説明

防水型携帯端末

【課題】防水性を有する防水型携帯端末を提供する。
【解決手段】防水型携帯端末である携帯電話機1は、表示部19を収容する第1筐体2を備え、第1筐体2は、第1部分筐体5と、第2部分筐体6と、第3部分筐体7と、を有する。第1部分筐体5は、表示部19が搭載されるとともに一部が埋設するように設けられた金属製板8と、前面側周囲であって、金属製板8に搭載される表示部19より外側に形成された第1平坦部14と、第1部分筐体5の後面側周囲に形成された第2平坦部15と、第2平坦部15内であって、金属製板8を外面に露出する第1貫通孔26と、を有する。第2部分筐体6は、表示部19を覆うとともに、第1平坦部14に粘着固定される第1粘着部材24を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機やノートパソコン等の携帯端末装置や、車載されるナビゲーション装置等、防水性を備えた防水型携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機、携帯遊戯機、ノート型パソコン、電子書籍端末等は小型化、薄型化を図りながら、さらに防水性を備えた携帯端末が提案されている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1には、一対の筐体が互いにスライド可能に係合し、一方の筐体に内蔵された電気的構成要素が、フレキシブルリードを介して、他方の筐体に内蔵された電気的構成要素と接続されているスライド式携帯電子機器が示されている。このスライド式携帯電子機器において、前記他方の筐体には、フレキシブルリードが通過する開口が設けられ、該開口は防水シートによって塞がれており、前記一方の筐体の電気的構成要素から引き出されたフレキシブルリードは、防水シートと前記他方の筐体との接合面間を通過して、前記他方の筐体の電気的構成要素と接続されている。前記筐体のうち一方は、表示側筐体とし、表示側筐体の表示側背面ケース半体には、スライド板と、このスライド板を付勢するバネとが設置された構造が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−88733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、携帯電話等の携帯端末では、小型化・薄型化と高剛性化の両立が望まれている。さらに、高付加価値として、防水機能も要望されている。
これに対応して、特許文献1に示す従来の構成では、フレキシブルリードが配置された部位からの浸水を無くすための構造として開示されている。しかしながら、スライド板を取り付けた部位からの浸水防止構造が開示されていないため、防水性を有するスライド式携帯端末の実現を図ることが望まれている。
【0005】
本発明の目的は、表示部を良好に保持できる強度を確保することで、装置の大型化を回避しつつ、防水性を有する防水型携帯端末、及びスライド式にも対応可能な防水型携帯端末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の防水型携帯端末は、第1筐体は、少なくとも2つの部分筐体からなり、前記2つの部分筐体のうちいずれか一方の部分筐体は、一部が埋設するように設けられた金属製板と、平坦部と、前記平坦部内であって、前記金属製板を外面に露出する貫通孔と、を有し、前記2つの部分筐体のうちいずれか他方の部分筐体は、前記平坦部に粘着固定される粘着部材を有し、前記粘着部材は前記貫通孔を覆うようにした、ことを特徴とする。
【0007】
本発明の防水型携帯端末は、表示部と、前記表示部を収容する第1筐体と、を備え、前記第1筐体は、第1部分筐体と、第2部分筐体と、第3部分筐体と、を有し、前記第1部分筐体は、前記表示部が搭載されるとともに一部が埋設するように設けられた金属製板と、前面側周囲であって、前記金属製板に搭載される前記表示部より外側に形成された第1平坦部と、前記第1部分筐体の後面側周囲に形成された第2平坦部と、前記第2平坦部内であって、前記金属製板を外面に露出する第1貫通孔と、を有し、前記第2部分筐体は、前記表示部を覆うとともに、前記第1平坦部に粘着固定される第1粘着部材を有し、前記第3部分筐体は、前記第2平坦部に粘着固定される第2粘着部材を有し、前記第2粘着部材は前記第1貫通孔を覆うようにした、ことを特徴とする。
【0008】
本発明の防水型携帯端末は、第2筐体と、前記第1筐体と前記第2筐体とをスライド可能に連結する連結部と、を備え、前記連結部は、前記第1筐体に装着される第1連結部と、前記第2筐体に装着される第2連結部と、を有し、前記第1連結部は、前記第2粘着部材より外側の領域に配置した、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第1に、高剛性な金属製板を第1筐体と一体的に形成しているので、第1筐体に外力が加わったときでも第1筐体の変形を小さくすることができる。その結果、ガラスからなる表示部に外力が加わった場合でも破損しにくいように保持できる。第2に、第1筐体を金型で成形する際、金属製板の端部近傍を支持できるので、金属製板が意図しない位置から露出するといった不具合の招来を回避できる。第3に、金属製板と第3部分筐体との間に部品を配置した場合、この部品への浸水が防止できるといった効果を得られるので、小型化・薄型化を可能にしつつ、防水性も有する防水型携帯端末を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】(a)本発明の実施形態における携帯電話機の閉状態における外観斜視図(b)本発明の実施形態における携帯電話機の開状態における外観斜視図
【図2】図1(a)の横断面図
【図3】図2に示す第1貫通孔を通る縦断面図
【図4】本発明の実施形態における携帯電話機の筐体内の電気的構成を示すブロック図
【図5】本発明の実施形態における携帯電話機を構成する部品の製作方法を説明する断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。なお、ここでは、本発明の防水型携帯端末として、スライド型の携帯電話機に適用した例を説明する。
図1は、本発明の実施形態における携帯電話機の外観を示す斜視図であり、(a)は閉状態、(b)は開状態を示す。図2は、図1(a)の横断面図を示す。図3は、図2に示す第1貫通孔を通る縦断面図である。図4は、本発明の実施形態における携帯電話機の筐体内の電気的構成を示すブロック図である。図5は、本発明の実施形態における携帯電話機を構成する部品の製作方法を説明する断面図である。
【0012】
図1(a)および(b)に示すように、本実施形態の携帯電話機(以下、本体部という)1は、大略構成として、第1筐体2と、第2筐体3と、点線で示す連結部4と、からなる。携帯時及び始話、終話等の簡単な操作時には、図1(a)に示すように、本体部1を構成する第1筐体2と第2筐体3とが互いに重なった重畳状態(以下、閉じた状態または閉状態と称す)で用いられる。例えば、メール作成時や、文字や数字、電話番号を入力する場合、図1(b)に示すように、本体部1が閉状態から、第2筐体3に対して第1筐体2を矢印A方向に移動させた開いた状態で用いられる。
【0013】
次に、本実施形態の携帯電話機の本体部1が有する各構成要素について、図2乃至図4を用いて説明する。図2乃至図4に示した各構成要素について、図1にも示されている場合には、図1にも符号を付与する。
第1筐体2は、熱可塑性樹脂材料で成形された第1部分筐体5と、透明な材料で形成された第2部分筐体(透明窓)6と、熱可塑性樹脂材料で成形された第3部分筐体7と、からなり、略箱状の形状をなす。
【0014】
第1部分筐体5は、金属製の材料から形成された金属製板8が一体的に設けられている。金属製板8は、中央部分に略矩形状の平面部9を有し、この平面部9における矢印A方向の両端側に形成された第1曲げ部10と第2曲げ部11と、矢印A方向と直交する矢印B方向の両端側に形成された第3曲げ部12と第4曲げ部13とを有する。第1曲げ部10と第2曲げ部11と第3曲げ部12と第4曲げ部13とは、絞り加工にて連設すると、金属製板が変形しづらくなるので、より第1筐体2の剛性を向上させることができる。
また、第1部分筐体5は、前述の第1曲げ部10と、第2曲げ部11と、第3曲げ部12と、第4曲げ部13の端面が埋設するように覆う、平面部9と平行な第1平坦部14とを有する。また、金属製板8を挟んで第1平坦部14の反対側には、金属製板8とは限りなく隙間が極小となっていて、第1平坦部14とは平行な第2平坦部15を有する。
【0015】
第1筐体2は、内部にレシーバ17と、スピーカ18と、表示部19と、表示部用クッション20と、第1操作部21と、第1プリント基板22と、ケーブル23と、を備える。
第2部分筐体6は、略矩形状であって、周囲にロの字状(環状)の第1粘着部材24が粘着されている。第1粘着部材24は、金属製板8の平面部9上に搭載された表示部19を覆う第2部分筐体6を第1部分筐体5の第1平坦部14に粘着固定するためのものである。
第3部分筐体7は、周囲にロの字状(環状)の第2粘着部材25が粘着されている。第3部分筐体7が平面部9の裏面側を覆い、第1部分筐体5の第2平坦部15に第3部分筐体7を粘着固定するためのものである。
【0016】
図2に示す第2平坦部15には、金属製板8が外面に露出する第1貫通孔26と第2貫通孔27とが示されている。図3の第1貫通孔26を通る断面を示す図3には、第1貫通孔26と第3貫通孔28とが示されている。
ここで、第1貫通孔26、第2貫通孔27、第3貫通孔28は、金属製板8と第1部分筐体5との一体成型時において、金属製板8が撓んでしまうことを防止するために形成されているものであるが、詳細については図5を用いて後述する。
【0017】
また、図3に示すように、平面部9は第1凹部30を有する。図2に示す第1貫通孔26と第2貫通孔27とは、図2の幅方向中心を境にして左右対称の位置にある。図2及び図3には図示していないが、同様に、第3貫通孔28と対称な位置に第4貫通孔を有する。さらに、第1凹部30と対称な位置に第2凹部(図示せず)を有する。第1凹部30と第2凹部とは、ともに同形状であり、金属製板8の平面部9から第3部分筐体7側に向けて段付き状の絞り加工が施され、さらに、その第1凹部30の中央には第5貫通孔31が設けられ、第2凹部(図示せず)の中央には第6貫通孔(図示せず)が設けられている。
【0018】
第1凹部30と第2凹部とには、ともに第2平坦部15を形成する樹脂材料が充填され、充填された樹脂材料が平面部9の一部を形成している。第1凹部30と第2凹部とは、第1凹部30や第2凹部に充填された樹脂材料と第2平坦部15とを形成する樹脂材料とが連結しているので、金属製板8から第2平坦部15が剥がれる力が加わった場合でも、容易に剥離しないようにするために設けている。
【0019】
第2粘着部材25は、前述の第1貫通孔26や第2貫通孔27、第3貫通孔28、第4貫通孔を覆い、これら第1貫通孔26や第2貫通孔27、第3貫通孔28、第4貫通孔の奥底の金属製板8が第3部分筐体7側の外面に露見させないように閉塞している(覆っている)。第3部分筐体7は、第2粘着部材25を介して、第1部分筐体5の第2平坦部15に粘着固定される。
第1粘着部材24と第2粘着部材25はともに同材質であり、柔軟な基材の両面に粘着剤層が積層されている。第1平坦部14や第2平坦部15に微小な凹凸があっても、柔軟な基材が追従することで、第1平坦部14と第1粘着部材24の間や第2平坦部15と第2粘着部材25の間に隙間が発生することを防止し、浸水が回避できるようになっている。
なお、第1粘着部材24と第2粘着部材25の材質は、必ずしもこの材質でなくてもよく、粘着剤が第1平坦部14や第2平坦部15に水密に貼着する材質を選定すればよい。また、粘着剤の代替に接着剤を用いてもよい。
【0020】
ここで、第2粘着部材25は前述の第1貫通孔26、第2貫通孔27、第3貫通孔28、第4貫通孔を覆わずに迂回させた場合、第2粘着部材25が第1部分筐体5に粘着される面積が減る。粘着部材の粘着力は面積にほぼ比例するため、粘着面積が減ると第3部分筐体7が第1部分筐体5に粘着する力が減ってしまう。
この種の端末は、使用者が誤って落下させてしまうケースが多いので、落下時に第3部分筐体7が第1部分筐体5から剥離する力が付与されても、剥がれないようにする必要がある。そのため、面積を小さくすることは好ましくないため、迂回した部位の面積を大きくしなければならない。その結果、端末の幅方向の大きさを大きくしなければならない。
【0021】
本実施形態では、端末の幅を最小限にするために、内蔵部品のレイアウトを考慮しながら複数の貫通孔を設け、この貫通孔を第2粘着部材25で覆うようにしたことで、貫通孔への汗や雨水等液体の浸入を防止しつつ第2粘着部材25の貼り付け面積の増大を図ったものである。
【0022】
第1筐体2の内部に収容される構成部品について、説明する。
レシーバ17は第1音声出力部であり、通信相手の音声を出力するものである。着信時、音声が第1筐体2外に導かれる。レシーバ17は、第1筐体2の片端側に配置される。使用者はレシーバ17近傍に耳を当てることで、相手の音声を聞き取ることができる。
スピーカ18は、第2音声出力部であり、着信音やハンズフリー時の音声、TV視聴時の音声等を出力するものである。スピーカ18は、第1筐体2の片端側とは反対側の反対端側で、かつ矢印B方向の端部側に配置される。着信時、着信音が第1筐体2外に導かれ、使用者は、第1筐体2外に導かれた着信音等を聞き取ることができる。
【0023】
表示部19は、受信電界強度を示すマーク、電池残容量情報、時刻情報や着信情報、入力した文字や記号、受信画像等を表示する。表示部19は、金属製板8の平面部9上に搭載される。
枠状の表示部用クッション20は、表示部19上の外形に沿って、表示部19と第2部分筐体6との間に設けられる。この表示部用クッション20は、第1筐体2内の表示部19外から表示部19上に塵埃が侵入することを防止する。この表示部19は、使用者は第2部分筐体6を通して、表示部19に表示された文字や画像等を第1筐体2の外面から視認できる。
【0024】
第1操作部21は、第1筐体2の反対端側(レシーバ17が配置された端部とは反対側の端部)に配置されている。第1操作部21の一部が第1部分筐体5の表面から突出しており、この突出した部位を使用者が指で押し下げられるようになっている。第1操作部21の周囲は第1部分筐体5の内壁に水密に取り付けられているので、この第1操作部21からの浸水は無い構造である。
第1プリント基板22は平面部9の裏面に搭載される。この第1プリント基板22の表面(表示部19側)には、第1操作部21が設けられ、裏面(第3部分筐体7側)には、ケーブル23の片端部が接続される第1コネクタ32が設けられている。また、図示しないが、レシーバ17やスピーカ18、表示部19が接続される接続部も形成されている。
【0025】
連結部4は、第1筐体2と第2筐体3との間に配置される。この連結部4は、第1部分筐体5の裏面側(第2筐体3と対面する側)に装着される第1レール35と、第1レール35の中を摺動する第1摺動部材36と、第1部分筐体5の裏面側に装着される第2レール37と、第2レール37の中を摺動する第2摺動部材38と、付勢ユニット39と、を有する。
第1レール35と第2レール37とは、ともにロの字状の一辺の一部が開口した断面形状が長手方向に続いたものである。第1レール35と第2レール37とは、第2平坦部15の上で、かつ第1部分筐体5と第3部分筐体7との間にそれぞれ平行配置される。
【0026】
付勢ユニット39は、枠体40と、枠体40内に収容された付勢部材41と、付勢部材41によって第1レール35の側面に向けて付勢される摺動子42と、を備える。
ケーブル23は、前述したように片端は第1プリント基板22に接続され、第3部分筐体7の一部から第1筐体2外に導かれ、屈曲部43を介して第2筐体3内に導かれる。ケーブル23の中央部は付勢ユニット39に隣接し、第1筐体2と第2筐体3との間に屈曲部43が摺動するように配置されている。
なお、ケーブル23における第1筐体2から脱出する脱出部と、第2筐体3に侵入する侵入部との構成は、ケーブル23周囲に接着剤はパッキン部材を設けることにより、脱出部や侵入部は止水されており、詳述は省く。
【0027】
次に、第2筐体3について、説明する。
第2筐体3は、第1筐体2と対面する側面に第2操作部48と、送話部(マイクロフォン)49(図1に図示)と、を有し、さらに、この側面には、第1ねじ50によって第1摺動部材36が固定され、第2ねじ51によって第2摺動部材38が固定され、付勢ユニット39は側面上に形成された第1リブ52と第2リブ53間に嵌入されて固定される。第2筐体3の内部には、アンテナ54と、カメラ部55(図1乃至図3に図示せず)と、UIMカードが装着されるUIMカード装着部56と、情報記録カード装着部57と、第2プリント基板58と、電池部59と、を収容している。
【0028】
第2操作部48は、電話番号や文字を入力するために、数字や文字、記号等が印刷されている。この第2操作部48は、受話や終話、レシーバ17やスピーカ18から出力される音量の調節、マナーモードやカメラモードへの切替え、メニュー画面における選択と確定等ができる複数の操作ボタン等からなる。
マイクロフォン49は、第2操作部48の片端に配置されている。マイクロフォン49は、通話時は使用者の音声を取り入れる。
第2操作部48とマイクロフォン49とは、ともに本体部1が閉状態では第1筐体2に覆われ、本体部1が開状態では外面に露出する位置に配置されている。マイクロフォン49の位置は必ずしもこの位置ではなくてもよく、例えば、第1筐体2の第1操作部21の近傍に配置してもよい。
【0029】
ここで、レシーバ17、スピーカ18、マイクロフォン49は、筐体外部に音声を出したり筐体外部から音声を取り入れるために、これらレシーバ17、スピーカ18、マイクロフォン49が取り付けられた筐体の部位には、筐体の内外を貫通する孔が形成されている。これらの貫通孔に水が浸入すると、防水性が無くなる。そのため、本実施形態では、この貫通孔の出口または入り口に、所定の水圧下では水を通さない穴が多数設けられた膜部材(図示せず)を装着することで、筐体外部からの浸水を防止し、音声のみ穴を通過できるようにしている。
【0030】
アンテナ54は、第2筐体3の端部に配置している。GSM(登録商標)方式の帯域である900MHz帯、1.8GHz帯、1.9GHz帯と、W−CDMA方式の帯域である2GHz帯で共振点を有し、これら4つの帯域の送受信が行える多周波アンテナである。図示しないが、本体部1の現在位置を知るために上空の衛星からの信号を受信する第2のアンテナ(GPSアンテナ)やTV放送を受信する第3のアンテナ等も備える。
【0031】
カメラ部55は、アンテナ54に隣接して設けられている。カメラ部55は、入射光がレンズ群を通過してCCD(電荷結合素子)等の光電変換素子にて光信号から電気信号に変換され、画像情報が生成される。この画像情報は、画像処理部64にて処理された後、表示部19に画像を生成する。また、撮像した画像は情報記録部65に記録ができたり、電話番号とともに電話帳に記録ができる。画像が保存されている相手から着信があった場合、表示部19に該当する電話番号と関連付けられた画像を表示する。関連付けられた画像が顔画像であれば、発信相手を容易(一目)に認識できるようになっている。
【0032】
UIMカード装着部56は、契約者の情報や電話番号情報、個人識別情報等が記録されたICカードとして使用されるUIMカード(図示せず)が装着される。このUIMカード装着部56は、カメラ部55に隣接して設けられている。
情報記録カード装着部57は、カメラ部55が撮影した画像や音声情報を伴った動画像、他の機器(デジタルカメラ等)で撮影した動画像、静止画像等が記録された情報記録カード(図示せず)が装着される。
【0033】
第2プリント基板58は、第2操作部48の下側に配置される。この第2プリント基板58の表面(表示部19側)には、ケーブル23の他端部が接続される第2コネクタ60が設けられている。また、第2プリント基板58は、無線回路部61、データ変換部62と、音声処理部63と、画像処理部64と、情報記録部65と、制御部66と、が形成されている。
【0034】
電池部59は、第2プリント基板58の裏面側で情報記録カード装着部57やUIMカード装着部56と隣接して配置される。この電池部59は、第2プリント基板58に電源を供給するために、第2プリント基板58上に設けられたコネクタ(図示せず)で第2プリント基板58に電気的に接続される。
【0035】
再述するが、第1プリント基板22には、レシーバ17と、スピーカ18と、表示部19と、第1操作部21とが接続されている。第1プリント基板22と第2プリント基板58とは、ケーブル23を介して接続されている。第2プリント基板58は、カメラ部55と、マイクロフォン49と、第2操作部48と、アンテナ54と、電池部59と、UIMカード装着部56と、情報記録カード装着部57と、が電気的に接続される。表示部19、カメラ部55は、画像処理部64と接続されており、このカメラ部55が撮影した画像情報は、所定の操作を行うと、情報記録部65に記録される。なお、この情報記録部65は、この画像情報の他にも、電話番号情報や音声情報、撮像した画像情報以外の画像情報(受信した画像情報等)、作成中または送受信したメール等の文字情報を記録することができる。
【0036】
制御部66は、第1操作部21や第2操作部48、無線回路部61、データ変換部62、画像処理部64及び情報記録部65に接続されており、これらの制御を行う。さらに、この制御部66は、UIMカード装着部56や情報記録カード装着部57、電池部59にも接続されている。
【0037】
無線回路部61はアンテナ54に接続されており、このアンテナ54で受信したデータを処理してデータ変換部62に出力するように構成されている。データ変換部62は音声処理部63に接続されており、音声処理部63は、レシーバ17、スピーカ18及びマイクロフォン49にそれぞれ接続されている。
従って、このデータ変換部62は、無線回路部61を介してアンテナ54からの受信データを音声データに変換して音声処理部63に出力する。
【0038】
音声処理部63は、音声データを復号化して音声信号を生成した後、レシーバ17やスピーカ18に出力する。レシーバ17やスピーカ18は、音声処理部63から伝達された音声信号に対応する音声を出力する。
また、音声処理部63は、マイクロフォン49が受けた音声を符号化して音声データを生成した後、データ変換部62に出力する。データ変換部62は、入力した音声データを通信データに変換した後、無線回路部61に出力する。無線回路部61は、受け取った通信データを処理し、アンテナ54から無線信号の電波として送信する。
【0039】
次に、図5を用いて、第1部分筐体5の製作(形成)方法について、説明する。
図5には、図3の第1部分筐体5と金属製板8とのみが示されている。ただし、図5の右半分の領域では、第1貫通孔26を省略せずに図示してあるが、左半分の領域では、第2貫通孔27の図示を省いている。すなわち、第2貫通孔27を省くとこで、第1貫通孔26の効果を説明する。
第1部分筐体5は、樹脂成形用金型(固定側金型70、可動側金型71)にて形成される。これらの固定側金型70、可動側金型71は、2つに分離可能な金属塊が合致したとき、内部に空洞が形成される。固定側金型70、可動側金型71が開いているときに金属製板8を内装し、固定側金型70、可動側金型71を閉じた後に樹脂材料を空洞内に充填させて形成させる、所謂、インサート成形法によって成形される。
【0040】
本発明の実施形態では、外観となる表面積が広い第1平坦部14側は固定側金型(キャビティ側金型)70で形成している。外観となる表面積が狭く、外観に露呈してはデザイン性を低下させてしまうエジェクターピンの跡は、第1レール35や第2レール37に覆われる位置に配置すれば外観に露呈させずに済むので、第2平坦部15側は、可動側金型(コア側金型)71によって形成してある。平面部9の裏面における、可動側金型71に支持される端部は、右半分の領域ではD点と称し、左半分の領域ではE点と称することとする。D点から第3曲げ部12までの距離、及びE点から第4曲げ部13までの距離は、ともに等しく、L1とする。また、右半分の領域においては、可動側金型71が金属製板8の平面部9の裏側を支持するとともに、可動側金型71の一部が第1貫通孔26を通って、金属製板8を支持する。
なお、第1貫通孔26は金型が分離したときに形成されるものであって、金型が閉じている段階においては、第1貫通孔26に相当する部分には可動側金型71が存在している。
【0041】
金型内の空洞に樹脂を流れ込ませたときについて、説明する。
図5の右半分の領域において、金属製板8の両面に樹脂が流れた場合であって、金属製板8の両面に同時に流れたときには、金属製板8を板厚方向に移動させる力が皆無なので、金属製板8は不動である。しかし、充填される樹脂材料が第1平坦部14側に早く流れた場合、金属製板8は流れ込んだ樹脂材料によって第2平坦部15側に押される。そのため、可動側金型71に支持されたD点より外側である第1貫通孔26を支点に第3曲げ部12側が第2平坦部15側に歪む。第1貫通孔26から第3曲げ部12までの距離をL2とする。
【0042】
図5の左半分の領域において、同じく、金属製板8の両面に樹脂が流れた場合であって、金属製板8の両面に同時に流れたときには、金属製板8は不動である。しかし、第1平坦部14側に早く流れた場合、金属製板8は流れ込んだ樹脂によって第2平坦部15側に押される。可動側金型71に支持されたE点を支点に第2平坦部15側に変形する。
【0043】
右半分の領域では、第1貫通孔26を可動側金型71の一部が通過して支持しているので、外側の領域でしか変形しない。一方、左半分の領域には第2貫通孔27が無いため、可動側金型71に支持されたE点から第2平坦部15側に変形する。左半分の領域には第2貫通孔27が無いため、金属製板8の変形が大きい。さらには、図示したように、金属製板8が撓むと、金属製板8と固定側金型70との間に樹脂材料が充填してしまう。
【0044】
ここで、支点から撓む方向の金属製板8を片持ちはりとして考えると、長さの3乗に比例して撓み量が決定されるので、支持点からの長さが短いほどよい。
すなわち、L2はL1より小さいので、第1貫通孔26が位置する部位で支持した右半分の金属製板8の変形が小さい。これに対して、左半分側は変形が大きい。第2平坦部15から金属製板8が露出してしまう場合もある。また、金属製板8の移動量が大きいと第2平坦部15が薄肉になってしまうため、充填不足を招き、第2平坦部15を形成しなくなってしまう。そのため、第1平坦部14側に充填される樹脂材料の体積を調整したり、ゲート位置を決定する際、金型製作上の制約条件が多くなってしまうため、金型製作期間を長くさせ、結果的に、金型製作費用をアップさせてしまう場合がある。
【0045】
また、インサート成形法によって形成された第1部分筐体5は、樹脂材料と金属製板8とは、異種材料なので密着していない(水密ではない)。
すなわち、境界面に所定以上の水圧が加わると、境界面に浸水する。浸水した水は、第1プリント基板22やレシーバ17、スピーカ18等の部品に接触すると、錆の発生を招いたり、ショートを招く等、所謂、防水端末としての機能を果たさなくなってしまう。
従って、金型の中に予め金属製板8を装着して、金属製板8の周囲に樹脂を一体的に形成する、所謂、インサート成形法に生成される部品においては、可能な限り、金属製板8の外周に近い部位で金属製板8を支持するのが望ましい。
【0046】
そこで、本発明の実施形態では、第1部分筐体5と第3部分筐体7との間に設けられた第2粘着部材25で、金属製板8が支持可能な孔を覆うことにより、樹脂充填時における金型内で金属製板8の移動を防止しつつ、第1貫通孔26への浸入も防止するものである。
【0047】
次に、本発明の実施形態の携帯電話機の動作について、説明する。
本体部1に電源が投入されると、受信待受動作が開始される。第1操作部21や第2操作部48を操作することで、例えば、カメラモードやTV受信モード、GPSモードに切り替えることができる。
カメラモードにおいては、カメラ部55の起動によって、モードが切り替わる。カメラ部55を起動させると、撮影画像を表示部19に表示させることができる。撮像画像を保存したいた場合には情報記録部65に記録させることができる。
TV受信モードにおいては、TV放送を受信すれば、表示部19でTV視聴が可能になる。GPSモードにおいては、自身(本体部1)の位置情報を表示部19に表示させることができる。
【0048】
各モード下において着信した場合、着信を報知するために、スピーカ18から着信音が出力される。このとき、所定の操作を行うと受話できる。使用者の音声はマイクロフォン49から送話される。終話すると、電源投入後に表示された画面に戻る。
【0049】
本体部1の態様としては、閉状態と開状態とがある。使用者は、閉状態のとき、第2筐体3に対して第1筐体2を矢印A方向に押すと開状態となる。また、開状態において、第2筐体3に対して第1筐体2を矢印A方向とは反対方向に移動させると閉状態となる。このとき、摺動子42は第1レール35の側面を付勢している。第2筐体3に対して第1筐体2を矢印A方向に押すと、摺動子42は第1レール35の表面を滑る。
このとき、第1レール35に対して摺動子42には付勢力が働いており、付勢力の大きさと、摺動子42と第1レール35との摩擦係数、第1レール35と第1摺動部材36との摩擦係数により、摺動に必要な力が決定される。付勢力を適宜与えることで、使用者はスムーズな摺動感が得られる。第1レール35の中を第1摺動部材36が直線状に案内し、第2レール37の中を第2摺動部材38が直線状に案内することで、第2筐体3に対し第1筐体2部材は斜行せずに移動して開閉される。
【0050】
開状態または閉状態何れかの状態で、使用者が誤って水の中に入れてしまった場合について、説明する。
第2筐体については、前述したように、内外を連通する穴はマイクロフォン49やケーブル23の入り口のみであるが、止水構造であるため、浸水は無い。第1筐体2について説明する。第1部分筐体5と第2部分筐体6の間に水が入ろうとするが、第1粘着部材24が第1筐体2内への浸水を阻止する。また、第1部分筐体5と第3部分筐体7の間に水が入ろうとするが、第2粘着部材25が第1筐体2内への浸水を阻止する。
このように、筐体外観を構成する部品は、水を通さない粘着部材で組み立てられている等、簡単な構成で防水機能を実現することができる。
【0051】
なお、本実施形態では、スライド式の携帯電話機として説明したが、他の本体部態様であってもよい。具体的は、第2筐体3の構成部品(例えば、マイクロフォン49やアンテナ54、カメラ部55、UIMカード装着部56、情報記録カード装着部57、第2プリント基板58、電池部59等)を一つの筐体に集約した、所謂、ストレート型端末でもよい。この場合、第1レール35と第2レール37とを省き、第3部分筐体7の幅を広くすればよい。
【0052】
また、本実施形態では、第2平坦部に貫通穴を設けた構成として説明したが、必ずしもこの限りではない。例えば、金属製板8の第1曲げ部10や第2曲げ部11の先端から、さらに曲げ部を介して第1筐体の端部方向へ延設してもよい。この延設した部位は、固定側金型70や可動側金型71で支持されて成型される。支持するために形成される貫通穴がキャビティ側に形成される場合は、貫通穴を第1粘着部材で覆えばよく、支持するために形成される貫通穴が可動側金型71に形成される場合には、貫通穴を第2粘着部材で覆えばよい。
すなわち、成型時に金属製板を支持するために形成される貫通孔は、少なくとも第1粘着部材または第2粘着部材の何れか一方で閉塞することで、貫通孔への水の浸入を阻止することができる。
【0053】
すなわち、本発明は、実施形態において例示したスライド型の携帯電話機に限らず、他の態様の防水型携帯端末にも流用可能な構造である。
また、第3筐体部材の形状は、本実施形態で述べた形状に限るものではなく、外部から金属製板を支持可能にするための貫通穴を塞ぐ閉塞部材を備えた部材などであれば、効果は得られる。すなわち、筐体部材以外の板部材などの形状で貫通穴を塞ぐことができる閉塞部材であれば代替可能である。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の防水型携帯端末は、第1部分筐体の表面側と裏面側とに第3部分筐体や第2部分筐体といった筐体部材を粘着固定することで、これら3つの部品で囲まれた領域内は防水エリアとすることができるので、携帯電話機の大型化やコストアップを回避しながら表示部周囲の剛性を高められ、表示部が容易に破損することを回避できる。これと同時に、防水機能を備えることができるという効果を有する。しかも、第1筐体には、防水エリア外であって、携帯電話機の厚みを増大させずに第1レール及び第2レールを配置する等、簡単な構成でスライド式と防水機能の両立を図ることができる。このような効果は、携帯電話機、PDA、モバイル型のPC、ノート型PC、デジタルカメラ等のような携帯用電子機器における防水機能を備えた装置に適用するのに好適である。
【符号の説明】
【0055】
1 本体部(携帯電話機:防水型携帯端末)
2 第1筐体
3 第2筐体
4 連結部
5 第1部分筐体(部分筐体)
6 第2部分筐体(部分筐体)
7 第3部分筐体(部分筐体)
8 金属製板
14 第1平坦部
15 第2平坦部
24 第1粘着部材(粘着部材)
25 第2粘着部材(粘着部材)
26 第1貫通孔(貫通孔)
27 第2貫通孔(貫通孔)
28 第3貫通孔(貫通孔)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1筐体は、少なくとも2つの部分筐体からなり、
前記2つの部分筐体のうちいずれか一方の部分筐体は、
一部が埋設するように設けられた金属製板と、
平坦部と、
前記平坦部内であって、前記金属製板を外面に露出する貫通孔と、
を有し、
前記2つの部分筐体のうちいずれか他方の部分筐体は、
前記平坦部に粘着固定される粘着部材を有し、
前記粘着部材は前記貫通孔を覆うようにした、
ことを特徴とする防水型携帯端末。
【請求項2】
表示部と、
前記表示部を収容する第1筐体と、
を備え、
前記第1筐体は、第1部分筐体と、第2部分筐体と、第3部分筐体と、
を有し、
前記第1部分筐体は、
前記表示部が搭載されるとともに一部が埋設するように設けられた金属製板と、
前面側周囲であって、前記金属製板に搭載される前記表示部より外側に形成された第1平坦部と、
前記第1部分筐体の後面側周囲に形成された第2平坦部と、
前記第2平坦部内であって、前記金属製板を外面に露出する第1貫通孔と、
を有し、
前記第2部分筐体は、
前記表示部を覆うとともに、前記第1平坦部に粘着固定される第1粘着部材を有し、
前記第3部分筐体は、
前記第2平坦部に粘着固定される第2粘着部材を有し、
前記第2粘着部材は前記第1貫通孔を覆うようにした、
ことを特徴とする防水型携帯端末。
【請求項3】
第2筐体と、
前記第1筐体と前記第2筐体とをスライド可能に連結する連結部と、
を備え、
前記連結部は、前記第1筐体に装着される第1連結部と、前記第2筐体に装着される第2連結部と、
を有し、
前記第1連結部は、前記第2粘着部材より外側の領域に配置した、
ことを特徴とする請求項2記載の防水型携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−110464(P2013−110464A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251861(P2011−251861)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】