説明

防振ブッシュ用ストッパ部材

【課題】 取付ブラケット等との接触面でのスティクスリップによる異音の発生を抑えることができる防振ブッシュ用ストッパ部材を提供する。
【解決手段】 ブッシュ10のストッパ部材27は、内筒金具12の軸方向右端部側に挿嵌されて軸方向端部に固定された取付ブラケット35と外筒金具14端部間に圧縮状態で挟まれている。ストッパ部材27の取付ブラケット35との当接面29には、円弧状の線状突起31が径方向の複数箇所でかつ周方向の複数箇所に同心状に設けられており、さらに周方向に離れた複数箇所において溝部32が径方向に中心孔から外周縁まで延びて設けられている。線状突起31と溝部32が形成された当接面29にはしぼ加工が施され、微小な凹凸状態が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のサスペンションにおけるアーム部材等に装着される防振ブッシュの軸方向端部側に取り付けられる防振ブッシュ用ストッパ部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の防振ブッシュとしては、例えば特許文献1に示すように、車両側ブラケットに取り付けられる軸部材と、軸部材の周囲に配置された外筒部材との間に筒状のゴム弾性体が介在し、軸部材の軸方向の端部にゴム弾性体製のストッパリングが嵌合されており、ストッパリングが外筒部材端部と車両側ブラケットとの間に圧縮状態で挟まれたものが知られている。この防振ブッシュは、車両側ブラケットにより車体側に固定され、外筒部材に連結筒が圧入固定されたアーム部材によってサスペンション側に固定される。この防振ブッシュには、車両の走行中に、軸方向,軸直角方向,軸回りの回転方向から外力(振動入力)が加わって変位する。そのため、ストッパリングが外力を受けて動くことにより、圧接している車両側ブラケットとの間で急激な摩擦が起こり、その結果、ステックスリツプによる異音が発生し易いという問題があった。
【0003】
これに対して、特許文献1では、ストッパリングをゴム単体で構成すると共にその原料ゴムに滑剤が配合されて表面潤滑部材とするか、あるいはストッパリングの表面に摩擦係数の低い材料からなるコーティング層を形成して表面潤滑部材とし、ストッパリングと車両側ブラケット間の摩擦抵抗を低減することによって、スティクスリップによる異音の発生を抑えようとしている。しかし、ストッパリングが外筒部材端部と車両側ブラケットとの間に圧縮状態で挟まれてブラケットと広い面積で接触するようになっており、両者間の接触抵抗が大きくなっている。そのため、単に上記材料的な対策によりストッパリングと車両側ブラケット間を滑りやすくするのみでは十分に異音の発生を抑える効果が得られなかった。
【特許文献1】特開平11−51099号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記した問題を解決しようとするもので、取付ブラケット等との接触面でのスティクスリップによる異音の発生を抑えることができる防振ブッシュ用ストッパ部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の構成上の特徴は、内筒金具と、内筒金具を囲んで径方向外方に配置される外筒金具と、内筒金具と外筒金具間を連結するゴム弾性体本体とを備えてなる防振ブッシュの内筒金具の軸方向端部側に、その中心孔にて挿嵌されるゴム弾性体製で環状のストッパ部材であって、軸方向端部に固定される板状の取付ブラケットと外筒金具端部との間に圧縮状態で挟まれる防振ブッシュ用ストッパ部材において、取付ブラケットに当接する当接面の周方向に離間した複数箇所にて中心孔と外周縁間に延設されて当接面から凹んだ溝部と、周方向に隣り合った溝部間にて当接面から突出した複数の円弧形の線状突起とを設けたことにある。
【0006】
上記のように構成した発明においては、取付ブラケットと当接するストッパ部材の当接面の周方向の複数箇所にて中心孔と外周縁間に延びて当接面から凹んだ溝部を設けたことにより、当接面側が複数の領域に分けられるため、当接面側のバネ定数が柔かくされ、外部からの振動入力によるストッパ部材と取付ブラケット間の相互の変位に対して、ゴム弾性体表面側が変形して追従し易くなる。さらに、ストッパ部材の当接面に、隣り合った各溝部間にて当接面から突出した円弧形の線状突起を設けたことにより、当接面と板状の取付ブラケットとの接触面積が少なくされ、振動入力に対する接触抵抗が小さくされる。すなわち、これら当接面に設けた線状突起と溝部の作用により、外部からの振動入力に対して当接面が変形して追従し易くなると共に振動入力に対して取付ブラケットとの接触抵抗が小さくされる。そのため、外部からの通常の振動入力に対しては、ストッパ部材と取付ブラケット間で滑りが生じ難くなる。さらに、外部からの大きな振動入力に対しては、上記線状突起と溝部の作用を合わせた相乗作用により、ストッパ部材の当接面と取付ブラケット間においてスティクスリップのような急激な滑りが緩和されてスムーズな滑りとなる。その結果、本発明においては、外部からの振動入力に対して、スティックスリップによる異音の発生が有効に抑えられる。
【0007】
また、上記ストッパ部材の線状突起が、さらに径方向の複数箇所に互いに離間して配設されてもよい。これにより、当接面全面において板状の取付ブラケットとの接触面積が少なくされるため、接触抵抗がさらに小さくなり、そのため上記スティックスリップによる異音の発生を抑制する効果がさらに高められる。
【0008】
また、上記ストッパ部材は、低摩擦係数の自己潤滑ゴム材料により形成されてもよい。これにより、当接面と取付ブラケットとの摩擦抵抗が小さくされ、両者間の接触抵抗が小さくされるため、上記スティックスリップによる異音の発生を抑制する効果がさらに高められる。
【0009】
また、上記ストッパ部材の当接面に、微小な凹凸形状であるしぼ加工が施されてもよい。これにより、当接面と取付ブラケットとの接触面積が少なくされるため、両者間の接触抵抗が小さくなり、そのため異音抑制の効果がさらに高められる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、取付ブラケットと当接するストッパ部材の当接面の周方向の複数箇所にて中心孔と外周縁間に延びると共に当接面から凹んだ溝部を設けたことにより、当接面側のバネ定数が柔かくされ、外部からの振動入力に対して、ゴム弾性体表面側が変形して追従し易くなり、さらに当接面の隣り合った各溝部間にて当接面から突出した複数の円弧形の線状突起を設けたことにより、当接面と取付ブラケットとの接触面積が少なくされ、振動入力に対する両者間の接触抵抗が小さくされる。その結果、本発明においては、これら線状突起と溝部の作用を合わせた相乗作用により、振動入力によるストッパ部材と取付ブラケット間の相互の変位に対して、両者間においてはスティクスリップのような急激な滑りが緩和されてスムーズな滑りとなり、そのためスティックスリップによる異音の発生が抑えられ、車両の乗り心地が高められる。さらに、線状突起を径方向の複数箇所に配設したり、ストッパ部材を低摩擦係数の自己潤滑ゴム材料により形成したり、当接面に微小な凹凸形状であるしぼ加工を施したりすることにより、異音抑制効果がさらに高められる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の一実施例を図面を用いて説明する。図1は、実施例である車両のサスペンションの中間ビームから延びた左右のアーム部材と車体側への取付ブラケット間に組み付けられる防振ブッシュであるストッパ部材を装着したトーコレクトブッシュ10(以下、ブッシュと記す)の組付け状態の要部を平面断面図により示したものである。図2から図4は、ブッシュ本体11を平面断面図及び左右側面により示し、図5はストッパ部材27を右側面図、断面図及び左側面図により示した。図6は、ブッシュの車両への組み付け状態を平面図により示したものである。
【0012】
ブッシュ10は、ストレートな円筒形で厚肉の内筒金具12と、内筒金具12を囲んで径方向外方に配置された外筒金具14と、内外筒金具12,14間を連結するゴム弾性体本体21とを備えたブッシュ本体11と、内筒金具12の軸方向右端部側に挿嵌されて軸方向端部に固定された車体側部材6に取り付けられる板状の取付ブラケット35と外筒金具14端部間に圧縮状態で挟まれたゴム弾性体製の円環状板であるストッパ部材27とを備えている。なお、以下の説明において、ブッシュ10の各部の前後,左右及び上下関係については車両への装着状態での位置関係となっており、図1に示す上下、左右及び紙面の前後に対応している。
【0013】
外筒金具14は、薄肉の円筒形の金具であり、円筒部分の軸方向左端に径方向外方に延出した環状の外フランジ部15を一体で設けている。外筒金具14は、薄肉の金属パイプの左端側に絞り加工を施すことにより外フランジ部15が一体で形成される。外フランジ部15は、図4に示すように、前後方向に長く上下方向(図示左右方向)に短い略長方形状で前側で両角部が斜めに切り欠かれた傾斜部15aになっており、後側で両角部が略傾斜状に切り欠かれた凹み部15bになっている。また、前後方向で外筒金具14外周縁から延びた部分が略長方形で軸方向左端側にわずかに凹んだ凹み部15cになっている。外筒金具14は、軸方向長さが内筒金具12の軸方向長さより短く、内筒金具12の軸方向右端側寄り位置に配置されている。そのため、外フランジ部15と内筒金具12の左端との軸方向間が所定の大きな左スペースになっており、外筒金具14の軸方向右端と内筒金具12右端との軸方向間が左スペースより小さい右スペースになっている。
【0014】
ゴム弾性体本体21は、内筒金具12と外筒金具14との間に加硫成形により形成されて、内外筒金具12,14間を弾性的に連結している。また、外筒金具14のフランジ部15の軸方向左側の上記左スペースには、内筒金具12外周面と外フランジ部15左側面に接着されて内筒金具12の軸方向略左端に至る環状のストッパゴム部22が、ゴム弾性体本体21から延長して一体で形成されている。ストッパゴム部22は、図2に示すように、軸方向に肉厚の厚肉部22aと、厚肉部22aと軸方向に空間部22bを隔てて左端に配置されると共に前後先端で厚肉部22aと連結された薄肉部22cとにより構成されている。厚肉部22aの軸方向中間位置には、外フランジ部15と略同一形状の円環板である補強板17が同軸状に埋設されており、ゴムストッパ部22の硬さが高められている。また、ストッパゴム部22の外形は、図3に示すように、中心を挟んで前側が外フランジ部15と略同一形状であると共に中心近傍で左右幅が傾斜状に狭められており、中心を挟んだ後側が外フランジ部15よりわずかに幅の狭い略長方形状にされている。
【0015】
ゴム弾性体本体21及びストッパゴム部22には、図4に示すように、ゴム弾性体本体21の右端側において、前後及び上下位置から軸方向に沿ってストッパゴム部22の厚肉部22a左端近傍まで延びた空間部であるそれぞれ軸心を挟んだ各一対の前後すぐり部24と上下すぐり部25が設けられている。各一対の前後すぐり部24と上下すぐり部25は、それぞれ軸心を挟んで対称形状になっている。前後すぐり部24は径方向外周縁から内周縁に延びた略U字状になっており、ゴム弾性体本体21の前後方向のバネ定数が小さくなるようにされている。また、上下すぐり部25は前後方向に長い長円形になっており、ゴム弾性体本体21の上下方向のバネ定数が小さくなるようにされている。
【0016】
ストッパ部材27は、図5−1〜3に示すように、円形の厚板であり、ゴムに不飽和脂肪酸アミドを含有した摩擦係数の低いゴム材料であるいわゆる自己潤滑ゴムで形成されている。ストッパ部材27は、中心に内筒金具12の外径と略同一の内径の中心孔27aを設けており、中心孔27aには周方向の等間隔な複数箇所にて軸心に向けてわずかに突出した突起部27bを設けており、さらに一方の表面28(図示左表面)側の中心孔27a周囲には、軸方向にわずかに凹んだ凹部28aを設けている。突起部27bは、ストッパ部材27を内筒金具12に挿嵌したときに内筒金具12から抜け難くするためであり、凹部28aはストッパ部材27を内筒金具12に挿嵌した際にゴム弾性体本体21端部との当接を避けるために設けられている。
【0017】
ストッパ部材27の他方の表面(図示右表面)である取付ブラケット35との当接面29には、円弧状の線状突起31が、同心円状に径方向に略等間隔な3箇所においてかつ周方向の8箇所に設けられている。また、当接面29には、周方向に45°離れた8箇所において線状の溝部32が径方向に中心孔27aから外周縁まで延びて設けられている。各線状突起31は、溝部32によって分離された形になっており、その中心角が略45°になっている。本実施例においては、線状突起31は、その高さ及び幅がそれぞれ1mmになっている。また、溝部32の深さは、ストッパ部材27の厚さの11%程度になっているが、10〜15%の範囲であることが望ましい。10%より小さくなると、ストッパ部材27に加えられた外力に対してゴム材料の変形が妨げられるおそれがあり、また15%より大きいと、ストッパ部材27の軸方向のバネ定数が低くなりすぎるおそれがある。さらに、線状突起31と溝部32が形成された上記当接面29には、しぼ加工といわれる表面処理により微小な凹凸33が形成されている。なお、線状突起31と溝部32の当接面29への配置については、実施例に限らず任意に配置することが可能である。
【0018】
上記のように形成されたブッシュ10の車両への組付けについて、図1,図6により説明する。一対のブッシュ本体11が、車両の両輪1を支持するサスペンション機構の左右にてその左端(ストッパゴム部側の端)を内側にしてそれぞれ配置され、ブッシュ本体11の外筒金具14に、サスペンション機構の中間ビーム2の両端から突出したアーム部材3先端の環状のアームアイ4を圧入することによって、中間ビーム2側に固定される。外筒金具14とアームアイ4の外端部は面一になるように揃えられている。その後、ブッシュ本体11の右端側の上記右スペースに、ストッパ部材27が当接面29を外側にして内筒金具12に挿嵌される。これにより、ストッパ部材27の一方の表面28がアームアイ4及び外筒金具14の外端面に当接するようになる。なお、本実施例では、外筒金具14とアーム部材4が重ね合わされて両者一体となって外筒金具として機能しているが、外筒金具14とアーム部材4の両者を一体で成形し、ゴム弾性体本体21に圧入する単一の外筒金具とすることも可能である。
【0019】
つぎに、U字状の取付ブラケット35が、内筒金具12の軸方向両端面に固定される。取付ブラケット35は、内筒金具12の軸方向長さと同一間隔で対向した長方形の一対の対向板36と、その一側縁間を連結する連結板37とにより一体で構成されており、両対向板36の中心位置には内筒金具12の軸孔12aと同一内径の取付孔36aが設けられている。取付ブラケット35は、一対の対向板36で内筒金具12の両端面を挟み、対向板36に設けた取付孔36aを内筒金具12の軸孔12aに合わせて配置され、ボルト38を取付孔36aび軸孔12aに挿通させて先端ネジ部にナット39を螺着して締め付けることにより、内筒金具12に固定される。このとき、ストッパ部材27は、取付ブラケット35からの押圧力を受けてアームアイ4及び外筒金具14の端面との間に挟まれて圧縮状態にされる。この状態で、取付ブラケット35が車体側部材6に溶接によって固定されることにより、図6に示すように、左右一対のストッパ部材27を含むブッシュ10がサスペンション側と車体側間に組付けられる。
【0020】
上記のように構成した実施例においては、取付ブラケット35と当接するストッパ部材27の当接面29に、その周方向の複数箇所にて径方向に中心孔27aと外周縁を結んで延びると共に当接面29から凹んだ溝部32を設けたことにより、当接面29側が複数の領域に分けられる。そのため、当接面29側のバネ定数が柔かくされ、車輪1側からの振動入力によるストッパ部材27と取付ブラケット35間の相互の変位に対して、ゴム弾性体表面側が変形して追従し易くなる。さらに、ストッパ部材27の当接面29に、隣り合った各溝部32間にて当接面29から突出した円弧形の線状突起31を設けたことにより、当接面29と取付ブラケット35との接触面積が少なくされ振動入力に対する両者間の接触抵抗が小さくされる。
【0021】
このように、当接面29に設けた線状突起31と溝部32の作用を合わせた相乗作用により、車輪1側からの振動入力に対して当接面29が変形し易くなると共に、振動入力に対して取付ブラケット35との接触抵抗が小さくされる。そのため、車輪1側からの通常の振動入力に対しては、ストッパ部材27と取付ブラケット35間で滑りが生じ難くなる。さらに、障害物への衝突等による車輪1側からの大きな振動入力に対しては、上記線状突起31と溝部32の作用を合わせた相乗作用により、ストッパ部材27と取付ブラケット35間の相互の変位に対して、両者間においてはスティクスリップのような急激な滑りが緩和されてスムーズな滑りとなる。その結果、本実施例においては、大きな振動入力に対して、スティックスリップによる異音の発生が有効に抑えられる。
【0022】
また、当接面29にしぼ加工が施されていることにより、取付ブラケット35との接触面積が少なくされるため、両者間の接触抵抗が小さくされており、さらにストッパ部材27が、摩擦抵抗の小さい自己潤滑ゴムで形成されていることにより、当接面29と取付ブラケット35との摩擦抵抗が小さくされ、両者間の接触抵抗がさらに小さくされる。そのため、上記異音抑制の効果がさらに高められる。その結果、本実施例においては、車室内への異音の伝播が抑えられて、車両の乗り心地が高められる。
【0023】
なお、上記実施例では、ストッパ部材27の取付ブラケットとの当接面29のみに線状突起31及び溝部32を設けると共にしぼ加工が施されているが、これに加えて反対側の外筒金具14及びアームアイ4と当接する一方の表面28にもこれらを同様に設けることができる。これにより、ストッパ部材27の一表面側28での異音の発生も抑えることができる。ただし、しぼ加工については必要に応じて省くことも可能であり、また、ゴム材料についても、自己潤滑ゴムに代えて通常のゴム材料を用いることも可能である。また、上記実施例において、ストッパ部材27の溝部32の外端側のみを埋めて平坦にすることができる。これにより、溝部へのごみ等の進入を防止でき、ストッパ部材の長期にわたっての信頼性を確保できる。
【0024】
なお、上記実施例において、ブッシュの軸方向一端にのみストッパ部材を設ける構造になっているが、ブッシュの両端にストッパ部材を設ける構造に対しても、本発明を同様に適用することができる。また、上記実施例では、ストッパ部材をトーコレクトブッシュに適用した例について説明しているが、これに限らず、同様の振動を受ける防振ブッシュに適用するストッパ部材に対しても本発明を同様に適用することができる。その他、上記実施例に示したブッシュ及びストッパ部材については一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、種々変更して実施することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明においては、ストッパ部材の取付ブラケットとの当接面に、周方向の複数箇所にて中心孔と外周縁間に延設されると共に当接面から凹んだ溝部と、当接面から突出した円弧形の線状突起を設けたことにより、ストッパ部材と取付ブラケット間の滑りが生じ難くなり、かつ滑りが生じたときでも接触抵抗が小さくなっていることにより、振動入力に対してストッパ部材と取付ブラケット間でのスティクスリップによる異音の発生が抑えられるので、有用である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施例であるトーコレクトブッシュの車両への組付け状態の要部を示す平面断面図である。
【図2】同トーコレクトブッシュを示す図3のII−II線方向の平面断面図である。
【図3】同トーコレクトブッシュを示す左側面図である。
【図4】同トーコレクトブッシュを示す右側面図である。
【図5−1】ストッパ部材を示す右側面図である。
【図5−2】ストッパ部材を示すV−V線方向の断面図である。
【図5−3】ストッパ部材を示す左側面図である。
【図6】トーコレクトブッシュを車両のサスペンションの両アーム部材と車体側への組付け状態を概略的に示す平面図である。
【符号の説明】
【0027】
10…トーコレクトブッシュ、11…ブッシュ本体、12…内筒金具、14…外筒金具、15…外フランジ部、21…ゴム弾性体本体、22…ストッパゴム部、27…ストッパ部材、29…当接面、31…線状突起、32…溝部、33…凹凸、35…取付ブラケット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内筒金具と、該内筒金具を囲んで径方向外方に配置される外筒金具と、該内筒金具と外筒金具間を連結するゴム弾性体本体とを備えてなる防振ブッシュの前記内筒金具の軸方向端部側に、その中心孔にて挿嵌されるゴム弾性体製で環状のストッパ部材であって、該軸方向端部に固定される板状の取付ブラケットと前記外筒金具端部との間に圧縮状態で挟まれる防振ブッシュ用ストッパ部材において、
前記取付ブラケットに当接する当接面の周方向に離間した複数箇所にて中心孔と外周縁間に延設されて該当接面から凹んだ溝部と、周方向に隣り合った該溝部間にて該当接面から突出した複数の円弧形の線状突起とを設けたことを特徴とする防振ブッシュ用ストッパ部材。
【請求項2】
前記線状突起が、さらに径方向の複数箇所に互いに離間して配設されたことを特徴とする前記請求項1に記載の防振ブッシュ用ストッパ部材。
【請求項3】
低摩擦係数の自己潤滑ゴム材料により形成されたことを特徴とする前記請求項1又は2に記載の防振ブッシュ用ストッパ部材。
【請求項4】
前記当接面には微小な凹凸形状であるしぼ加工が施されていることを特徴とする前記請求項1から3のいずれか1項に記載の防振ブッシュ用ストッパ部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図5−3】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−46588(P2006−46588A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−231093(P2004−231093)
【出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】