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防かび用塗膜及びその防かび用塗膜処理方法
説明

防かび用塗膜及びその防かび用塗膜処理方法

【課題】かびの発生を長期にわたり防止することができる防かび用塗膜及び、空調機器等の防かび用塗膜処理方法を提供する。
【解決手段】水系撥水性樹脂中に防かび剤(a)2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン(b)ビス(ピリジン−2−チオール−1−オキシド)亜鉛酸(c)3−ヨード−2−プロピルブチルカルバメートの3種類を含有し、かつ、導電フィラーを混入分散し表面抵抗率10〜1012Ω/□になるように構成したことを特徴とする防かび用塗膜及び塗膜処理方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空調機器、例えば空気調和機、空気清浄機等の内部部品である送風ファン及びその周辺部材に発生するかび等の微生物の繁殖を防止することができる撥水性、導電性を有し、防かび剤を含有する防かび用塗膜及び、その防かび用塗膜処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の空気調和機の内部部品である送風ファンは、翼部と端板が一体構造とされている(例えば、特許文献1参照)。その構造体の合成樹脂にはアクリロニトリル・スチレン樹脂(以下AS樹脂と称す)にガラスファイバー(以下GFと称す)を約20%〜30%程度混入して強度向上を図ったもの、もしくは、アクリロニトリル・ブタジェン・スチレン樹脂(以下、ABS樹脂と称す)等が使用され、またその周辺部位(吸入グリル、台枠、吹出しグリル、水受け皿、上下羽根、左右羽根など)にはABS、PS樹脂等が使用され種類も様々である。また、かびの発生、繁殖を防止する手段としては、単に防かび剤を配合した塗料を塗装するか、もしくは合成樹脂材料に練り込むという方法があるが、上記のように部材の種類の多さ、高い成形温度による薬剤の安定性、効能の持続等の面から、殆ど場合防かび処理が施されていない。また他の手段として、室内機内部を乾燥させるための乾燥運転を実施する等使用者の負担の掛かる方法が取られている。
【0003】
尚、耐汚染性フッ素系塗料を用いたもの(例えば、特許文献2参照)や、撥水性樹脂及び抗菌剤のコーティング組成物を用いたもの(例えば、特許文献3参照)があるが、最適な抗菌剤と導電性フィラーを併用して長期の効果を示したものがない。また、送風ファンの表面に膜厚1.4μm以上の防かび塗装をしたもの(例えば、特許文献4参照)があるが、防かび剤の種類による効果が表示されておらず、また培養試験の表示はされているが実用的な効果が記載されていない。また、フッ素系樹脂をコーティングした成形体を用いたもの(例えば、特許文献5参照)もあるが、特に長期にかびの繁殖を防止するような選定が示されていない。また、空気調機の空気流路部の部品に帯電防止や低摩擦係数などの機能を付与した機能性塗料を塗装して示したもの(例えば、特許文献6参照)があるが、防かび剤と帯電防止剤や導電剤や撥水性の塗料を組み合わせて、空気調和機に長期の効果を具体的に明記されたものがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭64−53099号公報
【特許文献2】特開平6−157943号公報
【特許文献3】特開2008−179660号公報
【特許文献4】特開平5−248651号公報
【特許文献5】特開2007−84780号公報
【特許文献6】特開平8−247526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来の構造の送風ファンは、回転による静電気によりかびの栄養源となるほこり等がファンに付着し、さらに、結露による水分の影響で送風ファン周辺部(台枠、吹出しグリル、水受け皿、上下羽根、左右羽根など)にかびが増殖するという課題があった。特に空調機器の場合、運転時に吹き出し口から悪臭が生じたり、ほこりと共にかび胞子などが空気中に飛散したりすることで衛生面においても問題があった。
【0006】
また、従来からある防かび塗料としては、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリルシリコン樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等の水系樹脂、或いは溶剤系樹脂に単に防かび剤を配合しただけのものが多く、耐水性、耐薬品性、耐摩耗性等が不十分なため、塗布初期には効果が得られるが、経時変化とともに防かび効果の低下が著しく、またかびの種類によって効果の差があり、微生物の繁殖を完全に防止できないという問題があり、その改善が望まれていた。上記の課題を達成するため、撥水性樹脂中に導電フィラーを配合する事により、かびの繁殖原因とされる水分、ほこり等の付着を低減し、また、防かび剤(a)2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、(b)ビス(ピリジン−2−チオール−1−オキシド)亜鉛酸、(c)3−ヨード−2−プロピルブチルカルバメート、の3種類を配合することにより相乗効果でかびの発生を長期にわたり防止することができる防かび用塗膜及び、空調機器等の防かび用塗膜処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1記載の本発明は、撥水性樹脂中に防かび剤(a)2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、(b)ビス(ピリジン−2−チオール−1−オキシド)亜鉛酸、(c)3−ヨード−2−プロピルブチルカルバメート、の3種類及び、導電フィラーを混入分散し表面抵抗率10Ω/□〜1012Ω/□になる塗膜を構成させたものである。
【0008】
請求項2記載の本発明は、請求項1記載の防かび用塗膜の撥水性が、水接触角で80°以上とした構成である。
【0009】
請求項3記載の本発明は、上記塗膜を空調機器の吸入グリル、台枠、送風ファン、吹出しグリル、水受け皿及びその送風回路の周辺部材に塗布・乾燥して、請求項1或いは請求項2記載の塗膜を形成することを特徴とする防かび用塗膜処理方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1記載の本発明は、撥水性樹脂中に防かび剤(a)2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、(b)ビス(ピリジン−2−チオール−1−オキシド)亜鉛酸、(c)3−ヨード−2−プロピルブチルカルバメート、の3種類及び、導電性フイラーを混入分散し、表面抵抗率10Ω/□〜1012Ω/□になる防かび用塗膜を構成にすることにより、かび等の微生物の増殖の原因である水分、ほこりを低減し、防かび剤との相乗効果により長期にわたり防かび性能を維持することができる。
【0011】
また、請求項2では請求項1記載の防かび用塗膜の撥水性を、水接触角で80°以上となるように構成することによって、水が接触するような環境においても水分の低減が図れ、特に10μm以下の薄膜時に、長期に吸水劣化が低い優れた塗膜が形成されることにより、さらに長期の防かび性能を維持することができる。
【0012】
また、請求項3記載の本発明は、空調機器の吸入グリル、台枠、送風ファン、吹出しグリル、水受け皿及びその送風回路の周辺部材に、請求項1或いは請求項2記載の防かび用塗膜を塗布・乾燥して構成した防かび処理方法である。この構成の防かび処理方法であれば、空調機器に使用される送風ファンにおいては、回転による静電気により、かびの栄養源となるほこり等の付着や、結露による水分の付着を低減し、吸入グリル、台枠、送風ファン、吹出しグリル、水受け皿及びその送風回路の周辺部材に平滑性の高い薄膜の最適な塗膜を形成することができ、長期にわたって防かび性能を維持することができる。
【0013】
また、導電性フィラーにアンチモンドープ二酸化スズを用い透明性を確保して、80°
以上の水接触角にすることにより、空調機器の前面バネルや吸入バネルや台枠の外観の見えるとこに使用した場合に、白系の外観性と長期にわたる防かび性能を維持することができる。
【0014】
また、本発明の防かび用塗膜は、かびの繁殖しやすい高温多湿な沖縄や九州南部や、年中連続的に運転されるような食堂やホテルなどの部屋においてより有効な効果を発揮することができるものである。
【0015】
従来のアクリル水系樹脂の防かび剤1種では、かびが繁殖しやすい環境においても、本発明の防かび塗膜を形成することにより、今までにはない長期(例えば、2年以上)の効果を得ることができる。また、長期にわたってかびの繁殖やゴミやほこりの付着を低減することにより、エアコンの送風効率の低下を抑えられ、能力低下も少なくなり省エネに貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明による一実施例の空調機器室内ユニットの外観斜視図
【図2】本実施例に使用した防かび用塗膜の塗装部を示す空調機器室内ユニットの断面図
【図3】本発明の実施例として用いた防かび用塗膜の構成と防かび性能などの結果を示す特性図
【図4】本発明の比較例として用いた防かび用塗膜の構成と防かび性能などの結果を示す特性図
【図5】従来の空調機器室内ユニットの断面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の請求項1記載の防かび用塗膜は、撥水性樹脂中に防かび剤(a)2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、(b)ビス(ピリジン−2−チオール−1−オキシド)亜鉛酸、(c)3−ヨード−2−プロピルブチルカルバメート、の3種類及び、導電フィラーを混入分散し表面抵抗率10Ω/□〜1012Ω/□になる塗膜を構成させたものである。
【0018】
この構成であれば、合成樹脂基材に密着性の良い撥水性の溶剤系又は水系樹脂であるとともに、かび等の微生物の増殖の原因である水分、ほこりを低減し、防かび剤との相乗効果により長期にわたり防かび性能を維持することができる。
【0019】
請求項2記載の本発明は、請求項1記載の撥水性樹脂の接触角を水接触角で80°以上とした防かび用塗膜を構成させたものである。水接触角が80°以上の撥水性樹脂を使用することによって水が接触するような環境においても水分の低減が図れ、特に10μm以下の薄膜時に、長期に吸水劣化が低い優れた塗膜が形成されることにより、さらに長期の防かび性能を維持することができる。
【0020】
請求項3記載の本発明は、空調機器の吸入グリル、台枠、送風ファン、吹出しグリル、水受け皿及びその送風回路の周辺部材に、請求項1又は請求項2記載の防かび用塗膜を塗布・乾燥して構成させた防かび用塗膜処理方法である。
【0021】
この構成の防かび用塗膜処理方法であれば、空調機器に使用される送風ファンにおいては、回転による静電気により、かびの栄養源となるほこり等の付着や、結露による水分の付着を低減し、吸入グリル、台枠、送風ファン、吹出しグリル、水受け皿及びその送風回路の周辺部材に平滑性の高い薄膜の最適な塗膜を形成することができて、長期に防かび性能を維持することができる。
【0022】
また、導電性フィラーにアンチモンドープ二酸化スズを用い透明性を確保して、80°以上の水接触角にすることにより、空調機器の前面バネルや吸入バネルや台枠の外観の見えるとこに使用した場合に、白系の外観性と長期の防かび性能を維持することができる。
【0023】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。まず、撥水性樹脂について説明する。撥水性樹脂に関しては、溶剤タイプと水系タイプに二分化されるが、最近は環境問題から溶剤から水系に移行されることが多い。そこで、環境面を考慮しつつ塗装作業性が良く、帯電防止、塗膜物性と防かび性が優れた10μm未満の水系塗膜を鋭意研究して本発明に至ったものであるが、溶剤タイプでも防カビ性等は水系タイプと変わらない効果が得られる。ここでは水系タイプの特徴を示す。
【0024】
本発明の水系撥水樹脂は、水系組成物中に溶解されても良いし、または分散されていても良い。そのような樹脂としては、水系組成物中、溶解可能であるか、分散可能である水系樹脂であれば特に制限されないが、空調機器の送風ファン及び、その周辺部材(AS+GF樹脂、PS樹脂、ABS樹脂等)に密着が良く、また撥水性を有する必要がある。例えば、アクリル樹脂エマルジョン、アクリルシリコン樹脂エマルジョン、フッ素樹脂エマルジョン、ウレタン樹脂エマルジョン、ポリエステル樹脂エマルジョン、シリコン樹脂エマルジョン又は、これらの水溶性樹脂の1種また2種以上を混合することにより挙げられる。バインダー樹脂が水系組成物中、分散されている場合における分散粒子の平均一次粒子は通常0.01μm〜1μm、好ましくは0.1μm〜1μmである平均一次粒子はゼータサイザーナノ(シスメック製)によって測定され得る。
【0025】
樹脂が水系組成物中、分散される場合の該当水分散型樹脂は通常、市販品として水系分散液の形態で入手可能である。
【0026】
組成物中の樹脂固形分は5%〜50%が好ましく、5%より少ないと密着性、塗膜強度等が低下する。また50%を越えると防かび剤及び導電剤等の配合に制約が生じ、また、塗装作業性が悪くなり膜厚のコントロールが困難になる。
【0027】
次に、導電性フィラーについて説明する。本発明に使用する導電性フィラーは、塗膜に導電性を付与できる物質であれば特に制限されない。例えば、非酸化金属がドープされた金属酸化物、ケッチンブラック、カーボンナノチューブ等が使用可能である。非酸化金属がドープされた金属酸化物の具体例として、例えばアンチモンドープ二酸化スズ、アルミドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、酸化インジュウム、アンチモンドープ酸化チタン等が例示できる。本発明においては導電性フィラーを配合することにより、静電気によるかびの栄養源となるほこり等の付着防止に有用である。
【0028】
導電性フィラーは、塗膜の表面抵抗率が10Ω/□〜1012Ω/□になるような量で配合される。そのような配合量は導電性フィラーの種類に依存するため一概に規定できないが、通常は上記樹脂の固形分重量と該当導電性フィラーの重量との和に対して2%〜10%が良い。すなわち含有割合が2%未満の場合は、所定の表面抵抗率が得られずかびの栄養源であるほこりが付着しかびが繁殖することになり、また10%を越えると付着性や貯蔵安定性及び光沢が低下する。光沢が低下すると表面が粗になりかびが付着し易くなる。
【0029】
次に、防かび剤について説明する。本発明の防かび剤は、住宅内で繁殖しやすいクロコウジかび、アオかび、クロカワかびに対して効果が優れ、かつ、長期間にわたり性能を維持するため(a)2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、(b)ビス(ピリ
ジン−2−チオール−1−オキシド)亜鉛酸、(c)3−ヨード−2−プロピルブチルカルバメートの3成分を用いる。3成分を限定した理由については、即効性と持続性を考慮したためであり、(a)2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン及び(c)3−ヨード−2−プロピニルブチルカ‐バメイトは比較的水に溶出しやすいため即効性があり、(b)ビス(ピリジン−2−チオール−1−オキシド)亜鉛酸は比較的水に溶出しにくいため持続性があり、これら3成分の相乗効果で防かび性が維持されている。また、3成分とも、かび単独だけでなく大腸菌や黄色ぶどう状球菌などの細菌に対する効果も優れていて、特に(a)2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンと(b)ビス(ピリジン−2−チオール−1−オキシド)亜鉛酸は、細菌に対する効果が高い。
【0030】
配合量は上記撥水性樹脂(バインダー樹脂)の固形分重量に対して各防かび剤成分が0.3部以上で、かつ総量が10部以下が良い。(a)〜(c)の各成分の含有割合が0.3部未満のように少なすぎると所定の防かび効果が得られず、総量が10部をこえると塗膜に粘着が残り、また、耐水性等の塗膜性能が低下し、長期間にわたり性能が持続できなくなる。
【0031】
次に、本発明の塗料の製造方法について説明する。本発明の塗料は溶剤系或いは水系媒体中に樹脂および導電性フィラーおよび防かび剤を配合し、混合することによって製造可能である。導電性フィラー及び水に難溶の防かび成分については分散する。混合機は、従来より塗料やインクの分野で混合・分散に用いられるサンドミル、ボールミル、高速回転装置、三本ロール等が用いられる。これらの分散をより効率的によくするためには、分散剤を組み合わせて配合することができ、これらの顔料の平均粒径は1μm以下が良い。これは塗料が被塗物に塗布された場合、特に防かび剤においては粒子が大きいと塗膜から突き出し、時間の経過と共に脱落がおこり、防かび効果の寿命が短くなるためである。
【0032】
本発明の撥水防かび塗料には上記成分以外に必要に応じて分散助剤、顔料、染料、成膜助剤、レベリング剤、沈降防止剤等添加剤を配合することができる。
【0033】
本発明の撥水性・導電性を有する防かび塗料は皮膜を形成するための組成物であり、少なくとも撥水性樹脂、導電性フィラー、防かび剤が媒体中に溶解又は分散されているものである。
【0034】
本発明の防かび用塗膜処理方法は、上記した撥水性・導電性を有する防かび塗料を塗布・乾燥して塗膜を形成することを特徴とする。塗料の塗布方法は所定の厚みの塗膜を形成できる限り特に制限されず、例えばエアースプレー塗装法、エアレススプレー塗装法、浸漬塗装法、静電塗装法、ローラー塗装法、ハケ塗装法などの塗装法が採用できる。
【0035】
塗膜の厚み(乾燥後)は本発明の目的が達成される限り特に制限されないが、表面の平滑性や膜厚の均一性から10μm以下が好ましい。
【0036】
塗膜の乾燥は常温下で自然乾燥によって達成できるが、塗装品の生産効率上、加熱によって乾燥されることが望ましい。例えば、40℃〜70℃で10分〜30分の範囲で行う。
【0037】
これらから形成された塗膜自体が空気調和機及び、空気清浄機等の内部部品である送風ファン及び吸入グリル、台枠、吹出しグリル、水受け皿及びその送風回路の周辺部材に密着性が良く、長期にわたり優れた防かび性能を有することを特徴とする。
【実施例】
【0038】
以下、本発明の一実施例について説明する。図1は本実施例の空調機器室内ユニットの
外観斜視図、図2は本実施例に使用した防かび用塗膜の塗装部を示す空調機器室内ユニット断面図、図3は本発明の実施例として用いた防かび用塗膜の構成と防かび性能などの結果を示す特性図、図4は本発明の比較例として用いた防かび用塗膜の構成と防かび性能などの結果を示す特性図、また図5は従来の空調機器室内ユニットの断面図である。
【0039】
空気調和機11の送風方向は、図2に示すように、室内の空気を吸入口(前面パネル側)201と吸入グリル301から吸い込み、エアーフィルター901、熱交換器401、送風ファン501、吹出しグリル801の順序で再び室内へ送風される。防かび用塗膜は、図2に示すように送風ファン501とその周辺部材である、吸入グリル201(前面パネル側)、吸入グリル301、エアーフィルター901、台枠601、水受け皿701、吹出グリル801、前面枠121に施している。
【0040】
実施例1〜14と比較例1〜18は、水接触角が105°の水系撥水性樹脂を使用している。実施例15は水接触角90°、実施例16は水接触角80°として調整した。
比較例19〜21と比較例22〜24は、水接触角を70°,60°,50°の水系のアクリル系エマルジョン樹脂を使用したものである。実施例1〜16、比較例1〜24の防かび用塗膜の製造に用いた基本材料を下記に示す。
(1)水系撥水性樹脂
アクリルシリコンエマルジョン樹脂、フッ素樹脂(大同塗料(株)、SD−3など)(2)比較例19〜21の水系樹脂
アクリルエマルジョン樹脂
(3)導電性フィラー
ケッチンブラック 又は アンチモンドープ二酸化スズ
(4)防かび剤
2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン
ビス(ピリジン−2−チオール−1−オキシド)亜鉛酸
3−ヨード−2−プロピルブチルカルバメート
【0041】
本発明の実施例と比較例に使用した撥水性と導電性を有する防かび塗料の作成は、下記のように実施した。まず、空気調和機及び、空気清浄機等の内部部品である送風ファン及び、その周辺部材によく使用されるプラスチック材としてAS樹脂、PS樹脂、ABS樹脂に密着の良いアクリルシリコンエマルジョン樹脂、撥水性フッ素樹脂(大同SD−3等)を塗膜形成成分とし、これに希釈剤(水)、成膜助剤を配合し固形分20%となる水性エマルジョン溶液(I)を作成した。この水系エマルジョン溶液(I)に導電性フィラーのケッチンブラック、さらに防かび剤の2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、ビス(ピリジン−2−チオール−1−オキシド)亜鉛酸、3−ヨード−2−プロピルブチルカルバメートを固形分換算で所定の量を添加し、混合・分散して塗膜面の水が105°となる塗料を調整した。また、水接触角を実施例15は90°、実施例16は80°になるように塗料を調整した。
【0042】
尚、比較例19〜24はアクリルエマルジョン樹脂を使用し、撥水剤を微量に混入して調整し水接触角は比較例19と比較例22は70°、比較例20と比較例23は60°、比較例21と比較例24は50°とした。
【0043】
また、導電性フィラーを混入することによって、実施例1〜16と比較例2〜14と比較例16〜24は表面固有抵抗率10Ω/□〜1012Ω/□程度としている。尚、実施例13〜14と実施例22〜24は塗膜の透明性を維持するために、導電材はアンチモンドープ二酸化スズを用いた。
【0044】
次に、塗膜の形成方法について説明する。送風ファンに関しては浸漬塗装で実施した。
塗膜形成方法としては空気調和機の一部であるAS樹脂にGF30%を含むクロスフローファンに上記各塗料を浸漬した後取り出し、その後高速回転して余分な塗料を振り切った後で乾燥する工程で膜厚約2μmの塗膜になるように作成した。
【0045】
吸入口(前面バネル側)、吸入グリル、エアーフィルター、台枠、吹出しグリル、水受け皿に関しては、全体を均一に薄膜コートが可能な設備を鋭意研究して作成した。成形品の表裏に2μm程度の防かび塗膜を形成させるため、ノズルからの均一ミストの発生と、均一なミスト雰囲気を作成できる装置内でスプレーコートして施した。尚、塗膜の平滑性から10μm程度以下の均一膜厚を形成することが可能である。
【0046】
また、使用した表面抵抗率計と水接触角計と膜厚と防かび性能、耐黄変に関する試験法を下記に示す。
・表面抵抗率(Ω/□)
ハイレスタUP MCP−HT450型(株式会社ダイアインスツルメンツ製)を使用し測定した。
・水接触角
ウエハー洗浄・処理評価装置 CA−S150型(協和界面科学株式会社製)を使用し測定した。
・膜厚
重量法(クロスフローファンのブレード部の表裏面積に対する乾燥後の塗付量)。
【0047】
・防かび性能(培養試験)
かびの発生状態をファンの羽根部を試験片とし、シャーレ内でかびの発生に対する抵抗性を見たもので、住宅内で繁殖しやすい、クロコウジかび(Aspergillus niger)、アオかび(Penicillium citrinum)、クロカワかび(Cladosporium cladosporioides)の3種混合のかびを用いて試験をおこなった。試験法は全国家庭電気製品公正取引協議会 防かび試験法(ハロー法)に準じて行った。
(試験法)
試験菌(クロコウジかび:Aspergillus niger、アオかび:Penicillium citrinum、クロカワかび:Cladosporium cladosporioidesの3種混合)を平板培地上に試料を密着貼付けし、25±1℃、7日間培養後に生じた試料周辺の透明な生育阻止帯(ハロー)の有無と試料上のかびの繁殖状態を確認した。
(判定基準)
○;試料上にかびの繁殖が認められなく、全てのかびに全体の1/3以上の阻止帯の成形が認められること。
△;試料上にかびの繁殖が認められなく、全てのかびに全体の1/3以内の阻止帯の成形が認められること。
×;試料上の1/3以内にかびの繁殖が認められ、阻止帯の成形が認められない。
××;試料上に2/3以上にかびが繁殖し、阻止帯の成形が認められない。
【0048】
・防かび性能(モニター試験)
モニター試験は、一般家庭の約8畳のLDKに設置して、エアコンを使用した。一年のうち夏・冬を主体に約8ケ月程度運転し、1年後および2年後にその効果を見たものである。判定基準は送風ファンのかびの繁殖状態を見て評価したものである。
(判定基準)
○;2年間かびの繁殖が認められない。
△;1年間はかびの繁殖が認められないが、2年目に部分的(全体の1/20以下)にかびの繁殖が認められる。
×;1年目に部分的(全体の1/20以下)にかびの繁殖が認められ、2年目には全体の1/5〜1/20にかびの繁殖が認められる。
××;1年目より全体の1/5以上にかびの繁殖が認められる。
【0049】
・耐黄変(モニター試験)
モニター試験は、アイボリー(白色系)の外観を使用したエアコンを用いて、一般家庭の約8畳のLDKに設置した。一年のうち夏・冬を主体に約8ケ月程度運転して、黄ばみ状態を確認したものである。色差は、色差計を用いて、塗装部のブランク品(保管品)と比較したものである。尚、判定基準は、前面枠で評価したものである。
○;2年間で、褐色化が目立たない状態(△E・・3程度以内)。
△;1年間で、褐色化が目立たない状態(△E・・3程度以内)。
×;1年間で、褐色化が目立つ状態(△E・・7程度以内)。
【0050】
実施例1〜16は、防かび剤の2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、ビス(ピリジン−2−チオール−1−オキシド)亜鉛酸、3−ヨード−2−プロピルブチルカルバメートの3種を、各成分0.3部以上とし、防かび剤総量を10部以下としたものである。また、水接触角は105°,90°,80°で膜厚は約2μmで構成されている。この構成では、防かび性能の培養試験とモニター試験で、2年間はファン及びファンの周辺部材(吸入グリル、台枠、吹出しグリル、水受け皿、上下羽根、左右羽根など)にかびの繁殖が認められなく良好である。
【0051】
水系撥水性樹脂を用いている比較例1〜18においては、防かび剤の1種或いは2種或いは3種とも混入されていないもの、防かび剤の混入量が0.3部以下のもの、防かび剤総量が10部を超えるもの、導電性フィラーの混入率が10部以上のもの、導電性フィラーの混入されていないものは、培養試験やモニターでの防かび性能で効果が認めらないか、培養試験で○△の効果が確認できても、モニターでは△や×の判定となっていて効果が不十分である。
【0052】
また、アクリルエマルジョン樹脂を使用した、水接触角70°の比較例19、水接触角60°の比較例20、水接触角50°とした比較例21は、実施例5と同様に導電剤フィラーと3種類の防かび剤を混入しても、水接触角が低下した分、長期の防かび性能が得られなくモニター試験では△×となる。また、比較例1と比較例2は、防かび剤が混入されていなく、全く効果が認められない。
【0053】
耐黄変(モニター試験)は、撥水性樹脂を用いて導電性フィラーにアンチモンドープ二酸化スズを用いた実施例13と実施例14が2年間で色差が△E・・3程度で良好。但し、アクリル系の水系樹脂を用いた比較例22は△、比較例23と比較例24は×の判定で効果が不十分である。
【0054】
尚、本発明では水系の撥水性樹脂を用いて説明したが、溶剤系の撥水性樹脂を用いてもよい。空調機器の送風ファン及び吸入グリル、台枠、吹出しグリル、水受け皿及びその送風回路の周辺部材に密着性が良いアクリル系樹脂、アクリルシリコン系樹脂、フッ素系樹脂、ウレタン系樹脂等の1種また2種以上を混合することにより塗膜が形成できる。溶媒としては、酢酸エチルなどのエステル系有機溶剤、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、トルエンなどの芳香族系溶剤やシクロヘキサン等の炭化水素系溶剤、イソプロパノールなどのアルコール系溶剤が挙げられる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、空調機器の吸入グリル、台枠、送風ファン、吹出しグリル、水受け皿及びその送風回路の周辺部材について説明したが、空調機器の内部部品に限らず、送風が行われ
てほこりやかびが付着しやすい部分に適用することができ、同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0056】
101 前面パネル
201 吸入グリル(前面パネル側)
301 吸入グリル
401 熱交換器
501 送風ファン
601 台枠
701 水受け皿
801 吹出グリル
901 エアーフィルター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撥水性樹脂中に防かび剤(a)2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、(b)ビス(ピリジン−2−チオール−1−オキシド)亜鉛酸、(c)3−ヨード−2−プロピルブチルカルバメート、の3種類を含有し、かつ導電性フィラーを配合することで表面抵抗率10Ω/□〜1012Ω/□になるように構成したことを特徴とする防かび用塗膜。
【請求項2】
撥水性が、水接触角で80°以上の請求項1記載の防かび用塗膜。
【請求項3】
空調機器の吸入グリル、台枠、送風ファン、吹出しグリル、水受け皿及びその送風回路の周辺部材に請求項1又は請求項2記載の防かび用塗膜を形成させたことを特徴とする防かび用塗膜処理方法。

【図3】
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【図4】
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【図1】
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【図2】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−79960(P2011−79960A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−233316(P2009−233316)
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】