防水カバーおよびそれを用いた電子機器
【課題】電子機器の薄型化と、蓋部材の良好な外観とを両立する防水カバーおよびそれを備える電子機器を実現する。
【解決手段】電子機器本体の内部に通じる開口部あるいは電子機器本体に取り付けられる防水を要する部品を被覆および露出自在に電子機器本体に装着可能な防水カバーであって、電子機器本体の開口部あるいは部品を覆うカバー本体と、カバー本体と別体であってカバー本体の内側に固定する防水部材10とを備え、防水部材10に、閉ループ状の枠体11と、枠体11のカバー本体側の開口面を覆って枠体11と固定されるシート12と、枠体11より軟質であって枠体11のシート12と反対側の端部を少なくとも覆って枠体11に付着する弾性シール材13とを備える。
【解決手段】電子機器本体の内部に通じる開口部あるいは電子機器本体に取り付けられる防水を要する部品を被覆および露出自在に電子機器本体に装着可能な防水カバーであって、電子機器本体の開口部あるいは部品を覆うカバー本体と、カバー本体と別体であってカバー本体の内側に固定する防水部材10とを備え、防水部材10に、閉ループ状の枠体11と、枠体11のカバー本体側の開口面を覆って枠体11と固定されるシート12と、枠体11より軟質であって枠体11のシート12と反対側の端部を少なくとも覆って枠体11に付着する弾性シール材13とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水カバーおよびそれを用いた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
最近では、防水性の高い電子機器(例えば、携帯電話)の需要が徐々に高くなってきている。電子機器の防水性を高めるには、電池、シムカードあるいはメモリーディスク等を出し入れする部分や、精密部品および光学部品の嵌め込み口周辺のシール性を高める必要がある。電池を収納する電池収納部の防水構造を例に挙げると、樹脂製の電池蓋の内面に、電池収納部の開口面外周にて防水を実現するトレイ形状の防水部を射出成形等により別体で製造し、その防水部の外縁部にシリコーンエラストマー等を付ける一方、電池収納部の開口面外周に溝状の嵌合部を形成し、防水部の外縁部を嵌合部に圧入することによって防水を実現する構成(従来構成1)が知られている。また、これと類似する構成として、電池蓋と上記防水部の外縁部を一体成形し、電池蓋と電子機器本体との間の防水性を高めると同時に、接着厚さを無くすことによって電池蓋の薄型化を図る構成(従来構成2)も知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4424445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来から公知の上記電池蓋には次のような問題がある。まず、従来構成1の場合には、防水部を射出成形等により成形するため、成形上の厚み限界から、外縁部とつながる底板の厚さを薄くすることが難しい。また、電池蓋と防水部とを貼り付けるのに接着剤あるいは両面テープ等の接着層を必要とするため、電池蓋を取り付けた状態の電子機器の総厚が大きくなる。したがって、従来構成1は、電子機器の薄型化に支障をきたす。一方、従来構成2のように、電池蓋と防水部の外縁部とを一体成形すると、防水部の上記底板および上記接着層が不要になるため、電子機器の薄型化に支障をきたさない。しかし、電池蓋の外側の面に微小な凹凸若しくはゆがみが生じ、電池蓋の外観を損ねるという別の問題が生じる。具体的には、電池蓋の外側に、環状の防水部の形状に沿った微小の凹凸あるいは歪み等の変形領域が生じる。この原因の一つは、防水部を一体化した電池蓋を金型内にセットして、防水部の外縁部の表面にエラストマーを固着する工程において、エラストマーの漏洩を防ぐ目的にて防水部の外縁部の根元近傍に圧力をかけ、かつエラストマーの固化を目的として金型を加熱するため、当該根元近傍が変形することにある。変形領域を小さくする方法として、金型の型締め時の圧力を低くする方法も考えられるが、圧力を低くすると、エラストマー形成用の液状組成物が本来の形成箇所より外に流出し、バリの発生、あるいはエラストマー中での気泡の生成あるいは電池蓋の底板におけるヒケの発生が多くなる。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決すること、すなわち、電子機器の薄型化と、蓋部材の良好な外観とを両立する防水カバーおよびそれを備える電子機器を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の一実施形態は、電子機器本体の内部に通じる開口部あるいは電子機器本体に取り付けられる防水を要する部品を被覆および露出自在に電子機器本体に装着可能な防水カバーであって、電子機器本体の開口部あるいは部品を覆うカバー本体と、カバー本体と別体であってカバー本体の内側に固定する防水部材とを備え、防水部材に、閉ループ状の枠体と、枠体のカバー本体側の開口面を覆って枠体と固定されるシートと、枠体より軟質であって枠体のシートと反対側の端部を少なくとも覆って枠体に付着する弾性シール材とを有する防水カバーである。
【0007】
本発明の別の実施形態は、弾性シール材が枠体の端部からシートに達し、枠体とシートとを固定している防水カバーであっても良い。
【0008】
本発明の別の実施形態は、枠体とシートとの接触部位に、枠体とシートとを固定するための接着層を備える防水カバーであっても良い。
【0009】
本発明の別の実施形態は、弾性シール材が枠体とシートとの接触部位に介在し、枠体とシートとを接着している防水カバーであっても良い。
【0010】
本発明の別の実施形態は、弾性シール材において、枠体の端部の少なくとも外側面に、枠体の端部の幅方向に突出するリブを備える防水カバーであっても良い。
【0011】
本発明の別の実施形態は、枠体とカバー本体の内側とを、それらの間に防水性両面テープを介在して固定している防水カバーであっても良い。
【0012】
本発明の一実施形態は、枠体において、電子機器本体側の幅よりもカバー本体に固定する側の幅を広くした幅広部を、枠体のカバー本体に固定する側に備える防水カバーであっても良い。
【0013】
本発明の一実施形態は、上述のいずれか1つの防水カバーを備える電子機器である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電子機器の薄型化と、蓋部材の良好な外観とを両立する防水カバーおよびそれを備える電子機器を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の第一実施形態に係る電子機器の一部分解斜視図を示す。
【図2】図2は、図1に示す防水カバーを2つの構成部材に分解して電子機器本体と対向する側から見た分解斜視図を示す。
【図3】図3は、図2に示す構成部材を互いに貼り合わせた状態の防水カバーを、電子機器本体と対向する側から見た斜視図を示す。
【図4】図4は、図3に示す防水カバーのA−A線断面図を示す。
【図5】図5は、図4に示す防水部材の拡大図およびさらにその一部Bの拡大図を示す。
【図6】図6は、図5に示す枠体およびシートを弾性シール材成形用の金型にセットした状態の枠体近傍の部分断面図を示す。
【図7】図7は、第二実施形態に係る防水カバーを構成する防水部材の図5と同視の断面図を示す。
【図8】図8は、第三実施形態に係る防水カバーを構成する防水部材の図5と同視の断面図を示す。
【図9】図9は、第四実施形態に係る防水カバーを構成する防水部材の図5と同視の断面図を示す。
【図10】図10は、第五実施形態に係る防水カバーを構成する防水部材を、その内側から見た状態を示す。
【図11】図11は、図10に示す防水部材のF−F線断面図およびその一部Gの拡大断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の防水カバーおよびそれを用いた電子機器の各実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下の各実施形態では、防水カバーの一例として電子機器本体の裏面に装着する電子機器本体用保護カバーと電池蓋とを兼ねた形態を説明するが、防水カバーは、それによって覆われた部分の防水を実現する限り、電池蓋のみの機能を持つ構成部材などのように他のカバー部材に応用可能である。
【0017】
<第一実施形態>
1.防水カバーおよび電子機器の構成
図1は、本発明の第一実施形態に係る電子機器の一部分解斜視図を示す。
【0018】
第一実施形態に係る電子機器1は、防水カバー2と、電子機器本体3とから構成されている。防水カバー2は、電子機器本体3の内部に通じる開口部あるいは電子機器本体3に取り付けられる防水を要する部品を被覆および露出自在に、電子機器本体3に装着可能な構成を有する。電子機器本体3の内部に通じる開口部には電池収納部等を、電子機器本体3に取り付けられる防水を要する部品にはメモリーディスク等を、それぞれ好適な例として挙げることができる。第一実施形態では、防水カバー2は、電子機器本体3の裏面に装着可能に構成されている。一方、電子機器本体3は、電池収納部4を備える。電池収納部4は、電池5を着脱可能に、電子機器本体3の裏面を開口して形成されている。電子機器本体3は、電池収納部4の外周囲に、閉ループ形状にて、電子機器本体3の内部方向に窪む溝6を備える。また、電子機器本体3は、その外周囲に、裏面より内部方向に窪む段差端面7を備える。段差端面7は、防水カバー2の開口側の端面と対向する位置と形状にて構成されている。
【0019】
図2は、図1に示す防水カバーを2つの構成部材に分解して電子機器本体と対向する側から見た分解斜視図を示す。図3は、図2に示す構成部材を互いに貼り合わせた状態の防水カバーを、電子機器本体と対向する側から見た斜視図を示す。
【0020】
防水カバー2は、電子機器本体3の電池収納部4を覆うカバー本体8と、当該カバー本体8と別体であってカバー本体8の電子機器本体3と対向する側(内側という)に固定する防水部材10と、を備える。カバー本体8は、樹脂、金属、セラミックスあるいはガラスから好適に製造できる。カバー本体8を樹脂にて製造する場合、樹脂として、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合(ABS)樹脂などを好適に用いることができる。カバー本体8に、無機フィラーあるいは有機フィラーを分散させても良い。
【0021】
図4は、図3に示す防水カバーのA−A線断面図を示す。図5は、図4に示す防水部材の拡大図およびさらにその一部Bの拡大図を示す。
【0022】
防水部材10は、カバー本体8の内側全面に、好適に、接着層9を介して固定できる。接着層9は、接着剤の層、接着インクの層、両面テープのように接着機能を有する如何なる層であっても良いが、アクリル樹脂等の樹脂フィルムを基材としてその両面にシリコーンを接着層として備える防水性両面テープを好適に例示できる。防水部材10は、閉ループ状の枠体11と、枠体11のカバー本体8側の開口面を覆って枠体11と固定されるシート12と、枠体11より軟質であって、枠体11のシート12と反対側の端部を少なくとも覆って枠体11に付着する弾性シール材13と、を有する。枠体11は、第一実施形態では、電子機器本体3に形成された溝6に挿入可能な形態を有しており、略四角形の枠体である。溝6の外形が円形、楕円形、三角形、五角形以上の多角形の場合には、枠体11の外形も溝6の外形に応じた形状とするのが好ましい。
【0023】
枠体11およびシート12は、カバー本体8と同様の種類の材料から好適に構成できる。弾性シール材13は、熱可塑性エラストマー、熱硬化性エラストマー、天然ゴム等から好適に製造でき、特に、熱硬化性エラストマーの一種であるシリコーンゴムに代表されるシリコーン系エラストマーを好適に用いることができる。また、弾性シール材13を熱可塑性エラストマーにて製造する場合には、例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマーを好適に用いることができる。弾性シール材13に、無機フィラーあるいは有機フィラーを分散させても良い。
【0024】
第一実施形態では、弾性シール材13は、枠体11の一方の端部先端面を露出するが、枠体11の端部内側面および端部外側面の両側面から、シート12における枠体11と接する周囲までを覆っている。枠体11の端部外側面および端部内側面を覆う弾性シール材13は、溝6と枠体11との間を充填し、溝6から内側にある電池収納部4の防水を図るのに寄与する。加えて、弾性シール材13は、枠体11の端部外側面および端部内側面において、枠体11の幅方向外側および内側にそれぞれ突出するリブ14を好適に備える。リブ14は、溝6の内側面にて防水を図るのに有効に寄与する。枠体11とシート12とは、互いの接触部位に一切の接着層を介在させずに、枠体11の表面を覆う弾性シール材13によって固定されている。このため、防水部材10をより薄く構成できる。また、枠体11は、シート12の側端面より幅wだけ内側に固定されているので、弾性シール材13を枠体11の外側にてシート12上に貯留できる。したがって、弾性シール材13をシート12の側端面あるいは裏面まで延出させることなく、枠体11とシート12とを強固に固定できる。特に、弾性シール材13をシート12の裏面まで延出させないことにより、防水部材10をより薄く構成できるメリットがある。
【0025】
従来、樹脂製のトレイを成形し、当該トレイの突出表面にシール材を付着して防水部材を構成し、接着層9を介して、当該防水部材をカバー本体8に固定した場合には、トレイの底板部分の厚さは、成形上の限界があるため、最薄でも0.4mmまでしか薄くできない。カバー本体8の厚さ(図4中の厚さt1)も同様に最薄で0.4mmの厚さとしたとしても、0.05mm程度の接着層9を加味し、カバー本体8の外面からトレイの内面までの総厚を0.85mm(カバー本体8の厚さ0.4mm+接着層9の厚さ0.05mm+トレイの底板部分の厚さ0.4mmの総和)まで薄くするのが限界となる。これに対して、第一実施形態では、シート12の厚さ(図5中の厚さt2)を0.15mm程度まで薄くできるため、0.05mmの接着層9が存在していても、カバー本体8の外面から防水部材10のシート12の内面までの総厚を0.6mm(カバー本体8の厚さ0.4mm+接着層9の厚さ0.05mm+シート12の厚さ0.15mmの総和)まで薄くすることができる。このため、防水部材10をカバー本体8と別体としても、電子機器1の薄型化を図ることができる。加えて、枠体11とシート12との接触部位に接着層を介在させていないので、枠体11の高さを電子機器本体3側に過度に突出させずに済む。このため、電子機器1の薄型化を促進できる。また、カバー本体8と枠体11とを一体成形していないので、弾性シール材13を枠体11に付着する工程において、カバー本体8側に熱的あるいは圧的な負荷を与えることなく、カバー本体8の外面の外観を損なわない長所がある。
【0026】
2.防水カバーの製造方法
上述の防水カバー2は、例えば、次の要領にて製造可能である。以下、カバー本体8および枠体11の材料としてPC樹脂を、シート12の材料としてPET樹脂を、弾性シール材13の材料としてシリコーンエラストマーをそれぞれ用いる例にて説明する。まず、PC樹脂にて、カバー本体8と、枠体11とを、別々の金型にて成形する。成形方法としては、PC樹脂が熱可塑性樹脂であるため、金型内に溶融状態のPC樹脂を射出して成形する射出成形を好適に用いることができる。その他の成形方法として、軟化した状態のPC樹脂を金型にセットし、真空成形、圧空成形、真空/圧空成形を行っても良い。枠体11の成形後、別の金型に、所望の大きさに切り出したシート12と枠体11とをセットする。
【0027】
図6は、図5に示す枠体およびシートを弾性シール材成形用の金型にセットした状態の枠体近傍の部分断面図を示す。
【0028】
弾性シール材13を成形するための金型は、第一実施形態では第一金型15、第二金型16および第三金型17から構成されている。ただし、弾性シール材13を成形するための金型は、これら3つの金型からの構成に限定されず、2つあるいは4つ以上の個数の金型から構成しても良い。第一金型15、第二金型16および第三金型17にて形成される空間と、当該空間にセットされた枠体11およびシート12との隙間V1,V2は、弾性シール材13を形成する領域であって、枠体11の外側および内側にそれぞれ存在する。第二金型16および第三金型17は、金型の型締めを行っている状態において、枠体11の端部先端面に当接し、シート12に向かって押圧しているので、枠体11およびシート12は金型内で動く危険性を低減できる。この状態で、第二金型16および第三金型17にそれぞれ形成されたエラストマー供給孔16a,17aから図6中の矢印方向に未加硫状態のシリコーンエラストマー組成物を供給し、次に、第一金型15、第二金型16および第三金型17を加熱して、シリコーンエラストマー組成物を硬化する。最後に、第一金型15、第二金型16および第三金型17を開き、弾性シール材13、枠体11およびシート12を一体化した防水部材10を取り出す。上述の製造方法は、一例にすぎず、また、後述する他の実施形態の製造にも適用可能である。以後の各実施形態も、上記と同様の製造方法にて製造可能である。
【0029】
以上のように、カバー本体8と別体であってカバー本体8の内側に固定する防水部材10を備え、当該防水部材10に、閉ループ状の枠体11と、枠体11のカバー本体8側の開口面を覆って枠体11と固定されるシート12と、枠体11より軟質であって枠体11のシート12と反対側の端部を少なくとも覆って枠体11に付着する弾性シール材13とを備えることによって、電子機器1の薄型化と、蓋部材の良好な外観とを両立することができる。さらに、カバー本体8と防水部材10とを一体化せず、別々にそれら8,10を成形することによって、カバー本体8が防水部材10の存在に起因して平面内で不均一な収縮量にて収縮する危険性が低減する。均一な収縮を実現すると、防水部材10の先端に付けた弾性シール材13とそれを挿入する電子機器本体3側の溝6との位置ずれを小さくでき、もって高い防水性を実現できる。これは、特に、防水部材10がカバー本体8の平面上中央から外れた位置に存在する場合に顕著な効果である。また、防水部材10に枠体11を備え、弾性シール材13のみで溝6に挿入しないような構成とすることにより、溝6内に弾性シール材13を挿入しやすくできる。この作用・効果は、以下に説明する他の実施形態でも同様である。
【0030】
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態に係る防水カバーおよびそれを用いた電子機器について説明する。なお、第二実施形態において、前述の実施形態と共通する構成については、同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0031】
図7は、第二実施形態に係る防水カバーを構成する防水部材の図5と同視の断面図を示す。
【0032】
第二実施形態に係る防水カバー2を構成する防水部材10aは、第一実施形態と同様、閉ループ状の枠体11と、枠体11のカバー本体8側の開口面を覆って枠体11と固定されるシート12と、枠体11より軟質であって、枠体11のシート12と反対側の端部を少なくとも覆って枠体11に付着する弾性シール材13と、を有する。弾性シール材13は、枠体11の一方の端部先端面を露出するが、枠体11の端部内側面および端部外側面の両側面から、シート12における枠体11と接する周囲までを覆っている。弾性シール材13は、枠体11の端部外側面および端部内側面において、枠体11の幅方向外側および内側にそれぞれ突出するリブ14を備える。
【0033】
図7の一部Cの拡大図に示すように、枠体11とシート12とは、互いの接触部位に接着層19を介在して固定されている。接着層19は、接着層9と同種の層にて形成可能である。接着層19は、枠体11の閉ループに沿って連続配置されていても良く、また、間欠的に枠体11とシート12との間に介在されていても良い。接着層19を枠体11とシート12との間に間欠的に介在させる場合、接着層19同士の隙間に弾性シール材13を存在させ、弾性シール材13が枠体11の内側面と外側面とをつなぐようにしても良い。接着層19を設けることにより、枠体11に弾性シール材13を付着させる工程において、シート12と枠体11とをより確実に固定でき、両者11,12の位置ずれが生じにくくなる。特に、枠体11の端部先端面に弾性シール材13を付着させる場合、金型を構成する部材間の型締めによって枠体11をシート12に押圧することが難しいため、接着層19が両者11,12のずれ防止に有効に寄与する。接着層19の厚さt3は、特に限定されるものではないが、防水部材10aをできるだけ薄くする必要から、できる限り薄い方が望ましい。接着層19の厚さt3は、その製造上の厚さ限界も考慮し、例えば、0.03〜0.1mmに設定することができる。
【0034】
また、図7に示す構成に代えて、弾性シール材13は、枠体11のみに付着し、シート12に付着させない構成を採用することもできる。接着層19が枠体11とシート12とを固定する機能を持つため、必ずしも弾性シール材13にて両者11,12を固定することを要しないからである。ただし、枠体11は、電子機器本体3の溝6中に着脱を繰り返す部分であり大きな力を受けることから、シート12に強固に固定される方が好ましい。したがって、弾性シール材13によっても枠体11とシート12とを固定する方が好ましい。なお、第二実施形態に係る防水部材10aは、枠体11とシート12とを接着層19を介して固定した状態で金型内にセットする点を除き、第一実施形態に係る防水部材10と同様の方法にて製造できる。
【0035】
<第三実施形態>
次に、本発明の第三実施形態に係る防水カバーおよびそれを用いた電子機器について説明する。なお、第三実施形態において、前述の各実施形態と共通する構成については、同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0036】
図8は、第三実施形態に係る防水カバーを構成する防水部材の図5と同視の断面図を示す。
【0037】
第三実施形態に係る防水カバー2を構成する防水部材10bは、閉ループ状の枠体11aと、枠体11aのカバー本体8側の開口面を覆って枠体11aと固定されるシート12と、枠体11aより軟質であって、枠体11aのシート12と反対側の端部を少なくとも覆って枠体11aに付着する弾性シール材13と、を有する。弾性シール材13は、枠体11aの一方の端部先端面を露出するが、枠体11aの端部内側面および端部外側面の両側面から、シート12における枠体11aと接する周囲までを覆っている。また、弾性シール材13は、枠体11aの端部外側面および端部内側面において、枠体11aの幅方向外側および内側にそれぞれ突出するリブ14を備える。
【0038】
図8の一部Dの拡大図に示すように、枠体11aは、カバー本体8側の閉ループ状の端面に、好ましくは当該端面の幅より小さい幅を有する突出部20を備える。突出部20は、枠体11aの閉ループに沿って間欠的に形成されている。一方、シート12は、突出部20を挿入可能な位置と大きさにて貫通孔20aを備える。このため、枠体11aとシート12とは、枠体11a側の突出部20とシート12側の貫通孔20aとの嵌め込みによって固定される。かかる嵌め込みの構成は、第二実施形態にて説明した接着層19と代替的に用いることができるが、枠体11aとシート12との間に接着層19を介在させることもできる。さらに、突出部20を貫通孔20aに完全に押し込まずに、枠体11aの端面とシート12との間に隙間をあけて、弾性シール材13を当該隙間に存在させ、弾性シール材13が枠体11aの内側と外側とをつなぐようにしても良い。突出部20および貫通孔20aを設けることにより、枠体11aに弾性シール材13を付着させる工程において、シート12と枠体11aとをより確実に固定でき、両者11a,12の位置ずれが生じにくくなる。特に、枠体11aの端部先端面に弾性シール材13を付着させる場合、金型を構成する部材間の型締めによって枠体11aをシート12に押圧することが難しいため、突出部20および貫通孔20aが両者11a,12のずれ防止に有効に寄与する。突出部20の長さは、シート12の厚さと同一若しくはそれより短い方が好ましい。突出部20がシート12の裏側に飛び出ると、防水部材10bをカバー本体8に固定する際に邪魔になるからである。
【0039】
また、図8に示す構成に代えて、弾性シール材13は、枠体11aのみに付着し、シート12に付着させない構成を採用することもできる。突出部20と貫通孔20aが枠体11aとシート12とを固定する機能を持つため、必ずしも弾性シール材13にて両者11a,12を固定することを要しないからである。ただし、第二実施形態と同様の理由から、弾性シール材13によっても枠体11aとシート12とを固定する方が好ましい。なお、第三実施形態に係る防水部材10bは、枠体11aとシート12とを嵌め込み式にて固定した状態で金型内にセットする点を除き、第一実施形態に係る防水部材10と同様の方法にて製造できる。
【0040】
<第四実施形態>
次に、本発明の第四実施形態に係る防水カバーおよびそれを用いた電子機器について説明する。なお、第四実施形態において、前述の各実施形態と共通する構成については、同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0041】
図9は、第四実施形態に係る防水カバーを構成する防水部材の図5と同視の断面図を示す。
【0042】
第四実施形態に係る防水カバー2を構成する防水部材10cは、閉ループ状の枠体11と、枠体11のカバー本体8側の開口面を覆って枠体11と固定されるシート12と、枠体11より軟質であって、枠体11のシート12と反対側の端部を少なくとも覆って枠体11に付着する弾性シール材13と、を有する。図9の一部Eの拡大図に示すように、弾性シール材13は、枠体11の一方の端部先端面を露出する一方、枠体11の端部内側面、端部外側面、枠体11のシート12側の端面、およびシート12上の枠体11に囲まれた内側領域21を覆っている。また、弾性シール材13は、枠体11の端部外側面および端部内側面において、枠体11の幅方向外側および内側にそれぞれ突出するリブ14を備える。弾性シール材13の上記内側領域21の厚さt4は、特に限定されるものではないが、防水部材10cをできるだけ薄くする必要から、できる限り薄い方が望ましい。内側領域21の厚さt4は、その製造上の厚さ限界も考慮し、例えば、0.07〜0.20mmに設定することができる。
【0043】
枠体11は、シート12との間に弾性シール材13を介在させて、シート12上に固定されている。このため、枠体11とシート12との間に、弾性シール材13以外の接着層を必ずしも要しない。また、弾性シール材13は、枠体11の閉ループ状の端面全長において、枠体11とシート12との間に存在する構成以外に、枠体11の閉ループ状の端面に沿って間欠的に存在していても良い。例えば、枠体11の閉ループ状の端面に間欠的に突出部を形成し、突出部同士の間に弾性シール材13を存在させ、枠体11の突出部をシート12上に当接するようにしても良い。突出部を設けることは、金型を構成する部材間の型締めによって枠体11をシート12に押圧可能とし、両者11,12のずれ防止に有効に寄与する。さらに、当該突出部とシート12との間にのみ接着層を介在させ、突出部同士の間に弾性シール材13を介在させても良い。なお、第四実施形態に係る防水部材10cは、第一実施形態に係る防水部材10と同様の方法にて製造できる。
【0044】
<第五実施形態>
次に、本発明の第五実施形態に係る防水カバーおよびそれを用いた電子機器について説明する。なお、第五実施形態において、前述の各実施形態と共通する構成については、同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0045】
図10は、第五実施形態に係る防水カバーを構成する防水部材を、その内側から見た状態を示す。図11は、図10に示す防水部材のF−F線断面図およびその一部Gの拡大断面図を示す。
【0046】
第五実施形態に係る防水カバー2を構成する防水部材10dは、閉ループ状の枠体11bと、枠体11bのカバー本体8側の開口面を覆って枠体11bと固定されるシート12と、枠体11bより軟質であって、枠体11bのシート12と反対側の端部を少なくとも覆って枠体11bに付着する弾性シール材13と、を有する。図11の一部Gの拡大図に示すように、弾性シール材13は、枠体11bの一方の端部先端面を露出する一方、枠体11bの端部内側面、端部外側面、およびシート12上の枠体11bに囲まれた内側領域21を覆っている。また、弾性シール材13は、枠体11bの端部外側面において、枠体11の幅方向外側に突出するリブ14を備える。
【0047】
枠体11bは、その内側の開口側に突出する幅広部30を複数備える。具体的には、枠体11bの各辺に、3個ずつの幅広部30を備える。幅広部30は、電子機器本体3側の幅L1よりもカバー本体8に固定する側の幅L2を広くした部分であり、カバー本体8に固定する側に備えられる。弾性シール材13は、幅広部30の上から枠体11bを覆い、枠体11bの開口面内側において段差22を形成している。なお、幅広部30は、L1<L2の関係を維持する限り、段差を形成するように枠体11bに設けられなくても良く、例えば、枠体11bの電子機器本体3側あるいは電子機器本体3から所定距離だけカバー本体8に近づいた位置から徐々に幅広に形成されても良い。幅広部30を形成することにより、枠体11bが内側に倒れ込む状況を有効に防止できる。弾性シール材13は、内側領域21を備えずに、第一実施形態と同様、枠体11bの両側面から、シート12上の枠体11bとの接触部位の近傍に延出するように形成されていても良い。また、弾性シール材13は、枠体11bのみに付着して形成されていても良い。なお、第五実施形態に係る防水部材10dは、第一実施形態に係る防水部材10と同様の方法にて製造できる。
【0048】
<その他の実施形態>
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明は、上述の各種実施形態に限定されるものではなく、以下に例示される形態にて変更実施可能である。
【0049】
例えば、上述の防水カバー2は、電池収納部4を被覆および露出自在な構成であるが、電池収納部4以外の開口部あるいはメモリーディスクやCPU等の防水を要する部品の防水を図るものでも良い。リブ14は、弾性シール材13に必須の部位ではないが、溝6の側面にて有効に防水を図るためには好適な部位である。リブ14は、枠体11,11a,11bの外側面、内側面、またはそれら両側面に形成でき、好適には、少なくとも外側面を含むように形成される。できるだけ電池収納部4の外側にて防水を図る方が好ましいからである。また、防水性両面テープは、接着層9以外に、枠体11,11a,11bとシート12との接着にも使用できる。
【0050】
上述の各実施形態に含まれる複数の構成は、互いに任意に組み合わせることもできる。例えば、(a)弾性シール材13が枠体11,11a,11bの側面からシート12まで連続して形成されている構成または枠体11,11a,11bのみに形成されている構成と、(b)枠体11とシート12との間に接着層19を介在させている構成または介在させていない構成と、(c)弾性シール材13が枠体11とシート12との間に存在する構成または存在しない構成と、(d)枠体11,11a,11bの端部先端面に弾性シール材13を被覆しない構成または被覆する構成と、(e)枠体11aに突出部20を備える構成または備えない構成と、(f)枠体11bに幅広部30を形成する構成または形成しない構成と、を任意に組み合わせても良い。
【0051】
防水カバー2およびそれを備える電子機器1は、携帯電話機器、その他通信機器以外の広範な電子機器に適用可能であって、例えば、防水を必要とするならば、固定電話機器の本体とワイヤレス通信可能な子機、ホームオーディオ機器に使用するリモートコントローラ、バッテリーを搭載する電気自動車等にも応用できる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、防水性の電子機器に用いることができる。
【符号の説明】
【0053】
1 電子機器
2 防水カバー
3 電子機器本体
4 電池収納部(開口部の一例)
8 カバー本体
9 接着層(一例として、防水性両面テープ)
10,10a,10b,10c,10d 防水部材
11,11a,11b 枠体
12 シート
13 弾性シール材
14 リブ
19 接着層
30 幅広部
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水カバーおよびそれを用いた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
最近では、防水性の高い電子機器(例えば、携帯電話)の需要が徐々に高くなってきている。電子機器の防水性を高めるには、電池、シムカードあるいはメモリーディスク等を出し入れする部分や、精密部品および光学部品の嵌め込み口周辺のシール性を高める必要がある。電池を収納する電池収納部の防水構造を例に挙げると、樹脂製の電池蓋の内面に、電池収納部の開口面外周にて防水を実現するトレイ形状の防水部を射出成形等により別体で製造し、その防水部の外縁部にシリコーンエラストマー等を付ける一方、電池収納部の開口面外周に溝状の嵌合部を形成し、防水部の外縁部を嵌合部に圧入することによって防水を実現する構成(従来構成1)が知られている。また、これと類似する構成として、電池蓋と上記防水部の外縁部を一体成形し、電池蓋と電子機器本体との間の防水性を高めると同時に、接着厚さを無くすことによって電池蓋の薄型化を図る構成(従来構成2)も知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4424445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来から公知の上記電池蓋には次のような問題がある。まず、従来構成1の場合には、防水部を射出成形等により成形するため、成形上の厚み限界から、外縁部とつながる底板の厚さを薄くすることが難しい。また、電池蓋と防水部とを貼り付けるのに接着剤あるいは両面テープ等の接着層を必要とするため、電池蓋を取り付けた状態の電子機器の総厚が大きくなる。したがって、従来構成1は、電子機器の薄型化に支障をきたす。一方、従来構成2のように、電池蓋と防水部の外縁部とを一体成形すると、防水部の上記底板および上記接着層が不要になるため、電子機器の薄型化に支障をきたさない。しかし、電池蓋の外側の面に微小な凹凸若しくはゆがみが生じ、電池蓋の外観を損ねるという別の問題が生じる。具体的には、電池蓋の外側に、環状の防水部の形状に沿った微小の凹凸あるいは歪み等の変形領域が生じる。この原因の一つは、防水部を一体化した電池蓋を金型内にセットして、防水部の外縁部の表面にエラストマーを固着する工程において、エラストマーの漏洩を防ぐ目的にて防水部の外縁部の根元近傍に圧力をかけ、かつエラストマーの固化を目的として金型を加熱するため、当該根元近傍が変形することにある。変形領域を小さくする方法として、金型の型締め時の圧力を低くする方法も考えられるが、圧力を低くすると、エラストマー形成用の液状組成物が本来の形成箇所より外に流出し、バリの発生、あるいはエラストマー中での気泡の生成あるいは電池蓋の底板におけるヒケの発生が多くなる。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決すること、すなわち、電子機器の薄型化と、蓋部材の良好な外観とを両立する防水カバーおよびそれを備える電子機器を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の一実施形態は、電子機器本体の内部に通じる開口部あるいは電子機器本体に取り付けられる防水を要する部品を被覆および露出自在に電子機器本体に装着可能な防水カバーであって、電子機器本体の開口部あるいは部品を覆うカバー本体と、カバー本体と別体であってカバー本体の内側に固定する防水部材とを備え、防水部材に、閉ループ状の枠体と、枠体のカバー本体側の開口面を覆って枠体と固定されるシートと、枠体より軟質であって枠体のシートと反対側の端部を少なくとも覆って枠体に付着する弾性シール材とを有する防水カバーである。
【0007】
本発明の別の実施形態は、弾性シール材が枠体の端部からシートに達し、枠体とシートとを固定している防水カバーであっても良い。
【0008】
本発明の別の実施形態は、枠体とシートとの接触部位に、枠体とシートとを固定するための接着層を備える防水カバーであっても良い。
【0009】
本発明の別の実施形態は、弾性シール材が枠体とシートとの接触部位に介在し、枠体とシートとを接着している防水カバーであっても良い。
【0010】
本発明の別の実施形態は、弾性シール材において、枠体の端部の少なくとも外側面に、枠体の端部の幅方向に突出するリブを備える防水カバーであっても良い。
【0011】
本発明の別の実施形態は、枠体とカバー本体の内側とを、それらの間に防水性両面テープを介在して固定している防水カバーであっても良い。
【0012】
本発明の一実施形態は、枠体において、電子機器本体側の幅よりもカバー本体に固定する側の幅を広くした幅広部を、枠体のカバー本体に固定する側に備える防水カバーであっても良い。
【0013】
本発明の一実施形態は、上述のいずれか1つの防水カバーを備える電子機器である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電子機器の薄型化と、蓋部材の良好な外観とを両立する防水カバーおよびそれを備える電子機器を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の第一実施形態に係る電子機器の一部分解斜視図を示す。
【図2】図2は、図1に示す防水カバーを2つの構成部材に分解して電子機器本体と対向する側から見た分解斜視図を示す。
【図3】図3は、図2に示す構成部材を互いに貼り合わせた状態の防水カバーを、電子機器本体と対向する側から見た斜視図を示す。
【図4】図4は、図3に示す防水カバーのA−A線断面図を示す。
【図5】図5は、図4に示す防水部材の拡大図およびさらにその一部Bの拡大図を示す。
【図6】図6は、図5に示す枠体およびシートを弾性シール材成形用の金型にセットした状態の枠体近傍の部分断面図を示す。
【図7】図7は、第二実施形態に係る防水カバーを構成する防水部材の図5と同視の断面図を示す。
【図8】図8は、第三実施形態に係る防水カバーを構成する防水部材の図5と同視の断面図を示す。
【図9】図9は、第四実施形態に係る防水カバーを構成する防水部材の図5と同視の断面図を示す。
【図10】図10は、第五実施形態に係る防水カバーを構成する防水部材を、その内側から見た状態を示す。
【図11】図11は、図10に示す防水部材のF−F線断面図およびその一部Gの拡大断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の防水カバーおよびそれを用いた電子機器の各実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下の各実施形態では、防水カバーの一例として電子機器本体の裏面に装着する電子機器本体用保護カバーと電池蓋とを兼ねた形態を説明するが、防水カバーは、それによって覆われた部分の防水を実現する限り、電池蓋のみの機能を持つ構成部材などのように他のカバー部材に応用可能である。
【0017】
<第一実施形態>
1.防水カバーおよび電子機器の構成
図1は、本発明の第一実施形態に係る電子機器の一部分解斜視図を示す。
【0018】
第一実施形態に係る電子機器1は、防水カバー2と、電子機器本体3とから構成されている。防水カバー2は、電子機器本体3の内部に通じる開口部あるいは電子機器本体3に取り付けられる防水を要する部品を被覆および露出自在に、電子機器本体3に装着可能な構成を有する。電子機器本体3の内部に通じる開口部には電池収納部等を、電子機器本体3に取り付けられる防水を要する部品にはメモリーディスク等を、それぞれ好適な例として挙げることができる。第一実施形態では、防水カバー2は、電子機器本体3の裏面に装着可能に構成されている。一方、電子機器本体3は、電池収納部4を備える。電池収納部4は、電池5を着脱可能に、電子機器本体3の裏面を開口して形成されている。電子機器本体3は、電池収納部4の外周囲に、閉ループ形状にて、電子機器本体3の内部方向に窪む溝6を備える。また、電子機器本体3は、その外周囲に、裏面より内部方向に窪む段差端面7を備える。段差端面7は、防水カバー2の開口側の端面と対向する位置と形状にて構成されている。
【0019】
図2は、図1に示す防水カバーを2つの構成部材に分解して電子機器本体と対向する側から見た分解斜視図を示す。図3は、図2に示す構成部材を互いに貼り合わせた状態の防水カバーを、電子機器本体と対向する側から見た斜視図を示す。
【0020】
防水カバー2は、電子機器本体3の電池収納部4を覆うカバー本体8と、当該カバー本体8と別体であってカバー本体8の電子機器本体3と対向する側(内側という)に固定する防水部材10と、を備える。カバー本体8は、樹脂、金属、セラミックスあるいはガラスから好適に製造できる。カバー本体8を樹脂にて製造する場合、樹脂として、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合(ABS)樹脂などを好適に用いることができる。カバー本体8に、無機フィラーあるいは有機フィラーを分散させても良い。
【0021】
図4は、図3に示す防水カバーのA−A線断面図を示す。図5は、図4に示す防水部材の拡大図およびさらにその一部Bの拡大図を示す。
【0022】
防水部材10は、カバー本体8の内側全面に、好適に、接着層9を介して固定できる。接着層9は、接着剤の層、接着インクの層、両面テープのように接着機能を有する如何なる層であっても良いが、アクリル樹脂等の樹脂フィルムを基材としてその両面にシリコーンを接着層として備える防水性両面テープを好適に例示できる。防水部材10は、閉ループ状の枠体11と、枠体11のカバー本体8側の開口面を覆って枠体11と固定されるシート12と、枠体11より軟質であって、枠体11のシート12と反対側の端部を少なくとも覆って枠体11に付着する弾性シール材13と、を有する。枠体11は、第一実施形態では、電子機器本体3に形成された溝6に挿入可能な形態を有しており、略四角形の枠体である。溝6の外形が円形、楕円形、三角形、五角形以上の多角形の場合には、枠体11の外形も溝6の外形に応じた形状とするのが好ましい。
【0023】
枠体11およびシート12は、カバー本体8と同様の種類の材料から好適に構成できる。弾性シール材13は、熱可塑性エラストマー、熱硬化性エラストマー、天然ゴム等から好適に製造でき、特に、熱硬化性エラストマーの一種であるシリコーンゴムに代表されるシリコーン系エラストマーを好適に用いることができる。また、弾性シール材13を熱可塑性エラストマーにて製造する場合には、例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマーを好適に用いることができる。弾性シール材13に、無機フィラーあるいは有機フィラーを分散させても良い。
【0024】
第一実施形態では、弾性シール材13は、枠体11の一方の端部先端面を露出するが、枠体11の端部内側面および端部外側面の両側面から、シート12における枠体11と接する周囲までを覆っている。枠体11の端部外側面および端部内側面を覆う弾性シール材13は、溝6と枠体11との間を充填し、溝6から内側にある電池収納部4の防水を図るのに寄与する。加えて、弾性シール材13は、枠体11の端部外側面および端部内側面において、枠体11の幅方向外側および内側にそれぞれ突出するリブ14を好適に備える。リブ14は、溝6の内側面にて防水を図るのに有効に寄与する。枠体11とシート12とは、互いの接触部位に一切の接着層を介在させずに、枠体11の表面を覆う弾性シール材13によって固定されている。このため、防水部材10をより薄く構成できる。また、枠体11は、シート12の側端面より幅wだけ内側に固定されているので、弾性シール材13を枠体11の外側にてシート12上に貯留できる。したがって、弾性シール材13をシート12の側端面あるいは裏面まで延出させることなく、枠体11とシート12とを強固に固定できる。特に、弾性シール材13をシート12の裏面まで延出させないことにより、防水部材10をより薄く構成できるメリットがある。
【0025】
従来、樹脂製のトレイを成形し、当該トレイの突出表面にシール材を付着して防水部材を構成し、接着層9を介して、当該防水部材をカバー本体8に固定した場合には、トレイの底板部分の厚さは、成形上の限界があるため、最薄でも0.4mmまでしか薄くできない。カバー本体8の厚さ(図4中の厚さt1)も同様に最薄で0.4mmの厚さとしたとしても、0.05mm程度の接着層9を加味し、カバー本体8の外面からトレイの内面までの総厚を0.85mm(カバー本体8の厚さ0.4mm+接着層9の厚さ0.05mm+トレイの底板部分の厚さ0.4mmの総和)まで薄くするのが限界となる。これに対して、第一実施形態では、シート12の厚さ(図5中の厚さt2)を0.15mm程度まで薄くできるため、0.05mmの接着層9が存在していても、カバー本体8の外面から防水部材10のシート12の内面までの総厚を0.6mm(カバー本体8の厚さ0.4mm+接着層9の厚さ0.05mm+シート12の厚さ0.15mmの総和)まで薄くすることができる。このため、防水部材10をカバー本体8と別体としても、電子機器1の薄型化を図ることができる。加えて、枠体11とシート12との接触部位に接着層を介在させていないので、枠体11の高さを電子機器本体3側に過度に突出させずに済む。このため、電子機器1の薄型化を促進できる。また、カバー本体8と枠体11とを一体成形していないので、弾性シール材13を枠体11に付着する工程において、カバー本体8側に熱的あるいは圧的な負荷を与えることなく、カバー本体8の外面の外観を損なわない長所がある。
【0026】
2.防水カバーの製造方法
上述の防水カバー2は、例えば、次の要領にて製造可能である。以下、カバー本体8および枠体11の材料としてPC樹脂を、シート12の材料としてPET樹脂を、弾性シール材13の材料としてシリコーンエラストマーをそれぞれ用いる例にて説明する。まず、PC樹脂にて、カバー本体8と、枠体11とを、別々の金型にて成形する。成形方法としては、PC樹脂が熱可塑性樹脂であるため、金型内に溶融状態のPC樹脂を射出して成形する射出成形を好適に用いることができる。その他の成形方法として、軟化した状態のPC樹脂を金型にセットし、真空成形、圧空成形、真空/圧空成形を行っても良い。枠体11の成形後、別の金型に、所望の大きさに切り出したシート12と枠体11とをセットする。
【0027】
図6は、図5に示す枠体およびシートを弾性シール材成形用の金型にセットした状態の枠体近傍の部分断面図を示す。
【0028】
弾性シール材13を成形するための金型は、第一実施形態では第一金型15、第二金型16および第三金型17から構成されている。ただし、弾性シール材13を成形するための金型は、これら3つの金型からの構成に限定されず、2つあるいは4つ以上の個数の金型から構成しても良い。第一金型15、第二金型16および第三金型17にて形成される空間と、当該空間にセットされた枠体11およびシート12との隙間V1,V2は、弾性シール材13を形成する領域であって、枠体11の外側および内側にそれぞれ存在する。第二金型16および第三金型17は、金型の型締めを行っている状態において、枠体11の端部先端面に当接し、シート12に向かって押圧しているので、枠体11およびシート12は金型内で動く危険性を低減できる。この状態で、第二金型16および第三金型17にそれぞれ形成されたエラストマー供給孔16a,17aから図6中の矢印方向に未加硫状態のシリコーンエラストマー組成物を供給し、次に、第一金型15、第二金型16および第三金型17を加熱して、シリコーンエラストマー組成物を硬化する。最後に、第一金型15、第二金型16および第三金型17を開き、弾性シール材13、枠体11およびシート12を一体化した防水部材10を取り出す。上述の製造方法は、一例にすぎず、また、後述する他の実施形態の製造にも適用可能である。以後の各実施形態も、上記と同様の製造方法にて製造可能である。
【0029】
以上のように、カバー本体8と別体であってカバー本体8の内側に固定する防水部材10を備え、当該防水部材10に、閉ループ状の枠体11と、枠体11のカバー本体8側の開口面を覆って枠体11と固定されるシート12と、枠体11より軟質であって枠体11のシート12と反対側の端部を少なくとも覆って枠体11に付着する弾性シール材13とを備えることによって、電子機器1の薄型化と、蓋部材の良好な外観とを両立することができる。さらに、カバー本体8と防水部材10とを一体化せず、別々にそれら8,10を成形することによって、カバー本体8が防水部材10の存在に起因して平面内で不均一な収縮量にて収縮する危険性が低減する。均一な収縮を実現すると、防水部材10の先端に付けた弾性シール材13とそれを挿入する電子機器本体3側の溝6との位置ずれを小さくでき、もって高い防水性を実現できる。これは、特に、防水部材10がカバー本体8の平面上中央から外れた位置に存在する場合に顕著な効果である。また、防水部材10に枠体11を備え、弾性シール材13のみで溝6に挿入しないような構成とすることにより、溝6内に弾性シール材13を挿入しやすくできる。この作用・効果は、以下に説明する他の実施形態でも同様である。
【0030】
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態に係る防水カバーおよびそれを用いた電子機器について説明する。なお、第二実施形態において、前述の実施形態と共通する構成については、同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0031】
図7は、第二実施形態に係る防水カバーを構成する防水部材の図5と同視の断面図を示す。
【0032】
第二実施形態に係る防水カバー2を構成する防水部材10aは、第一実施形態と同様、閉ループ状の枠体11と、枠体11のカバー本体8側の開口面を覆って枠体11と固定されるシート12と、枠体11より軟質であって、枠体11のシート12と反対側の端部を少なくとも覆って枠体11に付着する弾性シール材13と、を有する。弾性シール材13は、枠体11の一方の端部先端面を露出するが、枠体11の端部内側面および端部外側面の両側面から、シート12における枠体11と接する周囲までを覆っている。弾性シール材13は、枠体11の端部外側面および端部内側面において、枠体11の幅方向外側および内側にそれぞれ突出するリブ14を備える。
【0033】
図7の一部Cの拡大図に示すように、枠体11とシート12とは、互いの接触部位に接着層19を介在して固定されている。接着層19は、接着層9と同種の層にて形成可能である。接着層19は、枠体11の閉ループに沿って連続配置されていても良く、また、間欠的に枠体11とシート12との間に介在されていても良い。接着層19を枠体11とシート12との間に間欠的に介在させる場合、接着層19同士の隙間に弾性シール材13を存在させ、弾性シール材13が枠体11の内側面と外側面とをつなぐようにしても良い。接着層19を設けることにより、枠体11に弾性シール材13を付着させる工程において、シート12と枠体11とをより確実に固定でき、両者11,12の位置ずれが生じにくくなる。特に、枠体11の端部先端面に弾性シール材13を付着させる場合、金型を構成する部材間の型締めによって枠体11をシート12に押圧することが難しいため、接着層19が両者11,12のずれ防止に有効に寄与する。接着層19の厚さt3は、特に限定されるものではないが、防水部材10aをできるだけ薄くする必要から、できる限り薄い方が望ましい。接着層19の厚さt3は、その製造上の厚さ限界も考慮し、例えば、0.03〜0.1mmに設定することができる。
【0034】
また、図7に示す構成に代えて、弾性シール材13は、枠体11のみに付着し、シート12に付着させない構成を採用することもできる。接着層19が枠体11とシート12とを固定する機能を持つため、必ずしも弾性シール材13にて両者11,12を固定することを要しないからである。ただし、枠体11は、電子機器本体3の溝6中に着脱を繰り返す部分であり大きな力を受けることから、シート12に強固に固定される方が好ましい。したがって、弾性シール材13によっても枠体11とシート12とを固定する方が好ましい。なお、第二実施形態に係る防水部材10aは、枠体11とシート12とを接着層19を介して固定した状態で金型内にセットする点を除き、第一実施形態に係る防水部材10と同様の方法にて製造できる。
【0035】
<第三実施形態>
次に、本発明の第三実施形態に係る防水カバーおよびそれを用いた電子機器について説明する。なお、第三実施形態において、前述の各実施形態と共通する構成については、同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0036】
図8は、第三実施形態に係る防水カバーを構成する防水部材の図5と同視の断面図を示す。
【0037】
第三実施形態に係る防水カバー2を構成する防水部材10bは、閉ループ状の枠体11aと、枠体11aのカバー本体8側の開口面を覆って枠体11aと固定されるシート12と、枠体11aより軟質であって、枠体11aのシート12と反対側の端部を少なくとも覆って枠体11aに付着する弾性シール材13と、を有する。弾性シール材13は、枠体11aの一方の端部先端面を露出するが、枠体11aの端部内側面および端部外側面の両側面から、シート12における枠体11aと接する周囲までを覆っている。また、弾性シール材13は、枠体11aの端部外側面および端部内側面において、枠体11aの幅方向外側および内側にそれぞれ突出するリブ14を備える。
【0038】
図8の一部Dの拡大図に示すように、枠体11aは、カバー本体8側の閉ループ状の端面に、好ましくは当該端面の幅より小さい幅を有する突出部20を備える。突出部20は、枠体11aの閉ループに沿って間欠的に形成されている。一方、シート12は、突出部20を挿入可能な位置と大きさにて貫通孔20aを備える。このため、枠体11aとシート12とは、枠体11a側の突出部20とシート12側の貫通孔20aとの嵌め込みによって固定される。かかる嵌め込みの構成は、第二実施形態にて説明した接着層19と代替的に用いることができるが、枠体11aとシート12との間に接着層19を介在させることもできる。さらに、突出部20を貫通孔20aに完全に押し込まずに、枠体11aの端面とシート12との間に隙間をあけて、弾性シール材13を当該隙間に存在させ、弾性シール材13が枠体11aの内側と外側とをつなぐようにしても良い。突出部20および貫通孔20aを設けることにより、枠体11aに弾性シール材13を付着させる工程において、シート12と枠体11aとをより確実に固定でき、両者11a,12の位置ずれが生じにくくなる。特に、枠体11aの端部先端面に弾性シール材13を付着させる場合、金型を構成する部材間の型締めによって枠体11aをシート12に押圧することが難しいため、突出部20および貫通孔20aが両者11a,12のずれ防止に有効に寄与する。突出部20の長さは、シート12の厚さと同一若しくはそれより短い方が好ましい。突出部20がシート12の裏側に飛び出ると、防水部材10bをカバー本体8に固定する際に邪魔になるからである。
【0039】
また、図8に示す構成に代えて、弾性シール材13は、枠体11aのみに付着し、シート12に付着させない構成を採用することもできる。突出部20と貫通孔20aが枠体11aとシート12とを固定する機能を持つため、必ずしも弾性シール材13にて両者11a,12を固定することを要しないからである。ただし、第二実施形態と同様の理由から、弾性シール材13によっても枠体11aとシート12とを固定する方が好ましい。なお、第三実施形態に係る防水部材10bは、枠体11aとシート12とを嵌め込み式にて固定した状態で金型内にセットする点を除き、第一実施形態に係る防水部材10と同様の方法にて製造できる。
【0040】
<第四実施形態>
次に、本発明の第四実施形態に係る防水カバーおよびそれを用いた電子機器について説明する。なお、第四実施形態において、前述の各実施形態と共通する構成については、同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0041】
図9は、第四実施形態に係る防水カバーを構成する防水部材の図5と同視の断面図を示す。
【0042】
第四実施形態に係る防水カバー2を構成する防水部材10cは、閉ループ状の枠体11と、枠体11のカバー本体8側の開口面を覆って枠体11と固定されるシート12と、枠体11より軟質であって、枠体11のシート12と反対側の端部を少なくとも覆って枠体11に付着する弾性シール材13と、を有する。図9の一部Eの拡大図に示すように、弾性シール材13は、枠体11の一方の端部先端面を露出する一方、枠体11の端部内側面、端部外側面、枠体11のシート12側の端面、およびシート12上の枠体11に囲まれた内側領域21を覆っている。また、弾性シール材13は、枠体11の端部外側面および端部内側面において、枠体11の幅方向外側および内側にそれぞれ突出するリブ14を備える。弾性シール材13の上記内側領域21の厚さt4は、特に限定されるものではないが、防水部材10cをできるだけ薄くする必要から、できる限り薄い方が望ましい。内側領域21の厚さt4は、その製造上の厚さ限界も考慮し、例えば、0.07〜0.20mmに設定することができる。
【0043】
枠体11は、シート12との間に弾性シール材13を介在させて、シート12上に固定されている。このため、枠体11とシート12との間に、弾性シール材13以外の接着層を必ずしも要しない。また、弾性シール材13は、枠体11の閉ループ状の端面全長において、枠体11とシート12との間に存在する構成以外に、枠体11の閉ループ状の端面に沿って間欠的に存在していても良い。例えば、枠体11の閉ループ状の端面に間欠的に突出部を形成し、突出部同士の間に弾性シール材13を存在させ、枠体11の突出部をシート12上に当接するようにしても良い。突出部を設けることは、金型を構成する部材間の型締めによって枠体11をシート12に押圧可能とし、両者11,12のずれ防止に有効に寄与する。さらに、当該突出部とシート12との間にのみ接着層を介在させ、突出部同士の間に弾性シール材13を介在させても良い。なお、第四実施形態に係る防水部材10cは、第一実施形態に係る防水部材10と同様の方法にて製造できる。
【0044】
<第五実施形態>
次に、本発明の第五実施形態に係る防水カバーおよびそれを用いた電子機器について説明する。なお、第五実施形態において、前述の各実施形態と共通する構成については、同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0045】
図10は、第五実施形態に係る防水カバーを構成する防水部材を、その内側から見た状態を示す。図11は、図10に示す防水部材のF−F線断面図およびその一部Gの拡大断面図を示す。
【0046】
第五実施形態に係る防水カバー2を構成する防水部材10dは、閉ループ状の枠体11bと、枠体11bのカバー本体8側の開口面を覆って枠体11bと固定されるシート12と、枠体11bより軟質であって、枠体11bのシート12と反対側の端部を少なくとも覆って枠体11bに付着する弾性シール材13と、を有する。図11の一部Gの拡大図に示すように、弾性シール材13は、枠体11bの一方の端部先端面を露出する一方、枠体11bの端部内側面、端部外側面、およびシート12上の枠体11bに囲まれた内側領域21を覆っている。また、弾性シール材13は、枠体11bの端部外側面において、枠体11の幅方向外側に突出するリブ14を備える。
【0047】
枠体11bは、その内側の開口側に突出する幅広部30を複数備える。具体的には、枠体11bの各辺に、3個ずつの幅広部30を備える。幅広部30は、電子機器本体3側の幅L1よりもカバー本体8に固定する側の幅L2を広くした部分であり、カバー本体8に固定する側に備えられる。弾性シール材13は、幅広部30の上から枠体11bを覆い、枠体11bの開口面内側において段差22を形成している。なお、幅広部30は、L1<L2の関係を維持する限り、段差を形成するように枠体11bに設けられなくても良く、例えば、枠体11bの電子機器本体3側あるいは電子機器本体3から所定距離だけカバー本体8に近づいた位置から徐々に幅広に形成されても良い。幅広部30を形成することにより、枠体11bが内側に倒れ込む状況を有効に防止できる。弾性シール材13は、内側領域21を備えずに、第一実施形態と同様、枠体11bの両側面から、シート12上の枠体11bとの接触部位の近傍に延出するように形成されていても良い。また、弾性シール材13は、枠体11bのみに付着して形成されていても良い。なお、第五実施形態に係る防水部材10dは、第一実施形態に係る防水部材10と同様の方法にて製造できる。
【0048】
<その他の実施形態>
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明は、上述の各種実施形態に限定されるものではなく、以下に例示される形態にて変更実施可能である。
【0049】
例えば、上述の防水カバー2は、電池収納部4を被覆および露出自在な構成であるが、電池収納部4以外の開口部あるいはメモリーディスクやCPU等の防水を要する部品の防水を図るものでも良い。リブ14は、弾性シール材13に必須の部位ではないが、溝6の側面にて有効に防水を図るためには好適な部位である。リブ14は、枠体11,11a,11bの外側面、内側面、またはそれら両側面に形成でき、好適には、少なくとも外側面を含むように形成される。できるだけ電池収納部4の外側にて防水を図る方が好ましいからである。また、防水性両面テープは、接着層9以外に、枠体11,11a,11bとシート12との接着にも使用できる。
【0050】
上述の各実施形態に含まれる複数の構成は、互いに任意に組み合わせることもできる。例えば、(a)弾性シール材13が枠体11,11a,11bの側面からシート12まで連続して形成されている構成または枠体11,11a,11bのみに形成されている構成と、(b)枠体11とシート12との間に接着層19を介在させている構成または介在させていない構成と、(c)弾性シール材13が枠体11とシート12との間に存在する構成または存在しない構成と、(d)枠体11,11a,11bの端部先端面に弾性シール材13を被覆しない構成または被覆する構成と、(e)枠体11aに突出部20を備える構成または備えない構成と、(f)枠体11bに幅広部30を形成する構成または形成しない構成と、を任意に組み合わせても良い。
【0051】
防水カバー2およびそれを備える電子機器1は、携帯電話機器、その他通信機器以外の広範な電子機器に適用可能であって、例えば、防水を必要とするならば、固定電話機器の本体とワイヤレス通信可能な子機、ホームオーディオ機器に使用するリモートコントローラ、バッテリーを搭載する電気自動車等にも応用できる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、防水性の電子機器に用いることができる。
【符号の説明】
【0053】
1 電子機器
2 防水カバー
3 電子機器本体
4 電池収納部(開口部の一例)
8 カバー本体
9 接着層(一例として、防水性両面テープ)
10,10a,10b,10c,10d 防水部材
11,11a,11b 枠体
12 シート
13 弾性シール材
14 リブ
19 接着層
30 幅広部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器本体の内部に通じる開口部あるいは当該電子機器本体に取り付けられる防水を要する部品を被覆および露出自在に当該電子機器本体に装着可能な防水カバーであって、
上記電子機器本体の上記開口部あるいは上記部品を覆うカバー本体と、
当該カバー本体と別体であって当該カバー本体の内側に固定する防水部材と、
を備え、
当該防水部材は、
閉ループ状の枠体と、
当該枠体の上記カバー本体側の開口面を覆って上記枠体と固定されるシートと、
当該枠体より軟質であって、上記枠体の上記シートと反対側の端部を少なくとも覆って上記枠体に付着する弾性シール材と、
を有することを特徴とする防水カバー。
【請求項2】
前記弾性シール材は、前記枠体の前記端部から前記シートに達し、前記枠体と前記シートとを固定していることを特徴とする請求項1に記載の防水カバー。
【請求項3】
前記枠体と前記シートとの接触部位に、前記枠体と前記シートとを固定するための接着層を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の防水カバー。
【請求項4】
前記弾性シール材は、前記枠体と前記シートとの接触部位に介在し、前記枠体と前記シートとを接着していることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の防水カバー。
【請求項5】
前記弾性シール材は、前記枠体の前記端部の少なくとも外側面に、前記端部の幅方向に突出するリブを備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の防水カバー。
【請求項6】
前記枠体と前記カバー本体の内側とを、それらの間に防水性両面テープを介在して、固定していることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の防水カバー。
【請求項7】
前記枠体は、前記電子機器本体側の幅よりも前記カバー本体に固定する側の幅を広くした幅広部を、前記カバー本体に固定する側に備えることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の防水カバー。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の防水カバーを備えることを特徴とする電子機器。
【請求項1】
電子機器本体の内部に通じる開口部あるいは当該電子機器本体に取り付けられる防水を要する部品を被覆および露出自在に当該電子機器本体に装着可能な防水カバーであって、
上記電子機器本体の上記開口部あるいは上記部品を覆うカバー本体と、
当該カバー本体と別体であって当該カバー本体の内側に固定する防水部材と、
を備え、
当該防水部材は、
閉ループ状の枠体と、
当該枠体の上記カバー本体側の開口面を覆って上記枠体と固定されるシートと、
当該枠体より軟質であって、上記枠体の上記シートと反対側の端部を少なくとも覆って上記枠体に付着する弾性シール材と、
を有することを特徴とする防水カバー。
【請求項2】
前記弾性シール材は、前記枠体の前記端部から前記シートに達し、前記枠体と前記シートとを固定していることを特徴とする請求項1に記載の防水カバー。
【請求項3】
前記枠体と前記シートとの接触部位に、前記枠体と前記シートとを固定するための接着層を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の防水カバー。
【請求項4】
前記弾性シール材は、前記枠体と前記シートとの接触部位に介在し、前記枠体と前記シートとを接着していることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の防水カバー。
【請求項5】
前記弾性シール材は、前記枠体の前記端部の少なくとも外側面に、前記端部の幅方向に突出するリブを備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の防水カバー。
【請求項6】
前記枠体と前記カバー本体の内側とを、それらの間に防水性両面テープを介在して、固定していることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の防水カバー。
【請求項7】
前記枠体は、前記電子機器本体側の幅よりも前記カバー本体に固定する側の幅を広くした幅広部を、前記カバー本体に固定する側に備えることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の防水カバー。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の防水カバーを備えることを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−85155(P2013−85155A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224463(P2011−224463)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】
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