説明

防水カバーおよびそれを用いた電子機器

【課題】
電子機器の薄型化と、蓋部材の良好な外観とを両立する防水カバーおよびそれを備える電子機器を実現する。
【解決手段】
本発明は、電子機器本体3の内部に通じる開口部4あるいは電子機器本体3に取り付けられる防水を要する部品を被覆および露出自在に電子機器本体3に装着可能な防水カバー2であって、電子機器本体3の開口部4あるいは部品を覆うカバー本体8と、カバー本体8と別体であってカバー本体8の内側に固定する防水部材10とを備え、防水部材10には、閉ループ状の枠体11と、枠体11より軟質であって、枠体11の開口面および枠体11の表面を覆って枠体11に付着する弾性シール材12と、を有する防水カバー2に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水カバーおよびそれを用いた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
最近では、防水性の高い電子機器(例えば、携帯電話)の需要が徐々に高くなってきている。電子機器の防水性を高めるには、電池、シムカードあるいはメモリーディスク等を出し入れする部分や、精密部品および光学部品の嵌め込み口周辺のシール性を高める必要がある。電池を収納する電池収納部の防水構造を例に挙げると、樹脂製の電池蓋の内面に、電池収納部の開口面外周にて防水を実現する樹脂製の防水部を別体で固定し、その防水部の一部にシリコーンエラストマー等を付ける一方、電池収納部の開口面外周に溝状の嵌合部を形成し、電池蓋側の防水部を嵌合部に圧入することによって、防水を実現する構成(従来構成1)が知られている。また、これと類似する構成として、電池蓋と防水部を一体成形し、電池蓋と電子機器本体との間の防水性を高めると同時に、接着厚さを無くすことによって電池蓋の薄型化を図る構成(従来構成2)も知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4424445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来から公知の上記電池蓋には次のような問題がある。まず、従来構成1の場合には、電池蓋と防水部とを貼り付けるのに接着剤あるいは両面テープ等の接着層を必要とするため、電池蓋を取り付けた状態の電子機器の総厚が大きくなり、薄型化に支障をきたす。一方、従来構成2のように、電池蓋と防水部とを一体成形すると、上記接着層が不要になるため、薄型化に支障をきたさない。しかし、電池蓋の外側の面に微小な凹凸若しくはゆがみが生じ、電池蓋の外観を損ねるという別の問題が生じる。具体的には、電池蓋の外側に、環状の防水部の形状に沿った微小の凹凸あるいは歪み等の変形領域が生じる。この原因の一つは、防水部を一体化した電池蓋を金型内にセットして、防水部の突出表面にエラストマーを固着する工程において、エラストマーの漏洩を防ぐ目的にて防水部の突出部分の周辺に圧力をかけ、かつエラストマーの固化を目的として金型を加熱するため、当該突出部分の周辺が変形することにある。変形領域を小さくする方法として、金型の型締め時の圧力を低くする方法も考えられるが、圧力を低くすると、エラストマー形成用の液状組成物が本来の形成箇所より外に流出し、バリの発生、あるいはエラストマー中での気泡の生成あるいは電池蓋の底板におけるヒケの発生が多くなる。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決すること、すなわち、電子機器の薄型化と、蓋部材の良好な外観とを両立する防水カバーおよびそれを備える電子機器を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の一実施形態は、電子機器本体の内部に通じる開口部あるいは電子機器本体に取り付けられる防水を要する部品を被覆および露出自在に、電子機器本体に装着可能な防水カバーであって、電子機器本体の開口部あるいは部品を覆うカバー本体と、カバー本体と別体であってカバー本体の内側に固定する防水部材とを備え、防水部材に、閉ループ状の枠体と、枠体より軟質であって、枠体の開口面および枠体の表面を覆って枠体に付着する弾性シール材とを有する防水カバーである。
【0007】
本発明の別の実施形態は、さらに、弾性シール材を、枠体の開口面から枠体の表面まで連続して形成した防水カバーである。
【0008】
本発明の別の実施形態は、さらに、弾性シール材にて、枠体の開口面と、枠体の外側および/または内側の表面とを覆う防水カバーである。
【0009】
本発明の別の実施形態は、さらに、枠体におけるカバー本体と対向する面に枠体側凸部若しくは枠体側凹部を備え、カバー本体における枠体と対向する面に、枠体側凸部若しくは枠体側凹部にそれぞれ嵌め込むためのカバー本体側凹部若しくはカバー本体側凸部を備え、枠体とカバー本体とを嵌め込みで固定している防水カバーである。
【0010】
本発明の別の実施形態は、さらに、枠体とカバー本体の内側とを、それらの間に防水性両面テープを介在して固定している防水カバーである。
【0011】
本発明の別の実施形態は、さらに、枠体には、電子機器本体側の幅よりもカバー本体に固定する側の幅を広くした幅広部を、カバー本体に固定する側に備える防水カバーである。
【0012】
本発明の一実施形態は、上述のいずれか1つの防水カバーを備える電子機器である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電子機器の薄型化と、蓋部材の良好な外観とを両立する防水カバーおよびそれを備える電子機器を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の第一実施形態に係る電子機器の一部分解斜視図を示す。
【図2】図2は、図1に示す防水カバーを2つの構成部材に分解して電子機器本体と対向する側から見た分解斜視図を示す。
【図3】図3は、図2に示す構成部材を互いに貼り合わせた状態の防水カバーを、電子機器本体と対向する側から見た斜視図を示す。
【図4】図4は、図3に示す防水カバーのA−A線断面図を示す。
【図5】図5は、図4に示す防水部材の拡大図およびさらにその一部Bの拡大図を示す。
【図6】図6は、図5に示す枠体を弾性シール材成形用の金型にセットした状態の枠体近傍の部分断面図を示す。
【図7】図7は、第二実施形態に係る防水カバーを構成する防水部材の図5と同視の断面図を示す。
【図8】図8は、第三実施形態に係る防水カバーを構成する防水部材の図5と同視の断面図を示す。
【図9】図9は、第四実施形態に係る防水カバーを構成するカバー本体および防水部材、ならびに防水部材の一部Eの拡大図を示す。
【図10】図10は、第五実施形態に係る防水カバーを構成する防水部材の図5と同視の断面図を示す。
【図11】図11は、図10に示す防水部材の変形例を示す。
【図12】図12は、第六実施形態に係る防水カバーを構成する防水部材を、その内側から見た状態を示す。
【図13】図13は、図12に示す防水部材のH−H線断面図およびその一部Iの拡大断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の防水カバーおよびそれを用いた電子機器の各実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下の各実施形態では、防水カバーの一例として電子機器本体の裏面に装着する電子機器本体用保護カバーと電池蓋とを兼ねた形態を説明するが、防水カバーは、それによって覆われた部分の防水を実現する限り、電池蓋のみの機能を持つ構成部材などのように他のカバー部材に応用可能である。
【0016】
<第一実施形態>
1.防水カバーおよび電子機器の構成
図1は、本発明の第一実施形態に係る電子機器の一部分解斜視図を示す。
【0017】
第一実施形態に係る電子機器1は、防水カバー2と、電子機器本体3とから構成されている。防水カバー2は、電子機器本体3の内部に通じる開口部あるいは電子機器本体3に取り付けられる防水を要する部品を被覆および露出自在に、電子機器本体3に装着可能な構成を有する。電子機器本体3の内部に通じる開口部には電池収納部等を、電子機器本体3に取り付けられる防水を要する部品にはメモリーディスク等を、それぞれ好適な例として挙げることができる。第一実施形態では、防水カバー2は、電子機器本体3の裏面に装着可能に構成されている。一方、電子機器本体3は、電池収納部4を備える。電池収納部4は、電池5を着脱可能に、電子機器本体3の裏面を開口して形成されている。電子機器本体3は、電池収納部4の外周囲に、閉ループ形状にて、電子機器本体3の内部方向に窪む溝6を備える。また、電子機器本体3は、その外周囲に、裏面より内部方向に窪む段差端面7を備える。段差端面7は、防水カバー2の開口端の端面と対向する位置と形状にて構成されている。
【0018】
図2は、図1に示す防水カバーを2つの構成部材に分解して電子機器本体と対向する側から見た分解斜視図を示す。図3は、図2に示す構成部材を互いに貼り合わせた状態の防水カバーを、電子機器本体と対向する側から見た斜視図を示す。
【0019】
防水カバー2は、電子機器本体3の電池収納部4を覆うカバー本体8と、当該カバー本体8と別体であってカバー本体8の電子機器本体3と対向する側(内側という)に固定する防水部材10と、を備える。カバー本体8は、樹脂、金属、セラミックスあるいはガラスから好適に製造できる。カバー本体8を樹脂にて製造する場合、樹脂として、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合(ABS)樹脂などを好適に用いることができる。カバー本体8に、無機フィラーあるいは有機フィラーを分散させても良い。
【0020】
図4は、図3に示す防水カバーのA−A線断面図を示す。図5は、図4に示す防水部材の拡大図およびさらにその一部Bの拡大図を示す。
【0021】
防水部材10は、カバー本体8の内側全面に、好適に、接着層9を介して固定できる。接着層9は、接着剤の層、接着インクの層、両面テープのように接着機能を有する如何なる層であっても良い。なお、接着層9の変形例については、後述する別の実施形態において説明する。防水部材10は、閉ループ状の枠体11と、枠体11より軟質であって、枠体11の開口面および枠体11の表面を覆って枠体11に付着する弾性シール材12と、を有する。枠体11は、第一実施形態では、電子機器本体3に形成された溝6に挿入可能な形態を有しており、略四角形の枠体である。溝6の外形が円形、楕円形、三角形、五角形以上の多角形の場合には、枠体11の外形も溝6の外形に応じた形状とするのが好ましい。
【0022】
枠体11は、カバー本体8と同様の種類の材料から好適に構成できる。弾性シール材12は、熱可塑性エラストマー、熱硬化性エラストマー、天然ゴム等から好適に製造でき、特に、熱硬化性エラストマーの一種であるシリコーンゴムに代表されるシリコーン系エラストマーを好適に用いることができる。また、弾性シール材12を熱可塑性エラストマーにて製造する場合には、例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマーを好適に用いることができる。弾性シール材12に、無機フィラーあるいは有機フィラーを分散させても良い。
【0023】
第一実施形態では、弾性シール材12は、枠体11の一方の端面を露出するが、枠体11のその他の表面および枠体11の開口面を覆っている。弾性シール材12の一部を構成し枠体11の開口面を覆う開口面被覆部20は、接着層9と枠体11との固着が不十分であっても、電池収納部4の防水を確実にするのに寄与する。また、弾性シール材12の一部を構成し、枠体11の外側面、溝6側の端面および内側面を覆う枠体被覆部30は、溝6と枠体11との間を充填し、溝6から内側にある電池収納部4の防水を図るのに寄与する。枠体被覆部30は、枠体11の外側面において、外方向に突出するリブ31を好適に備える。リブ31は、溝6の内側面外側にて防水を図るのに有効に寄与する。
【0024】
このように、防水部材10は、枠体11と、枠体11の開口面から枠体11の表面まで連続して形成される弾性シール材12とを一体化して成る。開口面被覆部20は、弾性シール材12にて構成されているため、極めて薄く形成できる。例えば、従来のように、樹脂製のトレイを成形し、当該トレイの突出表面にシール材を付着して防水部材を構成し、接着層9を介して、当該防水部材をカバー本体8に固定した場合には、トレイの底板部分の厚さは、成形上の限界があるため、最薄でも0.4mmまでしか薄くできない。カバー本体8の厚さ(図4中の厚さt1)も同様に最薄で0.4mmの厚さとしたとしても、0.05mm程度の接着層9を加味し、カバー本体8の外面からトレイの内面までの総厚を0.85mm(カバー本体8の厚さ0.4mm+接着層9の厚さ0.05mm+トレイの底板部分の厚さ0.4mmの総和)まで薄くするのが限界となる。これに対して、第一実施形態では、開口面被覆部20の厚さ(図5中の厚さt2)を0.15mm程度まで薄くできるため、カバー本体8の外面から防水部材10の開口面被覆部20の内面までの総厚を0.6mm(カバー本体8の厚さ0.4mm+接着層9の厚さ0.05mm+開口面被覆部20の厚さ0.15mmの総和)まで薄くすることができる。このため、防水部材10をカバー本体8と別体としても、電子機器1の薄型化を図ることができる。しかも、カバー本体8と枠体11とを一体成形していないので、弾性シール材12を枠体11に付着する工程において、カバー本体8側に熱的あるいは圧的な負荷を与えることなく、カバー本体8の外面の外観を損なわない。
【0025】
2.防水カバーの製造方法
上述の防水カバー2は、例えば、次の要領にて製造可能である。以下、カバー本体8および枠体11の材料としてPC樹脂を、弾性シール材12の材料としてシリコーンエラストマーをそれぞれ用いる例にて説明する。まず、PC樹脂にて、カバー本体8と、枠体11とを、別々の金型にて成形する。成形方法としては、PC樹脂が熱可塑性樹脂であるため、金型内に溶融状態のPC樹脂を射出して成形する射出成形を好適に用いることができる。その他の成形方法として、軟化した状態のPC樹脂を金型にセットし、真空成形、圧空成形、真空/圧空成形を行っても良い。枠体11の成形後、別の金型に枠体11をセットする。
【0026】
図6は、図5に示す枠体を弾性シール材成形用の金型にセットした状態の枠体近傍の部分断面図を示す。
【0027】
弾性シール材12を成形するための金型は、第一実施形態では第一金型13、第二金型14および第三金型15から構成されている。ただし、弾性シール材12を成形するための金型は、これら3つの金型からの構成に限定されず、2つあるいは4つ以上の個数の金型から構成しても良い。第一金型13、第二金型14および第三金型15にて形成される空間と、当該空間にセットされた枠体11との隙間Vは、弾性シール材12を形成する領域である。第一金型13に形成されたエラストマー供給孔16から図6中の矢印方向に未加硫状態のシリコーンエラストマー組成物を供給する。次に、第一金型13、第二金型14および第三金型15を加熱して、シリコーンエラストマー組成物を硬化する。最後に、第一金型13、第二金型14および第三金型15を開き、弾性シール材12を枠体11に一体成形した防水部材10を取り出す。上述の製造方法は、一例にすぎず、また、後述する他の実施形態の製造にも適用可能である。
【0028】
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態に係る防水カバーおよびそれを用いた電子機器について説明する。なお、第二実施形態において、前述の実施形態と共通する構成については、同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0029】
図7は、第二実施形態に係る防水カバーを構成する防水部材の図5と同視の断面図を示す。
【0030】
第二実施形態に係る防水カバー2を構成する防水部材10aは、枠体11と、枠体11の内側面以外を覆うと共に枠体11の開口面を覆う弾性シール材12aとを有する。図7中の一部Cの拡大図に示すように、弾性シール材12aは、枠体11の一方の端面を含めて開口部を覆う開口面被覆部20aと、枠体11の外側面および枠体11の開口面被覆部20aと反対側の端面を覆う枠体被覆部30aとを連続して備える。枠体被覆部30aは、前述の第一実施形態における防水部材10と同様に、枠体11の外側面において、外方向に突出するリブ31を好適に備える。枠体被覆部30aは、枠体11の内側面を覆っていないが、溝6の内側面外側にて防水を図ることができる。なお、開口面被覆部20aは、前述の開口面被覆部20と同様に、枠体11の一方の端面を覆わなくても良い。
【0031】
<第三実施形態>
次に、本発明の第三実施形態に係る防水カバーおよびそれを用いた電子機器について説明する。なお、第三実施形態において、前述の各実施形態と共通する構成については、同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0032】
図8は、第三実施形態に係る防水カバーを構成する防水部材の図5と同視の断面図を示す。
【0033】
第二実施形態に係る防水カバー2を構成する防水部材10bは、枠体11と、枠体11の外側面および内側面のそれぞれの一部を覆うと共に枠体11の開口面を覆う弾性シール材12bとを有する。図8中の一部Dの拡大図に示すように、弾性シール材12bは、枠体11の一方の端面を含めて開口部を覆う開口面被覆部20aと、枠体11の外側面および内側面のそれぞれの大部分を覆う枠体被覆部30bとを連続して備える。枠体被覆部30bは、枠体11の外側面および内側面において、それぞれ突出するリブ31aおよびリブ31bを好適に備える。このため、枠体被覆部30bは、溝6の内側面外側および内側面内側の両面において防水を図ることができる。なお、開口面被覆部20aは、前述の開口面被覆部20と同様に、枠体11の一方の端面を覆わなくても良い。
【0034】
<第四実施形態>
次に、本発明の第四実施形態に係る防水カバーおよびそれを用いた電子機器について説明する。なお、第四実施形態において、前述の各実施形態と共通する構成については、同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0035】
図9は、第四実施形態に係る防水カバーを構成するカバー本体および防水部材、ならびに防水部材の一部Eの拡大図を示す。
【0036】
第四実施形態に係る防水カバー2を構成する防水部材10cは、枠体11aと、枠体11aのカバー本体8側の面以外を覆うと共に枠体11の開口面を覆う弾性シール材12とを有する。図9中の一部Eの拡大図に示すように、枠体11aは、カバー本体8と対向する面に、枠体側凸部40を備える。また、カバー本体8は、その内側における枠体11aと対向する面に、カバー本体側凹部41を備える。これによって、枠体11aとカバー本体8とは、互いに嵌め込みで固定されている。第四実施形態では、枠体側凸部40およびカバー本体側凹部41は、ともに、枠体11aの四角枠の形状に沿って連続形成されているが、当該四角枠の形状に沿って間欠的に形成されていても良い。また、枠体側凸部40に相当するカバー本体側凸部をカバー本体8側に形成し、カバー本体側凹部41に相当する枠体側凹部を枠体11a側に形成しても良い。このような嵌め込み式によって、防水部材10cとカバー本体8とを固定すると、両者10c,8をより強固に固定できる。加えて、両面テープあるいは接着剤を併用すれば、さらに強固に固定できる。したがって、防水カバー2を電子機器本体3から繰り返し着脱しても、防水部材10cがカバー本体8から剥がれる危険性は低くなる。なお、ここで説明を省略した弾性シール材12の形態は、第一実施形態で説明した形態と同様である。
【0037】
<第五実施形態>
次に、本発明の第五実施形態に係る防水カバーおよびそれを用いた電子機器について説明する。なお、第五実施形態において、前述の各実施形態と共通する構成については、同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0038】
図10は、第五実施形態に係る防水カバーを構成する防水部材の図5と同視の断面図を示す。図11は、図10に示す防水部材の変形例を示す。
【0039】
第一実施形態では、両面テープあるいは接着剤の層を、カバー本体8に対向する防水部材10の全面に介在させているのに対して、第五実施形態では、図10中の一部Fの拡大図に示すように、枠体11におけるカバー本体8に対向する四角枠形状の面のみに防水性両面テープ45を介在させている。防水性両面テープ45は、例えば、アクリル樹脂等の樹脂フィルムを基材とし、その両面にシリコーンを接着層として備えるテープであり、汎用の両面テープよりも防水性に優れる。防水性両面テープ45を使用する場合には、少なくとも、枠体11におけるカバー本体8との対向面に防水性両面テープ45を介在させることにより、防水部材10とカバー本体8との隙間からの浸水を防ぐことができる。
【0040】
さらに、防水性を高め、かつ防水部材10とカバー本体8との固定を確実にするためには、図11およびその一部Gの拡大図に示すように、四角形の防水性両面テープ46を、カバー本体8に対向する防水部材10の全面に介在させるのが好ましい。なお、ここで説明を省略した弾性シール材12の形態は、第一実施形態で説明した形態と同様である。
【0041】
<第六実施形態>
次に、本発明の第六実施形態に係る防水カバーおよびそれを用いた電子機器について説明する。なお、第六実施形態において、前述の各実施形態と共通する構成については、同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0042】
図12は、第六実施形態に係る防水カバーを構成する防水部材を、その内側から見た状態を示す。図13は、図12に示す防水部材のH−H線断面図およびその一部Iの拡大断面図を示す。
【0043】
第六実施形態に係る防水カバー2を構成する防水部材10dは、枠体11bと、枠体11bのカバー本体8側の面以外を覆うと共に枠体11bの開口面を覆う弾性シール材12とを有する。図12および図13中の一部Iの拡大図に示すように、枠体11bは、その内側の開口側に突出する幅広部50を複数備える。具体的には、枠体11bの各辺に、3個ずつの幅広部50を備える。幅広部50は、電子機器本体3側の幅L1よりもカバー本体8に固定する側の幅L2を広くした部分であり、カバー本体8に固定する側に備えられる。弾性シール材12は、幅広部50の上から枠体11bを覆い、枠体11bの開口面内側において段差51を形成している。なお、幅広部50は、L1<L2の関係を維持する限り、段差を形成するように枠体11bに設けられなくても良く、例えば、枠体11bの電子機器本体3側あるいは電子機器本体3から所定距離だけカバー本体8に近づいた位置から徐々に幅広に形成されても良い。幅広部50を形成することにより、防水カバー2を電子機器本体3に取り付ける際、枠体11bが内側に倒れ込む状況を有効に防止できる。幅広部50は、枠体11bの開口部を、枠体11bよりも柔らかい材料で形成することによる上記の倒れ込む状況を防ぐのに寄与する。なお、弾性シール材12における上述以外の形態は、第一実施形態で説明した形態と同様である。
【0044】
<その他の実施形態>
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明は、上述の各種実施形態に限定されるものではなく、以下に例示される形態にて変更実施可能である。
【0045】
例えば、上述の防水カバー2は、電池収納部4を被覆および露出自在な構成であるが、電池収納部4以外の開口部あるいはメモリーディスクやCPU等の防水を要する部品の防水を図るものでも良い。弾性シール材12,12a,12bは、枠体11,11a,11bの開口面から枠体11,11a,11bの少なくとも側面まで連続して形成されているが、開口面を覆う部分と、枠体11,11a,11bの少なくとも側面を覆う部分とを分離して形成されていても良い。また、弾性シール材12,12a,12bは、枠体11,11a,11bの開口面と共に、枠体11,11a,11bの外側のみ、枠体11,11a,11bの内側のみ、あるいは枠体11,11a,11bの開口面被覆部20,20aと反対側の端面のみを覆っていても良い。
【0046】
上述の各実施形態に含まれる複数の構成は、互いに任意に組み合わせることもできる。例えば、(a)弾性シール材12,12a,12bが枠体11の開口面から枠体11,11a,11bの表面まで連続して形成されている構成と、(b)弾性シール材12,12a,12bが枠体11,11a,11bの開口面と枠体11,11a,11bの外側面のみを覆う構成、(c)弾性シール材12,12a,12bが枠体11,11a,11bの開口面と枠体11,11a,11bの内側面のみを覆う構成および(d)弾性シール材12,12a,12bが枠体11,11a,11bの開口面と枠体11,11a,11bの外側面と内側面の両方を覆う構成のいずれか1つの構成とを任意に組み合わせても良い。また、(e)弾性シール材12,12a,12bが枠体11,11a,11bの開口面と枠体11,11a,11bの表面とを分離して覆うように形成されている構成と、上記(b)、上記(c)、上記(d)および(f)弾性シール材12,12a,12bが枠体11,11a,11bの開口面と枠体11,11a,11bの溝6側の端面を覆う構成のいずれか1つの構成とを任意に組み合わせても良い。
【0047】
防水カバー2およびそれを備える電子機器1は、携帯電話機器、その他通信機器以外の広範な電子機器に適用可能であって、例えば、防水を必要とするならば、固定電話機器の本体とワイヤレス通信可能な子機、ホームオーディオ機器に使用するリモートコントローラ、バッテリーを搭載する電気自動車等にも応用できる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、防水性の電子機器に用いることができる。
【符号の説明】
【0049】
1 電子機器
2 防水カバー
3 電子機器本体
4 電池収納部(開口部の一例)
8 カバー本体
10,10a,10b,10c,10d 防水部材
11,11a,11b 枠体
12,12a,12b 弾性シール材
40 枠体側凸部
41 カバー本体側凹部
45,46 防水性両面テープ
50 幅広部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器本体の内部に通じる開口部あるいは当該電子機器本体に取り付けられる防水を要する部品を被覆および露出自在に当該電子機器本体に装着可能な防水カバーであって、
上記電子機器本体の上記開口部あるいは上記部品を覆うカバー本体と、
当該カバー本体と別体であって当該カバー本体の内側に固定する防水部材と、
を備え、
当該防水部材は、
閉ループ状の枠体と、
当該枠体より軟質であって、上記枠体の開口面および上記枠体の表面を覆って上記枠体に付着する弾性シール材と、
を有することを特徴とする防水カバー。
【請求項2】
前記弾性シール材は、前記枠体の開口面から前記枠体の表面まで連続して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の防水カバー。
【請求項3】
前記弾性シール材は、前記枠体の開口面と、前記枠体の外側および/または内側の表面とを覆うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の防水カバー。
【請求項4】
前記枠体における前記カバー本体と対向する面に枠体側凸部若しくは枠体側凹部を備え、前記カバー本体における前記枠体と対向する面に、上記枠体側凸部若しくは上記枠体側凹部にそれぞれ嵌め込むためのカバー本体側凹部若しくはカバー本体側凸部を備え、
前記枠体と前記カバー本体とを嵌め込みで固定していることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の防水カバー。
【請求項5】
前記枠体と前記カバー本体の内側とを、それらの間に防水性両面テープを介在して、固定していることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の防水カバー。
【請求項6】
前記枠体は、前記電子機器本体側の幅よりも前記カバー本体に固定する側の幅を広くした幅広部を、前記カバー本体に固定する側に備えることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の防水カバー。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の防水カバーを備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−62332(P2013−62332A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198974(P2011−198974)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】