説明

防振継手

【課題】真空チャンバのような減圧容器と真空ポンプのように加振源となる機器との間に介設される防振継手1として、従来一般的なものを2つ繋げた場合のように設置スペースの増大やコストの上昇を招くことなく、これに匹敵する性能のものを提供する。
【解決手段】単一の金属ベローズ10を用いながら、その中間部の外周に連結リング6を介して錘5を連結し、中間マスを構成することによって、あたかも2つの防振継手を繋いだかのように完全な二重防振構造とする。金属ベローズ10の外周を取り囲むゴム弾性体4は筒軸Z方向の中央で2つに分割し、この2つの部材40,40間に連結リング6を挟み込む。ゴム弾性体4の外周に全周に亘って凹部4bを形成し、ここに錘5の内周凸部5aを嵌め込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば精密機器等の防振対象物が収容される減圧容器の配管経路に設けられ、気密性を保ちつつ振動の伝達を抑制する防振継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば半導体関連の製造装置や試験装置、或いは電子顕微鏡のような精密機器を真空チャンバのような高度の減圧環境下で使用することがあり、その場合に加振源となる真空ポンプからの振動の伝達を抑えるために、該真空ポンプと真空チャンバとの間の配管経路に金属ベローズを備えた防振継手を設けることが行われている。
【0003】
一例として特許文献1に記載された防振継手(振動緩衝器)は、金属ベローズ(ばね弾性体)の外周をゴムや樹脂材からなる環状の緩衝器被覆部材が取り囲んでいるため、真空ポンプの作動により金属ベローズ内が負圧になっても、それが弾性限度を超えて収縮することがない。そして、この文献の防振継手では、金属ベローズの一方の端面を直接的に真空ポンプのケーシングに結合することによって、寸法を小さくしている。
【0004】
また、前記のような防振継手を2つ直列に繋げて用いることも従来より行われている(特許文献2の段落0006や図面の図2を参照)。こうすると、2つの防振継手を併せたばね定数が小さくなるとともに、2つの防振継手の間で重ね合わされるフランジが中間マスとなって二重防振の効果が得られ、振動の吸収性能が高まることが知られている。
【0005】
但し、そうして2つの防振継手を用いる場合は比較的大きな設置スペースが必要になり、また、当然にコストが高くなってしまう。そこで、前記特許文献2の発明では、防振継手において特に高コストな金属ベローズは単一のものとしながら、これを取り囲む振動吸収部として2つのゴム筒の間に鉄などの質量部を挟み込んだ構造を採用している。
【0006】
一方、特許文献3の防振継手(除振装置)は金属ベローズ(波形ベローズ)の外周から離間するように慣性部材を配置し、この慣性部材をベローズの両端のフランジにそれぞれ弾性支持部材によって取り付けている。こうすると慣性部材の振動と金属ベローズの振動とが相殺され、系全体の振動を低減させることができると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2003−519761号公報
【特許文献2】特開2002−295581号公報
【特許文献3】特開2005−030423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、前記の後者の従来例(特許文献2、3)に開示される防振継手では、金属ベローズの外周に離間する質量部(慣性部材)がゴム筒(弾性体)等によってフランジに連結されて、いわば減圧容器及び機器の間に金属ベローズと並列にダイナミックダンパを構成したものと考えられる。そして、一般にダイナミックダンパは比較的狭い周波数域でしか高い効果を期待できない。
【0009】
すなわち、それらは前者の従来例のように一般的な防振継手を2つ直列に繋げたものとは異なり、金属ベローズについては二重防振になっていないため、振動吸収性能に劣るものであった。
【0010】
斯かる点に鑑みて本発明の目的は、防振継手を2つ繋げた場合のように設置スペースの増大やコストの上昇を招くことなく、これに匹敵する性能が得られる防振装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の目的を達成するために、本発明に係る防振装置では、単一の金属ベローズを用いながら、その中間の部位をマス部材と連結することによって、あたかも2つの防振継手を繋いだかのように完全な二重防振となる構造としたものである。
【0012】
具体的に請求項1に係る発明は、防振対象物の収容される減圧容器と加振源となる機器との間の配管経路に設けられて、振動の伝達を抑制する防振継手であって、その配管経路の少なくとも一部を構成し、両端のフランジがそれぞれ前記減圧容器側及び機器側に接続される金属ベローズと、この金属ベローズの外周を囲むようにその両端のフランジ間に設けられた筒状の弾性体と、を備えるものを対象とする。
【0013】
そして、前記弾性体を前記減圧容器側及び機器側に分割し、その中間位置にマス部材を配設するとともに、このマス部材の内周部を前記金属ベローズの外周部に接続する構造とした。
【0014】
前記の構成では、まず、防振対象物の収容される減圧容器と例えば真空ポンプのような機器との間の配管経路に金属ベローズを有する防振継手が設けられていて、その機器の発生する振動の吸収が図られている。また、その金属ベローズの外周を囲むように両端のフランジ間に筒状の弾性体が設けられており、金属ベローズ内が減圧されて両端のフランジ間に収縮力が発生しても、それらの間隔が適度に維持されるようになる。
【0015】
さらに、その弾性体が減圧容器側及び機器側に分割されていて、それらの中間に配設されたマス部材が金属ベローズの外周部に接続されているので、この金属ベローズ自体は1つであっても、あたかも2つの防振継手を繋いだかのような完全な二重防振構造になって、高い振動吸収性能が得られる。しかも、高コストな金属ベローズ自体は1つしかなく、コストの上昇や設置スペースの増大は抑制される。
【0016】
好ましくは前記マス部材を、弾性体の分割部位を含む外周面を押圧するよう、その外方から嵌め合わされる環状の本体部材と、これよりも薄肉に形成されて前記弾性体の減圧容器側及び機器側の部材間に挟まれる連結部材とにより構成し、この連結部材によって前記の本体部材を金属ベローズと連結することである。こうすれば、マス部材の質量を十分に確保しながら設置スペースの増大を最小限に抑制できる。
【0017】
その場合に、連結部材の内周部は金属ベローズの外周のひだに嵌め込む構造とすれば、構造が簡単で組み付けもしやすい(請求項2)。また、マス部材の本体部材は2つの半割部材を突き合わせて締結するものとし、この締結力によって当該本体部材の内周面を前記連結部材の外周面に押圧するようにする(請求項3)。こうすれば、締結力によって大きな摩擦力が得られ、これにより連結部材と本体部材とをしっかりと接続できる。
【0018】
より具体的に前記弾性体は、減圧容器側及び機器側のそれぞれの端部から筒軸方向の中央に向かって徐々に外径の拡大する鼓状とし、その最大外径の部位において全周に亘るように凹部を開口させる。一方、前記マス部材の本体部材の内周には全周に亘って凸部を形成し、この凸部を前記弾性体外周の凹部に嵌め込むようにする(請求項4)。こうすればマス部材の本体部材と弾性体とが一体化されて、その動作が安定する。
【0019】
その場合に弾性体は、その外周の凹部内において減圧容器側及び機器側に分割し、この凹部の底面と略同一面上に前記マス部材の連結部材の外周面を位置づけて、当該マス部材の本体部材内周の凸部の内周面と当接させることが好ましい(請求項5)。
【0020】
さらに、前記金属ベローズの外周に未加硫の例えばブチルゴム等のシートを巻き付ければ、金属ベローズのサージングを効果的に減衰させることができる(請求項6)。
【発明の効果】
【0021】
以上のように本発明に係る防振継手によると、減圧容器と加振源との間の配管経路に金属ベローズを介設するとともに、その外周を取り囲む筒状の弾性体を設ける場合に、その弾性体を減圧容器側と機器側とに分割して中間位置にマス部材を配設し、このマス部材の内周部を金属ベローズの外周部に接続することで、あたかも2つの防振継手を繋いだかのような二重防振構造となって、設置スペースの増大やコストの上昇を抑制しながら、高い振動吸収性能が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態に係る防振継手の構造を示す縦断面図である。
【図2】同防振継手の外観を示す斜視図である。
【図3】同防振継手の構造を示す分解斜視図である。
【図4】同防振継手による振動伝達の抑制効果を示すシミュレーションのモデルの説明図(a)〜(c)及びグラフ図(d)である。
【図5】同防振継手による振動伝達率の計測結果を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0024】
図1、2には本発明の実施形態に係る防振継手1を示し、これは、図外の真空チャンバ(減圧容器)と真空ポンプ(加振源となる機器であり、例えばターボ分子ポンプが挙げられる)との間の配管経路に介設されて、真空ポンプからの振動の伝達を抑制するために用いられる。図の例では真空チャンバの床部2に下方から防振継手1を取り付けて、その下端に真空ポンプのケーシング3を取り付ける。
【0025】
すなわち防振継手1は、図3にも示すように、上下にそれぞれ円環状のフランジ11,11が設けられた金属ベローズ10と、その外周を取り囲むよう、両端のフランジ11,11間に設けられた筒状のゴム弾性体4と、を備えている。金属ベローズ10は、例えばステンレス製のパイプを波打つように蛇腹状に成型加工したもので、表面を高度に洗浄することによって異物の放出が殆どなくなり、その内部が高真空まで減圧されてもアウトガスの問題を生じない。
【0026】
そうして成型された金属ベローズ10の上下両端のフランジ11,11は、それぞれ、図示省略の取付具によって真空チャンバの床部2と真空ポンプのケーシング3とに取り付けられる。金属ベローズ10内の通路は、上フランジ11の丸穴を介して真空チャンバ内に連通される一方、下フランジ11の丸穴を介して真空ポンプのケーシング3内に連通されており、真空ポンプが作動すれば金属ベローズ10を介して真空チャンバの内部から空気が排出され、所要の真空度まで減圧されるようになる。
【0027】
また、上下のフランジ11,11にはそれぞれ、図1に示すようにV字状に折り曲げられた金具12,12が取り付けられている。このV字金具12は、フランジ11の丸穴を二分するように架け渡されていて、その両端から中央に向かい徐々に筒軸Z方向の内方に突出している。一対のV字金具12,12同士は筒軸Zの周りに相互に約90°回動した位置関係とされ、互いの中央部付近で係合している。
【0028】
この例では真空ポンプは、防振継手1によって真空チャンバの床部2に吊り下げられており、普段は前記V字金具12,12同士の係合によって真空ポンプの重量が支えられている。一方、真空ポンプが作動すれば金属ベローズ10内が減圧されて、その上下のフランジ11,11間に強い収縮力が作用するようになり、この収縮力によって真空ポンプが持ち上げられることから、V字金具12,12同士の係合は解除される。
【0029】
そうして金属ベローズ10の上下に収縮力が作用するようになると、今度はその周囲を取り囲むゴム弾性体4が上下のフランジ11,11間で突張って、互いに近づこうとする上下フランジ11,11の間隔を適値に維持するようになる。このゴム弾性体4は例えばシリコーンゴムを主材料として、全体としては筒軸Z方向の両端(図の上下端)から中央に向かい徐々に外径の拡大する鼓状とされ、その最大外径の部位に外側から円環状の錘5が嵌め合わされている。
【0030】
図3にのみ示すが、ゴム弾性体4には筒軸Z方向の両端部間に亘る切り込み4aが形成されており、この切り込み4aを拡げて金属ベローズ10に外側から嵌め合わせるようになっている。また、図の例ではゴム弾性体4は、筒軸Z方向の中央部位、即ち鼓状に拡大した外径の最も大きな部位において上下に2等分され、それぞれ、円錐台の中央をくり抜いたようなドーナツ状の2つの部材40,40によって構成されている。
【0031】
それら2つのドーナツ状部材40,40の間には、図の例では鉄製の半円状部材60,60(図3を参照)を組み合わせてなる連結リング6が配設されている。この連結リング6は、金属ベローズ10の略中央部分と錘5とを連結して、この錘5と共に中間マス(マス部材)を構成する。すなわち、図の例では半円状部材60の内周側には相対的に薄肉の鍔部60aが形成され、これが金属ベローズ10の外周のひだに嵌め込まれる。
【0032】
一方、連結リング6の外周面は、ゴム弾性体4の外周に開口する環状の凹部4b内において錘5の内周面と接合されている。すなわち、図の例ではゴム弾性体4の外径が最大になる部位において全周に亘って開口するように断面コ字状の凹部4bが形成され、この凹部4b内においてゴム弾性体4が前記2つの部材40,40に分割されているとともに、その凹部4bの底面と前記連結リング6の外周面とが略同一面となっている。
【0033】
そして、その凹部4bに対応するように錘5の内周側に形成された環状の凸部5aが、ゴム弾性体4の凹部4bに嵌め込まれて、この凹部4bの底面に臨む連結リング6の外周面に前記凸部5aの内周面が接合される。この実施形態では錘5は、図3に示すように半割状とされた2つの鋼製の部材50,50を突き合わせて、ボルト51により締結したものであり、この錘5の内周面に対して連結リング6の外周面は僅かに大径とされている。
【0034】
そのため、前記のように半割部材50,50を突き合わせて締結すると、この締結力によって錘5の内周面、即ちその内周凸部5aの内周面が連結リング6の外周面にしっかりと押し付けられて、両者間に十分に大きな摩擦力が作用するようになり、これにより錘5と連結金具6とが一体となって中間マスを構成するものである。
【0035】
尚、図1にのみ示すが、この実施形態では金属ベローズ10の外周に未加硫のゴムシート41を巻き付けた上で、前記のようにゴム弾性体4を外嵌めしており、このゴムシート41によって金属ベローズ10のサージングを効果的に減衰させることができる。
【0036】
したがって、この実施形態に係る防振継手1を真空チャンバと真空ポンプとの間に介設すれば、金属ベローズ10やゴム弾性体4の弾性変形によって真空ポンプの振動を吸収し減衰させて、真空チャンバへの伝達を抑制することができる。また、金属ベローズ10内が減圧されて上下の収縮力が発生しても、その外周を取り囲むゴム弾性体4によって上下のフランジ11,11の間隔を適切に保つことができる。
【0037】
そして、そのゴム弾性体4が筒軸Zの方向に分割され、そこに挟まれた連結リング6と錘5とによって一体的に中間マスが構成されている。よって、金属ベローズ10自体は1つであっても、あたかも2つの防振継手を繋いだかのような完全な二重防振構造になっており、これにより真空ポンプから真空チャンバへの振動の伝達を十分に抑制することができる。
【0038】
図4は、この実施形態の防振継手1による振動伝達の抑制効果を示すシミュレーションの説明図であり、同図(a)は従来一般的な防振継手(金属ベローズの周りにゴム弾性体を配設して、外側から金属ベルトで締め付けたもの)に係る振動系のモデルである。また、同図(b)は、そうした一般的な防振継手を2つ繋げた場合のモデルであり、同図(c)は前記した実施形態のモデルである。各図においてMpは、真空ポンプを含めた主マスの質量を表し、Maは中間マスを、また、K、2K(2×K)はそれぞればね定数を表している。
【0039】
そして、同図(d)に実線のグラフで示すように実施形態の防振継手(c)によると、ばね定数が2倍(2K)の2つのばねが直列に繋がれていることから、全体としては従来一般的なもの(a)と略同じになり、低周波側の主たる共振点の現れる周波数は(a)と同じになっている。そして、中間マスの共振による高周波側の共振点が100Hz付近に現れ、そこから高周波側に向けては振動伝達率の低下が相対的に急になる。
【0040】
その結果、図の例では概ね300Hz以上の相対的に高周波の領域において実施形態のもの(c)は、従来型の防振継手を2つ繋げた場合(b)と同等の振動吸収性能を示している。ここで、真空ポンプの中でも精密なターボ分子ポンプの振動は概ね500Hz以上の高周波域において問題となるから、前記のように300Hz以上の領域で高い振動吸収性能が得られれば十分と言える。
【0041】
尚、図示のグラフcは、中間マスの質量Maが大きいほど100Hz付近での共振の山が低高くるものの、その後、速やかに仮想線のグラフbに近づくようになり、反対に中間マスの質量Maが小さくなるに連れて破線のグラフaに近づくようになる。よって、前記のような効果を確保しようとすれば、中間マスの質量Maを主マスの質量Mpの5%以上とするのが好ましく、少なくとも2%以上とすべきである。
【0042】
図5のグラフには、試作した防振継手を用いて実際に振動伝達率を計測した結果を示しており、この図において実施形態の防振継手1に対応する実線のグラフと、従来一般的なものに対応する破線のグラフとは、両者共に前記図4のシミュレーション結果とよく一致している。同図によれば概ね200Hz以上の領域で実線のグラフの振動伝達率が低くなっており、高周波側では破線のものに比べて優れた振動吸収性能の得られることが分かる。尚、高周波になるに従って顕著になる波形の乱れは測定環境のノイズによる。
【0043】
そうして従来一般的な防振継手を2つ繋げたものと同等の振動吸収性能が得られるにも拘わらず、この実施形態に係る防振継手1はその概ね半分の長さで済み、省スペース性は高い。特に前記実施形態では、マス部材をその本体部材である錘5と連結リング6とに分けており、連結リング6は所要の剛性を確保できる範囲で薄く作れば、省スペース化に有利である。
【0044】
また、防振継手を2つ繋げるのとは異なり、高コストな金属ベローズ10は1つで済むから、コストの上昇も非常に少ない。特に前記の実施形態では、金属ベローズ10の上下のフランジ11,11も弾性体4の構成部材40,40も、また、V字金具12,12も全て上下で共通のものとしており、このこともコストの低減に寄与する。
【0045】
但し、本発明に係る防振継手の構造は、上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば前記のようにマス部材を錘5(本体部材)と連結リング6とに分けることは必ずしも必要ではない。しかし、マス部材は錘5と連結リング6とに分けた方が組み付けもしやすい。
【0046】
また、錘5や連結リング6を半割り構造とする必要もないし、ゴム弾性体4の形状についても前記実施形態とは異なるものであってもよい。さらに、減圧容器と機器との間の防振継手1のレイアウトも前記実施形態のものに限定されず、例えば防振継手1を金属ベローズ10の筒軸Zが倒れるように横向きに配置してもよいし、防振継手1以外にも配管を構成する部材を設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上の如く本発明に係る防振継手は、あたかも2つの防振継手を繋いだかのような二重防振構造による高い振動吸収性能を省スペースかつ低コストで得られるものなので、産業上の利用可能性は高い。
【符号の説明】
【0048】
1 防振継手
2 真空チャンバの床(減圧容器側)
3 真空ポンプのケーシング(加振源となる機器側)
4 ゴム弾性体(筒状の弾性体)
4b 環状の凹部
41 ゴムシート
5 錘(マス部材の本体部材)
5a 環状の凸部
50 半割部材
6 連結リング(マス部材の連結部材)
10 金属ベローズ
11 フランジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
防振対象物の収容される減圧容器と加振源となる機器との間の配管経路に設けられて、振動の伝達を抑制する防振継手であって、
前記配管経路の少なくとも一部を構成し、両端にそれぞれ前記減圧容器側及び機器側に接続されるフランジが設けられた金属ベローズと、
前記金属ベローズの外周を囲むようにその両端のフランジ間に設けられた筒状の弾性体と、を備え、
前記弾性体が前記減圧容器側及び機器側に分割されていて、その中間位置に配設されたマス部材の内周部が前記金属ベローズの外周部に接続されている、ことを特徴とする防振継手。
【請求項2】
前記マス部材は、
前記弾性体の分割部位を含む外周面を押圧するよう、当該弾性体に外方から嵌め合わされた環状の本体部材と、
前記弾性体の減圧容器側及び機器側の部材間に挟まれていて、内周部が前記金属ベローズの外周のひだに嵌め込まれる一方、外周部が前記本体部材の内周部と接続されて、この本体部材を金属ベローズと連結する連結部材と、
を備えている請求項1の防振継手。
【請求項3】
前記マス部材の本体部材は2つの半割部材を突き合わせて締結してなり、この締結力によってその内周面が前記連結部材の外周面に押圧されている、請求項2の防振継手。
【請求項4】
前記弾性体は、前記減圧容器側及び機器側のそれぞれの端部から筒軸方向の中央に向かって徐々に外径の拡大する鼓状とされ、その最大外径の部位において全周に亘るように凹部が開口しており、
前記マス部材の本体部材の内周には、前記弾性体外周の凹部に嵌め込まれるように全周に亘って凸部が形成されている、請求項3の防振継手。
【請求項5】
前記弾性体は、その外周の凹部内において減圧容器側及び機器側に分割され、この凹部の底面と略同一面上に前記マス部材の連結部材の外周面が位置して、その本体部材内周の凸部の内周面と当接している、請求項4の防振継手。
【請求項6】
前記金属ベローズの外周には未加硫のゴムシートが巻き付けられている、請求項1〜5のいずれか1つに記載の防振継手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−12777(P2011−12777A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−158451(P2009−158451)
【出願日】平成21年7月3日(2009.7.3)
【出願人】(000201869)倉敷化工株式会社 (282)
【Fターム(参考)】