説明

防水機能確認構造、防水機能確認方法及びそれを用いた携帯電子機器

【課題】 頻繁な開閉操作と端子等へのケーブルの着脱操作が行われるカバー部における防水機能の状態を確認する。
【解決手段】 防水機能確認構造は、開閉カバーを有するカバー部の筐体内側外周を囲むように重ねて配置した、それぞれが弾性材料で形成され、開閉カバーを閉じると圧縮変形する、外周に導電部を有する箇所と導電部を有しない箇所を備えた二つの環状の止水機構と、開閉カバーを閉じると、重ねて配置した二つの止水機構のそれぞれの導電部の共通箇所に基準電位を供給し、二つの止水機構の導電部を介して出現する電気的特性に基づいてカバー部の防水機能の状態を確認する防水機能確認手段とを備え、二つの止水機構を重ねて配置したときに、二つの止水機構のそれぞれの導電部を有しない箇所が相互に重ならない位置に配される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水機能確認構造、防水機能確認方法及びそれを用いた携帯電子機器に関し、特に、携帯電子機器の各種カバー部の防水機能の状態を確認する構造、方法及びそれを用いた携帯電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電子機器はその利用形態から防水機能を備えることがユーザーから強く望まれ、例えば、防水機能を持った携帯電話機の普及が進んでいる。
【0003】
電子機器の防水構造の例として、特許文献1(特開平6−152445号公報)が開示する技術がある。特許文献1が開示する防水構造は、電子機器のメインケースとそれを覆う上蓋の衝合部に環状の溝を設け、その溝にシリコンゴム材で環状に成形されたO(オー)リングを配置し、上蓋でOリングを圧縮して密閉性を保持する構造となっている。
【0004】
また、防水機能が維持されていることを確認する技術もある。
【0005】
特許文献2(特開2010−011241号公報)は、防水機能が維持されているか否かを確認できる携帯電子機器を開示する。特許文献2が開示する携帯電子機器は、機器筐体を構成するフロントケースの内側、リアケースの内側及び接合領域に配置されるパッキンにそれぞれ金属蒸着を施し、その導通状態で防水機能の維持を確認している。つまり、機器筐体の密封接合状態を、フロントケース、パッキン及びリアケースのすべての金属蒸着部を介した電気的な導通状態で確認する。そして、その電気的な導通があれば防水機能が維持されていると判断する。
【0006】
さらに、携帯電子機器に加わる損傷からメモリに蓄積されたデータの破損を防ぐ技術が、特許文献3(特開2001−331281号公報)や特許文献4(国際公開WO2006/028030号公報)に開示されている。これらの特許文献によれば、携帯電子機器に差し迫った損傷事象、例えば落下、熱又は水等による損傷が検出されると、当該機器のメモリに蓄積されているデータは無線通信リンクを介してバックアップサーバに伝送される。
なお、ここで携帯電子機器と称する機器としては、携帯電話機、ノート型パソコン、PHS(Personal Handy-phone System)、PDA(Personal Digital Assistance)及び電子辞書等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−152445号公報
【特許文献2】特開2010−011241号公報
【特許文献3】特開2001−331281号公報
【特許文献4】国際公開WO2006/028030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1や特許文献2が開示する技術は、機器筐体を密封接合するものであり、頻繁に開閉することを想定した箇所での防水機能に係るものではない。
【0009】
携帯電子機器に必要とされる防水機能は、本体筐体に施される防水機能のみではない。携帯電子機器には各種のカバー部が配備されている。携帯電話機を例にとれば、充電部の端子カバー、データ通信用のUSB(Universal Serial Bus)端子カバー、メモリーカード装着部のカバー、平型ヘッドセットジャック用の端子カバー及び電池収納部のカバーなどがある。そして、それらのカバー部の全てに対して防水機能を必要とする。
【0010】
このようなカバー部における防水機能の課題は、頻繁に開閉が行われ、端子等にケーブルを着脱する操作に伴い、止水機構(パッキン、Oリングなど)を容易に損傷させてしまう恐れがあるということである。そして、そのような損傷を放置したまま使い続けることは、損傷箇所からの漏水により電子機器そのものを損傷させてしまうという課題につながる。
【0011】
本発明の目的は、上記の課題を解決して、頻繁な開閉操作と端子等へのケーブルの着脱操作が行われるカバー部においても確実に防水の効果があり、その防水機能の状態を確認することができる構造、方法及びそれを用いた携帯電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を実現するために、本発明における防水機能確認構造は、開閉カバーを有するカバー部の筐体内側外周を囲むように重ねて配置した、それぞれが弾性材料で形成され、前記開閉カバーを閉じると圧縮変形する、外周に導電部を有する箇所と導電部を有しない箇所を備えた二つの環状の止水機構と、前記開閉カバーを閉じると、重ねて配置した二つの前記止水機構のそれぞれの前記導電部の共通箇所に基準電位を供給し、二つの前記止水機構の前記導電部を介して出現する電気的特性に基づいて前記カバー部の防水機能の状態を確認する防水機能確認手段とを備え、二つの前記止水機構を重ねて配置したときに、二つの前記止水機構のそれぞれの前記導電部を有しない箇所が相互に重ならない位置に配されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の防水機能確認方法は、それぞれが弾性材料で形成され、開閉カバーを閉じると圧縮変形する、外周に導電部を有する箇所と導電部を有しない箇所を備えた二つの環状の止水機構を、前記開閉カバーを有するカバー部の筐体内側外周を囲むように重ねて、かつ、二つの前記止水機構のそれぞれの前記導電部を有しない箇所が相互に重ならない位置に配されるように配置し、前記開閉カバーを閉じると、重ねて配置した二つの前記止水機構のそれぞれの前記導電部の共通箇所に基準電位を供給し、二つの前記止水機構の前記導電部を介して出現する電気的特性に基づいて前記カバー部の防水機能の状態を確認することを特徴とする。
【0014】
また、本発明における携帯電子機器は、開閉カバーを有するカバー部を少なくとも一つ備えた携帯電子機器であって、上記記載の防水機能確認構造と、前記防水機能確認構造が確認した前記カバー部の防水機能の状態を、前記カバー部を特定する識別情報とともに表示する表示手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、開閉操作と端子等へのケーブルの着脱操作が頻繁に行われる携帯電子機器の各種カバー部においても確実に防水機能を施し、その防水機能の状態を確認することができるという目的を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】携帯電話機の形状例を示す斜視図である。
【図2】図1のカバー部100の上面図と、カバー部100をα-α’で切断したときの切断面を示す断面図である。
【図3】本発明の基本実施形態による防水機能確認構造を説明する模式図である。
【図4】本発明の基本実施形態による防水機能確認方法を説明するフローチャートである。
【図5】本発明の基本実施形態による携帯電子機器の構成を示すブロック構成図である。
【図6】本発明の実施形態によるOリングの構成例を説明する図である。
【図7】本発明の第1の実施形態による防水機能確認構造を説明する模式図である。
【図8】図2のカバー部断面図における防水機能確認構造を説明する図である。
【図9】本発明の実施形態による携帯電子機器の構成を示すブロック構成図である。
【図10】本発明の実施形態によるOリングの破損パターンを説明する図である。
【図11】本発明の第1の実施形態による防水機能確認構造によりOリングの破損パターンの検出を説明する図である。
【図12】本発明の第2の実施形態による防水機能確認構造を説明する模式図である。
【図13】本発明の第2の実施形態による防水機能確認構造を説明する機能図である。
【図14】電池収納部のカバー部断面図における防水機能確認構造を説明する図である。
【図15】本発明の実施形態による携帯電子機器の防水機能確認動作における初期確認動作を説明するフローチャートである。
【図16】本発明の実施形態による携帯電子機器の防水機能確認動作における状態変化検出時の動作を説明するフローチャートである。
【図17】本発明の実施形態による携帯電子機器の防水機能確認動作におけるカバー部の開検出時動作を説明するフローチャートである。
【図18】本発明の実施形態による携帯電子機器の防水機能確認動作におけるカバー部の閉検出時動作を説明するフローチャートである。
【図19】本発明の実施形態による携帯電子機器の防水機能確認動作における異常処理動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本発明に係る携帯電子機器の実施形態の一つとしての携帯電話機の形状例を示す斜視図である。図1(1)は棒状タイプ又はバータイプ、図1(2)は折畳タイプ、そして図1(3)はスライドタイプとよばれている形状である。
【0019】
いずれのタイプの携帯電話機においても、参照符号100で示すカバー部を少なくとも一つ備えている。このカバー部100は、例えば、充電部の端子カバー、データ通信用のUSB端子カバー、メモリーカード装着部のカバー、平型ヘッドセットジャック用の端子カバー等が該当する。また、電池収納部のカバーは通常、筐体の裏面に配置されている。
【0020】
図2は、図1のカバー部100の上面図と、カバー部100をα-α’で切断したときの切断面を矢印β方向から見たときの断面図である。
【0021】
つまり、図2(1)は、図1に例示した携帯電話機の筐体を横から見たときのカバー部100の上面図であり、カバー110を開いた状態の例を示している。この図では、カバー部100の止水機構となるOリング120、カバー部の中に存在する端子部200が示されている。Oリング120はシリコンラバー等の弾性のある材質でできている。端子部200は、このカバー部100の種類に応じて、充電端子、USB端子、メモリーカード装着端子又は平型ヘッドセットジャック接続端子となる。以降の説明では、この端子部200をIO(Input/Output)端子200と称する。
【0022】
カバー部100を閉じるときは、図2(1)の矢印で示すように、カバー110でカバー部100を覆ってから押し込む。これにより、カバー110の突起部が弾性のあるOリング120を押し上げ圧縮することにより、このカバー部100の防水機能が働く。
【0023】
図2(2)の断面図において、参照符号410、420は、それぞれ携帯電話機の筐体を構成するフロントケースとリアケースを示し、参照符号300は、プリント基板を示す。プリント基板300には、IO端子200と参照符号310で代表する各種の電子部品が搭載されている。また、カバー部100の参照符号110、120は、図2(1)と同じでカバー110とOリング120を示す。カバー110の突起部がOリング120を押し上げ圧縮してこのカバー部100の防水機能が働く様子を示している。このように、止水機構となるOリング120は、後述するように、二つのOリングがカバー部の筐体内側外周を囲むように重ねて配置されている。
【0024】
このように構成されたカバー部100を、ユーザーはそれぞれの目的のために使用する。例えば、充電端子カバーを開け、充電端子ケーブルを挿入・接続し、充電終了により充電端子ケーブルを引き抜き、充電端子カバーを閉じる、という操作が充電を行う度に繰り返される。
【0025】
そのため、このようなカバー部100においては、止水機構となるOリング120の損傷が顕著となる。つまり、繰り返し行われる開閉操作にともなうカバー110の突起部との摩擦よるOリング120の劣化、各種端子をIO端子200に挿抜する際に、その端子が接触することによるOリング120の損傷がその主な原因である。
【0026】
本発明の基本実施形態について図3乃至5を参照して説明する。
【0027】
図3は、本発明の基本実施形態による防水機能確認構造を説明する模式図である。
【0028】
本実施形態における防水機能確認構造は、二つの環状の止水機構121、122と開閉カバーを有するカバー部100の防水機能の状態を確認する防水機能確認手段350とを備える。
【0029】
二つの環状の止水機構121、122は、図2で説明したように、それぞれが弾性材料で形成され、カバー部の筐体内側外周を囲むように重ねて配置され、開閉カバーを閉じると圧縮変形する。止水機構121、122のそれぞれは、外周に導電部を有する箇所(図3の外周の点線部)と導電部を有しない箇所(図3の外周の点線のない箇所)を備え、二つを重ねて配置したときに、それぞれの導電部を有しない箇所が相互に重ならない位置に配される。なお、図3では、便宜上、それぞれの止水機構121、122をずらして示している。
【0030】
防水機能確認手段350は、開閉カバーを閉じると、重ねて配置した二つの止水機構121、122のそれぞれの導電部の共通箇所に基準電位を供給する。そして、防水機能確認手段350は、二つの止水機構121、122の導電部を介して出現する電気的特性に基づいてカバー部100の防水機能の状態を確認する。
【0031】
図4は、本発明の基本実施形態による防水機能確認方法を説明するフローチャートである。
【0032】
本実施形態における防水機能確認方法は、それぞれが弾性材料で形成され、開閉カバーを閉じると圧縮変形する、外周に導電部を有する箇所と導電部を有しない箇所を備えた二つの環状の止水機構を用いる。その二つの環状の止水機構を、開閉カバーを有するカバー部の筐体内側外周を囲むように重ねて、かつ、二つの止水機構のそれぞれの導電部を有しない箇所が相互に重ならない位置に配されるように配置する(S401)。開閉カバーを閉じると、重ねて配置した二つの止水機構のそれぞれの導電部の共通箇所に基準電位を供給する(S402)。そして、二つの止水機構の導電部を介して出現する電気的特性に基づいてカバー部の防水機能の状態を確認する(S403)。
【0033】
図5は、本発明の基本実施形態による携帯電子機器の構成を示すブロック構成図である。
【0034】
本実施形態における携帯電子機器10は、開閉カバーを有するカバー部100を少なくとも一つ備えた携帯電子機器である。この携帯電子機器は、上記記載の防水機能確認構造20と、その防水機能確認構造20が確認したカバー部100の防水機能の状態を、カバー部を特定する識別情報とともに表示する表示手段30とを備える。表示手段300は、液晶表示に代表される表示手段であって、ユーザに対して当該機器の動作状況等を表示する部分である。
【0035】
このように、本発明の基本実施形態による防水機能確認構造及び防水機能確認方法は、頻繁な開閉操作と端子等へのケーブルの着脱操作が行われるカバー部においても確実に防水の効果がある。それは、防水機能確認構造が、それぞれが弾性材料で形成され、カバー部の筐体内側外周を囲むように重ねて配置され、開閉カバーを閉じると圧縮変形する二つの止水機構を備えるからである。また、防水機能確認方法が、それぞれが弾性材料で形成され、開閉カバーを閉じると圧縮変形する、二つの環状の止水機構を、その開閉カバーを有するカバー部の筐体内側外周を囲むように重ねて配置するからである。
【0036】
また、本発明の基本実施形態による防水機能確認構造及び防水機能確認方法は、頻繁な開閉操作と端子等へのケーブルの着脱操作が行われるカバー部の防水機能の状態を確認することができる。
【0037】
止水機構が損傷すると、それにともない外周の導電部が損傷する。そのため、二つの止水機構のそれぞれの導電部の共通箇所に、開閉カバーを閉じると供給される基準電位が、その損傷箇所で断たれることになる。そのため、止水機構が損傷すると二つの止水機構の導電部を介して出現する電気的特性が正常状態と異なる値を示す。つまり、電気的特性に基づいてカバー部の防水機能の状態が確認されることになる。また、二つの止水機構のそれぞれの導電部を有しない箇所を相互に重ならない位置に配されるように配置することにより、カバー部の全周にわたって防水機能の状態を確認することができる。
【0038】
また、本発明の基本実施形態による携帯電子機器は、開閉カバーを有するカバー部が複数備えられていたとしても、それぞれのカバー部の防水機能の状態を、カバー部を特定して表示手段に表示することができる。そのため、ユーザは、カバー部の閉じ忘れを含む防水機能の状態を、カバー部毎に認識することができる。
【0039】
以下に、さらに本発明の実施形態について具体的に説明する。
【0040】
まず、本発明の実施形態で使用する止水機構であるOリングについて説明する。
【0041】
図6は、本発明の実施形態によるOリングの構成例を説明する図である。
【0042】
本発明の実施形態では、一箇所のカバー部100の止水機構として二つのOリングを用いる。そして、それぞれのOリングの外周には導電性のある金属が蒸着されており、以下のような特徴をもって構成される。
【0043】
図6(1)は、それぞれのOリング121とOリング122にどのように金属が蒸着されているのかを示している。図中において、各Oリングの外周に付した点線が金属蒸着を施した箇所であることを示している。そして、各Oリングは、全周に金属蒸着が施されること無く、一部の箇所に金属蒸着を施さない部分を設ける。図6(1)において、Oリング121においては、端Aと端A’が、そしてOリング122においては、端Bと端B’がそれぞれ金属蒸着を施したエリアと金属蒸着を施していないエリアとの境界を示す。
【0044】
Oリング120は、図6(2)に示すように、これらのOリング121とOリング122を並べて使用するものである。
【0045】
このときに二つの条件がある。
【0046】
第1の条件は、金属蒸着を施していないエリアが重ならないようにOリング121とOリング122を並べる。例えば、図6(1)では、Oリング121の金属蒸着を施していないエリアと、Oリング122の金属蒸着を施していないエリアとが180度ずれた状態で並べられた様子を示している。それぞれのOリングの金属蒸着を施していないエリアが重ならない限りにおいては、二つのOリングの配置に制限はない。
【0047】
第2の条件は、二つのOリングを並べたときに、それぞれのOリングの金属蒸着面が相手側に接触しないように金属蒸着が施されていることである。なお、図6(2)に示す「C」は、二つのOリングが共通に基準電位に接続される箇所を示す。
【0048】
これらの条件は、後述するように、Oリングを用いて破損箇所を検出するための電気的な回路を構成することから必要とされるものである。
【0049】
例えば、カバー部の防水機能確認構造は、そのカバー部を囲む全周における止水機構の状態を確認する構造であることが必要である。そのため、第1の条件は、金属蒸着を施していないエリアが重ならないようにOリング121とOリング122を並べることにより、カバー部を囲む全周における止水機構の状態を確認することができる。つまり、片方のOリングの金属蒸着を施していないエリアは、他方のOリングの金属蒸着を施したエリアにより止水機構の状態が確認されることになる。
【0050】
また、第2の条件は、それぞれのOリングで形成される電気的な回路が独立した状態を保つために必要な条件である。従って、Oリングに金属蒸着を施した後に、二つのOリングが共通の基準電位に接続される箇所を除いて絶縁皮膜でコーティングしてもよい。また、その絶縁皮膜のコーティングはOリングの表面すべてを覆うことなく、二つのOリングを並べたときに、相互に重なる面にのみ絶縁皮膜コーティングを施したものであってもよい。
【0051】
以上のように構成された二つのOリングを用いた止水機構におけるOリングの劣化や損傷を検出する防水機能確認構造について図7乃至13を参照して説明する。
【0052】
図7は、本発明の第1の実施形態による防水機能確認構造を説明する模式図である。
【0053】
二つのOリング121、122は、参照符号320、321、322で示される接触ピンと参照符号411、412、421で示される接続用金属蒸着部を介してプリント基板300と電気的に接続される。そして、二つのOリング121、122は、抵抗R1乃至R5、電源IC(Integrated Circuit)及びCPU(Central Processing Unit)で構成されている検出回路に接続される。なお、接触ピン322は基準電位としての地気に接続されており、図示しないカバーを閉じた状態で二つのOリング121、122は、接続用金属蒸着部421により、「C」の箇所で共通に地気接続される。また、図示しないカバーを開くとこの基準電位としての地気接続は断となる。なお、以降の説明においては基準電位を地気として説明する。
【0054】
また、図8は、図2のカバー部断面図における防水機能確認構造を説明する図である。図8に付した参照符号の数字は、図7に付した参照符号の数字に対応している。
【0055】
つまり、参照符号411は、片側がOリング121の端Aと端A’とそれぞれ接触し、他の片側が接触ピン320とそれぞれ接触する接続用金属蒸着部を示す。この接続用金属蒸着部411は、携帯電話機の筐体を構成するフロントケース410の内面側の表面に金属蒸着された2本の導電部である。
【0056】
また、参照符号412は、片側がOリング122の端Bと端B’とそれぞれ接触し、他の片側が接触ピン321とそれぞれ接触する接続用金属蒸着部を示す。この接続用金属蒸着部412は、携帯電話機の筐体を構成するフロントケース410の内面側の表面に金属蒸着された2本の導電部である。
【0057】
参照符号421は、片側が地気接触ピン322と接触する接続用金属蒸着部を示す。この接続用金属蒸着部421は、携帯電話機の筐体を構成するリアケース420の内面側の表面に金属蒸着された1本の導電部で、カバー110を閉じた状態にすると二つのOリングが「C」の箇所で共通に地気接続され、カバー110を開いた状態にするとその地気接続が断となる。
【0058】
図9は、本発明の実施形態による携帯電子機器の構成を示すブロック構成図である。この携帯電子機器には、図7、図8で説明した防水機能確認構造901が組み込まれている。
【0059】
本発明の実施形態による携帯電子機器は、防水機能確認構造901、検出回路を構成するCPU902、ADC(Analogue to Digital Converter)903、電源IC904を主要構成とする。なお、ADC903は、CPU902が有する回路構成要素の一つである。そして、検出した異常状態をユーザーに通知するための表示部905を備える。さらに、後述するが、メモリー909の内容を外部に退避させるための構成としてベースバンドIC906、RF(Radio Frequency)IC907、アンテナ908、電源IC910を含む。つまり、アンテナ908を介して外部と通信するために、ベースバンドIC906はベースバンド信号を処理し、RFIC907は無線周波数信号を処理する。また、電池パック911は、当該携帯電子機器に必要な電源を供給する。
【0060】
なお、図9には、防水機能確認構造901が一つしか示されていないが、当該携帯電子機器が備える全てのカバー部に対して、同様の構成の防水機能確認構造が具備されている。つまり、充電端子部、USB端子部、メモリーカード装着部、平型ヘッドセットジャック用端子部及び電池収納部の全てのカバー部に対応した防水機能確認構造を備える。
【0061】
そして、CPU902は、ADC903の構成に応じて、検出回路の収容位置に基づいて対応するカバー部を特定するようにしてもよいし、防水機能確認構造を構成する後述する抵抗値の違いに基づいて、対応するカバー部を特定するようにしてもよい。
【0062】
図10は、本発明の実施形態によるOリングの破損パターンを説明する図である。実線で示す円はOリング121を、そして点線で示す円はOリング122をそれぞれ示している。それぞれのOリングは図6(2)に示すように並んで配置されるが、図10では、便宜上、外側の円と内側の円でそれぞれを示す。
【0063】
図10(1)は、破損パターン1を示し、これは、Oリング122の端Bと端B’の間でOリング121のみが破損した場合である。図10(2)は、破損パターン2を示し、これは、地気接点に近い箇所でOリング121とOリング122の両方が破損した場合である。図10(3)は、破損パターン3を示し、これは、地気接点から遠い箇所でOリング121とOリング122の両方が破損した場合である。そして、図10(4)は、破損パターン4を示し、これは、Oリング121の端Aと端A’の間でOリング122のみが破損した場合である。
【0064】
Oリングが破損するということは、その表面の金属蒸着膜が破損することを意味し、その箇所での電気的な導通がなくなる。
【0065】
そのため、二つのOリングで構成される図7及び図8を参照して説明した防水機能確認構造は、Oリングの破損状況に応じて異なる電気的特性を出力する。そして、図9を参照して説明した携帯電子機器の構成に示される防水機能確認構造901として組み込まれ、その電気的特性の変化がADC903で検出される。
【0066】
図11は、本発明の第1の実施形態による防水機能確認構造によりOリングの破損パターンの検出を説明する図である。
【0067】
まず、カバーが開いている状態(状態1)では、前述したように、二つのOリングのC点に地気が接続されない構造になっている。そのため、端A、A’、B、B’の全てにおいて高インピーダンス状態(「Z」で表示)となる。従って、ADC903は抵抗R5を介した電源電圧Vを検出する。
【0068】
カバーを閉じることにより、前述したように、二つのOリングのC点に地気が接続される構造になっている。そして、二つのOリングがともに正常(状態2)であれば、端A、A’、B、B’の全ての電位が地気(「L」で表示)となる。そして、ADC903は、電源電圧Vを抵抗R1、R2、R3、R4の並列合成抵抗Rx1と抵抗R5の比で分圧した電位を検出する。つまり、検出電位=V×Rx1/(R5+Rx1)となる。
【0069】
カバーを閉じた状態でそれぞれの破損パターン1〜4が生じた場合は下記のとおりである。
【0070】
破損パターン1(状態3)では、C点と端Aの間で破損が生じる。そのため、端Aには地気が接続されないので端Aは高インピーダンス状態となる。その他の端A’、B、B’の電位は地気(L)となる。そして、ADC903は、電源電圧Vを抵抗R2、R3、R4の並列合成抵抗Rx2と抵抗R5の比で分圧した電位を検出する。つまり、検出電位=V×Rx2/(R5+Rx2)となる。
【0071】
破損パターン2(状態4)では、C点と端A’及びC点と端Bの間で破損が生じる。そのため、端A’と端Bには地気が接続されないので端A’と端Bは高インピーダンス状態(Z)となる。その他の端A、B’の電位は地気(L)となる。そして、ADC903は、電源電圧Vを抵抗R1とR4の並列合成抵抗Rx3と抵抗R5の比で分圧した電位を検出する。つまり、検出電位=V×Rx3/(R5+Rx3)となる。
【0072】
破損パターン3(状態5)では、C点と端A及びC点と端Bの間で破損が生じる。そのため、端Aと端Bには地気が接続されないので端Aと端Bは高インピーダンス状態(Z)となる。その他の端A’、B’の電位は地気(L)となる。そして、ADC903は、電源電圧Vを抵抗R2とR4の並列合成抵抗Rx4と抵抗R5の比で分圧した電位を検出する。つまり、検出電位=V×Rx4/(R5+Rx4)となる。
【0073】
破損パターン4(状態6)では、C点と端Bの間で破損が生じる。そのため、端Bには地気が接続されないので端Bは高インピーダンス状態(Z)となる。その他の端A、A’、B’の電位は地気(L)となる。そして、ADC903は、電源電圧Vを抵抗R1、R2、R4の並列合成抵抗Rx5と抵抗R5の比で分圧した電位を検出する。つまり、検出電位=V×Rx4/(R5+Rx5)となる。
【0074】
以上に説明したように、本発明の第1の実施形態の防水機能確認構造において、ADC903は、カバー部の開閉状態及びカバー部の止水機構の破損状態に応じて、それぞれ異なる電位を検出する。従って、CPU902は、予め既知の抵抗R1〜R5の値及び電源電圧Vの値から、それぞれの状態を識別することができる。
【0075】
なお、第1の実施形態の防水機能確認構造が携帯電子機器に複数組み込まれる場合、CPU902が検出回路の収容位置に基づいて対応するカバー部を特定できるのであれば、全ての防水機能確認構造に対して同じ抵抗値のセットを用いてよい。
【0076】
また、ADC903での検出電位の違いにより防水機能確認構造を識別する構成にする場合は、それぞれの防水機能確認構造に対して異なる抵抗値のセットを用いる。この場合、CPU902は、それぞれの防水機能確認構造に対応する開、閉及び各破損パターンのそれぞれの状態における検出電位の値を予め記憶しておく必要がある。
【0077】
以上に説明したように、第1の実施形態の防水機能確認構造は、開閉操作やIO端子部への着脱操作が頻繁に行われるカバー部における防水機能の劣化状況を、止水機構が有する導通を用いた電気回路により容易に確認することができる。また、止水機構として使用するOリングを二つ用いることにより、カバー部の全周囲を対象とした防水機能の劣化状況を確認することができる。
【0078】
次に、本発明の第2の実施形態による防水機能確認構造を説明する。
【0079】
図12は、本発明の第2の実施形態による防水機能確認構造を説明する模式図である。
【0080】
本実施形態において、防水機能確認構造は、第1の実施形態で使用した抵抗R1〜R4を用いない構造となっている。つまり、第2の実施形態の防水機能確認構造で使用するOリングは、金属蒸着を施す代わりに、炭素皮膜等の抵抗を有する材質を蒸着する。抵抗皮膜の蒸着部位やOリングの使用方法は、図6〜図11で説明した第1の実施形態と同じである。そして、この抵抗皮膜は単位長あたりの抵抗値が既知となっている。また、二つのOリングを並べたときに、それぞれのOリングの抵抗皮膜蒸着面が相手側に接触しないように、Oリングに抵抗皮膜蒸着を施した後に、絶縁皮膜でコーティングしてもよい。また、その絶縁皮膜のコーティングはOリングの表面すべてを覆うことなく、二つのOリングを並べたときに、相互に重なる面にのみ絶縁皮膜コーティングを施したものであってもよい。
【0081】
図12において、Oリング123とOリング124には抵抗皮膜が蒸着されている。図中において、各Oリングの外周に付した点線が抵抗皮膜の蒸着を施した箇所であることを示している。そして、各Oリングは、全周に抵抗皮膜の蒸着が施されること無く、一部の箇所に金属蒸着を施さない部分を設ける。Oリング123においては、端Dと端D’が、そしてOリング124においては、端Eと端E’がそれぞれ抵抗皮膜の蒸着を施したエリアと抵抗皮膜の蒸着を施していないエリアとの境界を示す。そして、二つのOリング123とOリング124は、図6(2)で示したように、並べて使用する。
【0082】
二つのOリング123、124は、携帯電話機の筐体を構成するフロントケース及びリアケースのそれぞれ内面側の表面に金属蒸着された接続用金属蒸着部と、プリント基板上に形成された接触ピンとを介して、プリント基板と電気的に接続される。そして、二つのOリング123、124は、電源のプルアップ抵抗R、電源IC及びCPUで構成されている検出回路に接続される。なお、二つのOリング123、124は、図示しないカバーが閉じた状態で、地気に接続された接続用金属蒸着部を介して、「C」の箇所で共通に地気接続される。また、図示しないカバーが開いた状態で、その地気が断となる。
【0083】
図13は、この第2の実施形態による防水機能確認構造を説明する機能図であり、図9に示す第1の実施形態における防水機能確認構造901に替わる機能を有する。
【0084】
機能原理は、図11を参照して説明した第1の実施形態における防水機能確認構造901と同じである。つまり、Oリングの破損箇所の部位に応じて、回路接続される抵抗値が異なり、それに応じた電位をADC903が検出することにより破損パターンを識別する。図10で示した破損パターンを例にとれば、破損パターン1の場合は抵抗R1’を除く回路構成になり、破損パターン2の場合は抵抗R2’、R3’を除く回路構成になる。そして、破損パターン3の場合は抵抗R1’、R3’を除く回路構成になり、破損パターン4の場合は抵抗R3’を除く回路構成になる。
【0085】
ただし、抵抗R1’〜R4’は、第1の実施形態の防水機能確認構造901のように固定した抵抗値の抵抗R1〜R4ではなく、Oリングの表面に蒸着した抵抗皮膜に基づく抵抗である。そのため、Oリングをカバー部に装着した際に決まる共通地気接続されるC点の場所に応じて、C点から端D、D’、E、E’のそれぞれまでの抵抗値が異なる。そのため、同じ破損パターンであっても、異なる抵抗値による回路が構成されることを考慮しておく必要がある。従って、第2の実施形態において、CPU902は、蒸着に使用する抵抗皮膜の材質や単位長あたりの抵抗値等との関係に基づいて、各破損パターンとそれに対応して検出される電位の許容範囲情報を、予め与えられているものとする。
【0086】
なお、ADC903での検出電位の違いにより複数の防水機能確認構造のそれぞれを識別する構成にする場合、CPU902は、それぞれの防水機能確認構造に対応する開、閉及び各破損パターンのそれぞれの状態における検出電位の値を予め記憶しておく必要がある。
【0087】
以上に説明したように、第2の実施形態の防水機能確認構造は、開閉操作やIO端子部への着脱操作が頻繁に行われるカバー部における防水機能の劣化状況を、止水機構が有する抵抗値を用いた電気回路により容易に確認することができる。また、止水機構として使用するOリングを二つ用いることにより、カバー部の全周囲を対象とした防水機能の劣化状況を確認することができる。
【0088】
次に、電池収納部のカバー部の防水機能確認構造を説明する。
【0089】
図14は、電池収納部のカバー部断面図における防水機能確認構造を説明する図である。電池収納部のカバー部は筐体の裏面側にある。従って、図14は、上が裏面側で下が表面側となっている。つまり、図14は、筐体を構成するリアケース420とフロントケース410で挟まれた筐体内部の電池収納部における断面図である。
【0090】
図14において、Oリング120は、電池収納部を閉じるカバー130の突起部で左右方向に圧縮することにより、電池収納部のカバー部の防水機能が働く。なお、Oリング120は、図6を参照して説明したのと同じ構成のOリング121とOリング122とで構成されているものとする。
【0091】
リアケース420には、3種類の接続用金属蒸着部が形成されている。接続用金属蒸着部422は2本の導電部で、片側がOリング121の端Aと端A’とそれぞれ接触し、他の片側がプリント基板上に形成されている接触ピン330とそれぞれ接触する。接続用金属蒸着部423は2本の導電部で、片側がOリング122の端Bと端B’とそれぞれ接触し、他の片側がプリント基板上に形成されている接触ピン331とそれぞれ接触する。そして、接続用金属蒸着部424は1本の導電部で、片側がC点においてOリング121とOリング122の両方に接触し、他の片側がプリント基板上に形成されている接触ピン332と接触する。接触ピン332は地気に接続されている。つまり、電池収納部のカバー130を閉じた状態にすると二つのOリングがC点の箇所で共通に地気接続される。また、カバー130を開いた状態にすると二つのOリングのC点の箇所での地気接続が断となる。
【0092】
このように構成された電池収納部のカバー部の防水機能確認構造も、機能的には図7、図9〜11を参照して説明したと同じ機能を果す。また、図12、13を参照して説明した第2の実施形態の防水機能確認構造であってもよい。
【0093】
続いて、以上に説明した防水機能確認構造を備えた携帯電子機器の防水機能確認動作について説明する。
【0094】
図15は、本発明の実施形態による携帯電子機器の防水機能確認動作における初期確認動作を説明するフローチャートである。
【0095】
本発明の実施形態による携帯電子機器は、本体電源の投入時又は防水機能確認試験を起動したときに、図15に示す初期確認動作を実行する。つまり、当該携帯電子機器が備えている全てのカバー部の防水機能の状態を順次確認してその結果を表示部に表示する。
【0096】
図15において、当該携帯電子機器が備えている全てのカバー部を順次特定するために、初期設定値として「1」を「n」に入れる(S1501)。「n」は、当該携帯電子機器が備えているカバー部を特定する識別番号である(以降、カバー部「n」と称する)。つまり、識別番号「1」のカバー部「1」が特定される。
【0097】
ADC903で検出されたカバー部「1」に対応する電位に基づき、カバー部「1」の状態が識別される(S1502)。
【0098】
前述したように、正常であれば、カバーが閉じられており、Oリングの破損もないので、ADC903は、電源電圧Vを抵抗R1、R2、R3、R4の並列合成抵抗Rx1と抵抗R5の比で分圧した電位を検出する(S1503、YES)。
【0099】
それ以外の電位を検出した場合は正常ではない(S1503、NO)として、そのときに検出した電位に対応する状態を、カバー部「n」に対応した異常情報として収集する(S1504)。そして、引き続き、次のカバー部の確認を行うためにn値をインクリメントして、カバー部「2」を特定する(S1505)。
【0100】
全てのカバー部の防水機能確認を実施したかどうかをチェックし、終了していなければ(S1506、NO)、上記のS1502〜S1505を繰り返す。
【0101】
全てのカバー部の防水機能確認が終了すると(S1506、YES)、S1504で収集した異常情報を表示部に表示してユーザーに通知する(S1507)。つまり、カバーの閉じ忘れ、Oリング破損の疑いがカバー部に対応して通知される。異常情報の収集がなければ正常である旨が表示される。
【0102】
以上が、本体電源の投入時又は防水機能確認試験を起動したときに実施される防水機能確認の初期確認動作である。
【0103】
続いて、通常の使用時に防水機能確認構造がカバー部における状態変化を検出した時の動作を説明する。
【0104】
図16は、本発明の実施形態による携帯電子機器の防水機能確認動作における状態変化検出時の動作を説明するフローチャートである。つまり、ユーザーが当該携帯電子機器を使用している状態において、ADC903がカバーの状態変化を検出した場合の動作である。なお、「通常の使用時」とは、ユーザーがアプリケーション等を使用しているか使用していないかには関係なく、少なくとも携帯電子機器の本体に電源が入っている状態を言う。
【0105】
また、ここで言う「状態変化」とは、次の三つの場合を想定している。
【0106】
第1の場合は、図15を参照して説明した初期確認動作の結果、全てのカバー部が正常であることを確認した以降の状態変化を想定する。つまり、全てのカバーが閉じられており、Oリングの破損も存在しない状態からの状態変化を検出した場合である。
【0107】
第2の場合は、初期確認動作の結果、又は後述する「カバー部の開検出時処理」において、異常情報が通知された以降の状態変化を想定する。つまり、カバーの閉じ忘れや不完全な閉じ方をユーザーに通知した以降に状態の変化を検出した場合である。
【0108】
第3の場合は、IO端子部を使用するためにカバーを開いたことを検出した以降に状態の変化を検出した場合である。
【0109】
ADC903がカバーの状態変化を検出すると(S1601)、CPU902は、ユーザーに異常情報を通知した以降の状態変化なのか、それともその他の場合の状態変化なのかを識別する(S1602)。つまり、上述した「第2の場合」か、その他の場合かを識別する。
【0110】
「第2の場合」であれば、想定される状態変化は、「カバー閉」の検出である。カバーの閉じ忘れや不完全な閉じ方であることをユーザーに通知したので、ユーザーがカバーを閉じる操作やカバーをさらに押し込んで確実に閉じる操作を行うからである。従って、カバーの「閉」を検出したのか否かを確認する(S1603)。
【0111】
カバーの「閉」を検出した場合(S1603、YES)は、想定される正常な状態なので、CPU902は異常が解消したことをユーザーに通知する(S1604)。その後、CPU902はカバー部の閉検出時の処理を実行する(S1605)。
【0112】
カバーの「閉」以外を検出した場合(S1603、NO)は、異常が解消していないので、CPU902は後述する異常処理を行う。
【0113】
「第2の場合」ではない場合、「使用中フラグ」がONかOFFかを識別する(S1606)。「使用中フラグ」は、後述するが、IO端子部を使用するためにカバーを開いたことを検出したときに設定するフラグである。つまり、カバーの開状態が長く続くことが想定される場合に設定する。従って、ここでは「第3の場合」または「第1の場合」の状態変化のいずれであるのかを識別する。
【0114】
「使用中フラグ」がONの場合(S1606、ON)が「第3の場合」で、この場合は「カバー閉」が想定される状態変化である。従って、カバーの「閉」を検出したのか否かを確認する(S1607)。
【0115】
カバーの「閉」を検出した場合(S1607、YES)は、想定される正常な状態なので、CPU902はカバー部の閉検出時の処理を実行する(S1605)。
【0116】
また、カバーの「閉」以外を検出した場合(S1607、NO)は、異常状態なので、CPU902は後述する異常処理を行う。
【0117】
「使用中フラグ」がOFFの場合(S1606、OFF)が「第1の場合」で、この場合は「カバー開」が想定される状態変化である。従って、カバーの「開」を検出したのか否かを確認する(S1608)。
【0118】
カバーの「開」を検出した場合(S1608、YES)は、想定される正常な状態なので、CPU902はカバー部の開検出時の処理を実行する(S1609)。
【0119】
また、カバーの「開」以外を検出した場合(S1608、NO)は、異常状態なので、CPU902は後述する異常処理を行う。
【0120】
図16のS1609のカバー部の開検出時の処理及びS1605のカバー部の閉検出時の処理を、それぞれ図17及び図18を参照して説明する。
【0121】
図17は、本発明の実施形態による携帯電子機器の防水機能確認動作におけるカバー部の開検出時動作を説明するフローチャートである。
【0122】
カバーが開かれるということは、ユーザーがそのカバー部を使用する目的で開いたものと想定できる。例えば、IO端子部と外部機器を接続することを目的とした操作を行うとか、電池パックの交換、外付けメモリの挿抜の操作を行うことが想定される。
【0123】
まず、操作タイミング1のタイミングをセットする(S1701)。後述する操作タイミング2乃至3を含め、操作タイミングのセットは、検出したカバーの状態変化が、何を目的とした状態変化なのかを判別することを目的とする。この操作タイミング1は、カバーを開いてからIO端子部に外部機器を接続するまでの操作に必要な時間を想定したものである。
【0124】
そこで、このカバーの開の検出がIO端子部に外部機器を接続することを目的としたものか否かを確認する(S1702)。しかし、たとえユーザーがIO端子部に外部機器を接続することを目的としてカバーを開いたとしても、カバーの開の検出直後では、まだその操作が行われることはない(S1702、NO)。
【0125】
続いて、操作タイミング2のタイミングをセットする(S1703)。この操作タイミング2は、カバーを開いてからユーザーが電池パックの交換や外付けメモリの挿抜を行う操作に必要な時間を想定したものである。
【0126】
そこで、ユーザーが必要な操作を終えて、ユーザーがカバーを閉じる操作を行うことによる状態の変化か否かを確認している(S1708)。しかし、たとえユーザーが電池パックの交換や外付けメモリの挿抜を行うことを目的としてカバーを開いたとしても、カバーの開の検出直後では、まだその操作が行われることはない(S1704、NO)。
【0127】
以上に説明したように、操作タイミング1及び操作タイミング2を用いて、カバーの開検出が何を目的としたカバーの開なのかを判別する。
【0128】
まず、このカバーの開の検出がIO端子部に外部機器を接続することを目的としたものである場合の動作を説明する。
【0129】
ユーザーがカバーを開いてからIO端子部に外部機器を接続するまで、S1702−S1703−S1704−S1705−S1702の経路で動作する。そして、操作タイミング1がタイムアウトする前にIO端子部に外部機器が接続されると(S1702、YES)、使用中フラグが「ON」に設定される(S1706)。使用中フラグが「ON」に設定されるということは、カバーの開状態が長く続くことが想定される継続使用であることを意味する。
【0130】
これで、カバーの開の検出がIO端子部に外部機器を接続することを目的としたものである場合の動作を終了するが、カバーの開/閉を検出した都度に回数を計数しておき、動作終了時にOリングの劣化通知をする。つまり、計数しているカバーの開/閉回数が、Oリングが劣化するであろうと想定する回数の閾値を超えているか否かを判定する(S1709)。当該閾値を超えている場合(S1709、YES)には、劣化通知を行う(S1710)。劣化通知としては、当該カバー部の特定と劣化の旨を表示部に表示してユーザーに通知し、防水上の取り扱いや、サービスセンターでの修理を喚起する。
【0131】
続いてユーザーが電池パックの交換や外付けメモリの挿抜を行うことを目的としてカバーを開いたことを想定した場合の動作を説明する。
【0132】
この場合、操作タイミング1がタイムアウトする前にユーザーが電池パックの交換や外付けメモリの挿抜を終了して再度カバーを閉じると、S1704においてその状態変化検出が反映される。つまり、S1702−S1703−S1704−S1705−S1702の経路で動作していたものが、S1704、YES−S1708の経路に動作が変わる。変化した状態が「閉」であれば正常なので、S1704の判定に使われた状態変化が「閉」であったか否かが確認される(S1708)。変化した状態が「閉」であれば正常なので、上述した劣化通知要否の判定を行う(S1709)。もし、変化した状態が「閉」以外であった場合には(S1708、NO)、それは正常ではないので後述する異常処理を実行する。
【0133】
もし、操作タイミング1がタイムアウトする前にユーザーが電池パックの交換や外付けメモリの挿抜を終了できなかった場合には、さらに操作タイミング2の間だけ操作終了を待ち続ける。つまり、S1705でタイムアウト1が発生するので、S1702−S1703−S1704−S1705−S1702の経路で動作していたものが、S1704−S1705−S1707−S1704の経路に動作が変わる。
【0134】
そして、操作タイミング2がタイムアウトする前にユーザーが電池パックの交換や外付けメモリの挿抜を終了して再度カバーを閉じると、S1704においてその状態変化検出が反映される。以降は、上述した説明と同じである。
【0135】
もし、操作タイミング2がタイムアウトする前にユーザーが電池パックの交換や外付けメモリの挿抜を終了できなかった場合、それはカバーの閉じ忘れと判定する。つまり、操作タイミング2がタイムアウト(S1707、YES)するということは、カバーの「開」が検出された後、操作タイミングを考慮しても「閉」の操作が行われなかったものと判定する。この場合は、当該カバー部を特定して閉じ忘れの旨を表示部に表示し、ユーザーにカバーを閉じる操作を促す。
【0136】
以上が、カバー部の開検出時の処理の説明である。
【0137】
次に、カバー部の閉検出時の処理を説明する。
【0138】
図18は、本発明の実施形態による携帯電子機器の防水機能確認動作におけるカバー部の閉検出時動作を説明するフローチャートである。
【0139】
カバー部の閉検出時の処理は、操作が正常に終了した段階の処理なので、終了前処理が行われる。
【0140】
終了前処理としては、使用中フラグのリセットと劣化通知がある。
【0141】
使用中フラグがONに設定されている場合(S1801、ON)には、それをOFFにリセットする(S1802)。また、劣化通知は図17で説明したとおりである。
【0142】
図16及び図17の説明で触れた異常処理について図19を参照して説明する。
【0143】
図19は、本発明の実施形態による携帯電子機器の防水機能確認動作における異常処理動作を説明するフローチャートである。
【0144】
異常処理とは正常と判定できない状態を検出した場合に行われる処理動作である。従って、必ずしも異常ではなく、異常とみなされる状態も含まれる。
【0145】
異常処理動作の最初において、発生した異常のログが収集される(S1901)。例えば、異常が検出されたカバー部を特定するカバー部識別情報、検出した状態、破損パターン及び検出時刻等がログとして収集される。
【0146】
まず、固定的な異常なのか、それとも操作ミスによる異常なのかを切り分けるために、発生した異常情報をユーザーに通知する異常通知処理が行われる(S1902)。異常通知処理は、カバーの閉じ忘れや閉じ方が不完全な場合を想定して、カバー部を特定し、発生している異常を通知してユーザーに再操作を促す通知を行う。
【0147】
そのため、ユーザー操作時間のための操作タイミング3をセットし(S1903)、ユーザーの再操作により異常が解消したか否かを判定する(S1904)。この操作タイミング3がタイムアウトする前に異常状態が解消すれば(S1904、YES)、異常が解消した旨をユーザーに通知する異常解消通知を行う(S1906)。従って、この場合は固定的な異常ではないのでこれで処理を終了する。
【0148】
一方、異常が解消しないまま操作タイミング3がタイムアウトした場合(S1905、YES)、固定的な異常であると判定し、異常状態発生時の各種の処理を行う。
【0149】
まず、図19に例示した処理を説明する。
【0150】
固定的な異常であると判定された場合、収集した異常ログは保守センター等のログ収集センターに送信される(S1907)。例えば、操作ミスにより解消した異常ログは通知されずに蓄積されているので、それらの蓄積ログも含めてログ収集センターに送信される。この場合、再操作により異常が解消した旨の情報が含まれる。送信ログは、当該機器の識別情報とともにログ収集センターに送信される。また、送信されたログは当該機器から削除されるが、検出された異常の回数は計数されている。
【0151】
従って、計数されている異常発生回数に基づいて、カバーやOリング等の部品交換をしなければ防水機能が担保できない状態になっているか否かが判定される。計数されている異常発生回数が予め定めた閾値を超えた場合には、防水機能が担保できない状態になっているものと判定される(S1908)。
【0152】
このように、計数された異常発生回数が予め定めた閾値を超え、防水機能が担保できない状態になっているものと判定された場合(S1908、YES)、メモリ退避処理が行われる(S1909)。
【0153】
メモリ退避処理は、当該機器のメモリに蓄積されている各種のデータを外部サーバ等に転送退避させる処理である。つまり、防水機能が劣化して、機器を水没させたような場合でもメモリに蓄積したデータを回復できるようにするための予防手段である。
【0154】
メモリ退避処理は当該機器のユーザー操作により予め設定できる機能である。ユーザー操作としては、当該処理を実行するか否かの選択、実行する場合には退避させるデータ種別の選択及びユーザーパスワードの設定が行われる。
【0155】
CPU902は、メモリ退避処理を行うことを識別すると、図9に示したメモリ909から予め選択された種別のデータ(電話帳、写真、動画、スケジュール等)を取り出し、ベースバンドIC906、RFIC907、そしてアンテナ908を介して図示しない外部サーバ等に送信する。このとき、送信されるデータには、機器識別情報、ユーザー識別情報及びパスワードが付加される。つまり、外部サーバは、メモリ退避処理により送信された多数の機器からのデータを機器識別情報、ユーザー識別情報及びパスワードで管理し、ユーザーがデータをダウンロードして復旧できるようにしている。
【0156】
なお、図19には示されていないが、S1908で行う処理を異常発生回数の識別処理として、異常状態の発生数及びカバーの開閉回数に応じて次のように処置するようにしてもよい。
【0157】
異常発生回数やカバーの開閉回数が少ない段階では、当該機器の防水機能が劣化していることをユーザーに単に通知する。
【0158】
異常発生回数やカバーの開閉回数が有る程度多くなってくると、その段階に応じて、カバーやOリングを交換する時期をユーザーに通知する。
【0159】
さらに異常発生回数やカバーの開閉回数が多くなってきて、防水機能が働かなくなってきていると想定できる場合には、カバーやOリングの交換のためにサービスセンターに行くことをユーザーに勧める。
【0160】
以上に説明したように、本発明の実施形態による携帯電子機器は、開閉操作やIO端子部への着脱操作が頻繁に行われるカバー部の防水機能の劣化状況を含む異常状態をユーザーに通知することができる。また、異常状態が発生した場合に、そのログ情報をログ収集センターに送信することにより、異常状態の発生の履歴情報を取得することができる。さらに、最悪の場合を想定して、メモリ上に蓄積されているデータを外部のサーバ等に退避させ、後日それをダウンロードして回復させることができる。
(付記1)開閉カバーを有するカバー部の筐体内側外周を囲むように重ねて配置した、それぞれが弾性材料で形成され、前記開閉カバーを閉じると圧縮変形する、外周に導電部を有する箇所と導電部を有しない箇所を備えた二つの環状の止水機構と、前記開閉カバーを閉じると、重ねて配置した二つの前記止水機構のそれぞれの前記導電部の共通箇所に基準電位を供給し、二つの前記止水機構の前記導電部を介して出現する電気的特性に基づいて前記カバー部の防水機能の状態を確認する防水機能確認手段とを備え、
二つの前記止水機構を重ねて配置したときに、二つの前記止水機構のそれぞれの前記導電部を有しない箇所が相互に重ならない位置に配される
ことを特徴とする防水機能確認構造。
(付記2)二つの前記止水機構のそれぞれが有する導電部は、当該環状の止水機構の第1の端から第2の端に至る導電部であって、前記防水機能確認手段は、二つの前記止水機構のそれぞれの導電部の前記第1の端及び前記第2の端のそれぞれと電気的に接続され、それぞれの端を介した電気的特性を検出する検出手段と、前記開閉カバーを閉じると、重ねて配置した二つの前記止水機構のそれぞれの前記導電部の共通箇所に基準電位を供給し、前記開閉カバーを開くと当該基準電位の供給を断つ基準電位供給手段と、を備え、前記検出手段が、二つの前記止水機構のそれぞれの導電部の前記第1の端及び前記第2の端のそれぞれを介して検出した電気的特性に基づいて、前記カバー部の防水機能の状態を確認することを特徴とする付記1に記載の防水機能確認構造。
(付記3)前記検出手段は、二つの前記止水機構のそれぞれの導電部の前記第1の端及び前記第2の端のそれぞれと電気的に接続される抵抗器を含み、二つの前記止水機構のそれぞれの導電部の前記第1の端及び前記第2の端のそれぞれにおける前記基準電位供給手段が供給する基準電位の出現状況に基づいて、前記カバー部の防水機能の状態を確認することを特徴とする付記2に記載の防水機能確認構造。
(付記4)二つの前記止水機構のそれぞれの導電部は単位長あたりの抵抗値が既知の抵抗皮膜で形成され、前記検出手段は、二つの前記止水機構のそれぞれの導電部の前記第1の端及び前記第2の端のそれぞれにおける、前記基準電位が供給される前記導電部の共通箇所からの抵抗値に基づいて、前記カバー部の防水機能の状態を確認することを特徴とする付記2に記載の防水機能確認構造。
(付記5)開閉カバーを有するカバー部を少なくとも一つ備えた携帯電子機器であって、付記1に記載の防水機能確認構造と、前記防水機能確認構造が確認した前記カバー部の防水機能の状態を、前記カバー部を特定する識別情報とともに表示する表示手段とを備えることを特徴とする携帯電子機器。
(付記6)前記防水機能確認構造が前記カバー部の防水機能の異常状態を確認すると、当該確認した異常状態のログ情報を外部の異常ログ収集手段に送信する異常ログ送信手段と、前記防水機能の異常状態の発生回数を計数し、当該発生回数に応じて予め決められた段階的な処置方法を通知する異常対処手段とを更に備えることを特徴とする付記5に記載の携帯電子機器。
(付記7)前記異常対処手段は、前記防水機能の異常状態の発生回数が予め定めた閾値回数を超えると、予め定めた条件に従ってメモリーに蓄積されているデータを外部のデータ退避手段に送信することを特徴とする付記6に記載の携帯電子機器。
(付記8)前記防水機能確認構造は、付記2乃至4のいずれかに記載の防水機能確認構造であることを特徴とする付記5乃至7のいずれかに記載の携帯電子機器。
(付記9)それぞれが弾性材料で形成され、開閉カバーを閉じると圧縮変形する、外周に導電部を有する箇所と導電部を有しない箇所を備えた二つの環状の止水機構を、前記開閉カバーを有するカバー部の筐体内側外周を囲むように重ねて、かつ、二つの前記止水機構のそれぞれの前記導電部を有しない箇所が相互に重ならない位置に配されるように配置し、前記開閉カバーを閉じると、重ねて配置した二つの前記止水機構のそれぞれの前記導電部の共通箇所に基準電位を供給し、二つの前記止水機構の前記導電部を介して出現する電気的特性に基づいて前記カバー部の防水機能の状態を確認することを特徴とする防水機能確認方法。
(付記10)二つの前記止水機構のそれぞれが有する導電部は、当該環状の止水機構の第1の端から第2の端に至る導電部であって、二つの前記止水機構のそれぞれの導電部の前記第1の端及び前記第2の端を介した電気的特性を検出する検出手段を電気的に接続し、前記開閉カバーを閉じると、重ねて配置した二つの前記止水機構のそれぞれの前記導電部の共通箇所に前記基準電位を供給し、前記開閉カバーを開くと当該基準電位の供給を断ち、二つの前記止水機構のそれぞれの導電部の前記第1の端及び前記第2の端のそれぞれを介して検出した電気的特性に基づいて、前記検出手段が前記カバー部の防水機能の状態を確認することを特徴とする付記9に記載の防水機能確認方法。
(付記11)前記検出手段は、二つの前記止水機構のそれぞれの導電部の前記第1の端及び前記第2の端のそれぞれと電気的に接続される抵抗器を含み、二つの前記止水機構のそれぞれの導電部の前記第1の端及び前記第2の端のそれぞれにおける前記基準電位の出現状況に基づいて、前記カバー部の防水機能の状態を確認することを特徴とする付記10に記載の防水機能確認方法。
(付記12)二つの前記止水機構のそれぞれの導電部を単位長あたりの抵抗値が既知の抵抗皮膜で形成し、二つの前記止水機構のそれぞれの導電部の前記第1の端及び前記第2の端のそれぞれにおける、前記基準電位が供給される前記導電部の共通箇所からの抵抗値に基づいて、前記検出手段が前記カバー部の防水機能の状態を確認することを特徴とする付記10に記載の防水機能確認方法。
【符号の説明】
【0161】
10 携帯電子機器
20 防水機能確認構造
30 表示手段
100 カバー部
110 カバー
120、121、122、123、124 Oリング
200 IO端子
300 プリント基板
310 電子部品
320、321、322、330、331、332 接触ピン
350 防水機能確認手段
410 フロントケース
411、412 接続用金属蒸着部
420 リアケース
421、422、423、424 接続用金属蒸着部
901 防水機能確認構造
902 CPU
903 ADC
904、910 電源IC
905 表示部
906 ベースバンドIC
907 RFIC
908 アンテナ
909 メモリー
911 電池パック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉カバーを有するカバー部の筐体内側外周を囲むように重ねて配置した、それぞれが弾性材料で形成され、前記開閉カバーを閉じると圧縮変形する、外周に導電部を有する箇所と導電部を有しない箇所を備えた二つの環状の止水機構と、
前記開閉カバーを閉じると、重ねて配置した二つの前記止水機構のそれぞれの前記導電部の共通箇所に基準電位を供給し、二つの前記止水機構の前記導電部を介して出現する電気的特性に基づいて前記カバー部の防水機能の状態を確認する防水機能確認手段とを備え、
二つの前記止水機構を重ねて配置したときに、二つの前記止水機構のそれぞれの前記導電部を有しない箇所が相互に重ならない位置に配される
ことを特徴とする防水機能確認構造。
【請求項2】
二つの前記止水機構のそれぞれが有する導電部は、当該環状の止水機構の第1の端から第2の端に至る導電部であって、
前記防水機能確認手段は、
二つの前記止水機構のそれぞれの導電部の前記第1の端及び前記第2の端のそれぞれと電気的に接続され、それぞれの端を介した電気的特性を検出する検出手段と、
前記開閉カバーを閉じると、重ねて配置した二つの前記止水機構のそれぞれの前記導電部の共通箇所に基準電位を供給し、前記開閉カバーを開くと当該基準電位の供給を断つ基準電位供給手段と、
を備え、前記検出手段が、二つの前記止水機構のそれぞれの導電部の前記第1の端及び前記第2の端のそれぞれを介して検出した電気的特性に基づいて、前記カバー部の防水機能の状態を確認することを特徴とする請求項1に記載の防水機能確認構造。
【請求項3】
前記検出手段は、二つの前記止水機構のそれぞれの導電部の前記第1の端及び前記第2の端のそれぞれと電気的に接続される抵抗器を含み、二つの前記止水機構のそれぞれの導電部の前記第1の端及び前記第2の端のそれぞれにおける前記基準電位供給手段が供給する基準電位の出現状況に基づいて、前記カバー部の防水機能の状態を確認することを特徴とする請求項2に記載の防水機能確認構造。
【請求項4】
二つの前記止水機構のそれぞれの導電部は単位長あたりの抵抗値が既知の抵抗皮膜で形成され、前記検出手段は、二つの前記止水機構のそれぞれの導電部の前記第1の端及び前記第2の端のそれぞれにおける、前記基準電位が供給される前記導電部の共通箇所からの抵抗値に基づいて、前記カバー部の防水機能の状態を確認することを特徴とする請求項2に記載の防水機能確認構造。
【請求項5】
開閉カバーを有するカバー部を少なくとも一つ備えた携帯電子機器であって、
請求項1に記載の防水機能確認構造と、
前記防水機能確認構造が確認した前記カバー部の防水機能の状態を、前記カバー部を特定する識別情報とともに表示する表示手段とを備えることを特徴とする携帯電子機器。
【請求項6】
前記防水機能確認構造が前記カバー部の防水機能の異常状態を確認すると、当該確認した異常状態のログ情報を外部の異常ログ収集手段に送信する異常ログ送信手段と、
前記防水機能の異常状態の発生回数を計数し、当該発生回数に応じて予め決められた段階的な処置方法を通知する異常対処手段と
を更に備えることを特徴とする請求項5に記載の携帯電子機器。
【請求項7】
前記異常対処手段は、前記防水機能の異常状態の発生回数が予め定めた閾値回数を超えると、予め定めた条件に従ってメモリーに蓄積されているデータを外部のデータ退避手段に送信することを特徴とする請求項6に記載の携帯電子機器。
【請求項8】
前記防水機能確認構造は、請求項2乃至4のいずれかに記載の防水機能確認構造であることを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の携帯電子機器。
【請求項9】
それぞれが弾性材料で形成され、開閉カバーを閉じると圧縮変形する、外周に導電部を有する箇所と導電部を有しない箇所を備えた二つの環状の止水機構を、前記開閉カバーを有するカバー部の筐体内側外周を囲むように重ねて、かつ、二つの前記止水機構のそれぞれの前記導電部を有しない箇所が相互に重ならない位置に配されるように配置し、
前記開閉カバーを閉じると、重ねて配置した二つの前記止水機構のそれぞれの前記導電部の共通箇所に基準電位を供給し、
二つの前記止水機構の前記導電部を介して出現する電気的特性に基づいて前記カバー部の防水機能の状態を確認する
ことを特徴とする防水機能確認方法。
【請求項10】
二つの前記止水機構のそれぞれが有する導電部は、当該環状の止水機構の第1の端から第2の端に至る導電部であって、
二つの前記止水機構のそれぞれの導電部の前記第1の端及び前記第2の端を介した電気的特性を検出する検出手段を電気的に接続し、
前記開閉カバーを閉じると、重ねて配置した二つの前記止水機構のそれぞれの前記導電部の共通箇所に前記基準電位を供給し、前記開閉カバーを開くと当該基準電位の供給を断ち、
二つの前記止水機構のそれぞれの導電部の前記第1の端及び前記第2の端のそれぞれを介して検出した電気的特性に基づいて、前記検出手段が前記カバー部の防水機能の状態を確認する
ことを特徴とする請求項9に記載の防水機能確認方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−254231(P2011−254231A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−125945(P2010−125945)
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】