説明

防振プロテクター

【課題】簡単な操作で配管等に取付けることができ、配管等の振動がボディパネルに伝達しないようにすることのできる防振プロテクター。
【解決手段】断面が円形の管状部材(2)に取付ける防振プロテクター(1)は、管状部材の外径に対応する内径の上面を有する基部(11)と、基部の軸方向の両側で、軸に対して反対側に離れた位置から、円周方向の反対方向に貫通孔(14)の周りを延びる一対の弾性固定片(12)とを備える。基部の半円筒形上面(23)と、一対の弾性固定片の内面とで、管状部材を保持する貫通孔(14)を形成する。一対の弾性固定片の間の挿入開口部(15)に管状部材(2)を挿入し、管状部材に対して防振プロテクターを回転させると、一対の弾性固定片が変形して、管状部材(2)は貫通孔(14)に入り、防振プロテクターは管状部材に取付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の燃料系等の配管、管状部材、その他の棒状部材に用いられる防振、干渉防止のためのプロテクターに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のエンジンルーム内などでは、自動車部品が密に配置されているので、自動車の燃料系等の配管は、ボディパネル等の他の部品に接近して配置されることとなる。そのため、配管がレイアウトの制約上ボディパネル等の周辺の部材に接触、干渉すると、配管と周辺の部材との接触部で、不快な音が発生、又は、振動がボディパネル等に伝わるという問題がある。また、配管が他の部品に直接接していなくても、配管の振動がクランプ等を通してボディパネルに伝わるという問題がある。
【0003】
そこで、このような問題を防止するため、配管の外周に、ゴムを押し出し成形した環状又は筒状のプロテクターを接着剤で接着することが行われている。しかし、接着剤での接着は作業性が悪く、乾燥に時間がかかる。又、接着剤が飛散し、作業者の目や皮膚に付着し、障害を越こす場合もある。
【0004】
特許文献1は、自動車の燃料系配管などの自動車部品と接触しやすい箇所に筒状のプロテクターが付けられた樹脂チューブを開示する。特許文献1は、樹脂チューブの外周面の所定箇所に一対の管状突起を形成し、プロテクターを樹脂チューブにかぶせ、一対の管状突起の間にプロテクターを位置決めする。
特許文献1は、プロテクターを管状突起で位置決めするので接着剤を使用しないが、特許文献1のプロテクターを樹脂チューブに嵌め込むには、プロテクターを樹脂チューブの端部からスライドさせて所定位置まで移動させる必要がある。
【0005】
特許文献2は、自動車のエンジンルームに配設されるホースが他の部材との干渉、接触による磨耗を防止するホース用プロテクターを開示する。特許文献2のプロテクターは、プロテクター本体の内周面に複数の突条を設け、突条の間のプロテクター内周面とホース外周面との間に隙間を形成し、接着剤溜りとする。
特許文献2のホース用プロテクターは、接着剤で接着するものであり、前述したように接着剤での接着は作業性が悪く乾燥に時間がかかるという問題がある。
【0006】
そのため、接着剤を使用せず簡単な作業で配管等に取付けることができ、配管等に取付けることにより、配管等がボディパネルに直接接触しないようにし、音、振動の発生を防止するプロテクターが望まれていた。
また、配管がボディパネルに直接接しない場合でも、配管等に発生した振動を減衰させ、ボディパネルに伝達しないようにするプロテクターが望まれていた。
また、隙間が狭い空間でも、配管等に容易に取りつけることのできるプロテクターが望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−233410号公報
【特許文献2】実開昭63−78794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、簡単な操作で配管等に取付けることができ、配管等がボディパネル等に直接接しないようにして不快な音の発生を防止し、配管等の振動がボディパネル等に伝達しないようにすることのできるプロテクターを提供することである。
本発明の目的は、配管等に発生した振動を減衰させ、ボディパネルに伝達しないようにするプロテクターを提供することである。
本発明の別の目的は、隙間が狭い空間でも、配管等に容易に取りつけることのできるプロテクターを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するため、管状部材の外径に対応する内径の上面を有する半円筒形の基部と、基部の軸方向の両端部から円周方向の反対方向に延びる一対の弾性固定片とを備える防振プロテクターが提供される。一対の弾性固定片の先端部は、斜面部となっている。基部の半円筒形上面と、一対の弾性固定片の内面とで、管状部材を保持する貫通孔を形成する。一対の弾性固定片の間の挿入開口部に管状部材を挿入し、管状部材に対して防振プロテクターを回転させると、一対の弾性固定片が変形して、管状部材は貫通孔に入り、一対の弾性固定片は元の形状に戻り、防振プロテクターは管状部材に取付けることができる。
【0010】
本発明の1態様は、管状部材に取付ける防振プロテクターであって、
前記管状部材の外形に適合する形状の上面を有する基部と、
前記基部の軸方向の両側で、軸に対して反対側に離れた位置から、互いに円周方向の反対方向に延び、前記管状部材の外形に適合する形状の内面を有する一対の弾性固定片と、を備え、
前記一対の弾性固定片は、軸方向に対向する一対の第1の端面を有し、前記一対の第1の端面により挿入開口部が形成され、前記挿入開口部に管状部材を挿入することができ、
前記基部の上面と、前記一対の弾性固定片の内面とで、前記管状部材を軸方向に保持する貫通孔を形成する防振プロテクターである。
【0011】
挿入開口部に管状部材を挿入することにより、防振プロテクターに管状部材を容易に挿入することができる。
基部の上面と、一対の弾性固定片の内面とにより形成される貫通孔に、管状部材を保持することにより、防振プロテクターを管状部材にしっかり取付けることができる。
前記基部の上面と前記弾性固定片の内面は断面が連続した円形であり、断面が円形の管状部材を収容できることが好ましい。
【0012】
前記一対の弾性固定片の先端部は、面取りした形状の斜面部となり、
前記基部の、軸に対して、前記一対の弾性固定片が延びる部分と反対側の部分は、面取りした形状の斜面部となり、前記一対の弾性固定片の前記斜面部と対向し、
前記一対の弾性固定片の前記斜面部と、前記基部の前記斜面部との間隔は、軸方向中央部から軸方向端部に向かって、次第に小さくなり、前記一対の第1の端面の間に挿入した前記管状部材に対して、前記防振プロテクターを回転すると、前記基部の前記斜面部と、前記弾性固定片の前記斜面部との間の前記間隔が広がって、前記防振プロテクターを回転することができ、
前記管状部材の軸が前記防振プロテクターの軸に一致するまで、前記防振プロテクターを回転すると、前記間隔はもとに戻って、前記基部の上面と前記弾性固定片の内面で前記管状部材を保持することが好ましい。
【0013】
防振プロテクターの挿入開口部に管状部材を挿入し、防振プロテクターを回転していくと、基部の斜面部と、弾性固定片の斜面部との間の間隔が広がって、管状部材を貫通孔に入れることができ、簡単に管状部材に防振プロテクターを取付けることができる。
【0014】
本発明の別の態様は、断面が円形の管状部材に取付けて前記管状部材の振動の振動を抑制する防振プロテクターであって、
前記管状部材の外径に対応する内径の上面を有する半円筒形の基部と、
前記基部の軸方向の両端部から円周方向の反対方向に延び、前記管状部材の外形に適合する形状の内面を有する一対の弾性固定片と、を備え、
前記一対の弾性固定片の先端部は、面取りした形状の斜面部となり、
前記基部の、軸に対して、前記一対の弾性固定片が延びる部分と反対側の部分は、面取りした形状の斜面部となり、前記一対の弾性固定片の前記斜面部と対向し、
前記一対の弾性固定片は、軸方向に対向する一対の第1の端面を有し、前記一対の第1の端面により挿入開口部が形成され、前記挿入開口部に管状部材を挿入することができ、
前記一対の弾性固定片の前記斜面部と、前記基部の前記斜面部との間隔は、軸方向中央部から軸方向端部に向かって、次第に小さくなり、前記一対の第1の端面の間に挿入した前記管状部材に対して、前記防振プロテクターを回転すると、前記基部の前記斜面部と、前記弾性固定片の前記斜面部との間の前記間隔が広がって、前記防振プロテクターを回転することができ、
前記管状部材の軸が前記防振プロテクターの軸に一致するまで、前記防振プロテクターを回転すると、前記間隔はもとに戻って、前記基部の上面と前記弾性固定片の内面で前記管状部材を保持する防振プロテクターである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、簡単な操作で配管等に取付けることができ、配管等がボディパネル等の周辺の部材に直接接しないようにして不快な音が発生せず、配管等の振動がボディパネル等の周辺の部材に伝達しないプロテクターを提供することができる。
また、配管等に発生した振動を減衰させ、ボディパネルに伝達しないようにするプロテクターを提供することができる。
また、隙間が狭い空間でも、配管等に容易に取りつけることのできるプロテクターを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の1実施形態による防振プロテクターを配管に取付けた状態を示す斜視図である。
【図2】図1の防振プロテクターの斜視図である。
【図3】図2の防振プロテクターの正面図である。
【図4】図2の防振プロテクターの左側面図である。
【図5】図2の防振プロテクターの上面図である。
【図6】図2の防振プロテクターの下面図である。
【図7】図2の防振プロテクターの右側面図である。
【図8】図2の防振プロテクターの後面図である。
【図9】図2の防振プロテクターの図5のA−A線に沿った断面図である。
【図10】図2の防振プロテクターを配管に取付ける工程を示す斜視図である。
【図11】図1の配管に取付けた防振プロテクターが周辺の部材に接触している状態を示す斜視図である。
【図12】図1の配管に取付けた防振プロテクターが周辺の部材のエッジ部に接触している状態を示す斜視図である。
【図13】図1の配管に取付けた防振プロテクターが周辺の部材の壁面に挟まれた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の1実施形態による防振プロテクター1について説明する。防振プロテクター1は、振動を減衰させる特性を有する軟質樹脂、又はゴムで一体成形される。図1は本発明の1実施形態による防振プロテクター1を配管2に取付けた状態を示す斜視図である。図1に示されるように、防振プロテクター1は、配管2の所定の箇所の周りに取付けられ、配管の振動がボディパネル等に伝わらないようにする。
【0018】
図2〜9を参照して、本発明の1実施形態による防振プロテクター1の形状について詳しく説明する。図2は、図1の防振プロテクターの斜視図、図3は正面図、図4は左側面図、図5は上面図、図6は下面図、図7は右側面図、図8は後面図である。図9は、防振プロテクター1の図5のA−A線に沿った断面図である。
【0019】
図2を参照する。説明の便宜のため、防振プロテクター1の軸方向にx軸、軸方向と直交する方向にy軸、図2の上方向にz軸を定める。防振プロテクター1は、全体としてC1を軸とする円筒形であり、ほぼ半円筒形状の基部11と、一対の弾性固定片12とを含む。基部11は、下面の外径D11、上面の内径D12の半円筒形である。一対の弾性固定片12は、外径D11、内径D12で、基部11と連続して形成されている。
【0020】
図6の下面図に示すように、基部11の下面の中央部には、ほぼ四角形の平面25と平面25の両側に段部28が形成されている。基部11の下面25は平面になっている。基部11の中央部上面24は、平面になっている。基部11の中央部上面24の軸方向両側の上面は、配管2の外径D2の外面に適合するように、軸C1を中心とする内径D12の半円筒形上面23となっている。
【0021】
一方の弾性固定片12が、基部11の軸方向の一方の側で、軸と直角方向(y方向)の一方の側から、軸C1を中心とする内径D12と外径D11で円周方向に延び、先端部は斜面部26となっている。他方の弾性固定片12が、基部11の軸方向の他方の側で、軸と直角方向(y方向)の他方の側から、一方の弾性固定片12と同じ内径D12と外径D11(軸C1を中心とする)で、一方の弾性固定片12と円周方向逆方向に延び、先端部は斜面部26となっている。斜面部26は、基部11の斜面部27に近接している。
基部11と弾性固定片12で形成する内周の内径D12は、収納する配管2の直径D2にほぼ等しく、配管2に適合するようになっている。弾性固定片12は、基部11に結合する部分を支点として弾性変形可能である。
【0022】
基部11の端部の半円筒形上面23と、基部11の端部から円周方向に延びる弾性固定片12の内面とにより、断面が円形で内径D12の貫通孔14が形成され、貫通孔14に外径D2の配管2を収容することができる。貫通孔14の内径D12は、配管2の外径D2にほぼ等しく、貫通孔14に配管2を保持することができるようになっている。
防振プロテクター1の軸C1方向に間隔をおいた一対の弾性固定片12は、軸方向に対向する一対の第1の端面21を有し、対向する第1の端面21の間に挿入開口部15が形成される。挿入開口部15の幅15Wは、配管2の直径D2より大きくてもよく、又は直径D2より少し小さくして挿入開口部15に配管2を押し込むようにしてもよい。配管2の軸C2を防振プロテクター1の軸C1と直交させた状態で、2つの弾性固定片12の間の挿入開口部15に、配管2を挿入することができるようになっている。
一対の弾性固定片12の第1の端面21と反対側の端面は、一対の第2の端面22となっていて、一対の第2の端面22が外面を形成する。
【0023】
図4の左側面図、図7の右側面図に示すように、一対の弾性固定片12の軸方向に対抗する第1の端面21では、半径方向内側で、基部11の上端部と弾性固定片12の先端部とは、狭い距離21dだけ離れている。半径方向外側では、基部11の上端部と弾性固定片12の先端部とは、距離21dより広い距離21eだけ離れている。
【0024】
図3の正面図、図8の後面図に示すように、弾性固定片12の軸方向外側の第2の端面22では、基部11の上端部と弾性固定片12の先端部とは、半径方向内側で距離22dとなり、半径方向外側では、距離22dより少し広い距離22eとなっている。
半径方向外側では、基部11の上端部と弾性固定片12の先端部との距離は、防振プロテクター1の軸方向に沿って、端部へ行くにしたがって、21eから22eまで次第に小さくなる。
半径方向内側では、基部11の上端部と弾性固定片12の先端部との距離は、防振プロテクター1の軸方向に沿って、21dから22dまでほぼ一定である。
弾性固定片12の先端部の第1の端面21側は面取りした形状の斜面部26となっている。弾性固定片12の先端部と向き合う基部11の上端部は、斜面部27となっている。
【0025】
このように、基部11の上端部と弾性固定片12の先端部との距離は、一対の弾性固定片12の対向する第1の端面21では、半径方向内側から外側に向かって広がる。弾性固定片12の軸方向外側の第2の端面22では、半径方向内側から外側に向かって少し広がっている。
このような形状としたのは、防振プロテクター1の一対の弾性固定片12の間に配管2を挿入し、防振プロテクター1を回転させて、配管2に防振プロテクター1を取付けるとき、配管2の外面が、弾性固定片12の斜面部26、基部11の斜面部27に当接し、一対の弾性固定片12が変形し、基部11も変形し、貫通孔14にスムーズに導入するためである。そのため、距離21eは、配管2の直径D2とほぼ等しくし、防振プロテクター1を回転させるにつれて、弾性固定片12が次第に撓んで開いていくことが好ましい。
また、防振プロテクター1を配管2に取付けた後、外れにくくするためには、半径方向内側の距離21d、22dは、小さいことが好ましい。
【0026】
次に、図10を参照して、配管2に防振プロテクター1を取付ける方法について説明する。図10(a)に示すように、配管2の軸C2に対して、防振プロテクター1の軸C1が直交する方向、即ち配管2の軸C2が弾性固定片12の一対の第1の端面21と平行な方向(y方向)に、防振プロテクター1を向ける。配管2の1対の弾性固定片12の間に配管2が入るようにして、配管2に対して防振プロテクター1を上方向(矢印A)に押し付ける。
図10(b)に示すように、配管2は防振プロテクター1の一対の弾性固定片12の対向する第1の端面21の間の挿入開口部15に入り、配管2が、基部11の半円筒形状上面23に当接して停止する。図10(b)の段階では、防振プロテクター1の軸C1の方向は、図10(a)と同じx方向で、配管2の軸C2と直交している。
【0027】
次に、防振プロテクター1を矢印Bで示す方向に回転していく。配管2は、弾性固定片12の斜面部26と基部11の斜面部27とを押し広げながら、回転していく。第2の端面22の基部11の上面と弾性固定片12の先端部が、配管2の最大径部分を乗り越えると、第2の端面22の基部11の上面と弾性固定片12の先端部とは、元の形状に戻っていく。
図10(c)に示すように、防振プロテクター1の軸C1が、配管2の軸C2と一致するまで防振プロテクター1を回転すると、配管2は、防振プロテクター1の貫通孔14に入り、取り付けが完了する。
この状態では、防振プロテクター1の基部11の上面と弾性固定片12の先端部との間隔は元に戻っている。配管2の直径と比較して、距離22dは非常に小さいので、防振プロテクター1は配管2にしっかりと固定され、振動等で自然に外れることはない。
【0028】
防振プロテクター1を取り外す場合は、図10(c)の状態から、防振プロテクター1を図10(b)の矢印Bと反対方向に回転させて、防振プロテクター1の基部11の上面と弾性固定片12の先端部を押し広げるようにする。配管2の軸C2に対して、防振プロテクター1の軸C1が直交するまで、防振プロテクター1を回転させる。こうすると、配管2は一対の弾性固定片12の対向する第1の端面21の間の挿入開口部15に入る。10(b)の状態から、配管2に対して、防振プロテクター1を下方へ移動させると、防振プロテクター1は、挿入開口部15を抜け出て、取り外すことができる。
【0029】
本発明の実施形態による防振プロテクター1は、配管2がボディパネルに接触している場合、周辺部材のエッジ部に接触している場合、狭い間隔に配管2を配置する場合等、色々の場所に取り付けることができる。図11〜13を参照して、配管2に防振プロテクター1を取付けた例を説明する。
図11は、配管2に取付けた防振プロテクター1がボディパネル3に近接している状態を示す斜視図である。ボディパネル3その他の周辺部材との間の間隔が狭い場合、配管2が振動し、ボディパネル3に接触、干渉して不快な音を発生、又は振動を伝達する恐れがある。このような場合、配管2に防振プロテクター1を取付けてあると、防振プロテクター1がボディパネル3に接触するので、不快な音の発生又は振動の伝達を抑制することができる。
また、配管2がボディパネル3に直接接触しない場合でも、配管2の振動が、締結具を通して、ボディパネル3等に伝達する恐れがある。この場合でも、ゴム又は軟質樹脂等の振動減衰特性を有する材料で形成された防振プロテクター1により、振動の伝達を抑制することができる。
【0030】
図12は、配管2に取付けた防振プロテクター1が周辺部材のエッジ部7に接触している状態を示す斜視図である。周辺部材のエッジ部7により配管2が損傷を受ける恐れがある場合は、防振プロテクター1により、配管2がエッジ部7により損傷を受けないように保護することができる。
【0031】
図13は、配管2に取付けた防振プロテクター1がボディパネル等の周辺部材の壁面8に挟まれた状態を示す斜視図である。狭い間隔の空間に配管2を配置する場合、防振プロテクター1により、配管2がボディパネル等の周辺部材の壁面8に直接接触、干渉するのを防ぎ、不快な音の発生またはボディパネルに振動が伝達されるのを防止することができる。また、防振プロテクター1により配管2と壁面8との間が一定の間隔になるように保持することができる。
【0032】
本実施形態では、防振プロテクター1はほぼ円筒形である。配管2のサイズが異なる場合は、取付ける配管のサイズに適合した内径と外径の防振プロテクターを使用することができる。防振プロテクターは、配管2以外に、管状部材、断面が円形の棒状部材に使用することができる。
本実施形態では、防振プロテクター1の外形は断面円形としたが、外形は円形である必要はなく、四角形、多角形、楕円形等さまざまな形状とすることができる。
また、配管2と接する防振プロテクター1の内形は断面円形とした。配管2等保持する部材の断面形状が円形でなく四角形、多角形、楕円形等の場合は、内側の形状は保持する部材の断面形状に合わせて、四角形、多角形、楕円形等さまざまな形状とすることができる。
【0033】
本発明の実施形態によれば、配管等がボディパネルに直接接しないようにし、配管等の振動がボディパネルに伝達しないプロテクターを提供することができる。
また、配管等に発生した振動を減衰させ、ボディパネルに伝達しないようにするプロテクターを提供することができる。
更に、簡単な操作で配管等に取付けることができプロテクターを提供することができる。
また、隙間が狭い空間でも、配管等に容易に取りつけることのできるプロテクターを提供することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 防振プロテクター
2 配管
3 ボディパネル
7 エッジ部
8 壁面
11 基部
12 弾性固定片
14 貫通孔
15 挿入開口部
21 第1の端面
22 第2の端面
23 半円筒形上面
24 中央部上面
25 下面
26 斜面部
27 斜面部
28 段部
C1 防振プロテクターの軸
C2 配管の軸
D2 配管2の直径
D11 防振プロテクターの外径(基部の外径、弾性固定片の外径)
D12 貫通孔の内径(基部の内径、弾性固定片の内径)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状部材に取付ける防振プロテクターであって、
前記管状部材の外形に適合する形状の上面を有する基部と、
前記基部の軸方向の両側で、軸に対して反対側に離れた位置から、互いに円周方向の反対方向に延び、前記管状部材の外形に適合する形状の内面を有する一対の弾性固定片と、を備え、
前記一対の弾性固定片は、軸方向に対向する一対の第1の端面を有し、前記一対の第1の端面により挿入開口部が形成され、前記挿入開口部に管状部材を挿入することができ、
前記基部の上面と、前記一対の弾性固定片の内面とで、前記管状部材を軸方向に保持する貫通孔を形成することを特徴とする防振プロテクター。
【請求項2】
請求項1に記載の防振プロテクターであって、
前記基部の上面と前記弾性固定片の内面は断面が連続した円形であり、断面が円形の管状部材を収容できることを特徴とする防振プロテクター。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の防振プロテクターであって、
前記一対の弾性固定片の先端部は、面取りした形状の斜面部となり、
前記基部の、軸に対して、前記一対の弾性固定片が延びる部分と反対側の部分は、面取りした形状の斜面部となり、前記一対の弾性固定片の前記斜面部と対向し、
前記一対の弾性固定片の前記斜面部と、前記基部の前記斜面部との間隔は、軸方向中央部から軸方向端部に向かって、次第に小さくなり、前記一対の第1の端面の間に挿入した前記管状部材に対して、前記防振プロテクターを回転すると、前記基部の前記斜面部と、前記弾性固定片の前記斜面部との間の前記間隔が広がって、前記防振プロテクターを回転することができ、
前記管状部材の軸が前記防振プロテクターの軸に一致するまで、前記防振プロテクターを回転すると、前記間隔はもとに戻って、前記基部の上面と前記弾性固定片の内面で前記管状部材を保持することを特徴とする防振プロテクター。
【請求項4】
断面が円形の管状部材に取付けて前記管状部材の振動を抑制する防振プロテクターであって、
前記管状部材の外径に対応する内径の上面を有する半円筒形の基部と、
前記基部の軸方向の両端部から円周方向の反対方向に延び、前記管状部材の外形に適合する形状の内面を有する一対の弾性固定片と、を備え、
前記一対の弾性固定片の先端部は、面取りした形状の斜面部となり、
前記基部の、軸に対して、前記一対の弾性固定片が延びる部分と反対側の部分は、面取りした形状の斜面部となり、前記一対の弾性固定片の前記斜面部と対向し、
前記一対の弾性固定片は、軸方向に対向する一対の第1の端面を有し、前記一対の第1の端面により挿入開口部が形成され、前記挿入開口部に管状部材を挿入することができ、
前記一対の弾性固定片の前記斜面部と、前記基部の前記斜面部との間隔は、軸方向中央部から軸方向端部に向かって、次第に小さくなり、前記一対の第1の端面の間に挿入した前記管状部材に対して、前記防振プロテクターを回転すると、前記基部の前記斜面部と、前記弾性固定片の前記斜面部との間の前記間隔が広がって、前記防振プロテクターを回転することができ、
前記管状部材の軸が前記防振プロテクターの軸に一致するまで、前記防振プロテクターを回転すると、前記間隔はもとに戻って、前記基部の上面と前記弾性固定片の内面で前記管状部材を保持することを特徴とする防振プロテクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−225476(P2012−225476A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95776(P2011−95776)
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【出願人】(390025243)ポップリベット・ファスナー株式会社 (159)
【Fターム(参考)】