例えばメチル、エチル、i-プロピル、n-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシルなどであり得る。アルキル基は、環、例えばシクロアルキル(例えばシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロプロピルまたはシクロブチル)を含んでいてもよい。アルキルR7基は、本化合物がその意図される機能を行うことを可能にする任意の置換基または置換基の組み合わせで置換されていてもよい。置換基の例としては、アルケニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、カルボキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アミノアルキル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、シリル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、アラルキル、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミド、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、アリールチオ、チオカルボキシレート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アリールおよびヘテロアリールが挙げられるがそれに限定されない。
【0039】
ある種の態様では、アルキル基は、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルボニル(例えば置換カルボニル)基、複素環基またはアリール基で置換されている。複素環基またはアリール基の例としては、例えばフラニル、イミダゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾジオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、メチレンジオキシフェニル、インドリル、チエニル、ピリジニル、ピラゾリル、ピリミジル、ピラジニル、プリニル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、チアゾリル、イソチアゾリルおよびデアザプリニルが挙げられる。さらなる態様では、アリール基はピリジニルである。
【0040】
別の態様では、R7は置換もしくは非置換ヘテロシクリルである。ヘテロシクリルR7基は、テトラサイクリン化合物がその意図される機能を行うことを可能にする任意の置換基で置換されていてもよい。置換基の例としては、アルキル、アルケニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アミノアルキル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、シリル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、アラルキル、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミド、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、アリールチオ、チオカルボキシレート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アリールおよびヘテロアリールが挙げられるがそれに限定されない。
【0041】
ヘテロシクリルR7部分の例としては、ピロリジニル、ジオキソラニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、ジオキサニル、モルホリニル、ジチアニル、チオモルホリニル、ピペラジニルおよびトリチアニルが挙げられるがそれに限定されない。一態様では、ヘテロシクリルR7基はピペリジニルである。別の態様では、ヘテロシクリルR7基はテトラヒドロピランである。別の態様では、ヘテロシクリル部分は飽和である。別の態様では、ヘテロシクリル部分は部分不飽和である。
【0042】
別の態様では、R7は置換もしくは非置換アシルである。アシルR7基は、テトラサイクリン化合物がその意図される機能を行うことを可能にする任意の置換基で置換されていてもよい。置換基の例としては、アルキル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノおよびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族部分もしくはヘテロ芳香族部分が挙げられるがそれに限定されない。さらなる態様では、R7はアセチルである。
【0043】
本発明はまた、式II-Aの7-置換4-デジメチルアミノサンサイクリン化合物または薬学的に許容されるその塩、エステルもしくはプロドラッグに関する:

式中、
R7は置換もしくは非置換C1〜C5アルキル、置換もしくは非置換ピペリジニル、置換もしくは非置換フェニル、置換もしくは非置換ヘテロアリールまたは置換もしくは非置換アシルである。
【0044】
本発明はまた、式II-Bの7-置換サンサイクリン化合物または薬学的に許容されるその塩、エステルもしくはプロドラッグに関する:

式中、
R7は置換もしくは非置換C1〜C5アルキル、置換もしくは非置換ピペリジニル、置換もしくは非置換フェニル、置換もしくは非置換ヘテロアリールまたは置換もしくは非置換アシルである。
【0045】
本発明はまた、化合物B、C、D、L、N、AQ、BA、BBおよびBCなどの、表2に示す7-置換テトラサイクリン化合物に関する。
【0046】
式I、II-A、II-Bの化合物および表2に示す化合物の薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグも含まれる。
【0047】
II. 9-置換テトラサイクリン化合物
「9-置換テトラサイクリン化合物」という用語は、9位に置換を有するテトラサイクリン化合物を含む。一態様では、9位での置換は、テトラサイクリン化合物がその意図される機能を行う能力、例えば関節リウマチを治療する能力を強化する。一態様では、9-置換テトラサイクリン化合物は9-置換4-デジメチルアミノミノサイクリン(すなわちR4が水素であり、R7がジメチルアミノである)である。別の態様では、9-置換テトラサイクリン化合物は9-置換ミノサイクリン(すなわちR4およびR7が各々ジメチルアミノである)である。別の態様では、9-置換テトラサイクリン化合物は9-置換ドキシサイクリンである。別の態様では、9-置換テトラサイクリン化合物は9-置換4-デジメチルアミノドキシサイクリンである。
【0048】
本発明はまた、式IIIの9-置換テトラサイクリン化合物または薬学的に許容されるその塩、エステルもしくはプロドラッグに関する:

式中、
R4はアミノまたは水素であり;
R7はアミノまたは水素であり;
R9は置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクリル、置換もしくは非置換フェニル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、置換もしくは非置換アシルまたは置換もしくは非置換イミンである。
【0049】
一態様では、R4はジアルキルアミノ基(例えばジメチルアミノ)である。別の態様では、R7はジアルキルアミノ基(例えばジメチルアミノ)である。別の態様では、R4およびR7は各々ジメチルアミノである。
【0050】
別の態様では、R9は置換もしくは非置換ヘテロアリール基である。別の態様では、R9は置換もしくは非置換フェニル基である。ヘテロアリールR9基またはフェニルR9基は、テトラサイクリン化合物がその意図される機能を行うことを可能にする任意の置換基で置換されていてもよい。置換基の例としては、アルキル、アルケニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アミノアルキル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、シリル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、アラルキル、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミド、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、アリールチオ、チオカルボキシレート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アリールおよびヘテロアリールが挙げられるがそれに限定されない。
【0051】
さらなる態様では、フェニルR9基またはヘテロアリールR9基は、置換もしくは非置換アルキルで置換されている。アルキルの置換基の例としては、モルホリン、ピペリジンおよびピロリジンなどの複素環が挙げられる。別のさらなる態様では、フェニルR9基またはヘテロアリールR9基は、アミノ基で置換されている。アミノ基は、例えばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、カルボニル基、アルコキシ基またはアリール(例えば置換もしくは非置換のヘテロアリール、フェニルなど)基でさらに置換されていてもよい。アミノ置換基は、それがその意図される機能を行うことを可能にする任意の置換基または置換基の組み合わせで置換されていてもよい。そのような置換基の例としては、ハロゲン(例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)、アミノ(例えばアルキル部分、カルボニル部分、アルケニル部分、アルキニル部分またはアリール部分で置換されていてもよい)およびアリールアミノ(例えばフェニルアミノ)が挙げられる。
【0052】
フェニルR9基またはヘテロアリールR9基は、アルコキシ基で置換されていてもよい。アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、パーフルオロメトキシ、パークロロメトキシ、メチレンジオキシなどが挙げられるがそれに限定されない。フェニル基またはヘテロアリール基は、カルバメート部分(例えばアルコキシカルボニルアミノ基)などのアミド基で置換されていてもよい。
【0053】
ヘテロアリールR9基は、置換もしくは非置換のビアリール、例えばナフチル、フルオレニルなどであってもよい。ビアリールR9基は、それがその意図される機能を行うことを可能にする任意の置換基で置換されていてもよい。置換基の例としては、アルキル、アルケニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、カルボキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アミノアルキル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、シリル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、アラルキル、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミド、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、アリールチオ、チオカルボキシレート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アリールおよびヘテロアリールが挙げられるがそれに限定されない。
【0054】
一態様では、R9は、アミノまたはホルミルで置換されているヘテロアリール基である。
【0055】
ヘテロアリールR9部分の例としては、フラニル、イミダゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、キノリニル、イソキノリニル、ピリジニル、ピラゾリル、ベンゾジオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、インドリル、チエニル、ピリミジル、チオフラニル、オキサジアゾリル、ピロリル、ピラジニル、プリニル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、チアゾリル、イソチアゾリルおよびデアザプリニルが挙げられるがそれに限定されない。ある種の態様では、ヘテロアリールR9基はオキサゾリル、チオフラニル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、フラニル、チアゾリル、オキサジアゾリルまたはピロリルである。
【0056】
別の態様では、R9は置換もしくは非置換アルキルである。アルキル基は、直鎖または分岐鎖、例えばメチル、エチル、i-プロピル、n-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシルなどであり得る。アルキル基は、環、例えばシクロアルキル(例えばシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロプロピルまたはシクロブチル)を含んでいてもよい。アルキルR9基は、本化合物がその意図される機能を行うことを可能にする任意の置換基または置換基の組み合わせで置換されていてもよい。置換基の例としては、アルケニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、カルボキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アミノアルキル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、シリル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、アラルキル、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミド、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、アリールチオ、チオカルボキシレート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アリールおよびヘテロアリールが挙げられるがそれに限定されない。
【0057】
ある種の態様では、アルキル基は、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルボニル(例えば置換カルボニル)基、複素環基またはアリール基で置換されている。複素環基またはアリール基の例としては、例えばフラニル、イミダゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾジオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、インドリル、チエニル、ピリジニル、ピラゾリル、ピリミジル、ピラジニル、プリニル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、チアゾリル、イソチアゾリルおよびデアザプリニルが挙げられる。さらなる態様では、アリール基はピリジニルである。
【0058】
別の態様では、R9は置換もしくは非置換ヘテロシクリルである。ヘテロシクリルR9基は、テトラサイクリン化合物がその意図される機能を行うことを可能にする任意の置換基で置換されていてもよい。置換基の例としては、アルキル、アルケニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アミノアルキル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、シリル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、アラルキル、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミド、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、アリールチオ、チオカルボキシレート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アリールおよびヘテロアリールが挙げられるがそれに限定されない。
【0059】
ヘテロシクリルR9部分の例としては、ピロリジニル、ジオキソラニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、ジオキサニル、モルホリニル、ジチアニル、チオモルホリニル、ピペラジニルおよびトリチアニルが挙げられるがそれに限定されない。一態様では、ヘテロシクリルR9基はピペリジニルである。別の態様では、ヘテロシクリルR9基はテトラヒドロピランである。別の態様では、ヘテロシクリル部分は飽和である。別の態様では、ヘテロシクリル部分は部分不飽和である。
【0060】
別の態様では、R9は置換もしくは非置換アシルである。アシルR9基は、テトラサイクリン化合物がその意図される機能を行うことを可能にする任意の置換基で置換されていてもよい。置換基の例としては、アルキル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノおよびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族部分もしくはヘテロ芳香族部分が挙げられるがそれに限定されない。さらなる態様では、R9はアセチルである。
【0061】
別の態様では、R9は置換もしくは非置換イミンである。イミンR9基は、テトラサイクリン化合物がその意図される機能を行うことを可能にする任意の置換基で置換されていてもよい。置換基の例としては、アルキル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノおよびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族部分もしくはヘテロ芳香族部分が挙げられるがそれに限定されない。
【0062】
本発明はまた、式IV-Aの9-置換4-デジメチルアミノミノサイクリン化合物または薬学的に許容されるその塩、エステルもしくはプロドラッグに関する:

式中、
R9は置換もしくは非置換C1〜C5アルキル、置換もしくは非置換テトラヒドロピラニル、置換もしくは非置換フェニル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、置換もしくは非置換アシルまたは置換もしくは非置換イミンである。
【0063】
本発明はまた、式IV-Bの9-置換ミノサイクリン化合物または薬学的に許容されるその塩、エステルもしくはプロドラッグに関する:

式中、
R9は置換もしくは非置換C1〜C5アルキル、置換もしくは非置換テトラヒドロピラニル、置換もしくは非置換フェニル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、置換もしくは非置換アシルまたは置換もしくは非置換イミンである。
【0064】
本発明はまた、化合物A、E、G、H、I、J、K、M、O、P、R、S、T、U、V、W、X、Y、Z、AA、AB、AC、AD、AE、AF、AG、AH、AI、AJ、AK、AL、AM、AN、AO、AP、AR、AS、AT、AU、AV、AW、AX、AZおよびBDなどの、表2に示す9-置換テトラサイクリン化合物に関する。
【0065】
式III、IV-A、IV-Bの化合物および表2に示す化合物の薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグも含まれる。
【0066】
III. 7,9-二置換テトラサイクリン化合物
「7,9-二置換テトラサイクリン化合物」という用語は、7位および9位に置換を有するテトラサイクリン化合物を含む。一態様では、7位および9位での置換は、テトラサイクリン化合物がその意図される機能を行う能力、例えば関節リウマチを治療する能力を強化する。一態様では、7,9-二置換テトラサイクリン化合物は7,9-二置換サンサイクリンである。別の態様では、7,9-置換テトラサイクリン化合物は7,9-二置換4-デジメチルアミノサンサイクリンである。別の態様では、7,9-二置換テトラサイクリン化合物は7,9-二置換ドキシサイクリンである。別の態様では、7,9-二置換テトラサイクリン化合物は7,9-二置換4-デジメチルアミノドキシサイクリンである。
【0067】
本発明はまた、式Vの7,9-二置換テトラサイクリン化合物または薬学的に許容されるその塩、エステルもしくはプロドラッグに関する:

式中、
R4はアミノまたは水素であり;
R7は置換もしくは非置換C1〜C5アルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクリル、置換もしくは非置換フェニル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、置換もしくは非置換アシルであり;
R9は置換もしくは非置換C1〜C5アルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクリル、置換もしくは非置換フェニル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、置換もしくは非置換アシルまたは置換もしくは非置換イミンである。
【0068】
一態様では、R4はジアルキルアミノ基(例えばジメチルアミノ)である。
【0069】
別の態様では、R7は置換もしくは非置換ヘテロアリールである。別の態様では、R7は置換もしくは非置換フェニルである。フェニルR7基またはヘテロアリールR7基は、テトラサイクリン化合物がその意図される機能を行うことを可能にする任意の置換基で置換されていてもよい。置換基の例としては、アルキル、アルケニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アミノアルキル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、シリル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、アラルキル、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミド、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、アリールチオ、チオカルボキシレート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アリールおよびヘテロアリールが挙げられるがそれに限定されない。
【0070】
さらなる態様では、フェニルR7基またはヘテロアリールR7基は、置換もしくは非置換アルキルで置換されている。アルキルの置換基の例としては、モルホリン、ピペリジンおよびピロリジンなどの複素環が挙げられる。別のさらなる態様では、フェニルR7基またはヘテロアリールR7基は、アミノ基で置換されている。アミノ基は、例えばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、カルボニル基、アルコキシ基またはアリール(例えば置換もしくは非置換のヘテロアリール、フェニルなど)基でさらに置換されていてもよい。アミノ置換基は、それがその意図される機能を行うことを可能にする任意の置換基または置換基の組み合わせで置換されていてもよい。そのような置換基の例としては、ハロゲン(例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)、アミノ(例えばアルキル部分、カルボニル部分、アルケニル部分、アルキニル部分またはアリール部分で置換されていてもよい)およびアリールアミノ(例えばフェニルアミノ)が挙げられる。
【0071】
フェニルR7基またはヘテロアリールR7基は、アルコキシ基で置換されていてもよい。アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、パーフルオロメトキシ、パークロロメトキシ、メチレンジオキシなどが挙げられるがそれに限定されない。フェニル基またはヘテロアリール基は、カルバメート部分(例えばアルコキシカルボニルアミノ基)などのアミド基で置換されていてもよい。
【0072】
ヘテロアリールR7基は、置換もしくは非置換のビアリール、例えばナフチル、フルオレニルなどであってもよい。ビアリールR7基は、それがその意図される機能を行うことを可能にする任意の置換基で置換されていてもよい。置換基の例としては、アルキル、アルケニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、カルボキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アミノアルキル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、シリル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、アラルキル、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミド、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、アリールチオ、チオカルボキシレート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アリールおよびヘテロアリールが挙げられるがそれに限定されない。
【0073】
一態様では、R7は、アミノまたはホルミルで置換されているヘテロアリール基である。
【0074】
ヘテロアリールR7部分の例としては、フラニル、イミダゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、キノリニル、イソキノリニル、ピリジニル、ピラゾリル、ベンゾジオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、チオフラニル、オキサジアゾリル、ピロリル、インドリル、チエニル、ピリミジル、ピラジニル、プリニル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、チアゾリル、イソチアゾリルおよびデアザプリニルが挙げられるがそれに限定されない。ある種の態様では、ヘテロアリールR7基はオキサゾリルである。
【0075】
別の態様では、R7は置換もしくは非置換アルキルである。アルキル基は、直鎖または分岐鎖、例えばメチル、エチル、i-プロピル、n-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシルなどであり得る。アルキル基は、環、例えばシクロアルキル(例えばシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロプロピルまたはシクロブチル)を含んでいてもよい。アルキルR7基は、本化合物がその意図される機能を行うことを可能にする任意の置換基または置換基の組み合わせで置換されていてもよい。置換基の例としては、アルケニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、カルボキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アミノアルキル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、シリル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、アラルキル、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミド、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、アリールチオ、チオカルボキシレート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アリールおよびヘテロアリールが挙げられるがそれに限定されない。
【0076】
ある種の態様では、アルキル基は、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルボニル(例えば置換カルボニル)基、複素環基またはアリール基で置換されている。複素環基またはアリール基の例としては、例えばフラニル、イミダゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾジオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、メチレンジオキシフェニル、インドリル、チエニル、ピリジニル、ピラゾリル、ピリミジル、ピラジニル、プリニル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、チアゾリル、イソチアゾリルおよびデアザプリニルが挙げられる。さらなる態様では、アリール基はピリジニルである。
【0077】
別の態様では、R7は置換もしくは非置換ヘテロシクリルである。ヘテロシクリルR7基は、テトラサイクリン化合物がその意図される機能を行うことを可能にする任意の置換基で置換されていてもよい。置換基の例としては、アルキル、アルケニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アミノアルキル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、シリル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、アラルキル、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミド、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、アリールチオ、チオカルボキシレート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アリールおよびヘテロアリールが挙げられるがそれに限定されない。
【0078】
ヘテロシクリルR7部分の例としては、ピロリジニル、ジオキソラニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、ジオキサニル、モルホリニル、ジチアニル、チオモルホリニル、ピペラジニルおよびトリチアニルが挙げられるがそれに限定されない。一態様では、ヘテロシクリルR7基はピペリジニルである。別の態様では、ヘテロシクリルR7基はテトラヒドロピランである。別の態様では、ヘテロシクリル部分は飽和である。別の態様では、ヘテロシクリル部分は部分不飽和である。
【0079】
別の態様では、R7は置換もしくは非置換アシルである。アシルR7基は、テトラサイクリン化合物がその意図される機能を行うことを可能にする任意の置換基で置換されていてもよい。置換基の例としては、アルキル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノおよびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族部分もしくはヘテロ芳香族部分が挙げられるがそれに限定されない。さらなる態様では、R7はアセチルである。
【0080】
一態様では、R9は置換もしくは非置換ヘテロアリール基である。別の態様では、R9は置換もしくは非置換フェニル基である。ヘテロアリールR9基またはフェニルR9基は、テトラサイクリン化合物がその意図される機能を行うことを可能にする任意の置換基で置換されていてもよい。置換基の例としては、アルキル、アルケニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アミノアルキル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、シリル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、アラルキル、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミド、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、アリールチオ、チオカルボキシレート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アリールおよびヘテロアリールが挙げられるがそれに限定されない。
【0081】
さらなる態様では、フェニルR9基またはヘテロアリールR9基は、置換もしくは非置換アルキルで置換されている。アルキルの置換基の例としては、モルホリン、ピペリジンおよびピロリジンなどの複素環が挙げられる。別のさらなる態様では、フェニルR9基またはヘテロアリールR9基は、アミノ基で置換されている。アミノ基は、例えばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、カルボニル基、アルコキシ基またはアリール(例えば置換もしくは非置換のヘテロアリール、フェニルなど)基でさらに置換されていてもよい。アミノ置換基は、それがその意図される機能を行うことを可能にする任意の置換基または置換基の組み合わせで置換されていてもよい。そのような置換基の例としては、ハロゲン(例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)、アミノ(例えばアルキル部分、カルボニル部分、アルケニル部分、アルキニル部分またはアリール部分で置換されていてもよい)およびアリールアミノ(例えばフェニルアミノ)が挙げられる。
【0082】
フェニルR9基またはヘテロアリールR9基は、アルコキシ基で置換されていてもよい。アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、パーフルオロメトキシ、パークロロメトキシ、メチレンジオキシなどが挙げられるがそれに限定されない。フェニル基またはヘテロアリール基は、カルバメート部分(例えばアルコキシカルボニルアミノ基)などのアミド基で置換されていてもよい。
【0083】
ヘテロアリールR9基は、置換もしくは非置換のビアリール、例えばナフチル、フルオレニルなどであってもよい。ビアリールR9基は、それがその意図される機能を行うことを可能にする任意の置換基で置換されていてもよい。置換基の例としては、アルキル、アルケニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、カルボキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アミノアルキル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、シリル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、アラルキル、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミド、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、アリールチオ、チオカルボキシレート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アリールおよびヘテロアリールが挙げられるがそれに限定されない。
【0084】
一態様では、R9は、アミノまたはホルミルで置換されているヘテロアリール基である。
【0085】
ヘテロアリールR9部分の例としては、フラニル、イミダゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、キノリニル、イソキノリニル、ピリジニル、ピラゾリル、ベンゾジオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、チオフラニル、オキサジアゾリル、ピロリル、インドリル、チエニル、ピリミジル、ピラジニル、プリニル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、チアゾリル、イソチアゾリルおよびデアザプリニルが挙げられるがそれに限定されない。ある種の態様では、ヘテロアリールR9基はオキサゾリル、チオフラニル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、フラニル、チアゾリル、オキサジアゾリルまたはピロリルである。
【0086】
別の態様では、R9は置換もしくは非置換アルキルである。アルキル基は、直鎖または分岐鎖、例えばメチル、エチル、i-プロピル、n-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシルなどであり得る。アルキル基は、環、例えばシクロアルキル(例えばシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロプロピルまたはシクロブチル)を含んでいてもよい。アルキルR9基は、本化合物がその意図される機能を行うことを可能にする任意の置換基または置換基の組み合わせで置換されていてもよい。置換基の例としては、アルケニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、カルボキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アミノアルキル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、シリル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、アラルキル、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミド、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、アリールチオ、チオカルボキシレート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アリールおよびヘテロアリールが挙げられるがそれに限定されない。
【0087】
ある種の態様では、アルキル基は、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルボニル(例えば置換カルボニル)基、複素環基またはアリール基で置換されている。複素環基またはアリール基の例としては、例えばフラニル、イミダゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾジオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、インドリル、チエニル、ピリジニル、ピラゾリル、ピリミジル、ピラジニル、プリニル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、チアゾリル、イソチアゾリルおよびデアザプリニルが挙げられる。さらなる態様では、アリール基はピリジニルである。
【0088】
別の態様では、R9は置換もしくは非置換ヘテロシクリルである。ヘテロシクリルR9基は、テトラサイクリン化合物がその意図される機能を行うことを可能にする任意の置換基で置換されていてもよい。置換基の例としては、アルキル、アルケニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アミノアルキル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、シリル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、アラルキル、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミド、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、アリールチオ、チオカルボキシレート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アリールおよびヘテロアリールが挙げられるがそれに限定されない。
【0089】
ヘテロシクリルR9部分の例としては、ピロリジニル、ジオキソラニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、ジオキサニル、モルホリニル、ジチアニル、チオモルホリニル、ピペラジニルおよびトリチアニルが挙げられるがそれに限定されない。一態様では、ヘテロシクリルR9基はピペリジニルである。別の態様では、ヘテロシクリルR9基はテトラヒドロピランである。別の態様では、ヘテロシクリル部分は飽和である。別の態様では、ヘテロシクリル部分は部分不飽和である。
【0090】
別の態様では、R9は置換もしくは非置換アシルである。アシルR9基は、テトラサイクリン化合物がその意図される機能を行うことを可能にする任意の置換基で置換されていてもよい。置換基の例としては、アルキル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノおよびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族部分もしくはヘテロ芳香族部分が挙げられるがそれに限定されない。さらなる態様では、R9はアセチルである。
【0091】
別の態様では、R9は置換もしくは非置換イミンである。イミンR9基は、テトラサイクリン化合物がその意図される機能を行うことを可能にする任意の置換基で置換されていてもよい。置換基の例としては、アルキル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノおよびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族部分もしくはヘテロ芳香族部分が挙げられるがそれに限定されない。
【0092】
一態様では、R7が非置換フェニルである場合、R9は非置換フェニルではない。
【0093】
式Vの化合物の薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグも含まれる。
【0094】
IV. 10-置換テトラサイクリン化合物
別の態様では、10-置換テトラサイクリン化合物は10-置換ミノサイクリン誘導体である。一態様では、10位での置換は、テトラサイクリン化合物がその意図される機能を行う能力、例えば関節リウマチを治療する能力を強化する。別の態様では、10-置換テトラサイクリン化合物は10-置換4-デジメチルアミノミノサイクリン誘導体である。別の態様では、10-置換テトラサイクリン化合物は10-置換サンサイクリン誘導体である。別の態様では、10-置換テトラサイクリン化合物は10-置換4-デジメチルアミノサンサイクリン誘導体である。
【0095】
本発明はまた、式VIの10-置換テトラサイクリン化合物または薬学的に許容されるその塩、エステルもしくはプロドラッグに関する:

式中、
R4はアミノまたは水素であり;
R7はアミノまたは水素であり;
R10は水素、置換もしくは非置換C1〜C5アルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクリル、置換もしくは非置換フェニル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、置換もしくは非置換アシルまたは置換もしくは非置換イミンである。
【0096】
一態様では、R4はジアルキルアミノ基(例えばジメチルアミノ)である。別の態様では、R7はジアルキルアミノ基(例えばジメチルアミノ)である。別の態様では、R4およびR7は各々ジメチルアミノである。
【0097】
一態様では、R10は水素である。
【0098】
別の態様では、R10は置換もしくは非置換ヘテロアリール基である。別の態様では、R10は置換もしくは非置換フェニル基である。ヘテロアリールR10基またはフェニルR10基は、テトラサイクリン化合物がその意図される機能を行うことを可能にする任意の置換基で置換されていてもよい。置換基の例としては、アルキル、アルケニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アミノアルキル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、シリル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、アラルキル、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミド、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、アリールチオ、チオカルボキシレート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アリールおよびヘテロアリールが挙げられるがそれに限定されない。
【0099】
さらなる態様では、フェニルR10基またはヘテロアリールR10基は、置換もしくは非置換アルキルで置換されている。アルキルの置換基の例としては、モルホリン、ピペリジンおよびピロリジンなどの複素環が挙げられる。別のさらなる態様では、フェニルR10基またはヘテロアリールR10基は、アミノ基で置換されている。アミノ基は、例えばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、カルボニル基、アルコキシ基またはアリール(例えば置換もしくは非置換のヘテロアリール、フェニルなど)基でさらに置換されていてもよい。アミノ置換基は、それがその意図される機能を行うことを可能にする任意の置換基または置換基の組み合わせで置換されていてもよい。そのような置換基の例としては、ハロゲン(例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)、アミノ(例えばアルキル部分、カルボニル部分、アルケニル部分、アルキニル部分またはアリール部分で置換されていてもよい)およびアリールアミノ(例えばフェニルアミノ)が挙げられる。
【0100】
フェニルR10基またはヘテロアリールR10基は、アルコキシ基で置換されていてもよい。アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、パーフルオロメトキシ、パークロロメトキシ、メチレンジオキシなどが挙げられるがそれに限定されない。フェニル基またはヘテロアリール基は、カルバメート部分(例えばアルコキシカルボニルアミノ基)などのアミド基で置換されていてもよい。
【0101】
ヘテロアリールR10基は、置換もしくは非置換のビアリール、例えばナフチル、フルオレニルなどであってもよい。ビアリールR10基は、それがその意図される機能を行うことを可能にする任意の置換基で置換されていてもよい。置換基の例としては、アルキル、アルケニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、カルボキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アミノアルキル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、シリル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、アラルキル、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミド、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、アリールチオ、チオカルボキシレート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アリールおよびヘテロアリールが挙げられるがそれに限定されない。
【0102】
一態様では、R10は、アミノまたはホルミルで置換されているヘテロアリール基である。
【0103】
ヘテロアリールR10部分の例としては、フラニル、イミダゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、キノリニル、イソキノリニル、ピリジニル、ピラゾリル、ベンゾジオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、チオフラニル、オキサジアゾリル、ピロリル、インドリル、チエニル、ピリミジル、ピラジニル、プリニル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、チアゾリル、イソチアゾリルおよびデアザプリニルが挙げられるがそれに限定されない。ある種の態様では、ヘテロアリールR10基はオキサゾリルである。
【0104】
別の態様では、R10は置換もしくは非置換アルキルである。アルキル基は、直鎖または分岐鎖、例えばメチル、エチル、i-プロピル、n-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシルなどであり得る。アルキル基は、環、例えばシクロアルキル(例えばシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロプロピルまたはシクロブチル)を含んでいてもよい。アルキルR10基は、本化合物がその意図される機能を行うことを可能にする任意の置換基または置換基の組み合わせで置換されていてもよい。置換基の例としては、アルケニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、カルボキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アミノアルキル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、シリル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、アラルキル、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミド、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、アリールチオ、チオカルボキシレート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アリールおよびヘテロアリールが挙げられるがそれに限定されない。
【0105】
ある種の態様では、アルキル基は、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルボニル(例えば置換カルボニル)基、複素環基またはアリール基で置換されている。複素環基またはアリール基の例としては、例えばフラニル、イミダゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾジオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、インドリル、チエニル、ピリジニル、ピラゾリル、ピリミジル、ピラジニル、プリニル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、チアゾリル、イソチアゾリルおよびデアザプリニルが挙げられる。さらなる態様では、アリール基はピリジニルである。
【0106】
別の態様では、R10は置換もしくは非置換ヘテロシクリルである。ヘテロシクリルR10基は、テトラサイクリン化合物がその意図される機能を行うことを可能にする任意の置換基で置換されていてもよい。置換基の例としては、アルキル、アルケニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アミノアルキル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、シリル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、アラルキル、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミド、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、アリールチオ、チオカルボキシレート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アリールおよびヘテロアリールが挙げられるがそれに限定されない。
【0107】
ヘテロシクリルR10部分の例としては、ピロリジニル、ジオキソラニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、ジオキサニル、モルホリニル、ジチアニル、チオモルホリニル、ピペラジニルおよびトリチアニルが挙げられるがそれに限定されない。一態様では、ヘテロシクリルR10基はピペリジニルである。別の態様では、ヘテロシクリルR10基はテトラヒドロピランである。別の態様では、ヘテロシクリル部分は飽和である。別の態様では、ヘテロシクリル部分は部分不飽和である。
【0108】
別の態様では、R10は置換もしくは非置換アシルである。アシルR10基は、テトラサイクリン化合物がその意図される機能を行うことを可能にする任意の置換基で置換されていてもよい。置換基の例としては、アルキル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノおよびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族部分もしくはヘテロ芳香族部分が挙げられるがそれに限定されない。さらなる態様では、R9はアセチルである。
【0109】
別の態様では、R10は置換もしくは非置換イミンである。イミンR10基は、テトラサイクリン化合物がその意図される機能を行うことを可能にする任意の置換基で置換されていてもよい。置換基の例としては、アルキル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノおよびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族部分もしくはヘテロ芳香族部分が挙げられるがそれに限定されない。
【0110】
本発明はまた、化合物QおよびAYなどの、表2に示す10-置換テトラサイクリン化合物に関する。
【0111】
式VIの化合物および表2に示す化合物の薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグも含まれる。
【0112】
表2は、テトラサイクリン化合物のいくつかの例を含む。
【0113】
【表2】




【0114】
V. テトラサイクリン化合物の合成のための合成方法
本発明のテトラサイクリン化合物は、以下のスキームおよび実施例に記載の方法を使用して合成することができる。
【0115】
スキーム1

【0116】
4-トリメチルアンモニウムテトラサイクリン2の合成
ミノサイクリンまたはサンサイクリンのHCl塩(0.406mol)を水3Lに懸濁させた。NaHCO3 (ミノサイクリンの場合68g、0.812mol、サンサイクリンの場合34g、0.406mol)を3回に分けて使用して、pHを6.5〜7.0に調整した。次に溶液をCH2Cl2 2x1.5Lで抽出した。溶液を濃縮乾固させてテトラサイクリンを遊離塩基1として得た。次に、オーバーヘッドスターラーおよび温度プローブを備えた3L三つ口フラスコ中のテトラヒドロフラン(1.6L)に、遊離塩基をアルゴン下で溶解させた。ヨウ化メチル(289g、2.03mol)を加え、溶液を40〜45℃に約16時間加熱し、その時点で反応が完了したことをLCMSを経由して確認した。次に溶液を氷浴上でヘプタン6Lに注ぎ、5℃未満で少なくとも20分間攪拌した。析出物を濾過し、ヘキサン(400mL)で洗浄した。固体を減圧乾燥させて一定重量にし、ミノサイクリンのメチルアンモニウム塩220g、0.366molまたはサンサイクリンのメチルアンモニウム塩190g、0.340molを得た。
【0117】
4-デジメチルアミノミノサイクリンまたは4-デジメチルアミノサンサイクリン3の合成
オーバーヘッドスターラー、温度プローブを備えた3L三つ口丸底フラスコ中にて、ジメチルホルムアミド(DMF)200mL、トリフルオロ酢酸(TFA)50mLおよび水15mLの混合物を氷浴上で5℃未満に冷却した。次に4-メチルアンモニウムミノサイクリンまたは4-メチルアンモニウムサンサイクリン(0.166mol)を加えた。Zn粉末(14g、100メッシュ)を約30分毎に6回に分けて加えた(各添加につき約2.33g)。反応をLCMSでモニタリングした。テトラサイクリン出発原料の10%未満が残留している場合、溶液をセライト(登録商標)のベッドを通じて濾過し、水500mLで洗浄した。次に溶液を水2Lに注ぎ、pHをアンモニア水で2.5に調整した。水溶液を最初にジクロロメタン2x1Lで抽出した。一緒にした有機層を水1Lでバックウォッシュし、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、減圧濃縮して油状物にし、4-デジメチルアミノミノサイクリンまたは4-デジメチルアミノサンサイクリン0.100molを得た。
【0118】
ヨードテトラサイクリン5の合成
2L丸底フラスコ中にて、テトラサイクリン出発原料4 0.115molをメタンスルホン酸350mLに溶解させた。続いて、Ag2SO4 (75g、0.24mol)およびヨウ素(61.5g、0.24mol)を加え、混合物を3時間攪拌した。LCMSにより決定される反応完了の時点で、混合物を4%亜硫酸ナトリウム水溶液(3.5L)に注ぎ、1時間攪拌した。溶液をセライト(登録商標)のベッドを通じて濾過し、水200mlで洗浄した。ジビニルベンジル樹脂を含むカラム上に水層を添加した。全1.0%のトリフルオロ酢酸を有する水中の20〜80%有機物(1:1 メタノール:アセトニトリル)の勾配を使用して生成物5を溶出させた。一緒にした画分について、回転蒸発を使用して有機溶媒を減少させ、pHをNaHCO3水溶液でpH 7に調整し、塩化メチレンで抽出して、生成物5 0.95molを遊離塩基として得た。
【0119】
スキーム2

【0120】
7-フェニルテトラサイクリン化合物の一般的手順(Nelson, et al., JOC, 2003, 68(15): 5838-5851を修正)
7-ヨードサンサイクリン(200mg、0.37mmol)とPd(PPh3)4およびPd(OAc)2 (各0.037mmol)とをジメチルアセトアミド(15mL)中で一緒にし、アルゴン(Ar)で脱気した。別途Na2CO3 (水5mL中117mg、1.11mmol)をArで10分間掃流した後、シリンジにより反応液に加えた。これに続いて、フェニルボロン酸のAr脱気溶液(DMA 5mL中90mg、0.74mmol)を加えた。反応混合物を、マイクロ波を使用して110℃に10分間加熱および維持した。溶液をセライト(登録商標)を通じて濾過し、溶媒を減圧除去して粗材料を生成した。分取RP-HPLCにより最終材料を精製した。
【0121】
スキーム3

【0122】
9-フェニルテトラサイクリン化合物の一般的手順(Nelson, et al., JOC, 2003, 68(15): 5838-5851を修正)
9-ヨードテトラサイクリン(0.37mmol)とPd(PPh3)4およびPd(OAc)2 (各0.037mmol)とをジメチルアセトアミド(15mL)中で一緒にし、Arで脱気した。別途Na2CO3 (水5mL中117mg、1.11mmol)をArで10分間掃流した後、シリンジにより反応液に加えた。これに続いて、フェニルボロン酸のAr脱気溶液(DMA 5mL中90mg、0.74mmol)を加えた。反応混合物をマイクロ波中にて110℃で10分間加熱し、HPLCを経由してモニタリングした。溶液をセライト(登録商標)を通じて濾過し、溶媒を減圧除去して粗材料を生成した。分取RP-HPLCにより最終材料を精製した。
【0123】
スキーム4

【0124】
テトラサイクリンアルキン誘導体の一般的手順(Nelson, et al., JOC, 2003, 68(15): 5838-5851を修正)
7-ヨードテトラサイクリンの1mmol試料、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)触媒または等価物50mg、Pd(OAc)2 12mgおよびCuI 32mgを、アセトニトリル10mLに溶解させた。トリエチルアミン(2〜5 mL)およびアルキン3〜5mmolを加え、混合物を室温〜70℃で2〜24時間強力に攪拌した。セライト(登録商標)を通じた濾過および溶媒の減圧除去により粗7-アルキンを生成した。粗材料をH2SO4:H2O (4:1)に溶解させ、室温で2〜4時間攪拌することで、アルキンをアセチルに変換した。分取RP-HPLCにより最終生成物を精製した。
【0125】
スキーム5

【0126】
7-アルキルサンサイクリンの一般的手順
還流冷却器付きの1000mL二つ口または三つ口丸底フラスコに無水InCl3 (12.1g、40.5mmol)を装入し、ヒートガンで減圧乾燥させた。フラスコを周囲温度に冷却し、アルゴンを流した後、無水テトラヒドロフラン(THF)(240mL)を加えた。溶液を-78℃に冷却し、THF中溶液としてのRMgBr(Cl) (122mmol)を加えた。15分後、溶液をゆっくりと室温に昇温して、透明な均一溶液を形成した。反応フラスコに7-ヨードサンサイクリンまたは7-ヨード-4-デジメチルアミノサンサイクリン(36 mmol)、およびPd(t-Bu3P)2 (0.920g、1.80mmol)を加えた。溶液を、完了するまで(約1〜8時間)アルゴン下で加熱還流させた。周囲温度に冷却後、溶液をMeOH (1mL)で反応停止させ、1M HClの攪拌冷溶液(3L)に注いだ。1時間後、溶液をセライト(登録商標)のパッドを通じて濾過し、水ですすいだ。用意されたジビニルベンゼン(DVB)樹脂のベッドを含む大きいフリット漏斗上に水溶液を添加した。最初は冷水(500mL)で溶出させ、次に画分を冷アセトニトリル/水の勾配(500mL)で溶出させた。生成物を含有する画分を減圧濃縮した後、終夜高真空乾燥させて、10gを収率57%で得た。分取RP-HPLCにより画分をさらに精製することができる。
【0127】
スキーム6

【0128】
7-(2-オキサゾリル)-4-デジメチルアミノサンサイクリンの合成
20mL Biotage(登録商標)マイクロ波バイアルに、無水7-ヨード-4-デジメチルアミノサンサイクリン遊離塩基(3.5mmol)、2-オキサゾリルスタンナン(4.38mmol)、Pd(PPh3)4 (0.35mmol)のDMF (20mL)溶液を加えた。100℃で10分間という温度設定を有するBiotage(登録商標)マイクロ波反応器中に、バイアルを固定して配置した。1% TFA/H2Oの溶液(150mL)に反応液を注いだ。溶液をセライト(登録商標)のプラグを通じて濾過し、1% TFA水溶液ですすいだ。DVB樹脂の既に用意された漏斗(3x10cm充填DVBカラム)上に溶液を添加した。添加後、水(100mL)で溶出させ、最後にCH3CNで溶出させて所望の生成物を得た。黄色溶液を減圧濃縮し、分取RP-HPLCでさらに精製した。
【0129】
スキーム7

【0130】
9-(4-メチルフェニル)チオカルボキシルアシルミノサイクリンの一般的手順
無水9-ヨードミノサイクリンまたは9-ヨード-4-デジメチルアミノミノサイクリン遊離塩基(35.0mmol)、4-メチルフェニルチオトリブチルスズ(15.9g、38.5mmol)およびPd(PPh3)4 (2.02g、1.75mmol)の無水DMF (175mL)溶液に、一酸化炭素(CO)を15分間吹き込んだ後、60℃に加熱し、COを充填した大きいバルーンをフラスコに取り付けてCOの陽圧を維持した。12時間後、反応液を室温に冷却し、1% TFA/H2O (500mL)およびメチルtert-ブチルエーテル(MTBE)(500mL)の冷1:1溶液に注いだ。層を分離後、有機層を1% TFA/H2O (500mL)で逆抽出した。DVB樹脂の既に用意された漏斗(7x15cm充填DVBカラム)上に、一緒にした水層を添加した。添加後、1M NaOAcの冷溶液での溶出を、この溶離液が塩基性になるまで行い(約300mL)、次に水(400mL)、最後に1:1 CH3CN/THFで溶出させて所望の生成物を得た。黄色溶液を減圧濃縮し、さらに終夜高真空乾燥させて、18.5gを橙色固体として収率87%で得た。
【0131】
9-アルキルアシルミノサイクリンのトリ有機インジウム手順
9-(4-メチルフェニル)チオカルボキシルアシルミノサイクリンまたは9-(4-メチルフェニル)チオカルボキシルアシル-4-デジメチルアミノミノサイクリン(2.80mmol)、銅(I)チオフェン-2-カルボキシレート(CuTC)(0.801g、4.20mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd2(dba)3) (0.064g、0.070mmol)およびP(2-フリル)3 (0.130g、0.560mmol)の無水THF (5mL)溶液に、既に用意されたR3In (56.0mL、5.60mmol)の0.1M溶液をアルゴン下で加えた後、反応が完了するまで(4〜12時間)溶液を加熱還流させた。室温に冷却後、溶液を冷0.1M HCl (mL)に注ぎ、1時間攪拌した。溶液にセライト(登録商標)を加えた後、セライト(登録商標)の大きいプラグを通じて濾過し、冷水で洗浄した。DVB樹脂の用意されたカラム(3x10cm充填DVBカラム)上に冷溶液を添加した。添加が完了した時点で、水(300mL)で溶出した後、CH3CNでの溶出を、この溶離液が無色になるまで行った。黄色溶液を減圧濃縮した後、分取RP-HPLCでさらに精製した。
【0132】
スキーム8

【0133】
9-アシルミノサイクリンの一般的手順
500mLフラスコに4-デジメチルアミノ-9-ヨードミノサイクリンまたは9-ヨードミノサイクリン遊離塩基(4.30mmol)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)(37mL)およびN-ヒドロキシスクシンイミド(3.9g、38mmol)を加えた。上記反応物質から残留水を除去するためにトルエンを加えた(37mL)。次に、すべてのトルエンが蒸発するまで、フラスコをロータリーエバポレーター(5mmHg、45℃)上に配置した。フラスコにアルゴンを再充填した後、カニューレを経由して内容物を乾燥500Lフラスコに移した。0.5Lフラスコにテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) (2.00g、1.67mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(DIEA) (2.60mL、1.48mmol)を加えた。フラスコを減圧(20mmHg)下に配置し、一酸化炭素で3回掃流した。次にフラスコを1.0気圧の一酸化炭素下で60℃に加熱し、すべての出発原料が消費されるまで1時間攪拌したところ、LCMSを経由して決定される、対応するNHS-エステル中間体のピークが形成された。続いて、対応するアミン、アルコールまたは水(438mmol)およびDIEA (4.0mL、38mmol)を加え、反応液をマイクロ波反応器中、100℃で1分間加熱した。反応液をアセトニトリル(150mL)に加えた後、水(0.8L)を加え、トリフルオロ酢酸を使用してpHを2に低下させた。次に溶液をセライト(登録商標)を通じて濾過して触媒を除去し、逆相カラム上に添加し、HPLC (C18、0.2%ギ酸を有する水中の30〜45%アセトニトリルの直線勾配)により粗生成物を精製した。
【0134】
スキーム9

【0135】
9-エトキシイミノ-エチルミノサイクリンの一般的手順
100mL三つ口フラスコ中に、9-ヨード-4-デジメチルアミノミノサイクリンまたは9-ヨードミノサイクリン(6.11mmol)、酢酸パラジウム(II) (0.071g、0.31mmol)、CuI (0.123g、0.611mmol)、[Pd(PPh3)4] (0.363g、0.31mmol)および攪拌子を装入した。アセトニトリル(30mL)を加え、反応フラスコをArで1分間掃流した。トリメチルシリルアセチレン(1.8mL、過剰)を反応混合物に加えた後、Et3N (3.4mL)を加えた。反応フラスコを85℃(浴温)に加熱し、攪拌した。5分後に取得した反応アリコートは、LCMSにより反応の完了を示した[(ESI+) m/z 理論計算値510.62、実測値511.71 (MH+)]。反応混合物をセライト(登録商標)のベッドを通じて熱時濾過し、フィルターベッドをMeCN 3x10mLで洗浄した。一緒にした濾液を最初に蒸発乾固させ、さらに12時間高真空乾燥させた。乾燥生成物を含むフラスコに、80% TFA水溶液(40mL)を加え、室温で5分間攪拌した後、80℃で5分間攪拌した。この段階で、反応試料は2つの成分、すなわち末端アセチレン(MS: 実測値m/z = 439)および所望の生成物(MS: 実測値m/z = 457.20)を含有していた。H2SO4の80%溶液を反応混合物に約60秒かけて加えた(熱時)。LCMSにより、出発原料の完全な消費および所望の生成物の形成を確認した。反応混合物を氷上に注ぎ、得られた溶液/懸濁液をセライト(登録商標)の上で濾過し、黒色析出物を水3x50mLで洗浄した。氷を約300g加えて、濾液を4〜6℃に冷却した。次に、溶液/懸濁液のpHが約5になるまで固体NaHCO3(約110g)を少しずつ加えることで、冷水溶液を中和した。懸濁液をCH2Cl2の2x300mL部分中で抽出し、有機抽出物を無水Na2SO4で乾燥させ、最初にロータリーエバポレーター下、次に高真空下で蒸発乾固させた。材料をメタノールに溶解させ、適切なアルコキシアミンで処理し、3時間攪拌した。反応液をLCMSでモニタリングし、反応の完了時点で分取カラムクロマトグラフィー(C18、20mMトリエタノールアミン水溶液およびTFA中15〜55%アセトニトリルの直線勾配、pH 7.4)により粗生成物を精製した。
【0136】
スキーム10

【0137】
9-アセチル-4-デジメチルアミノミノサイクリンの合成
100mL三つ口フラスコ中に、9-ヨード-4-デジメチルアミノミノサイクリン(4.001g、6.11mmol)、酢酸パラジウム(II) (0.071g、0.31mmol)、CuI (0.123g、0.611mmol)、[Pd(PPh3)4] (0.363g、0.31mmol)および攪拌子を装入した。アセトニトリル(30mL)を加え、反応フラスコをArで1分間掃流した。トリメチルシリルアセチレン(1.8mL、過剰)を反応混合物に加えた後、Et3N (3.4mL)を加えた。反応フラスコを85℃(浴温)に加熱し、攪拌した。5分後に取得した反応アリコートは、LCMSにより反応の完了を示した[(ESI+) m/z 理論計算値510.62、実測値511.71 (MH+)]。反応混合物をセライト(登録商標)のベッドを通じて熱時濾過し、フィルターベッドをMeCN 3x10mLで洗浄した。一緒にした濾液を最初に蒸発乾固させ、さらに12時間高真空乾燥させた。乾燥生成物を含むフラスコに、80% TFA水溶液(40mL)を加え、室温で5分間攪拌した後、80℃で5分間攪拌した。この段階で、反応試料は2つの成分、すなわち末端アセチレン(MS: 実測値m/z = 439)および所望の生成物(MS: 実測値m/z = 457.20)を含有していた。H2SO4の80%溶液を反応混合物に約60秒かけて加えた(熱時)。LCMSにより、出発原料の完全な消費および所望の生成物の形成を確認した。反応混合物を氷上に注ぎ、得られた溶液/懸濁液をセライト(登録商標)の上で濾過し、黒色析出物を水3x50mLで洗浄した。氷を約300g加えて、濾液を4〜6℃に冷却した。次に、溶液/懸濁液のpHが約5になるまで固体NaHCO3(約110g)を少しずつ加えることで、冷水溶液を中和した。懸濁液をCH2Cl2の2x300mL部分中で抽出し、有機抽出物を無水Na2SO4で乾燥させ、最初にロータリーエバポレーター下、次に高真空下で蒸発乾固させた。分取クロマトグラフィー(C18、0.1% TFAを有する水中15〜40%アセトニトリルの直線勾配、280nm)により粗生成物を精製した。
【0138】
スキーム11

【0139】
9-(3-イソプロピル-1,2,4-オキサジアゾイル)-4-デジメチルアミノミノサイクリンの合成
500mLフラスコに、4-デジメチルアミノ-9-ヨードミノサイクリン遊離塩基(4.00g、8.60mmol)、NMP (50mL)、N-ヒドロキシスクシンイミド(3.9g、38mmol)、攪拌子、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) (2.00g、1.67mmol)およびDIEA (3.0mL、1.7mmol)を加えた。フラスコを減圧(20mmHg)下に配置し、一酸化炭素で3回掃流した。次にフラスコを1.0気圧の一酸化炭素下で60℃に加熱し、すべての4-デジメチルアミノ-9-ヨードミノサイクリンが消費されるまで1時間攪拌したところ、LCMSを経由して決定される、556 M/Zという対応する9-NHS-エステル4-デジメチルアミノミノサイクリン中間体のピーク(M+1)が形成された。次にNHS-エステル中間体とN'-ヒドロキシ-2-メチルプロパンイミドアミド(2.0g、19.6mmol)とを室温で2時間反応させて、LCMSを経由して決定される(M+1)が543 M/Zの非環化中間体を得た。非環化中間体の単離を、アセトニトリル50mLにそれを加えた後、反応混合物を水で希釈して全体積を2.0Lにすることで行った。トリフルオロ酢酸を使用して水をpH 2.0に調整した。次に水溶液を濾過し、DVB樹脂のプラグ上に添加し、精製して(10〜60% MeCN、0.1% TFA)、粗非環化中間体1gを得た。500mL丸底フラスコ中の非環化中間体(2.0g、3.7mmol)にNMP (80mL)およびトルエン(80mL)を加えた。引き続く環化工程中の加水分解を防ぐために、すべてのトルエン/水が蒸発するまで回転蒸発(5mmHg、45℃)に供することで、非環化中間体から残留水を除去した。フラスコにアルゴンを逆充填し、ジイソプロピルアミン(2mL、1.13mmol)を加えた。環化を容易にするために、マイクロ波を使用して内容物を125℃に8分間加熱した。次に内容物をアセトニトリルに加え、水で希釈して最終体積を2リットルにし、トリフルオロ酢酸を加えて最終pHを2にした。次に溶液をセライト(登録商標)を通じて濾過して触媒を除去し、逆相カラム上に添加し、HPLC (C18、0.1% TFAを有する水中の30〜40%アセトニトリルの直線勾配)により粗生成物を精製した。最終生成物を含有する画分をDVBプラグ上に添加し、HCl水溶液(1.0L、0.01N)で洗浄し、メタノールで溶出させて、9-(3-イソプロピル-1,2,4-オキサジアゾイル)-4-デジメチルアミノミノサイクリンのHCl塩(280mg、0.53mmol、12%)を得た。
【0140】
スキーム12

【0141】
9-アルキルミノサイクリンの一般的手順
還流冷却器付きの1000mL二つ口または三つ口丸底フラスコに無水InCl3 (12.1g、40.5mmol)を装入し、ヒートガンで減圧乾燥させた。フラスコを周囲温度に冷却し、アルゴンを流した後、無水THF(240mL)を加えた。溶液を-78℃に冷却し、THF中溶液としてのRMgBr(Cl) (122mmol)を加えた。15分後、溶液をゆっくりと室温に昇温して、透明な均一溶液を形成した。反応フラスコに9-ヨードミノサイクリンまたは9-ヨード-4-デジメチルアミノミノサイクリン(36mmol)、およびPd(t-Bu3P)2 (0.920g、1.80mmol)を加えた。溶液を、完了するまで(約1〜8時間)アルゴン下で加熱還流させた。周囲温度に冷却後、溶液をMeOH (1mL)で反応停止させ、1M HClの攪拌冷溶液(3L)に注いだ。1時間後、溶液をセライト(登録商標)のパッドを通じて濾過し、水ですすいだ。用意されたDVB樹脂のベッドを含む大きいフリット漏斗上に水溶液を添加した。最初は冷水(500mL)で溶出させ、次に画分を冷アセトニトリル/水の勾配(500mL)で溶出させた。生成物を含有する画分を減圧濃縮した後、高真空乾燥させた。分取RP-HPLCにより粗材料をさらに精製した。
【0142】
スキーム13

【0143】
9-エチルドキシサイクリンの合成
還流冷却器付きの1000mL二つ口または三つ口丸底フラスコに無水InCl3 (12.1g、40.5mmol)を装入し、ヒートガンで減圧乾燥させた。次にフラスコを周囲温度に冷却し、アルゴンを流し、無水THF(240mL)を加えた。溶液を-78℃に冷却し、THF中溶液としてのEtMgBr (122mmol)を加えた。15分後、溶液をゆっくりと室温に昇温して、透明な均一溶液を形成した。反応フラスコに9-ヨードドキシサイクリン(36mmol)、およびPd(t-Bu3P)2 (0.920g、1.80mmol)を加えた。溶液を、完了するまで(約1〜8時間)アルゴン下で加熱還流させた。周囲温度に冷却後、溶液をMeOH (1mL)で反応停止させ、1M HClの攪拌冷溶液(3L)に注いだ。1時間後、溶液をセライト(登録商標)のパッドを通じて濾過し、水ですすいだ。用意されたDVB樹脂のベッドを含む大きいフリット漏斗上に水溶液を添加した。最初に冷水(500mL)で溶出させた。次に、画分を冷アセトニトリル/水の勾配(500mL)で溶出させた。分取RP-HPLCにより粗材料をさらに精製した。
【0144】
スキーム14

【0145】
スティルカップリングを通じた9-置換ミノサイクリンの一般的手順
無水9-ヨードミノサイクリンまたは9-ヨード-4-デジメチルアミノミノサイクリン遊離塩基(3.5mmol)、スタンナン(4.38mmol)、CuI (0.067g、0.350mmol)、P(2-フリル)3 (0.163g、0.700mmol)およびPd2(dba)3 (0.081g、0.088mmol)のDMF (20mL)溶液を、20mL Biotage(登録商標)マイクロ波バイアル中に加えた。100℃で10分間という温度設定を有するBiotage(登録商標)マイクロ波反応器中に、バイアルを固定して配置した。1% TFA/H2Oの溶液(150mL)に反応液を注いだ。溶液をセライト(登録商標)のプラグを通じて濾過し、1% TFA水溶液ですすいだ。DVB樹脂の既に用意された漏斗(3x10cm充填DVBカラム)上に溶液を添加した。粗材料を添加後、水(100mL)で溶出させ、最後にCH3CNで溶出させて所望の生成物を得た。黄色溶液を減圧濃縮し、分取RP-HPLCでさらに精製した。
【0146】
スキーム15

【0147】
10-メチル-4-デジメチルアミノミノサイクリンの合成
無水遊離塩基4-デジメチルアミノミノサイクリン(25.0mmol)の無水THF (163mL)溶液にカリウムtert-ブトキシド(87.5mL、87.5mmol)の1M溶液をアルゴン下0℃で滴下した。45分後、N-フェニルビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)(18.8g、52.5mmol)を一度に加えた。1時間後、溶液を室温にゆっくりと昇温した。さらに2時間後、0.1M HClの強力攪拌溶液およびセライト(登録商標)にこの溶液をゆっくりと注いだ。15分後、溶液をセライト(登録商標)の大きいプラグを通じて濾過し、0.1M HClですすいだ。精製用DVB樹脂上に水層を添加した。この溶液を添加した後、0.1M HCl溶液で溶出させ、次に濃HCl 1mLを有するCH3CNで溶出させ、この黄色溶離液を無色になるまで収集した。溶液を減圧濃縮し、さらに高真空乾燥させて、10-トリフレート中間体を得た。200mL丸底フラスコにTHF (40mL)、攪拌子およびInCl3 (4.4g、20.0mmol)を加えた。次にフラスコを、乾燥氷浴中に配置することで-78℃に冷却した。塩化メチルマグネシウムのTHF溶液(20mL、3.0N、60mmol)を攪拌溶液に5分かけてゆっくりと加え、トリメチル-インジウム中間体ストック溶液を生じさせた。反応液を室温に昇温した。10-トリフレート中間体(0.61mmol)に、N-メチルピロリドン(10mL)、trans-ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II) (PdCl2(PPh3)2) (1.0g、1.4mmol)および上記トリメチル-インジウム中間体ストック溶液(15mL)を加えた。反応液を110℃の温度で4分間の持続時間、マイクロ波照射に供した。次に、アセトニトリル(10%)を含有する水溶液(2.0L)に反応液を加え、pH 2に達するまでTFAを加えた。次に溶液をセライト(登録商標)を通じて濾過して触媒を除去し、逆相カラム上に添加し、RP-HPLCで精製した。
【0148】
スキーム16

【0149】
10-デオキシサンサイクリンの合成
無水遊離塩基サンサイクリン(25.0mmol)の無水THF (163mL)溶液にカリウムtert-ブトキシド(87.5mL、87.5mmol)の1M溶液をアルゴン下0℃で滴下した。45分後、N-フェニルビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)(18.8g、52.5mmol)を一度に加えた。1時間後、溶液を室温にゆっくりと昇温した。さらに2時間後、0.1M HClの強力攪拌溶液およびセライト(登録商標)にこの溶液をゆっくりと注いだ。15分後、溶液をセライト(登録商標)の大きいプラグを通じて濾過し、0.1M HClですすいだ。精製用DVB樹脂上に水層を添加した。この溶液を添加した後、0.1M HCl溶液で溶出させ、次に濃HCl 1mLを有するCH3CNで溶出させ、この黄色溶離液を無色になるまで収集した。溶液を減圧濃縮し、さらに高真空乾燥させて、10-トリフレート中間体を得た。20mL Biotage(登録商標)マイクロ波バイアル中にて、サンサイクリン-10-トリフレート遊離塩基(3.50mmol)のDMF (10mL)およびH2O (10mL)中溶液に、ギ酸アンモニウム(0.662g、10.5mmol)、LiCl (0.297g、7.00mmol)およびCl2Pd(dppf) (0.022g、0.175mmol)を加えた。100℃で7分間という温度設定を有するBiotage(登録商標)マイクロ波反応器中に、バイアルを固定して配置した。冷却後、バイアルを開放し、1% TFA/水溶液に注いだ。溶液をセライト(登録商標)のプラグを通じて濾過し、濾液が無色になるまで1% TFA/水ですすいだ。用意された半精製用DVB樹脂上に水溶液を添加した。溶液を添加した後、蒸留水で溶出させて塩を除去し、次にCH3CNで溶出させ、この黄色溶離液が無色になるまで溶離液を収集した。溶液を減圧濃縮し、逆相カラム上での分取クロマトグラフィーでさらに精製した。一緒にした画分を減圧濃縮して淡黄色固体を得た。
【0150】
「アルキル」という用語は、直鎖アルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなど)、分岐鎖アルキル基(イソプロピル、tert-ブチル、イソブチルなど)、シクロアルキル(脂環式)基(シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル)、アルキル置換シクロアルキル基、およびシクロアルキル置換アルキル基を含む、飽和脂肪族基を含む。アルキルという用語は、炭化水素骨格の1個または複数の炭素を代替する酸素原子、窒素原子、硫黄原子またはリン原子をさらに含み得る、アルキル基をさらに含む。ある種の態様では、直鎖または分岐鎖アルキルは、その骨格中に6個以下の炭素原子(例えば直鎖の場合C1〜C6、分岐鎖の場合C3〜C6)、より好ましくは4個以下の炭素原子を有する。同様に、好ましいシクロアルキルは、それらの環構造中に3〜8個の炭素原子を有し、より好ましくは環構造中に5個または6個の炭素を有する。C1〜C6という用語は、1〜6個の炭素原子を含有するアルキル基を含む。
【0151】
「置換アルキル」とは、炭化水素骨格の1個または複数の炭素上の水素を代替する置換基を有する、アルキル部分を意味する。そのような置換基としては、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノおよびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族部分もしくはヘテロ芳香族部分を例えば挙げることができる。シクロアルキルは、例えば先に記載の置換基でさらに置換することができる。「アルキルアリール」または「アリールアルキル」部分とは、アリールで置換されているアルキル(例えばフェニルメチル(ベンジル))のことである。「アルキル」という用語は、天然および非天然アミノ酸の側鎖も含む。
【0152】
「アリール」という用語は、0〜4個のヘテロ原子を含み得る5員および6員の単環芳香族基、例えばベンゼン、フェニル、ピロール、フラン、チオフェン、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジンおよびピリミジンなどを含む基を含む。さらに、「アリール」という用語は、多環式アリール基、例えば三環式、二環式、例えばナフタレン、ベンゾオキサゾール、ベンゾジオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチオフェン、メチレンジオキシフェニル、キノリン、イソキノリン、ナフチリジン、インドール、ベンゾフラン、プリン、ベンゾフラン、デアザプリンまたはインドリジンを含む。環構造中にヘテロ原子を有するそれらのアリール基は、「アリール複素環」、「複素環」、「ヘテロアリール」または「ヘテロ芳香族」と呼ぶこともできる。芳香環は、1つまたは複数の環位置において、例えばハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノおよびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族部分もしくはヘテロ芳香族部分などの先に記載の置換基で置換されていてもよい。多環(例えばテトラリン)を形成するように、アリール基と芳香族ではない脂環式環または複素環式環とを縮合または架橋させることもできる。
【0153】
「アルケニル」という用語は、先に記載のアルキルと長さおよび可能な置換において類似しているが、少なくとも1つの二重結合を含有する、不飽和脂肪族基を含む。
【0154】
例えば、「アルケニル」という用語は、直鎖アルケニル基(例えばエチレニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニルなど)、分岐鎖アルケニル基、シクロアルケニル(脂環式)基(シクロプロペニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル)、アルキルまたはアルケニル置換シクロアルケニル基、およびシクロアルキルまたはシクロアルケニル置換アルケニル基を含む。アルケニルという用語は、炭化水素骨格の1個または複数の炭素を代替する酸素原子、窒素原子、硫黄原子またはリン原子を含む、アルケニル基をさらに含む。ある種の態様では、直鎖または分岐鎖アルケニル基は、その骨格中に6個以下の炭素原子(例えば直鎖の場合C2〜C6、分岐鎖の場合C3〜C6)を有する。同様に、シクロアルケニル基は、それらの環構造中に3〜8個の炭素原子を有し得るものであり、より好ましくは環構造中に5個または6個の炭素を有し得る。C2〜C6という用語は、2〜6個の炭素原子を含有するアルケニル基を含む。
【0155】
「置換アルケニル」とは、炭化水素骨格の1個または複数の炭素上の水素を代替する置換基を有する、アルケニル部分を意味する。そのような置換基としては、アルキル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノおよびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族部分もしくはヘテロ芳香族部分を例えば挙げることができる。
【0156】
「アルキニル」という用語は、先に記載のアルキルと長さおよび可能な置換において類似しているが、少なくとも1つの三重結合を含有する、不飽和脂肪族基を含む。
【0157】
例えば、「アルキニル」という用語は、直鎖アルキニル基(例えばエチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、デシニルなど)、分岐鎖アルキニル基、およびシクロアルキルまたはシクロアルケニル置換アルキニル基を含む。アルキニルという用語は、炭化水素骨格の1個または複数の炭素を代替する酸素原子、窒素原子、硫黄原子またはリン原子を含む、アルキニル基をさらに含む。ある種の態様では、直鎖または分岐鎖アルキニル基は、その骨格中に6個以下の炭素原子(例えば直鎖の場合C2〜C6、分岐鎖の場合C3〜C6)を有する。C2〜C6という用語は、2〜6個の炭素原子を含有するアルキニル基を含む。
【0158】
「置換アルキニル」とは、炭化水素骨格の1個または複数の炭素上の水素を代替する置換基を有する、アルキニル部分を意味する。そのような置換基としては、アルキル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノおよびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族部分もしくはヘテロ芳香族部分を例えば挙げることができる。
【0159】
炭素数が別途指定されない限り、本明細書で使用する「低級アルキル」とは、上記定義の通りであるが、その骨格構造中に1〜5個の炭素原子を有する、アルキル基を意味する。「低級アルケニル」および「低級アルキニル」は、例えば2〜5個の炭素原子の鎖長を有する。
【0160】
「アシル」という用語は、アシル基(CH3CO-)またはカルボニル基を含有する、化合物および部分を含む。それは置換アシル部分を含む。「置換アシル」という用語は、水素原子のうち1個または複数がアルキル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノおよびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族部分もしくはヘテロ芳香族部分で例えば代替されている、カルボニル基(例えばホルミルまたはアセチル)を含む。
【0161】
「イミン」という用語は、-C=N-基、例えばオキシム基(-C=N-O-)を有する化合物を含む。
【0162】
「アシルアミノ」という用語は、アシル部分がアミノ基に結合している部分を含む。例えば、この用語はアルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、カルバモイル基およびウレイド基を含む。
【0163】
「アロイル」という用語は、カルボニル基に結合したアリール部分またはヘテロ芳香族部分を有する化合物および部分を含む。アロイル基の例としてはフェニルカルボキシ、ナフチルカルボキシが挙げられる。
【0164】
「アルコキシアルキル」、「アルキルアミノアルキル」および「チオアルコキシアルキル」という用語は、炭化水素骨格の1個または複数の炭素を代替する酸素原子、窒素原子または硫黄原子、例えば酸素原子、窒素原子または硫黄原子をさらに含む、先に記載のアルキル基を含む。
【0165】
「アルコキシ」という用語は、酸素原子に共有結合している置換および非置換のアルキル基、アルケニル基およびアルキニル基を含む。アルコキシ基の例としてはメトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基およびペントキシ基が挙げられる。置換アルコキシ基の例としてはハロゲン化アルコキシ基が挙げられる。アルコキシ基は、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノおよびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族部分もしくはヘテロ芳香族部分などの基で置換されていてもよい。ハロゲン置換アルコキシ基の例としては、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、クロロメトキシ、ジクロロメトキシ、トリクロロメトキシなどが挙げられるがそれに限定されない。
【0166】
「アミン」または「アミノ」という用語は、窒素原子が少なくとも1個の炭素またはヘテロ原子に共有結合している化合物を含む。この用語は、窒素が少なくとも1個のさらなるアルキル基に結合している基および化合物を含む、「アルキルアミノ」を含む。この用語はまた、窒素原子が少なくとも2個のさらなるアルキル基に結合している、「ジアルキルアミノ」を含む。「アリールアミノ」および「ジアリールアミノ」という用語は、窒素がそれぞれ少なくとも1個または2個のアリール基に結合している基を含む。「アルキルアリールアミノ」、「アルキルアミノアリール」または「アリールアミノアルキル」という用語は、少なくとも1個のアルキル基および少なくとも1個のアリール基に結合している、アミノ基を意味する。「アルクアミノアルキル」という用語は、やはりアルキル基に結合している窒素原子に結合しているアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基を意味する。
【0167】
「アミド(amide)」、「アミド(amido)」または「アミノカルボニル」という用語は、カルボニル基またはチオカルボニル基の炭素に結合している窒素原子を含有する、化合物または部分を含む。この用語は、カルボニル基に結合しているアミノ基に結合しているアルキル基、アルケニル基、アリール基またはアルキニル基を含む、「アルクアミノカルボニル」基または「アルキルアミノカルボニル」基を含む。それは、カルボニル基またはチオカルボニル基の炭素に結合しているアミノ基に結合しているアリール部分またはヘテロアリール部分を含む、アリールアミノカルボニル基およびアリールカルボニルアミノ基を含む。「アルキルアミノカルボニル」、「アルケニルアミノカルボニル」、「アルキニルアミノカルボニル」、「アリールアミノカルボニル」、「アルキルカルボニルアミノ」、「アルケニルカルボニルアミノ」、「アルキニルカルボニルアミノ」および「アリールカルボニルアミノ」という用語が、「アミド」という用語に含まれる。アミドはまた、尿素基(アミノカルボニルアミノ)およびカルバメート(オキシカルボニルアミノ)を含む。
【0168】
「カルボニル」または「カルボキシ」という用語は、酸素原子に対する二重結合と接続している炭素を含有する、化合物および部分を含む。カルボニルは、本発明の化合物がその意図される機能を行うことを可能にする任意の部分でさらに置換されていてもよい。例えば、カルボニル部分はアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アミノなどで置換されていてもよい。カルボニルを含有する部分の例としては、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、アミド、エステル、無水物などが挙げられる。
【0169】
「チオカルボニル」または「チオカルボキシ」という用語は、硫黄原子に対する二重結合と接続している炭素を含有する、化合物および部分を含む。
【0170】
「エーテル」という用語は、2個の異なる炭素原子またはヘテロ原子に結合している酸素を含有する、化合物または部分を含む。例えば、この用語は、別のアルキル基に共有結合している酸素原子に共有結合しているアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基を意味する、「アルコキシアルキル」を含む。
【0171】
「エステル」という用語は、カルボニル基の炭素に結合している酸素原子に結合している炭素またはヘテロ原子を含有する、化合物および部分を含む。「エステル」という用語は、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニルなどのアルコキシカルボキシ基を含む。アルキル基、アルケニル基またはアルキニル基は上記定義の通りである。
【0172】
「チオエーテル」という用語は、2個の異なる炭素原子またはヘテロ原子に結合している硫黄原子を含有する、化合物および部分を含む。チオエーテルの例としてはアルクチオアルキル、アルクチオアルケニルおよびアルクチオアルキニルが挙げられるがそれに限定されない。「アルクチオアルキル」という用語は、アルキル基に結合している硫黄原子に結合しているアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基を有する化合物を含む。同様に、「アルクチオアルケニル」および「アルクチオアルキニル」という用語は、アルキニル基に共有結合している硫黄原子にアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基が結合している、化合物または部分を意味する。
【0173】
「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」という用語は、-OHまたは-O-を有する基を含む。
【0174】
「ハロゲン」という用語は、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素などを含む。「過ハロゲン化」という用語は、すべての水素がハロゲン原子で代替されている部分を一般に意味する。
【0175】
「ポリシクリル」または「多環式基」という用語は、2個以上の環式環(例えばシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリールおよび/またはヘテロシクリル)であって、2個以上の炭素が2つの隣接する環に共通している、例えば環が「縮合環」である、環式環を意味する。非隣接原子を通じて連結している環を「架橋」環と呼ぶ。多環の環の各々は、例えばハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミド、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノおよびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキル、アルキルアリール、または芳香族部分もしくはヘテロ芳香族部分などの先に記載の置換基で置換されていてもよい。
【0176】
「ヘテロ原子」という用語は、炭素または水素以外の任意の元素の原子を含む。好ましいヘテロ原子は窒素、酸素、硫黄およびリンである。
【0177】
「プロドラッグ部分」という用語は、インビボでヒドロキシル基に代謝可能な部分、およびインビボでエステル化されたまま有利にとどまることができる部分を含む。好ましくは、プロドラッグ部分は、インビボでエステラーゼまたは他の機構によりヒドロキシル基または他の有利な基に代謝される。プロドラッグおよびそれらの使用の例は当技術分野で周知である(例えばBerge et al. (1977) "Pharmaceutical Salts", J. Pharm. Sci. 66:1-19を参照)。プロドラッグは、化合物の最終単離および精製中に、または遊離酸形態での精製された化合物、またはヒドロキシルと好適なエステル化剤とを別途反応させることで、インサイチューで調製することができる。ヒドロキシル基は、カルボン酸での処理を経由してエステルに変換することができる。プロドラッグ部分の例としては、置換および非置換の分岐または非分岐低級アルキルエステル部分(例えばプロピオン酸エステル)、低級アルケニルエステル、ジ-低級アルキル-アミノ低級アルキルエステル(例えばジメチルアミノエチルエステル)、アシルアミノ低級アルキルエステル(例えばアセチルオキシメチルエステル)、アシルオキシ低級アルキルエステル(例えばピバロイルオキシメチルエステル)、アリールエステル(フェニルエステル)、アリール-低級アルキルエステル(例えばベンジルエステル)、置換されている(例えばメチル、ハロまたはメトキシ置換基で)アリールおよびアリール-低級アルキルエステル、アミド、低級アルキルアミド、ジ-低級アルキルアミド、ならびにヒドロキシアミドが挙げられる。好ましいプロドラッグ部分は、プロピオン酸エステルおよびアシルエステルである。
【0178】
本発明のテトラサイクリン化合物のうち一部の構造が不斉炭素原子を含むことに留意する。したがって、別途指示がない限り、そのような不斉により生じる異性体(例えばすべての鏡像異性体およびジアステレオマー)が本発明の範囲内に含まれると理解すべきである。そのような異性体は、古典的な分離技術、および立体化学的に制御される合成により、実質的に純粋な形態で得ることができる。さらに、本出願で論じる構造ならびに他の化合物および部分は、そのすべての互変異性体も含む。
【0179】
VI. 関節リウマチを治療するための方法
本発明はまた、対象において関節リウマチを治療するための方法であって、有効量の本発明のテトラサイクリン化合物(例えば式I、II-A、II-B、III、IV-A、IV-B、V、VIまたは表2の)を対象に投与することにより、関節リウマチを治療する段階による方法に関する。
【0180】
本発明はまた、対象において関節リウマチを予防するための方法であって、有効量の本発明のテトラサイクリン化合物(例えば式I、II-A、II-B、III、IV-A、IV-B、V、VIまたは表2の)を対象に投与することにより、関節リウマチを予防する段階による方法に関する。
【0181】
「治療」という用語は、状態、疾患または障害、例えば関節リウマチの少なくとも1つの症状の治癒および寛解を含む。「治療」という用語は、状態、疾患または障害の予防(prophylaxis)または予防(prevention)を含まない。
【0182】
別の態様では、本発明のテトラサイクリン化合物は実質的に非抗菌性である。例えば、本発明の非抗菌性テトラサイクリン化合物は、約4μg/mlを超えるMIC値(当技術分野で公知のアッセイおよび/または実施例3に示すアッセイにより測定)を有し得る。
【0183】
理論には拘束されないが、関節リウマチにおけるミノサイクリンの有効性は、メタロプロテイナーゼの阻害、ならびにマクロファージおよびT細胞の活性化の抑制を経由するその免疫調節特性に関連していると仮定される。
【0184】
本発明は、炎症プロセス関連状態(IPAS)に関連する。「炎症プロセス関連状態」という用語は、炎症または炎症因子(例えばマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)、一酸化窒素(NO)、TNF、インターロイキン、血漿タンパク質、細胞防御系、サイトカイン、脂質代謝物、プロテアーゼ、毒性ラジカル、接着分子など)が異常な量で、例えば、対象の利益に例えばなるように改変することが有利であり得る量で、ある領域に関与または存在している、状態を含む。炎症プロセスは、損傷に対する生体組織の応答である。炎症の原因は、物理的損傷、化学物質、微生物、組織壊死、がんまたは他の作用物質によるものであり得る。急性炎症は短期持続性であり、数日間しか持続しない。しかし、より長くそれが続く場合、慢性炎症と呼ぶことがある。
【0185】
IPASは炎症性障害を含む。一般に、炎症性障害は、熱、発赤、腫脹、疼痛および機能喪失を特徴とする。炎症性障害の原因の例としては、微生物感染症(例えば細菌感染症および真菌感染症)、物理的作用物質(例えば熱傷、放射線および外傷)、化学的作用物質(例えば毒素および腐蝕性物質)、組織壊死、ならびに各種の免疫反応が挙げられるがそれに限定されない。
【0186】
炎症性障害の例としては、変形性関節症、関節リウマチ、急性および慢性感染症(細菌および真菌、ジフテリアおよび百日咳を含む); 感冒を含む急性および慢性の気管支炎、副鼻腔炎および上気道感染症; 急性および慢性の胃腸炎および大腸炎; 急性および慢性の膀胱炎および尿道炎; 急性および慢性皮膚炎; 急性および慢性結膜炎; 急性および慢性漿膜炎(心膜炎、腹膜炎、滑膜炎、胸膜炎および腱炎); 尿毒症性心膜炎; 急性および慢性胆嚢炎; 急性および慢性膣炎; 急性および慢性ぶどう膜炎; 薬物反応; 虫刺され; 熱傷(熱的、化学的および電気的); ならびに日焼けが挙げられるがそれに限定されない。
【0187】
本発明はまた、NO関連状態に関連する。「NO関連状態」という用語は、一酸化窒素(NO)または誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)を包含するかまたはそれに関連する状態を含む。NO関連状態は、異常な量のNOおよび/またはiNOSを特徴とする状態を含む。好ましくは、本発明のテトラサイクリン化合物(例えば式I、II-A、II-B、III、IV-A、IV-B、V、VIまたは表2の)を投与することで、NO関連状態を治療することができる。ある種の態様では、本発明は7-置換、9-置換、7,9-二置換または10-置換テトラサイクリンを含む。米国特許第6,231,894号; 第6,015,804号; 第5,919,774号; および第5,789,395号に記載の障害、疾患および状態もNO関連状態として含まれる。これらの特許の各々の内容全体は参照により本明細書に組み入れられる。
【0188】
NO関連状態の他の例としては、マラリア、老化、糖尿病、血管発作、神経変性障害(アルツハイマー病およびハンチントン病)、心疾患(梗塞後の再灌流関連傷害)、若年性糖尿病、炎症性障害、変形性関節症、関節リウマチ、急性および慢性感染症(細菌および真菌、ジフテリアおよび百日咳を含む); 感冒を含む急性および慢性の気管支炎、副鼻腔炎および上気道感染症; 急性および慢性の胃腸炎および大腸炎; 急性および慢性の膀胱炎および尿道炎; 急性および慢性皮膚炎; 急性および慢性結膜炎; 急性および慢性漿膜炎(心膜炎、腹膜炎、滑膜炎、胸膜炎および腱炎); 尿毒症性心膜炎; 急性および慢性胆嚢炎; 急性および慢性膣炎; 急性および慢性ぶどう膜炎; 薬物反応; 虫刺され; 熱傷(熱的、化学的および電気的); ならびに日焼けが挙げられるがそれに限定されない。
【0189】
一態様では、「炎症プロセス関連状態」という用語は、マトリックスメタロプロテイナーゼ関連状態(MMPAS)も含む。MMPASは、異常な量のMMPまたはMMP活性を特徴とする状態を含む。これらの炎症プロセス関連状態は、本発明の化合物、例えば本明細書に記載のものなどの置換テトラサイクリン化合物(例えば式I、II-A、II-B、III、IV-A、IV-B、V、VIまたは表2の)を使用して治療することができる。
【0190】
マトリックスメタロプロテイナーゼ関連状態(「MMPAS」)の例としては、動脈硬化症、角膜潰瘍、肺気腫、変形性関節症、多発性硬化症(Liedtke et al., Ann. Neurol. 1998, 44:35-46; Chandler et al., J. Neuroimmunol. 1997, 72:155-71)、骨肉腫、骨髄炎、気管支拡張症、慢性閉塞性肺疾患、皮膚疾患および眼疾患、歯周炎、骨粗鬆症、関節リウマチ、潰瘍性大腸炎、炎症性障害、腫瘍増殖および腫瘍浸潤(Stetler-Stevenson et al., Annu. Rev. Cell Biol. 1993, 9:541-73; Tryggvason et al., Biochim. Biophys. Acta 1987, 907:191-217; Li et al., Mol. Carcinog. 1998, 22:84-89)、転移、急性肺傷害、脳梗塞、虚血、糖尿病、大動脈瘤または血管瘤、皮膚組織創傷、ドライアイ、骨および軟骨の分解(Greenwald et al., Bone 1998, 22:33-38; Ryan et al., Curr. Op. Rheumatol. 1996, 8;238-247)が挙げられるがそれに限定されない。他のMMPASとしては、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる米国特許第5,459,135号; 第5,321,017号; 第5,308,839号; 第5,258,371号; 第4,935,412号; 第4,704,383号、第4,666,897号および第RE34,656号に記載のものが挙げられる。
【0191】
別の治療剤または治療「との組み合わせで」という言い回しは、テトラサイクリン化合物(例えば阻害剤)を別の治療剤または治療と同時に投与することを含む。別の治療剤または治療の前に、テトラサイクリン化合物の投与を最初に行うことができる。あるいは、別の治療剤の投与または治療を最初に行った後、テトラサイクリン化合物の投与を行うこともできる。テトラサイクリン化合物を別の治療剤または治療と同時に送達することも行われる。別の治療剤は、IPASを治療するか、予防するか、またはその症状を低減させる、当技術分野で公知の任意の薬剤であり得る。例えば、別の治療剤は、テトラサイクリン化合物の投与との組み合わせで投与する際に患者に利益となる任意の薬剤であり得る。例えば、本発明の化合物は、メトトレキサート、デキサメタゾン、ステロイドまたは注射用生物製剤との組み合わせで投与することができる。
【0192】
本化合物の「有効量」という言い回しは、関節リウマチなどの炎症性状態を治療または予防するために必要または十分な量のことである。有効量は、対象のサイズおよび体重、病気の種類、または特定のテトラサイクリン化合物などの要因に応じて変動し得る。例えば、テトラサイクリン化合物の選択は、何が「有効量」を構成するかに影響を与えることがある。当業者は、上記の要因を検討し、過度の実験なしにテトラサイクリン化合物の有効量に関する決定を行うことができると考えられる。
【0193】
本発明の治療方法では、本発明の1つまたは複数のテトラサイクリン化合物を、対象に単独で投与することができ、あるいは、より典型的には、本発明の化合物を、慣習的な賦形剤、すなわち、非経口投与、経口投与または他の所望の投与に好適であり、かつ活性化合物と有害に反応せず、そのレシピエントに有害ではない、薬学的に許容される有機または無機担体物質との混合物としての薬学的組成物の一部として投与する。
【0194】
VII. 薬学的組成物
本発明はまた、治療有効量のテトラサイクリン化合物(例えば式I、II-A、II-B、III、IV-A、IV-B、V、VIまたは表2の化合物)および任意で薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物に関する。
【0195】
「薬学的に許容される担体」という言い回しは、テトラサイクリン化合物と同時投与可能な物質であって、この両者がそれらの意図される機能を行うこと、例えば関節リウマチを治療または予防することを可能にする物質を含む。好適な薬学的に許容される担体としては、水、塩類溶液、アルコール、植物油、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ラクトース、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、香油、脂肪酸モノグリセリドおよびジグリセリド、石油エーテル(petroethral)脂肪酸エステル、ヒドロキシメチル-セルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられるがそれに限定されない。薬学的製剤を、滅菌し、所望に応じて、本発明の活性化合物と有害に反応しない補助剤、例えば潤滑剤、保存料、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を与えるための塩、緩衝剤、着色料、香味料および/または芳香剤などと混合することができる。
【0196】
塩基性である本発明のテトラサイクリン化合物は、各種の無機酸および有機酸と共に多種多様な塩を形成可能である。塩基性である本発明のテトラサイクリン化合物の薬学的に許容される酸付加塩を調製するために使用可能な酸は、無毒の酸付加塩、すなわち薬学的に許容されるアニオンを含有する塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチジン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、サッカリン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩およびパモ酸塩[すなわち1,1'-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩)]を形成する酸である。そのような塩は対象、例えば哺乳動物に対する投与のために薬学的に許容されるものでなければならないが、最初に反応混合物より本発明のテトラサイクリン化合物を薬学的に許容されない塩として単離し、次にアルカリ試薬での処理により後者を遊離塩基化合物に単純に逆変換し、続いて後者の遊離塩基を薬学的に許容される酸付加塩に変換することが、実際にはしばしば望ましい。本発明の塩基化合物の酸付加塩は、水性溶媒中またはメタノールもしくはエタノールなどの好適な有機溶媒中で、塩基化合物を実質的に等量の選択される鉱酸または有機酸で処理することにより容易に調製される。溶媒を慎重に蒸発させると、所望の固体塩が容易に得られる。上記の実験セクションに具体的に記載されていない本発明の他のテトラサイクリン化合物の調製は、当業者には自明である先に記載の反応の組み合わせを使用して達成することができる。
【0197】
上記の実験セクションに具体的に記載されていない本発明の他のテトラサイクリン化合物の調製は、当業者には自明である先に記載の反応の組み合わせを使用して達成することができる。
【0198】
酸性である本発明のテトラサイクリン化合物は、多種多様な塩基塩を形成可能である。酸性である本発明のテトラサイクリン化合物の薬学的に許容される塩基塩を調製するために試薬として使用可能な化学塩基は、そのような化合物と共に無毒の塩基塩を形成する化学塩基である。そのような無毒の塩基塩としては、アルカリ金属カチオン(例えばカリウムおよびナトリウム)ならびにアルカリ土類金属カチオン(例えばカルシウムおよびマグネシウム)などの薬学的に許容されるカチオンより誘導される塩基塩、N-メチルグルカミン(メグルミン)などのアンモニウムまたは水溶性アミン付加塩、ならびに薬学的に許容される有機アミンの低級アルカノールアンモニウムおよび他の塩基塩が挙げられるがそれに限定されない。酸性である本発明のテトラサイクリン化合物の薬学的に許容される塩基付加塩は、薬学的に許容されるカチオンを用いて慣習的な方法により形成することができる。したがって、本発明のテトラサイクリン化合物を所望の薬学的に許容されるカチオンの水溶液で処理し、得られた溶液を好ましくは減圧下で蒸発乾固させて、これらの塩を容易に調製することができる。あるいは、本発明のテトラサイクリン化合物の低級アルキルアルコール溶液と所望の金属のアルコキシドとを混合し、続いて溶液を蒸発乾固させることもできる。
【0199】
上記の実験セクションに具体的に記載されていない本発明の他のテトラサイクリン化合物の調製は、当業者には自明である先に記載の反応の組み合わせを使用して達成することができる。
【0200】
本発明のテトラサイクリン化合物および薬学的に許容されるその塩は、経口経路、非経口経路または局所経路のいずれかを経由して投与することができる。一般に、治療される対象の体重および状態、ならびに選択される特定の投与経路に応じて、有効な投与量でこれらの化合物を投与することが最も望ましい。治療される対象の種、および前記医薬に対するその個々の応答、ならびに、選択される薬学的製剤の種類、およびそのような投与を行う期間と間隔とに応じて、変動が生じ得る。
【0201】
本発明の薬学的組成物は、単独または他の公知の組成物との組み合わせで、対象、例えば哺乳動物において関節リウマチを治療するために投与することができる。好ましい哺乳動物としては、ペット(例えばネコ、イヌ、フェレットなど)、家畜(雌ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、ヤギなど)、実験動物(ラット、マウス、サルなど)および霊長類(チンパンジー、ヒト、ゴリラ)が挙げられる。
【0202】
本発明のテトラサイクリン化合物は、単独または薬学的に許容される担体もしくは希釈剤との組み合わせで、既に言及した経路のいずれかにより投与することができ、投与は単一用量または複数用量で行うことができる。例えば、本発明の新規治療剤は、多種多様な異なる剤形で有利に投与することができ、すなわち、各種の薬学的に許容される不活性担体と、錠剤、カプセル剤、舐剤、トローチ剤、硬キャンディ剤、散剤、スプレー剤、クリーム剤、軟膏剤(salves)、坐薬、ゼリー剤、ゲル剤、ペースト剤、ローション剤、軟膏剤(ointments)、水性懸濁液剤、注射液剤、エリキシル剤、シロップ剤などの形態で組み合わせることができる。そのような担体としては、固体希釈剤または充填剤、滅菌水性媒体、および各種の無毒の有機溶媒などが挙げられる。さらに、経口用薬学的組成物を好適に甘味および/または香味をつけることができる。一般に、本発明の治療上有効な化合物は、そのような剤形中で、約5.0重量%〜約70重量%の範囲の濃度レベルで存在する。
【0203】
経口投与では、微結晶セルロース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウムおよびグリシンなどの各種賦形剤を含有する錠剤を、デンプン(好ましくはトウモロコシデンプン、ジャガイモデンプンまたはタピオカデンプン)、アルギン酸およびある種の複合ケイ酸塩などの各種崩壊剤と共に、ポリビニルピロリドン、スクロース、ゼラチンおよびアラビアゴムのような造粒結合剤と一緒に用いてもよい。さらに、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびタルクなどの潤滑剤が、錠剤化目的でしばしば非常に有用である。同様の種類の固体組成物を、ゼラチンカプセル剤中の充填剤として使用することもでき、この関連で好ましい材料としてはまた、ラクトースまたは乳糖、および高分子量ポリエチレングリコールが挙げられる。水性懸濁液剤および/またはエリキシル剤が経口投与用に望まれる場合、有効成分と、各種甘味料または香味料、着色料または色素、ならびに所望であればさらに乳化剤および/または懸濁化剤とを、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリンおよび各種の同様のその組み合わせなどの希釈剤と共に、組み合わせることができる。
【0204】
非経口投与(腹腔内注射、皮下注射、静脈内注射、皮内注射または筋肉内注射を含む)では、ゴマ油もしくはピーナッツ油中または水性プロピレングリコール中の本発明の治療用化合物の溶液剤を使用することができる。水溶液剤は、必要であれば好適に(好ましくは8を超えるpHに)緩衝すべきであり、液体希釈剤は、最初に等張性にすべきである。これらの水溶液剤は静脈内注射目的で好適である。油性溶液剤は関節内注射、筋肉内注射および皮下注射目的で好適である。滅菌条件下でのこれらすべての溶液剤の調製は、当業者に周知の標準的薬学技術により容易に達成される。非経口投与について、好適な製剤の例としては、溶液剤、好ましくは油性溶液剤もしくは水溶液剤、および懸濁液剤、乳剤、または坐薬を含むインプラント剤が挙げられる。注射液で一般的に使用される滅菌生理食塩水または5%食塩水ブドウ糖溶液などの液体担体中に例えば分散させた、複数用量または単一用量フォーマットにおいて、滅菌形態で治療用化合物を調剤することができる。
【0205】
さらに、皮膚の炎症性状態を治療する場合に本発明の化合物を局所投与することも可能である。局所投与の方法の例としては、経皮適用、頬側適用または舌下適用が挙げられる。局所適用では、治療用化合物を、ゲル、軟膏、ローションまたはクリームなどの薬理学的に不活性な局所担体中に好適に混合することができる。そのような局所担体としては、水、グリセリン、アルコール、プロピレングリコール、脂肪アルコール、トリグリセリド、脂肪酸エステルまたはミネラルオイルが挙げられる。他の可能な局所担体は、白色鉱油、パルミチン酸イソプロピル、ポリエチレングリコール、エタノール95%、水中ポリオキシエチレンモノラウレート5%、水中ラウリル硫酸ナトリウム5%などである。さらに、所望であれば、酸化防止剤、湿潤剤、粘度安定剤などの材料を加えてもよい。
【0206】
経腸適用では、タルクおよび/または炭水化物担体結合剤などを有する錠剤、糖衣錠剤またはカプセル剤が特に好ましく、担体はラクトースおよび/またはトウモロコシデンプンおよび/またはジャガイモデンプンであることが好ましい。甘味をつけた媒体が使用されているシロップ剤、エリキシル剤などを使用することができる。例えばマイクロカプセル化、複数コーティングなどによる、異なって分解可能なコーティングを用いて有効成分が保護されているものを含む、持続放出組成物を調剤することができる。
【0207】
ヒト対象の治療に加えて、本発明の治療方法はまた、例えばウシ、ヒツジ、ヤギ、雌ウシ、ブタなどの家畜; ニワトリ、アヒル、ガチョウ、シチメンチョウなどの家禽; ウマ; ならびにイヌおよびネコなどのペットの治療用の、著しい獣医学的用途を有する。また、本発明の化合物は、植物などの非動物対象を治療するために使用することもできる。
【0208】
所与の治療において使用される活性化合物の実際の好ましい量が、利用される具体的な化合物、調剤される特定の組成物、適用様式、特定の投与部位などに従って変動するということを認識する。所与の投与プロトコールに最適な投与速度を、当業者は、前述のガイドラインに関して行われる慣習的な投与量決定試験を使用して、容易に確認することができる。
【0209】
一般に、治療用の本発明の化合物は、先行のテトラサイクリン治療で使用される投与量で対象に投与することができる。例えばthe Physicians' Desk Referenceを参照。例えば、本発明の1つまたは複数の化合物の好適な有効量は、1日当たり、レシピエントの体重1キログラム当たり、0.01〜100ミリグラムの範囲、好ましくは、1日当たり、レシピエントの体重1キログラム当たり、0.1〜50ミリグラムの範囲、より好ましくは、1日当たり、レシピエントの体重1キログラム当たり、1〜20ミリグラムの範囲である。所望の用量を1日1回好適に投与するか、またはいくつかの下位用量、例えば2つ〜5つの下位用量を、1日または他の適切なスケジュールを通じての適切な間隔で投与する。
【0210】
テトラサイクリンの投与に関して、通常の使用環境下でのそれらの有効性を確実にするために、通常の慣習的に知られている対策が一般的に講じられるということも理解する。特に、インビボでのヒトおよび動物の治療的処置に使用する場合、開業医は、あらゆる賢明な対策を講じて、慣習的に知られている矛盾および毒性作用を回避すべきである。したがって、胃腸障害および胃腸炎症、腎毒性、過敏症反応、血液の変化、ならびにアルミニウムイオン、カルシウムイオンおよびマグネシウムイオンを通じた吸収の障害といった、慣習的に認識されている有害反応を、慣習的に正当に考慮すべきである。
【0211】
さらに、本発明はまた、医薬の調製のための、式I、II-A、II-B、III、IV-A、IV-B、V、VIまたは表2のテトラサイクリン化合物の使用に関する。医薬は、薬学的に許容される担体と、有効量、例えば関節リウマチなどの炎症性状態を治療するために有効な量のテトラサイクリン化合物とを含み得る。
【実施例】
【0212】
発明の例示
本発明の化合物を、本明細書に記載のように、当業者の熟練の範囲内で記載された手順に修正を加えて、作製することができる。例えば上記スキーム1〜16および実施例4の特性決定データを参照。
【0213】
実施例1:ミノサイクリンの非抗菌性誘導体
ミノサイクリン誘導体(J、W、AFおよびAT)を試験し、ミノサイクリンとは対照的に抗菌活性を有さないことがわかった。これらはラットにおいて経口投薬後に生体利用可能である。
【0214】
薬物動態データを以下の方法に従って取得した:
予めカニューレ挿入した(静脈内群の場合は頸静脈および頸動脈、経口群の場合は頸動脈)雄CD/IGSラット(約250g)を使用した。ラットを終夜絶食させた後、投薬を行い、投薬の2時間後に食物の入手手段を復活させた。ラットに化合物約0.25mL(用量1mg/kg)を静脈内経路で(頸静脈を経由して20秒にわたって)、または溶液0.5mL(用量5mg/kg)を経口的に投与した。EDTA抗凝固剤を有する管中に血液(300μL)を様々な時点で採取し、遠心分離し、血漿を採取し、-20℃で凍結保存した。最終採血後に動物をCO2で安楽死させた。血漿を抽出し(67%アセトニトリル/33%水中0.1%トリフルオロ酢酸)、化合物のレベルをHPLC/MSによって標準曲線に対して定量化した。
【0215】
結果を以下の表3に示す。
【0216】
【表3】

a 大腸菌(E. coli)MIC(最小阻害濃度)を、Clinical and Laboratory Standards Institute (CLSI)ガイドラインに従って行われるブロス微量希釈法により決定した。大腸菌ATCC25922(テトラサイクリン感受性)を、カチオン調整したミューラーヒントンブロス中で0.5マクファーランド標準まで増殖させた。Microscan濁度計を使用して濁度を測定した。
b タンパク質合成阻害を、Promega Corporation (ウィスコンシン州マジソン)のインビトロ転写/翻訳アッセイシステム(環状DNA用大腸菌S30抽出システム、カタログ番号L1020)を、製造者の説明書(技術報告番号TB092)に従って使用して測定した。
c PK、薬物動態; すべての試料をLC-MS/MS上で分析し、パラメータをWinNonLinプログラムを使用して計算した。
d % F、化合物5mg/kgの経口投薬後の吸収率。
【0217】
実施例2:インビボ関節リウマチマウスモデル
臨床試験は、ミノサイクリンが関節リウマチ(RA)患者において疾患症状を改善することができることを実証した。ミノサイクリンの4つの非抗菌性類似体(J、W、AFおよびAT)を合成し、コラーゲン誘導性関節炎(CIA)という疾患のマウスモデルにおいて試験した(上記参照)。オスDBA/1マウスを、ウシII型コラーゲン200μgで皮内免疫し、3週間後にコラーゲンで追加免疫した。ミノサイクリンおよび4つの非抗菌性ミノサイクリン誘導体の腹腔内投与を、疾患発症後に開始した。足の厚さを測定し、動物を毎日スコアリングした。デキサメタゾンおよびメトトレキサートでのCIAの治療は、足の炎症を、4mg/kgおよび12mg/kgの用量でそれぞれ82%および45%阻害した。ミノサイクリンは、この疾患を25mg/kg/日で22%、50 mg/kg/日で45%阻害した。ミノサイクリン誘導体は各々、ミノサイクリンよりも強力にCIAを阻害し、足腫脹の阻害は25mg/kg/日で60〜81%の範囲であった。ミノサイクリン誘導体のCIA阻害のEC50値は、ミノサイクリンおよびメトトレキサートのそれより低かった。サイトカイン(IL-1、IL-6、RANKLおよびMCP-1)ならびにマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP-9)の足蹠組織内レベルは、デキサメタゾンおよびメトトレキサートでのマウスの治療的処置後に減少したが、ミノサイクリンでは減少しなかった。しかし、本発明の2つのミノサイクリン誘導体は、足蹠組織におけるこれらのバイオマーカーのレベルを阻害した。これらの化合物は、抗菌薬の慢性投与に関連する有害作用のない、一般的に使用される細胞毒性薬の代替物として、RAの経口処置に有効であり得る。
【0218】
マウスコラーゲン誘導性関節炎(CIA)モデルおよび化合物投薬プロトコール
1. 雄DBA/1マウスを、ウシII型コラーゲン200μgの完全フロイントアジュバント中乳濁液で皮内免疫した。
2. 21日目に、マウスは、不完全フロイントアジュバント中コラーゲン100μgの皮内追加免疫を受け取った。
3. 疾患発症(追加免疫後3〜4日目)から7日間毎日、化合物を腹腔内投与した。
4. 足部腫脹をエンジニアリングマイクロメーターにより測定し、疾患重症度をそれに従ってスコアリングした(1、紅斑および軽度の腫脹が足根関節または足首関節に限局される; 2、紅斑および軽度の腫脹が足首から中足部まで広がる; 3、紅斑および中程度の腫脹が足首から中足骨関節まで広がる; 4、紅斑および重度の腫脹が足首、足部および指を包囲する)。
5. 足の厚さの変化(Δ) = マウス(実験)の4足より得られる足の厚さの和 - 同一マウスの4足より得られるベースラインの足の厚さの和。
6. 阻害% = 足の厚さの累積Δ(疾患群 - 化合物処置群)/足の厚さの累積Δ(疾患群)。
【0219】
足抽出物の調製およびバイオマーカーELISAアッセイ
1. 投薬の5〜7日後にマウスより足を収集し、解剖して皮膚を取り除いた。
2. 次に足を、1xプロテアーゼ阻害剤を含有する氷冷PBS (2ml/4足/マウス)中で、Polytronホモジナイザーを使用して均質化した。
3. 均質化した試料からデブリおよび粒子を遠心分離により除去した。
4. 液体層を収集して、R & D SystemのELISAキットを使用するMMP-9、IL-1、IL-6、RANKL、MCP-1およびTNFα分析に供した。
【0220】
結果
ミノサイクリン誘導体J、W、AFおよびATは、マウスコラーゲン誘導性関節炎(CIA)モデルにおいて疾患発症後に投与した場合、関節炎を阻害した。足腫脹および臨床スコアの減少に対する効果は、ミノサイクリンまたはメトトレキサートのいずれかに比べて大きかった。表4A〜4Gは、CIAモデルにおいて疾患重症度を減少させる上でのデキサメタゾン、メトトレキサート、ミノサイクリンならびにミノサイクリン誘導体J、W、AFおよびATのインビボ有効性を示す。具体的には、表4Aは、4mg/kg/日で腹腔内投薬したデキサメタゾン、および媒体(腹腔内)のデータを示す。表4Bは、12mg/kg/日で腹腔内投薬したメトトレキサート、および媒体(腹腔内)のデータを示す。表4Cは、25mg/kg/日で腹腔内投薬したミノサイクリン、および媒体(腹腔内)のデータを示す。表4Dは、25mg/kg/日で腹腔内投薬した化合物W、および媒体(腹腔内)のデータを示す。表4Eは、25mg/kg/日で腹腔内投薬した化合物J、および媒体(腹腔内)のデータを示す。表4Fは、25mg/kg/日で腹腔内投薬した化合物AF、および媒体(腹腔内)のデータを示す。表4Gは、25mg/kg/日で腹腔内投薬した化合物AT、および媒体(腹腔内)のデータを示す。
【0221】
【表4A】

【0222】
【表4B】

【0223】
【表4C】

【0224】
【表4D】

【0225】
【表4E】

【0226】
【表4F】

【0227】
【表4G】

表4A〜4Gにおいて、SEM=平均値の標準誤差。
【0228】
表5は、ミノサイクリンで処置した場合とミノサイクリン誘導体で処置した場合との、CIAマウスにおける疾患重症度(足腫脹および臨床スコア)の比較を示す。以下の表6は、CIAマウスの炎症抑制におけるミノサイクリンおよびいくつかのミノサイクリン誘導体のEC50値の比較を示す。
【0229】
【表5】

表5において、AVG=平均、SD=標準偏差。
【0230】
【表6】

【0231】
ミノサイクリン誘導体J、W、AFおよびATは、インビボでミノサイクリンよりも優れて炎症性/骨破壊性サイトカイン(MMP-9、IL-1、IL-6、MCP-1、RANKL)を阻害した。表7は、CIAマウスからの足抽出物を使用する炎症性バイオマーカーの酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)分析を示す。表8は、いくつかの化合物で処置したCIAマウスの足における炎症性バイオマーカー発現の比較を示す。
【0232】
【表7】

【0233】
【表8】

表7〜8において、AVG=平均、SD=標準偏差。
【0234】
実施例3:各種テトラサイクリン化合物のコラーゲン誘導性関節炎の阻害および抗菌活性の試験
いくつかの置換テトラサイクリン化合物を、抗菌活性およびCIAモデルの阻害に関して試験した。結果を表9に示す。
【0235】
抗菌活性を以下の方法に従って取得した:
各化合物2mgをDMSO 100μlに溶解させる。次に溶液を、カチオン調整したミューラーヒントンブロス(CAMHB)に加えて、最終化合物濃度を1ml当たり200μgにする。テトラサイクリン化合物溶液を体積50μLに希釈し、試験化合物濃度を0.098μg/mlにする。試験株の新鮮な対数期ブロス培養物より、光学濃度(OD)決定を行う。希釈を行って最終細胞密度1x106 CFU/mlを実現する。OD=1では、異なる属の細胞密度はおよそ以下の通りであるはずである。
大腸菌 1x109 CFU/ml
黄色ブドウ球菌(S. aureus) 5x108 CFU/ml
エンテロコッカス種(Enterococcus sp.) 2.5x109 CFU/ml
【0236】
細胞懸濁液50μlをマイクロタイタープレートの各ウェルに加える。最終細胞密度は約5x105 CFU/mlであるはずである。これらのプレートを、周囲空気インキュベーター中にて35℃で約18時間インキュベートする。プレートをマイクロプレートリーダーで読み取り、必要な場合は目視で検査する。MICは、増殖を阻害するテトラサイクリン化合物の最低濃度として定義される。
【0237】
CIAモデルデータを以下のプロトコールに従って取得した:
1. 雄DBA/1マウスを、ケタミン/キシラジン(1.25mg/ml:0.25mg/ml、100μl/マウス)の腹腔内注射により麻酔した。
2. 麻酔したマウスを、完全フロイントアジュバント中のウシII型コラーゲン100または200μgで構成される乳濁液0.1または0.2ml(50μl/スポットx2または4スポット)で、尾の底部において皮内免疫した。
3. 免疫後21日目に、マウスは、不完全フロイントアジュバント中のウシII型コラーゲン100μgで構成される乳濁液100μl(50μl/スポットx2スポット)の皮内追加免疫を受け取った。
4. 疾患症状の発症後(通常は追加免疫後3〜4日)、テトラサイクリン誘導体を毎日マウスに腹腔内経路または経口経路を経由して8〜15日間投与した。メトトレキサート(12mg/kg/日)またはデキサメタゾン(4mg/kg/日)を炎症抑制用の対照として使用した。
5. 症状の出現後8〜15日間、疾患重症度を毎日スコアリングした。
【0238】
疾患重症度を以下のように格付けした。
a. 前肢および後肢の手指/足指における炎症の存在に関する目視による臨床スコア:
1. 紅斑および軽度の腫脹が中足部(足根)または足首関節に限局される
2. 紅斑および軽度の腫脹が足首から中足部まで広がる
3. 紅斑および中程度の腫脹が足首から中足骨関節まで広がる
4. 紅斑および重度の腫脹が足首、足部および指を包囲する。
b. 前肢および後肢における足浮腫の存在に関する臨床腫脹スコア:
イソフルラン吸入またはケタミン/キシラジン(1.25mg/ml:0.25mg/ml、100μl/マウス)腹腔内注射の後に、足の厚さを毎日エンジニアリングマイクロメーターにより測定した。
【0239】
マウスの各処置群の毎日のスコアおよび足腫脹測定値を、観察期間全体にわたって追加して累積スコアを得た。累積スコアを未処置対照と処置群との間で比較することで、テトラサイクリン誘導性阻害を決定した。
【0240】
【表9】



【0241】
実施例4:いくつかの置換テトラサイクリン化合物の物理化学的データ
以下の表10は、本発明のいくつかの化合物のLCMSおよび1H NMRデータを示す。
【0242】
【表10】




【0243】
等価物
本明細書に記載の具体的な手順の数多くの等価物を、当業者は認識するか、または単なる日常的な実験を使用して確認できるであろう。そのような等価物は、本発明の範囲内であると考えられ、以下の特許請求の範囲に包含される。本出願全体を通じて引用されるすべての参考文献、特許および特許出願の内容は、参照により本明細書に組み入れられる。それらの特許、出願および他の文献の適切な構成要素、プロセスおよび方法を、本発明およびその態様のために選択することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
関節リウマチの治療用の医薬の製造における、式Iのテトラサイクリン化合物またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグの使用:

式中、
R4はアミノまたは水素であり;
R7は置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクリル、置換もしくは非置換フェニル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、または置換もしくは非置換アシルである。
【請求項2】
R4がジメチルアミノである、請求項1記載の使用。
【請求項3】
R4が水素である、請求項1記載の使用。
【請求項4】
R7が置換もしくは非置換アシルである、請求項1記載の使用。
【請求項5】
R7が置換もしくは非置換フェニルである、請求項1記載の使用。
【請求項6】
関節リウマチの治療用の医薬の製造における、式IIIのテトラサイクリン化合物またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグの使用:

式中、
R4はアミノまたは水素であり;
R7はアミノまたは水素であり;
R9は置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクリル、置換もしくは非置換フェニル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、置換もしくは非置換アシル、または置換もしくは非置換イミンである。
【請求項7】
R4がジメチルアミノであり、かつR7がジメチルアミノである、請求項6記載の使用。
【請求項8】
R4が水素であり、かつR7がジメチルアミノである、請求項6記載の使用。
【請求項9】
R9が置換もしくは非置換C1〜C5アルキルである、請求項6記載の使用。
【請求項10】
R9が非置換C2〜C4アルキルである、請求項9記載の使用。
【請求項11】
R9が置換もしくは非置換ヘテロアリールである、請求項6記載の使用。
【請求項12】
R9が置換ピロリルである、請求項11記載の使用。
【請求項13】
R9が置換もしくは非置換アシルである、請求項6記載の使用。
【請求項14】
R9がアルコキシ置換アシルである、請求項13記載の使用。
【請求項15】
関節リウマチの治療用の医薬の製造における、式Vのテトラサイクリン化合物またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグの使用:

式中、
R4はアミノまたは水素であり;
R7は置換もしくは非置換C1〜C5アルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクリル、置換もしくは非置換フェニル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、置換もしくは非置換アシルであり;かつ
R9は置換もしくは非置換C1〜C5アルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクリル、置換もしくは非置換フェニル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、置換もしくは非置換アシル、または置換もしくは非置換イミンである。
【請求項16】
R4が水素である、請求項15記載の使用。
【請求項17】
関節リウマチの治療用の医薬の製造における、式VIのテトラサイクリン化合物またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグの使用:

式中、
R4はアミノまたは水素であり;
R7はアミノまたは水素であり;
R10は水素、置換もしくは非置換C1〜C5アルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクリル、置換もしくは非置換フェニル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、置換もしくは非置換アシル、または置換もしくは非置換イミンである。
【請求項18】
R4が水素であり、かつR7がジメチルアミノである、請求項17記載の使用。
【請求項19】
R4がジメチルアミノであり、かつR7が水素である、請求項17記載の使用。
【請求項20】
関節リウマチの治療用の医薬の製造における、以下からなる群より選択されるテトラサイクリン化合物ならびにその薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグの使用。





【公表番号】特表2012−503017(P2012−503017A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−528044(P2011−528044)
【出願日】平成21年9月21日(2009.9.21)
【国際出願番号】PCT/US2009/057727
【国際公開番号】WO2010/033939
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(500127209)パラテック ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (50)
【Fターム(参考)】