防水性・透湿性の靴の製造方法
防水性・透湿性の靴(10)を提供する方法(100)であって、透湿性ライニング(12)と、透湿性甲革(13)と、防水性・透湿性甲革膜(14)とからなる上部靴組付体を構成する工程、防水性材料から作られ、透湿性あるいは有孔の部分(17)を有する第1ガスケット(16)を、透湿性組付中底(15)へ固定する工程(101)、甲革組付体(11)を得るために、ラスティング用マージン(18)を第1ガスケット(16)と結合し、「AGOラスティング」でラスティングする工程(102)、第2ガスケット(19)によって、ラスティング用マージン(18)を第1ガスケット(16)へ密封する工程(103)、防水性密封をもたらすために、底革(20)を第2ガスケット(19)へ組み付ける材料の接着によって、底革(20)を甲革組付体(11)へ接続する、組み付ける工程(104)からなる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、「AGOラスティング(lasting)」として知られた作業方法によって主に製造される防水性・透湿性の靴の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
靴の快適さは、構造上の適合性のみならず、汗によって靴の内部に形成される水蒸気を外へ放散する能力に関連することが知られている。
【0003】
この理由のため、防水性・透湿性の膜で積層されたライニングへ連結された甲革を備えた防水性の靴が、永年にわたって知られてきた。
【0004】
「防水性・透湿性」という表現は一般に、液体状態にある水を通すことがなく水蒸気を通すという組み合わされた特性をいう。
【0005】
周知のように、最も高い発汗作用がある足の部分は足裏であり、発生した汗は、湿気で空気を飽和し、また、大部分は凝縮して足載せ部の上に停滞する。
【0006】
汗によって生成された湿気のごく一部のみが甲革の側面へ発散し、また、その側面が透湿性であれば、そこから出て行く。
【0007】
平坦な領域に集まりやすい汗を容易に消散させるために、液体状態にある水を通さないが水蒸気を通すことができ、底革の本体に対してその貫通状開口を覆うように密封される通気性・透湿性の膜を用いることによって得られるさまざまな種類のゴム製底革を有する靴が一般に知られている。
【0008】
「AGOラスティング」として一般に知られた製造方法は、靴の製造分野において永く知られてきており、また、靴型(last)の上へ上部靴組付体を引き込んで、ラスティングマージンとして知られるその下縁を中底の下に折り込み、その下縁を上記中底に周辺で接着し、それ自体の一部を上記中底とその上に組み付ける底革との間に介在させる、ラスティングとして知られた作業をもたらすものである。
【0009】
靴の組み付けは、接着によるかまたは金型に直接射出することによって、靴の甲革部分に底革を結合することから構成されている。
【0010】
いわゆる「AGOラスティング」構成法は、一般に古典的なまたは優雅なものとして分類される種類の靴のために使用されるのが普通である。
【0011】
実際、靴型の上に甲革とライニングとを広げることによって、それらを正確に接着させることができ、効果的な成形が達成される。
【0012】
組付中底は可撓性材料で作られるが、それは、ラスティング中にその上へ接着されるラスティングマージンによってそこへ加わる引っ張り力のために変形を受けないように構成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上部靴組付体が、付加的な改善によることなく甲革の外側層と内側ライニングとの間の防水性・透湿性膜を有しているときでさえ、実質的に全体として防水性が不足することは一般に知られている。
【0014】
「AGOラスティング」構成法によれば、一般的にそれが行われる方法において、実際に、甲革の外側層と中底とを介して靴の内部へ水が浸入する。
【0015】
上部靴組付体が防水性・透湿性膜を有する靴の製造に際して特に感じられる必要性は、組付中底、甲革膜に積層されたライニング、甲革および底革の間の結合領域を効果的に密封して、外側からの水のほんのわずかな浸透さえも防止するということである。
【0016】
底革を上記膜に対して密封することは実際、特に難しいが、その理由は、いわゆる「AGOラスティング」構成法において、靴の底部が、例えば「ストローベル(strobel)」構成法に生じるように、平滑かつ平坦でないからであり、そこでは中底の縁部は甲革または膜が積層されたライニングの縁に縫い付けられるが、甲革のラスティングマージンは組付中底に重ね合わされ、その周縁に沿って凹凸が形成される。
【0017】
特に、組付中底の上に甲革の爪先とかかととを組み付ける結果として生じるしわが、水浸透用の実際の溝を形成する。
【0018】
しかしながら、ワイヤブラシによって甲革を仕上げる一般的な作業によってこれらの突起を除去することはできない。それは、この作業によって甲革とライニングとの間に挿入された防水性・透湿性膜が損傷を受けるからである。
【0019】
従って、例えば、特許出願WO9316612号に記載されているように、防水性・透湿性中底を有する靴が長年研究されてきたが、その中底は、防水性・透湿性膜を備え、防水性・透湿性膜を有するライニングのラスティングマージンが、第1ラスティング作業によってその膜に結合されている。
【0020】
膜付きのライニングと中底との間の結合領域は防水性密封テープによって密封される。
【0021】
甲革の外側層のラスティングマージンはその後、第2ラスティング作業により、防水性・透湿性中底に結合される。
【0022】
甲革の外側層によって吸収されその中へ運ばれる水が防水性中底の下に停滞するおそれがあるため、その製造方法には改良可能な側面がないわけではない。
【0023】
さらに、この構成法は、開口を備える底革を使用する場合には、付加的な欠点を有する。それは、その開口を通して水が浸入し、甲革のラスティングマージンを濡らし、しみ込み、足挿入領域へ上昇するからである。
【0024】
さらに、もし、底革の通気性表面がその長手方向にわたって伸びない場合には、中底の全表面を覆う防水性・透湿性膜を使用することは、無駄であり、非常に費用がかかる。
【0025】
防水性・透湿性中底を使用する他のものが米国特許第5,426,869号に記載され、その中底では、ガスケットとして作用する防水層が、ポリカプロラクトーンを基材とする接着剤の層によりその表面が均一に被覆されたポリエステルの不織布によって設けられている。
【0026】
この防水性ガスケットは、もしそれらが防水性・透湿性のものであれば、ライニングまたは甲革のラスティングマージン間に横切るように備わる領域を満たすために用いられ、中底と底革との間に防水層が構成される。
【0027】
ガスケットは防水性であって非透湿性の材料で作られているので、この構成法は、開放されるか穿孔されて防水性・透湿性膜で覆われて密封された領域によって液体状態の水を通さず水蒸気を通すようにしたゴム製底革には不向きである。
【0028】
さらにまた、ガスケットが底革の通気領域において孔が設けられていて、発汗により生じる水蒸気を排出させるためには、甲革の外側層のラスティングマージンは、ガスケットの孔を実際に通して中底に移動する水を、底革の中の方へ吸い上げることになる。
【0029】
これらの解決策の他のものは、靴下のように閉じられ、足の周りを完全に包む防水性・透湿性膜を有するライニングを用いることである。
【0030】
この場合には、その製造方法には、中底が靴下の下側へ適用され、甲革の外側層のラスティングマージンが上記中底へ折り込まれてその周縁に接着される、ことが必要である。
【0031】
靴下状のライニングは、足のための開口を備え、2つの横部分と下部分とによって一般に形成され、その接続はジグザグおよび/またはストローベルの縫い付けによって行われ、防水性の密封テープによって密封される。
【0032】
この製造方法が極めて複雑であり、また、傷つきやすいことは、よく知られている。
【0033】
さらに、縫い付けによって閉じられ、靴型のラスティングによらずに閉じられる靴下の正確な型合わせは、厳密な精度で裁断および縫合しなければならないいくつかの構成要素を準備する難しさと、甲革とライニングとの間にしわを生じないように正しく張力をかける難しさとのために、達成することが困難である。
【0034】
実際、ライニングを縫い付ける間に靴型を使用しないという事実のために、上記ライニングは、正しく形成され、引き伸ばされて滑らかである甲革およびライニングを得ることができる「AGOラスティング」構成法を用いるときとは異なり、甲革のラスティング時にしわが寄る傾向がある。
【0035】
この発明の目標は、有孔の底革を通して透湿性である靴を製造するための現在知られている方法よりも簡単で効果的な手法で、上記組付体へのラスティング用マージンの効果的な密封を達成することができる防水性・透湿性の靴の製造方法を提供することである。
【0036】
この目標の範囲内で、この発明の1つの目的は、甲革組付体およびそれとともに結合された底革において、有孔の底革を通して透湿性である現在知られている靴のそれらに対して構造的にいっそう簡単であって容易に設けることのできる甲革組付体および底革を提供することのできる方法を提案することである。
【0037】
この発明の別の目的は、ラスティングの間に防水性・透湿性の甲革組付体を提供することができ、それゆえ、透湿のために有孔であるかあるいは開放されているそれの領域を防水性・透湿性手法で密封する防水性・透湿性膜が備わった底革を設ける必要のない方法を提供することである。
【0038】
この発明の別の目的は、比較的低いコストで簡単に実行することのできる、防水性・透湿性の靴を提供するための方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0039】
この目標、これらの目的、および後にいっそう明らかになるであろう他の目的は、
防水性・透湿性の靴を提供するための方法であって、
少なくとも1つの透湿性ライニングと、透湿性甲革と、これらの間にある防水性・透湿性の甲革膜とから構成された上部靴組付体を構成する工程、
防水性材料から作られ、少なくとも1つの透湿性あるいは有孔の部分を有している第1ガスケットを、透湿性組付中底へ固定する工程、
上記の靴の甲革組付体を得るために、上記上部靴組付体のラスティング用マージンを上記第1ガスケットと結合することを含み、少なくとも大部分を「AGOラスティング」として知られた構成法によってラスティングする工程、
第2ガスケットによって、上記ラスティング用マージンを上記第1ガスケットへ密封する工程であって、上記ラスティング用マージンおよび上記第1ガスケットをまたぐように上記第2ガスケットを接着することを含む工程、および
防水性密封をもたらすために、底革を上記第2ガスケットへ組み付ける材料の少なくとも接着によって組み付ける工程であって、上記底革を上記甲革組付体へ接続することを含む工程
からなる、防水性・透湿性の靴を提供するための方法によって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
この発明のさらに別の特性および利点は、添付図面において非限定的な例として示されたこの発明による防水性・透湿性の靴を提供するための方法の、好ましいが限定的ではないいくつかの実施形態の記載から、いっそう明らかになるであろう。
【0041】
【図1】図1は、この発明による防水性・透湿性の靴を提供するための方法の代替的な好ましい実施形態の概略図である。
【図1a】図1aは、図1に例示された、この発明による防水性・透湿性の靴の製造方法によって得られた防水性・透湿性の靴の甲革組付体の代替的実施形態の概略図である。
【図1b】図1bは、図1に例示された、この発明による防水性・透湿性の靴の製造方法によって得られた防水性・透湿性の靴の甲革組付体の代替的実施形態の概略図である。
【図1c】図1cは、図1に例示された、この発明による防水性・透湿性の靴の製造方法によって得られた防水性・透湿性の靴の甲革組付体の代替的実施形態の概略図である。
【図2】図2は、この発明による防水性・透湿性の靴を提供するための方法の代替的な好ましい実施形態の概略図である。
【図2a】図2aは、図2に例示された、この発明による防水性・透湿性の靴を提供するための方法によって得られた防水性・透湿性の靴の甲革組付体の代替的実施形態の概略図である。
【図2b】図2bは、図2に例示された、この発明による防水性・透湿性の靴を提供するための方法によって得られた防水性・透湿性の靴の甲革組付体の代替的実施形態の概略図である。
【図3】図3は、この発明による防水性・透湿性の靴を提供するための方法の代替的な好ましい実施形態の概略図である。
【図3a】図3aは、図3に例示された、この発明による防水性・透湿性の靴を提供するための方法によって得られた防水性・透湿性の靴の甲革組付体の実施形態の概略図である。
【図3b】図3bは、図3に例示された、この発明による防水性・透湿性の靴を提供するための方法によって得られた防水性・透湿性の靴の甲革組付体の細部の概略図である。
【図4】図4は、この発明による防水性・透湿性の靴を提供するための方法の代替的な好ましい実施形態の概略図である。
【図4a】図4aは、図4に例示された、この発明による防水性・透湿性の靴を提供するための方法によって得られた防水性・透湿性の靴の甲革組付体の実施形態の概略図である。
【図5】図5は、この発明による防水性・透湿性の靴を提供するための方法の代替的な好ましい実施形態の概略図である。
【図5a】図5aは、図5に例示された、この発明による防水性・透湿性の靴を提供するための方法によって得られた防水性・透湿性の靴の甲革組付体の実施形態の概略図である。
【図6】図6は、この発明による防水性・透湿性の靴を提供するための方法の代替的な好ましい実施形態の概略図である。
【図6a】図6aは、図6に例示された、この発明による防水性・透湿性の靴を提供するための方法によって得られた防水性・透湿性の靴の甲革組付体の実施形態の概略図である。
【0042】
この特許取得過程の間にすでに公知であると認められた任意のものは、特許請求されることがなく、また、放棄の対象でない、と解されることに留意すべきである。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図面を参照すると、参照符号100が防水性・透湿性の靴10の製造方法を全体として表わしており、この製造方法は、
透湿性ライニング12と、透湿性甲革13と、これらの間にある防水性・透湿性の甲革膜14とから構成された上部靴組付体を構成する工程、
透湿性組付中底15へ、防水性材料から作られ、少なくとも1つの透湿性あるいは有孔の部分17を有している第1ガスケット16を固定する工程101、
上記の靴の甲革組付体を得るために、上記上部靴組付体のラスティング用マージン18を第1ガスケット16で結合することを含み、少なくとも大部分を「AGOラスティング」として知られた構成法によってラスティングする工程102、
第2ガスケット19によって、ラスティング用マージン18を第1ガスケット16へ密封する工程103であって、ラスティング用マージン18および第1ガスケット16をまたぐように第2ガスケット19を接着することを含む工程103、および
防水性密封をもたらすために、底革20を第2ガスケット19へ組み付ける材料の少なくとも接着によって組み付ける工程104であって、底革20を甲革組付体11へ接続することを含む工程104
からなる点に特徴を有している。
【0044】
有利であるのは、上部靴組付体を構成する上記工程は、それ自体知られており、添付図面には示されていないが、
第1実施形態では、甲革膜14と甲革13とを、それらの透湿性を損なわないようにするために、例えば、スポット接着によって結合すること、あるいは代案として、
第2実施形態では、甲革膜14とライニング12とを、それらの透湿性を損なわないようにするために、例えば、スポット接着あるいはラミネーションによって結合すること
を含んでいることである。
【0045】
甲革膜14は、広く市販されている透湿性・防水性膜からなる種類のものであり、例えば、e−PTFEとしても知られた発泡ポリテトラフルオロエチレン、PUとしても知られたポリウレタンなど、および、それを補強するメッシュから作られたものが、それとともに結合されているのが好ましい。
【0046】
甲革膜14の下縁14aをさらに補強するために、図面には示されていないが、防水性補強要素、例えば、好ましくは弾性があり、かつ、例えばポリウレタンのような合成材料から作られた熱接着テープをその下縁14aに直接、貼り付けることが有利であろう。上記防水性補強要素を提供するために特に適しているテープは、TecnoGI社によって市販用に提案され、120−250g/m2の重量がある。
【0047】
第1の構造的解決策では、固定工程101には、接着、加熱および押圧によって、第1ガスケット16を組付中底15へ接続するための作業が含まれているのが好ましい。
【0048】
第1ガスケット16は、防水性ポリマー材料、好ましくは、ポリウレタン(PU)あるいはポリエチレン(PE)あるいはポリ塩化ビニル(PVC)あるいは熱可塑性フィルムから作られている。
【0049】
上記第1実施形態は、次のことを伴っているのが好ましい。すなわち、甲革組付体11にその後に組み付けられる底革20には、有孔であるかあるいは広大な開口によって影響を受けており、そこへ周辺で密封されている防水性・透湿性インサートによって防水性・透湿性態様で密封されている少なくとも1つの透湿性領域21があるのが好ましい。
【0050】
透湿性あるいは有孔の部分17は、底革20が甲革組付体11へ密封されたときに、上記透湿性領域21の上方に配置されるのが好ましい。
【0051】
図2、図2aおよび図2bを参照すると、上記第1構造的解決策に代わるものである、固定工程101の第2構造的解決策において、それは、防水性・透湿性プランターインサート22を防水性材料から作られた第1ガスケット16へ接合するための作業105を含んでおり、このプランターインサート22は、第1ガスケット16を防水性・透湿性態様に密封するために、その少なくとも透湿性あるいは有孔の部分17を覆うように、組付中底15と第1ガスケット16との間にある。
【0052】
有利であるのは、プランターインサート22が、e−PTFEとしても知られた発泡ポリテトラフルオロエチレン、あるいはPUとしても知られたポリウレタン、あるいは同様の材料から作られた少なくとも1つの膜であって、場合によっては、その面に1つあるいは2つのメッシュとともに結合されている膜を備えていることである。
【0053】
代わりの、そして実質的に同等の態様において、上記第2構造的解決策は、
初めにプランターインサート22を第1ガスケット16へ接合し、それを上記のように密封し、次いで組付中底15をプランターインサート22へ接合することによって、 または、初めにプランターインサート22を組付中底15へ接合し、次いでそれを上記第1ガスケットへ接合し、それを上記のように密封することによって、
もたらすことができる、ということに留意すべきである。
【0054】
上記接合作業105は、防水性密封部を形成するために、プランターインサート22の少なくとも周縁23を透湿性あるいは有孔の部分17を包囲する領域へ接合するためにもたらされるのが好ましい。
【0055】
好ましいのは、上記第1ガスケットに複数の透湿性あるいは有孔の部分が設けられているときには、そこへ周縁で密封されて、透湿性を確保するとともにそれらを通して液体状態にある水の浸透を防止する、それらを覆う対応する数のプランターインサートが存在していることである。
【0056】
さらにまた、上記接合作業105は、プランターインサート22を第1ガスケット16の透湿性あるいは有孔の部分17の周りで密封する熱可塑性ポリマー材料からなり、プランターインサート22の周縁23を乗り越えているフィルム24の適用106のためにもたらされるのが有利である。
【0057】
図1cを参照すると、先に説明された2つの構造的解決策に代わるものである第3実施形態において、第1ガスケット16の透湿性あるいは有孔の部分17は、発泡性のポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタンなどの中から選択されるのが好ましい材料から作られた防水性・透湿性膜によって設けられている。
【0058】
具体的には、透湿性あるいは有孔の部分17は、第1ガスケット16の全体に影響を及ぼすのが好ましく、それゆえ、実質的にその全体が防水性・透湿性材料から作られているが、それにいっそう大きい構造的強度を付与するために、必要に応じて、そこへ付着される補強層が設けられる。
【0059】
好ましいのは、上記の第2実施形態および第3実施形態において、その後の組付工程104で底革20が甲革組付体11へ結合され、上記底革には、発散孔あるいは広大な開口によって影響を受ける透湿性領域21があることである。
【0060】
従って、これら第2および第3の実施形態によれば、上記のように、防水性・透湿性インサートで防水性・透湿性をもたらすために、上記第1構造的解決策に使用されるものよりも簡単である構造が備わった底革を使用することができる、ということに留意すべきである。
【0061】
ラスティング工程102の実行の第1モードには、「AGOラスティング」として知られた構成法によって、完全に一致した状態に連結された第1ガスケット16の周縁16aと、甲革膜14の下方縁部14a、および甲革13の下縁13aから構成されたラスティング用マージン18との下方に防水性密封部を形成するために、折り曲げおよび接合を含んでいるのが好ましい。
【0062】
ラスティング工程102の実行の第2モードには、「AGOラスティング」として知られた構成法によって、完全に一致した状態に連結された第1ガスケット16の周縁16aと、ライニング12の下方フラップ12a、および甲革膜14の下方縁部14aから構成されたラスティング用マージン18のラスティング用第1マージン18aとの下方に防水性密封部を形成するために、折り曲げおよび接合からなるライニングラスティング107を含んでいるのが好ましい。
【0063】
このライニングラスティング107は、下方フラップ12aを、それが連結される下方縁部14aを露出させるために、スカイビング(削り取り)108によって先行されるのが好ましく、下方縁部14aは、ライニングラスティング107の間に、第1ガスケット16へ密封部を形成するために、その接合のための下方フラップ12aを通して露出される。
【0064】
さらにまた、好ましいのは、ラスティング工程102が、ライニングラスティング107に続く甲革ラスティング109を含んでいることであり、その甲革ラスティング109は、「AGOラスティング」として知られた構成法によって、甲革13の下縁13aから構成されている、ラスティング用マージン18のラスティング用第2マージン18bを、第1ガスケット16の周縁16aの下方で、折り曲げ、接合し、下方フラップ12aへ連結されて周縁16aを覆っている下方縁部14aを少なくとも部分的に覆うものである。
【0065】
添付図面に示されていない代わりの変形例では、上記ライニングラスティングは、「Strobel」(ストローベル)として知られた構成法による縫い付けからなるのが好ましく、この縫い付けは、完全に一致した状態に連結されたライニング12の下方フラップ12aと甲革膜14の下方縁部14aとから構成された、ラスティング用マージン18のラスティング用第1マージン18aを、組付中底15および第1ガスケット16のそれぞれの周縁領域15aおよび周縁16aへ縫い付けることからなる。
【0066】
代案として、ラスティング工程102には、ラスティング用マージン18のラスティング用第1マージン18aとラスティング用第2マージン18bとの同時組み付けが含まれる。
【0067】
図4および図4aを参照すると、好ましいのは、甲革ラスティング109は、下縁13aが折り曲げられて下方縁部14aの上へ接合されているとともに、その端部分25が露出されている、ことを必然的に伴うことである。
【0068】
この場合には、ライニングラスティング107は、ラスティング用第1マージン18aの接合において、接合による甲革膜14の第1ガスケット16への密封を必ずしも伴わず、その代わりに、その後の密封工程で、第2ガスケット19によって行われる。
【0069】
代案として、図5および図5aを参照すると、ラスティング工程102は、
下方縁部14aを第1ガスケット16へ密封することからなり、それらをまたぐような、密封用熱可塑性ポリマー材料から作られた補助ガスケット26の適用110のためにもたらされる予備密封作業と、
「AGOラスティング」として知られた構成法によって、甲革13の下縁13aから構成されている、ラスティング用マージン18のラスティング用第2マージン18bを、第1ガスケット16の周縁16aの下方で、折り曲げ、かつ接合することからなり、下方縁部14aを乗り越えている補助ガスケット26を少なくとも部分的に覆う甲革ラスティング109と、
を含んでいる。
【0070】
この場合にもまた、ラスティング工程102は、接合による甲革膜14の第1ガスケット16への密封のために必ずしももたらされず、その代わりに、その後の予備密封工程で、補助ガスケット26によって行われる。
【0071】
図6および図6aを参照すると、ラスティング工程102の実行の第3モードには、「AGOラスティング」として知られた構成法によって、完全に一致した状態に連結された組付中底15の周縁領域15aと、ライニング12の下方フラップ12aおよび甲革膜14の下方縁部14aから構成されたラスティング用マージン18のラスティング用第1マージン18aとの下方で、折り曲げ、かつ接合することからなるライニングラスティング107を含んでいるのが好ましい。
【0072】
添付図面に示されていない代わりの変形例では、上記ライニングラスティングは、「Strobel」(ストローベル)として知られた構成法による縫い付けからなるのが好ましく、この縫い付けは、完全に一致した状態に連結されたライニング12の下方フラップ12aと甲革膜14の下方縁部14aとから構成された、ラスティング用マージン18のラスティング用第1マージン18aを、組付中底15の周縁領域15aへ縫い付けることからなる。
【0073】
有利であるのは、ラスティング工程102の実行の上記第3モードにおいて、ライニングラスティング109が、「AGOラスティング」として知られた構成法によって、甲革13の下縁13aから構成されている、ラスティング用マージン18のラスティング用第2マージン18bを、第1ガスケット16の周縁16aの下方で、折り曲げ、かつ接合することからなり、防水性密封部を形成するために、周縁16aが下方縁部14aを乗り越えているとともに、そこへ付着されていることである。
【0074】
密封工程103の第1実施形態では、第2ガスケット19は、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミドあるいはポリオレフィンの中から選択された材料から作られた熱可塑性ホットメルト接着剤からなる防水性フィルムであるのが好ましい。
【0075】
密封工程103は、上記防水性フィルムの防水性密封部を形成するために、ラスティング用マージン18をまたぐような、また、第1ガスケット16においては、そこへの水に対して甲革膜14の下方縁部14aを密封するような、接着を含んでいるのが有利である。
【0076】
図1bを参照すると、上記第1実施形態において、上部靴組付体を構成する上記工程は好ましくは、
上記下縁13aへそれから延出するように、好ましくは、およそ8−12mmのジグザク縫い目によってそこへ連結される密封要素27を接続することと、
その後に、甲革膜14を、その膜が密封要素27を上記下縁13aへ接続するための領域を不透過状に覆うように、甲革13および密封要素27へ完全に一致した状態に連結することと
を含んでいる。
【0077】
好ましいのは、第1ガスケット16の表面に甲革13の爪先およびかかとを組み付けるための作業の結果として作られるしわの形成を制限するために、密封要素27が、甲革13よりも薄く、また、甲革13よりも軽い材料から作られていることである。
【0078】
密封要素27の第1構成変形例では、上記要素は、防水性であって熱活性化可能なポリマー材料から作られており、密封工程103は、防水性密封部を形成するために、甲革膜14の下方縁部14aへ接着するためのその密封要素27の溶融のためにもたらされるのが好ましい。
【0079】
密封要素27の、第2の、そして代わりの構成変形例では、上記密封要素は、密封材料が浸透することのできる材料から作られており、密封工程103は、防水性密封をもたらすために、下方縁部14aを把持する第2ガスケット19を構成する材料がその密封材料を通る浸透を含んでいるのが好ましい。
【0080】
密封要素27の別の機能は、第2ガスケット19へのその密封を可能にする一方で、甲革膜14の下方縁部14aを補強することである。
【0081】
1つの代案として、上記ラスティングが適切なペンチを用いて手で実行されるときには、好ましくは、ラスティング工程の間に、甲革膜14の下方縁部14aを傷めるおそれがなく上記密封要素27を省略することができるであろう。
【0082】
この態様では、第2ガスケット19は、甲革膜14へ直接、密封されている。
【0083】
密封工程103の第2実施形態では、第2ガスケット19は、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミドあるいはポリオレフィンの中から選択された材料から作られた熱可塑性ホットメルト接着剤からなる防水性フィルムによって設けられている。
【0084】
密封工程103は、上記第2実施形態では、実施の第2モードによるラスティング工程102の次に来るのが好ましく、また、図4および図4aに非限定的な例として示されたように、防水性密封部を形成するために、ラスティング用マージン18および第1ガスケット16をまたぐような、かつ、そこへの水に対して、端部分25でそこへ接着される下縁13aおよび下方縁部14aを密封するような、防水性フィルムの接着が含まれている。
【0085】
密封工程103の第3実施形態では、第2ガスケット19には、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミドあるいはポリオレフィンの中から選択された材料から作られた熱可塑性ホットメルト接着剤からなる防水性フィルムが備わっているのが好ましい。
【0086】
実施の第2モードによるラスティング工程102の次に来るのが好ましい密封工程103には、図5および図5aに非限定的な例として示されたように、防水性密封部を形成するために、下縁13aおよび補助ガスケット26をまたぐような、防水性フィルムの接着が含まれている。
【0087】
密封工程103の第4実施形態においてもまた、第2ガスケット19には、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミドあるいはポリオレフィンの中から選択された材料から作られた熱可塑性ホットメルト接着剤からなる防水性フィルムが備わっている。
【0088】
実施の第3モードによるラスティング工程102の次に来るのが好ましい密封工程103には、図6および図6aに非限定的な例として示されたように、防水性密封部を形成するために、甲革13の下縁13aおよび第1ガスケット16の周縁16aをまたぐような、防水性フィルムの接着が含まれている。
【0089】
組付工程104は、代わりに、
防水性密封部を形成するように、第2ガスケット19への接着によって甲革組付体11への底革20の接合か、あるいは
甲革組付体11に対する底革20の防水性密封をもたらすために、甲革組付体11の上への、底革20の少なくとも1つの構成要素であって、この構成要素と第2ガスケット19との融着をもたらす構成要素、例えば間底のオーバーモールドか
のいずれかを含んでいるのが好ましい。
【0090】
実際に、この発明によれば、意図された目標および諸目的が達成され、有孔の底革を通して透湿性である靴を提供するための現在知られている方法よりも簡単でいっそう効果的な手法で、組付中底へのラスティング用マージンの効果的な密封を達成することのできる防水性・透湿性の靴を設けるための方法が提供されることが分かった。
【0091】
実際に、上記第2ガスケットは、ラスティング用マージンを上記第1ガスケットへ効果的に密封し、これらのガスケットどうしの間にそれらを不透過状に備えているとともに、同時に靴への密封のための領域を形成する。
【0092】
従って、実際に、上記第2ガスケットを上記第1ガスケットへ密封することによって、必要に応じて補助ガスケットによってもまた、甲革を透過する水が上記中底の下方の領域へ向かって進むことが防止され、逆に、底革の自由開口あるいは自由孔を通して上昇する水が甲革へ向かって進むことが防止されるであろう。
【0093】
さらにまた、この発明による防水性・透湿性の靴を提供するための方法によれば、いっしょに結合される甲革組付体および底革であって、有孔の底革を通して透湿性である現在知られている靴のそれらに対して構造的により簡単であるとともにより容易に設けることのできる甲革組付体および底革を製造することができる。
【0094】
具体的には、この発明による防水性・透湿性の靴を提供するための方法によって、ラスティングの間に防水性・透湿性甲革組付体をすでに設けることができ、それゆえ、透湿のために有孔であるかあるいは開放されている領域を防水性・透湿性手法で密封する防水性・透湿性の膜が備わった底革を用意する必要がない。
【0095】
このように構想されたこの発明は、そのすべてが添付の特許請求の範囲における適用範囲内にある多数の改造および変更を受けることが可能であり、すべての細部は、技術的に同等の他の諸要素でさらに置き換えることが可能である。
【0096】
実際に、使用される上記材料は、それらが特定の用途で互換可能である限り、不確定の形状および寸法とともに、諸要件および最新技術による任意のものであってもよい。
【0097】
この出願が優先権を主張するヨーロッパ特許出願第09425138.6号における開示は、参照によってこの明細書に組み入れられている。
【0098】
任意の請求項において言及された技術的特徴構成が参照符号に従うときには、それらの参照符号は、特許請求の範囲の理解度を向上させる目的だけのために含まれており、そのような参照符号には、そのような参照符号によって例示として識別されたそれぞれの要素の解釈に関するどのような限定的効果もない。
【技術分野】
【0001】
この発明は、「AGOラスティング(lasting)」として知られた作業方法によって主に製造される防水性・透湿性の靴の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
靴の快適さは、構造上の適合性のみならず、汗によって靴の内部に形成される水蒸気を外へ放散する能力に関連することが知られている。
【0003】
この理由のため、防水性・透湿性の膜で積層されたライニングへ連結された甲革を備えた防水性の靴が、永年にわたって知られてきた。
【0004】
「防水性・透湿性」という表現は一般に、液体状態にある水を通すことがなく水蒸気を通すという組み合わされた特性をいう。
【0005】
周知のように、最も高い発汗作用がある足の部分は足裏であり、発生した汗は、湿気で空気を飽和し、また、大部分は凝縮して足載せ部の上に停滞する。
【0006】
汗によって生成された湿気のごく一部のみが甲革の側面へ発散し、また、その側面が透湿性であれば、そこから出て行く。
【0007】
平坦な領域に集まりやすい汗を容易に消散させるために、液体状態にある水を通さないが水蒸気を通すことができ、底革の本体に対してその貫通状開口を覆うように密封される通気性・透湿性の膜を用いることによって得られるさまざまな種類のゴム製底革を有する靴が一般に知られている。
【0008】
「AGOラスティング」として一般に知られた製造方法は、靴の製造分野において永く知られてきており、また、靴型(last)の上へ上部靴組付体を引き込んで、ラスティングマージンとして知られるその下縁を中底の下に折り込み、その下縁を上記中底に周辺で接着し、それ自体の一部を上記中底とその上に組み付ける底革との間に介在させる、ラスティングとして知られた作業をもたらすものである。
【0009】
靴の組み付けは、接着によるかまたは金型に直接射出することによって、靴の甲革部分に底革を結合することから構成されている。
【0010】
いわゆる「AGOラスティング」構成法は、一般に古典的なまたは優雅なものとして分類される種類の靴のために使用されるのが普通である。
【0011】
実際、靴型の上に甲革とライニングとを広げることによって、それらを正確に接着させることができ、効果的な成形が達成される。
【0012】
組付中底は可撓性材料で作られるが、それは、ラスティング中にその上へ接着されるラスティングマージンによってそこへ加わる引っ張り力のために変形を受けないように構成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上部靴組付体が、付加的な改善によることなく甲革の外側層と内側ライニングとの間の防水性・透湿性膜を有しているときでさえ、実質的に全体として防水性が不足することは一般に知られている。
【0014】
「AGOラスティング」構成法によれば、一般的にそれが行われる方法において、実際に、甲革の外側層と中底とを介して靴の内部へ水が浸入する。
【0015】
上部靴組付体が防水性・透湿性膜を有する靴の製造に際して特に感じられる必要性は、組付中底、甲革膜に積層されたライニング、甲革および底革の間の結合領域を効果的に密封して、外側からの水のほんのわずかな浸透さえも防止するということである。
【0016】
底革を上記膜に対して密封することは実際、特に難しいが、その理由は、いわゆる「AGOラスティング」構成法において、靴の底部が、例えば「ストローベル(strobel)」構成法に生じるように、平滑かつ平坦でないからであり、そこでは中底の縁部は甲革または膜が積層されたライニングの縁に縫い付けられるが、甲革のラスティングマージンは組付中底に重ね合わされ、その周縁に沿って凹凸が形成される。
【0017】
特に、組付中底の上に甲革の爪先とかかととを組み付ける結果として生じるしわが、水浸透用の実際の溝を形成する。
【0018】
しかしながら、ワイヤブラシによって甲革を仕上げる一般的な作業によってこれらの突起を除去することはできない。それは、この作業によって甲革とライニングとの間に挿入された防水性・透湿性膜が損傷を受けるからである。
【0019】
従って、例えば、特許出願WO9316612号に記載されているように、防水性・透湿性中底を有する靴が長年研究されてきたが、その中底は、防水性・透湿性膜を備え、防水性・透湿性膜を有するライニングのラスティングマージンが、第1ラスティング作業によってその膜に結合されている。
【0020】
膜付きのライニングと中底との間の結合領域は防水性密封テープによって密封される。
【0021】
甲革の外側層のラスティングマージンはその後、第2ラスティング作業により、防水性・透湿性中底に結合される。
【0022】
甲革の外側層によって吸収されその中へ運ばれる水が防水性中底の下に停滞するおそれがあるため、その製造方法には改良可能な側面がないわけではない。
【0023】
さらに、この構成法は、開口を備える底革を使用する場合には、付加的な欠点を有する。それは、その開口を通して水が浸入し、甲革のラスティングマージンを濡らし、しみ込み、足挿入領域へ上昇するからである。
【0024】
さらに、もし、底革の通気性表面がその長手方向にわたって伸びない場合には、中底の全表面を覆う防水性・透湿性膜を使用することは、無駄であり、非常に費用がかかる。
【0025】
防水性・透湿性中底を使用する他のものが米国特許第5,426,869号に記載され、その中底では、ガスケットとして作用する防水層が、ポリカプロラクトーンを基材とする接着剤の層によりその表面が均一に被覆されたポリエステルの不織布によって設けられている。
【0026】
この防水性ガスケットは、もしそれらが防水性・透湿性のものであれば、ライニングまたは甲革のラスティングマージン間に横切るように備わる領域を満たすために用いられ、中底と底革との間に防水層が構成される。
【0027】
ガスケットは防水性であって非透湿性の材料で作られているので、この構成法は、開放されるか穿孔されて防水性・透湿性膜で覆われて密封された領域によって液体状態の水を通さず水蒸気を通すようにしたゴム製底革には不向きである。
【0028】
さらにまた、ガスケットが底革の通気領域において孔が設けられていて、発汗により生じる水蒸気を排出させるためには、甲革の外側層のラスティングマージンは、ガスケットの孔を実際に通して中底に移動する水を、底革の中の方へ吸い上げることになる。
【0029】
これらの解決策の他のものは、靴下のように閉じられ、足の周りを完全に包む防水性・透湿性膜を有するライニングを用いることである。
【0030】
この場合には、その製造方法には、中底が靴下の下側へ適用され、甲革の外側層のラスティングマージンが上記中底へ折り込まれてその周縁に接着される、ことが必要である。
【0031】
靴下状のライニングは、足のための開口を備え、2つの横部分と下部分とによって一般に形成され、その接続はジグザグおよび/またはストローベルの縫い付けによって行われ、防水性の密封テープによって密封される。
【0032】
この製造方法が極めて複雑であり、また、傷つきやすいことは、よく知られている。
【0033】
さらに、縫い付けによって閉じられ、靴型のラスティングによらずに閉じられる靴下の正確な型合わせは、厳密な精度で裁断および縫合しなければならないいくつかの構成要素を準備する難しさと、甲革とライニングとの間にしわを生じないように正しく張力をかける難しさとのために、達成することが困難である。
【0034】
実際、ライニングを縫い付ける間に靴型を使用しないという事実のために、上記ライニングは、正しく形成され、引き伸ばされて滑らかである甲革およびライニングを得ることができる「AGOラスティング」構成法を用いるときとは異なり、甲革のラスティング時にしわが寄る傾向がある。
【0035】
この発明の目標は、有孔の底革を通して透湿性である靴を製造するための現在知られている方法よりも簡単で効果的な手法で、上記組付体へのラスティング用マージンの効果的な密封を達成することができる防水性・透湿性の靴の製造方法を提供することである。
【0036】
この目標の範囲内で、この発明の1つの目的は、甲革組付体およびそれとともに結合された底革において、有孔の底革を通して透湿性である現在知られている靴のそれらに対して構造的にいっそう簡単であって容易に設けることのできる甲革組付体および底革を提供することのできる方法を提案することである。
【0037】
この発明の別の目的は、ラスティングの間に防水性・透湿性の甲革組付体を提供することができ、それゆえ、透湿のために有孔であるかあるいは開放されているそれの領域を防水性・透湿性手法で密封する防水性・透湿性膜が備わった底革を設ける必要のない方法を提供することである。
【0038】
この発明の別の目的は、比較的低いコストで簡単に実行することのできる、防水性・透湿性の靴を提供するための方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0039】
この目標、これらの目的、および後にいっそう明らかになるであろう他の目的は、
防水性・透湿性の靴を提供するための方法であって、
少なくとも1つの透湿性ライニングと、透湿性甲革と、これらの間にある防水性・透湿性の甲革膜とから構成された上部靴組付体を構成する工程、
防水性材料から作られ、少なくとも1つの透湿性あるいは有孔の部分を有している第1ガスケットを、透湿性組付中底へ固定する工程、
上記の靴の甲革組付体を得るために、上記上部靴組付体のラスティング用マージンを上記第1ガスケットと結合することを含み、少なくとも大部分を「AGOラスティング」として知られた構成法によってラスティングする工程、
第2ガスケットによって、上記ラスティング用マージンを上記第1ガスケットへ密封する工程であって、上記ラスティング用マージンおよび上記第1ガスケットをまたぐように上記第2ガスケットを接着することを含む工程、および
防水性密封をもたらすために、底革を上記第2ガスケットへ組み付ける材料の少なくとも接着によって組み付ける工程であって、上記底革を上記甲革組付体へ接続することを含む工程
からなる、防水性・透湿性の靴を提供するための方法によって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
この発明のさらに別の特性および利点は、添付図面において非限定的な例として示されたこの発明による防水性・透湿性の靴を提供するための方法の、好ましいが限定的ではないいくつかの実施形態の記載から、いっそう明らかになるであろう。
【0041】
【図1】図1は、この発明による防水性・透湿性の靴を提供するための方法の代替的な好ましい実施形態の概略図である。
【図1a】図1aは、図1に例示された、この発明による防水性・透湿性の靴の製造方法によって得られた防水性・透湿性の靴の甲革組付体の代替的実施形態の概略図である。
【図1b】図1bは、図1に例示された、この発明による防水性・透湿性の靴の製造方法によって得られた防水性・透湿性の靴の甲革組付体の代替的実施形態の概略図である。
【図1c】図1cは、図1に例示された、この発明による防水性・透湿性の靴の製造方法によって得られた防水性・透湿性の靴の甲革組付体の代替的実施形態の概略図である。
【図2】図2は、この発明による防水性・透湿性の靴を提供するための方法の代替的な好ましい実施形態の概略図である。
【図2a】図2aは、図2に例示された、この発明による防水性・透湿性の靴を提供するための方法によって得られた防水性・透湿性の靴の甲革組付体の代替的実施形態の概略図である。
【図2b】図2bは、図2に例示された、この発明による防水性・透湿性の靴を提供するための方法によって得られた防水性・透湿性の靴の甲革組付体の代替的実施形態の概略図である。
【図3】図3は、この発明による防水性・透湿性の靴を提供するための方法の代替的な好ましい実施形態の概略図である。
【図3a】図3aは、図3に例示された、この発明による防水性・透湿性の靴を提供するための方法によって得られた防水性・透湿性の靴の甲革組付体の実施形態の概略図である。
【図3b】図3bは、図3に例示された、この発明による防水性・透湿性の靴を提供するための方法によって得られた防水性・透湿性の靴の甲革組付体の細部の概略図である。
【図4】図4は、この発明による防水性・透湿性の靴を提供するための方法の代替的な好ましい実施形態の概略図である。
【図4a】図4aは、図4に例示された、この発明による防水性・透湿性の靴を提供するための方法によって得られた防水性・透湿性の靴の甲革組付体の実施形態の概略図である。
【図5】図5は、この発明による防水性・透湿性の靴を提供するための方法の代替的な好ましい実施形態の概略図である。
【図5a】図5aは、図5に例示された、この発明による防水性・透湿性の靴を提供するための方法によって得られた防水性・透湿性の靴の甲革組付体の実施形態の概略図である。
【図6】図6は、この発明による防水性・透湿性の靴を提供するための方法の代替的な好ましい実施形態の概略図である。
【図6a】図6aは、図6に例示された、この発明による防水性・透湿性の靴を提供するための方法によって得られた防水性・透湿性の靴の甲革組付体の実施形態の概略図である。
【0042】
この特許取得過程の間にすでに公知であると認められた任意のものは、特許請求されることがなく、また、放棄の対象でない、と解されることに留意すべきである。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図面を参照すると、参照符号100が防水性・透湿性の靴10の製造方法を全体として表わしており、この製造方法は、
透湿性ライニング12と、透湿性甲革13と、これらの間にある防水性・透湿性の甲革膜14とから構成された上部靴組付体を構成する工程、
透湿性組付中底15へ、防水性材料から作られ、少なくとも1つの透湿性あるいは有孔の部分17を有している第1ガスケット16を固定する工程101、
上記の靴の甲革組付体を得るために、上記上部靴組付体のラスティング用マージン18を第1ガスケット16で結合することを含み、少なくとも大部分を「AGOラスティング」として知られた構成法によってラスティングする工程102、
第2ガスケット19によって、ラスティング用マージン18を第1ガスケット16へ密封する工程103であって、ラスティング用マージン18および第1ガスケット16をまたぐように第2ガスケット19を接着することを含む工程103、および
防水性密封をもたらすために、底革20を第2ガスケット19へ組み付ける材料の少なくとも接着によって組み付ける工程104であって、底革20を甲革組付体11へ接続することを含む工程104
からなる点に特徴を有している。
【0044】
有利であるのは、上部靴組付体を構成する上記工程は、それ自体知られており、添付図面には示されていないが、
第1実施形態では、甲革膜14と甲革13とを、それらの透湿性を損なわないようにするために、例えば、スポット接着によって結合すること、あるいは代案として、
第2実施形態では、甲革膜14とライニング12とを、それらの透湿性を損なわないようにするために、例えば、スポット接着あるいはラミネーションによって結合すること
を含んでいることである。
【0045】
甲革膜14は、広く市販されている透湿性・防水性膜からなる種類のものであり、例えば、e−PTFEとしても知られた発泡ポリテトラフルオロエチレン、PUとしても知られたポリウレタンなど、および、それを補強するメッシュから作られたものが、それとともに結合されているのが好ましい。
【0046】
甲革膜14の下縁14aをさらに補強するために、図面には示されていないが、防水性補強要素、例えば、好ましくは弾性があり、かつ、例えばポリウレタンのような合成材料から作られた熱接着テープをその下縁14aに直接、貼り付けることが有利であろう。上記防水性補強要素を提供するために特に適しているテープは、TecnoGI社によって市販用に提案され、120−250g/m2の重量がある。
【0047】
第1の構造的解決策では、固定工程101には、接着、加熱および押圧によって、第1ガスケット16を組付中底15へ接続するための作業が含まれているのが好ましい。
【0048】
第1ガスケット16は、防水性ポリマー材料、好ましくは、ポリウレタン(PU)あるいはポリエチレン(PE)あるいはポリ塩化ビニル(PVC)あるいは熱可塑性フィルムから作られている。
【0049】
上記第1実施形態は、次のことを伴っているのが好ましい。すなわち、甲革組付体11にその後に組み付けられる底革20には、有孔であるかあるいは広大な開口によって影響を受けており、そこへ周辺で密封されている防水性・透湿性インサートによって防水性・透湿性態様で密封されている少なくとも1つの透湿性領域21があるのが好ましい。
【0050】
透湿性あるいは有孔の部分17は、底革20が甲革組付体11へ密封されたときに、上記透湿性領域21の上方に配置されるのが好ましい。
【0051】
図2、図2aおよび図2bを参照すると、上記第1構造的解決策に代わるものである、固定工程101の第2構造的解決策において、それは、防水性・透湿性プランターインサート22を防水性材料から作られた第1ガスケット16へ接合するための作業105を含んでおり、このプランターインサート22は、第1ガスケット16を防水性・透湿性態様に密封するために、その少なくとも透湿性あるいは有孔の部分17を覆うように、組付中底15と第1ガスケット16との間にある。
【0052】
有利であるのは、プランターインサート22が、e−PTFEとしても知られた発泡ポリテトラフルオロエチレン、あるいはPUとしても知られたポリウレタン、あるいは同様の材料から作られた少なくとも1つの膜であって、場合によっては、その面に1つあるいは2つのメッシュとともに結合されている膜を備えていることである。
【0053】
代わりの、そして実質的に同等の態様において、上記第2構造的解決策は、
初めにプランターインサート22を第1ガスケット16へ接合し、それを上記のように密封し、次いで組付中底15をプランターインサート22へ接合することによって、 または、初めにプランターインサート22を組付中底15へ接合し、次いでそれを上記第1ガスケットへ接合し、それを上記のように密封することによって、
もたらすことができる、ということに留意すべきである。
【0054】
上記接合作業105は、防水性密封部を形成するために、プランターインサート22の少なくとも周縁23を透湿性あるいは有孔の部分17を包囲する領域へ接合するためにもたらされるのが好ましい。
【0055】
好ましいのは、上記第1ガスケットに複数の透湿性あるいは有孔の部分が設けられているときには、そこへ周縁で密封されて、透湿性を確保するとともにそれらを通して液体状態にある水の浸透を防止する、それらを覆う対応する数のプランターインサートが存在していることである。
【0056】
さらにまた、上記接合作業105は、プランターインサート22を第1ガスケット16の透湿性あるいは有孔の部分17の周りで密封する熱可塑性ポリマー材料からなり、プランターインサート22の周縁23を乗り越えているフィルム24の適用106のためにもたらされるのが有利である。
【0057】
図1cを参照すると、先に説明された2つの構造的解決策に代わるものである第3実施形態において、第1ガスケット16の透湿性あるいは有孔の部分17は、発泡性のポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタンなどの中から選択されるのが好ましい材料から作られた防水性・透湿性膜によって設けられている。
【0058】
具体的には、透湿性あるいは有孔の部分17は、第1ガスケット16の全体に影響を及ぼすのが好ましく、それゆえ、実質的にその全体が防水性・透湿性材料から作られているが、それにいっそう大きい構造的強度を付与するために、必要に応じて、そこへ付着される補強層が設けられる。
【0059】
好ましいのは、上記の第2実施形態および第3実施形態において、その後の組付工程104で底革20が甲革組付体11へ結合され、上記底革には、発散孔あるいは広大な開口によって影響を受ける透湿性領域21があることである。
【0060】
従って、これら第2および第3の実施形態によれば、上記のように、防水性・透湿性インサートで防水性・透湿性をもたらすために、上記第1構造的解決策に使用されるものよりも簡単である構造が備わった底革を使用することができる、ということに留意すべきである。
【0061】
ラスティング工程102の実行の第1モードには、「AGOラスティング」として知られた構成法によって、完全に一致した状態に連結された第1ガスケット16の周縁16aと、甲革膜14の下方縁部14a、および甲革13の下縁13aから構成されたラスティング用マージン18との下方に防水性密封部を形成するために、折り曲げおよび接合を含んでいるのが好ましい。
【0062】
ラスティング工程102の実行の第2モードには、「AGOラスティング」として知られた構成法によって、完全に一致した状態に連結された第1ガスケット16の周縁16aと、ライニング12の下方フラップ12a、および甲革膜14の下方縁部14aから構成されたラスティング用マージン18のラスティング用第1マージン18aとの下方に防水性密封部を形成するために、折り曲げおよび接合からなるライニングラスティング107を含んでいるのが好ましい。
【0063】
このライニングラスティング107は、下方フラップ12aを、それが連結される下方縁部14aを露出させるために、スカイビング(削り取り)108によって先行されるのが好ましく、下方縁部14aは、ライニングラスティング107の間に、第1ガスケット16へ密封部を形成するために、その接合のための下方フラップ12aを通して露出される。
【0064】
さらにまた、好ましいのは、ラスティング工程102が、ライニングラスティング107に続く甲革ラスティング109を含んでいることであり、その甲革ラスティング109は、「AGOラスティング」として知られた構成法によって、甲革13の下縁13aから構成されている、ラスティング用マージン18のラスティング用第2マージン18bを、第1ガスケット16の周縁16aの下方で、折り曲げ、接合し、下方フラップ12aへ連結されて周縁16aを覆っている下方縁部14aを少なくとも部分的に覆うものである。
【0065】
添付図面に示されていない代わりの変形例では、上記ライニングラスティングは、「Strobel」(ストローベル)として知られた構成法による縫い付けからなるのが好ましく、この縫い付けは、完全に一致した状態に連結されたライニング12の下方フラップ12aと甲革膜14の下方縁部14aとから構成された、ラスティング用マージン18のラスティング用第1マージン18aを、組付中底15および第1ガスケット16のそれぞれの周縁領域15aおよび周縁16aへ縫い付けることからなる。
【0066】
代案として、ラスティング工程102には、ラスティング用マージン18のラスティング用第1マージン18aとラスティング用第2マージン18bとの同時組み付けが含まれる。
【0067】
図4および図4aを参照すると、好ましいのは、甲革ラスティング109は、下縁13aが折り曲げられて下方縁部14aの上へ接合されているとともに、その端部分25が露出されている、ことを必然的に伴うことである。
【0068】
この場合には、ライニングラスティング107は、ラスティング用第1マージン18aの接合において、接合による甲革膜14の第1ガスケット16への密封を必ずしも伴わず、その代わりに、その後の密封工程で、第2ガスケット19によって行われる。
【0069】
代案として、図5および図5aを参照すると、ラスティング工程102は、
下方縁部14aを第1ガスケット16へ密封することからなり、それらをまたぐような、密封用熱可塑性ポリマー材料から作られた補助ガスケット26の適用110のためにもたらされる予備密封作業と、
「AGOラスティング」として知られた構成法によって、甲革13の下縁13aから構成されている、ラスティング用マージン18のラスティング用第2マージン18bを、第1ガスケット16の周縁16aの下方で、折り曲げ、かつ接合することからなり、下方縁部14aを乗り越えている補助ガスケット26を少なくとも部分的に覆う甲革ラスティング109と、
を含んでいる。
【0070】
この場合にもまた、ラスティング工程102は、接合による甲革膜14の第1ガスケット16への密封のために必ずしももたらされず、その代わりに、その後の予備密封工程で、補助ガスケット26によって行われる。
【0071】
図6および図6aを参照すると、ラスティング工程102の実行の第3モードには、「AGOラスティング」として知られた構成法によって、完全に一致した状態に連結された組付中底15の周縁領域15aと、ライニング12の下方フラップ12aおよび甲革膜14の下方縁部14aから構成されたラスティング用マージン18のラスティング用第1マージン18aとの下方で、折り曲げ、かつ接合することからなるライニングラスティング107を含んでいるのが好ましい。
【0072】
添付図面に示されていない代わりの変形例では、上記ライニングラスティングは、「Strobel」(ストローベル)として知られた構成法による縫い付けからなるのが好ましく、この縫い付けは、完全に一致した状態に連結されたライニング12の下方フラップ12aと甲革膜14の下方縁部14aとから構成された、ラスティング用マージン18のラスティング用第1マージン18aを、組付中底15の周縁領域15aへ縫い付けることからなる。
【0073】
有利であるのは、ラスティング工程102の実行の上記第3モードにおいて、ライニングラスティング109が、「AGOラスティング」として知られた構成法によって、甲革13の下縁13aから構成されている、ラスティング用マージン18のラスティング用第2マージン18bを、第1ガスケット16の周縁16aの下方で、折り曲げ、かつ接合することからなり、防水性密封部を形成するために、周縁16aが下方縁部14aを乗り越えているとともに、そこへ付着されていることである。
【0074】
密封工程103の第1実施形態では、第2ガスケット19は、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミドあるいはポリオレフィンの中から選択された材料から作られた熱可塑性ホットメルト接着剤からなる防水性フィルムであるのが好ましい。
【0075】
密封工程103は、上記防水性フィルムの防水性密封部を形成するために、ラスティング用マージン18をまたぐような、また、第1ガスケット16においては、そこへの水に対して甲革膜14の下方縁部14aを密封するような、接着を含んでいるのが有利である。
【0076】
図1bを参照すると、上記第1実施形態において、上部靴組付体を構成する上記工程は好ましくは、
上記下縁13aへそれから延出するように、好ましくは、およそ8−12mmのジグザク縫い目によってそこへ連結される密封要素27を接続することと、
その後に、甲革膜14を、その膜が密封要素27を上記下縁13aへ接続するための領域を不透過状に覆うように、甲革13および密封要素27へ完全に一致した状態に連結することと
を含んでいる。
【0077】
好ましいのは、第1ガスケット16の表面に甲革13の爪先およびかかとを組み付けるための作業の結果として作られるしわの形成を制限するために、密封要素27が、甲革13よりも薄く、また、甲革13よりも軽い材料から作られていることである。
【0078】
密封要素27の第1構成変形例では、上記要素は、防水性であって熱活性化可能なポリマー材料から作られており、密封工程103は、防水性密封部を形成するために、甲革膜14の下方縁部14aへ接着するためのその密封要素27の溶融のためにもたらされるのが好ましい。
【0079】
密封要素27の、第2の、そして代わりの構成変形例では、上記密封要素は、密封材料が浸透することのできる材料から作られており、密封工程103は、防水性密封をもたらすために、下方縁部14aを把持する第2ガスケット19を構成する材料がその密封材料を通る浸透を含んでいるのが好ましい。
【0080】
密封要素27の別の機能は、第2ガスケット19へのその密封を可能にする一方で、甲革膜14の下方縁部14aを補強することである。
【0081】
1つの代案として、上記ラスティングが適切なペンチを用いて手で実行されるときには、好ましくは、ラスティング工程の間に、甲革膜14の下方縁部14aを傷めるおそれがなく上記密封要素27を省略することができるであろう。
【0082】
この態様では、第2ガスケット19は、甲革膜14へ直接、密封されている。
【0083】
密封工程103の第2実施形態では、第2ガスケット19は、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミドあるいはポリオレフィンの中から選択された材料から作られた熱可塑性ホットメルト接着剤からなる防水性フィルムによって設けられている。
【0084】
密封工程103は、上記第2実施形態では、実施の第2モードによるラスティング工程102の次に来るのが好ましく、また、図4および図4aに非限定的な例として示されたように、防水性密封部を形成するために、ラスティング用マージン18および第1ガスケット16をまたぐような、かつ、そこへの水に対して、端部分25でそこへ接着される下縁13aおよび下方縁部14aを密封するような、防水性フィルムの接着が含まれている。
【0085】
密封工程103の第3実施形態では、第2ガスケット19には、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミドあるいはポリオレフィンの中から選択された材料から作られた熱可塑性ホットメルト接着剤からなる防水性フィルムが備わっているのが好ましい。
【0086】
実施の第2モードによるラスティング工程102の次に来るのが好ましい密封工程103には、図5および図5aに非限定的な例として示されたように、防水性密封部を形成するために、下縁13aおよび補助ガスケット26をまたぐような、防水性フィルムの接着が含まれている。
【0087】
密封工程103の第4実施形態においてもまた、第2ガスケット19には、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミドあるいはポリオレフィンの中から選択された材料から作られた熱可塑性ホットメルト接着剤からなる防水性フィルムが備わっている。
【0088】
実施の第3モードによるラスティング工程102の次に来るのが好ましい密封工程103には、図6および図6aに非限定的な例として示されたように、防水性密封部を形成するために、甲革13の下縁13aおよび第1ガスケット16の周縁16aをまたぐような、防水性フィルムの接着が含まれている。
【0089】
組付工程104は、代わりに、
防水性密封部を形成するように、第2ガスケット19への接着によって甲革組付体11への底革20の接合か、あるいは
甲革組付体11に対する底革20の防水性密封をもたらすために、甲革組付体11の上への、底革20の少なくとも1つの構成要素であって、この構成要素と第2ガスケット19との融着をもたらす構成要素、例えば間底のオーバーモールドか
のいずれかを含んでいるのが好ましい。
【0090】
実際に、この発明によれば、意図された目標および諸目的が達成され、有孔の底革を通して透湿性である靴を提供するための現在知られている方法よりも簡単でいっそう効果的な手法で、組付中底へのラスティング用マージンの効果的な密封を達成することのできる防水性・透湿性の靴を設けるための方法が提供されることが分かった。
【0091】
実際に、上記第2ガスケットは、ラスティング用マージンを上記第1ガスケットへ効果的に密封し、これらのガスケットどうしの間にそれらを不透過状に備えているとともに、同時に靴への密封のための領域を形成する。
【0092】
従って、実際に、上記第2ガスケットを上記第1ガスケットへ密封することによって、必要に応じて補助ガスケットによってもまた、甲革を透過する水が上記中底の下方の領域へ向かって進むことが防止され、逆に、底革の自由開口あるいは自由孔を通して上昇する水が甲革へ向かって進むことが防止されるであろう。
【0093】
さらにまた、この発明による防水性・透湿性の靴を提供するための方法によれば、いっしょに結合される甲革組付体および底革であって、有孔の底革を通して透湿性である現在知られている靴のそれらに対して構造的により簡単であるとともにより容易に設けることのできる甲革組付体および底革を製造することができる。
【0094】
具体的には、この発明による防水性・透湿性の靴を提供するための方法によって、ラスティングの間に防水性・透湿性甲革組付体をすでに設けることができ、それゆえ、透湿のために有孔であるかあるいは開放されている領域を防水性・透湿性手法で密封する防水性・透湿性の膜が備わった底革を用意する必要がない。
【0095】
このように構想されたこの発明は、そのすべてが添付の特許請求の範囲における適用範囲内にある多数の改造および変更を受けることが可能であり、すべての細部は、技術的に同等の他の諸要素でさらに置き換えることが可能である。
【0096】
実際に、使用される上記材料は、それらが特定の用途で互換可能である限り、不確定の形状および寸法とともに、諸要件および最新技術による任意のものであってもよい。
【0097】
この出願が優先権を主張するヨーロッパ特許出願第09425138.6号における開示は、参照によってこの明細書に組み入れられている。
【0098】
任意の請求項において言及された技術的特徴構成が参照符号に従うときには、それらの参照符号は、特許請求の範囲の理解度を向上させる目的だけのために含まれており、そのような参照符号には、そのような参照符号によって例示として識別されたそれぞれの要素の解釈に関するどのような限定的効果もない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
防水性・透湿性の靴(10)を提供するための方法(100)であって、
少なくとも1つの透湿性ライニング(12)と、透湿性甲革(13)と、これらの間にある防水性・透湿性の甲革膜(14)とから構成される上部靴組付体を構成する工程、
防水性材料から作られ、少なくとも1つの透湿性あるいは有孔の部分(17)を有している第1ガスケット(16)を、透湿性組付中底(15)へ固定する工程(101)、
前記の靴(10)の甲革組付体(11)を得るために、前記上部靴組付体のラスティング用マージン(18)を前記第1ガスケット(16)と結合することを含み、少なくとも大部分を「AGOラスティング」として知られた構成法によってラスティングする工程(102)、
第2ガスケット(19)によって、前記ラスティング用マージン(18)を前記第1ガスケット(16)へ密封する工程(103)であって、前記ラスティング用マージン(18)および前記第1ガスケット(16)をまたぐように前記第2ガスケット(19)を接着することを含む工程(103)、および
防水性密封をもたらすために、底革(20)を前記第2ガスケット(19)へ組み付ける材料の少なくとも接着によって組み付ける工程(104)であって、前記底革(20)を前記甲革組付体(11)へ接続することを含む工程(104)
からなる、防水性・透湿性の靴(10)を提供するための方法。
【請求項2】
前記の固定工程(101)、ラスティング工程(102)および密封工程(103)のうちの少なくとも1つにおいて、前記甲革組付体(11)の防水性密封が施されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上部靴組付体を構成する前記工程は、それらの透湿性を損なうことがないように、スポット接着などによるような、前記甲革膜(14)と前記甲革(13)との結合を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
上部靴組付体を構成するための前記工程は、それらの透湿性を損なうことがないように、スポット接着、ラミネーションなどによるような、前記甲革膜(14)と前記ライニング(12)との結合を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記固定工程(101)は、防水性ポリマー材料から作られた前記第1ガスケット(16)を、接合、加熱および押圧によって、前記組付中底(15)へ接続するための作業を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記固定工程(101)は、少なくとも1つの防水性・透湿性プランターインサート(22)を、防水性ポリマー材料から作られた前記第1ガスケット(16)へ接合する(105)ための作業を含んでおり、前記少なくとも1つのプランターインサート(22)は、前記少なくとも1つの透湿性あるいは有孔の部分(17)を覆うために、前記組付中底(15)と前記第1ガスケット(16)との間にあり、それを防水性・透湿性の状態に密封していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記接合作業(105)は、防水性密封部を形成するために、前記少なくとも1つのプランターインサート(22)の少なくとも周辺部(23)の、前記少なくとも1つの透湿性あるいは有孔の部分(17)を包囲する領域への接合のために施されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記接合作業(105)は、その周辺部(23)を包囲する前記少なくとも1つのプランターインサート(22)の周辺密封をもたらす熱可塑性ポリマー材料からなるフィルム(24)の、前記少なくとも1つの透湿性あるいは有孔の部分(17)の周りにある前記第1ガスケット(16)への適用(106)のために施されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記第1ガスケット(16)における前記少なくとも1つの透湿性あるいは有孔の部分(17)は、防水性・透湿性材料から作られていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記防水性・透湿性材料は、発泡性のポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタンなどの中から選択されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ラスティング工程(102)は、防水性密封をもたらすために、「AGOラスティング」として知られた構成法によって、前記甲革膜(14)の下方縁部(14a)と前記甲革(13)の下縁(13a)とから構成された前記ラスティング用マージン(18)を、前記第1ガスケット(16)の周縁(16a)の下方で、折り曲げ、かつ接合して、前記甲革膜(14)の前記第1ガスケット(16)への防水性密封をもたらすことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ラスティング工程(102)は、「AGOラスティング」として知られた構成法に少なくとも主としてよって、前記ライニング(12)の下方フラップ(12a)と前記甲革膜(14)の下方縁部(14a)とから構成された前記ラスティング用マージン(18)のラスティング用第1マージン(18a)を、前記第1ガスケット(16)の周縁(16a)の下方で、折り曲げ、かつ接合することからなるライニングラスティング(107)を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記ライニングラスティング(107)は、防水性密封をもたらすために、「AGOラスティング」として知られた構成法に少なくとも主としてよって、前記ライニング(12)の下方フラップ(12a)と前記甲革膜(14)の下方縁部(14a)とから構成された前記ラスティング用マージン(18)のラスティング用第1マージン(18a)を、前記第1ガスケット(16)の周縁(16a)の下方で、折り曲げ、かつ接合して、前記甲革膜(14)の前記第1ガスケット(16)への防水性密封をもたらすことからなることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ラスティング工程(102)は、前記ライニング(12)の下方フラップ(12a)と前記甲革膜(14)の下方縁部(14a)とから構成され、完全に一致した状態に連結された前記ラスティング用マージン(18)のラスティング用第1マージン(18a)を、「Strobel」として知られた構成法によって、前記組付中底(15)および前記第1ガスケット(16)のそれぞれの周縁領域(15a)および周縁(16a)へ縫い付けることからなるライニングラスティングを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記ライニングラスティング(107)は、前記下方フラップ(12a)を、それが連結される前記下方縁部(14a)を露出させるために、スカイビング(108)によって先行され、前記下方縁部(14a)は、前記ライニングラスティング(107)の間に、前記第1ガスケット(16)へ密封部を形成するために、その接合のための前記下方フラップ(12a)を通して露出されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記ラスティング工程(102)は、前記甲革(13)の下縁(13a)から構成されている、前記ラスティング用マージン(18)のラスティング用第2マージン(18b)を、「AGOラスティング」として知られた構成法によって、前記第1ガスケット(16)の周縁(16a)の下方で、折り曲げ、かつ接合し、前記下方フラップ(12a)へ連結されて前記周縁(16a)を覆っている前記下方縁部(14a)を少なくとも部分的に覆うものである甲革ラスティング(109)を含んでいることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記甲革ラスティング(109)において、前記甲革(13)の前記下縁(13a)は、折り曲げられて前記下方縁部(14a)の上へ接合されており、その端部分(25)は露出されていることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ラスティング工程(102)は、
前記下方縁部(14a)を前記第1ガスケット(16)へ密封することからなり、それらをまたぐような、密封用熱可塑性ポリマー材料から作られた補助ガスケット(26)の適用(110)を含んでいる予備密封作業と、
「AGOラスティング」として知られた構成法に少なくとも主としてよって、前記甲革(13)の下縁(13a)から構成された、前記ラスティング用マージン(18)のラスティング用第2マージン(18b)を、前記第1ガスケット(16)の周縁(16a)の下方で、折り曲げ、かつ接合することからなり、前記下方縁部(14a)を包囲する前記補助ガスケット(26)を少なくとも部分的に覆う甲革ラスティング(109)と
を含んでいることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記ラスティング工程(102)は、
前記下方縁部(14a)を前記第1ガスケット(16)へ密封することからなり、それらをまたぐような、密封用熱可塑性ポリマー材料から作られた補助ガスケット(26)の適用を含んでいる予備密封作業と、
「AGOラスティング」として知られた構成法に少なくとも主としてよって、前記甲革(13)の下縁(13a)から構成された、前記ラスティング用マージン(18)のラスティング用第2マージン(18b)を、前記第1ガスケット(16)の周縁(16a)の下方で、折り曲げ、かつ接合することからなり、前記下方縁部(14a)へ縫い付けられた前記補助ガスケット(26)を少なくとも部分的に覆う甲革ラスティングと
を含んでいることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記ラスティング工程(102)は、「AGOラスティング」として知られた構成法によって、前記ライニング(12)の下方フラップ(12a)と前記甲革膜(14)の下方縁部(14a)とから構成された前記ラスティング用マージン(18)のラスティング用第1マージン(18a)を、前記組付中底(15)の周縁領域(15a)の下方で、折り曲げ、かつ接合することからなるライニングラスティング(107)を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記ラスティング工程は、前記ライニング(12)の下方フラップ(12a)と前記甲革膜(14)の下方縁部(14a)とから構成された前記ラスティング用マージン(18)のラスティング用第1マージン(18a)を、「Strobel」として知られた構成法によって、前記組付中底(15)の周縁領域(15a)へ縫い付けることからなるライニングラスティングを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記ラスティング工程(102)は、前記ライニングラスティング(107)に続き、かつ、前記甲革(13)の下縁(13a)から構成された、前記ラスティング用マージン(18)のラスティング用第2マージン(18b)を、「AGOラスティング」として知られた構成法によって、前記第1ガスケット(16)の周縁(16a)の下方で、前記下方縁部(14a)を包囲する前記周縁(16a)を折り曲げ、かつ接合することからなる甲革ラスティング(109)を含んでいることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記第2ガスケット(19)は、熱可塑性ホットメルト接着剤からなる防水性フィルムを備えており、前記密封工程(103)は、防水性密封部を形成するために、前記ラスティング用マージン(18)と前記第1ガスケット(16)とをまたぐような前記防水性フィルムの接着を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項24】
上部靴組付体の構成のための前記工程は、密封要素(27)を前記下縁(13a)へそれから延出するように接続することと、
その後に、前記甲革膜(14)を前記甲革(13)へ連結して、前記密封要素(27)を前記下縁(13a)へ接続するための領域を防水性の状態に覆うことと
を含んでいることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記密封要素(27)は、防水性であって熱活性化可能なポリマー材料から作られており、前記密封工程(103)は、防水性密封部を形成するために、前記甲革膜(14)の前記下方縁部(14a)へその密封要素(27)を接着するための前記密封要素(27)の溶融を含んでいることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記密封要素(27)は、密封材料に対して透過性である材料から作られており、前記密封工程(103)は、防水性密封部を形成するするために、前記下方縁部(14a)を把持する前記第2ガスケット(19)を構成する材料が前記密封要素を通る浸透を含んでいることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記第2ガスケット(19)は、熱可塑性ホットメルト接着剤からなる防水性フィルムを備えており、前記密封工程(103)は、防水性密封部を形成するために、前記ラスティング用マージン(18)と前記第1ガスケット(16)とをまたぐような、かつ、そこへの水に対して、前記端部分(25)でそこへ接着される下方縁部(14a)を密封するような、前記防水性フィルムの接着を含んでいることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項28】
前記第2ガスケット(19)は、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミドあるいはポリオレフィンの中から選択された材料から作られた熱可塑性ホットメルト接着剤からなる防水性フィルムを備えており、前記密封工程(103)は、防水性密封部を形成するために、前記下縁(13a)と前記補助ガスケット(26)とをまたぐような前記防水性フィルムの接着を含んでいることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項29】
前記第2ガスケット(19)は、熱可塑性ホットメルト接着剤からなる防水性フィルムを備えてなり、前記密封工程(103)は、防水性密封部を形成するために、前記下縁(13a)と前記第1ガスケット(16)の前記周縁(16a)とをまたぐような前記防水性フィルムの接着を含んでいることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項30】
前記組付工程(104)は、前記第2ガスケット(19)へ防水性密封部を形成するために、接着による前記底革(20)の前記甲革組付体(11)への接合を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記組付工程(104)は、前記第2ガスケット(19)へ前記底革(20)の防水性密封をもたらすために、前記底革(20)の少なくとも1つの構成要素を前記甲革組付体(11)の上にオーバーモールドすることを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項1】
防水性・透湿性の靴(10)を提供するための方法(100)であって、
少なくとも1つの透湿性ライニング(12)と、透湿性甲革(13)と、これらの間にある防水性・透湿性の甲革膜(14)とから構成される上部靴組付体を構成する工程、
防水性材料から作られ、少なくとも1つの透湿性あるいは有孔の部分(17)を有している第1ガスケット(16)を、透湿性組付中底(15)へ固定する工程(101)、
前記の靴(10)の甲革組付体(11)を得るために、前記上部靴組付体のラスティング用マージン(18)を前記第1ガスケット(16)と結合することを含み、少なくとも大部分を「AGOラスティング」として知られた構成法によってラスティングする工程(102)、
第2ガスケット(19)によって、前記ラスティング用マージン(18)を前記第1ガスケット(16)へ密封する工程(103)であって、前記ラスティング用マージン(18)および前記第1ガスケット(16)をまたぐように前記第2ガスケット(19)を接着することを含む工程(103)、および
防水性密封をもたらすために、底革(20)を前記第2ガスケット(19)へ組み付ける材料の少なくとも接着によって組み付ける工程(104)であって、前記底革(20)を前記甲革組付体(11)へ接続することを含む工程(104)
からなる、防水性・透湿性の靴(10)を提供するための方法。
【請求項2】
前記の固定工程(101)、ラスティング工程(102)および密封工程(103)のうちの少なくとも1つにおいて、前記甲革組付体(11)の防水性密封が施されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上部靴組付体を構成する前記工程は、それらの透湿性を損なうことがないように、スポット接着などによるような、前記甲革膜(14)と前記甲革(13)との結合を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
上部靴組付体を構成するための前記工程は、それらの透湿性を損なうことがないように、スポット接着、ラミネーションなどによるような、前記甲革膜(14)と前記ライニング(12)との結合を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記固定工程(101)は、防水性ポリマー材料から作られた前記第1ガスケット(16)を、接合、加熱および押圧によって、前記組付中底(15)へ接続するための作業を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記固定工程(101)は、少なくとも1つの防水性・透湿性プランターインサート(22)を、防水性ポリマー材料から作られた前記第1ガスケット(16)へ接合する(105)ための作業を含んでおり、前記少なくとも1つのプランターインサート(22)は、前記少なくとも1つの透湿性あるいは有孔の部分(17)を覆うために、前記組付中底(15)と前記第1ガスケット(16)との間にあり、それを防水性・透湿性の状態に密封していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記接合作業(105)は、防水性密封部を形成するために、前記少なくとも1つのプランターインサート(22)の少なくとも周辺部(23)の、前記少なくとも1つの透湿性あるいは有孔の部分(17)を包囲する領域への接合のために施されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記接合作業(105)は、その周辺部(23)を包囲する前記少なくとも1つのプランターインサート(22)の周辺密封をもたらす熱可塑性ポリマー材料からなるフィルム(24)の、前記少なくとも1つの透湿性あるいは有孔の部分(17)の周りにある前記第1ガスケット(16)への適用(106)のために施されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記第1ガスケット(16)における前記少なくとも1つの透湿性あるいは有孔の部分(17)は、防水性・透湿性材料から作られていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記防水性・透湿性材料は、発泡性のポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタンなどの中から選択されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ラスティング工程(102)は、防水性密封をもたらすために、「AGOラスティング」として知られた構成法によって、前記甲革膜(14)の下方縁部(14a)と前記甲革(13)の下縁(13a)とから構成された前記ラスティング用マージン(18)を、前記第1ガスケット(16)の周縁(16a)の下方で、折り曲げ、かつ接合して、前記甲革膜(14)の前記第1ガスケット(16)への防水性密封をもたらすことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ラスティング工程(102)は、「AGOラスティング」として知られた構成法に少なくとも主としてよって、前記ライニング(12)の下方フラップ(12a)と前記甲革膜(14)の下方縁部(14a)とから構成された前記ラスティング用マージン(18)のラスティング用第1マージン(18a)を、前記第1ガスケット(16)の周縁(16a)の下方で、折り曲げ、かつ接合することからなるライニングラスティング(107)を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記ライニングラスティング(107)は、防水性密封をもたらすために、「AGOラスティング」として知られた構成法に少なくとも主としてよって、前記ライニング(12)の下方フラップ(12a)と前記甲革膜(14)の下方縁部(14a)とから構成された前記ラスティング用マージン(18)のラスティング用第1マージン(18a)を、前記第1ガスケット(16)の周縁(16a)の下方で、折り曲げ、かつ接合して、前記甲革膜(14)の前記第1ガスケット(16)への防水性密封をもたらすことからなることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ラスティング工程(102)は、前記ライニング(12)の下方フラップ(12a)と前記甲革膜(14)の下方縁部(14a)とから構成され、完全に一致した状態に連結された前記ラスティング用マージン(18)のラスティング用第1マージン(18a)を、「Strobel」として知られた構成法によって、前記組付中底(15)および前記第1ガスケット(16)のそれぞれの周縁領域(15a)および周縁(16a)へ縫い付けることからなるライニングラスティングを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記ライニングラスティング(107)は、前記下方フラップ(12a)を、それが連結される前記下方縁部(14a)を露出させるために、スカイビング(108)によって先行され、前記下方縁部(14a)は、前記ライニングラスティング(107)の間に、前記第1ガスケット(16)へ密封部を形成するために、その接合のための前記下方フラップ(12a)を通して露出されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記ラスティング工程(102)は、前記甲革(13)の下縁(13a)から構成されている、前記ラスティング用マージン(18)のラスティング用第2マージン(18b)を、「AGOラスティング」として知られた構成法によって、前記第1ガスケット(16)の周縁(16a)の下方で、折り曲げ、かつ接合し、前記下方フラップ(12a)へ連結されて前記周縁(16a)を覆っている前記下方縁部(14a)を少なくとも部分的に覆うものである甲革ラスティング(109)を含んでいることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記甲革ラスティング(109)において、前記甲革(13)の前記下縁(13a)は、折り曲げられて前記下方縁部(14a)の上へ接合されており、その端部分(25)は露出されていることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ラスティング工程(102)は、
前記下方縁部(14a)を前記第1ガスケット(16)へ密封することからなり、それらをまたぐような、密封用熱可塑性ポリマー材料から作られた補助ガスケット(26)の適用(110)を含んでいる予備密封作業と、
「AGOラスティング」として知られた構成法に少なくとも主としてよって、前記甲革(13)の下縁(13a)から構成された、前記ラスティング用マージン(18)のラスティング用第2マージン(18b)を、前記第1ガスケット(16)の周縁(16a)の下方で、折り曲げ、かつ接合することからなり、前記下方縁部(14a)を包囲する前記補助ガスケット(26)を少なくとも部分的に覆う甲革ラスティング(109)と
を含んでいることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記ラスティング工程(102)は、
前記下方縁部(14a)を前記第1ガスケット(16)へ密封することからなり、それらをまたぐような、密封用熱可塑性ポリマー材料から作られた補助ガスケット(26)の適用を含んでいる予備密封作業と、
「AGOラスティング」として知られた構成法に少なくとも主としてよって、前記甲革(13)の下縁(13a)から構成された、前記ラスティング用マージン(18)のラスティング用第2マージン(18b)を、前記第1ガスケット(16)の周縁(16a)の下方で、折り曲げ、かつ接合することからなり、前記下方縁部(14a)へ縫い付けられた前記補助ガスケット(26)を少なくとも部分的に覆う甲革ラスティングと
を含んでいることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記ラスティング工程(102)は、「AGOラスティング」として知られた構成法によって、前記ライニング(12)の下方フラップ(12a)と前記甲革膜(14)の下方縁部(14a)とから構成された前記ラスティング用マージン(18)のラスティング用第1マージン(18a)を、前記組付中底(15)の周縁領域(15a)の下方で、折り曲げ、かつ接合することからなるライニングラスティング(107)を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記ラスティング工程は、前記ライニング(12)の下方フラップ(12a)と前記甲革膜(14)の下方縁部(14a)とから構成された前記ラスティング用マージン(18)のラスティング用第1マージン(18a)を、「Strobel」として知られた構成法によって、前記組付中底(15)の周縁領域(15a)へ縫い付けることからなるライニングラスティングを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記ラスティング工程(102)は、前記ライニングラスティング(107)に続き、かつ、前記甲革(13)の下縁(13a)から構成された、前記ラスティング用マージン(18)のラスティング用第2マージン(18b)を、「AGOラスティング」として知られた構成法によって、前記第1ガスケット(16)の周縁(16a)の下方で、前記下方縁部(14a)を包囲する前記周縁(16a)を折り曲げ、かつ接合することからなる甲革ラスティング(109)を含んでいることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記第2ガスケット(19)は、熱可塑性ホットメルト接着剤からなる防水性フィルムを備えており、前記密封工程(103)は、防水性密封部を形成するために、前記ラスティング用マージン(18)と前記第1ガスケット(16)とをまたぐような前記防水性フィルムの接着を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項24】
上部靴組付体の構成のための前記工程は、密封要素(27)を前記下縁(13a)へそれから延出するように接続することと、
その後に、前記甲革膜(14)を前記甲革(13)へ連結して、前記密封要素(27)を前記下縁(13a)へ接続するための領域を防水性の状態に覆うことと
を含んでいることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記密封要素(27)は、防水性であって熱活性化可能なポリマー材料から作られており、前記密封工程(103)は、防水性密封部を形成するために、前記甲革膜(14)の前記下方縁部(14a)へその密封要素(27)を接着するための前記密封要素(27)の溶融を含んでいることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記密封要素(27)は、密封材料に対して透過性である材料から作られており、前記密封工程(103)は、防水性密封部を形成するするために、前記下方縁部(14a)を把持する前記第2ガスケット(19)を構成する材料が前記密封要素を通る浸透を含んでいることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記第2ガスケット(19)は、熱可塑性ホットメルト接着剤からなる防水性フィルムを備えており、前記密封工程(103)は、防水性密封部を形成するために、前記ラスティング用マージン(18)と前記第1ガスケット(16)とをまたぐような、かつ、そこへの水に対して、前記端部分(25)でそこへ接着される下方縁部(14a)を密封するような、前記防水性フィルムの接着を含んでいることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項28】
前記第2ガスケット(19)は、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミドあるいはポリオレフィンの中から選択された材料から作られた熱可塑性ホットメルト接着剤からなる防水性フィルムを備えており、前記密封工程(103)は、防水性密封部を形成するために、前記下縁(13a)と前記補助ガスケット(26)とをまたぐような前記防水性フィルムの接着を含んでいることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項29】
前記第2ガスケット(19)は、熱可塑性ホットメルト接着剤からなる防水性フィルムを備えてなり、前記密封工程(103)は、防水性密封部を形成するために、前記下縁(13a)と前記第1ガスケット(16)の前記周縁(16a)とをまたぐような前記防水性フィルムの接着を含んでいることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項30】
前記組付工程(104)は、前記第2ガスケット(19)へ防水性密封部を形成するために、接着による前記底革(20)の前記甲革組付体(11)への接合を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記組付工程(104)は、前記第2ガスケット(19)へ前記底革(20)の防水性密封をもたらすために、前記底革(20)の少なくとも1つの構成要素を前記甲革組付体(11)の上にオーバーモールドすることを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【図1】
【図1a】
【図1b】
【図1c】
【図2】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図4a】
【図5】
【図5a】
【図6】
【図6a】
【図1a】
【図1b】
【図1c】
【図2】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図4a】
【図5】
【図5a】
【図6】
【図6a】
【公表番号】特表2012−523256(P2012−523256A)
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−503943(P2012−503943)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【国際出願番号】PCT/EP2010/053225
【国際公開番号】WO2010/115679
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(502346105)ジェオックス エス.ピー.エー. (27)
【氏名又は名称原語表記】GEOX S.p.A.
【住所又は居所原語表記】Via Feltrina Centro 16,31044 MONTEBELLUNA(Treviso),Localita Biadene,ITALY
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【国際出願番号】PCT/EP2010/053225
【国際公開番号】WO2010/115679
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(502346105)ジェオックス エス.ピー.エー. (27)
【氏名又は名称原語表記】GEOX S.p.A.
【住所又は居所原語表記】Via Feltrina Centro 16,31044 MONTEBELLUNA(Treviso),Localita Biadene,ITALY
【Fターム(参考)】
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