説明

防曇性樹脂シート

【課題】一方の面に防曇剤層が形成された防曇性樹脂シートにおいて、ロール状に捲き取った捲回物を捲き戻して成形に供する際の防曇剤層と離型剤層等の他方の面との間の転写、及び捲回物の保管時における防曇剤層の防曇剤と離型剤層の離型剤との混合を抑制しうる防曇性樹脂シート、透明性が良好であり、防曇剤に起因するベタツキが抑制された防曇性樹脂シート、高温食品、低温食品などの内容物の温度に関わらず良好な防曇性を発揮しうる防曇性樹脂シートを提供する。
【解決手段】樹脂シートの少なくとも一方の面に、(A)界面活性剤、(B)ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、及び(C)親水性アクリル系共重合体の各成分を含有する防曇剤層を有する防曇性樹脂シートであって、該防曇剤層が、(A)成分と(B)成分の合計量に対して、(A)成分を90〜50質量%、(B)成分を10〜50質量%含有し、且つ、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計量に対して、(A)成分と(B)成分とを合計で95〜50質量%含有し、(C)成分を5〜50質量%含有する防曇性樹脂シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防曇性樹脂シートに関し、特に、食品包装用透明容器等に好適に用いられる防曇性樹脂シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、透明樹脂シートを熱成形することにより、弁当等の各種食品のワンウェイの食品包装用透明容器の容器本体や蓋体を製造することは広く行われている。また、市場の拡大や消費者のニーズの多様化に伴い、食品包装用容器としての要求性能も高まっており、とりわけ水分を含む内容物を包装し冷蔵保存した場合の容器内面での結露に対する低温防曇性、及び高温の内容物を包装した場合の容器内面での水蒸気の凝縮に対する高温防曇性等の向上が強く望まれている。これらの食品包装用容器に用いられる透明樹脂シートに防曇性を賦与するために、従来より、透明樹脂シートの一方の面に防曇剤水溶液を塗布し乾燥させて防曇剤層を形成することが行われているが、その防曇剤層が形成された樹脂シートは、ロール状に捲き取った捲回物として製品とされ、それを捲き戻しながら熱成形に供されるものであることから、塗布後の乾燥が十分であっても、ロール状捲回物として保管後、捲き戻す際に防曇剤層が他方の面に剥ぎ取られ(以降、これらの剥ぎ取られる現象を「転写」と言う。)、防曇性の低下を引き起こしていた。更に、成形時の金型からの離型性や成形体同士の剥離性等の賦与のために、透明樹脂シートの他方の面にシリコーンオイルのエマルジョン等を塗布し乾燥させて離型剤層を形成することも行われているが、その場合には、 ロール状捲回物として保管時に防曇剤層と離型剤層が混じり合って、 透明シートを白化させてシート外観を悪化させるばかりか、捲き戻す時に防曇剤層の転写と共に離型剤層の転写も起こして防曇性の更なる低下を引き起こし、それが、ロール状捲回物としての保管期間の長期化と共に益々顕著になるという問題があった。
【0003】
従来、この様な転写の抑制方法、或いは防曇性の維持方法として、界面活性剤及び高分子化合物からなる防曇剤層を設ける方法が多数提案され、例えば、特許文献1には、多価アルコール型非イオン性界面活性剤とポリエチレングリコール型非イオン性界面活性剤の混合物により表面が被覆されてなる防曇性樹脂シートが開示されている。また、特許文献2には、界面活性剤、親水性アクリル系共重合体及びオキシエチレン骨格からなる重合体の各成分を含有する防曇剤層が形成されている防曇性樹脂シートが開示されている。
更に、特許文献3には、脂肪酸アミドとポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体とを重量比で1:99〜37:63の割合で含有する防曇剤層が形成された防曇性樹脂シートが開示され、特許文献4には、非イオン性界面活性剤(ショ糖脂肪酸エステルなど)と、水溶性高分子(ビニルピロリドン系重合体など)と、アニオン性界面活性剤(スルホン酸塩など)とで防曇性表面処理剤を構成し、水溶性高分子はポリオキシアルキレン重合体を含んでいてもよいとする防曇性樹脂シートが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−201355号公報
【特許文献2】特開2005−344018号公報
【特許文献3】特開2008−115360号公報
【特許文献4】特開2010−37387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1の技術では、防曇剤を塗布した後のシートにべたつきが生じ経時的に転写が促進しやすく、結果としてシート外観が悪化し十分な防曇性を得ることが出来ない。また、特許文献2の技術では、脂肪酸塩の一部が塗布液中で金属石けんに変質し、粉状の金属石けんがシート外観を悪化させるとともに、熱板成形機に蓄積し熱板汚れを発生させてしまうなどの問題があった。
一方、特許文献3の技術では、防曇性が十分ではなく特に長期ロール保管後のものは低温防曇性が著しく悪化し、防曇剤が高分子塗布剤単体であると、成形したときに皮膜が破断し防曇性が悪くなるという問題がある。また、特許文献4の技術では、リサイクルした際にビニルピロリドン系重合体は未溶融のまま凝集又はゲル化しシート中に存在してしまいリサイクルできないという問題がある。
【0006】
本発明の課題は、前述の従来技術における現状に鑑みてなされたもので、少なくとも一方の面に防曇剤層が形成された防曇性樹脂シートにおいて、ロール状に捲き取った捲回物を捲き戻して成形に供する際の防曇剤層と離型剤層等の他方の面との間の転写、及び離型剤層を有する場合、捲回物の保管時における防曇剤層の防曇剤と離型剤層の離型剤との混合を抑制しうる防曇性樹脂シートを提供することにある。
また、本発明の課題は、透明性が良好であり、防曇剤に起因するベタツキが抑制された防曇性樹脂シートを提供することにある。
また、本発明の課題は、高温食品、低温食品などの内容物の温度に関わらず良好な防曇性を発揮しうる防曇性樹脂シートを提供することにある。
更に、本発明の課題は、熱板成形を実施する際に、熱板表面への汚れの蓄積を抑制できる防曇性樹脂シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、主に、防曇剤として界面活性剤、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体および親水性アクリル系共重合体を用い、その各々の混合比率を特定の範囲に規定することにより、前記本発明の課題を解決することができることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、樹脂シートの少なくとも一方の面に、(A)界面活性剤、(B)ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、及び(C)親水性アクリル系共重合体の各成分を含有する防曇剤層を有する防曇性樹脂シートであって、該防曇剤層が、前記(A)成分と前記(B)成分の合計量に対して、(A)成分を90〜50質量%、(B)成分を10〜50質量%含有し、且つ、前記(A)成分、前記(B)成分及び前記(C)成分の合計量に対して、(A)成分と(B)成分とを合計で95〜50質量%含有し、(C)成分を5〜50質量%含有することを特徴とする防曇性樹脂シートに関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の防曇性樹脂シートによれば、樹脂シートの少なくとも一方の面に防曇剤層が形成された防曇性樹脂シートにおいて、ロール状に捲き取った捲回物を捲き戻して成形に供する際の防曇剤層と離型剤層等の他方の面との間の転写、及び離型剤層を有する場合、捲回物の保管時における防曇剤層の防曇剤と離型剤層の離型剤との混合を抑制しうる。
また、本発明の防曇性樹脂シートは、透明性が良好であり、防曇剤のベタツキを抑制することができ、また、高温食品、低温食品などの内容物の温度に関わらず良好な防曇性を発揮することができる。
更に、本発明の防曇性樹脂シートによれば、熱板成形を実施する際に、熱板表面への汚れの蓄積を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の防曇性樹脂シートは、樹脂シートの少なくとも一方の面に、(A)界面活性剤、(B)ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、及び(C)親水性アクリル系共重合体の各成分を含有する防曇剤層を有する防曇性樹脂シートであって、該防曇剤層が、前記(A)成分と前記(B)成分の合計量に対して、90〜50質量%、(B)成分を10〜50質量%含有し、且つ、前記(A)成分、前記(B)成分及び前記(C)成分の合計量に対して、(A)成分と(B)成分とを合計で95〜50質量%含有し、(C)成分を5〜50質量%含有することを特徴とする。
【0010】
[防曇剤層]
((A)界面活性剤)
本発明の防曇性樹脂シートにおいて、防曇剤層を構成する(A)成分の界面活性剤としては、この分野において防曇剤層に用いられることが公知である界面活性剤であればいずれも使用でき、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、脂肪酸ジエタノールアミド等の脂肪酸アルカノールアミド、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレン(硬化)ヒマシ油エーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体等の非イオン性界面活性剤、脂肪酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩等の硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩等のスルホン酸塩、アルキルスルホカルボン酸塩、アルキル燐酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤、アルキルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩等のカチオン性界面活性剤、 アルキルアミノ酢酸ベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルスルホベタイン等の両性界面活性剤等が挙げられる。
【0011】
これらの中で、良好な防曇性、防曇剤層形成後のシートの透明性を発現する点から、ポリグリセリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、脂肪酸ジエタノールアミド、硫酸エステル塩、及びスルホン酸塩よりなる群から選択された少なくとも1種が好ましい。
ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、上記観点から、ポリグリセリンラウリン酸エステルが好ましく、特にジグリセリンラウリン酸エステルが好ましい。又、蔗糖脂肪酸エステルとしては、蔗糖ラウリン酸エステルが好ましい。
【0012】
また、本発明に使用する脂肪酸ジエタノールアミドとは、シート又はフィルムの透明性と滑性の観点から、好ましくはC8〜C18の脂肪酸単独または、該脂肪酸を主成分(50重量%以上)とする混合物とジエタノールアミンとの縮合生成物(脂肪酸ジエタノールアミド)であり、より好ましくは、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸単独またはこれらを主成分(50重量%以上)とする混合物(例えば、ヤシ油脂肪酸)の脂肪酸とジエタノールアミンとの縮合生成物である。
【0013】
本発明においては、界面活性剤としてポリグリセリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、及び脂肪酸ジエタノールアミドよりなる群から選択された少なくとも1種を含むものを使用する場合、各々の脂肪酸としては、防曇性の観点から、オレイン酸を主体とする脂肪酸を構造中に有するものであることが好ましい。上記観点から、界面活性剤として上記ポリグリセリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、及び脂肪酸ジエタノールアミドよりなる群から選択された少なくとも1種を用いる場合、その各々の脂肪酸中におけるオレイン酸含有量は、50〜100質量%であることが好ましく、80〜100質量%であることがより好ましい。
更に、本発明においては、前記観点から、界面活性剤として、オレイン酸ジエタノールアミドが特に好ましく使用できる。
【0014】
本発明において界面活性剤として用いる硫酸エステル塩としては、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩等が挙げられ、アルキル基としては、例えば、炭素数10〜18のアルキル基が好ましく挙げられる。
また、スルホン酸塩としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩等が好ましく挙げられ、アルキル基としては、例えば、炭素数10〜18のアルキル基が好ましく挙げられる。
ここで、上記硫酸エステル塩及びスルホン酸塩における塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、及びアルミニウム族等の金属、好ましくはLi、Na、K、Mg、Ca、及びAlの塩、並びに、アンモニウム塩等が挙げられる。
尚、 前記界面活性剤は、それぞれ単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0015】
((B)ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体)
本発明の防曇性樹脂シートにおいて、防曇剤層を構成する(B)成分のポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体としては特に制限はないが、防曇剤層のベタツキの防止の観点から、好ましくは10〜90質量%、より好ましくは40〜85質量%のポリオキシエチレン鎖と、好ましくは90〜10質量%、より好ましくは60〜15質量%のポリオキシプロピレン鎖とからなるものが好ましく、ポリオキシエチレンブロック−ポリオキシプロピレンブロック−ポリオキシエチレンブロックの3元ブロックよりなるブロック共重合体が更に好ましい。
【0016】
また、防曇性の効果持続の観点から、その質量平均分子量は、好ましくは1000〜20000、より好ましくは2000〜16000のブロック共重合体である。
上記ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体は、それぞれ単独で用いても良いが、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
このような(B)成分のブロック共重合体を、上述の(A)界面活性剤と組み合わせて使用することにより、透明性、滑り性の悪化やべたつきの発生を抑制し、良好な防曇性を賦与することが可能になる。
【0017】
((C)親水性アクリル系共重合体)
本発明の防曇性樹脂シートにおいて、防曇剤層を構成する(C)成分の親水性アクリル系共重合体としては、 親水性基を有するアクリル系単量体に由来する繰返し構成単位を含むものであればよいが、該繰返し構成単位と、親水性基を有さないアクリル系単量体に由来する繰返し構成単位とからなる共重合体であるのが好ましい。このような親水性アクリル系共重合体を用いることにより、透明性に優れ、防曇剤のベタツキが抑制され、内容物の温度に関わらず良好な防曇性を発揮し、更に、熱板表面の汚れの蓄積を抑制できる防曇性樹脂シートを提供することができる。
上記親水性基を有するアクリル系単量体としては、 水と相互作用が強い極性の原子団である親水性基、即ち、水中で陽イオンとして解離するカチオン性基、陰イオンとして解離するアニオン性基、 或いは解離しない非イオン性基を有する公知のアクリル系単量体が挙げられる。
【0018】
上記カチオン性基を有するアクリル系単量体としては、 例えば、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル及びその塩、(メタ)アクリル酸エチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド等が、又、アニオン性基を有するアクリル系単量体としては、 例えば、(メタ)アクリル酸及びその塩、(メタ)アクリル酸−2−スルホエチル及びその塩、ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート及びその塩等が、又、非イオン性基を有するアクリル系単量体としては、 例えば、 ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。尚、ここで、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び/又は「メタクリル」を意味するものとする。
【0019】
ここで、上記アクリル系単量体を構成する塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、及びアルミニウム族等の金属、好ましくはLi、Na、K、Mg、Ca、及びAlの塩、並びに、アンモニウム塩等が挙げられる。
【0020】
これら親水性基を有するアクリル系単量体の中で、本発明においては、防曇剤層の転写抑制の点から、アニオン性基を有するアクリル系単量体、及び非イオン性基を有するアクリル系単量体が好ましく、 アニオン性基を有するアクリル系単量体としては、(メタ)アクリル酸及びその塩が、 非イオン性基を有するアクリル系単量体としては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが、更に好ましい。
【0021】
また、親水基を有さないアクリル系単量体としては、 例えば、 (メタ)アクリル酸アルキル(炭素数1〜8の直鎖状及び分岐状)エステル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられ、これらの親水基を有さないアクリル系単量体の中で、本発明においては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、及び(メタ)アクリロニトリルが好ましく、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが更に好ましい。
【0022】
以上の親水性アクリル系共重合体の中で、本発明においては、防曇液の粘度を作業性の良好なものにする観点から、(メタ)アクリル酸塩に由来する繰返し構成単位を含む共重合体であることが好ましく、(メタ)アクリル酸の金属塩に由来する繰返し構成単位と、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する繰返し構成単位とを含む共重合体であるのが更に好ましく、これらの繰返し構成単位を含む、三元共重合体、あるいは四元共重合体も好ましく用いられる。
上記親水性アクリル系共重合体は、それぞれ単独で用いても良いが、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0023】
尚、本発明における(C)成分の親水性アクリル系共重合体としては、更に、架橋性アクリル系単量体に由来する繰返し構成単位を、共重合体がゲル化しない範囲の量で含むことが好ましく、これにより防曇剤層の耐水性や硬度を向上させることができる。その架橋性アクリル系単量体としては、 例えば、 N,N'−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0024】
(防曇剤層)
本発明の防曇性樹脂シートを構成する防曇剤層は、(A)界面活性剤、(B)ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、及び(C)親水性アクリル系共重合体の各成分を含有する。
防曇剤層は、上述の(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有するが、その防曇剤層中における各成分の含有量は、前記(A)成分と前記(B)成分の防曇剤層中における含有量が、該二成分の合計量に対して、(A)成分が90〜50質量%、(B)成分が10〜50質量%であり、且つ、防曇剤層中における前記(A)成分と前記(B)成分との合計含有量と前記(C)成分の含有量が、該3成分の合計量に対して、(A)成分と(B)成分との合計で95〜50質量%、(C)成分が5〜50質量%であることが必要である。
【0025】
本発明において、防曇剤層中における各成分の含有量は、(A)成分と前記(B)成分の合計量に対して、(A)成分が90〜50質量%であり、また、(B)成分が10〜50質量%であれば、透明性に優れ、防曇剤のベタツキが抑制され、内容物の温度に関わらず良好な防曇性を発揮し、更に、熱板表面への汚れの蓄積を抑制できる。すなわち、(A)成分が90質量%を超える場合は、高温での防曇性が十分でなく、熱板表面の汚れが著しい。また、(A)成分が50質量%より少ない場合は、低温防曇持続性が十分でない。
【0026】
上記の観点から、(A)成分と(B)成分の合計量に対して、(A)成分は、85〜50質量%であることが好ましく、80〜55質量%であることがより好ましい。また、(B)成分は、(A)成分と(B)成分の合計量に対して、15〜50質量%であることが好ましく、20〜45質量%であることがより好ましい。
【0027】
また、本発明においては、防曇剤層中における前記(A)成分と前記(B)成分との合計含有量と前記(C)成分の含有量が、前記(A)成分と前記(B)成分と前記(C)成分の合計量に対して、(A)成分と(B)成分との合計量で95〜50質量%であり、また(C)成分が5〜50質量%であれば、透明性に優れ、防曇剤のベタツキが抑制され、内容物の温度に関わらず良好な防曇性を発揮し、更に、熱板表面への汚れの蓄積を抑制できる。すなわち、(A)成分と(B)成分との合計で95質量%を超え、(C)成分が5重量%より少ない場合は、低温防曇持続性が十分でなく、また、(A)成分と(B)成分との合計で50質量%より少なく、(C)成分が50質量%を超える場合は、防曇性およびその持続性が良好ではない。
【0028】
上記の観点から、防曇剤層中における(A)成分と(B)成分の合計含有量は、(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計量に対して、90〜55質量%であることが好ましく、85〜60質量%であることがより好ましい。また、(C)成分は、前記3成分の合計量に対して、10〜45質量%であることが好ましく、15〜40質量%であることがより好ましい。
【0029】
すなわち、本発明においては、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有する防曇剤層を有する防曇性樹脂シートを用い、更に、これらの含有量を上述のように規定することにより、透明性に優れ、防曇剤のベタツキが抑制され、内容物の温度に関わらず良好な防曇性を発揮し、更に、熱板表面への汚れの蓄積を抑制できる。
【0030】
本発明の防曇性樹脂シートにおいて、防曇剤層には、上述の(A)成分、(B)成分及び(C)成分に加えて、本発明の効果を逸脱しない範囲において、必要に応じ、離型剤や滑剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、粘度調節剤、消泡剤、紫外線吸収剤、着色防止剤、抗菌剤、及び顔料、染料等の着色剤等のその他の成分を含有させることができる。
【0031】
本発明において、前記防曇剤層の防曇剤被覆量は、5〜1,000mg/m2 であるのが好ましく、10〜500mg/m2 であるのがより好ましく、20〜200mg/m2 であるのが更に好ましく、20〜100mg/m2 であるのが特に好ましい。また、前記防曇剤層の膜厚は、5〜1000nmであるのが好ましく、10〜500nm であるのがより好ましく、20〜200nm であるのが更に好ましく、20〜100nmであるのが特に好ましい。防曇剤層の防曇剤被覆量が前記範囲内であれば、防曇性が十分であり、シートの白化等もなく外観も良好である。
【0032】
[防曇性樹脂シート]
本発明の防曇性樹脂シートは、樹脂シートの少なくとも一方の面に、前記(A)、(B)、及び(C)各成分を含有する防曇剤層を有するものである。防曇剤層は、樹脂シートの両面に賦与されたものであってもよいが、他方の面には、成形時の金型からの離型性や成形体同士の剥離性等の賦与のために、シリコーンオイル等を含む離型剤層が形成されたものであるのが好ましい。
【0033】
防曇性樹脂シートを構成する離型剤層に含有されるシリコーンオイルとしては、例えば、メチル水素ポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリオキシアルキレン(炭素数2〜4)変性ジメチルポリシロキサン等から選択されたものであることが好ましい。これらの中で、離型性及び安全衛生性等の点から、ジメチルポリシロキサン、及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレン変性ジメチルポリシロキサンがより好ましく、更にジメチルポリシロキサンが好ましい。
【0034】
シリコーンオイルは、離型剤層を形成した際のベタツキを抑制する観点から、25℃での粘度が、10〜100,000mm2 /sであるのが好ましく、50〜50,000mm2 /sであるのが更に好ましく、100〜30,000mm2 /sであるのが特に好ましい。又、 シリコーンオイルは、それぞれ単独でも2種以上を組み合わせてもよい。
【0035】
尚、前記離型剤層には、本発明の効果を損なわない範囲で、防曇剤層に用いられた前述の界面活性剤や、或いは必要に応じて、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、粘度調節剤、消泡剤、紫外線吸収剤、着色防止剤、抗菌剤、及び顔料、染料等の着色剤等が添加されていてもよい。
【0036】
本発明において、離型剤層の離型剤被覆量は、1〜100mg/m2 であるのが好ましく、3〜70mg/m2 であるのが更に好ましく、5〜50mg/m2 であるのが特に好ましい。また、前記離型剤層の膜厚は、1〜100nmであるのが好ましく、3〜70nmであるのが更に好ましく、5〜50nm であるのが特に好ましい。離型剤層の離型剤被覆量が前記範囲未満では、離型性自体が不十分となる傾向となり、一方、前記範囲超過でも離型性の向上は認められない。
【0037】
尚、本発明において、前記防曇剤層及び前記離型剤層の各被覆量の測定は、防曇性樹脂シート上の防曇剤、及び離型剤を洗浄して洗液を集め、重量法、ガスクロマトグラフィー法、高速液体クロマトグラフィー法等ですることができるが、被覆量既知のシートを標準サンプルとしてFT−IR(ATR法)により検量線を作成し、被覆量未知の測定値と比較する方法が簡便である。
【0038】
本発明の防曇性樹脂シートを構成する樹脂シートとしては、防曇性の食品包装用透明容器に用いられる樹脂、例えば、ポリスチレン系樹脂、アモルファスポリエチレンテレフタレート(A−PET)等のポリエステル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、及びポリ塩化ビニル系樹脂等の熱可塑性樹脂の未延伸シート、一軸或いは二軸延伸シート等が挙げられる。これらの中で、二軸延伸ポリスチレン系樹脂シート、及び未延伸A−PETシートが好ましい。尚、樹脂シートとしての厚みは、成形加工品の強度の観点から、0.1〜0.7mm程度であるのが好ましい。
【0039】
本発明の防曇性樹脂シートは、通常、必要により前記樹脂シート表面を公知の表面処理方法を用いて、例えばコロナ放電処理により表面張力を50〜60mN/mの範囲に調整し、又は、高周波処理等の処理を施した後、その一方の表面に、0.1〜5質量%程度の濃度に調整した前記(A)〜(C)各成分からなる防曇剤を含有する水溶液を、スプレーコーター、エアーナイフコーター、スクィーズロールコーター、グラビアロールコーター、ナイフコーター等の公知の塗布方法で、乾燥後の被覆量が前記被覆量となる量で塗布し、熱風乾燥機等により乾燥させて防曇剤層を形成させる。次いで、該他方の面に離型剤層を形成する場合、他方の面に、0.1〜5重量%程度の濃度に調整した離型剤液を同様の方法で、乾燥後の被覆量が前記被覆量となる量で塗布し、熱風乾燥機等により乾燥させて離型剤層を形成させることにより製造される。尚、防曇剤層と離型剤層の形成順序は逆であってもよい。製造された防曇性樹脂シートは、通常、防曇剤層を外側とし離型剤層を内側として両層が重合するように、ロール状に捲き取られて捲回物とされる。
【0040】
ロール状に捲き取られた防曇性樹脂シート捲回物は、捲き戻されながら、主として、真空成形法、圧空成形法等の熱成形法により、防曇剤層が内面となるように容器本体及び/又は蓋体等に賦形され、防曇性食品包装用容器の容器本体及び/又は蓋体として用いられる。
【実施例】
【0041】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。尚、以下の実施例、比較例で用いた防曇剤層形成用成分としての(A)界面活性剤、(B)ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、(C)親水性アクリル系共重合体、及び離型剤層形成用成分としての(D)シリコーンオイルを以下に示す。
【0042】
<(A)界面活性剤>
A−1;ポリグリセリンラウリン酸エステル
A−2;蔗糖ラウリン酸エステル
A−3;ラウリン酸ジエタノールアミド
A−4;オレイン酸ジエタノールアミド
A−5;アルキル(C:12)硫酸ナトリウム塩
A−6;アルキル(C:12)ベンゼンスルホン酸ナトリウム塩
A−7;混合脂肪酸ナトリウム塩(炭素数14〜18の脂肪酸が主成分)
A−8;ポリエチレンオキサイド(粘度平均分子量10万〜17万)
【0043】
<(B)ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体>
B−1;ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体(質量平均分子量:18000、エチレンオキサイド含有率80質量%)
<(C)親水性アクリル系共重合体>
C−1;メタクリル酸アルキルエステル/アクリル酸アルキルエステル/アクリル酸ナトリウム塩の三元共重合体
C−2;メタクリル酸アルキルエステル/アクリル酸アルキルエステル/ヒドロキシアルキルメタクリレート/メタクリル酸ナトリウム塩の四元共重合体
【0044】
<シリコーンオイル>
D−1;ジメチルポリシロキサン(25℃での粘度10,000mm2 /s)のエマルジョン (有効成分30%)
【0045】
以下の実施例、比較例における防曇性樹脂シートの性能評価は、以下の方法及び基準に従って行った。特に断りがない限り「○」以上が本発明を満たすものとする。
【0046】
<シートのベタツキ>
防曇性樹脂シートの防曇剤層面を指で押さえ、引き離した時のベタツキ感を以下の基準で評価した。
◎:殆どベタツキを感じない。
○:ベタツキを感じるが、実用上許容できるレベルにある。
△:ベタツキがやや強く、指紋の跡がはっきり残る。
×:ベタツキが激しく、ヌルヌルしている。
【0047】
<シートの透明性>
防曇性樹脂シートの曇価(ヘーズ)を、JIS K7105に準拠して、ヘーズメーター(日本電色工業社製「NDH−300A」を用いて測定(n=5の平均値)し、そのヘーズ値と、肉眼により観察したシート外観の両方を、以下の基準で評価した。
◎:ヘーズ1.5未満、又は白いムラ(転写模様)が全く見られない。
○:ヘーズ1.5〜2未満、又はうっすらとした白いムラ(転写模様)が見られる。
△:ヘーズ2〜3未満、又は白いムラ(転写模様)が目立つ。
×:ヘーズ3以上、又はくっきりとした白いムラ(転写模様)が見られる。
【0048】
<蓋体の低温防曇性>
防曇性樹脂シートから開口部180mm×120mm、深さ20mmに熱成形した容器本体(嵌合タイプ)に23℃の水150ccを入れ、一方、本発明の防曇性樹脂シートから、防曇剤層が内面となるように開口部180mm×120mm、深さ30mmに熱成形した蓋体(嵌合タイプ)で蓋をして、5℃のショーケース内に静置し、1時間後における蓋体内面の曇りの発生状況、液膜・水滴の付着状況を目視観察し、以下の基準で評価した。
【0049】
◎:蓋体に曇りがなく、液膜が均一であり、内容物の視認性が良好なレベル。
○:蓋体に曇りはなく、液膜が不均一でやや水滴の付着が見られるが、内容物の視認性は問題ないレベル。
△:蓋体に曇りはないが、液膜が不均一でかなりの水滴付着が見られ、内容物の視認性に問題があるレベル。
×:蓋体の一部に曇りが見られるか、蓋体のほぼ全面で水滴付着が激しく内容物の視認が困難なレベル。
また、上記評価を生産直後に評価したものを「低温防曇性・初期」とし、巻き取った捲回物を室温で約3ヶ月間保管した後、捲き戻したシートに対して評価したものを「低温防曇性・3ヶ月後」とした。
【0050】
<蓋体の高温防曇性>
防曇性樹脂シートから開口部180mm×120mm、深さ20mmに熱成形した容器本体(嵌合タイプ)に80℃のお湯150ccを入れ、一方、本発明の防曇性樹脂シートから、防曇剤層が内面となるように開口部180mm×1205mm、深さ30mmに熱成形した蓋体(嵌合タイプ)で蓋をして、23℃雰囲気に静置し、1時間後における蓋体内面の曇りの発生状況、液膜・水滴の付着状況を目視観察し、以下の基準で評価した。
【0051】
◎:蓋体に曇りがなく、液膜が均一であり、内容物の視認性が良好なレベル。
○:蓋体に曇りはなく、液膜が不均一でやや水滴の付着が見られるが、内容物の視認性は問題ないレベル。
△:蓋体に曇りはないが、液膜が不均一でかなりの水滴付着が見られ、内容物の視認性に問題があるレベル。
×:蓋体の一部に曇りが見られるか、蓋体のほぼ全面で水滴付着が激しく内容物の視認が困難なレベル。
また、上記評価を生産直後に評価したものを「高温防曇性・初期」とし、巻き取った捲回物を室温で約3ヶ月間保管した後、捲き戻したシートに対して評価したものを「高温防曇性・3ヶ月後」とした。
【0052】
<熱板表面の汚れ>
防曇性樹脂シートを関西自動成形機社製の熱板成形機CK−1200を用いて容器本体(嵌合タイプ)を連続成形する。成形条件としては、成形温度135℃で成形サイクル10秒とした。成形開始前に熱板表面を水を染み込ませたウエスで清掃し、2000ショットの連続成形を実施した後に再度、水をしみこませたウエスで熱板表面の拭取り清掃をした。その際のウエスの汚れの程度を以下の基準で評価した。
◎:拭取ったウエスの面がほとんど汚れていない。
○:拭取ったウエスの面がわずかに汚れている。(目視でウエスの変色がかろうじてわかる)
△:拭取ったウエスの面が汚れている。(目視でウエスの変色がわかる)。
×:拭取ったウエスの面が顕著に汚れている。(目視でウエスの変色が容易に分かる)
【0053】
実施例1〜7、及び比較例1〜6
二軸延伸ポリスチレンシート(厚み0.3mm)の一方の面にコロナ処理を施した後、コロナ処理した面に、表1に示す組成の防曇剤の1質量%水溶液を、他方の面に、表1に示す離型剤のエマルジョンを、それぞれスプレーコーターで塗布し、塗工面を均一化し、80℃で乾燥させた後、防曇剤層を外側とし離型剤層を内側としてロール状に捲き取って捲回物とした。巻き取った直後の捲回物を捲き戻してシートをサンプリングし、防曇剤層の防曇剤被覆量、及び離型剤層の離型剤被覆量をFT−IR(ATR法)により測定し、結果を表1に示した。尚、被覆量の測定は、防曇剤層については1730cm-1付近の、離型剤層については1260cm-1付近の各特性吸収と、ポリスチレンの1940cm-1付近の特性吸収との比を、防曇剤組成又は離型剤組成、及び各被覆量が既知のシートから作成した検量線と比較することで定量した。
一方、巻き取った捲回物を捲き戻し、シートのベタツキ、透明性、及び熱成形した蓋体の防曇性を、前述の方法で評価し、さらに巻き取った捲回物の状態で室温で約3ヶ月間保管した後、熱成形した蓋体の防曇性を前述の方法で評価し、結果を表1に示した。
【0054】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明の防曇性樹脂シートは、ロール状に捲き取った、捲回物を捲き戻して成形に供する際の防曇剤層と離型剤層等の他の層との間の転写、及び捲回物の保管時における防曇剤層と離型剤層との混じり合いが抑制され、シートや成形体としての外観の低下等が抑制されると共に、食品包装用透明容器等としたときの低温及び高温防曇性の低下をも抑制される防曇性樹脂シートを提供することができ、熱成形により防曇性食品包装用透明容器等として用いるに好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂シートの少なくとも一方の面に、(A)界面活性剤、(B)ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、及び(C)親水性アクリル系共重合体の各成分を含有する防曇剤層を有する防曇性樹脂シートであって、該防曇剤層が、前記(A)成分と前記(B)成分の合計量に対して、(A)成分を90〜50質量%、(B)成分を10〜50質量%含有し、且つ、前記(A)成分、前記(B)成分及び前記(C)成分の合計量に対して、(A)成分と(B)成分とを合計で95〜50質量%含有し、(C)成分を5〜50質量%含有することを特徴とする防曇性樹脂シート。
【請求項2】
前記(A)成分が、ポリグリセリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、脂肪酸ジエタノールアミド、硫酸エステル塩、及びスルホン酸塩よりなる群から選択された少なくとも1種を含む、請求項1に記載の防曇性樹脂シート。
【請求項3】
前記(A)成分が、オレイン酸を主体とする脂肪酸を構造中に有する、ポリグリセリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、及び脂肪酸ジエタノールアミドよりなる群から選択された少なくとも1種を含む、請求項1または2に記載の防曇性樹脂シート。
【請求項4】
前記(C)成分が、(メタ)アクリル酸塩に由来する繰返し構成単位を含む共重合体である、請求項1〜3のいずれかに記載の防曇性樹脂シート。
【請求項5】
前記(C)成分が、親水性基を有するアクリル系単量体に由来する繰返し構成単位と、親水性基を有さないアクリル系単量体に由来する繰返し構成単位とからなる共重合体である、請求項1〜4のいずれかに記載の防曇性樹脂シート。
【請求項6】
前記(C)成分が、(メタ)アクリル酸の金属塩に由来する繰返し構成単位と、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する繰返し構成単位とを含む共重合体である、請求項1〜5のいずれかに記載の防曇性樹脂シート。
【請求項7】
前記(C)成分が、更に、架橋性アクリル系単量体に由来する繰返し構成単位を、共重合体がゲル化しない量で含む共重合体である、請求項1〜6のいずれかに記載の防曇性樹脂シート。
【請求項8】
樹脂シートの一方の面に、前記防曇剤層を有する防曇性樹脂シートを有し、かつ樹脂シートの他方の面に離型剤層を有する、請求項1〜7のいずれかに記載の防曇性樹脂シート。

【公開番号】特開2012−12473(P2012−12473A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−149757(P2010−149757)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【Fターム(参考)】