説明

防水機能を備えたカメラ

【課題】 防水機能を低下させることなく、防水に関連する製造工程を減らす。
【解決手段】 マイク26、スピーカー28を覆う防水シート20を、ゴム22を介して筐体10Hの内部に設ける。そして、マイク26とスピーカー28とをカメラ上面10Uの傍に隣接して配置し、防水シート20を1枚のシートによって構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラの防水機構に関し、特に、マイク、スピーカーを備えたカメラの防水機構に関する。
【背景技術】
【0002】
防水機能を備えたカメラでは、基板回路等の搭載されたカメラ内部へ水等の液体が浸入するのを防ぐため、Oリングなどのパッキングがカメラ筐体の蓋周り、あるいはレリーズボタン周りに詰められる。一方、スピーカーやマイクを備えたカメラの場合、カメラ外部と内部との間で音(空気の振動)を伝達できるように、ゴアテックス(登録商標)などの透湿シートが使用される。マイク、スピーカーはそれぞれ離れて設置されており、例えばスピーカーがカメラ背面側、マイクがカメラ上面側に設けられる(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−294919号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
マイクとスピーカーの位置が離れていたため、それぞれ別々に防水シートを貼らなければならず、シートを貼り付ける作業および液漏れの有無を確認する検査に時間がかかり、製造工程が煩雑となる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のカメラは、防水機能を備えたカメラであるとともに、録音および音の再生が可能なカメラである。カメラの筐体には、マイク用貫通孔とスピーカー用貫通孔とが形成されており、マイクがマイク用貫通孔の形成位置に合わせて筐体内部に配置され、スピーカーがスピーカー用貫通孔の形成位置に合わせて筐体内部に配置される。また、マイクおよびスピーカーを防水するため、マイクとスピーカーとを覆い、空気の振動を伝達可能な防水シートが設けられている。例えば防水シートは、空気を通過させる一方で液体を遮断する透湿シートによって構成される。水滴を防ぐだけであれば、メッシュ状シートあるいはシールによって防水シートを構成してもよい。
【0005】
本発明のカメラでは、マイクとスピーカーとが互いに近接した状態で筐体内部に配置される。そして、防水シートが1枚のシートによって構成されている。同質の防水処理を施す必要があるマイク、スピーカーに対して1枚のシートを覆うため、より防水機能が高まる。なお、ここでの「近接した状態」とは防水シートを1枚で構成できるようなマイクとスピーカーとの距離を意味し、筐体内部に多数存在する部材、および基板の配置に邪魔にならず1枚のシートで構成できるような距離であればよい。
【0006】
コンパクトカメラなどサイズの小型化が要求されるカメラの場合、防水シートのサイズをできるだけ抑えるため、マイク用貫通孔とスピーカー用貫通孔とがカメラの同一面上に形成するのがよい。特にカメラの厚さを抑える場合、カメラ上面にマイク用、スピーカー用貫通孔を設けるのがよい。
【0007】
録音する音質のレベル、あるいは再生される音のレベルを低下させないため、マイクの集音部およびスピーカーの出力部(空気の振動と電気信号との変換部)と防水シートとの間に内部空間を形成するように、防水シート用支持部材を設けるのがよい。例えば支持部材はゴムによって成形される。
【0008】
本発明のカメラの防水機構は、筐体と、筐体に形成されたマイク用孔の形成位置に合わせて筐体内部に配置されるマイクと、筐体に形成されたスピーカー用孔の形成位置に合わせて筐体内部に配置されるスピーカーとを覆い、空気の振動を伝達可能な防水シートとを備える。そして、マイクとスピーカーとが互いに近接した状態で筐体内部に配置され、防水シートが1枚のシートによって構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上のように本発明によれば、防水機能を低下させることなく、防水に関連する製造工程を減らすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下では、図面を参照して、本発明の実施形態であるカメラについて説明する。
【0011】
図1は、上から見たカメラの平面図である。
【0012】
カメラ10は、防水機能を備えたデジタルカメラであり、さらに、撮影時において音声等を録音し、録音した音等を再生することも可能である。カメラ前面10Fに取付けられたリング12の位置に合わせて屈曲光学レンズユニットがカメラ内部に搭載されている。カメラ上面10Uには、電源ボタン14、レリーズボタン16とともに、マイク用の孔13と、スピーカー用の孔11が形成される。カメラ背面10Bには、液晶モニタ(図示せず)などが設けられている。
【0013】
図2は、図1のラインI−I’に沿ったカメラ10の断面図である。ここでは、カメラ上面10U付近の一部断面のみ示す。
【0014】
カメラ10の筐体10H内部には、録音用のマイク26と、音再生用のスピーカー28とが設けられており、マイク26とスピーカー28は保持部27によって固定されている。マイク26は、マイク用の孔13の形成位置に合わせて配置され、スピーカー28はスピーカー用の孔11の形成位置に合わせて配置されている。マイク26とスピーカー28は隣接し、マイク26の集音部およびスピーカー28の音の出力部はカメラ上面10Uの方向を向いている。
【0015】
カメラ10の筐体10Hとマイク26、スピーカー28との間には、防水シート20、およびゴム22が設けられており、防水シート20は、保持部27あるいはマイク26、スピーカー28の一部に搭載されたゴム22によって支持されている。防水シート20は、音(空気の振動)をカメラ外部からマイク26側へ、あるいはスピーカー28からカメラ外部側へ伝達可能である一方、マイク26、スピーカー28への液漏れを防ぐ性質を有する。防水シート20は、ここではゴアテックスなどの透湿シートによって構成されており、また、1枚の矩形状シートにより構成されている。
【0016】
ゴム22は上から見て8の字状に形成されており、径が相対的に小さい円筒状の内部空間34と、径が相対的に大きい円筒状の内部空間38が、防水シート20とマイク26、スピーカー28との間に形成される。内部空間34、38の径の大きさは、それぞれマイク26の集音部のサイズ、およびスピーカー28の出力部のサイズに従って定められている。
【0017】
防水シート20の周囲には、粘着用接着剤24が塗り付けられ、保持部27からカメラ上面10Uに沿って延びる支持板35、37と防水シート20との間に隙間無く埋められている。これにより、防水シート20が強固に固定され、外部からの浸水等を防ぐ。
【0018】
防水シート20と筐体10Hとの間には、マイク用の孔13とスピーカー用の孔11の位置に合わせて内部空間32、36が形成されている。これにより、音を収録する場合、マイク用の孔13、内部空間32、34を介して、空気の振動(音)がマイク26に伝わり、録音される。一方、記録された音等を再生する場合、内部空間38、36、スピーカー用の孔11を介して空気の振動(音)がカメラ外部へ伝達される。なお、マイク、スピーカー用の処理回路は図示されていないが、従来の処理回路と同様の回路がカメラ内部に設けられている。ただし、防水シート20が配置されていることから、入力値のインプットレベルを上げて音を収録している。
【0019】
また、カード挿入口(図示せず)周りの防水に関しては、Oリングなどのパッキングが潰れた状態で配置されており、レリーズボタン16周りには、ゴムシートを介してパッキングが潰れた状態で配置されている。
【0020】
以上のように本実施形態によれば、マイク26、スピーカー28を覆う防水シート20がゴム22を介して筐体10Hの内部に設けられている。そして、マイク26とスピーカー28とがカメラ上面10Uの傍に隣接して配置され、防水シート20が1枚のシートによって構成される。
【0021】
ゴアテックスなどのような透湿シートの代わりに、メッシュ状シートを使用してもよい。マイク26と、スピーカー28とをカメラ背面、あるいはカメラ側面などに設置してもよい。また、マイク26とスピーカー28は防水シート20が1枚で構成できるような距離にあればよい。また、防水カメラでなく、通常のカメラにマイク、スピーカー部分に防水機構を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】上から見たカメラの平面図である。
【図2】図1のラインI−I’に沿ったカメラの断面図である。
【符号の説明】
【0023】
10 カメラ
10H カメラ筐体
10U カメラ上面
11 スピーカー用の孔(スピーカー用貫通孔)
13 マイク用の孔(マイク用貫通孔)
20 防水シート
22 ゴム(支持部材)
24 接着剤
26 マイク
27 保持部
28 スピーカー
32、34、36、38 内部空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイク用貫通孔とスピーカー用貫通孔とが形成された筐体と、
前記マイク用貫通孔の形成位置に合わせて前記筐体内部に配置されるマイクと、
前記スピーカー用貫通孔の形成位置に合わせて前記筐体内部に配置されるスピーカーと、
前記マイクと前記スピーカーとを覆い、空気の振動を伝達可能な防水シートとを備え、
前記マイクと前記スピーカーとが互いに近接した状態で前記筐体内部に配置され、
前記防水シートが1枚のシートによって構成されていることを特徴とするカメラ。
【請求項2】
前記マイク用貫通孔と前記スピーカー用貫通孔とがカメラの同一面上に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項3】
前記マイク用貫通孔と前記スピーカー用貫通孔とがカメラ上面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項4】
前記防水シートと前記マイクおよび前記スピーカーとの間に介在し、前記マイクの集音部および前記スピーカーの出力部と前記防水シートとの間に空間を形成するように、前記防水シートを支持する支持部材をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項5】
防水シートが、透湿シートを有することを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項6】
筐体と、
前記筐体に形成されたマイク用孔の形成位置に合わせて前記筐体内部に配置されるマイクと、前記筐体に形成されたスピーカー用孔の形成位置に合わせて前記筐体内部に配置されるスピーカーとを覆い、空気の振動を伝達可能な防水シートとを備え、
前記マイクと前記スピーカーとが互いに近接した状態で前記筐体内部に配置され、
前記防水シートが1枚のシートによって構成されていることを特徴とするカメラの防水機構。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−186738(P2006−186738A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−378998(P2004−378998)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【Fターム(参考)】