説明

防曇性評価装置および防曇性評価方法

【課題】防曇性を客観的に評価することが可能な防曇性評価装置および防曇性評価方法を提供する。
【解決手段】被測定物5に向けてスポット光R1を発するスポット光源20と、被測定物5に向けて蒸気を吹き付ける曇り生成装置40と、蒸気によって被測定物5に発生した曇りにおけるスポット光R1の散乱光R2を受光して散乱度合いを測定する散乱光測定装置30と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスや鏡等の防曇性を評価するための装置、およびその評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガラス、レンズ、プラスティック等の曇りにくさを示す防曇性の評価は、主に目視による官能試験で行われていた。このような官能試験としては、例えば、呼気防曇性試験、蒸気防曇性試験、低温防曇性試験等がある。このうち、呼気防曇性試験は、試験片に息を吹きかけて曇り状態を目視で確認し、曇りの有無や、試験片を透過または反射して見える景色のぼやけ具合等を基準に3〜4段階程度に評価する試験方法である。そして、蒸気防曇性試験は、恒温水槽内の温水の上方に試験片を設置して水滴の付着状態を目視で確認し、水滴の有無、水滴の大きさ等を基準に3〜4段階程度に評価する試験方法である。また、低温防曇性試験は、冷蔵庫や冷凍庫(例えば−20〜5℃)内で冷却した試験片を通常環境(例えば20℃、65%RH)に戻したときの曇りの有無を2段階に評価する試験方法である。しかしながら、このような従来の官能試験では、個人差による評価のばらつきが大きいため、評価の安定性がなく、防曇性を客観的に評価することが困難であった。
【0003】
一方、ガラス等の濁度(曇り度)を評価する値としてヘイズ値がある。このヘイズ値は、試験片を透過した拡散透過光の全光線透過光に対する割合から求められるものであり、既存のヘイズメータによって測定される。このヘイズ値によれば、濁度または曇り度を数値化して客観的に評価することが可能である。また、上記低温防曇性試験において、複数の縦線や枡目を描いた被写体物の等射影を試験片に映し出し、試験片表面の結露面積(曇り部の面積)を測定することで客観的な防曇性の評価を行う手法等も提案されている(例えば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−50219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記ヘイズ値は、ガラス等の透明性に関する指標であり、ガラス等の表面の接触角(濡れ性)との相関が高くない上に、ガラス等を透過または反射して見える景色の明瞭性(はっきりと見えるかぼんやりと見えるか)との相関も高くないという問題があった。このため、液滴が付着することによる曇りの生じにくさを示すと共に、例えばガラス窓越しの遠くの景色が見えやすいかどうかといった指標に使用される防曇性の評価を、ヘイズ値を基準として行うのは困難であった。
【0006】
また、上記特許文献1に記載の評価手法では、表面の結露面積については客観的な評価がある程度可能であるものの、結露部分の詳細な構造や性状を測定することが困難であるため、測定して得られた結露面積と透過または反射して見える景色の明瞭性との間の相関を高くすることが難しいという問題があった。従って、透過または反射した景色の明瞭性については依然として官能的な評価を行わざるを得ないものであった。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、防曇性を客観的に評価することが可能な防曇性評価装置および防曇性評価方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明は、被測定物に向けてスポット光を発するスポット光源と、前記被測定物に向けて蒸気を吹き付ける曇り生成装置と、前記蒸気によって前記被測定物に発生した曇りにおける前記スポット光の散乱光を受光して散乱度合いを測定する散乱光測定装置と、を備えることを特徴とする、防曇性評価装置である。
【0009】
(2)本発明はまた、前記散乱光測定装置は、前記スポット光の光軸と直交する方向に配置された複数の受光素子から構成されることを特徴とする、上記(1)に記載の防曇性評価装置である。
【0010】
(3)本発明はまた、前記被測定物の防曇性を評価する評価面の周囲を囲む外周壁をさらに備え、前記曇り生成装置は、前記外周壁および前記評価面によって遮蔽された加湿空間内に向けて蒸気を吹き付けることを特徴とする、上記(1)または(2)に記載の防曇性評価装置である。
【0011】
(4)本発明はまた、前記加湿空間は、前記被測定物の下側に設けられ、上方が前記評価面によって遮蔽されると共に側方が前記外周壁によって遮蔽され、下方が開放された空間であることを特徴とする、上記(3)に記載の防曇性評価装置である。
【0012】
(5)本発明はまた、前記曇り生成装置は、飽和蒸気を発生させる蒸気発生装置と、前記飽和蒸気を前記被測定物に向けて吹き付けるノズルと、前記ノズルを結露しない温度に保持する加熱装置と、を備えることを特徴とする、上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の防曇性評価装置である。
【0013】
(6)本発明はまた、前記散乱光測定装置の測定結果に基づいて前記散乱度合いを数値化した防曇性評価指数を算出し、前記防曇性評価指数が小さいほど前記被測定物の防曇性を高いと評価する評価装置をさらに備えることを特徴とする、上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の防曇性評価装置である。
【0014】
(7)本発明はまた、前記散乱光測定装置は、前記スポット光の光軸中心から離れる方向における受光量の分布を測定し、前記評価装置は、前記受光量の分布に基づいて前記防曇性評価指数を算出することを特徴とする、上記(6)に記載の防曇性評価装置である。
【0015】
(8)本発明はまた、前記評価装置は、前記スポット光の光軸中心からの距離をx、前記受光量をyとした場合の前記受光量の分布曲線を一次式に近似し、前記一次式のx軸との交点におけるxの値を前記防曇性評価指数とすることを特徴とする、上記(7)に記載の防曇性評価装置である。
【0016】
(9)本発明はまた、蒸気を吹き付けた被測定物に向けてスポット光を発し、前記蒸気によって前記被測定物に発生した曇りによる前記スポット光の散乱光を受光して前記スポット光の光軸中心から離れる方向における前記散乱光の受光量の分布を測定し、前記受光量の分布に基づいて散乱度合いを数値化した防曇性評価指数を算出し、前記防曇性評価指数が小さいほど前記被測定物の防曇性を高いと評価することを特徴とする、防曇性評価方法である。
【0017】
(10)本発明はまた、前記スポット光の光軸中心からの距離をx、前記受光量をyとした場合の前記受光量の分布曲線を一次式に近似し、前記一次式のx軸との交点におけるxの値を前記防曇性評価指数とすることを特徴とする、上記(9)に記載の防曇性評価方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、従来客観的な評価が困難であった防曇性を客観的に評価することができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】防曇性評価装置の構造を示した概略図である。
【図2】(a)および(b)試験片台を拡大して示した部分断面図である。
【図3】(a)散乱光測定装置を正面から見た概略図である。(b)散乱光測定装置を上方から見た概略図である。
【図4】曇り生成装置40の構造を示した概略断面図である。
【図5】(a)〜(c)防曇性評価装置による測定例を示した図である。
【図6】防曇性評価装置によって求めた試験片の防曇性評価指数と接触角との関係を示した図である。
【図7】光を透過しない素材の防曇性を評価する防曇性評価装置の構造を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の例について詳細に説明する。
【0021】
まず、本発明の実施の形態である防曇性評価装置1について説明する。図1は、防曇性評価装置1の構造を示した概略図である。
【0022】
同図に示されるように、防曇性評価装置1は、被測定物である試験片5を載置する試験片台10と、試験片台10の上方に配置されたスポット光源20と、試験片台10の下方に配置された散乱光測定装置30と、試験片5に向けて蒸気を吹き付ける曇り生成装置40と、防曇性評価装置1全体を制御する制御装置50と、制御装置50の操作および測定結果等の表示を行う操作・表示パネル60を備えている。
【0023】
本実施形態の防曇性評価装置1は、上方から試験片5に向けてスポット光R1を照射し、試験片5を透過した後の散乱光R2の散乱度合いを測定することにより試験片の防曇性を評価するものである。従って、防曇性評価装置1は、ガラスやプラスティック等の光を透過する素材(光透過性素材)の防曇性を評価するものとなっている。
【0024】
試験片5は、ガラスやプラティック等の素材を適宜の寸法(例えば50×50mmの板状)に切り出したものを使用する。試験片の厚みは、防曇性を正確に評価するためには実際に使用されるものと同一の厚みであることが好ましいが、特に限定されるものではない。ガラス等の表面に施すコーティングの防曇性を評価するためには、予め試験片の一方の面にコーティングを施しておけばよい。
【0025】
試験片台10は、試験片5を上面に載置するための架台であり、光を透過しない材料から構成された略板状の部材である。図2(a)および(b)は、試験片台10を拡大して示した部分断面図である。同図(a)に示されるように、試験片台10の略中央部には、上下方向に貫通する貫通孔12が形成されている。この貫通孔12は、自身の中心軸が上方に配置されたスポット光源20の光軸中心と略一致するように形成されている。
【0026】
試験片5は、防曇性を評価する面である評価面5aを下にして、貫通孔12の上方の開口を塞ぐようにして試験片台10上に載置される。従って、表面コーティングの防曇性を評価する場合には、コーティング面を下にして試験片5を試験片台10上に載置する。
【0027】
試験片5を試験片台10上に載置することによって、貫通孔12の内部は、上方を試験片5の評価面5aによって遮蔽されると共に側方を貫通孔12の内壁から構成される外周壁14によって全周にわたって遮蔽され、下方が開放された空間となる。本実施形態では、この貫通孔12内部の空間を試験片5の評価面5aに生じる曇りを安定させるための加湿空間16としている。
【0028】
曇り生成装置40により発生した蒸気は、ノズル46によってこの加湿空間16の下方の開口から試験片5の評価面5aに向けて吹き付けられる。そして、試験片5の評価面5aに吹き付けられた蒸気は、評価面5aに曇りを生成すると共に加湿空間16内を滞留し、加湿空間16内に所定の湿度条件を生成する。これにより、本実施形態では、試験片5の評価面5aにおける曇り発生条件を適宜に維持し、安定した曇りの生成を可能としている。
【0029】
なお、加湿空間16の寸法および容積は特に限定されるものではなく、発生させる蒸気の種類(水、アルコール等)や量、試験片5のサイズや曇り発生条件に応じて、適宜の寸法および容積とすればよい。例えば、同図(b)に示されるように、条件に応じて試験片台10の外周壁14を下方に向けて突出させ、加湿空間16の容積を増加させるようにしてもよい。また、試験片台10に試験片5を加熱または冷却する加熱冷却装置を付加し、測定中の試験片5を所定の温度に保つようにしてもよい。さらに、試験片台10に加湿空間16を加熱または冷却する加熱冷却装置を付加して加湿空間16を所定の温度に保つようにしてもよい。
【0030】
図1に戻って、スポット光源20は、本実施形態では、拡散の少ないスポット光を照射可能な半導体レーザから構成している。具体的には、波長670nm、スポット径約0.8mmの半導体レーザを使用している。本実施形態のスポット光源20は、試験片5の素材に合せて波長670nmの半導体レーザを採用しているが、これに限定されるものではない。また、後述する散乱光測定装置30の受光素子32aのサイズおよび配列ピッチに合せて、スポット径が約0.8mmのスポット光を照射するものを採用しているが、これに限定されるものではない。すなわち、スポット光の設定は、試験片5の素材の特性や曇りの状態、必要な分解能等に応じて、適宜の波長、直径および強度を決定して行えばよい。
【0031】
なお、スポット径を小さくすることによって、散乱光の測定に対するスポット光の影響が小さくなるため、測定の精度を上げることができる。
【0032】
スポット光源20は、試験片5の評価面5aに対して略垂直にスポット光R1を照射するように、試験片台10の直上に下向きに配置されている。スポット光源20から照射されたスポット光R1は、試験片5の上面に略垂直に入射して下面である評価面5aから略垂直に射出する。そして、評価面5aに曇りが生成されている場合には、この曇り部分によってスポット光R1の一部が散乱し、スポット光源20の光軸中心から遠ざかる方向に円錐状に拡散する散乱光R2が発生することになる。
【0033】
なお、スポット光源20は、半導体レーザに限定されるものではなく、例えばガスレーザ等の強力なレーザ装置を採用してもよいし、測定条件によってはLEDライト等の簡易的な光源を採用することもできる。
【0034】
散乱光測定装置30は、試験片5を透過したスポット光R1から発生した散乱光R2の散乱度合いを測定するためのものである。具体的には、スポット光R1の光軸中心から離れる方向における散乱光強度の分布を測定する装置である。散乱光測定装置30は、試験片台10の下方において架台30aの上部に載置されている。そして、本実施形態の散乱光測定装置30は、スポット光R1と、正面から見て右方向に拡散した散乱光R2とを受光するように構成されている。
【0035】
図3(a)は散乱光測定装置30を正面から見た概略図であり、同図(b)は、上方から見た概略図である。これらの図に示されるように、散乱光測定装置30は、フォトダイオードアレイ32と、フォトダイオードアレイ32が実装されると共にフォトダイオードアレイ32の駆動回路等を備える基板34と、フォトダイオードアレイ32の上部に配設される遮光マスク36とから構成されている。なお、ここでは遮光マスク36が設置されている場合を例示しているが、遮光マスク36を省略することも可能である。
【0036】
フォトダイオードアレイ32は、既存のものを使用することができ、本実施形態では32個の受光素子32aが1mmのピッチで配列されたものを採用している。フォトダイオードアレイ32は、受光素子32aの受光面を上方に向けて配設される。
【0037】
遮光マスク36は、光を透過しない素材から構成された長方形板状の部材である。遮光マスク36には、円形断面の複数の受光規制孔36aが、フォトダイオードアレイ32の複数の受光素子32aと同一のピッチで同一の個数だけ長手方向に沿って形成されている。この受光規制孔36aは、遮光マスク36がフォトダイオードアレイ32の上部に配設された場合に各受光素子32aにそれぞれ対応する位置に配置される。従って、各受光素子32aは受光規制孔36aを通過した光のみを受光することとなる。
【0038】
本実施形態では、このような遮光マスク36を設けることによって、試験片5の評価面5aから直接入射する散乱光R2のみを各受光素子32aが受光するようにし、外部から進入する光や他の部材からの反射光が測定結果に影響しないようにしている。また、受光規制孔36aの寸法を適宜に設定することによって、受光素子32aの受光量を調節するようにしている。
【0039】
散乱光測定装置30は、同図(a)に示されるように、フォトダイオードアレイ32の一端(本実施形態では左端)の受光素子32aがスポット光R1の光軸中心に位置し、残りの受光素子32aがスポット光R1の光軸と直交する方向に配列するように配置される。そして、評価面5aからフォトダイオードアレイ32の多端(本実施形態では右端)の受光素子32aに直接入射する散乱光R2の散乱角度(光軸に対する角度)θが、約6°となるように設定されている。従って、散乱光測定装置30は、散乱角度が約0〜6°の範囲の散乱光R2を各受光素子32aが受光するようになっている。
【0040】
この受光素子32aの受光範囲の上限となる散乱角度θ、すなわち最大散乱角度θの値は特に限定されるものではなく、各種条件に応じて適宜に設定すればよい。但し、防曇性の評価に有効な散乱光R2の範囲を考慮すると、最大散乱角度θを4〜7°に設定することが好ましく、さらに5〜6°であればより好ましい。
【0041】
なお、受光素子32aの個数は32個に限定されるものではなく、これ以外の個数であってもよいが、正確な防曇性の評価を行うためには10個以上の受光素子32aによって測定を行うことが望ましい。また、一部の受光素子32aを遮光マスク36によって遮蔽することで測定に使用する受光素子32aの個数を調節するようにしてもよいし、防曇性の評価を行う場合に特定の受光素子32aにおけるデータのみを使用するようにしてもよい。
【0042】
また、フォトダイオードアレイ32の代わりに、複数のフォトダイオードを所定のピッチで配列するようにしてもよい。また、例えばフォトトランジスタやCCD等、その他の受光素子を使用するようにしてもよい。
【0043】
図4は、曇り生成装置40の構造を示した概略断面図である。同図に示されるように、曇り生成装置40は、液体Lを加熱して蒸気を発生させる蒸気発生装置である加熱タンク42と、加熱タンク42の上方に配設されたチャンバ44と、チャンバ44の上方に配設されたノズル46とから構成されている。
【0044】
加熱タンク42は、蒸気の原料となる液体L(本実施形態では、水)を貯蔵して加熱する中空のタンクである。加熱タンク42の底面の略中央には加熱ヒータ42aが突設されている。この加熱ヒータ42aは、例えば電熱式のヒータであり、加熱タンク42内の液体Lを加熱して蒸発させ、蒸気(飽和蒸気)Sを発生させる。
【0045】
また、加熱タンク42には、加熱タンク42内部の液体Lを曝気するための曝気システム47が設けられている。この曝気システム47は、循環ポンプ47aと、加熱タンク42の上部に配設した2つの回収口47bと、加熱タンク42の底部に配設した2つの導入口47cと、これらを繋ぐ配管47dと、導入口47cに配設された曝気フィルター47eとから構成されている。曝気システム47の循環ポンプ47aは、回収口47bから回収した加熱タンク42内の気体G(本実施形態では、空気)を、導入口47cから液体L内に導入することで液体Lを曝気する。
【0046】
本実施形態では、このように曝気システム47を加熱タンク42に設けることによって、気体G中の蒸気Sを安定した飽和状態に維持することを可能としている。さらに、本実施形態では、導入口47cに設けた曝気フィルター47eによって液体L内に導入する気体Gを細かい気泡に分割し、液体Lと気体Gの接触面積を増やして曝気能力を向上させるようにしている。
【0047】
なお、曝気システム47内に加熱ヒータを設け、循環させる気体G(および飽和蒸気S)を加熱するようにしてもよい。この場合、加熱タンク42内の加熱ヒータ42aの代わりに曝気システム47内に加熱ヒータを設け、循環させる気体Gを介して加熱タンク42内の液体Lを加熱するようにしてもよいし、加熱ヒータ42aに加えてさらに曝気システム47内に加熱ヒータを設けるようにしてもよい。
【0048】
さらに、加熱タンク42には、加熱タンク42内部の圧力を高めて、気体Gと共に飽和蒸気Sをノズル46に圧送するための圧送システム48が設けられている。この圧送システム48は、圧送ポンプ48aと、加熱タンク42底部に配設された2つの圧送口48bと、これらを繋ぐ配管48cとから構成されている。圧送システム48の圧送ポンプ48aは、加熱タンク42外部から気体Gを液体L内に圧送して加熱タンク42内部の圧力を上昇させる。これにより、加熱タンク42内部の気体Gおよび飽和蒸気Sは、チャンバ44を通じてノズル46まで圧送され、ノズル46の先端から試験片5にむけて噴出する。
【0049】
このように、本実施形態では、外部からの気体Gを液体Lの液面上の領域に圧送するのではなく、液体L内に圧送して気体Gを液体Lに接触させ、曝気することにより、ノズル46に圧送される気体G中の飽和蒸気Sの飽和状態を維持するようにしている。
【0050】
なお、圧送ポンプ48aの入口には流量調整バルブ48dが設けられており、この流量調整バルブ48dを調節することによって、ノズル46からの気体Gおよび飽和蒸気Sの噴出量を適宜に調節することが可能となっている。また、図示は省略するが、加熱タンク42には、加熱タンク42内部の温度を監視する温度センサ、および液体Lの量を監視する液面センサが設けられている。制御装置50は、温度センサからの信号に基づいて加熱ヒータ42aを制御する。また、制御装置50は、液面センサからの信号に基づいて液体Lの量が所定の量以下になった場合に警告を発する。液体Lの補給は、図示を省略した補給口から手動または自動で行われる。
【0051】
チャンバ44は、加熱タンク42とノズル46の間に設けられた緩衝室である。チャンバ44は、加熱タンク42内部の圧力変動を吸収し、ノズル46からの気体Gおよび飽和蒸気Sの噴出を安定させるためのものである。
【0052】
ノズル46は、チャンバ44に接続される基端部46aと、基端部46aの上部から試験片5に向けて延設された導管部46bとから構成されている。基端部46aは、導管46bが設けられた上部の回動部46a1が回動可能に構成されている。
【0053】
さらに、ノズル46には、回動部46a1を回動させるための回動機構49が設けられている。回動機構49は、モータ49aと、モータ49aと回動部46a1を接続するギヤ列49bから構成されている。回動機構49は、モータ49aによって回動部46a1を回動させることで、導管部46bを、試験片5に向けて飽和蒸気Sを吹き付ける吹付位置と、試験片5から退避する退避位置との間で移動させる。
【0054】
導管部46bは、先端部近傍が曲折されており、吹付位置において先端部が試験片5の評価面5aにおけるスポット光R1の光軸中心に向けられるようになっている。また、導管部46bの外周には、導管部46bを加熱するための加熱装置である電熱線46b1がコイル状に配設されている。本実施形態では、この電熱線46b1で導管部46bを加熱し、導管部46bを液体Lが結露しない温度に保持することによって、導管部46bの内周壁に結露が生じるのを防止している。
【0055】
このように、導管部46b内の結露を防止することによって、飽和蒸気Sの安定した噴出を可能にすると共に、導管部46b内部の詰りや導管部46b先端からの水滴の噴出によって測定に不具合が生じるのを未然に防止することができる。なお、ノズル46の基端部46aやチャンバ44にも、導管部46bと同様に加熱装置を設けるようにしてもよい。
【0056】
図1に戻って、制御装置50は、CPU、ならびにROM、RAMおよびハードディスク等の記憶手段を備えて構成され、同図に示されるように、スポット光源20、散乱光測定装置30、曇り生成装置40、および操作・表示パネル60と電気的に接続されている。なお、散乱光測定装置30は、増幅器52を介して制御装置50に接続されている。増幅器50は、散乱光測定装置30からの信号を増幅して制御装置50に送信するものである。本実施形態の制御装置50は、これらの装置を制御する制御装置として機能すると共に、散乱光R2の測定結果から防曇性評価指数を算出して防曇性を評価する評価装置としても機能するようになっている。
【0057】
操作・表示パネル60は、本実施形態では、表示部と操作部を兼用した液晶タッチパネルディスプレイから構成しているが、これに限定されるものではなく、液晶ディスプレイ等による表示部と、ボタンやキーボード等による操作部を別体に設けてもよい。また、制御部50および操作・表示パネル60の代わりに、ディスプレイ、キーボード、マウス等を備える一般的なPCを使用してもよい。
【0058】
また、制御装置50とは別に評価装置を設けるようにしてもよい。この場合、評価装置として一般的なPCを使用することができ、測定データの移動には各種通信ケーブルや記憶媒体を使用することができる。
【0059】
次に、本実施形態の防曇性評価装置1による防曇性の評価方法の手順について説明する。
【0060】
まず、曇り生成装置40を作動させて液体Lを加熱し、ノズル46から飽和蒸気Sを噴出可能な状態とする。このとき、ノズル46は退避位置にある状態にしておく。そして、試験片5を試験片台10上に載置する。
【0061】
次に、スポット光源20からスポット光R1を試験片に向けて照射する。そして、試験片5を透過したスポット光R1を散乱光測定装置30で受光し、飽和蒸気Sを吹き付けない状態(曇りがない状態)での基準受光量を各受光素子32aについて測定する。散乱光測定装置30は、各受光素子32aの受光量に応じた信号を受光素子32aごとに制御装置50に送信する。制御装置50は、受信した信号から各受光素子32aの基準受光量を算出し、受光素子32aごとの基準受光量データとして記憶手段に記憶する。
【0062】
次に、ノズル46を吹付位置に移動させ、所定の時間(例えば20〜30秒間)飽和蒸気Sを試験片5の評価面5aに向けて吹付ける。その後、スポット光源20からスポット光R1を試験片に向けて照射し、評価面5aに生じた曇りにより発生したスポット光R1の散乱光R2を散乱光測定装置30によって受光し、散乱光R2の散乱度合いを測定する。
【0063】
制御装置50は、散乱光測定装置30から受信した信号に基づいて各受光素子32aの受光量を算出し、受光素子32aごとの受光量データとして記憶手段に記憶する。これにより、各受光素子32aの受光量分布、すなわちスポット光R1の光軸中心から離れる方向の受光量分布が得られる。
【0064】
このスポット光R1の散乱度合いの測定は、一度だけ行ってもよいし、所定の間隔(例えば、10秒ごと)で複数回行うようにしてもよい。また、散乱度合いの測定中、常にノズル46から飽和蒸気Sを試験片5に吹き付けるようにしてもよいし、ノズル46を退避位置に移動させて、飽和蒸気Sの吹き付けを停止した上で測定を行うようにしてもよい。また、ノズル46を退避させて飽和蒸気Sの吹き付けを停止した後に、複数回の測定を行うことで、評価面5aにおける曇りの状態の経時的変化に伴う散乱度合いの変化を測定するようにしてもよい。
【0065】
次に、各受光素子32aの受光量データに基づいて、散乱光R2の散乱度合いを数値化した防曇性評価指数を算出する。この防曇性評価指数の算出では、まず、各受光素子32aの受光量から基準受光量を減算したΔ受光量を、受光素子32aごとに算出する。これにより、スポット光R1自体の拡散や評価面5aの性状等に起因する散乱光による影響を排除することができる。
【0066】
次に、スポット光R1の光軸中心から各受光素子32aまでの距離をx、各受光素子32aのΔ受光量をyとした場合の分布曲線について線形近似を行い、一次式(y=ax+b)を求める。なお、本実施形態では、スポット光R1の光軸中心に位置する受光素子32aに隣接する受光素子32aから受光量が初めて所定の値より低くなった(例えば、初めて受光量値が、スポット光R1の全光量の0.01%以下となった)受光素子32aまでの範囲を有効範囲として抽出し、線形近似を行うようにしている。このように、光軸中心から遠方において受光量が微小となった受光素子32aのΔ受光量を無視することによって、Δ受光量の分布の差異をより明確にすることができる。
【0067】
最後に、求めた一次式とx軸との交点におけるxの値、すなわちy=0のときのxの値(=−b/a)を算出し、このxの値を防曇性評価指数とする。この防曇性評価指数は、スポット光R1の散乱度合いが大きいほど大きい値となる。そして、試験片5を透過する光の散乱度合いが大きいということは、表面に生じた曇りによって試験片5を透過して見える景色の明瞭性が低下したということを示している。従って、防曇性評価指数の値が大きいほど試験片5の防曇性が低く、防曇性評価指数の値が小さいほど試験片5の防曇性が高いと評価することができる。
【0068】
図5(a)〜(c)は、防曇性評価装置1による測定例を示した図である。これらの測定では、番号0〜10の11個の受光素子32aを3.1mmピッチで配列し、最大散乱角度θを5.861°に設定した散乱光測定装置30を使用した。また、試験片5の評価面に5aに30秒間飽和蒸気Sを吹き付けた後にノズル46を退避させ、飽和蒸気Sの吹き付けを停止してから20秒後のスポット光R1の散乱度合いを測定した。
【0069】
同図(a)〜(c)のグラフでは、縦軸(y軸)をΔ受光量[%]、横軸(x軸)をスポット光R1の光軸中心からの距離とし、Δ受光量の分布曲線および線形近似による直線を示している。なお、ここでは、Δ受光量の値を左端の受光素子32aにおける基準受光量(スポット光R1の全光量と略等しい)の1/100の値を基準とした割合(%)として表している。また、光軸中心からの距離を各受光素子32aの番号による無次元量としている。また、線形近似を行う有効範囲を番号1の受光素子32aからΔ受光量の値が初めて1%以下となった受光素子32aまでの範囲としている。
【0070】
同図(a)は評価面5aの接触角が2.6°である試験片5−1についての測定結果であり、同図(b)は評価面5aの接触角が15.9°である試験片5−2についての測定結果であり、同図(c)は評価面5aの接触角が30.2°である試験片5−3についての測定結果である。
【0071】
試験片5−1では、スポット光R1の散乱度合いが比較的小さく、有効範囲が「x=1〜2」、線形近似による一次式が「y=−6.60x+13.8」となり、防曇性評価指数は「2.09」であった。試験片5−2では、スポット光R1の散乱度合いが試験片5−1よりも大きく、有効範囲が「x=1〜6」、線形近似による一次式が「y=−8.93x+49.9」となり、防曇性評価指数は「5.59」であった。試験片5−3では、スポット光R1の散乱度合いが試験片5−2よりもさらに大きく、有効範囲が「x=1〜9」、線形近似による一次式が「y=−2.53x+22.8」となり、防曇性評価指数は「9.03」であった。
【0072】
このように、本実施形態の防曇性評価装置1を使用して防曇性評価指数を求めることにより、ガラスやプラスティック等の光透過性素材を透過する光の、曇りによる散乱度合いを定量化することができる。これにより、各種光透過性素材の防曇性を客観的に評価することが可能となる。
【0073】
図6は、本実施形態の防曇性評価装置1によって求めた試験片5の防曇性評価指数と、試験片5の評価面5aの接触角との関係を示した図である。同図では、縦軸を防曇性評価指数、横軸を接触角[deg]とし、3種類のコート剤1〜3をコーティングして評価面5aの接触角を様々に変化させて測定を行った結果をプロットしている。同図に示されるように、防曇性評価指数と表面の接触角との間には有意な相関が認められる。従って、本実施形態の防曇性評価装置1による防曇性評価指数によれば、各種光透過性素材の防曇性を高精度に評価することができる。
【0074】
以上説明したように、本実施形態に係る防曇性評価装置1は、試験片5に向けてスポット光R1を発するスポット光源20と、試験片5に向けて飽和蒸気Sを吹き付ける曇り生成装置40と、飽和蒸気Sによって試験片5に発生した曇りにおけるスポット光R1の散乱光R2を受光して散乱度合いを測定する散乱光測定装置30を備えているため、従来客観的な評価が困難であった試験片5の防曇性を客観的に評価することができる。
【0075】
特に、曇り生成装置40を備えることにより、試験片5の周囲を密閉空間として高温多湿状態とする必要がないため、装置をシンプル且つ安価に構成することができる。また、外部から密閉空間内の試験片5を測定するための測定窓等に生じる曇りの影響がないため、高精度な測定を行うことができる。
【0076】
また、散乱光測定装置30は、スポット光R1の光軸と直交する方向に配置された複数の受光素子32aから構成されているため、スポット光R1の散乱光R2の散乱度合いを各受光素子32aの受光量の分布として高精度に測定することができる。
【0077】
また、試験片台10は、試験片5の評価面5aの周囲を囲む外周壁14を備え、曇り生成装置40は、外周壁14および評価面5aによって遮蔽された加湿空間16内に向けて飽和蒸気Sを吹き付けるため、飽和蒸気Sを加湿空間16内に滞留させて試験片5の表面の曇りの生成を安定させることができる。
【0078】
また、加湿空間16は、試験片5の下側に設けられ、上方が試験片5によって遮蔽されると共に側方が外周壁14によって遮蔽され、下方が開放された空間であるため、曇り生成装置40からの飽和蒸気Sを安定して加湿空間16内に滞留させることができる。
【0079】
また、曇り生成装置40は、飽和蒸気Sを発生させる蒸気発生装置である加熱タンク42と、飽和蒸気Sを試験片5に向けて吹き付けるノズル46とを備えているため、安定した飽和蒸気Sを試験片5に吹き付けることができる。これにより、評価面5aにおける結露を容易にし、迅速に曇りを発生させることができる。また、試験片5の周囲が密閉されていないながらも、試験片5の表面に安定した曇りを生成することができる。さらに、曇り生成装置40は、ノズル46を結露しない温度に保持する電熱線46b1を備えているため、結露による不具合が生じるのを防止することができる。
【0080】
また、制御装置50は、散乱光測定装置30の測定結果に基づいて散乱度合いを数値化した防曇性評価指数を算出し、防曇性評価指数が小さいほど試験片5の防曇性を高いと評価する評価装置として機能するため、試験片5の防曇性の客観的な評価を容易に行うことができる。
【0081】
また、散乱光測定装置30は、スポット光R1の光軸中心から離れる方向における受光量の分布を測定し、評価装置として機能する制御装置50は、受光量の分布に基づいて防曇性評価指数を算出する。具体的には、スポット光R1の光軸中心からの距離をx、受光量をyとした場合の受光量の分布曲線を一次式に近似し、この一次式のx軸との交点におけるxの値を防曇性評価指数とするため、試験片5を透過するスポット光R1の曇りによる散乱度合いを定量化することが可能となり、試験片5の防曇性を客観的に評価することができる。
【0082】
なお、本実施形態においては、上方から下方に向けてスポット光R1を照射する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、スポット光源20からのスポット光R1の照射方向は、下方から上方であってもよいし、水平方向であってもよい。
【0083】
また、本実施形態においては、試験片5のスポット光R1が射出される面を評価面5aとした例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、スポット光R1が入射される面を評価面5aとしてもよい。なお、この場合、加湿空間16は、スポット光R1が入射される側に設けられることとなる。
【0084】
また、本実施形態においては、散乱光測定装置30をスポット光R1の光軸中心から離れる一方向にのみ設けているが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数の散乱光測定装置30をスポット光R1の光軸中心から離れる複数の方向に設けるようにしてもよい。
【0085】
また、散乱光測定装置30をCCDカメラから構成するようにしてもよい。この場合、受光量の分布を画像処理により視覚化することができる。
【0086】
また、図7に示されるように、スポット光源20および散乱光測定装置30を共に試験片5の片側に配置し、試験片5の評価面5aでスポット光R1を反射させることにより、例えば鏡のような光を透過しない素材の防曇性を評価することができる。なお、この場合、散乱光測定装置30は、試験片5から反射したスポット光R1の光軸に直交する方向に配置されることとなる。
【0087】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の防曇性評価装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、光を透過または反射する各種素材の防曇性の評価や、各種素材の表面にコーティングされるコート剤の防曇性の評価に利用することができる。
【符号の説明】
【0089】
1 防曇性評価装置
5 試験片
5a 評価面
10 試験片台
14 外周壁
16 加湿空間
20 スポット光源
30 散乱光測定装置
32a 受光素子
40 曇り生成装置
42 加熱タンク
46 ノズル
46b1 電熱線
50 制御装置
R1 スポット光
R2 散乱光
S 飽和蒸気

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物に向けてスポット光を発するスポット光源と、
前記被測定物に向けて蒸気を吹き付ける曇り生成装置と、
前記蒸気によって前記被測定物に発生した曇りにおける前記スポット光の散乱光を受光して散乱度合いを測定する散乱光測定装置と、を備えることを特徴とする、
防曇性評価装置。
【請求項2】
前記散乱光測定装置は、前記スポット光の光軸と直交する方向に配置された複数の受光素子から構成されることを特徴とする、
請求項1に記載の防曇性評価装置。
【請求項3】
前記被測定物の防曇性を評価する評価面の周囲を囲む外周壁をさらに備え、
前記曇り生成装置は、前記外周壁および前記評価面によって遮蔽された加湿空間内に向けて蒸気を吹き付けることを特徴とする、
請求項1または2に記載の防曇性評価装置。
【請求項4】
前記加湿空間は、前記被測定物の下側に設けられ、上方が前記評価面によって遮蔽されると共に側方が前記外周壁によって遮蔽され、下方が開放された空間であることを特徴とする、
請求項3に記載の防曇性評価装置。
【請求項5】
前記曇り生成装置は、飽和蒸気を発生させる蒸気発生装置と、前記飽和蒸気を前記被測定物に向けて吹き付けるノズルと、前記ノズルを結露しない温度に保持する加熱装置と、を備えることを特徴とする、
請求項1乃至4のいずれかに記載の防曇性評価装置。
【請求項6】
前記散乱光測定装置の測定結果に基づいて前記散乱度合いを数値化した防曇性評価指数を算出し、前記防曇性評価指数が小さいほど前記被測定物の防曇性を高いと評価する評価装置をさらに備えることを特徴とする、
請求項1乃至5のいずれかに記載の防曇性評価装置。
【請求項7】
前記散乱光測定装置は、前記スポット光の光軸中心から離れる方向における受光量の分布を測定し、
前記評価装置は、前記受光量の分布に基づいて前記防曇性評価指数を算出することを特徴とする、
請求項6に記載の防曇性評価装置。
【請求項8】
前記評価装置は、前記スポット光の光軸中心からの距離をx、前記受光量をyとした場合の前記受光量の分布曲線を一次式に近似し、前記一次式のx軸との交点におけるxの値を前記防曇性評価指数とすることを特徴とする、
請求項7に記載の防曇性評価装置。
【請求項9】
蒸気を吹き付けた被測定物に向けてスポット光を発し、
前記蒸気によって前記被測定物に発生した曇りによる前記スポット光の散乱光を受光して前記スポット光の光軸中心から離れる方向における前記散乱光の受光量の分布を測定し、
前記受光量の分布に基づいて散乱度合いを数値化した防曇性評価指数を算出し、
前記防曇性評価指数が小さいほど前記被測定物の防曇性を高いと評価することを特徴とする、
防曇性評価方法。
【請求項10】
前記スポット光の光軸中心からの距離をx、前記受光量をyとした場合の前記受光量の分布曲線を一次式に近似し、前記一次式のx軸との交点におけるxの値を前記防曇性評価指数とすることを特徴とする、
請求項9に記載の防曇性評価方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−190601(P2010−190601A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−32542(P2009−32542)
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【出願人】(000162504)協和界面科学株式会社 (10)
【出願人】(390021577)東海旅客鉄道株式会社 (413)
【Fターム(参考)】