説明

防寒具

【課題】
簡単な構造で、誰の顔にも息苦しさを感じることがなくフィットし、呼気でメガネも曇らず、冷気や寒風から顔を主体に耳や首まで覆って効果的な保温ができるようにした防寒具を提供する。
【解決手段】
顔面の目の下から鼻までの部分及び耳部分を覆う上部保温布1と、顔面の鼻と耳から下の部分及び首周りを覆う筒状の下部保温布2とを接合して構成し、上部保温布1の接合部分の一部にたるみを持たせて鼻の形に沿った隆起部5を形成すると共に、その下方に呼気排出用開口部3を形成し、上部保温布1の内側に上部保温布1を耳に取り付け固定する固定紐4を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車等乗車時、屋外での活動時、外出時において、冷気や寒風から顔面や耳や首を保温する防寒具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
寒い季節、衣類では覆えない手、頭、首を保温するものとして、手袋、帽子、マフラー等の防寒具があるが、顔は冷気にさらされていることが多く、顔面を覆って保温する防寒具が望まれている。
【0003】
かかる防寒具は、顔面を覆うと息苦しくなるので鼻等から呼気排出口を設ける必要があり、このための工夫を加えた防寒具として、例えば特許文献1に示すような、鼻部分に脱着自在なフェイスマスク部を設けたものや、特許文献2に示すような、鼻の形に沿った膨出部を形成しその下方に呼吸用孔を形成したものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−77591号公報
【特許文献2】特開平7−289679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記特許文献1に示す防寒具は、脱着自在なフェイスマスク部を着けた状態では呼気が排出されにくいため、鼻の上部から呼気がもれメガネが曇り、フェイスマスク部を外した状態では保温ができず、また外したフェイスマスク部を紛失してしまう問題があった。
【0006】
上記特許文献2に示す防寒具は、鼻の形に沿った膨出部を形成しその下方に呼吸用孔を形成して呼気を排出するようにし、特許文献1の保温できない問題や紛失の問題を解消すると共にメガネが曇らないようにしているが、この防寒具は伸縮生地と保形材と裏生地の3層で素材を形成し、これをプレス成形により顔面の表面形状に沿うように加工形成しているものであり、防寒具として構造的に複雑な上に、プレス加工で形成され形が固定化されたものであるために、千差万別である人間の顔や鼻の形の全てに適合し難いという問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みて成したもので、簡単な構造で、誰の顔にもフィットし、息苦しくなく呼気でメガネも曇らず、効果的な保温ができるようにした防寒具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、顔面の目の下から鼻までの部分及び耳部分を覆う上部保温布1と、顔面の鼻と耳から下の部分及び首周りを覆う筒状の下部保温布2とを接合して構成し、上部保温布1の接合部分の一部にたるみを持たせて鼻の形に沿った隆起部5を形成すると共に、その下方に呼気排出用開口部3を形成し、上部保温布1の内側に上部保温布1を耳に取り付け固定する固定紐4を設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の防寒具は、上下2枚の保温布で構成され、両者を接合する際に一部にたるみを持たせるだけの簡単な構成で、顔、耳、首を同時に覆って保温し、メガネの曇らない防寒具が容易に製造でき、しかも布製でフレキシブルであるために異なる顔や鼻の形の人にも全て適合できる。
【0010】
また上部保温布の内側に取り付けた固定紐で耳に固定しているので、激しい動きにも位置がずれず、肌を露出したり視界を塞ぐこともなく快適かつ安全に着用できる。更に、下部保温布2は筒状になっているため、耳から固定紐を外せばネックウォーマーとして首だけを保温することもでき使い勝手がよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例の斜視図である
【図2】同上の展開図である。
【図3】同上の分解図である
【図4】同上の装着状態を示す側面図である。
【図5】同上の異なる装着状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0012】
以下、本発明の実施例を図1から図5に基づき説明する。本発明の基本的構成は、顔面の目の下から鼻までの部分及び耳部分を覆う上部保温布1と、顔面の鼻と耳から下の部分および首周りを覆う下部保温布2からなる。上下保温布1,2は例えばフリースのような軽くて暖かい生地を使用している。
【0013】
下部保温布2の上下方向の長さは、顔の前側に対応する部分を16〜25cmと長くし、後頭部側に対応する部分を10〜16cmと短くしている。また、下部保温布2のすそ部分は、体に沿う自然なラインでカーブを描くようにしている。
【0014】
図3で示すように上部保温布1の中央の鼻部分は3.5〜5cmの幅で左右の耳方向に6〜12cmと幅を広げている。上部保温布1の上部と下部は円弧を描くように裁断した後、図2に示すように、上部保温布1の下部と下部保温布2の上部と縫い合わせている。その際、上部保温布1の下部中央を8〜12cm、下部保温布2の上部中央を6〜8cm縫製せず、上部保温布1にたるみを設けることで、呼気排出用開口部3が形成されるようにしている。また、上部保温布1の下部と上部の円弧の長さの差から隆起部5が鼻の形に自然に沿うように効果的に形成され、呼気が上部からもれずメガネが曇らないようにしている。
【0015】
上部保温布1と下部保温布2の後部にはマジックテープ(登録商標)6を取り付けて筒状に形成するようにしている。また、上部保温布1との内側には、左右の耳の位置に耳に取り付け固定するゴム製の固定紐4を取り付けている。このことにより、顔を上下左右に動かしても防寒具が顔にフィットし、位置がずれないので有効に顔や首を保温できる。
【0016】
而して使用するときには、図4に示すように、上部保温布1と下部保温布2の後部にはマジックテープ(登録商標)6で上下保温布1,2を筒状に形成し、固定紐4を耳に掛けて、顔面や耳や首周りを覆って保温するようにし、また、図5に示すようにネックウォーマーとして使用するときには、耳から固定紐を外して首周りを保温するようにするのである。
【0017】
なお、上記実施例では、上部保温布1と下部保温布2はマジックテープ(登録商標)で接合して筒状に形成しているが、ボタン、ファスナー等の接合器具を用いて筒状に形成してもよい。また、上記実施例では、布地を縫い合わせて接合しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、接着テープ等により接合してもよい。更に、上記実施例では上部保温布1を筒状に形成しているが、耳が隠れる程度の長さの帯状にしてもよい。
【0018】
本発明の防寒具は、自転車やバイクの乗車時に、釣り、スキー、ウォーキング、登山、ゴルフなどの屋外活動時にまた寒風にさらされる作業時等々に幅広く利用可能である。
【0019】
更に、本発明の防寒具は、就寝時でも息苦しくなく着用できるので、肩と掛け布団とのすきまの冷気を感じないで暖かく就寝でき、喉を乾燥させず冷やさないので風邪予防にもなり、子供から老齢の方まで幅広く利用可能である。更に保温布の代わりに遮光布を用いることで顔や首の日よけ対策としても利用できる。
【符号の説明】
【0020】
1 上部保温布
2 下部保温布
3 呼気排出用開口部
4 固定紐
5 隆起部
6 マジックテープ(登録商標)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔面の目の下から鼻までの部分及び耳部分を覆う上部保温布1と、顔面の鼻と耳から下の部分及び首周りを覆う筒状の下部保温布2とを接合して構成し、上部保温布1の接合部分の一部にたるみを持たせて鼻の形に沿った隆起部5を形成すると共に、その下方に呼気排出用開口部3を形成し、上部保温布1の内側に上部保温布1を耳に取り付け固定する固定紐4を設けたことを特徴とする防寒具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−100624(P2013−100624A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246108(P2011−246108)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(710014580)