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防曇性樹脂組成物
説明

防曇性樹脂組成物

【課題】優れた防曇性及び耐水性を発揮することができ、かつ、表面強度の高い塗膜を形成することが可能な防曇性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】水溶性ポリビニルアセタール樹脂及び水を含有する防曇性樹脂組成物であって、平均重合度が1000〜3500、アセタール化度が21〜40モル%及び水酸基量が45〜64モル%であり、かつ、アセタール化された全構成単位のうち、芳香族アルデヒドによってアセタール化された構成単位の割合が90%以上である防曇性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた防曇性及び耐水性を発揮することができ、かつ、表面強度の高い塗膜を形成することが可能な防曇性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
作物栽培用のハウスやトンネルには、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等の農業用被覆フィルム、各種ガラス、鏡等の部材が使用されているが、これらの部材では、水蒸気が表面に凝縮付着して曇ることによって、光線の透過を妨げるという問題が生じていた。また、自動車のフロントガラスやリアガラス等においても、同様に曇りが生じることで視認性が低下する等の問題が生じていた。
自動車の窓ガラス等の防曇技術としては、ガラスの表面温度を高くする方法が最も一般的に用いられている。すなわち、フロントガラスであればガラス表面に温風を吹きかけ、リアガラスであればガラス内部に埋め込んだヒーターでガラスを加熱している。一方、気温と湿度の高い夏期には、車内を冷房して空気中の湿度を下げ、露点を下げる方法がとられている。
しかし、車両の室内は、乗降のためのドアの開閉や窓の開閉、外気の取り入れ等により車内の温度や湿度を常に制御しておくことは難しい。特に、外気温が低いときや、湿度が高いときに放置してあった車両を、充分暖機しないで走行開始すると、運転開始時に大量の曇りが発生しやすいという問題があった。
【0003】
これに対して、特許文献1には、発熱性パターン層上にシリコーン系ハードコート層が形成された防曇性被覆合成樹脂窓材が開示されている。このような技術では、光学物品の表面温度を高くし、空気中の水分が表面で凝結しないようにすることで防曇性を付与しているが、ヒーター部、エネルギー源が不可欠であり、装置が煩雑になりすぎてしまうという問題があった。
【0004】
そこで、近年では、車両の窓ガラスの表面に種々の防曇膜を形成する試みがなされている。防曇膜としては、例えば、親水性の防曇膜が挙げられる。親水性の防曇膜を形成することで、ガラス表面付近に発生した水分は、まずその親水性被膜上に速やかに広がり、水滴となることを防ぐ。このような親水タイプの防曇膜としては、界面活性剤やポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等の有機系の親水性被膜が使用されているが、これらは水溶性であったり、耐摩耗性がなかったりして、恒久的な対策とはなり得なかった。
【0005】
これに対して、吸水タイプの防曇剤も開発されている。吸水タイプの防曇剤としては、例えば、特許文献2には、シリカ微粒子系の多孔質膜、吸水性樹脂の使用が開示されている。
しかしながら、これら吸水性の膜の吸水能力は充分でなく、吸水性による防曇性の発現には、さらなる改良が必要であった。また、膜中に水分を蓄えることにより曇りの発生を抑えているため、耐水性の面では劣っており、長期の使用によって、膜が膨張したり、溶解したりしてしまうという問題があった。更に、形成した膜の耐水性の低下によって、膜の強度(硬度)が低いものとなり、その結果、爪などの引っかき傷、又は、窓を拭いた場合の拭き傷などが入り、防曇性が低下するという問題もあった。
加えて、それらの傷により、膜の透明性が低下するという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3844255号公報
【特許文献2】特開2000−239045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、優れた防曇性及び耐水性を発揮することができ、かつ、表面強度の高い塗膜を形成することが可能な防曇性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、水溶性ポリビニルアセタール樹脂及び水を含有する防曇性樹脂組成物であって、平均重合度が1000〜3500、アセタール化度が21〜40モル%及び水酸基量が45〜64モル%であり、かつ、アセタール化された全構成単位のうち、芳香族アルデヒドによってアセタール化された構成単位の割合が90%以上である防曇性樹脂組成物である。
以下、本発明を詳述する。
【0009】
本発明者は、防曇性樹脂組成物の構成樹脂として所定の構造を有する水溶性ポリビニルアセタール樹脂を用い、かつ、その平均重合度、水酸基量及びアセタール化度を所定の範囲内とすることにより、防曇性を維持しながら、優れた耐水性を実現し、かつ、表面強度の高い塗膜を形成することが可能な防曇性樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
本発明の防曇性樹脂組成物は、平均重合度が1000〜3500、アセタール化度が21〜40モル%及び水酸基量が45〜64モル%であり、かつ、アセタール化された全構成単位のうち、芳香族アルデヒドによってアセタール化された構成単位の割合が90%以上である水溶性ポリビニルアセタール樹脂を含有する。
【0011】
本発明の水溶性ポリビニルアセタール樹脂は、平均重合度の下限が1000、上限が3500である。上記平均重合度が1000未満であると、水溶性ポリビニルアセタール樹脂を含有する防曇性樹脂組成物の粘度が低下し、塗工する際に液垂れが生じたり、塗膜の表面平滑性が低下したりする。また、防曇性樹脂組成物の耐水性が低下して、塗膜の膨潤や溶解が生じる。
上記平均重合度が3500を超えると、塗工する際のレベリング性が低下して、塗膜の表面の凹凸が大きくなる。本発明の水溶性ポリビニルアセタール樹脂の平均重合度の好ましい下限は1700、好ましい上限は3300である。
なお、本明細書において、水溶性ポリビニルアセタール樹脂の平均重合度は、原料である変性ポリビニルアルコールの平均重合度から求めることができる。また、本明細書において、変性ポリビニルアルコールの平均重合度とは、混合物である変性ポリビニルアルコールにおけるそれぞれの変性ポリビニルアルコールの重合度から求めた平均値を意味する。
【0012】
上記水溶性ポリビニルアセタール樹脂は、水酸基量の下限が45モル%、上限が64モル%である。上記水酸基量が45モル%未満であると、水溶性ポリビニルアセタール樹脂の吸水性が低下したり、防曇性樹脂組成物の粘度安定性が低下したりする。上記水酸基量が64モル%を超えると、水溶性ポリビニルアセタール樹脂の吸水性が高くなって安定性が低下する。上記水酸基量の好ましい下限は50モル%、好ましい上限は64モル%である。
【0013】
上記水溶性ポリビニルアセタール樹脂は、アセタール化度の下限が21モル%、上限が40モル%である。上記アセタール化度が21モル%未満であると、吸水性は良いが、塗膜硬度が低下する。40モル%を超えると、防曇性樹脂組成物のガラス等の基材への密着性が低下する。
上記アセタール化度の好ましい下限は25モル%、好ましい上限は35モル%である。
【0014】
上記水溶性ポリビニルアセタール樹脂は、アセタール化された全構成単位(全アセタール化度)のうち、芳香族アルデヒドによってアセタール化された構成単位の割合が90%以上である。これにより、低アセタール化度とした場合でも、吸水性、耐水性、透明性の良好な防曇性樹脂組成物が得られる。
上記芳香族アルデヒドによってアセタール化された構成単位の割合が90%未満であると、耐水性が悪くなり、充分な防曇性を得ることができなくなる。
上記芳香族アルデヒドによってアセタール化された構成単位の割合の好ましい下限は90%、好ましい上限は100%である。
【0015】
上記芳香族アルデヒドとしては、ベンズアルデヒド、2−メチルベンズアルデヒド、3−メチルベンズアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒド、その他のアルキル置換ベンズアルデヒド、クロルベンズアルデヒド、その他のハロゲン置換ベンズアルデヒド等が挙げられる。
また、芳香族環にヒドロキシ基、アルコキシ基、アミノ基、シアノ基等の置換基を持った芳香族系アルデヒドを用いてもよい。なかでも、ベンズアルデヒド、2−メチルベンズアルデヒド、3−メチルベンズアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒドが好ましい。
【0016】
上記水溶性ポリビニルアセタール樹脂は、芳香族アルデヒドを含有するアルデヒドにより、ポリビニルアルコールを水中でアセタール化することによって得ることができる。
【0017】
上述した芳香族アルデヒド以外のアルデヒドは特に限定されず、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、アミルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、シクロヘキシルアルデヒド、フルフラール、グリオキザール、グルタルアルデヒド等が挙げられる。なかでも、アセトアルデヒド又はブチルアルデヒドを単独で用いるか、又は、アセトアルデヒド及びブチルアルデヒドを併用することが好ましい。
【0018】
本発明の防曇性樹脂組成物における上記水溶性ポリビニルアセタール樹脂の含有量の好ましい下限は3重量%、好ましい上限は20重量%である。上記範囲内とすることで、塗工時のムラがなく、防曇性を発揮できる。
【0019】
本発明の防曇性樹脂組成物は、上記水溶性ポリビニルアセタール樹脂に加えて水を含有する。
上記水としては特に限定されないが純水等を用いることができる。
【0020】
本発明の防曇性樹脂組成物には、本発明の効果を妨げない範囲で、公知の各種添加剤を配合してもよい。上記添加剤としては、吸水性能を改善するためのグリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、その他各種の界面活性剤、酸化防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、レベリング剤、チキソ付与剤、皮張り防止剤、可塑剤、増粘剤、希釈剤、反応性希釈剤、架橋剤、フィラー、色素(顔料、染料)、防腐、防かび剤等が挙げられる。
【0021】
上記界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、ノニオン性のいずれのものを使用してもよい。上記酸化防止剤としては、例えば、フェノール系、芳香族アミン系、硫黄系、リン系等が挙げられる。上記老化防止剤としては、例えば、アミン類、フェノール類等が挙げられる。
【0022】
本発明の防曇性樹脂組成物は、構成樹脂として所定の構造を有する水溶性ポリビニルアセタール樹脂を用い、かつ、その平均重合度、水酸基量及びアセタール化度を所定の範囲内とすることにより、防曇性を維持しながら、優れた耐水性を実現し、かつ、表面強度の高い塗膜を形成することができる。
本発明の防曇性樹脂組成物の用途は特に限定されないが、例えば、自動車のリアガラス、サイドガラス、フロントガラス、サンルーフ、ルームミラー等の各種ガラス、ペットボトル、そのラベル等に使用される防曇剤等が挙げられる。また、本発明の防曇性樹脂組成物は、各種ガラスの防曇性被覆材にも使用することができる。
【0023】
本発明の防曇性樹脂組成物をガラスの防曇性被覆材として使用する場合、用いられるガラスとしては特に限定されず、一般に使用されている透明ガラスを使用することができる。具体的には例えば、フロートガラス、磨きガラス、型板ガラス、網入りガラス、線入りガラス、着色されたガラス、熱線吸収ガラス、熱線反射ガラス、グリーンガラス等の無機ガラスが挙げられる。
本発明の防曇性樹脂組成物を塗工することにより防曇性被覆層を形成する場合、形成される防曇性被覆層の厚みは特に限定されないが、防曇性能を効果的に発現させるため、3〜100μmが好ましく、5〜50μmがより好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、優れた防曇性及び耐水性を発揮することができ、かつ、表面強度の高い塗膜を形成することが可能な防曇性樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に実施例を掲げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
【0026】
(実施例1)
ポリビニルアルコール(平均重合度1700、ケン化度88モル%)350gを含有する水溶液3000gに35重量%の塩酸170gとベンズアルデヒド120gを添加し、液温を10℃に保持しながら5時間アセタール化反応を行い、スポンジ状の反応沈殿物スラリーを得た。このスラリーを水洗中和して塩酸触媒及び未反応アルデヒドを除去した後、乾燥して樹脂沈殿物を得た。この樹脂を水/イソプロピルアルコール(アルコール系溶剤)が、60/40の混合溶剤に溶解して濃度10%の水溶性アセタール樹脂溶液を得た。
得られた溶液中の水溶性ポリビニルアセタール樹脂は、水酸基量が63モル%、アセタール化度(全アセタール化度)が22モル%、及び、芳香族アルデヒドによってアセタール化された構成単位の割合が100%であった。
【0027】
(実施例2)
ポリビニルアルコール(平均重合度2200、ケン化度88モル%)350gを含有する水溶液3000gに35重量%の塩酸170gとベンズアルデヒド163g及びブチルアルデヒド2gからなるアルデヒド計165gを添加し、液温を10℃に保持しながら5時間アセタール化反応を行い、スポンジ状の反応沈殿物スラリーを得た。このスラリーを水洗中和して塩酸触媒及び未反応アルデヒドを除去した後、乾燥して樹脂沈殿物を得た。この樹脂を水/イソプロピルアルコール(アルコール系溶剤)が、60/40の混合溶剤に溶解して濃度9%の水溶性アセタール樹脂溶液を得た。
得られた溶液中の水溶性ポリビニルアセタール樹脂は、水酸基量が58モル%、アセタール化度(全アセタール化度)が30モル%、及び、芳香族アルデヒドによってアセタール化された構成単位の割合が99%であった。
【0028】
(実施例3)
ポリビニルアルコール(平均重合度3300、ケン化度88モル%)350gを含有する水溶液3000gに35重量%の塩酸170gと2−メチルベンズアルデヒド198g及びブチルアルデヒド2gからなるアルデヒド計200gを添加し、液温を10℃に保持しながら5時間アセタール化反応を行い、スポンジ状の反応沈殿物スラリーを得た。このスラリーを水洗中和して塩酸触媒及び未反応アルデヒドを除去した後、乾燥して樹脂沈殿物を得た。この樹脂を水/イソプロピルアルコール(アルコール系溶剤)が、60/40の混合溶剤に溶解して濃度9%の水溶性アセタール樹脂溶液を得た。
得られた溶液中の水溶性ポリビニルアセタール樹脂は、水酸基量が52モル%、アセタール化度(全アセタール化度)が35モル%、及び、芳香族アルデヒドによってアセタール化された構成単位の割合が99%であった。
【0029】
(比較例1)
ポリビニルアルコール(平均重合度800、ケン化度88モル%)350gを含有する水溶液3000gに35重量%の塩酸170gとベンズアルデヒド31g及びブチルアルデヒド4gからなるアルデヒド計35gを添加し、液温を10℃に保持しながら5時間アセタール化反応を行い、スポンジ状の反応沈殿物スラリーを得た。このスラリーを水洗中和して塩酸触媒及び未反応アルデヒドを除去した後、乾燥して樹脂沈殿物を得た。この樹脂を水/イソプロピルアルコール(アルコール系溶剤)が、60/40の混合溶剤に溶解して濃度9%の水溶性アセタール樹脂溶液を得た。
得られた溶液中の水溶性ポリビニルアセタール樹脂は、水酸基量が82モル%、アセタール化度(全アセタール化度)が6モル%、及び、芳香族アルデヒドによってアセタール化された構成単位の割合が88%であった。
【0030】
(比較例2)
ポリビニルアルコール(平均重合度2200、ケン化度87モル%)350gを含有する水溶液3000gに35重量%の塩酸170gとベンズアルデヒド30gを添加し、液温を10℃に保持しながら5時間アセタール化反応を行い、スポンジ状の反応沈殿物スラリーを得た。このスラリーを水洗中和して塩酸触媒及び未反応アルデヒドを除去した後、乾燥して樹脂沈殿物を得た。この樹脂を水/イソプロピルアルコール(アルコール系溶剤)が、60/40の混合溶剤に溶解して濃度7%の水溶性アセタール樹脂溶液を得た。
得られた溶液中の水溶性ポリビニルアセタール樹脂は、水酸基量が83モル%、アセタール化度(全アセタール化度)が5モル%、及び、芳香族アルデヒドによってアセタール化された構成単位の割合が100%であった。
【0031】
(比較例3)
ポリビニルアルコール(平均重合度3300、ケン化度86モル%)350gを含有する水溶液3000gに35重量%の塩酸170gと4−メチルベンズアルデヒド35gを添加し、液温を10℃に保持しながら5時間アセタール化反応を行い、スポンジ状の反応沈殿物スラリーを得た。このスラリーを水洗中和して塩酸触媒及び未反応アルデヒドを除去した後、乾燥して樹脂沈殿物を得た。この樹脂を水/イソプロピルアルコール(アルコール系溶剤)が、60/40の混合溶剤に溶解して濃度8%の水溶性アセタール樹脂溶液を得た。
得られた溶液中の水溶性ポリビニルアセタール樹脂は、水酸基量が83モル%、アセタール化度(全アセタール化度)が6モル%、及び、芳香族アルデヒドによってアセタール化された構成単位の割合が100%であった。
【0032】
(比較例4)
ポリビニルアルコール(平均重合度1700、ケン化度89モル%)350gを含有する水溶液3000gに35重量%の塩酸170gと2−メチルベンズアルデヒド29g及びブチルアルデヒド1gからなるアルデヒド計30gを添加し、液温を10℃に保持しながら5時間アセタール化反応を行い、スポンジ状の反応沈殿物スラリーを得た。このスラリーを水洗中和して塩酸触媒及び未反応アルデヒドを除去した後、乾燥して樹脂沈殿物を得た。この樹脂を水/イソプロピルアルコール(アルコール系溶剤)が、60/40の混合溶剤に溶解して濃度9%の水溶性アセタール樹脂溶液を得た。
得られた溶液中の水溶性ポリビニルアセタール樹脂は、水酸基量が84モル%、アセタール化度(全アセタール化度)が5モル%、及び、芳香族アルデヒドによってアセタール化された構成単位の割合が98%であった。
【0033】
(比較例5)
ポリビニルアルコール(平均重合度2000、ケン化度88モル%)350gを含有する水溶液3000gに35重量%の塩酸170gとベンズアルデヒド39g及びブチルアルデヒド3gからなるアルデヒド計42gを添加し、液温を10℃に保持しながら5時間アセタール化反応を行い、スポンジ状の反応沈殿物スラリーを得た。このスラリーを水洗中和して塩酸触媒及び未反応アルデヒドを除去した後、乾燥して樹脂沈殿物を得た。この樹脂を水/イソプロピルアルコール(アルコール系溶剤)が、60/40の混合溶剤に溶解して濃度10%の水溶性アセタール樹脂溶液を得た。
得られた溶液中の水溶性ポリビニルアセタール樹脂は、水酸基量が79モル%、アセタール化度(全アセタール化度)が8モル%、及び、芳香族アルデヒドによってアセタール化された構成単位の割合が92%であった。
【0034】
<評価>
実施例及び比較例で得られた水溶性ポリビニルアセタール樹脂水溶液について、以下の評価を行った。結果を表1に示した。
【0035】
(1)吸湿性
(1−1)樹脂シート
水溶性ポリビニルアセタール樹脂水溶液を、コーターを用いて乾燥後の厚みが20μmとなるように離型処理したPETフィルム上に塗工した後、3時間乾燥することにより、樹脂シートを得た。
得られた樹脂シートをPETフィルムから剥離し、剥離したシートを5×10cmにカットした試料を水1Lに5分間浸漬した後の状態を目視にて観察し、以下の基準で判定した。
【0036】
(1−2)樹脂層形成ガラス
水溶性ポリビニルアセタール樹脂水溶液を、コーターを用いて乾燥後の厚みが5μmとなるように透明なフロートガラス(JIS R 3202、厚み2.5mm、15cm×15cm)上に塗工した後、3時間乾燥することにより、ポリビニルアセタール樹脂層が形成された樹脂層形成ガラスを得た。
得られた樹脂層形成ガラスを、そのまま水1Lに5分間浸漬した後のポリビニルアセタール樹脂層の状態を目視にて観察し、以下の基準で判定した。
また、ポリビニルアセタール樹脂層の厚みを20μmとした樹脂層形成ガラス、及び、ポリビニルアセタール樹脂層の厚みを30μmとした樹脂層形成ガラスについても同様に評価した。
【0037】
◎ 変化がなかった。
〇 膨潤していた。
△ 一部溶解していた(シート形状又は層形状維持困難)。
× 溶解していた。
【0038】
(2)塗膜強度
「(1)吸湿性」で得られた樹脂シート及び3種の樹脂層形成ガラスについて、JIS K 5600−6−4の鉛筆硬度試験に基づいて表面強度を測定した。なお、「〇」は傷なし、「×」は傷ありを示す。
【0039】
(3)防曇性
開口部を有する容器(500cc)に30℃の水450g投入した後、「(1)吸湿性」で得られた樹脂シートが内側となるように開口部に被せて密封し、常温(20℃)に設定した室内に放置した後、低温(0℃)に設定し5秒間放置した。そして、樹脂シートの曇り状態を目視により、以下の基準で評価した。
また、「(1)吸湿性」で得られた樹脂シートに代えて、「(1)吸湿性」で得られた3種の樹脂層形成ガラスを用いた場合についても同様の評価を行った。
【0040】
◎ 曇り及び水滴が見られなかった。
〇 大粒の水滴が僅かに見られた。
△ 小さな水滴が多く見られた。
× 全面が白濁したものが見られた。
【0041】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明によれば、優れた防曇性及び耐水性を発揮することができ、かつ、表面強度の高い塗膜を形成することが可能な防曇性樹脂組成物を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性ポリビニルアセタール樹脂及び水を含有する防曇性樹脂組成物であって、
平均重合度が1000〜3500、アセタール化度が21〜40モル%及び水酸基量が45〜64モル%であり、かつ、アセタール化された全構成単位のうち、芳香族アルデヒドによってアセタール化された構成単位の割合が90%以上である
ことを特徴とする防曇性樹脂組成物。
【請求項2】
請求項1記載の防曇性樹脂組成物を用いてなることを特徴とする防曇被塗物。

【公開番号】特開2013−82861(P2013−82861A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252974(P2011−252974)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】