説明

防曇構造、その形成方法およびそれを有する発光装置

【課題】発光装置の防曇等に用いられる防曇構造、その形成方法およびそれを有する発光装置を提供する。
【解決手段】下記の第一モノマー、第二モノマー、第三モノマーまたはこれらの組合せと光開始剤とを混合して、混合物を形成する工程と、前記混合物で基材表面を被覆する工程と、前記混合物を固化して、前記基材表面上に防曇層を形成する方法、該方法により形成された防曇構造、該防曇構造を適用した透明カバーを有する発光装置であり、前記第一モノマーは:


で表され、前記第二モノマーは:ポリアルキレングリコールメチルエーテルのアクリル酸もしくはα−アルキル置換アクリル酸エステル、前記第三モノマー:ジアルキレングリコールアルキルエーテルのアクリル酸もしくはα−アルキル置換アクリル酸エステルであるもの

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防曇構造に関するものであって、特に、優れた防曇機能と加工性を有する防曇構造、その形成方法およびそれを有する発光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用の計器面は、ここ数年、防曇機能面で発展し、以前は、白熱灯を照明にしていたが、ランプの温度は高いので、計器内部に水分があると、ランプの高熱により、水分を気化させて排気孔から排出していた。近年、省エネ、二酸化炭素の排出削減などが要求されるようになり、白熱灯は、高輝度放電(HID)ランプおよび発光ダイオード(LED)ランプにより代替されているが、計測器内の温度は比較的低いので、内部に霧が発生しやすい。
【0003】
現在、透明プラスチックレンズの防曇材料は、通常、二液型熱固化システムを使用している。このシステムの製造工程は、時間がかかり、また、基材表面に物理的に接着するだけであり、使用時に形成された水膜が防曇材料を溶解するので、防曇機能を低下させ、効能を維持することができない。特に、輸出商品は、高温多湿のコンテナで運搬した場合、目的地に到着した時には、使用できなくなっている。
【0004】
したがって、優れた防曇機能と加工性を有する新規な防曇層が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2007−500767号公報(米国特許出願公開第2005/0027082号公報および米国特許第7169825号公報に対応)
【特許文献2】台湾特許第I331961号公報(台湾特許出願公開第201018581号公報に対応)
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Dr.Peter Wagner,“Anti−fog additives give clear advantage”,Plastics,Addtives and Compounding,Volume 3,Issue 11,November 2001,Pages 18−21
【非特許文献2】J.Luenig,D.Y.Yoon,J.Stoehr,“Importance of structural order for the low surface energy of perfluoroalkyl substituted polymethacrylates”,Journal of Electron Spectroscopy and Related Phenomena,Volume 121,Issues 1−3,December 2001,Pages 265−279
【非特許文献3】Young Chul Han,Song Lee,Byung Hyun Ahn,Sun Wha Oh,Young Soo Kang,“Preparation of anti−fogging low density polyethylene film by using γ−irradiation”,Sensors and Actuators B:Chemical,Volume 126,Issue 1,20 September 2007,Pages 266−270
【非特許文献4】Akira Fujishima,Tata N.Rao,Donald A.Tryk,“Titanium dioxide photocatalysis”,Journal of Photochemistry and Photobiology C:Photochemistry Reviews,Volume 1,Issue 1,29 June 2000,Pages 1−21
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1には、多官能性アクリレートマイケル受容体(例えば、ジアクリレート、トリアクリレートおよびテトラアクリレートからなる群より選択される多官能性アクリレート)とβ−ジカルボニルマイケル供与体(例えば、β−ケトエステル、β−ジケトン、β−ケトアミド、β−ケトアニリドおよびそれらの混合物からなる群より選択されるβ−ジカルボニル化合物)とから形成されるマイケル付加ポリアクリレート生成物および多官能性メルカプタンを含有する自己光開始性液状オリゴマー組成物が記載されている。特許文献1には、この液状オリゴマー組成物をアルミニウムパネルまたはステンレススチールパネル上に塗布し、この塗膜をUV照射で硬化させることにより、接着性、耐損傷性、硬化速度、表面硬度に優れたコーティングを形成することが記載されているが、このコーティングの防曇性については一切記載されていない。
【0008】
また、特許文献2には、単官能性および/または多官能性モノマー(例えば、単官能性および/または多官能性(メタ)アクリレートモノマー)を含有するUV硬化性樹脂組成物をプラスチック製品上に塗布し、この塗膜をUV照射で硬化させることにより、硬度、接着性、耐摩耗性、延伸性に優れたコーティングを形成することが記載されているが、このコーティングの防曇性については一切記載されていない。
【0009】
他方、非特許文献1には、プラスチックフィルム用の防曇剤が紹介されており、特に、防曇剤の設計や製造における重要な問題点が考察され、農業用三層フィルムへの応用例が記載されている。非特許文献2には、低表面エネルギーコーティングや濡れ防止剤がマイクロエレクトロニクスや防曇・防汚用途において重要な役割を果たし、医学分野でも応用が期待されること、現在、汎用されているペルフルオロアルキル置換ポリメタクリレート(PFPM)について、吸収端近傍X線吸収微細構造(NEXAFS)の測定結果から、表面秩序パラメータが表面エネルギーと相関しており、表面エネルギーがCF基の表面偏析により低下することが判明し、PFPMなどの濡れ防止特性がCF基の表面偏析により生じると考えられることなどが記載されている。非特許文献3には、低密度ポリエチレン(LDPE)にトリフルオロ酢酸アリルエステル(TFAA)をγ線照射でグラフトさせることにより、防曇性を有するフィルムを調製することが記載されている。非特許文献4には、二酸化チタン(TiO)を光触媒として利用する分野、主として、光触媒による空気清浄、殺菌、がん治療などにおける現状が基本的事項と共に考察され、TiOの関与する新規な光誘起超親水化現象およびその応用が提示されている。
【0010】
このような状況に鑑みて、本発明は、優れた防曇機能と加工性を有する防曇構造、その形成方法およびそれを有する発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
まず、本発明は、基材と前記基材上に位置する防曇層とを含む防曇構造を提供する。この防曇層は、実質的に、第一モノマー、第二モノマー、第三モノマーまたはこれらの組合せを重合して形成される。
第一モノマーは、式1:
【0012】
【化1】

(式1)
【0013】
[式中、RはHまたはC1−3アルキル、RはC1−5アルキレンまたはC6−12芳香族基、Rは、それぞれ独立して、HまたはC1−5アルキルから選択され、mは1〜20である]
で表される。
第二モノマーは、式2:
【0014】
【化2】

(式2)
【0015】
[式中、RはHまたはC1−3アルキル、RはC1−5アルキレンまたはC6−12芳香族基、nは1〜20である]
で表される。
第三モノマーは、式3:
【0016】
【化3】

(式3)
【0017】
[式中、RはHまたはC1−3アルキル、Rは、それぞれ独立して、C1−5アルキレンまたはC6−12芳香族基から選択され、RはC1−5アルキルである]
で表される。
【0018】
前記防曇層は、例えば、第一モノマー、第二モノマーまたは第三モノマーのいずれかから構成される。あるいは、前記防曇層は、第一モノマーと第三モノマーとから構成されていてもよい。この場合、第一モノマーと第三モノマーとの質量比は1:99〜99:1である。あるいは、前記防曇層は、第一モノマーと第二モノマーとから構成されていてもよい。この場合、第一モノマーと第二モノマーとの質量比は1:99〜99:1である。あるいは、前記防曇層は、第二モノマーと第三モノマーとから構成されていてもよい。この場合、第二モノマーと第三モノマーとの質量比は1:99〜99:1である。あるいは、前記防曇層は、第一モノマー、第二モノマーおよび第三モノマーから構成されていてもよい。この場合、第一モノマーと第二モノマーと第三モノマーとの質量比は20〜60:20〜60:20〜60である。
【0019】
また、本発明は、防曇構造の形成方法を提供する。この形成方法は、第一モノマー、第二モノマー、第三モノマーまたはこれらの組合せと光開始剤とを混合して、混合物を形成する工程と、前記混合物で基材表面を被覆する工程と、前記混合物を固化して、前記基材表面上に防曇層を形成する工程とを含む。ここで、第一モノマー、第二モノマーおよび第三モノマーは、それぞれ、上記式1、式2および式3で表される。
【0020】
前記混合物は、例えば、第一モノマー、第二モノマーまたは第三モノマーのいずれかを含有する。あるいは、前記混合物は、第一モノマーと第三モノマーとを含有していてもよい。この場合、第一モノマーと第三モノマーとの質量比は1:99〜99:1である。あるいは、前記混合物は、第一モノマーと第二モノマーとを含有していてもよい。この場合、第一モノマーと第二モノマーとの質量比は1:99〜99:1である。あるいは、前記混合物は、第二モノマーと第三モノマーとを含有していてもよい。この場合、第二モノマーと第三モノマーとの質量比は1:99〜99:1である。あるいは、前記混合物は、第一モノマー、第二モノマーおよび第三モノマーを含有していてもよい。この場合、第一モノマーと第二モノマーと第三モノマーとの質量比は20〜60:20〜60:20〜60である。
【0021】
さらに、本発明は、防曇構造を有する発光装置を提供する。この発光装置は、光源を収容する殻体と、前記殻体を覆う透明カバーと、前記透明カバー上に位置し、前記透明カバーと前記光源との間に設置される防曇層とを含む。この防曇層は、実質的に、第一モノマー、第二モノマー、第三モノマーまたはこれらの組合せを重合して形成される。ここで、第一モノマー、第二モノマーおよび第三モノマーは、それぞれ、上記式1、式2および式3で表される。
【発明の効果】
【0022】
本発明の防曇構造は、基材上に親水性の防曇層を有するので、優れた防曇機能を有すると共に、この防曇層がモノマー混合物で基材表面を被覆した後に紫外線照射するだけで形成できるので、優れた加工性を有する。また、防曇構造の形成方法は、防曇層の形成に時間がかからず、環境にやさしい。さらに、防曇構造を有する発光装置は、伝えるべきメッセージを使用者が識別しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の好ましい防曇構造を形成する工程を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の好ましい防曇構造を形成する工程を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明の好ましい発光装置を模式的に示す断面図である。
【図4】本発明の好ましい発光装置が湿気のある環境下に置かれた状態を模式的に示す断面図である。
【図5】従来技術による発光装置が湿気のある環境下に置かれた状態を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の防曇構造は、基材上に、特殊な化学構造のアクリル酸系オリゴマーおよび/またはリン酸系化合物を重合して形成された防曇層を有する。防曇層の厚さは、例えば、1〜1000μmであり、基材の厚さは、例えば、0.01〜100mmである。しかし、防曇層の厚さと基材の厚さとは、必要に応じて調整することができ、これらの範囲に制限されるものではない。
【0025】
本発明の防曇構造を形成するには、まず、第一モノマー、第二モノマー、第三モノマーまたはこれらの組合せと光開始剤とを混合して、混合物を形成する。
第一モノマーは、リン酸系化合物であり、式1:
【0026】
【化4】

(式1)
【0027】
[式中、RはHまたはC1−3アルキル、RはC1−5アルキレンまたはC6−12芳香族基、Rは、それぞれ独立して、HまたはC1−5アルキルから選択され、mは1〜20、好ましくは1〜5である]
で表される。
第二モノマーは、ポリアルキレングリコールを含むアクリル酸であり、式2:
【0028】
【化5】

(式2)
【0029】
[式中、RはHまたはC1−3アルキル、RはC1−5アルキレンまたはC6−12芳香族基、nは1〜20、好ましくは5〜15である]
で表される。
第三モノマーは、アルキレングリコールオリゴマーを有するアクリル酸であり、式3:
【0030】
【化6】

(式3)
【0031】
[式中、RはHまたはC1−3アルキル、Rは、それぞれ独立して、C1−5アルキレンまたはC6−12芳香族基から選択され、RはC1−5アルキルである]
で表される。
【0032】
光開始剤の選択と光源の種類(例えば、水銀灯、無電極ランプ、LEDランプまたはキセノンランプ)、波長(例えば、UV−Aは400〜315nm、UV−Bは315〜280nm、UV−Cは280〜200nm)およびエネルギー強度(mJ/g)は、適宜調整すればよい。例えば、光開始剤が2,4,6−(トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキシド(TPO,C2221PO)である場合、励起波長は382nmであり、UV−Aの光源を選択して励起する必要がある。
【0033】
光開始剤としては、アセトフェノン類、例えば、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル−2−モルホリノプロパン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(モルホリニル)フェニル]−1−ブチル−1−オン、その他の適当なアセトフェノン類;ベンゾイン類、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、その他の適当なベンゾイン類;ベンゾフェノン類、例えば、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、その他の適当なベンゾフェノン類;チオキサントン類、例えば、イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、その他の適当なチオキサントン類;アントラキノン類、例えば、2−エチルアントラキノン、その他の適当なアントラキノン類;などが挙げられる。これらの光開始剤は、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。例えば、イソプロピルチオキサントンと2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(モルホリニル)フェニル]−1−ブチル−1−オンとを組み合わせて用いれば、感光速度を速くすることができる。
【0034】
第一モノマー、第二モノマー、第三モノマーまたはこれらの組合せと光開始剤との質量比は、100:0.5〜100:7である。光開始剤の使用量が多すぎる場合、不安定な遊離基が多く残留し、製品の安定度に影響する。光開始剤の使用量が少なすぎる場合、モノマーを十分に重合させて固化することができない。
【0035】
上記混合物の粘度は、好ましくは23〜1700cp(0.023〜1.7Pa・s)である。混合物の粘度が高すぎる場合、例えば、噴霧などの被覆方式を実施することができないことがある。粘度が高い混合物には、塗布などのその他の被覆方式を採用する。
【0036】
ある実施形態では、上記混合物は、第一モノマー、第二モノマーまたは第三モノマーのいずれかを含有する。別の実施形態では、上記混合物は、第一モノマーと第三モノマーとを含有する。この場合、第一モノマーと第三モノマーとの質量比は、好ましくは1:99〜99:1、より好ましくは30:70〜70:30である。別の実施形態では、上記混合物は、第一モノマーと第二モノマーとを含有する。この場合、第一モノマーと第二モノマーとの質量比は、好ましくは1:99〜99:1、より好ましくは30:70〜70:30である。別の実施形態では、上記混合物は、第二モノマーと第三モノマーとを含有する。この場合、第二モノマーと第三モノマーとの質量比は、好ましくは1:99〜99:1、より好ましくは30:70〜70:30である。さらに別の実施形態では、上記混合物は、第一モノマー、第二モノマーおよび第三モノマーを含有する。この場合、第一モノマーと第二モノマーと第三モノマーとの質量比は、好ましくは20〜60:20〜60:20〜60である。
【0037】
上記混合物には、補助剤、例えば、変色防止剤、平滑剤、粘度調整剤またはこれらの組合せを添加してもよい。この場合、第一モノマー、第二モノマー、第三モノマーまたはこれらの組合せと、変色防止剤、平滑剤、粘度調整剤またはこれらの組合せとの質量比は、好ましくは100:0.1〜100:5である。添加した補助剤が多すぎる場合、防曇層の親水性に影響する。
【0038】
変色防止剤は、後に形成される防曇層が日光照射下で黄変することを防止する。変色防止剤としては、ベンゾフェノン類、アセチルサリチル酸(ASA)、パラアミノ安息香酸(PABA)、アミノベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、sym−ジフェニルオキサミド、ヒンダードアミン、ケイ皮酸またはこれらの誘導体などの有機化合物、二酸化チタンなどの無機粉体などが挙げられる。
【0039】
平滑剤は、混合物で基剤表面を被覆する際に、平坦、滑らか、かつ、均一な薄膜を形成することができるようにするものである。平滑剤としては、酢酸酪酸セルロース、ポリアクリル酸塩、有機シリコン樹脂、フッ素系材料などが挙げられる。
【0040】
次いで、図1に示すように、混合物11で基材10の表面を被覆する。被覆方法としては、塗布法、例えば、スプレー法、ロールコーティング法、スピンコート法、浸漬法またはこれらの組合せなどが挙げられる。図1において、基材10は平坦な構造を有するが、実際の応用上、弧状などのその他の構造を有していてもよい。基材10の素材としては、プラスチック、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、メチルメタクリレート−スチレン共重合体、上記混合物と化学結合を形成するその他の高分子などが挙げられる。
【0041】
次いで、図2に示すように、紫外線を混合物に照射して、混合物11を固化し、防曇層11’をプラスチック基材10の表面上に形成する。紫外線の波長は、好ましくは200nm〜400nmである。紫外線の強度および照射時間は、適宜調整することができる。混合物を固化するその他の方式としては、熱固化方式またはその他の遊離基開始剤を用いた固化方式などが挙げられる。上記の固化工程後、防曇層11’と基材10とは、互いの表面間に化学結合(ここで、化学結合は水素結合または炭素−炭素結合を含む)を有するようになり、その結果、防曇構造が完成する。この防曇構造は、レンズ、ビルの垂れ幕または後述の発光装置、例えば、ダッシュボードまたはランプ中に応用することができる。
【0042】
発光装置は、例えば、図3に示すように、光源31を殻体30中に設置すると共に、表面に防曇層11’(つまり、上記混合物を固化して形成された親水性の防曇層)を有する基材10(例えば、プラスチック基材)で殻体30を覆って、製造する。殻体30の材質としては、金属、セラミック、プラスチックなどが挙げられるが、必要に応じて選択することができる。防曇層11’は、基材10と光源31との間に設置される。空気中の湿気が多い時や雨天の時、殻体30中の水分は、防曇層11’上に均一に分布して、図4に示すような水膜41を形成する。それゆえ、光源31が伝えたいメッセージ、例えば、ダッシュボードの変化を使用者が識別しやすい。
【0043】
これに対し、基材10が親水性の防曇層を有さない場合には、水分は、図5に示すように、大小異なる小滴51となって基材10表面上に凝集する。それゆえ、光源31が伝えたいメッセージ、例えば、ダッシュボードの変化を使用者が識別しにくくなる。
【実施例】
【0044】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記の実施例により制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0045】
防曇層の効果を定量化するために、実施例では、水膜(または水滴)と防曇層との間の接触角を比較の基準とする。適当な親水性を有する防曇層は、好ましい防曇効果を発揮する。一般に、水膜(または水滴)と防曇層との間の接触角は0.1°〜35°である必要がある。接触角が大きすぎる場合、小滴が均一に基材表面全体を覆って水膜を形成するのが困難であり、発光装置の識別度を効果的に改善することができない。
【0046】
実施例1
100gの第一モノマー(式1を参照;Rはメチル基、Rはエチレン基、RはH、mは1.5(mが1およびmが2の混合物);SIGMA−Aldrichのリン酸2−ヒドロキシエチルメタクリル酸エステル(Phosphoric acid 2−hydroxyethyl methacrylate ester))、3gの光開始剤ITX(DBC)および3gの光開始剤907(Ciba)をほぼ均一に攪拌混合した。得られた混合物の粘度は1687cp(1.687Pa・s)であった。自動フィルムアプリケータ(Zehntner社のZAA2300)により、上記混合物をポリメチルメタクリレート基材上に塗布後(基材厚さ3mm)、紫外線露光設備(CHINEE社のCNU−202)により5〜8秒間照射し(露光強度は1000mJ/cm)、厚さ約6μmの薄膜(防曇層)を形成した。上記薄膜上に一滴の純水を垂らして、動的接触角測定装置により、水滴と薄膜との接触角を測定したところ、6.55°であった。
【0047】
実施例2
100gの第二モノマー(式2を参照;Rはメチル基、Rはエチレン基、nは9;SIGMA−Aldrichのポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート、3gの光開始剤ITX(DBC)および3gの光開始剤907(Ciba)をほぼ均一に攪拌混合した。得られた混合物の粘度は69.8cp(0.0698Pa・s)であった。自動フィルムアプリケータ(Zehntner社のZAA2300)により、上記混合物をポリメチルメタクリレート基材上に塗布後(基材厚さ3mm)、紫外線露光設備(CHINEE社のCNU−202)により5〜8秒間照射し(露光強度は1000mJ/cm)、厚さ約6μmの薄膜(防曇層)を形成した。上記薄膜上に一滴の純水を垂らして、動的接触角測定装置により、水滴と薄膜との接触角を測定したところ、4.8°であった。
【0048】
実施例3
100gの第三モノマー(式3を参照;RはH、Rはエチレン基、Rはエチル基;SIGMA−Aldrichのジ(エチレングリコール)エチルエーテルアクリレート、3gの光開始剤ITX(DBC)および3gの光開始剤907(Ciba)を均一に攪拌混合した。得られた混合物の粘度は23.7cp(0.0237Pa・s)であった。自動フィルムアプリケータ(Zehntner社のZAA2300)により、上記混合物をポリメチルメタクリレート基材上に塗布後(基材厚さ3mm)、紫外線露光設備(CHINEE社のCNU−202)により5〜8秒間照射し(露光強度は1000mJ/cm)、厚さ約6μmの薄膜(防曇層)を形成した。上記薄膜上に一滴の純水を垂らして、動的接触角測定装置により、水滴と薄膜との接触角を測定したところ、26.68°であった。
【0049】
実施例4
30gの第一モノマー(式1を参照;Rはメチル基、Rはエチレン基、RはH、mは1.5(mが1およびmが2の混合物);SIGMA−Aldrichのリン酸2−ヒドロキシエチルメタクリル酸エステル(Phosphoric acid 2−hydroxyethyl methacrylate ester))、70gの第三モノマー(式3を参照。RはH、Rはエチレン基、Rはエチル基、SIGMA−Aldrichのジ(エチレングリコール)エチルエーテルアクリレート、3gの光開始剤ITX(DBC)および3gの光開始剤907(Ciba)を均一に攪拌混合した。得られた混合物の粘度は39.9cp(0.0399Pa・s)であった。自動フィルムアプリケータ(Zehntner社のZAA2300)により、上記混合物をポリメチルメタクリレート基材上に塗布後(基材厚さ3mm)、紫外線露光設備(CHINEE社のCNU−202)により5〜8秒間照射し(露光強度は1000mJ/cm)、厚さ約6μmの薄膜(防曇層)を形成した。上記薄膜上に一滴の純水を垂らして、動的接触角測定装置により、水滴と薄膜との接触角を測定したところ、23.3°であった。
【0050】
実施例5
50gの第一モノマー(式1を参照;Rはメチル基、Rはエチレン基、RはH、mは1.5(mが1およびmが2の混合物);SIGMA−Aldrichのリン酸2−ヒドロキシエチルメタクリル酸エステル)、50gの第三モノマー(式3を参照;RはH、Rはエチレン基、Rはエチル基;SIGMA−Aldrichのジ(エチレングリコール)エチルエーテルアクリレート)、3gの光開始剤ITX(DBC)および3gの光開始剤907(Ciba)を均一に攪拌混合した。得られた混合物の粘度は64.1cp(0.0641Pa・s)であった。自動フィルムアプリケータ(Zehntner社のZAA2300)により、上記混合物をポリメチルメタクリレート基材上に塗布後(基材厚さ3mm)、紫外線露光設備(CHINEE社のCNU−202)により5〜8秒間照射し(露光強度は1000mJ/cm)、厚さ約6μmの薄膜(防曇層)を形成した。上記薄膜上に一滴の純水を垂らして、動的接触角測定装置により、水滴と薄膜との接触角を測定したところ、17.9°であった。
【0051】
実施例6
70gの第一モノマー(式1を参照;Rはメチル基、Rはエチレン基、RはH、mは1.5(mが1およびmが2の混合物);SIGMA−Aldrichのリン酸2−ヒドロキシエチルメタクリル酸エステル)、30gの第三モノマー(式3を参照;RはH、Rはエチレン基、Rはエチル基;SIGMA−Aldrichのジ(エチレングリコール)エチルエーテルアクリレート、3gの光開始剤ITX(DBC)および3gの光開始剤907(Ciba)を均一に攪拌混合した。得られた混合物の粘度は201cp(0.201Pa・s)であった。自動フィルムアプリケータ(Zehntner社のZAA2300)により、上記混合物をポリメチルメタクリレート基材上に塗布後(基材厚さ3mm)、紫外線露光設備(CHINEE社のCNU−202)により5〜8秒間照射し(露光強度は1000mJ/cm)、厚さ約6μmの薄膜(防曇層)を形成した。上記薄膜上に一滴の純水を垂らして、動的接触角測定装置により、水滴と薄膜との接触角を測定したところ、9.83°であった。
【0052】
実施例7
50gの第一モノマー(式1を参照;Rはメチル基、Rはエチレン基、RはH、mは1.5(mが1およびmが2の混合物);SIGMA−Aldrichのリン酸2−ヒドロキシエチルメタクリル酸エステル)、50gの第二モノマー(式2を参照;Rはメチル基、Rはエチレン基、nは9;SIGMA−Aldrichのポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート)、3gの光開始剤ITX(DBC)および3gの光開始剤907(Ciba)を均一に攪拌混合した。得られた混合物の粘度は36cp(0.036Pa・s)であった。自動フィルムアプリケータ(Zehntner社のZAA2300)により、上記混合物をポリメチルメタクリレート基材上に塗布後(基材厚さ3mm)、紫外線露光設備(CHINEE社のCNU−202)により5〜8秒間照射し(露光強度は1000mJ/cm)、厚さ約6μmの薄膜(防曇層)を形成した。上記薄膜上に一滴の純水を垂らして、動的接触角測定装置により、水滴と薄膜との接触角を測定したところ、12°であった。
【0053】
実施例8
70gの第一モノマー(式1を参照;Rはメチル基、Rはエチレン基、RはH、mは1.5(mが1およびmが2の混合物);SIGMA−Aldrichのリン酸2−ヒドロキシエチルメタクリル酸エステル)、30gの第二モノマー(式2を参照;Rはメチル基、Rはエチレン基、nは9;SIGMA−Aldrichのポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート)、3gの光開始剤ITX(DBC)および3gの光開始剤907(Ciba)を均一に攪拌混合した。得られた混合物の粘度は942cp(0.942Pa・s)であった。自動フィルムアプリケータ(Zehntner社のZAA2300)により、上記混合物をポリメチルメタクリレート基材上に塗布後(基材厚さ3mm)、紫外線露光設備(CHINEE社のCNU−202)により5〜8秒間照射し(露光強度は1000mJ/cm)、厚さ約6μmの薄膜(防曇層)を形成した。上記薄膜上に一滴の純水を垂らして、動的接触角測定装置により、水滴と薄膜の接触角を測定したところ、18.633°であった。
【0054】
実施例9
30gの第一モノマー(式1を参照;Rはメチル基、Rはエチレン基、RはH、mは1.5(mが1およびmが2の混合物);SIGMA−Aldrichのリン酸2−ヒドロキシエチルメタクリル酸エステル)、70gの第二モノマー(式2を参照;Rはメチル、Rはエチレン基、nは9;SIGMA−Aldrichのポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート)、3gの光開始剤ITX(DBC)および3gの光開始剤907(Ciba)を均一に攪拌混合した。得られた混合物の粘度は115.2cp(0.1152Pa・s)であった。自動フィルムアプリケータ(Zehntner社のZAA2300)により、上記混合物をポリメチルメタクリレート基材上に塗布後(基材厚さ3mm)、紫外線露光設備(CHINEE社のCNU−202)により5〜8秒間照射し(露光強度は1000mJ/cm)、厚さ約6μmの薄膜(防曇層)を形成した。上記薄膜上に一滴の純水を垂らして、動的接触角測定装置により、水滴と薄膜との接触角を測定したところ、32.433°であった。
【0055】
実施例10
50gの第二モノマー(式2を参照;Rはメチル基、Rはエチレン基、nは9;SIGMA−Aldrichのポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート)、50gの第三モノマー(式3を参照;RはH、Rはエチレン基、Rはエチル基;SIGMA−Aldrichのジ(エチレングリコール)エチルエーテルアクリレート)、3gの光開始剤ITX(DBC)および3gの光開始剤907(Ciba)を均一に攪拌混合した。得られた混合物の粘度は37.6cp(0.0376Pa・s)であった。自動フィルムアプリケータ(Zehntner社のZAA2300)により、上記混合物をポリメチルメタクリレート基材上に塗布後(基材厚さ3mm)、紫外線露光設備(CHINEE社のCNU−202)により5〜8秒間照射し(露光強度は1000mJ/cm)、厚さ約6μmの薄膜(防曇層)を形成した。上記薄膜上に一滴の純水を垂らして、動的接触角測定装置により、水滴と薄膜との接触角を測定したところ、17.62°であった。
【0056】
実施例11
30gの第二モノマー(式2を参照;Rはメチル基、Rはエチレン基、nは9;SIGMA−Aldrichのポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート)、70gの第三モノマー(式3を参照;RはH、Rはエチレン基、Rはエチル基;SIGMA−Aldrichのジ(エチレングリコール)エチルエーテルアクリレート)、3gの光開始剤ITX(DBC)および3gの光開始剤907(Ciba)を均一に攪拌混合した。得られた混合物の粘度は30.2cp(0.0302Pa・s)であった。自動フィルムアプリケータ(Zehntner社のZAA2300)により、上記混合物をポリメチルメタクリレート基材上に塗布後(基材厚さ3mm)、紫外線露光設備(CHINEE社のCNU−202)により5〜8秒間照射し(露光強度は1000mJ/cm)、厚さ約6μmの薄膜(防曇層)を形成した。上記薄膜上に一滴の純水を垂らして、動的接触角測定装置により、水滴と薄膜との接触角を測定したところ、20.83°であった。
【0057】
実施例12
70gの第二モノマー(式2を参照;Rはメチル基、Rはエチレン基、nは9;SIGMA−Aldrichのポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート)、30gの第三モノマー(式3を参照;RはH、Rはエチレン基、Rはエチル基;SIGMA−Aldrichのジ(エチレングリコール)エチルエーテルアクリレート)、3gの光開始剤ITX(DBC)および3gの光開始剤907(Ciba)を均一に攪拌混合した。得られた混合物の粘度は50cp(0.050Pa・s)であった。自動フィルムアプリケータ(Zehntner社のZAA2300)により、上記混合物をポリメチルメタクリレート基材上に塗布後(基材厚さ3mm)、紫外線露光設備(CHINEE社のCNU−202)により5〜8秒間照射し(露光強度は1000mJ/cm)、厚さ約6μmの薄膜(防曇層)を形成した。上記薄膜上に一滴の純水を垂らして、動的接触角測定装置により、水滴と薄膜との接触角を測定したところ、18.42°であった。
【0058】
実施例13
25gの第一モノマー(式1を参照;Rはメチル基、Rはエチレン基、RはH、mは1.5(mが1およびmが2の混合物);SIGMA−Aldrichのリン酸2−ヒドロキシエチルメタクリル酸エステル)、50gの第二モノマー(式2を参照;Rはメチル基、Rはエチレン基、nは9;SIGMA−Aldrichのポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート)、25gの第三モノマー(式3を参照;RはH、Rはエチレン基、Rはエチル基;SIGMA−Aldrichのジ(エチレングリコール)エチルエーテルアクリレート)、3gの光開始剤ITX(DBC)および3gの光開始剤907(Ciba)を均一に攪拌混合した。得られた混合物の粘度は47.4cp(0.0474Pa・s)であった。自動フィルムアプリケータ(Zehntner社のZAA2300)により、上記混合物をポリメチルメタクリレート基材上に塗布後(基材厚さ3mm)、紫外線露光設備(CHINEE社のCNU−202)により5〜8秒間照射し(露光強度は1000mJ/cm)、厚さ約6μmの薄膜(防曇層)を形成した。上記薄膜上に一滴の純水を垂らして、動的接触角測定装置により、水滴と薄膜との接触角を測定したところ、18°であった。
【0059】
実施例14
25gの第一モノマー(式1を参照;Rはメチル基、Rはエチレン基、RはH、mは1.5(mが1およびmが2の混合物);SIGMA−Aldrichのリン酸2−ヒドロキシエチルメタクリル酸エステル)、25gの第二モノマー(式2を参照;Rはメチル基、Rはエチレン基、nは9;SIGMA−Aldrichのポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート)、50gの第三モノマー(式3を参照;RはH、Rはエチレン基、Rはエチル基;SIGMA−Aldrichのジ(エチレングリコール)エチルエーテルアクリレート)、3gの光開始剤ITX(DBC)および3gの光開始剤907(Ciba)を均一に攪拌混合した。得られた混合物の粘度は62.2cp(0.0622Pa・s)であった。自動フィルムアプリケータ(Zehntner社のZAA2300)により、上記混合物をポリメチルメタクリレート基材上に塗布後(基材厚さ3mm)、紫外線露光設備(CHINEE社のCNU−202)により5〜8秒間照射し(露光強度は1000mJ/cm)、厚さ約6μmの薄膜(防曇層)を形成した。上記薄膜上に一滴の純水を垂らして、動的接触角測定装置により、水滴と薄膜との接触角を測定したところ、23°であった。
【0060】
実施例15
33.3gの第一モノマー(式1を参照;Rはメチル、Rはエチレン基、RはH、mは1.5(mが1およびmが2の混合物);SIGMA−Aldrichのリン酸2−ヒドロキシエチルメタクリル酸エステル)、33.3gの第二モノマー(式2を参照;Rはメチル、Rはエチレン基、nは9;SIGMA−Aldrichのポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート)、33.3gの第三モノマー(式3を参照;RはH、Rはエチレン基、Rはエチル基;SIGMA−Aldrichのジ(エチレングリコール)エチルエーテルアクリレート)、3gの光開始剤ITX(DBC)および3gの光開始剤907(Ciba)を均一に攪拌混合した。得られた混合物の粘度は89.5cp(0.0895Pa・s)であった。自動フィルムアプリケータ(Zehntner社のZAA2300)により、上記混合物をポリメチルメタクリレート基材上に塗布後(基材厚さ3mm)、紫外線露光設備(CHINEE社のCNU−202)を5〜8秒間照射し(露光強度は1000mJ/cm)、厚さ約6μmの薄膜(防曇層)を形成した。上記薄膜上に一滴の純水を垂らして、動的接触角測定装置により、水滴と薄膜との接触角を測定したところ、21°であった。
【0061】
上記の好ましい実施例における薄膜(防曇層)は、親水性に関する要求を達成する以外に、迅速で環境に優しい光重合工程が、親水性の防曇層において、化学結合方式、例えば、UV照射により、その化学構造中に、遊離基を生成させて、この遊離基を基材に衝突させることにより、炭素−炭素結合を生成し、また、その組成中に、カルボキシル基、ヒドロキシ基などの官能基を有し、これらの官能基がプラスチック基材と反応して、水素結合をプラスチック基材表面に生成する。かくして、防曇層は、優れた防曇機能と加工性に加えて、優れた耐久性を有することになる。
【0062】
本明細書では、好ましい実施例を上記の通り記載したが、これらは決して本発明を限定するものではなく、当該技術を熟知する者なら誰でも、本発明の精神と領域を脱しない範囲内で各種の変更や修正を加えることができ、従って、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲で指定した内容を基準とする。
【符号の説明】
【0063】
10:プラスチック基材
11:混合物の薄膜
11’:防曇層
30:殻体
31:光源
41:水膜
51:小滴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と前記基材上に位置する防曇層とを含み、
前記防曇層が、実質的に、第一モノマー、第二モノマー、第三モノマーまたはこれらの組合せを重合して形成され、
前記第一モノマーが式1:
【化1】

(式1)
[式中、RはHまたはC1−3アルキル、RはC1−5アルキレンまたはC6−12芳香族基、Rは、それぞれ独立して、HまたはC1−5アルキルから選択され、mは1〜20である]
で表され、
前記第二モノマーが式2:
【化2】

(式2)
[式中、RはHまたはC1−3アルキル、RはC1−5アルキレンまたはC6−12芳香族基、nは1〜20である]
で表され、
前記第三モノマーが式3:
【化3】

(式3)
[式中、RはHまたはC1−3アルキル、Rは、それぞれ独立して、C1−5アルキレンまたはC6−12芳香族基から選択され、RはC1−5アルキルである]
で表されることを特徴とする防曇構造。
【請求項2】
前記防曇層が実質的に、第一モノマーと第三モノマーとから構成され、かつ、前記第一モノマーと前記第三モノマーとの質量比が1:99〜99:1である請求項1に記載の防曇構造。
【請求項3】
前記防曇層が実質的に、第一モノマーと第二モノマーとから構成され、かつ、前記第一モノマーと前記第二モノマーとの質量比が1:99〜99:1である請求項1に記載の防曇構造。
【請求項4】
前記防曇層が実質的に、第二モノマーと第三モノマーとから構成され、かつ、前記第二モノマーと前記第三モノマーとの質量比が1:99〜99:1である請求項1に記載の防曇構造。
【請求項5】
前記防曇層が実質的に、第一モノマー、第二モノマーおよび第三モノマーから構成され、かつ、前記第一モノマーと前記第二モノマーと前記第三モノマーとの質量比が20〜60:20〜60:20〜60である請求項1に記載の防曇構造。
【請求項6】
第一モノマー、第二モノマー、第三モノマーまたはこれらの組合せと光開始剤とを混合して、混合物を形成する工程と、
前記混合物で基材表面を被覆する工程と、
前記混合物を固化して、前記基材表面上に防曇層を形成する工程とを含み、
前記第一モノマーが式1:
【化4】

(式1)
[式中、RはHまたはC1−3アルキル、RはC1−5アルキレンまたはC6−12芳香族基、Rは、それぞれ独立して、HまたはC1−5アルキルから選択され、mは1〜20である]
で表され、
前記第二モノマーが式2:
【化5】

(式2)
[式中、RはHまたはC1−3アルキル、RはC1−5アルキレンまたはC6−12芳香族基、nは1〜20である]
で表され、
前記第三モノマーが式3:
【化6】

(式3)
[式中、RはHまたはC1−3アルキル、Rは、それぞれ独立して、C1−5アルキレンまたはC6−12芳香族基から選択され、RはC1−5アルキルである]
で表されることを特徴とする形成方法。
【請求項7】
前記混合物が第一モノマーと第三モノマーとを含有し、かつ、前記第一モノマーと前記第三モノマーとの質量比が1:99〜99:1である請求項6に記載の防曇構造の形成方法。
【請求項8】
前記混合物が第一モノマーと第二モノマーとを含有し、かつ、前記第一モノマーと前記第二モノマーとの質量比が1:99〜99:1である請求項6に記載の防曇構造の形成方法。
【請求項9】
前記混合物が第二モノマーと第三モノマーとを含有し、かつ、前記第二モノマーと前記第三モノマーとの質量比が1:99〜99:1である請求項6に記載の防曇構造の形成方法。
【請求項10】
前記混合物が第一モノマーと第二モノマーと第三モノマーとを含有し、かつ、前記第一モノマーと前記第二モノマーと前記第三モノマーとの質量比が20〜60:20〜60:20〜60である請求項6に記載の防曇構造の形成方法。
【請求項11】
光源を収容する殻体と、前記殻体を覆う透明カバーと、前記透明カバー上に位置し、前記透明カバーと前記光源の間に設置される防曇層とを含み、
前記防曇層が、実質的に、第一モノマー、第二モノマー、第三モノマーまたはこれらの組合せを重合して形成され、
前記第一モノマーが式1:
【化7】

(式1)
[式中、RはHまたはC1−3アルキル、RはC1−5アルキレンまたはC6−12芳香族基、Rは、それぞれ独立して、HまたはC1−5アルキルから選択され、mは1〜20である]
で表され、
前記第二モノマーが式2:
【化8】

(式2)
[式中、RはHまたはC1−3アルキル、RはC1−5アルキレンまたはC6−12芳香族基、nは1〜20である]
で表され、
前記第三モノマーが式3:
【化9】

(式3)
[式中、RはHまたはC1−3アルキル、Rは、それぞれ独立して、C1−5アルキレンまたはC6−12芳香族基から選択され、RはC1−5アルキルである]
で表されることを特徴とする発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−112819(P2013−112819A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−229964(P2012−229964)
【出願日】平成24年10月17日(2012.10.17)
【出願人】(390023582)財團法人工業技術研究院 (524)
【住所又は居所原語表記】195 Chung Hsing Rd.,Sec.4,Chutung,Hsin−Chu,Taiwan R.O.C
【Fターム(参考)】